(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148189
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電動車両の充電システムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20241010BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241010BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241010BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20241010BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J13/00 301A
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061073
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柴沼 満
(72)【発明者】
【氏名】山田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 将也
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 侑生
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB12
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】電動車両の充電システムにおいて、充電装置による消費電力を抑制する。
【解決手段】電動車両の充電システム100、100A、100B、100Cは、電動車両の運行区域に供給される系統電源PSと、系統電源に接続された複数の配電線DL1、DL2、DL3、DL4と、運行区域を分割した複数のエリアAR1、AR2、AR3、AR4にそれぞれ配置されて、配電線から電力を供給されて電動車両に対して充電を行う複数の充電装置120と、各配電線に設置され、配電線の下流側への電力供給を実行または停止する電力供給制御装置110、150と、ピーク電力を示す情報を受信して、電力供給制御装置を制御する消費電力制御部140と、を備え、消費電力制御部は、充電装置による消費電力の合計がピーク電力を超過しないように、充電停止エリアを決定し、電力供給制御装置を制御して、充電停止エリアに配置された充電装置による充電を停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の充電システム(100、100A、100B、100C)であって、
前記電動車両の運行区域に供給される系統電源(PS)と、
前記系統電源に接続された複数の配電線(DL1、DL2、DL3、DL4)と、
前記運行区域を分割した複数のエリア(AR1、AR2、AR3、AR4)であって、互いに異なる前記配電線を有する複数のエリアにそれぞれ配置されて、前記配電線から電力を供給されて前記電動車両に対して充電を行う複数の充電装置(120)と、
各前記配電線に設置され、前記配電線の下流側への電力供給を実行または停止する電力供給制御装置(110、150)と、
前記複数の充電装置に供給可能な合計電力の上限であるピーク電力を示す情報を取得して、前記電力供給制御装置を制御する消費電力制御部(140)と、
を備え、
前記消費電力制御部は、前記複数の充電装置による消費電力の合計が前記ピーク電力を超過しないように、前記複数のエリアのうち、充電を停止させる充電停止エリアを決定し、前記電力供給制御装置を制御して、前記充電停止エリアに配置された前記充電装置による充電を停止させる、
充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記複数の充電装置のうちの少なくとも一部は、前記電動車両が有する受電回路(240)に対して非接触で電力を送電する送電回路(10)を備える、
充電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の充電システムであって、
前記送電回路は、前記受電回路と前記充電装置との結合の程度に応じて、送電可能状態と送電待機状態とを切り替える、
充電システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記充電停止エリアを選択する順番および前記充電停止エリアにおいて充電を停止させる時間を示す予め設定された切替パターンに従って、前記充電停止エリアを決定する、
充電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記電動車両の運行履歴を取得し、前記運行履歴を利用して前記切替パターンを更新する、
充電システム。
【請求項6】
請求項4に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記運行区域における消費電力のうち、前記充電装置によらない消費電力に関する情報である非充電用消費電力情報を取得し、前記非充電用消費電力情報を利用して前記切替パターンを更新する、
充電システム。
【請求項7】
請求項4に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記電動車両から送信される情報であって、前記電動車両が有するバッテリ(210)の充電状態を示す情報である充電状態情報を取得し、前記充電状態情報を利用して前記切替パターンを更新する、
充電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、複数の前記電動車両ごとに予め設定された情報であって、各前記電動車両が停止した際の運行への影響度を示す情報である運行影響度情報を取得し、前記運行影響度情報を利用して、前記影響度がより高い前記電動車両が運行しているエリアは、前記充電停止エリアとして選択される頻度をより低下させる、
充電システム。
【請求項9】
請求項8に記載の充電システムであって、
前記電動車両は、自律的に運行経路を決定可能に構成されており、
前記消費電力制御部は、前記電動車両に対して、前記複数のエリアのうち、いずれのエリアが前記充電停止エリアと決定されて前記充電装置による充電が停止されているかを示す情報を通知する、
充電システム。
【請求項10】
電動車両の充電システムを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記充電システムは、
前記電動車両の運行区域に供給される系統電源と、
前記系統電源に接続された複数の配電線と、
前記運行区域を分割した複数のエリアであって、互いに異なる前記配電線を有する複数のエリアにそれぞれ配置されて、前記配電線から電力を供給されて前記電動車両に対して充電を行う複数の充電装置と、
各前記配電線に設置され、前記配電線の下流側への電力供給を実行または停止する電力供給制御装置と、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、
前記複数の充電装置による消費電力の合計が、前記複数の充電装置に供給可能な合計電力の上限であるピーク電力を超過しないように、前記複数のエリアのうち、充電を停止させる充電停止エリアを決定する機能と、
前記電力供給制御装置を制御して、前記充電停止エリアに配置された前記充電装置による充電を停止させる機能と、
をコンピュータに実現させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両の充電システムおよびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両に充電を行う充電システムが知られている。このような充電システムにおいて複数の電動車両への充電を行う場合、充電による消費電力量が供給可能な電力量を超過しないように充電を行う必要がある。特許文献1に記載の充電システムは、各電動車両の充電池の残量および移動先を取得して、各家庭に設置された充電装置における充電スケジュールを決定することにより、複数の充電装置において一斉に充電が行われて消費電力量が過大となることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の充電システムでは、充電装置ごとに充電スケジュールを決定するので、充電システムの構成が複雑化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、電動車両の充電システム(100、100A、100B、100C)が提供される。この充電システムは、電動車両の充電システムであって、前記電動車両の運行区域に供給される系統電源(PS)と、前記系統電源に接続された複数の配電線(DL1、DL2、DL3、DL4)と、前記運行区域を分割した複数のエリア(AR1、AR2、AR3、AR4)であって、互いに異なる前記配電線を有する複数のエリアにそれぞれ配置されて、前記配電線から電力を供給されて前記電動車両に対して充電を行う複数の充電装置(120)と、各前記配電線に設置され、前記配電線の下流側への電力供給を実行または停止する電力供給制御装置(110、150)と、前記複数の充電装置に供給可能な合計電力の上限であるピーク電力を示す情報を受信して、前記電力供給制御装置を制御する消費電力制御部(140)と、を備え、前記消費電力制御部は、前記複数の充電装置による消費電力の合計が前記ピーク電力を超過しないように、前記複数のエリアのうち、充電を停止させる充電停止エリアを決定し、前記電力供給制御装置を制御して、前記充電停止エリアに配置された前記充電装置による充電を停止させる。
【0007】
この形態の制御装置によれば、充電装置による消費電力の合計がピーク電力を超過しないように、充電停止エリアを決定し、給電装置を制御して充電停止エリアに配置された充電装置による充電を停止させるので、充電装置ごとに充電の実行および停止を制御する形態よりも、充電システムの構成が複雑になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の充電システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】本実施形態の充電システムによる充電の様子を模式的に示す説明図である。
【
図3】本実施形態の送電回路と、給電側制御部と、受電回路と、の概略構成を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態の消費電力抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態の消費電力抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態の消費電力抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】第4実施形態の消費電力抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】他の実施形態の充電システムの概略構成を示す説明図である。
【
図9】他の実施形態の充電システムの概略構成を示す説明図である。
【
図10】他の実施形態の充電システムの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A-1.システム構成:
図1に示す本実施形態の充電システム100は、予め指定された運行区域内を運行する電動車両に対して充電を行うシステムである。本実施形態では、電動車両は、予め学習がなされたAIを利用して自律的に運行経路を決定可能であって、工場や倉庫内を運行区域として運行するAGV(Automatic Guided Vehicle)として構成されている。充電システム100は、系統電源PSと、複数の配電線DL1、DL2、DL3、DL4と、複数の給電装置110と、複数の送電装置120と、制御装置130とを備える。
【0010】
系統電源PSは、電力会社等の電力網から電力の供給を受ける交流電源である。系統電源PSには配電線DL1、DL2、DL3、DL4が接続されている。なお、系統電源PSは、電力会社等の電力網に限らず、工場の自家発電により発電された電力を供給される交流電源であってもよい。
【0011】
送電装置120は、配電線DL1、DL2、DL3、DL4のうちのいずれかひとつから電力を供給されて、後述する電動車両が有する受電回路に電力を送電する。送電装置120は、本開示における「充電装置」に相当する。なお、送電装置120の具体的な構成については後述する。
【0012】
送電装置120は、運行区域を分割した複数のエリアAR1、AR2、AR3、AR4にそれぞれ配置されている。各エリアは、例えば工場のフロアによって区分されている。また、各エリアは、同一フロア内において、工程や区画によって区分されていてもよい。各エリアは、他のエリアとは異なる配電線を有し、同一エリアに設置された送電装置120は、互いに共通の配電線から電力の供給を受ける。なお、運行区域は、4つのエリアに限らず、2つ、3つ、または5つ以上のエリアに分割されていてもよい。
【0013】
給電装置110は、各配電線に設置されている。本実施形態では、給電装置110は、各エリアに一つずつ設置されている。給電装置110は、系統電源PSから供給される交流電力を高周波交流電力に変換して、送電装置120に供給する。また、給電装置110は、制御装置130によって制御されて、送電装置120への電力の供給を停止する。このように、給電装置110は、給電装置110の下流側への電力供給を実行または停止する。給電装置110は、本開示における「電力供給制御装置」に相当する。なお、給電装置110の具体的な構成については後述する。
【0014】
制御装置130は、CPU131と、メモリ132と、通信装置133とを有するコンピュータとして構成されている。CPU131は、メモリ132に予め記憶されたプログラムを実行することにより消費電力制御部140として機能する。
【0015】
消費電力制御部140は、通信装置133を介して、各送電装置120による現在の消費電力の合計に関する情報(以下、「消費電力情報」とも呼ぶ)を系統電源PSから取得する。また、消費電力制御部140は、通信装置133を介して、各送電装置120に供給可能な合計電力の上限であるピーク電力を示す情報(以下、「ピーク電力情報」とも呼ぶ。)を電力管理システム300から取得する。電力管理システム300は、充電システム100の外部において、系統電源PSを含むより大きな電力網における電力供給を管理するシステムである。電力管理システム300は、例えば、工場の自家発電供給システムやVPP(Virtual Power Plant)のアグリゲータが管理するシステムを含む。消費電力制御部140は、消費電力情報とピーク電力情報とを利用して、各送電装置120による合計消費電力がピーク電力を超過しないように、給電装置110を制御して送電装置120への電力の供給を制御する。
【0016】
本実施形態の充電システム100と電動車両202との間で行われる充電について、
図2を参照してより具体的に説明する。本実施形態では、電動車両202は、
図2に示すように、充電システム100が埋設された走路105上を走行する際に充電が行われる。「走路105上を走行」とは、電動車両202が移動している場合の他、搬送物の載せ替え等で搬送ロボットやコンベア等の固定設備付近に電動車両202が停止している場合も含む。
図2において、x軸方向は電動車両202の進行方向を示し、y軸方向は電動車両202の幅方向を示し、z軸方向は鉛直上方向を示す。
【0017】
系統電源PSから供給された交流電力は、給電装置110が有するAC-DCコンバータ回路111と、インバータ回路112と、フィルタ回路113とにより高周波交流電力に変換される。より具体的には、系統電源PSから供給された交流電力は、AC-DCコンバータ回路111により整流されて直流電力に変換され、インバータ回路112により高周波交流電力に変換され、フィルタ回路113により予め設定された周波数帯の高周波交流電力として抽出される。
【0018】
給電装置110は、走路105の地中においてx方向に沿って設置された複数の送電装置120と並列に接続されて、各送電装置120に対して高周波交流電力を供給する。なお、送電装置120は、走路105の地中以外の場所、例えば、搬送設備の側面に設置されていてもよい。
【0019】
各送電装置120は、送電回路10と給電側制御部20とを有する。給電側制御部20は、送電回路10の状態を第1状態、第2状態のいずれかに切り替え、第2状態の時には、送電回路10を共振状態として受電装置200に電力を供給させ、第1状態の時には、送電回路10を非共振状態として受電装置200への電力の供給を制限する。送電回路10および給電側制御部20の具体的な構成については後述する。
【0020】
電動車両202は、バッテリ210と、補機バッテリ215と、受電側制御部220と、整流回路230と、受電回路240と、DC/DCコンバータ回路260と、インバータ回路270と、モータジェネレータ280と、補機290と、を備えている。なお、受電装置200は、補機290を備えなくてもよく、この場合、補機バッテリ215およびDC/DCコンバータ回路260も備えなくてよい。本実施形態では、受電回路240は、走路105に面した位置、例えば、電動車両202の下面に設けられている。なお、送電回路10が、固定設備の側面に配置されている場合には、電動車両202の側面に受電回路240が設けられていても良い。受電回路240は、後述するが、共振回路を構成する受電コイルとコンデンサを有している。受電回路240は、整流回路230に接続されており、受電回路240で受電した交流電力は、直流電力に変換される。整流回路230の出力には、バッテリ210と、DC/DCコンバータ回路260の高圧側と、インバータ回路270と、が接続されている。DC/DCコンバータ回路260の低圧側には、補機バッテリ215と、補機290とが接続されている。インバータ回路270には、モータジェネレータ280が接続されている。整流回路230から出力される直流電力は、バッテリ210の充電や、インバータ回路270を介したモータジェネレータ280の駆動に利用することができる。また、整流回路230から出力される直流電力は、DC/DCコンバータ回路260を用いて降圧することで、補機バッテリ215の充電や、補機290の駆動にも利用可能である。
【0021】
バッテリ210は、モータジェネレータ280を駆動するための比較的高い直流電力、例えば数十Vから数百Vの電圧を出力する2次電池である。モータジェネレータ280は、3相交流モータとして動作し、電動車両202の走行のための駆動力を発生する。モータジェネレータ280は、電動車両202の減速時にはジェネレータとして動作し、電力を回生する。インバータ回路270は、モータジェネレータ280がモータとして動作するとき、バッテリ210の電力を3相交流に変換してモータジェネレータ280に供給する。インバータ回路270は、モータジェネレータ280がジェネレータとして動作するとき、モータジェネレータ280が回生した3相交流を直流に変換してバッテリ210に供給する。
【0022】
DC/DCコンバータ回路260は、バッテリ210の出力を、バッテリ210の出力電圧より低い電圧、例えば12Vに変換して補機バッテリ215及び補機290に供給する。補機バッテリ215は、補機290を駆動するための2次電池であり、その電圧は比較的低い。補機290は、電動車両202の空調装置や電動パワーステアリング装置、ヘッドライト、ウインカ、ワイパー等の周辺装置や電動車両202の様々なアクセサリーを含む。
【0023】
受電側制御部220は、電動車両202内のインバータ回路270の他、各部を制御する。受電側制御部220は、走行中非接触給電を受ける際には、受電回路240を制御して電力を受電する。
【0024】
図3は、送電回路10と、給電側制御部20と、受電回路240と、の概略構成を示す説明図である。送電回路10は、送電コイル11と、2つのコンデンサ12、13と、スイッチSWとを備える。コンデンサ12と、送電コイル11とは、直列に接続されている。コンデンサ13とスイッチSWは直列に接続され、直列に接続されたコンデンサ13とスイッチSWは、コンデンサ12と並列に接続されている。送電コイル11と、2つのコンデンサ12、13は、共振回路を構成している。受電回路240は、直列に接続された受電コイル241とコンデンサ242とを備え、受電コイル241とコンデンサ242は、共振回路を構成している。
【0025】
コンデンサ12の容量をC1、コンデンサ13の容量をC2、送電コイル11のインダクタンスをL1、配線の電気抵抗をRとする。送電回路10のインピーダンスZonは
Zon=R+j(ωL1ー1/ωCg)
である。ここで、スイッチSWがオフのとき、コンデンサ13が切り離されるので、
Cg=C1
であり、
スイッチSWがオンのとき、コンデンサ13が接続されるので、
Cg=C1+C2
である。
上式において、ωは角周波数であり、送電回路10の動作周波数をfとすると、ω=2πfである。また、送電コイル11は、受電コイル241と磁気的に結合する。以下、磁気的に結合することを、「結合する」とも呼ぶ。ため、送電コイル11のインダクタンスL1は、受電コイル241との相対的な位置関係により、変化する。送電コイル11がどのコイルとも結合しないときのインダクタンスをL41、受電コイル241がどのコイルとも結合しないときのインダクタンスをL241とすると、送電コイル11のインダクタンスL1は、
L1=L41±k(L41×L241)1/2
である。ここで、kは結合係数であり、送電コイル11と受電コイル241との相対的な位置関係により定まり、送電コイル11と受電コイル241とが最も接近したときに結合係数kは最大となる。また、上式の第2項の前のプラスマイナスの符号(±)は、送電コイル11と受電コイル241の巻き向きが同じであればプラス、逆であればマイナスである。
【0026】
給電側制御部20は、測定部21と、判定回路22と、切替回路23と、駆動回路24と、を備える。測定部21は、送電コイル11の物理量を測定するセンサである。物理量は、送電コイル11とコンデンサ12、13を含む共振回路の共振の程度を示す指標となる。本実施形態では、物理量として送電コイル11の両端の電圧を用いる。なお、物理量として、複数種類の物理量を利用可能である。本実施形態で用いた送電コイル11の両端の電圧以外の物理量、例えば、送電コイル11に流れる電流、送電コイル11が発生させる磁束、コンデンサ12の両端の電圧、コンデンサ12に流れる電流を用いても良い。スイッチSWがオンのときには、コンデンサ13の両端の電圧、コンデンサ13に流れる電流を用いても良い。スイッチSWがオフである場合の送電コイル11両端の電圧をオフ電圧Voffとし、スイッチSWがオンである場合の送電コイル11両端の電圧をオン電圧Vonとする。なお、スイッチSWがオフ・オンの各状態において、検出する物理量を異ならせてもよい。例えば、スイッチSWがオフの場合に、検出する物理量として送電コイル11の両端の電圧を用い、スイッチSWがオンの場合に、検出する物理量として、送電コイル11の両端の電圧の他、送電コイル11に流れる電流や、コンデンサ12の両端の電圧を用いても良い。
【0027】
判定回路22は、スイッチSWがオフの状態のオフ電圧Voffが閾値Vth_off_LあるいはVth_off_H以上か、未満か、及び、スイッチSWがオンの状態のオン電圧Vonが、閾値Vth_on_LあるいはVth_on_H以上か、未満か、を取得する。オフ電圧Voffが閾値Vth_off_LあるいはVth_off_H以上の場合には、信号Soffはハイレベル(以下、[H]と呼ぶ。)に設定され、未満のときは、信号Soffはローレベル(以下、[L]と呼ぶ。)に設定される。また、オン電圧Vonが、閾値Vth_on_LあるいはVth_on_H以上の場合には、信号Sonは[H]に設定され、未満のときは、信号Sonは[L]に設定される。
【0028】
切替回路23は、信号Soff、Sonの値により、スイッチSWをオン・オフさせる切替信号Ssの値を定める。駆動回路24は、切替回路23の出力である切替信号Ssに従い、スイッチSWのオン・オフの切り替えを駆動する。スイッチSWは、リレーなどの機械的な接点を外部からの指示により切り替えるものでもよいが、MOS-FETやアナログスイッチなどの半導体素子を用いる構成であってもよい。
【0029】
A-2.消費電力抑制処理:
消費電力制御部140は、
図4に示す消費電力抑制処理を実行することにより、送電装置120による消費電力がピーク電力を超過しないように、給電装置110を制御して送電装置120への電力の供給を制御する。消費電力抑制処理は、運行区域への電力供給が開始されるとともに開始される。消費電力制御部140は、運行区域へ電力が供給されている間、消費電力抑制処理を繰り返し実行する。
【0030】
ステップS100において、消費電力制御部140は、ピーク電力情報および消費電力情報を取得する。本実施形態では、消費電力制御部140は、ピーク電力情報を電力管理システム300から取得する。また、消費電力制御部140は、消費電力情報を系統電源PSから取得する。
【0031】
ステップS200において、消費電力制御部140は、ピーク電力に対して、充電による消費電力の抑制が必要か否かを判定する。
【0032】
消費電力の抑制が必要であると判定された場合(ステップS200:Yes)、消費電力制御部140は、切替パターンに従って充電停止エリアを決定する(ステップS300)。充電停止エリアは、エリアAR1~AR4のうち、系統電源PSからの電力供給が停止されるエリアを意味する。また、切替パターンは、本実施形態では、予め設定されてメモリ132に記憶された、充電停止エリアを選択する順番および充電停止エリアにおいて充電を停止させる時間を示すパターンを意味する。切替パターンは、電動車両202の定常的な運行予定等を考慮して、電動車両202の運行に影響を及ぼさないように決定されていることが好ましい。
【0033】
ステップS400において、消費電力制御部140は、充電停止エリアに設置された給電装置110を制御して、充電停止エリアへの電力供給を停止する。本実施形態では、消費電力制御部140は、充電停止エリアへの電力供給を停止したのち、上述した切替パターンにより定められた時間の経過後、充電停止エリアへの電力供給を再開する。
【0034】
他方、消費電力の抑制が必要でないと判定された場合(ステップS200:No)、消費電力制御部140は、すべてのエリアへ電力を供給する(ステップS500)。
【0035】
ステップS400またはステップS500の終了後、消費電力制御部140は、ステップS100を再び実行する。
【0036】
以上説明した実施形態の充電システム100によれば、送電装置120による消費電力の合計がピーク電力を超過しないように、充電停止エリアを決定し、給電装置110を制御して充電停止エリアに配置された送電装置120による充電を停止させる。このため、送電装置120ごとに充電の実行および停止を制御する形態よりも、充電システム100の構成が複雑になることを抑制できる。
【0037】
また、送電装置120は、電動車両202が有する受電回路240に対して非接触で電力を送電する送電回路10を備えるので、固定設備に設置された送電装置120、または、地中に設置された送電装置120と電動車両202が有する受電回路240とが予め定められた距離よりも接近した際に電動車両202への充電を実行できる。このため、電動車両202が充電専用場所に赴いて充電を行う構成に比べて高頻度に充電が行われることとなり、充電停止エリアとして決定されて充電が停止されたエリアにおいて充電が行われていた可能性が高くなるので、充電の停止による消費電力の抑制効果の低下を抑制できる。
【0038】
また、送電装置120は、受電回路240と送電装置120との結合の程度に応じて、送電可能状態と送電待機状態とを切り替えるので、送電可能状態となり消費電力が高くなっている時間を短縮でき、充電システム100の消費電力をより抑制できる。
【0039】
また、消費電力制御部140は、予め設定された切替パターンに従って充電停止エリアを決定するので、充電停止による電動車両202の運行への影響を予め考慮したスケジュールで充電を停止でき、充電停止による電動車両202の運行への影響を抑制できる。
【0040】
B.第2実施形態:
第2実施形態の充電システム100は、消費電力抑制処理において、
図5に示すように、ステップS100の後に、ステップS110およびステップS120を実行する点において、第1実施形態の充電システム100と異なっている。なお、第2実施形態の充電システム100のシステム構成および消費電力抑制処理におけるその他の手順は、第1実施形態の充電システム100と同じであるので、同一の構成および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
ステップS110において、消費電力制御部140は、通信装置133を介して、各電動車両202の運行履歴を示す情報(以下、「運行履歴情報」とも呼ぶ)を各電動車両202から取得する。運行履歴情報は、例えば、各電動車両202が充電不足により運行を停止したか否かを示す情報を含む。
【0042】
ステップS120において、消費電力制御部140は、取得した運行履歴情報を利用して、切替パターンを更新する。本実施形態では、消費電力制御部140は、いずれかの電動車両202が充電不足により運行を停止したことを示す運行履歴情報が得られた場合、例えば、当該電動車両202が運行していたエリアにおける充電停止時間を短くするように、切替パターンを更新する。このように切替パターンを更新することにより、消費電力制御部140は、各電動車両202の運行状況に応じて適切な切替パターンで停電停止エリアを決定できる。
【0043】
以上説明した第2実施形態の充電システム100によれば、運行履歴情報を利用して切替パターンを更新するので、各電動車両202の運行状況に応じて適切な切替パターンで停電停止エリアを決定でき、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0044】
C.第3実施形態:
第3実施形態の充電システム100は、
図6に示すように、
図5に示すステップS110およびステップS120に代えてステップS112およびステップS122を実行する点において、第2実施形態の充電システム100と異なる。なお、第3実施形態の充電システム100のシステム構成および消費電力抑制処理におけるその他の手順は、第2実施形態の充電システム100と同じであるので、同一の構成および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
ステップS112において、消費電力制御部140は、通信装置133を介して、電動車両202の運行区域における消費電力のうち、送電装置120によらない消費電力に関する情報(以下、「非充電用消費電力情報」とも呼ぶ)を電力管理システム300から取得する。非充電用消費電力情報は、例えば、工場に設置された生産設備や搬送ロボットによる消費電力に関する情報を含む。
【0046】
ステップS122において、消費電力制御部140は、非充電用消費電力情報を利用して、切替パターンを更新する。本実施形態では、消費電力制御部140は、例えば生産設備や搬送ロボット等の送電装置120以外の設備が稼働を停止しており消費電力が低い状態である場合、充電による消費電力の抑制量を小さくできるので、充電停止エリアにおける充電停止時間を短くするように切替パターンを更新する。このように切替パターンを更新することにより、消費電力制御部140は、運行場所全体における消費電力に応じて適切な切替パターンで停電停止エリアを決定できる。
【0047】
以上説明した第3実施形態の充電システム100によれば、運行履歴情報を利用して切替パターンを更新するので、送電装置以外の設備による消費電力が低い場合には充電停止エリアにおける充電停止時間を短くでき、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0048】
D.第4実施形態:
第4実施形態の充電システム100は、
図7に示すように、
図6に示すステップS112およびステップS122に代えてステップS114およびステップS124を実行する点、および、ステップS400の後にステップS410を実行する点において、第3実施形態の充電システム100と異なる。なお、第4実施形態の充電システム100のシステム構成および消費電力抑制処理におけるその他の手順は、第3実施形態の充電システム100と同じであるので、同一の構成および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
ステップS114において、消費電力制御部140は、電動車両202が有するバッテリ210の充電状態を示す情報(以下、「充電状態情報」とも呼ぶ)、および、電動車両202ごとに予め設定された情報であって、各電動車両202が停止した際の運行への影響度を示す情報(以下、「運行影響度情報」とも呼ぶ)を取得する。本実施形態では、消費電力制御部140は、各電動車両202から送信された充電状態情報を取得する。また、消費電力制御部140は、メモリ132に予め記憶された運行影響度情報を取得する。なお、運行影響度情報は、充電状態情報とともに各電動車両202から送信されてもよい。
【0050】
ステップS124において、消費電力制御部140は、充電状態情報および運行影響度情報を利用して、切替パターンを更新する。本実施形態では、消費電力制御部140は、充電状態情報を利用して、バッテリ210の残量が少ない電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を短くするように、切替パターンを更新する。また、バッテリ210の残量が少ない電動車両202が複数ある場合には、消費電力制御部140は、運行影響度情報を利用して、バッテリ210の残量が少ない電動車両202のうち、停止した際の運行への影響度が大きい電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を優先的に短くするように、切替パターンを更新する。このように切替パターンを更新することにより、消費電力制御部140は、充電を停止した際の運行への影響度に応じて適切な切替パターンで停電停止エリアを決定できる。
【0051】
ステップS410において、消費電力制御部140は、複数のエリアAR1~AR4のうち、いずれのエリアが充電停止エリアと決定されて送電装置120による充電が停止されているかを示す情報を、各電動車両202に通知する。各電動車両202は、かかる情報を利用して、例えば、各電動車両202の充電状態に応じて所定の運行エリアから充電が停止されていないエリアへ一時的に移動して充電を行うことができる。
【0052】
以上説明した第4実施形態の充電システム100によれば、充電状態情報を利用して切替パターンを更新するので、バッテリ210の残量が少ない電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を短くでき、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0053】
また、充電システム100は、運行影響度情報を利用して切替パターンを更新するので、バッテリ210の残量が少ない電動車両202が複数ある場合には、停止した際の運行への影響度が大きい電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を優先的に短くできる。このため、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0054】
また、充電システム100は、複数のエリアAR1~AR4のうち、いずれのエリアが充電停止エリアと決定されて送電装置120による充電が停止されているかを示す情報を、各電動車両202に通知するので、各電動車両202は、必要に応じて充電が停止されていないエリアへ移動して充電を行うことができる。このため、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0055】
E.他の実施形態:
(E1)上記実施形態において、充電システム100は、非接触給電により電動車両202に対して充電を行うが、本開示はこれに限定されない。充電システム100は、送電装置120に代えて充電コネクタを有する充電器を備えて、受電回路240に代えて受電コネクタを有する電動車両に対して接触式充電を行う構成であってもよい。また、充電システム100は、各エリアの一部に非接触給電または接触式充電による充電専用場所を有し、充電専用場所に来た電動車両にのみ充電を行う構成であってもよい。また、充電システム100は、非接触給電による充電と、接触式充電と、充電専用場所における充電とのうち、エリアごとに異なる充電方式により充電を行ってもよい。かかる構成の充電システム100であっても、充電システム100の構成が複雑になることを抑制できる。
【0056】
(E2)上記実施形態において、充電システム100は、各エリアにおいてひとつの給電装置110を有し、給電装置110を制御することにより各エリアへの電力の供給を制御するが、本開示はこれに限定されない。
図8に示す充電システム100Aのように、エリアごとに一つの断続装置150と、断続装置150の下流側において送電装置120ごとにひとつ設置された給電装置110とを備える構成であってもよい。断続装置150は、例えばリレーのようなスイッチとして構成されており、消費電力制御部140により制御されて、断続装置150の下流側への電力供給を実行または停止する。断続装置150は、本開示における「電力供給制御装置」に相当する。また、
図9に示す充電システム100Bのように、充電システム100B全体で共用するひとつの給電装置110と、エリアごとに一つの断続装置150とを備える構成であってもよい。かかる構成の充電システム100Aおよび充電システム100Bであっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。さらに、
図10に示す充電システム100Cのように、充電システム100Bの構成に加えて、送電装置120ごとにひとつ設置された断続装置150を備える構成であってもよい。かかる構成の充電システム100Cによれば、送電装置120ごとに電力の供給または停止を制御できるので、より精度よく消費電力の抑制量を制御できる。なお、充電システム100A、100B、100Cにおいても、消費電力制御部140は、断続装置150の制御に加えて、上記実施形態と同様に給電装置110を制御することにより、各エリアへの電力の供給を制御してもよい。
【0057】
(E3)上記実施形態では、電動車両202は、自律的に運行経路を決定可能であって工場内を運行するAGVとして構成されているが、本開示はこれに限定されない。電動車両202は、自律的に運行経路を決定可能ではなく、例えば、予め設定された経路のみを運行するモビリティであってもよい。また、電動車両202は、工場内に限らず、例えば、空港内で運行するバスやテーマパーク内で運行するモビリティであってもよい。また、充電システム100は、特定の敷地内のみで運行する電動車両202に限らず、例えば、長距離を移動するトラックやバスとして構成された電動車両202が立ち寄るターミナルにおいて、電動車両202の停車中に充電を行うシステムであって、ターミナル内でのエリアごとに充電の停止を制御するシステムであってもよい。かかる構成の充電システム100であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
(E4)上記実施形態において、送電装置120は給電側制御部20を有し、送電コイル11と受電コイル241とが結合していない場合には送電待機状態となるが、本開示はこれに限定されない。送電装置120は給電側制御部20を有さず、給電装置110により電力が供給されている間、送電可能状態となっていてもよい。かかる構成の充電システム100であっても、充電システム100の構成が複雑になることを抑制できる。
【0059】
(E5)上記実施形態において、消費電力制御部140は、予め設定された切替パターンに従って充電停止エリアを決定するが、本開示はこれに限定されない。消費電力制御部140は、切替パターンによらず、例えば、エリアごとに送電装置120による消費電力の合計を監視し、消費電力の抑制が必要となった場合には、最も消費電力が高いエリアを充電停止エリアとして決定してもよい。かかる構成の充電システム100であっても、充電システム100の構成が複雑になることを抑制できる。
【0060】
(E6)上記第4実施形態において、消費電力制御部140は、充電状態情報と運行影響度情報とを利用して切替スケジュールを更新するが、本開示はこれに限定されない。消費電力制御部140は、充電状態情報のみを利用して切替スケジュールを更新してもよい。かかる構成の充電システム100によっても、バッテリ210の残量が少ない電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を短くでき、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0061】
(E7)上記第4実施形態において、消費電力制御部140は、充電停止エリアを各電動車両202へ通知するが、本開示はこれに限定されない。消費電力制御部140は、充電停止エリアを各電動車両202へ通知しなくてもよい。かかる構成の充電システム100であっても、バッテリ210の残量が少ない電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を短くでき、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。加えて、停止した際の運行への影響度が大きい電動車両202が運行しているエリアにおける充電停止時間を優先的に短くでき、消費電力を抑制しながら充電停止による電動車両202の運行への影響をより抑制できる。
【0062】
本開示に記載の制御装置130およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置130およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置130およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0063】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(形態1)
電動車両の充電システム(100、100A、100B、100C)であって、
前記電動車両の運行区域に供給される系統電源(PS)と、
前記系統電源に接続された複数の配電線(DL1、DL2、DL3、DL4)と、
前記運行区域を分割した複数のエリア(AR1、AR2、AR3、AR4)であって、互いに異なる前記配電線を有する複数のエリアにそれぞれ配置されて、前記配電線から電力を供給されて前記電動車両に対して充電を行う複数の充電装置(120)と、
各前記配電線に設置され、前記配電線の下流側への電力供給を実行または停止する電力供給制御装置(110、150)と、
前記複数の充電装置に供給可能な合計電力の上限であるピーク電力を示す情報を取得して、前記電力供給制御装置を制御する消費電力制御部(140)と、
を備え、
前記消費電力制御部は、前記複数の充電装置による消費電力の合計が前記ピーク電力を超過しないように、前記複数のエリアのうち、充電を停止させる充電停止エリアを決定し、前記電力供給制御装置を制御して、前記充電停止エリアに配置された前記充電装置による充電を停止させる、
充電システム。
(形態2)
形態1に記載の充電システムであって、
前記複数の充電装置のうちの少なくとも一部は、前記電動車両が有する受電回路(240)に対して非接触で電力を送電する送電回路(10)を備える、
充電システム。
(形態3)
形態2に記載の充電システムであって、
前記送電回路は、前記受電回路と前記充電装置との結合の程度に応じて、送電可能状態と送電待機状態とを切り替える、
充電システム。
(形態4)
形態2または形態3に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記充電停止エリアを選択する順番および前記充電停止エリアにおいて充電を停止させる時間を示す予め設定された切替パターンに従って、前記充電停止エリアを決定する、
充電システム。
(形態5)
形態4に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記電動車両の運行履歴を取得し、前記運行履歴を利用して前記切替パターンを更新する、
充電システム。
(形態6)
形態4に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記運行区域における消費電力のうち、前記充電装置によらない消費電力に関する情報である非充電用消費電力情報を取得し、前記非充電用消費電力情報を利用して前記切替パターンを更新する、
充電システム。
(形態7)
形態4に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、前記電動車両から送信される情報であって、前記電動車両が有するバッテリ(210)の充電状態を示す情報である充電状態情報を取得し、前記充電状態情報を利用して前記切替パターンを更新する、
充電システム。
(形態8)
形態7に記載の充電システムであって、
前記消費電力制御部は、複数の前記電動車両ごとに予め設定された情報であって、各前記電動車両が停止した際の運行への影響度を示す情報である運行影響度情報を取得し、前記運行影響度情報を利用して、前記影響度がより高い前記電動車両が運行しているエリアは、前記充電停止エリアとして選択される頻度をより低下させる、
充電システム。
(形態9)
形態8に記載の充電システムであって、
前記電動車両は、自律的に運行経路を決定可能に構成されており、
前記消費電力制御部は、前記電動車両に対して、前記複数のエリアのうち、いずれのエリアが前記充電停止エリアと決定されて前記充電装置による充電が停止されているかを示す情報を通知する、
充電システム。
(形態10)
電動車両の充電システムを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記充電システムは、
前記電動車両の運行区域に供給される系統電源と、
前記系統電源に接続された複数の配電線と、
前記運行区域を分割した複数のエリアであって、互いに異なる前記配電線を有する複数のエリアにそれぞれ配置されて、前記配電線から電力を供給されて前記電動車両に対して充電を行う複数の充電装置と、
各前記配電線に設置され、前記配電線の下流側への電力供給を実行または停止する電力供給制御装置と、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、
前記複数の充電装置による消費電力の合計が、前記複数の充電装置に供給可能な合計電力の上限であるピーク電力を超過しないように、前記複数のエリアのうち、充電を停止させる充電停止エリアを決定する機能と、
前記電力供給制御装置を制御して、前記充電停止エリアに配置された前記充電装置による充電を停止させる機能と、
をコンピュータに実現させる、
コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0064】
100、100A、100B、100C…充電システム、110…給電装置、120…送電装置、140…消費電力制御部、150…断続装置、AR1、AR2、AR3、AR4…エリア、DL1、DL2、DL3、DL4…配電線、PS…系統電源