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<図1>
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図1
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図2
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図3
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図4
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図5
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図6
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図7
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図8
  • -歩行板取付金具及び歩行板取付方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148188
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】歩行板取付金具及び歩行板取付方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 15/00 20060101AFI20241010BHJP
   E04G 5/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
E04D15/00 E
E04G5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061069
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】592217738
【氏名又は名称】ネグロス電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593068166
【氏名又は名称】大和スレート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】板倉 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】浅田 啓太
(57)【要約】
【課題】波形スレートの屋根に、既存のフックボルトを利用して歩行板を取り付けることが可能な歩行板取付金具を提供する。
【解決手段】波形スレートP屋根から突出したフックボルトAに固定する固定金具30を設ける。該固定金具30に連結され歩行板Rを上に重ねて装着する本体金具20を設ける。固定金具30と本体金具20は連結金具10を介して連結する。固定金具30に係止するための一対の係止片11を連結金具10に設ける。各係止片11の一端部を本体金具20に連結する連結片12を連結金具10に設ける。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形スレート屋根から突出したフックボルトに固定する固定金具と、該固定金具に連結され歩行板を上に重ねて装着する本体金具と、を備えることを特徴とする歩行板取付金具。
【請求項2】
記固定金具と前記本体金具は連結金具を介して連結される請求項1に記載の歩行板取付金具。
【請求項3】
前記連結金具は、前記固定金具に係止するための一対の係止片と、各係止片の一端部を前記本体金具に連結する連結片と、を備える請求項2記載の歩行板取付金具。
【請求項4】
前記固定金具は、前記フックボルトの両側に立設する一対の脚部を備え、前記連結金具は、対向する脚部の内側に挿入される一対の係止片と、
各係止片の一端部を前記本体金具に連結する連結片と、を備え、
各係止片の他端部に形成された係止端部が前記脚部に係止するように構成した請求項2記載の歩行板取付金具。
【請求項5】
一対の前記係止片は、対向する前記脚部の内側に挿入されたときに、各前記係止片が互いに拡開方向に付勢するように前記連結片から延長形成された請求項4に記載の歩行板取付金具。
【請求項6】
前記本体金具は、前記連結金具にネジ止めする前記連結片と、前記連結片から延長形成され前記歩行板を上に重ねる重合片と、を備え、前記連結金具の前記連結片と前記本体金具の前記連結片とを連結ボルトで連結することで、前記連結金具と前記本体金具を連結する請求項3または5に記載の歩行板取付金具。
【請求項7】
前記連結ボルトはコイルバネを介して前記連結金具の前記連結片と前記本体金具の前記連結片とを連結する請求項6記載の歩行板取付金具。
【請求項8】
前記重合片に、前記歩行板の長手端部を係止する係止部を設けた請求項6記載の歩行板取付金具。
【請求項9】
前記重合片に、前記歩行板の屈曲部の内側に係止する係止突起を設けた請求項6記載の歩行板取付金具。
【請求項10】
波形スレートから突出したフックボルトに歩行板を装着する歩行板取付方法であって、フックボルトに固定金具を固定する工程と、固定金具に本体金具を連結する工程と、本体金具に歩行板を上に重ねて装着する工程と、を含むことを特徴とする歩行板取付方法。
【請求項11】
波形スレートの屋根から突出したフックボルトに固定された固定部材に歩行板を取付ける歩行板取付金具であって、
前記固定部材に連結する連結部と、歩行板を上に重ねる重合部とを備えたことを特徴とする歩行板取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形スレートの屋根改修時にスレート屋根に歩行板を取り付ける歩行板取付金具及び歩行板取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
旧来の波形スレート板はアスベストを含有しており、改修には特に気を使う作業になっている。そのため、既存の波形スレート板の改修を行う工法の一つとして、間接固定工法が行われている。
【0003】
この工法によると、波形スレートを屋根に固定している既存のフックボルトを利用して新たに支持金具を固定し、支持金具相互間に金属下地を配設し、この金属下地の上に新設のスレート屋根を固定する工法なので、アスベストやその他の粉塵の発生がほとんどなく、工事中の雨漏りの心配もないという利点がある。
【0004】
当出願人は、この間接固定工法に使用する支持金具を提案している(特許文献1)。この支持金具は、既設のフックボルトの通り芯が出ていない場合でも、支持金具や下地材を簡単に設置することが可能になり、新たなスレート屋根を容易に固定できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6591592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、波形スレートの屋根を間接工法で改修する際に、スレート屋根にのった状態で新たな波形スレートを設置することになる。そのため、作業中に屋根の踏み抜き事故やスレート屋根を破損するおそれがあった。
【0007】
このような事故を防止するには、スレート屋根に直接のらずに施工する工法を確立する必要があった。しかしながら、間接固定工法に使用する従来の支持金具は、既存のフックボルトを利用して新たなスレート屋根を装着することは可能でも、歩行板を取り付ける手段までは確立されていなかった。
【0008】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、波形スレートの屋根に、既存のフックボルトを利用して歩行板を取り付けることが可能な歩行板取付金具及び歩行板取付方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、波形スレートP屋根から突出したフックボルトAに固定する固定金具30と、該固定金具30に連結され歩行板Rを上に重ねて装着する本体金具20と、を備えることにある。
【0010】
第2の手段は、記固定金具30と前記本体金具20は連結金具10を介して連結される。
【0011】
第3の手段の前記連結金具10は、前記固定金具30に係止するための一対の係止片11と、各係止片11の一端部を前記本体金具20に連結する連結片12と、を備えている。
【0012】
第4の手段の前記固定金具30は、前記フックボルトAの両側に立設する一対の脚部31を備え、前記連結金具10は、対向する脚部31の内側に挿入される一対の係止片11と、各係止片11の一端部を前記本体金具20に連結する連結片12と、を備え、各係止片11の他端部に形成された係止端部11Aが前記脚部31に係止するように構成したものである。
【0013】
第5の手段において、一対の前記係止片11は、対向する前記脚部31の内側に挿入されたときに、各前記係止片11が互いに拡開方向に付勢するように前記連結片から延長形成されたものである。
【0014】
第6の手段は、前記本体金具20は、前記連結金具10にネジ止めする連結片21と、該連結片21から延長形成され前記歩行板Rを上に重ねる重合片22と、を備え、前記連結金具10の前記連結片12と前記本体金具20の前記連結片21とを連結ボルト23で連結することで、前記連結金具10と前記本体金具20を連結する。
【0015】
第7の手段の前記連結ボルト23はコイルバネ24を介して前記連結金具10の前記連結片12と前記本体金具20の前記連結片21とを連結する。
【0016】
第8の手段は、前記重合片22に、前記歩行板Rの長手端部を係止する係止部25を設けている。
【0017】
第9の手段は、前記重合片22に、前記歩行板Rの屈曲部の内側に係止する係止突起26を設けたものである。
【0018】
第10の手段は、波形スレートPから突出したフックボルトAに歩行板Rを装着する歩行板取付方法であって、フックボルトAに固定金具30を固定する工程と、固定金具30に本体金具20を連結する工程と、本体金具20に歩行板Rを上に重ねて装着する工程と、を含む取付方法である。
【0019】
第11の手段は、波形スレートPの屋根から突出したフックボルトAに固定された固定部材に歩行板Rを取付ける歩行板取付金具であって、前記固定部材に連結する連結部と、歩行板Rを上に重ねる重合部とを備えた歩行板取付金具とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、波形スレート屋根から突出した既存のフックボルトを利用して歩行板を取り付けることができ、新設の屋根を間接固定工法で施工する際の踏み抜き事故や波形スレート屋根の破損を防止するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明取付金具を示す斜視図である。
図2】本発明取付金具を示す分解斜視図である。
図3】(イ)~(ニ)は、本発明取付金具の取付け手順を示す斜視図である。
図4】本発明取付金具に歩行板を取り付ける状態を示す要部斜視図である。
図5】本発明取付金具に歩行板を取り付けた状態を示す要部斜視図である。
図6】本発明取付金具の本体金具の使用例を示す側面図である。
図7】本発明取付金具の固定金具を示す分解斜視図である。
図8】本発明取付金具の固定金具の使用状態を示す側面図である。
図9】本発明取付金具を使用した波形スレート屋根の要部切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明取付金具は、アスベストを含有する波形スレートPの屋根を補修する際に歩行板Rを取り付ける取付金具である(図9参照)。この取付金具の構成は、連結金具10、本体金具20、固定金具30を備えている。この固定金具30は、屋根から突出した既存のフックボルトAに固定する部材で、この固定金具30に連結金具10、本体金具20を固定する。
【0023】
連結金具10は、固定金具30の対向する脚部31の内側に挿入される一対の係止片11を備えている(図8参照)。そして、各係止片11の他端部に形成された係止端部11Aが脚部31に係止する。更に、係止片11には、各係止片11の一端部を本体金具20に連結する連結片12を設けている(図1参照)。この連結片12は、本体金具20にネジ止めする連結部12Aと、該連結部12Aから屈曲形成され係止片11を拡開方向に付勢する弾性部12Bとを有する(図2参照)。
【0024】
本体金具20は、連結金具10に連結される部材であり(図1参照)、この本体金具20の上に歩行板Rが装着される(図5参照)。図示の本体金具20は、連結金具10にネジ止めする連結片21と、該連結片21から延長形成され歩行板Rを上に重ねる重合片22とを備えている(図1参照)。また、連結金具10と連結片21とを連結する連結ボルト23はコイルバネ24を介して取付けられている(図2参照)。係止片11を脚部31の内側に挿入する際、コイルバネ24の弾性力に逆らって連結ボルト23を押し込んで係止端部11Aを脚部31の端部に係止させ、その状態で連結ボルト23を押し込むのをやめると、コイルバネ24の弾性力によって係止片11が本体金具20側に引き戻されるので、係止片11と脚部31を係止端部11Aを介して仮止めすることができる。その後、連結ボルト23を締め付けることで連結金具10と本体金具20をしっかりと連結することができる。
【0025】
更に、重合片22に係止部25を設け、歩行板Rの長手端部(歩行板Rの長手方向と平行な縁)を係止部25に係止する(図4参照)。このように、歩行板Rを係止部25に係止することで、歩行板Rの位置を固定することができる(図5参照)。また、重合片22に係止突起26を設けてある(図1参照)。この係止突起26は、重合片22に歩行板Rを重ねたときに、歩行板Rの屈曲部の内側に係止する部位である(図6参照)。
【0026】
固定金具30は、波形スレートPの屋根から突出したフックボルトAに固定する部材であり(図7参照)、フックボルトAの両側に立設する一対の脚部31を備えている(図8参照)。図示例では、フックボルトAを挿通する支持盤32と、この支持盤32から突出するフックボルトAに固定するプッシュナット34を備えている(図7参照)。そして、支持盤32から上方に延長された一対の保持片33の間に下地材Qを固定し、この下地材Qに新たな波形スレートPを設置するものである(図9参照)。
【0027】
本発明の施工方法は、フックボルトAに固定金具30を固定する工程と、固定金具30に本体金具20を連結する工程と、本体金具20に歩行板Rを上に重ねて装着する工程とを有する。
【0028】
フックボルトAに固定金具30を固定する工程では、プッシュナット34を使用する(図7参照)。このプッシュナット34は、予め支持盤32に装着する固定部材であり、このプッシュナット34にフックボルトAを挿通すると、固定金具30がフックボルトAに固定される。
【0029】
固定金具30に連結金具10を連結する工程では、予め連結金具10に連結している本体金具20がフックボルトAに対して屋根傾斜面の上側に配置するように連結する(図9参照)。すなわち、フックボルトAを歩行板Rの滑り止めに使用する。
【0030】
図3(イ)~(ニ)は、連結金具10を固定金具30に連結する施工手順を示している。まず、連結金具10の係止片11を固定金具30の脚部31の間に挿入する(同図(イ)参照)。次に、係止片11の端部が脚部31の間から出るように連結ボルト23を押す(同図(ロ)参照)。
【0031】
係止片11の端部が脚部31から出ると、係止片11の端部に形成した係止端部11Aが脚部31の端部に係止する(同図(ハ)参照)。このとき、係止片11の弾性力で係止片11が拡開しながら係止するので、係止端部11Aが係止する際に「カチッ」と音がするので作業の確認が容易になる。最後に連結ボルト23を締め付けると固定金具30への取付が完了する(同図(ニ)参照)。
【0032】
歩行板Rを装着する工程は、連結金具10に連結された本体金具20に歩行板Rを上に重ねて装着する工程である(図4参照)。このとき、本体金具20上の歩行板Rを波形スレートPの波の長手方向に対して直交する向きに装着する(図9参照)。
【0033】
このとき、歩行板Rの長手側縁を重合片22の係止部25に係止した状態で固定する(図5参照)。更に、歩行板Rの凹凸部分を係止突起26に係止することで歩行板Rの横ずれを防止する(図6参照)。また歩行板Rは、固定金具30の上に設置する新規の波形スレートPを配設する位置より下側に設置するので、歩行板Rを残したままで新規の波形スレートPを設置する(図9参照)。
【0034】
尚、本発明取付金具は、図示例に限定されるものではなく、例えば、連結金具10や本体金具20、固定金具30等の各構成は任意の変更が可能であり、波形スレートを使用した屋根の補修に応じて、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に設計変更することができる。
【0035】
上記実施形態においては、連結金具10の係止片11を固定金具30の脚部31の間に挿入しているが、例えば、脚部31の外側から係止してもよい。また、上記実施形態においては、連結金具10が連結部12Aから屈曲形成された弾性部を有しているが、連結部12Aから連続形成された係止片11が拡開方向に付勢できていれば、弾性部がなくてもよい。更に、上記実施形態においては、固定金具30が下地材Qを固定する保持片33を備えているが、下地材Qを固定する別の構成でもよいし、固定金具30が下地材Qを固定しない態様でもよい。更に、上記実施形態においては、連結ボルト23がコイルバネ24を介して取付けられているが、コイルバネ24がなくてもよい。(上記実施形態においては、連結金具10と本体金具20が別体として構成されているが、一体となっていてもよい。また、上記実施形態においては、連結金具10と本体金具20と固定金具30が別体として構成されているが、一体となっていてもよい。)
【0036】
本発明は、波形スレートPの屋根から突出したフックボルトAに固定された既設の部材に後付けで歩行板Rを取付ける歩行板取付金具を含む。つまり、波形スレートPの屋根から突出したフックボルトAに固定された既設の固定部材に後付けで歩行板Rを取付ける歩行板取付金具であって、前記固定部材と連結する連結部と、歩行板Rを上に重ねる重合部とを備えた歩行板取付金具を含む。固定部材としては、例えば、上記実施形態の固定金具30のようにフックボルトAの両側に立設する一対の脚部31を備えている部材でもよく歩行板取付金具の連結部がその脚部31に係止する係止片33を備えたものであってもよい。重合部としては、例えば、上記実施形態の本体金具20と同様の構成を備えたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
A フックボルト
P 波形スレート
Q 下地材
R 歩行板
10 連結金具
11 係止片
11A 係止端部
12 連結片
12A 連結部
12B 弾性部
20 本体金具
21 連結片
22 重合片
23 連結ボルト
24 コイルバネ
25 係止部
26 係止突起
27 連結ナット
30 固定金具
31 脚部
32 支持盤
32A ナット支持片
33 保持片
34 プッシュナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9