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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014819
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】自動車盗難防止具
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/01 20130101AFI20240125BHJP
   E05B 77/44 20140101ALI20240125BHJP
【FI】
B60R25/01
E05B77/44
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118101
(22)【出願日】2023-07-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2022115321
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】322005965
【氏名又は名称】株式会社オザキ
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 輝夫
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB04
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】本発明は、外部から自動車のシステムへ侵入されるのを防ぐことで、自動車の盗難を防止することができる、自動車盗難防止具を提供することを目的とする。
【解決手段】自動車に搭載される電子制御装置及び電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品に取り付けて使用する自動車盗難防止具であって、
電子制御装置の少なくとも一部、及び、電子制御装置に接続されるケーブルのコネクタの少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部と一体に形成され、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止する抜け止め部と、を備える自動車盗難防止具。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される電子制御装置及び電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品に取り付けて使用する自動車盗難防止具であって、
電子制御装置の少なくとも一部、及び、電子制御装置に接続されるケーブルのコネクタの少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部と一体に形成され、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止する抜け止め部と、を備える自動車盗難防止具。
【請求項2】
前記本体部は、板状を有し、
前記抜け止め部は、前記本体部の一部を曲げて形成される、請求項1に記載の自動車盗難防止具。
【請求項3】
前記抜け止め部は、コネクタから伸びるケーブルを通すための空間部を備える、請求項2に記載の自動車盗難防止具。
【請求項4】
前記抜け止め部は、2個の板状の抜け止め部材からなり、
前記抜け止め部材は、前記本体部の一の周縁を略直角に曲げて形成され、
前記2個の抜け止め部材は、前記周縁の長手方向において互いに離間している、請求項3に記載の自動車盗難防止具。
【請求項5】
電子制御装置と共に自動車部品に固定するための固定部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車盗難防止具。
【請求項6】
前記固定部は、ネジ孔が形成された固定部材を有する、請求項5に記載の自動車盗難防止具。
【請求項7】
前記固定部は、前記本体部から略直角に曲げて形成される支持部材をさらに有し、
前記固定部材は、前記支持部材の先端部に設けられる、請求項6に記載の自動車盗難防止具。
【請求項8】
前記固定部は、3個設けられる、請求項6に記載の自動車盗難防止具。
【請求項9】
当該自動車盗難防止具を取り付けたときに、自動車の外部からコネクタが視認できないように覆い隠す目隠し部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車盗難防止具。
【請求項10】
前記固定部材は、電子制御装置の固定部と同じ形状である、請求項6に記載の自動車盗難防止具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車盗難防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の盗難は増加傾向にあり、テレビ等のメディアにおいて自動車の盗難が伝えられる機会が多くなっている。一旦盗難された自動車が発見されることは極めて稀であるため、自動車の所有者はもとより保険会社の被害も甚大であり、無視できない問題となってきている。
【0003】
車室内に不正に侵入された場合に備えて、ステアリングロック装置等を取り付け、侵入者による運転動作を阻止することにより車両走行を妨げる方法がある。前記ステアリングロック装置として、例えば、ハンドル操作を妨害する妨害物と、この妨害物に設けられハンドルに対して着脱自在に取付けられる把持具と、この把持具を開閉する錠とから成る車の盗難防止具が提案されている(特許文献1)。しかしながら、ステアリングロック装置等は、取り外しが比較的容易であるため、効果的ではない。
【0004】
自動車盗難の手口は巧妙さを増している。最近の自動車は、キーフリーシステムが主流であり、ドアのロックからアンロック、及びエンジンの始動までスマートキーで簡単に行うことができる。そのため、自動車盗難の手口として、スマートキーの特性を悪用したリレーアタック、コードグラバー等が増加することとなった。
【0005】
また、近年では、いわゆるCANインベーダーという盗難手法が2020年頃から急増している。現在の自動車では、車載ネットワークに接続された複数の電子制御装置がデータを交換することで各種の機能を実現する自動車の制御系システムであるCAN(Controller Area Network)システムが採用されている。
例えば、図13に示すように、車体100のヘッドライト80の近くで、フロントバンパー101の裏側には、電子制御装置7が配設されており、当該電子制御装置7はコネクタを介してケーブルで結ばれた中央の制御装置70とのデータ交換で、ヘッドライト80の向き、明るさ等を制御するようになっている。
前記フロントバンパー101は、爪、ボルト等で、車体に取り付けられている。例えば、図13の矢印aで示すバンパー部分を、外側方向へ強く引くと、前記バンパー部分の爪が引きはがされる。そして、引きはがされた部分から手を挿入すると、手先が前記電子制御装置7に届くことになる。
そこで、悪意を持った者は、前記コネクタを外し、別途用意した窃盗用の制御装置のプローブを前記外したコネクタに差し込んで、前記中央の制御装置70にアクセスし、ドアロックを解除しエンジンを掛けるように遠隔操作をすることができることになる。
このCANインベーダーという盗難手法は、スマートキーの電波を利用しないため、電波を遮断する方法では防ぐことができず、今のところ有効な防止方法は見つかっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-103315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、外部から自動車システムへ侵入されるのを防ぐことで、自動車の盗難を防止することができる自動車盗難防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、外部からアクセス可能な位置にある電子制御装置(ヘッドライトコンピュータ装置)に接続されているコネクタを取り外せないようにする盗難防止具によって、CANインベーダーによる盗難を防止できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
自動車に搭載される電子制御装置及び電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品に取り付けて使用する自動車盗難防止具であって、
電子制御装置の少なくとも一部、及び、電子制御装置に接続されるケーブルのコネクタの少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部と一体に形成され、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止する抜け止め部と、を備える自動車盗難防止具。
項2.
前記本体部は、板状を有し、
前記抜け止め部は、前記本体部の一部を曲げて形成される、項1に記載の自動車盗難防止具。
項3.
前記抜け止め部は、コネクタから伸びるケーブルを通すための空間部を備える、項2に記載の自動車盗難防止具。
項4.
前記抜け止め部は、2個の板状の抜け止め部材からなり、
前記抜け止め部材は、前記本体部の一の周縁を略直角に曲げて形成され、
前記2個の抜け止め部材は、前記周縁の長手方向において互いに離間している、項3に記載の自動車盗難防止具。
項5.
電子制御装置と共に自動車部品に固定するための固定部をさらに備える、項1~4のいずれか一項に記載の自動車盗難防止具。
項6.
前記固定部は、ネジ孔が形成された固定部材を有する、項5に記載の自動車盗難防止具。
項7.
前記固定部は、前記本体部から略直角に曲げて形成される支持部材をさらに有し、
前記固定部材は、前記支持部材の先端部に設けられる、項6に記載の自動車盗難防止具。
項8.
前記固定部は、3個設けられる、項6に記載の自動車盗難防止具。
項9.
当該自動車盗難防止具を取り付けたときに、自動車の外部からコネクタが視認できないように覆い隠す目隠し部をさらに備える、項1~4のいずれか一項に記載の自動車盗難防止具。
項10.
前記固定部材は、電子制御装置の固定部と同じ形状である、項6に記載の自動車盗難防止具。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部から自動車のシステムへ侵入されるのを防ぐことで、自動車の盗難を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る自動車盗難防止具の正面図である。
図2図2は、実施形態1に係る自動車盗難防止具の平面図である。
図3図3は、実施形態1に係る自動車盗難防止具の右側面図である。
図4図4は、実施形態1に係る自動車盗難防止具の斜視図である。
図5図5は、実施形態2に係る自動車盗難防止具の正面図である。
図6図6は、実施形態2に係る自動車盗難防止具の平面図である。
図7図7は、実施形態2に係る自動車盗難防止具の底面図である。
図8図8は、実施形態2に係る自動車盗難防止具の左側面図である。
図9図9は、実施形態2に係る自動車盗難防止具の斜視図である。
図10図10は、実施形態2に係る自動車盗難防止具を電子制御装置と共にヘッドライトユニット本体に取り付けた状態を示す模式図である。
図11図11は、実施形態2に係る自動車盗難防止具の別の自動車への取り付け状態を示す斜視図である。
図12図12は、実施形態3に係る自動車盗難防止具の形状及び取り付け状態を説明する図である。具体的に、(a)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具と、邪魔板(1)が取り付けられたヘッドライトコンピュータとをそれぞれ示した斜視図である。(b)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具を、邪魔板(1)が取り付けられたヘッドライトコンピュータに装着した場合の斜視図である。(c)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具と、邪魔板(2)が取り付けられたヘッドライトコンピュータとをそれぞれ示した斜視図である。(d)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具を、邪魔板(2)が取り付けられたヘッドライトコンピュータに装着した場合の斜視図である。
図13図13は、CANシステムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
自動車において、例えば、ヘッドライト制御システム(別名:ヘッドライトコンピュータ、ヘッドライトコンピュータ装置、ライトコントロールコンピュータ等ともいう。)、エンジンシステム、自動変速システム、横滑り防止システム、自動ブレーキシステム、自動運転システム等を電子制御する複数の電子制御装置が、例えば、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して、任意のデータを交換可能に接続されている。なお、以下の説明においては、CANを使用した実施形態について説明するが、車載ネットワークとしては、CANに限らず、FlexRay(登録商標)、LIN(Local Interconnect Network)等の公知のネットワークを使用することができる。
【0013】
電子制御装置(Electronic Control Unit)(以下、「ECU」という場合もある。)は、システムを電子回路を用いて制御する装置(ユニット)の総称であり、コンピュータとその周辺機器(通信モジュール等)とから構成される。電子制御装置は、一般的に、ハウジング(カバー)の内部にCPU基板等が収納されており、その一端に1個又は複数のコネクタを備えた構造を有している。そして、前記コネクタに接続されたケーブル(CANバス(BUS))により、他の電子制御装置とつながり、CAN通信を行っている。前記電子制御装置のハウジングは、複数のネジ孔を有しており、ネジ等により、自動車内部に固定されている。
【0014】
本発明の自動車盗難防止具は、自動車に搭載される電子制御装置及び電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品に取り付けて使用するものであって、
電子制御装置の少なくとも一部、及び、電子制御装置に接続されるケーブルのコネクタの少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部と一体に形成され、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止する抜け止め部と、を備えている。
【0015】
本発明の自動車盗難防止具は、前記本体部と、前記抜け止め部とを有しているので、電子制御装置からCAN通信を行うケーブルが抜けるのを防ぐことができる。これにより、電子制御装置のコネクタに、外部から別の機器が接続して自動車のシステムに侵入し、自動車の制御を操作して自動車を動かすことを防止することができる。
【0016】
本発明の自動車盗難防止具は、前記本体部と、前記抜け止め部とを備えていればよく、前記本体部、及び前記抜け止め部は、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止することができれば、その形状は特に限定されず、電子制御装置のハウジング(ケース)の形状に合わせて、適宜調整することができる。
【0017】
前記電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品として、例えば、ヘッドライトユニット本体、エンジンルーム等が挙げられる。なお、自動車部品には、自動車のボディ、シャシー等が含まれる。本発明の自動車盗難防止具は、例えば、ヘッドライトユニット本体の背面(後方)部、底面部等に取り付けることができる。
【0018】
本発明の自動車盗難防止具は、電子制御装置又は電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品に取り付けることができるが、本発明の自動車盗難防止具を取り付ける電子制御装置等は、車室外のアクセス可能な位置にあることが好ましい。車室外のアクセス可能な位置にある電子制御装置は自動車窃盗者から狙われやすいため、その電子制御装置に本発明の自動車盗難防止具を取り付けることで、自動車盗難防止効果が向上する。車室外のアクセス可能な位置として、例えば、エンジンルーム、フェンダー、バンパー、ボンネット等が挙げられる。
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態(実施形態、実施例ともいう)を説明する。
なお、以下の説明は、図1~13において規定した、上下方向、左右方向、及び前後方向に従って行う。図1~13に記載している、前後方向、左右方向、及び上下方向は、自動車盗難装置を取り付けた自動車の前後方向、左右方向、及び上下方向を示している。
また、以下の図面において、同一又は相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
実施の形態1
図1図4を参照して、本発明の一実施の形態である自動車盗難防止具について説明する。
【0021】
図1は、実施形態1に係る自動車盗難防止具1の正面図であり、図2は、実施形態1に係る自動車盗難防止具1の平面図であり、図3は、実施形態1に係る自動車盗難防止具1の右側面図である。また、図4は、実施形態1に係る自動車盗難防止具1の斜視図である。
ここでは、自動車に取り付けられた実施形態1に係る自動車盗難防止具1を、前記自動車の前側から見た状態を正面図(図1)とした。よって、図2の平面図は、自動車に取り付けられた実施形態1に係る自動車盗難防止具1を、前記自動車の上側から見た状態を示しており、図3の右側面図は、自動車に取り付けられた実施形態1に係る自動車盗難防止具1を、前記自動車の左側から見た状態を示している。
なお、実施形態1に係る自動車盗難防止具1は、例えば、プリウス(PRIUS(登録商標))の盗難防止具として用いられるものである。
【0022】
実施形態1に係る自動車盗難防止具1は、例えば、ハウジングが、表面が略角丸正方形であって、その一辺にコネクタを備えている電子制御装置7に取り付けられるものである。前記電子制御装置7は、ネジ孔が形成された固定部を3個備えており、コネクタはレバー操作式である。前記コネクタは、レバーを起こさないと外すことができないタイプであり、無理に引き抜くとコネクタが破損するおそれがある。なお、電子制御装置の固定部の数は3個に限られず、4個以上であってもよい。接続コネクタは、特に限定はなく、レバー操作式(レバーを起こす(上げ下げする)ことでコネクタ部位と電子制御装置の端子部とをロック開閉するもの)、ロック式(コネクタに爪部を有し、その爪部が電子制御装置の引っ掛け部に引っ掛かることでロックされるもの)等が挙げられる。なお、接続コネクタは、ロック機能がないものであってもよい。
実施形態1に係る自動車盗難防止具1は、電子制御装置7の表面部を覆い、前記電子制御装置とともに自動車部品8に取り付けられて使用される。
【0023】
本体部2は、板状を有しており、図2に示すように、電子制御装置のハウジングの表面全体を覆うハウジングカバー部2aと、コネクタの側面を覆うコネクタカバー部2bとを備えている。
前記本体部2は、厚みが約1.6mmである鉄の板で形成されている。
なお、前記本体部2は、鉄以外の他の金属、例えば、アルミニウム、真鍮、圧延鋼板、軟鋼、ブリキ、ニッケル、チタン等;プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリル(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA、ナイロン含む)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)等の繊維強化されていないプラスチック等、強化プラスチック(例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、CNF(セルロースナノファイバ)強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)等のFRP(繊維強化プラスチック)等が挙げられる)で形成されていてもよい。前記板の厚みは、必ずしも約1.6mmでなければならないわけではなく、1mm~3mmの範囲内であればよい。前記板の厚みは、1.2~2.0mm程度が好ましい。また、前記本体部2は、必ずしも板状である必要はなく、本発明の機能及び強度を損なわなければ、波板状、パンチングメタル状等であってもよい。
前記ハウジングカバー部2aは、電子制御装置のハウジング表面とほぼ同じ形状(角丸正方形)をしている。
前記コネクタカバー部2bは、前記ハウジングカバー部2aの一辺からコネクタの長さよりも長く延び、コネクタ全体を覆うことができる。
【0024】
抜け止め部3は、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止する役割を果たすものであり、前記本体部2の前記コネクタカバー部2bと一体に形成されている。
前記抜け止め部3は、図3に示すように、2個の板状の抜け止め部材(3a、3b)からなり、前記抜け止め部材3は、図1及び図2に示すように、前記本体部2の一の周縁、すなわち、前記本体部2のコネクタカバー部2bの先端部を略直角に曲げて形成されている。
なお、前記抜け止め部3は、図1及び図2に示すように、前記本体部2のコネクタカバー部2bの先端部を略直角に曲げて形成されているが、曲げる角度は略直角に限られない。曲げ方は、弓状に曲がっている状態(湾曲)であってもよい。なお、湾曲には、完全に折れ曲げっている状態(屈曲)も含まれる。略直角には、直角も含まれる。
また、前記2個の抜け止め部材(3a、3b)は、図2及び図3に示すように、前記周縁の長手方向(前後方向)において互いに離間している。各抜け止め部材(3a、3b)は同じ形状である。その形状は、上下方向に延びる長辺と、前後方向に延びる短辺とからなる略矩形であり、前記長辺の上下方向長さは、後述する固定部5の支持部材(5a2、5b2、5c2)の上下方向長さよりも長い。
【0025】
前記抜け止め部3は、図2及び図4に示すように、空間部4を備えている。前記空間部4は、本体部2と、抜け止め部3とで形成され、電子制御装置のコネクタから伸びるケーブルを通すために設けられている。詳細には、前記空間部4は、本体部2のコネクタカバー部2bの半円状の外端縁2b1と、2個の板状の抜け止め部材(3a、3b)とで形成される空間である。このような形状にすることで、ケーブルが接触し、切断されることを防ぐことができ、また、自動車盗難防止具1の重量を軽量化することもできる。
また、前記抜け止め部3は、電子制御装置7と共に自動車部品8に固定したときに、電子制御装置7のコネクタのレバーが立ち上がるのを阻止する役割、レバーが立ち上がったとしてもコネクタが抜けないようにする役割、及び、ケーブル及びコネクタのピンの配列等を見えなくする役割等を有している。
【0026】
実施形態1に係る自動車盗難防止具1は、電子制御装置7と共に自動車部品8に固定するための固定部5をさらに備えている。
実施形態1に係る自動車盗難防止具1は、前記固定部を3個有している(5a、5b、5c)。
なお、実施形態1に係る自動車盗難防止具1においては、固定部の数が3個であるが、固定部の数は3個に限られない。固定部の数は、少なくとも3個であればよく、4個以上でもかまわない。前記固定部の数は、取り付ける電子制御装置の固定部の数に合わせればよく、電子制御装置の固定部の数が4個であれば、自動車盗難防止具1の固定部の数も、4個にすればよい。
【0027】
前記固定部5は、図2に示すように、ネジ孔が形成された固定部材(5a1、5b1、5c1)を有している。ネジ孔の形状及び大きさは、特に限定はなく、電子制御装置のネジ孔と同じ形状及び大きさにすることができる。例えば、ネジ孔の形状は、円形又は略円形の形状であってよく、略円形には、楕円形の形状が含まれる。
前記固定部材(5a1、5b1、5c1)は、図1及び図3に示すように、前記本体部2の周縁部を略直角に曲げて形成された支持部材(5a2、5b2、5c2)の先端部をさらに略直角に曲げることにより形成されており、前記本体部2と略平行である。
ここで、前記支持部材の長さ(上下方向長さ)は、特に限定はないが、例えば、20mm~30mm(例えば、約28mm)であり、電子制御装置7の高さよりも5~12mm程度、好ましくは7~10mm(例えば、約8mm)程度長く設定されている。これにより、電子制御装置7のハウジング表面と本体部2との間に隙間が設けられるため、電子制御装置7の放熱を妨げない。また、隙間が設けられていることによって、雨等の水が電子制御装置7及びその付近に溜まることを防ぐことができる。
前記固定部材(5a1、5b1、5c1)は、電子制御装置7の固定部とほぼ同じ形状であり、ネジ孔も電子制御装置7とほぼ同じ位置に設けられている。これにより、前記固定部材(5a1、5b1、5c1)を、電子制御装置7の固定部に重ね、1つのネジで共締めすることで、本発明の自動車盗難防止具と電子制御装置とを、自動車部品に固定することができる。
【0028】
実施の形態2
図5図10を参照して、本発明の別の実施の形態である自動車盗難防止具について説明する。
【0029】
図5は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’の正面図であり、図6は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’の平面図であり、図7は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’の底面図であり、図8は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’の左側面図である。また、図9は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’の斜視図であり、図10は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’を電子制御装置7と共に自動車部品(ヘッドライトユニット本体)8に取り付けた状態を示す斜視図(正面図)である。なお、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’は、例えば、ALPHARD(登録商標)の盗難防止具として用いられるものである。
【0030】
実施形態2に係る自動車盗難防止具1’は、当該自動車盗難防止具1’を取り付けたときに、自動車の外部から電子制御装置7のコネクタが視認できないように覆い隠す目隠し部6をさらに備えている。
実施形態2に係る自動車盗難防止具1’は、目隠し部6を備えている点が前記実施形態1に係る自動車盗難防止具1と異なっている。また、図5及び図9に示すとおり、固定部材(5a1、5b1、5c1)の形状、及びネジ孔の形状(楕円形)が、前記実施形態1に係る自動車盗難防止具1とわずかに異なっている。他の構成は実施形態1に係る自動車盗難防止具1と同様であるため、それらの説明は省略する。
【0031】
本体部2は、図5に示すように、電子制御装置7のハウジングの表面全体を覆うハウジングカバー部2aと、コネクタの側面を覆うコネクタカバー部2bとを備えており、抜け止め部3は、前記本体部2の前記コネクタカバー部2bと一体に形成されている。前記抜け止め部3は、図5に示すように、2個の抜け止め部材(3a’、3b)からなり、目隠し部6は、一方の抜け止め部材3a’と一体に形成されている。
【0032】
前記2個の抜け止め部材(3a’、3b)は、図5に示すように、前記本体部2のコネクタカバー部2bの先端部の長手方向(上下方向)において互いに離間している。各抜け止め部材(3a’、3b)は、図8に示すように、前後方向に延びる長辺と、上下方向に延びる短辺とからなる略矩形であるが、目隠し部6が形成されている抜け止め部材3a’の方が、上下方向に延びる短辺の長さが長い。目隠し部6は、図5及び図9に示すように、抜け止め部材3a’の下方向端部を略直角に曲げることにより形成されている。
【0033】
図10は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’を電子制御装置7と共にヘッドライトユニット本体8に取り付けた状態を示す模式図である。図10は、助手席側のヘッドライトユニットの後ろ側にある電子制御装置(ヘッドライトコンピュータ装置)に、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’を取り付けた状態を、自動車の下側から見た図である。実施形態2に係る自動車盗難防止具1’は、自動車の助手席側において、右側に抜け止め部3及び目隠し部6が配置されるように取り付けられる。自動車盗難防止具1’が目隠し部6を備えることで、電子制御装置7のコネクタが自動車の外部から視認できない。よって、自動車盗難防止効果をより高めることができる。
なお、図10において、目隠し部6がない状態を想定すると、実施例1の自動車用盗難防止具1を取り付けた状態となる。
いずれの場合も、抜け止め部材(3a又は3a’、3b)は支持部材(5a2、5b2、5c2)より上下方向長さを長くしているので、当該、抜け止め部材(3a又は3a’、3b)(加えて実施例2の場合は目隠し部6)は、下側の空いた空間で、前記支持部材(5a2、5b2、5c2)の固定位置より下側に突き出すことになり、悪意を持った者の手が、さらにコネクタ9に届きにくい状態を形成する。
さらに、コネクタ9のレバー91を引き上げる形式のコネクタ9を用いた場合には、図10に示す矢印b方向にレバー91を引き上げることができないので、なおさらコネクタ9を抜くことはできなくなる。なお、図10の2点鎖線は、自動車盗難防止具1’を取り付けない場合に、矢印b方向に引いたときのレバーの状態を示す。
【0034】
図5図10は、前記実施形態2に係る自動車盗難防止具1’を、アルファード(ALPHARD(登録商標))の盗難防止具として使用する例を示しているが、前記実施形態2に係る自動車盗難防止具1’は、ALPHARD(登録商標)以外の自動車にも使用することができる。
図11は、実施形態2に係る自動車盗難防止具1’を、別の自動車、例えば、ランドクルーザー プラド(LANDCRUISER PRADO(登録商標))に取り付ける場合を説明する模式図である。
図11に示すように、前記実施形態2に係る自動車盗難防止具1’は、自動車の助手席側において、左側に抜け止め部3及び目隠し部6が配置されるように取り付けることができる。
【0035】
以上述べたとおり、本発明の自動車盗難防止具によれば、外部からアクセス可能な位置にある電子制御装置(例えば、ヘッドライトコンピュータ装置)に接続されているコネクタを取り外せないようにすることができる。これにより、外部から自動車のシステムへ侵入されるのを防ぐことができ、自動車の盗難、特にCANインベーダーによる盗難を防止することができる。
【0036】
実施の形態3
近年、各メーカ側も上記の盗みの手口に対応した対策を試みている。前記対策として、例えば、車体側等に邪魔板を取り付けることが行われている。
具体的には、図12(a)及び(c)の下側に示すように、コ字型の邪魔板11を用い、車体側等に固定されたコ字型の邪魔板11の前記コ字の開口部111を、前記コネクタ9に挿入することで、コネクタ9のレバー91が外れないようにしている。
ただし、この構成であっても前記邪魔板11を力ずくで曲げることができるので、完全な盗難防止策とはなっていない。
【0037】
そこで、実施形態3として以下の構成が提示される。実施形態3に係る自動車盗難防止具1”は、前記邪魔板11が取り付けられた状態で使用されるものである。以下、図12(a)~(d)を参照して、本発明の実施形態3に係る自動車盗難防止具1”について説明する。
図12(a)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具と、邪魔板(1)が取り付けられたヘッドライトコンピュータとをそれぞれ示した斜視図である。図12(b)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具を、邪魔板(1)が取り付けられたヘッドライトコンピュータに装着した場合の斜視図である。同様に、図12(c)は、実施形態3に係る自動車盗難防止具と、邪魔板(2)が取り付けられたヘッドライトコンピュータとをそれぞれ示した斜視図である。図12(d)は、前記(c)に対応した組み立て後の斜視図である。
【0038】
実施形態3に係る自動車盗難防止具1”の本体部2のハウジングカバー部2aは、前記実施例1及び2と同様にし、コネクタカバー部2bを前記邪魔板11の電子制御装置7の上の部分に対応する高さだけ立ち上げた中間部2cを設け、本体部2の周縁の抜け止め部3を立ち下げた構成としている。
前記抜け止め部3は、幅を前記邪魔板11の一方の側のコネクタ9の一部を覆う幅(図面上コネクタ9の半分程度の幅)とし、更に、上下方向の長さを、中間部2cの高さと、前記実施の形態1又は2の抜け止め部材3a又は3a’、3bと同様に支持部材5a2、5b2、5c2の上下方向の長さよりも長い長さとを足した長さにしている。
前記抜け止め部3をコネクタ9の半分又は半分程度の幅としているのは、リード線の引き出しの自由度、邪魔板の形状、大きさ、位置等に対応できる自由度を持たせる等のためである。また、コネクタカバー部2bの前記抜け止め部3が無い部分を図面上アールにしている(角を丸く加工している)のは、前記リード線又は付近の部材を傷つけることがないように配慮したものである。
これによって、仮に前記邪魔板11が壊されても、前記抜け止め部3がコネクタ9を覆った状態となっているので、盗難はできなくなる。
【0039】
なお、図12(a)及び(b)に示す邪魔板(1)11(a)は、図12(c)及び(d)に示す邪魔板(2)11(c)に比べて、横方向の長さが短く、中間部2c、コネクタカバー部2b及び抜け止め部3で形成される内部空間Xに邪魔板(1)11(a)が入っている状態で示されているが、この邪魔板(1)11(a)は、取付位置等によって、中間部2c及びコネクタカバー部2bのみで形成される内部空間Yに入っている状態であってもよい。
また、図12(c)及び(d)に示す邪魔板(2)11(c)は、図12(a)及び(b)に示す邪魔板(1)11(a)に比べて、横方向の長さが長く、中間部2c、コネクタカバー部2b及び抜け止め部3で形成される内部空間Xに邪魔板(2)11(c)が入っていない状態、すなわち、中間部2c及びコネクタカバー部2bのみで形成される内部空間Yに入っている状態を示している。
前記邪魔板11は、車体側、ヘッドライトユニット本体側等に設けられたネジ穴に対して、取付穴12からネジを通すことにより車体、ヘッドライトユニット本体等に固定されている。なお、取付穴12の位置、数、大きさ等は、車体側、ヘッドライトユニット本体側等のネジ穴の位置、数、大きさ等に合わせて適宜変えることができる。
したがって、この実施形態3に係る自動車盗難防止具1”は、各メーカ側が上記の盗みの手口に対応した対策を施した場合でも、各種の形態に対応可能なものとなっている。
【0040】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加、削除、又は置換することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1、1’、1” 自動車盗難防止装置
2 本体部
2a ハウジングカバー部
2b コネクタカバー部
2c 中間部
3 抜け止め部
3a、3a’、3b 抜け止め部材
4 空間部
5 固定部
5a1、5b1、5c1 固定部材
5a2、5b2、5c2 支持部材
6 目隠し部
7 電子制御装置
8 自動車部品(ヘッドライトユニット本体)
9 コネクタ
11 邪魔板
11(a) 邪魔板(1)
11(c) 邪魔板(2)
12 取付穴
70 中央の制御装置
80 ヘッドライト
91 コネクタレバー
100 車
101 フロントバンパー
111 コ字の開口部
a、b 矢印
X 内部空間
Y 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される電子制御装置及び電子制御装置の周辺に搭載される自動車部品に取り付けて使用する自動車盗難防止具であって、
電子制御装置の少なくとも一部、及び、電子制御装置に接続されるケーブルのコネクタの少なくとも一部を覆う本体部と、
前記本体部と一体に形成され、コネクタが電子制御装置から抜けるのを防止する抜け止め部と、
前記電子制御装置と共に前記自動車部品に固定するための固定部と、を備える自動車盗難防止具。
【請求項2】
前記本体部は、板状を有し、
前記抜け止め部は、前記本体部の一部を曲げて形成され、
前記抜け止め部は、2個の板状の抜け止め部材からなり、
前記抜け止め部材は、前記本体部の一の周縁を略直角に曲げて形成され、
前記2個の抜け止め部材は、前記周縁の長手方向において互いに離間しており、かつ、
前記抜け止め部は、コネクタから伸びるケーブルを通すための空間部を備える、請求項1に記載の自動車盗難防止具。
【請求項3】
前記固定部は、ネジ孔が形成された固定部材を有する、請求項に記載の自動車盗難防止具。
【請求項4】
前記固定部は、前記本体部から略直角に曲げて形成される支持部材をさらに有し、
前記固定部材は、前記支持部材の先端部に設けられる、請求項に記載の自動車盗難防止具。
【請求項5】
前記固定部は、3個設けられる、請求項に記載の自動車盗難防止具。
【請求項6】
当該自動車盗難防止具を取り付けたときに、自動車の外部からコネクタが視認できないように覆い隠す目隠し部をさらに備える、請求項に記載の自動車盗難防止具。
【請求項7】
前記固定部材は、電子制御装置の固定部と同じ形状である、請求項に記載の自動車盗難防止具。