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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014821
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】無線測位システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20240125BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240125BHJP
【FI】
G01S5/14
G06T7/00 350C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118150
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089467
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】515131404
【氏名又は名称】アジュ ユニバーシティー インダストリー-アカデミック コーオペレイション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】AJOU UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ゴ ヨンベ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジウン
【テーマコード(参考)】
5J062
5L096
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062CC11
5L096BA08
5L096DA02
5L096FA66
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】無線測位に利用されるニューラルネットワークを簡単に軽量化できる無線測位システムおよび方法を提供する。
【解決手段】本発明は、移動端末の測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末と移動端末が通信して、複数のCIRデータとアンカー端末および移動端末間距離データを収集する収集部と、複数のCIRデータを前処理して複数の前処理データを生成する前処理部と、複数の前処理データおよび距離データに基づいて第1人工ニューラルネットワークを学習させる第1学習部と、第1人工ニューラルネットワークを分析して複数の前処理データのうち移動端末の測位に利用された複数の測位重要データを選別する分析部と、複数の測位重要データおよび距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワークを学習させる第2学習部と、を含む無線測位システムを提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末の測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末と前記移動端末が通信して、複数のCIRデータと前記アンカー端末および前記移動端末間距離データを収集する収集部と、
前記複数のCIRデータを前処理して複数の前処理データを生成する前処理部と、
前記複数の前処理データおよび距離データに基づいて第1人工ニューラルネットワークを学習させる第1学習部と、
前記第1人工ニューラルネットワークを分析して前記複数の前処理データのうち前記移動端末の測位に利用された複数の測位重要データを選別する分析部と、
前記複数の測位重要データおよび前記距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワークを学習させる第2学習部と、を含む、説明可能な人工知能技術(XAI)を利用した無線測位システム。
【請求項2】
前記複数の前処理データは
前記CIRデータの複数のピーク間の関係を示す2次元イメージ形態の複数のピクセルからなる、請求項1に記載の無線測位システム。
【請求項3】
前記分析部は
前記第1人工ニューラルネットワークから任意のニューラルネットワークノード間の連結を除去して、正確度が基準値以上である複数の第3人工ニューラルネットワークを構築する、請求項2に記載の無線測位システム。
【請求項4】
前記分析部は
複数の第3人工ニューラルネットワークに前記複数の前処理データを入力して、前記複数の第3人工ニューラルネットワークのうち基準個数以上の第3人工ニューラルネットワークで同一の距離データを出力する前処理データを選別データとして選別する、請求項3に記載の無線測位システム。
【請求項5】
前記分析部は
前記前処理データの複数のピクセルごとに重要度を評価して前記重要度が基準値以上である複数のピクセルからなる複数の測位重要データを選別する、請求項2に記載の無線測位システム。
【請求項6】
前記複数の前処理データおよび前記測位重要データに基づいて自動エンコーダを学習させる第3学習部をさらに含む、請求項5に記載の無線測位システム。
【請求項7】
前記自動エンコーダは
前記前処理データが入力されると前記測位重要データを出力する、請求項6に記載の無線測位システム。
【請求項8】
前記移動端末の位置情報は
前記アンカー端末の位置情報と前記移動端末および前記アンカー端末間通信距離を利用して算出される、請求項1に記載の無線測位システム。
【請求項9】
前記移動端末は
前記前処理部、自動エンコーダおよび第2人工ニューラルネットワークを搭載して前記移動端末の測位を遂行する、請求項6に記載の無線測位システム。
【請求項10】
前記移動端末は
前記前処理部を通じて前記CIRデータを前処理して前記前処理データを生成し、
前記前処理データを前記自動エンコーダに入力して前記測位重要データを出力し、
前記測位重要データを前記第2人工ニューラルネットワークに入力して前記移動端末の測位を遂行する、請求項9に記載の無線測位システム。
【請求項11】
移動端末の測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末と前記移動端末が通信して、複数のCIRデータと前記アンカー端末および前記移動端末間距離データを収集する段階と、
前記複数のCIRデータを前処理して複数の前処理データを生成する段階と、
前記複数の前処理データおよび距離データに基づいて第1人工ニューラルネットワークを学習させる段階と、
前記第1人工ニューラルネットワークを分析して前記複数の前処理データのうち前記移動端末の測位に利用された複数の測位重要データを選別する段階と、
前記複数の前処理データおよび前記測位重要データに基づいて自動エンコーダを学習させる段階と、
前記複数の測位重要データおよび前記距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワークを学習させる段階と、を含む、説明可能な人工知能技術(XAI)を利用した無線測位方法。
【請求項12】
前記第2人工ニューラルネットワークを学習させる段階以後
前記移動端末が前記前処理部を通じて前記CIRデータを前処理して前記前処理データを生成する段階と、
前記移動端末が前記前処理データを前記自動エンコーダに入力して前記測位重要データを出力する段階と、
前記測位重要データを前記第2人工ニューラルネットワークに入力して前記移動端末の測位を遂行する段階と、をさらに含む、請求項11に記載の無線測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線測位システムおよびその方法に関し、さらに詳細には、人工ニューラルネットワーク(ANN)及び説明可能な人工知能(XAI)を利用して測位誤差を最小化しながら軽量化できる室内無線測位システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線測位技術は、無線通信を通じて測定された無線信号の特性を利用して移動端末の位置を推定する技術である。すなわち、固定された場所に設置されて事前に位置情報を知っている複数のアンカー端末で送出された無線信号を処理して移動端末の位置を推定する技術である。
【0003】
このような無線測位技術はToF(Time of Flight)を測定してレンジングを遂行する。より詳しくは、アンカーとタグ間の無線通信を通じてメッセージをやり取りしながら時間を測定し、光の速度を利用して距離を推定する。この時、光は約300,000km/sの速度で進行するので、1nsの時間測定誤差は約30cmの距離誤差を示すことになる。このため、正確な時間を測定することは距離測定の正確度と大きな関連がある。
【0004】
従来の無線測位技術は無線通信時に収集されるCIR(Channel Impulse Response)データを利用して時間を測定する。
【0005】
図1は、CIRデータを図示したグラフである。図1を参照すると、CIRデータはナノ秒単位で測定された信号の強度波形を示し、数百個のピーク(peak)で構成される。
【0006】
従来の無線測位技術は正確な時間測定のためにfirst peakアルゴリズムを利用する。first peakアルゴリズムは図1に図示された通り、一定の臨界値を越える最初のピークの時間を測定するアルゴリズムであり、最も先に受信されたピークが直線信号のピークであるという仮定を基盤として考案されたアルゴリズムである。
【0007】
図2は、無線測位技術において無線信号の伝播過程を例示的に図示した図面である。
【0008】
図2を参照すると、無線信号は周辺の構造物に反射して多重経路(Multipath)で信号が伝播することになる。このような多重経路で伝播した信号によってCIRは多重のピークを有するようになる。図1および図2のピークを見ると、多重経路で伝達された信号がCIRデータに現れる姿の例示を見ることができる。もし、図1でピーク2の時間を測定することになると、図2のピーク2に該当する経路の距離を測定することになって距離誤差が発生することになる。
【0009】
従来のfirst peakアルゴリズムは簡単な長所があるが、周辺の構造物が多くて多重経路が多く発生したり障害物によって信号の伝播が妨害されるNLOS(Non-Line-of-Sight)環境で距離測定誤差が大きく発生する短所がある。特に、UWB(Ultra-wideband)は室内測位に多く活用されるため、このような誤差の問題がしばしば発生することになる。
【0010】
最近、このような問題を解決するために、ディープラーニング(Deep Learning)技術を利用してCIRデータを学習してピークを選択するための技術に対する研究が紹介されている。人工ニューラルネットワークがCIRデータを学習して無線チャネルの伝播環境を類推し、これを通じて最短経路のピークを選択する方式である。
【0011】
このようなディープラーニング基盤の無線測位技術は従来の技術より距離測定正確度を大きく向上させたが、人工ニューラルネットワークが学習し稼動するために大量の演算を要求する問題点がある。一般的に無線測位技術が使われるデバイスはバッテリーで動作する低電力移動型デバイスであるため、ディープラーニングを利用した技法はリアルタイムで動作し難い。また、生成された学習モデルと正確度結果の間の因果関係がブラックボックスのように不明確であるため、信頼性が低い問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、無線測位に利用されるニューラルネットワークを簡単に軽量化できる無線測位システムおよび方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、高い正確度を示しながらも、軽量化された測位が可能な無線測位システムおよび方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、測位用移動端末の最小要求演算能力を最小化して画期的に費用を節減できる無線測位システムおよび方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明で達成しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような課題を解決するために、本発明は、移動端末の測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末と移動端末が通信して、複数のCIRデータとアンカー端末および移動端末間距離データを収集する収集部と、複数のCIRデータを前処理して複数の前処理データを生成する前処理部と、複数の前処理データおよび距離データに基づいて第1人工ニューラルネットワークを学習させる第1学習部と、第1人工ニューラルネットワークを分析して複数の前処理データのうち移動端末の測位に利用された複数の測位重要データを選別する分析部と、複数の測位重要データおよび距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワークを学習させる第2学習部と、を含む無線測位システムを提供する。
【0017】
ここで、複数の前処理データはCIRデータの複数のピーク間の関係を示す2次元イメージ形態の複数のピクセルからなり得る。
【0018】
また、分析部は、第1人工ニューラルネットワークから任意のニューラルネットワークノード間の連結を除去して、正確度が基準値以上である複数の第3人工ニューラルネットワークを構築することができる。
【0019】
また、分析部は、複数の第3人工ニューラルネットワークに複数の前処理データを入力して、複数の第3人工ニューラルネットワークのうち基準個数以上の第3人工ニューラルネットワークで同一の距離データを出力する前処理データを選別データに選別することができる。
【0020】
また、分析部は、前処理データの複数のピクセルごとに重要度を評価して、重要度が基準値以上である複数のピクセルからなる複数の測位重要データを選別することができる。
【0021】
また、本発明の無線測位システムは、複数の前処理データおよび測位重要データに基づいて自動エンコーダを学習させる第3学習部をさらに含むことができる。
【0022】
ここで、自動エンコーダは前処理データが入力されると測位重要データを出力することができる。
【0023】
また、移動端末の位置情報はアンカー端末の位置情報と移動端末およびアンカー端末間通信距離を利用して算出され得る。
【0024】
また、移動端末は、前処理部、自動エンコーダおよび第2人工ニューラルネットワークを搭載して移動端末の測位を遂行できる。
【0025】
また、移動端末は、前処理部を通じてCIRデータを前処理して前処理データを生成し、前処理データを自動エンコーダに入力して測位重要データを出力し、測位重要データを第2人工ニューラルネットワークに入力して移動端末の測位を遂行できる。
【0026】
また、本発明は、移動端末の測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末と移動端末が通信して、複数のCIRデータとアンカー端末および移動端末間距離データを収集する段階と、複数のCIRデータを前処理して複数の前処理データを生成する段階と、複数の前処理データおよび距離データに基づいて第1人工ニューラルネットワークを学習させる段階と、第1人工ニューラルネットワークを分析して複数の前処理データのうち移動端末の測位に利用された複数の測位重要データを選別する段階と、複数の前処理データおよび測位重要データに基づいて自動エンコーダを学習させる段階と、複数の測位重要データおよび距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワークを学習させる段階と、を含む無線測位方法を提供する。
【0027】
また、本発明の無線測位方法は、第2人工ニューラルネットワークを学習させる段階以後、移動端末が前処理部を通じてCIRデータを前処理して前処理データを生成する段階と、移動端末が前処理データを自動エンコーダに入力して測位重要データを出力する段階と、測位重要データを第2人工ニューラルネットワークに入力して移動端末の測位を遂行する段階と、をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、説明可能な人工知能技術(XAI)を利用して複雑なニューラルネットワークを分析して数十個以内の主要な測位特性データを抽出することができ、抽出された測位特性データを利用してニューラルネットワークを簡単に軽量化できる効果がある。
【0029】
また、本発明によると、従来の複雑なマシンラーニング基盤の測位技術より高い正確度を示しながらも、従来の方式より大幅に軽量化された測位が可能となり、新しい環境で主要な測位特性データを迅速かつ便利に探すことができる効果がある。
【0030】
また、本発明によると、測位用移動端末の最小要求演算能力を最小化して画期的な費用節減効果を期待することができる。
【0031】
本発明の効果は以上で言及されたものに限定されず、言及されていない他の効果は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】CIRデータを図示したグラフである。
図2】無線測位技術において無線信号の伝播過程を例示的に図示した図面である。
図3】本発明の実施例に係る無線測位システムの全体構成図である。
図4】本発明の実施例に係る無線測位システムのブロック図である。
図5】本発明の実施例に係る無線測位システムのサーバーのブロック図である。
図6】本発明の実施例に係る第1人工ニューラルネットワークの構造を図示した図面である。
図7】本発明の実施例に係る第2人工ニューラルネットワークの構造を図示した図面である。
図8】本発明の実施例に係る無線測位システムにおいて移動端末のブロック図である。
図9】本発明の実施例に係る無線測位方法のフローチャートである。
図10】本発明の実施例に係る移動端末の測位を遂行する段階の具体的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書および請求の範囲に使われた用語や単語は通常的であるか辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則って本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は本発明の最も好ましい実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例が存在し得ることが理解されるべきである。
【0035】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
【0036】
図3は本発明の実施例に係る無線測位システムの全体構成図であり、図4は本発明の実施例に係る無線測位システムのブロック図である。
【0037】
以下、図3および図4を参照して本発明の実施例に係る無線測位システムを説明する。
【0038】
本発明の実施例に係る無線測位システムは、サーバー100、移動端末200およびアンカー端末300を含んで構成され得る。
【0039】
アンカー端末300は移動端末200の測位を遂行しようとする室内空間に複数個で固定設置され得る。そして、アンカー端末300の位置(座標)情報は、アンカー端末300が設置された位置により事前に設定され得、無線通信を通じて移動端末200に伝送され得る。
【0040】
移動端末200は、使用者が携帯して移動できる装置であって、携帯電話、スマートフォン(smart phone)、ノートパソコン(laptop computer)、デジタル放送用端末、PDA(Personal Digital Assistants)、PMP(Portable Multimedia Player)およびナビゲーションなどが含まれ得る。
【0041】
移動端末200は、サーバー100およびアンカー端末300と無線通信を遂行するための通信部を具備することができる。このような無線通信技術としては、WLAN(Wireless LAN)(Wi-Fi)、Wibro(Wireless broadband)、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)、GPRS(General Packet Radio Service)、CDMA、WCDMA(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、5G及び6G(これに限定されない)等が利用され得る。
【0042】
また、移動端末200は定義された無線通信プロトコルを通じてアンカー端末300と近距離通信を遂行できる。このような近距離通信(short range communication)技術としては、UWB(Ultra Wideband)、ZigBee、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)および赤外線通信(IrDA、infrared Data Association)(これに限定されない)等が利用され得る。
【0043】
移動端末200は複数のアンカー端末300との通信距離をそれぞれ測定することができる。具体的には、移動端末200は、アンカー端末300と通信を遂行してアンカー端末300から受信した無線信号のチャネル状態情報(CSI、Channel State Information)を利用して移動端末200およびアンカー端末300間通信距離を測定することができる。
【0044】
ここで、チャネル状態情報(CSI)はCIR(Channel Impulse Response)およびCFR(Channel Frequency Response)等の無線チャネル関連データを意味し、移動端末200は無線通信技術ごとに容易に収集可能なチャネル状態情報(CSI)を選択して収集することができる。
【0045】
移動端末200の位置(座標)情報は、複数のアンカー端末300の位置情報と移動端末200およびアンカー端末300間通信距離を利用して算出され得る。
【0046】
例えば、移動端末200は三辺測定方式を利用して移動端末200の位置を算出できるがこれに限定されはしない。
【0047】
ここで、移動端末200の位置は絶対位置ではなく複数のアンカー端末300を基準とした相対位置を意味する。
【0048】
以下では、移動端末200の2次元位置座標(x、y)について三辺測定方式を利用して算出する方法について説明するが、3次元位置座標も同じ方法で算出することができる。
【0049】
移動端末200の位置は2次元位置座標(x、y)で示すことができる。2次元位置座標の場合、少なくとも3個のアンカー端末300の位置と移動端末200および少なくとも3個のアンカー端末300間通信距離を測定しなければならない。
【0050】
すなわち、2次元位置座標を算出するためには、3個のアンカー端末300の位置が中心となり、移動端末200および3個のアンカー端末300間通信距離が半径となる3個の円の方程式が必要である。この時、3個の円が交差する地点が移動端末200の位置として算出される。
【0051】
移動端末200は3個のアンカー端末300の現在位置が中心となり、移動端末200およびアンカー端末300間通信距離が半径となる3個の円の方程式を、下記の数式1のように算出する。
【数1】
【0052】
ここで、xi、およびyi(ここで、iは1、2、3)はアンカー端末の2次元位置座標であり、d1、d2、d3は移動端末200およびアンカー端末300間通信距離である。
【0053】
このように、数式1に定義された3個の方程式を連立して解くと、移動端末200の2次元位置座標(x、y)を算出することができる。
【0054】
もちろん、アンカー端末300にも通信機能および通信距離測定機能を遂行する通信部が備えられていることは言うまでもない。
【0055】
図5は、本発明の実施例に係る無線測位システムのサーバーのブロック図である。
【0056】
図5を参照すると、サーバー100は収集部110、前処理部120、第1学習部130、分析部140および第2学習部150を含んで構成され得る。
【0057】
収集部110は、移動端末200の測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末300と移動端末200が通信して、複数のCIRデータ10およびアンカー端末300および移動端末200間距離データを収集することができる。
【0058】
ここで、収集部110は距離データをCIRデータ10にラベリングすることができる。
【0059】
一方、CIRデータ10は時間による受信エネルギーであって、時系列(Time series)形態のデータである。第1学習部130がCIRデータ10を学習するためには数百個のピーク間の関係を把握しなければならないが、CIRデータ10から遠く離れたピーク間の関係を把握し難い限界がある。
【0060】
これに伴い、前処理部120は、遠く離れたピーク間の関係を把握するために、距離データがラベリングされた複数のCIRデータ10の伝送を受けてCIRデータ10を前処理して複数の前処理データ11を生成することができる。
【0061】
ここで、複数の前処理データ11はCIRデータ10の複数のピーク間の関係を示す2次元イメージ形態の複数のピクセルからなり得る。
【0062】
前処理部120は下記の数式2~5を利用してCIRデータ10を前処理して前処理データ11を生成することができる。
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【0063】
ここで、SはCIRデータ10を示し、Xは前処理データ11を示し、nはCIRデータ10のピークの個数を示す。
【0064】
そして、μはCIRデータ10のピークの平均値を意味し、fi,jは各ピーク間の差分をノーマライジング(Normalizing)した値である。
【0065】
第1学習部130は前処理部120から複数の前処理データ11および距離データの伝送を受けて、これらデータに基づいて第1人工ニューラルネットワーク410を学習させることができる。
【0066】
ここで、人工ニューラルネットワーク(ANN、Artificial Neural Network)は機械学習と認知科学で生物学の神経網(動物の中枢神経系のうち特に脳)でインスピレーションを得た統計学的学習アルゴリズムである。人工ニューラルネットワークは、シナプスの結合でネットワークを形成した人工ニューロンが学習を通じてシナプスの結合強度を変化させて問題解決能力を有するモデル全般を示す。
【0067】
第1学習部130はすべての種類の人工ニューラルネットワークを学習させることができるが、移動端末200の測位を遂行する環境に適合な人工ニューラルネットワークを選択することが好ましい。例えば、第1学習部130はCNN(Convolutional Neural Network)を基盤として学習させることができる。
【0068】
以後、学習された第1人工ニューラルネットワーク410に前処理データを入力すると複数のアンカー端末300および移動端末200間距離が出力され得る。
【0069】
図6は、本発明の実施例に係る第1人工ニューラルネットワークの構造を図示した図面である。
【0070】
図6を参照すると、第1人工ニューラルネットワーク410は多数のチャネル状態情報(CSI1~CSIn)が入力される入力レイヤと、複数のアンカー端末300および移動端末200間距離データが出力される出力レイヤと、入力レイヤおよび出力レイヤの間に存在する隠れレイヤで構成され得る。
【0071】
第1学習部130は、多数のチャネル状態情報(CSI1~CSIn)と複数のアンカー端末300および移動端末200間距離データを入力レイヤに入力して第1人工ニューラルネットワーク410を学習させることができる。ここで、正確度が目標値に到達するまで十分なデータを利用して第1人工ニューラルネットワーク410を学習させると、高性能および高演算の第1人工ニューラルネットワーク410が構築され得る。
【0072】
このような、第1人工ニューラルネットワーク410は高い正確度を表すが、高水準の演算を要求するため移動端末200内においてリアルタイムで動作し難い。
【0073】
分析部140は、説明可能な人工知能(XAI、Explainable Artificial Intelligence)技術で第1人工ニューラルネットワーク410を分析して複数の前処理データ11のうち移動端末200の測位に利用された測位重要データを選別および抽出することができる。
【0074】
すなわち、分析部140は、説明可能な人工知能(XAI)(例えば、LIME)を利用して第1人工ニューラルネットワーク410で移動端末200の位置を測定する時に主に活用されたデータ領域を獲得することができる。そして、該当データ領域を最適化された測位重要データで定義することができる。
【0075】
このような、測位重要データは第1人工ニューラルネットワーク410が学習された環境で移動端末200の測位に重要な影響を及ぼしたデータを意味し、測位重要データのみ活用するように第1人工ニューラルネットワーク410を最適化すると、第1人工ニューラルネットワーク410と類似する正確度を示しながらも、第1人工ニューラルネットワーク410を大幅に軽量化することができる。
【0076】
一方、第1人工ニューラルネットワーク410を説明可能な人工知能技術を適用するためにはデータ選別過程が重要である。もし、アウトライアのようにニューラルネットワークの誤作動を引き起こすデータが説明可能な人工知能に適用されると、間違った説明によって第1人工ニューラルネットワーク410の解釈正確度が落ちることになる。
【0077】
これに伴い、分析部140は、データ選別アルゴリズムを利用して、第1人工ニューラルネットワーク410から任意のニューラルネットワークノード間の連結を除去しながら、第1人工ニューラルネットワーク410対比正確度が基準値以上である複数の第3人工ニューラルネットワーク405を構築することができる。
【0078】
そして、分析部140は複数の第3人工ニューラルネットワーク405に複数の前処理データを入力して、複数の第3人工ニューラルネットワーク405のうち基準個数以上の第3人工ニューラルネットワーク405で同一の距離データを出力する前処理データを選別データとして選別することができる。
【0079】
分析部140は前処理データ11特に、選別データの複数のピクセルごとに重要度を評価して、重要度が基準値以上である複数のピクセルからなる複数の測位重要データを選別することができる。
【0080】
例えば、分析部140は、選別データ全体を第1人工ニューラルネットワーク410に入力した時と選別データで特定ピクセルを除いた後に第1人工ニューラルネットワーク410に入力した時に出力される距離データに差がないほど該当ピクセルの重要度を低く評価することができる。
【0081】
図面には図示していないが、本発明の実施例に係る無線測位システムは第3学習部をさらに含むことができる。
【0082】
第3学習部は複数の前処理データまたは選別データと測位重要データに基づいて自動エンコーダ(AutoEncoder)420を学習させることができる。
【0083】
ここで、学習された自動エンコーダ420は前処理データ11が入力されると測位重要データを出力することができる。具体的には、自動エンコーダ420は(n、n)大きさの前処理データ11が入力されると、(m、m)大きさの測位重要データを出力することができる。例えば、nは2036で、mは20であり得る。
【0084】
第2学習部150は自動エンコーダ420で出力される複数の測位重要データおよび距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワーク430を学習させることができる。ここで、測位重要データには距離データがラベリングされ得る。
【0085】
学習された第2人工ニューラルネットワーク430は、最小限の測位重要データのみ入力されて学習されるため第1人工ニューラルネットワーク410対比軽量化され、ノイズデータが除去されて高い正確度を示すことができる。
【0086】
図7は、本発明の実施例に係る第2人工ニューラルネットワークの構造を図示した図面である。
【0087】
図7を参照すると、第2人工ニューラルネットワーク430は測位重要データ(PCI1~PCIm、ここで、mはnより小さい整数である)が入力される入力レイヤと、複数のアンカー端末300および移動端末200間距離データが出力される出力レイヤと、入力レイヤおよび出力レイヤの間に存在する隠れレイヤで構成され得る。ここで、隠れレイヤの個数は第1人工ニューラルネットワーク410より小さい。
【0088】
図8は、本発明の実施例に係る無線測位システムにおいて移動端末のブロック図である。
【0089】
移動端末200は前処理部120と、学習された自動エンコーダ420および第2人工ニューラルネットワーク430を搭載することができる。
【0090】
移動端末200は搭載された前処理部120、自動エンコーダ420および第2人工ニューラルネットワーク430を利用して移動端末200の測位を遂行できる。
【0091】
具体的には、移動端末200は複数のアンカー端末300と無線通信して、通信に利用されたCIRデータ10を測定および収集する。
【0092】
そして、移動端末200は、前処理部120を通じてCIRデータ10を前処理して前処理データ11を生成し、前処理データ11を自動エンコーダ420に入力して測位重要データを出力し、測位重要データを第2人工ニューラルネットワーク430に入力して複数のアンカー端末300と移動端末200間距離を推定することができる。
【0093】
そして、移動端末200は複数のアンカー端末300の位置(座標)情報と、推定された複数のアンカー端末300と移動端末200間距離と、を利用して移動端末200の測位を遂行できる。
【0094】
このように、本発明の無線測位システムは、説明可能な人工知能技術(XAI)を利用して複雑なニューラルネットワークを分析して数十個以内の主要な測位重要データを抽出することができ、抽出された測位特性データを利用してニューラルネットワークを簡単に軽量化することができる。
【0095】
これを通じて、本発明の無線測位システムは、従来の複雑なマシンラーニング基盤の測位技術より高い正確度を示しながらも、従来の方式より大幅に軽量化された測位が可能となり、新しい環境で主要な測位特性データを迅速かつ便利に探すことができる効果がある。
【0096】
また、本発明の無線測位システムは、測位用移動端末の最小要求演算能力を最小化して画期的な費用節減効果を期待することができる。
【0097】
図9は本発明の実施例に係る無線測位方法のフローチャートであり、図10は本発明の実施例に係る移動端末の測位を遂行する段階の具体的なフローチャートである。
【0098】
以下、本発明の実施例に係る無線測位方法を説明するものの、前述した内容と同じ部分は省略する。
【0099】
まず、図9を参照すると、移動端末200が測位を遂行しようとする空間に設置された複数のアンカー端末300と無線通信して、複数のCIRデータ10と複数のアンカー端末300および移動端末200間距離データを測定する。
【0100】
次に、サーバー100が移動端末200により測定されたCIRデータ10と複数のアンカー端末300および移動端末200間距離データの伝送を受けて収集する(S110)。この時、CIRデータ10には距離データがラベリングされ得る。
【0101】
次に、サーバー100が複数のCIRデータ10を前処理して複数の前処理データ11を生成する(S120)。
【0102】
次に、サーバー100が複数の前処理データ11および距離データに基づいて第1人工ニューラルネットワーク410を学習させる(S130)。
【0103】
次に、サーバー100が説明可能な人工知能技術(XAI)で第1人工ニューラルネットワーク410を分析して複数の前処理データ11のうち移動端末200の測位に利用された複数の測位重要データを抽出および選別する(S140)。
【0104】
次に、サーバー100が複数の前処理データ11または選別データと測位重要データに基づいて自動エンコーダ420を学習させる(S150)。学習完了後、自動エンコーダ420に複数の前処理データ11が入力されると測位重要データが出力される。
【0105】
次に、サーバー100が自動エンコーダ420に出力された複数の測位重要データおよび距離データに基づいて第2人工ニューラルネットワークを学習させる(S160)。
【0106】
次に、図10を参照すると、前処理部120、自動エンコーダ420および第2人工ニューラルネットワーク430が移動端末200に搭載される(S210)。
【0107】
次に、移動端末200が複数のアンカー端末300と通信して、通信に利用された無線信号のCIRデータ10を測定する。
【0108】
次に、前処理部120がCIRデータ10を前処理して前処理データ11を生成する(S220)。
【0109】
次に、移動端末200が前処理データ11を自動エンコーダ420に入力して測位重要データを出力する(S230)。
【0110】
次に、移動端末200が測位重要データを第2人工ニューラルネットワーク430に入力して複数のアンカー端末300および移動端末200間距離を推定して移動端末200の測位を遂行する(S240)。
【0111】
このように、本発明の無線測位方法は、説明可能な人工知能技術(XAI)を利用して複雑なニューラルネットワークを分析して数十個以内の主要な測位特性データを抽出することができ、抽出された測位特性データを利用してニューラルネットワークを簡単に軽量化することができる。
【0112】
これを通じて、本発明の無線測位方法は、従来の複雑なマシンラーニング基盤の測位技術より高い正確度を示しながらも、従来の方式より大幅に軽量化された測位が可能となり、新しい環境で主要な測位特性データを迅速かつ便利に探すことができる効果がある。
【0113】
また、本発明の無線測位方法は、測位用移動端末の最小要求演算能力を最小化して画期的な費用節減効果を期待することができる。
【0114】
前述した本発明の実施例に係る無線測位方法は、プログラムが記録された媒体にプロセッサが読み取り可能なコードで具現することが可能である。このようなプロセッサが読み取り可能な媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フレキシブルディスク、光データ保存装置などがあり、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じての伝送)の形態で具現されるものも含む。
【0115】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組み合わせ、変更および環境で使うことができる。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、著述した開示内容と均等な範囲および/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。前述した実施例は本発明を実施するのにおいて最善の状態を説明するためのものであって、本発明のような他の発明を利用するのに当業界に知られている他の状態への実施、そして発明の具体的な適用分野および用途で要求される多様な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は開示された実施形態に本発明を制限しようとする意図ではない。また添付された請求の範囲は他の実施形態も含むものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0116】
100 サーバー
110 収集部
120 前処理部
130 第1学習部
140 分析部
150 第2学習部
200 移動端末
300 アンカー端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10