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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148217
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】構造物維持管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/02 20060101AFI20241010BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20241010BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20241010BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G08C17/02
G08C15/00 D
G01M99/00 Z
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061143
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000220642
【氏名又は名称】東京電設サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】関口 賢
(72)【発明者】
【氏名】西川 一基
【テーマコード(参考)】
2F073
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA11
2F073AA16
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE13
2F073EE16
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG08
2G024AD34
2G024BA12
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA15
2G064AA05
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】構造物の維持管理において、計測を行う要素の省電力化を実現できること。
【解決手段】構造物維持管理システムは、親機と、子機と、を備えるシステムであって、親機は、子機と通信を行う親機側通信部と、構造物の状態を検知する検知部と、制御部と、を備え、子機は、親機と通信を行う子機側通信部と、構造物に関する計測を行う計測部と、計測部を制御する計測制御部と、子機を構成する要素の電源の制御を行う電源制御部と、を備え、制御部は、構造物が第1状態であることが検知されると、子機動作開始信号を子機へ送信し、子機によって計測される計測データを子機から受信し、電源制御部は、待機状態において子機動作開始信号が受信されると起動し、計測制御部、及び計測部それぞれの電源をオンに制御し、計測制御部は、計測部に計測を行わせ、計測部によって計測される計測データを親機へ送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と、
子機と、
を備えるシステムであって、
前記親機は、
前記子機と通信を行う親機側通信部と、
構造物の状態を検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記子機は、
前記親機と通信を行う子機側通信部と、
前記構造物に関する計測を行う計測部と、
前記計測部を制御する計測制御部と、
前記子機を構成する要素の電源の制御を行う電源制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が第1状態であることが検知されると、前記子機に動作を開始させるための信号である子機動作開始信号を、前記子機へ前記親機側通信部を介して送信し、前記子機によって計測される計測データを、前記子機から前記親機側通信部を介して受信し、
前記電源制御部は、待機状態において前記子機側通信部によって前記子機動作開始信号が受信されると起動し、前記計測制御部、及び前記計測部それぞれの電源をオンに制御し、
前記計測制御部は、前記計測部に前記計測を行わせ、前記計測部によって計測される前記計測データを前記親機へ前記子機側通信部を介して送信する
構造物維持管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態であることが検知されると、前記子機動作開始信号を前記子機へ送信する時間間隔を前記構造物が前記第1状態とは異なる第2状態である時期よりも短くして、前記子機へ前記親機側通信部を介して送信し、
前記検知部によって前記構造物が前記第2状態であることが検知されると、前記子機動作開始信号を前記子機に送信することを停止し、
前記計測制御部は、前記子機側通信部によって前記子機動作開始信号が受信される度に、前記計測部に前記計測を行わせる
請求項1に記載の構造物維持管理システム。
【請求項3】
前記子機は、前記計測データを記憶する一時記憶部をさらに備え、
前記計測制御部は、前記子機側通信部によって前記子機動作開始信号が受信される度に、前記計測部に前記計測を行わせ、
前記計測制御部は、前記計測部によって計測される前記計測データを前記一時記憶部に記憶させ、前記子機側通信部によって最後に前記子機動作開始信号が受信されてから所定時間以内に前記子機動作開始信号が受信されない場合、前記一時記憶部に記憶された前記計測データを、前記親機へ前記子機側通信部を介して送信する、
請求項2に記載の構造物維持管理システム。
【請求項4】
前記子機動作開始信号には、前記子機から前記親機へ送信される前記計測データの種類についての優先度を指定する優先度情報が含まれ、
前記計測制御部によって前記一時記憶部に記憶させられる前記計測データは第1計測データであって、
前記計測部によって計測される前記計測データには、前記第1計測データよりも前記親機へ送信する優先度の高い種類の第2計測データが含まれ、
前記計測制御部は、前記優先度情報に基づいて、前記計測部によって計測される前記第1計測データを前記一時記憶部に記憶させ、所定の条件が満たされた場合、前記一時記憶部に記憶させた前記第1計測データを、前記親機へ前記子機側通信部を介して送信し、
前記計測制御部は、前記優先度情報に基づいて、前記計測部によって計測される前記第2計測データを、前記計測部によって計測が行われると即時に前記親機へ前記子機側通信部を介して送信する
請求項3に記載の構造物維持管理システム。
【請求項5】
前記子機動作開始信号には、前記子機から前記親機へ送信される前記計測データの種類についての優先度を指定する優先度情報が含まれ、
前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態であることが検知されると、前記計測データの種類として第3計測データの優先度を高く指定する前記優先度情報を含む前記子機動作開始信号を前記子機へ前記親機側通信部を介して送信し、
前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態とは異なる第2状態であることが検知されると、前記計測データの種類として前記第3計測データとは異なる第4計測データの優先度を高く指定する前記優先度情報を含む前記子機動作開始信号を前記子機へ前記親機側通信部を介して送信する
請求項1に記載の構造物維持管理システム。
【請求項6】
前記子機動作開始信号には、前記子機から前記親機へ送信される前記計測データの種類についての優先度を指定する優先度情報が含まれ、
前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態であることが検知されると、前記構造物の種類に応じた前記計測データの優先度を高く指定する前記優先度情報を含む前記子機動作開始信号を、前記子機へ前記親機側通信部を介して送信する
請求項1に記載の構造物維持管理システム。
【請求項7】
前記第1状態には、前記構造物が動作を行っている状態が含まれる
請求項5または請求項6に記載の構造物維持管理システム。
【請求項8】
前記第1状態には、自然現象によって前記構造物が所定の大きさ以上振動している状態が含まれる
請求項1に記載の構造物維持管理システム。
【請求項9】
前記親機は、前記構造物のうち外部電源が配置される部分に設置され、
前記子機は、前記構造物のうち外部電源が配置されない部分に設置される
請求項1に記載の構造物維持管理システム。
【請求項10】
前記親機側通信部と、前記子機側通信部とはそれぞれ、省電力低速通信を行う
請求項1に記載の構造物維持管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物維持管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネル、橋梁、ダム等のインフラストラクチャの構造物の維持管理が求められている。構造物の維持管理では、目視検査等に代えて、センサを構造物に取り付けて検査を行うことが行われている。センサとは、振動センサ、傾きセンサ、または歪みゲージなどである。センサを用いた構造物の維持管理では、センサに電力を供給するための電源設備が必要となる。または、センサをバッテリー内蔵型とした場合には、定期的にバッテリー交換をする必要がある。
【0003】
構造物の異常を検知する装置の電源管理を行うシステムが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載のシステムでは、構造物異常検知装置に電源供給制御回路を設け、検知用の配線基板が異常を検知したときに、通信モジュールに電源電力を供給することで、消費電力を削減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-161250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるようなシステムでは、計測を行うセンサなど計測を行う要素について省電力化が考慮されていない。構造物の維持管理において、計測を行う要素の省電力化が求められている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、構造物の維持管理において、計測を行う要素の省電力化を実現できる構造物維持管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、親機と、子機と、を備えるシステムであって、前記親機は、前記子機と通信を行う親機側通信部と、構造物の状態を検知する検知部と、制御部と、を備え、前記子機は、前記親機と通信を行う子機側通信部と、前記構造物に関する計測を行う計測部と、前記計測部を制御する計測制御部と、前記子機を構成する要素の電源の制御を行う電源制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が第1状態であることが検知されると、前記子機に動作を開始させるための信号である子機動作開始信号を、前記子機へ前記親機側通信部を介して送信し、前記子機によって計測される計測データを、前記子機から前記親機側通信部を介して受信し、前記電源制御部は、待機状態において前記子機側通信部によって前記子機動作開始信号が受信されると起動し、前記計測制御部、及び前記計測部それぞれの電源をオンに制御し、前記計測制御部は、前記計測部に前記計測を行わせ、前記計測部によって計測される前記計測データを前記親機へ前記子機側通信部を介して送信する構造物維持管理システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態であることが検知されると、前記子機動作開始信号を前記子機へ送信する時間間隔を前記構造物が前記第1状態とは異なる第2状態である時期よりも短くして、前記子機へ前記親機側通信部を介して送信し、前記検知部によって前記構造物が前記第2状態であることが検知されると、前記子機動作開始信号を前記子機に送信することを停止し、前記計測制御部は、前記子機側通信部によって前記子機動作開始信号が受信される度に、前記計測部に前記計測を行わせる。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記子機は、前記計測データを記憶する一時記憶部をさらに備え、前記計測制御部は、前記子機側通信部によって前記子機動作開始信号が受信される度に、前記計測部に前記計測を行わせ、前記計測制御部は、前記計測部によって計測される前記計測データを前記一時記憶部に記憶させ、前記子機側通信部によって最後に前記子機動作開始信号が受信されてから所定時間以内に前記子機動作開始信号が受信されない場合、前記一時記憶部に記憶された前記計測データを、前記親機へ前記子機側通信部を介して送信する。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記子機動作開始信号には、前記子機から前記親機へ送信される前記計測データの種類についての優先度を指定する優先度情報が含まれ、前記計測制御部によって前記一時記憶部に記憶させられる前記計測データは第1計測データであって、前記計測部によって計測される前記計測データには、前記第1計測データよりも前記親機へ送信する優先度の高い種類の第2計測データが含まれ、前記計測制御部は、前記優先度情報に基づいて、前記計測部によって計測される前記第1計測データを前記一時記憶部に記憶させ、所定の条件が満たされた場合、前記一時記憶部に記憶させた前記第1計測データを、前記親機へ前記子機側通信部を介して送信し、前記計測制御部は、前記優先度情報に基づいて、前記計測部によって計測される前記第2計測データを、前記計測部によって計測が行われると即時に前記親機へ前記子機側通信部を介して送信する。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記子機動作開始信号には、前記子機から前記親機へ送信される前記計測データの種類についての優先度を指定する優先度情報が含まれ、前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態であることが検知されると、前記計測データの種類として第3計測データの優先度を高く指定する前記優先度情報を含む前記子機動作開始信号を前記子機へ前記親機側通信部を介して送信し、前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態とは異なる第2状態であることが検知されると、前記計測データの種類として前記第3計測データとは異なる第4計測データの優先度を高く指定する前記優先度情報を含む前記子機動作開始信号を前記子機へ前記親機側通信部を介して送信する。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記子機動作開始信号には、前記子機から前記親機へ送信される前記計測データの種類についての優先度を指定する優先度情報が含まれ、前記制御部は、前記検知部によって前記構造物が前記第1状態であることが検知されると、前記構造物の種類に応じた前記計測データの優先度を高く指定する前記優先度情報を含む前記子機動作開始信号を、前記子機へ前記親機側通信部を介して送信する。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記第1状態には、前記構造物が動作を行っている状態が含まれる。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記第1状態には、自然現象によって前記構造物が所定の大きさ以上振動している状態が含まれる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記親機は、前記構造物のうち外部電源が配置される部分に設置され、前記子機は、前記構造物のうち外部電源が配置されない部分に設置される。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記の構造物維持管理システムにおいて、前記親機側通信部と、前記子機側通信部とはそれぞれ、省電力低速通信を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、構造物の維持管理において、計測を行う要素の省電力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る構造物維持管理システム1の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る構造物維持管理システム1が維持管理を行う対象の構造物5の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る親機2、及び子機3の機能構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る親機動作の流れの一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る子機動作の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る構造物維持管理システム1の構成の一例を示す図である。構造物維持管理システム1は、構造物5の維持管理を行うためのシステムである。構造物維持管理システム1は、親機2と、子機3とを備える。
【0020】
親機2は、構造物5の状態を検知する。親機2は、構造物5が所定の状態にあることを検知すると、子機動作開始信号A1を無線通信によって子機3へ送信する。親機2は、子機動作開始信号A1を受信すると、構造物5に関する計測を行う。子機3は、計測した計測データB1を無線通信によって親機2へ送信する。
【0021】
ここで図2に、構造物維持管理システム1が維持管理を行う対象の構造物5の一例を示す。本実施形態では、構造物5は、一例として、水力発電所関連設備であるダムゲートである。構造物5は、巻上機50と、ゲート51とを備える。巻上機50は電動の巻上機である。巻上機50の側には、外部電源(不図示)が設けられている。巻上機50がワイヤーを巻き上げることによってゲート51の昇降が行われる(ゲート動作という)。ゲート51の側には、外部電源は設けられていない。
【0022】
親機2は、巻上機50の側に設置される。つまり、親機2は、構造物5のうち外部電源が配置される部分に設置される。親機2には、巻上機50の側に設けられた外部電源から電力が供給される。当該外部電源は、例えば、商用電源である。
【0023】
子機3は、ゲート51の側に設置される。つまり、子機3は、構造物5のうち外部電源が配置されない部分に設置される。子機3は、自身に内蔵されたバッテリーから電力が供給される。ゲート51の側に、電源のための配線が行われた場合、ゲート51の昇降によって配線が切断される可能性、またはゲート51の動作に支障をきたす可能性がある。そのため、ゲート51の側に外部電源を設置されることは好ましくない。これに応じて、子機3は、バッテリーによって駆動される構成とされている。
【0024】
なお、子機3に備えられるバッテリーは、小型のバッテリーであることが好ましい。当該バッテリーは、例えば、リチウムイオン電池である。子機3に備えられるバッテリーは、小型の太陽光電池などであってもよい。
【0025】
親機2は、小型コンピュータ20と、サーバ21と、親機通信モジュール22と、振動センサ23と、クランプメータ24と、外部通信モジュール25とを備える。
【0026】
小型コンピュータ20は、親機2の全体について各種の制御を行う。小型コンピュータ20は、例えば、シングルボードコンピュータである。小型コンピュータ20は、シングルボードコンピュータに限らないが、小型かつ低消費電力であることが好ましい。
【0027】
サーバ21は、親機2が取得したデータについて各種の処理を実行する。サーバ21は、例えば、シングルボードコンピュータである。なお、サーバ21は、小型コンピュータ20と一体であってもよい。
【0028】
親機通信モジュール22は、子機3と無線通信を行う。当該無線通信は、一例として、省電力低速通信である。親機2と子機3との無線通信には、例えば、省電力広域無線通信の規格であるLORA(LoRaWAN;ローラワン)が好適に用いられる。なお、親機2と子機3との無線通信は、省電力低速通信であれば、LORA以外の無線通信であってもよい。また、親機2と子機3との無線通信は、省電力低速通信以外の無線通信であってもよい。
【0029】
振動センサ23は、構造物5の振動を検知する。構造物5の振動とは、地震による振動である。振動センサ23は、例えば、巻上機50の所定の箇所、または巻上機50の付近の所定の箇所に取り付けられる。
クランプメータ24は、巻上機50によるゲート動作を検知する。クランプメータ24は、例えば、巻上機50を制御する制御盤に取り付けられる。
【0030】
外部通信モジュール25は、クライアント端末4と無線通信を行う。親機2とクライアント端末4との無線通信には、例えば、移動体通信網が用いられる。外部通信モジュール25は、ルータを含む。
【0031】
小型コンピュータ20と、サーバ21、親機通信モジュール22、振動センサ23、クランプメータ24、及び外部通信モジュール25とはそれぞれ信号線によって接続される。小型コンピュータ20、サーバ21、親機通信モジュール22、及び外部通信モジュール25は、一例として、筐体内に収納される。振動センサ23、及びクランプメータ24は、当該筐体の外側に備えられる。なお、振動センサ23、及びクランプメータ24それぞれと、小型コンピュータ20とを接続する信号線は、少なくとも当該筐体の外側においては、シースによって覆われたケーブルである。
【0032】
子機3は、子機通信モジュール30と、計測回路電源モジュール31と、計測制御マイコン32と、一次保存メモリ33と、RTCモジュール34と、加速度センサ35と、歪みセンサ36とを備える。
【0033】
子機通信モジュール30は、親機2と無線通信を行う。当該無線通信は、一例として、上述した省電力低速通信である。したがって、親機側通信部201と、子機側通信部300とはそれぞれ、省電力低速通信を行う。
【0034】
計測回路電源モジュール31は、子機3を構成する部品それぞれの電源を管理する。ここで子機3を構成する部品のうち、子機通信モジュール30は、常時起動している。子機3を構成する部品のうち、計測回路電源モジュール31と、計測制御マイコン32と、一次保存メモリ33と、RTCモジュール34と、加速度センサ35と、歪みセンサ36は、計測時のみ起動する。
【0035】
計測制御マイコン32は、子機3による計測について各種の制御を行う。計測制御マイコン32は、例えば、マイクロコントローラである。
【0036】
一次保存メモリ33は、計測された計測データB1を一時的に記憶する。一次保存メモリ33は、例えば、FRAM(登録商標)(Ferroelectric RAM)などの不揮発性強誘電体メモリである。なお、一次保存メモリ33は、不揮発性強誘電体メモリ以外の不揮発性メモリであってもよいが、低消費電力であることが好ましい。
【0037】
RTCモジュール34は、計測データB1が計測された時刻を計時する。
【0038】
加速度センサ35は、ゲート51の振動(加速度)を計測する。加速度センサ35は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ35は、ゲート51の所定の箇所に取り付けられる。
【0039】
歪みセンサ36は、ゲート51の歪みを計測する。歪みセンサ36は、例えば、歪みゲージである。歪みセンサ36は、ゲート51の所定の箇所に取り付けられる。
【0040】
子機通信モジュール30と、計測回路電源モジュール31とは、信号線によって接続される。計測制御マイコン32と、子機通信モジュール30、計測回路電源モジュール31、一次保存メモリ33、RTCモジュール34、加速度センサ35、及び歪みセンサ36とはそれぞれ信号線によって接続される。
【0041】
子機通信モジュール30、計測回路電源モジュール31、計測制御マイコン32、一次保存メモリ33、及びRTCモジュール34は、一例として、筐体内に収納される。加速度センサ35、及び歪みセンサ36は、当該筐体の外側に備えられる。なお、加速度センサ35、及び歪みセンサ36それぞれと、計測制御マイコン32とを接続する信号線は、少なくとも当該筐体の外側においては、シースによって覆われたケーブルである。
【0042】
クライアント端末4には、親機2から無線通信によって計測データB1が提供される。クライアント端末4は、一例として、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)、またはスマートフォンなどである。ユーザは、クライアント端末4を用いて構造物5から離れた場所において計測データB1を確認できる。
【0043】
次に図3を参照し、親機2、及び子機3の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る親機2、及び子機3の機能構成の一例を示す図である。
【0044】
親機2は、制御部200と、親機側通信部201と、検知部202と、外部通信部203とを備える。
【0045】
制御部200は、親機2の全体について各種の制御を行う。制御部200は、小型コンピュータ20、及びサーバ21を含む。
【0046】
親機側通信部201は、子機3と通信を行う。親機側通信部201は、親機通信モジュール22を含む。
【0047】
検知部202は、構造物5の状態を検知する。検知部202は、振動センサ23、及びクランプメータ24を含む。
【0048】
外部通信部203は、構造物維持管理システム1の外部に備えられる端末装置と無線通信を行う。外部通信部203は、外部通信モジュール25を含む。外部通信部203が無線通信を行う端末装置は、クライアント端末4を含む。
【0049】
制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態であることが検知されると、子機動作開始信号A1を、子機3へ親機側通信部201を介して送信する。子機動作開始信号A1は、子機3に動作を開始させるための信号である。制御部200は、子機3によって計測される計測データB1を、子機3から親機側通信部201を介して受信する。制御部200は、子機3から受信した計測データB1を、構造物維持管理システム1の外部に備えられる端末装置へ外部通信部203を介して送信する。
【0050】
子機3は、子機側通信部300と、電源制御部301と、計測制御部302と、一時記憶部303と、計時部304と、計測部305とを備える。
【0051】
子機側通信部300は、親機2と通信を行う。子機側通信部300は、子機通信モジュール30を含む。
【0052】
電源制御部301は、子機3を構成する要素の電源の制御を行う。電源制御部301は、計測制御部302、一時記憶部303、計時部304、及び計測部305それぞれの電源の制御を行う。電源制御部301は、計測回路電源モジュール31を含む。
【0053】
電源制御部301は、待機状態において子機側通信部300によって子機動作開始信号A1が受信されると起動し、計測制御部302、一時記憶部303、計時部304、及び計測部305それぞれの電源をオンに制御する。
【0054】
計測制御部302は、計測部305を制御する。計測制御部302は、計測制御マイコン32を含む。
計測制御部302は、計測部305に計測を行わせる。計測制御部302は、計測部305によって計測される計測データB1を親機2へ子機側通信部300を介して送信する。
【0055】
一時記憶部303は、計測データB1を記憶する。計測データB1のうち優先度が低いものは、親機2に送信される前に一時的に一時記憶部303に記憶される。計測データB1が一時記憶部303に記憶されることを、一時記憶部303に蓄積されるともいう。一時記憶部303に記憶される計測データB1を、蓄積測定データB12という。一時記憶部303は、一次保存メモリ33を含む。
【0056】
計時部304は、計測データB1が計測された時刻を計時する。計時部304は、RTCモジュール34を含む。
【0057】
計測部305は、構造物5に関する計測を行う。計測部305は、例えば、構造物5の振動、及び歪みを計測する。計測部305は、加速度センサ35、及び歪みセンサ36を含む。なお、計測される計測データの種類に応じて、計測部305には各種のセンサ(収音センサ、または温度センサなど)が1以上備えられればよい。
【0058】
次に図4及び図5を参照し、親機2の動作である親機動作、及び子機3の動作である子機動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る親機動作の流れの一例を示す図である。制御部200は、親機動作を親機2の電源がオンになると開始する。制御部200は、電源がオンの間、親機動作を繰り返し実行する。
【0059】
構造物5の状態には、通常状態と、ゲート動作状態と、地震状態とがある。ゲート動作状態は、ゲート動作を行っている状態である。地震状態は、地震の影響で構造物5が振動している状態である。ここで地震状態、またはゲート動作状態は、第1状態の一例である。したがって、第1状態には、構造物5が動作を行っている状態が含まれる。また、第1状態には、自然現象によって構造物5が所定の大きさ以上振動している状態が含まれる。本実施形態では、一例として、自然現象が地震である場合の一例について説明するが、これに限られない。自然現象は、強風、台風、または洪水などであってもよい。
【0060】
親機2の動作モードには、待機モードと、高頻度計測モードとがある。高頻度計測モードには、地震モードと、ゲート動作モードとがある。以下では、これらの動作モードにおける、親機2の動作を説明する。
【0061】
ステップS10:制御部200は、親機2の動作モードを待機モードにして動作を開始する。親機2の待機モードは、構造物5が通常状態であることに対応する。制御部200は、待機モードでは、所定の時間間隔において子機動作開始信号A1を子機3へ親機側通信部201を介して送信する。当該時間間隔は、例えば、24時間である。つまり、待機モードでは、制御部200は、1日に1回の時間間隔で子機動作開始信号A1を子機3に送信する。なお、待機モードでは、制御部200は、子機動作開始信号A1の送信を停止してもよい。その後、制御部200は、ステップS20の動作を実行する。
【0062】
ステップS20:制御部200は、地震を検知したか否かを判定する。制御部200は、検知部202による検知結果に基づいて当該判定を行う。制御部200は、振動センサ23によって、所定の大きさ以上の振動が検知された場合、地震を検知したと判定する。
【0063】
制御部200は、地震を検知したと判定した場合(ステップS20;YES)、親機2の動作状態を待機モードから地震モードに変更する。その後、制御部200は、ステップS30の動作を実行する。親機2の地震モードは、構造物5が地震状態であることに対応する。一方、制御部200は、地震を検知していないと判定した場合(ステップS20;NO)、ステップS60の動作を実行する。
【0064】
ステップS30:制御部200は、地震モード子機動作開始信号A12を子機3に親機側通信部201を介して送信する。その後、制御部200は、ステップS40の動作を実行する。
【0065】
ステップS40:制御部200は、地震を検知したか否かを判定する。当該判定は、上述したステップS20と同様に実行される。
【0066】
制御部200は、地震を検知したと判定した場合(ステップS40;YES)、ステップS30の動作を再度実行する。一方、制御部200は、地震を検知していないと判定した場合(ステップS40;NO)、親機2の動作状態を地震モードから待機モードに変更する。その後、制御部200は、ステップS50の動作を実行する。
【0067】
ステップS50:制御部200は、蓄積された測定データである蓄積測定データB12を受信する。その後、制御部200は、ステップS10の動作を再度実行する。
【0068】
ステップS60:制御部200は、ゲート動作を検知したか否かを判定する。制御部200は、検知部202による検知結果に基づいて当該判定を行う。制御部200は、クランプメータ24によって、巻上機50によってゲート動作が検知された場合、ゲート動作を検知したと判定する。
【0069】
制御部200は、ゲート動作を検知したと判定した場合(ステップS60;YES)、親機2の動作状態を待機モードからゲート動作モードに変更する。その後、制御部200は、ステップS70の動作を実行する。親機2のゲート動作モードは、構造物5がゲート動作状態であることに対応する。一方、制御部200は、ゲート動作を検知していないと判定した場合(ステップS60;NO)、ステップS100の動作を実行する。
【0070】
ステップS70:制御部200は、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を子機3に親機側通信部201を介して送信する。その後、制御部200は、ステップS80の動作を実行する。
【0071】
ステップS80:制御部200は、ゲート動作を検知したか否かを判定する。当該判定は、上述したステップS60と同様に実行される。
【0072】
制御部200は、ゲート動作を検知したと判定した場合(ステップS80;YES)、ステップS70の動作を再度実行する。一方、制御部200は、ゲート動作を検知していないと判定した場合(ステップS80;NO)、親機2の動作状態をゲート動作モードから待機モードに変更する。その後、制御部200は、ステップS90の動作を実行する。
【0073】
ステップS90:制御部200は、蓄積された測定データである蓄積測定データB12を受信する。その後、制御部200は、ステップS10の動作を再度実行する。
【0074】
ステップS100:制御部200は、設定時間が経過したか否かを判定する。設定時間とは、子機3の死活確認を行うために設定される時間である。設定時間は、例えば、1時間である。
【0075】
制御部200は、設定時間が経過したと判定した場合(ステップS100;YES)、ステップS110の動作を実行する。一方、制御部200は、設定時間が経過していないと判定した場合(ステップS100;NO)、親機動作を終了する。
【0076】
ステップS110:制御部200は、死活確認モード子機動作開始信号A13を子機3に親機側通信部201を介して送信する。その後、制御部200は、ステップS120の動作を実行する。
【0077】
ステップS120:制御部200は、応答データを検知したか否かを判定する。制御部200は、親機側通信部201が子機3から死活確認モード子機動作開始信号A13に対する応答データを受信した場合、応答データを検知したと判定する。応答データには、例えば、子機3のバッテリー残量を示す情報、及び通信可否を示す情報が含まれる。
【0078】
制御部200は、応答データを検知したと判定した場合(ステップS120;YES)、ステップS10の動作を再度実行する。一方、制御部200は、応答データを検知していないと判定した場合(ステップS120;NO)、ステップS110の動作を再度実行する。
以上で、制御部200は、親機動作を終了する。
【0079】
ここで上述したステップS30、及びステップS40の動作は、地震を検知したと判定され続けている期間、繰り返し実行される。当該期間において、地震モード子機動作開始信号A12が送信される時間間隔は、例えば、0.1秒に1回である。また、上述したステップS70、及びステップS80の動作は、ゲート動作を検知したと判定され続けている期間、繰り返し実行される。当該期間において、ゲート動作モード子機動作開始信号A11が送信される時間間隔は、例えば、0.1秒に1回である。なお、地震モード子機動作開始信号A12が送信される時間間隔と、ゲート動作モード子機動作開始信号A11が送信される時間間隔とは互いに異なっていてもよい。
【0080】
したがって、制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態(地震状態、またはゲート動作状態)であることが検知されると、子機動作開始信号A1(地震モード子機動作開始信号A12、またはゲート動作モード子機動作開始信号A11)を子機3に送信する時間間隔を構造物5が第1状態(地震状態、またはゲート動作状態)とは異なる通常状態である時期よりも短くして、子機3へ親機側通信部201を介して送信する。
【0081】
つまり、制御部200は、高頻度計測モード(地震モードまたはゲート動作モード)では、子機動作開始信号A1を子機3に送信する時間間隔を待機モードよりも短くして子機3へ送信する。換言すれば、ステップS30、及びステップS40が繰り返される時間間隔(一例として、0.1秒に1回)、またはステップS70、及びステップS80が繰り返される時間間隔(一例として、0.1秒に1回)は、待機モードにおいて子機動作開始信号A1が子機3へ送信される時間間隔(一例として、1日に1回)よりも短い。
【0082】
後述するように、子機3は子機動作開始信号A1を受信する度に、計測を実行する。子機3は、計測した計測データB1のうち高頻度計測モードにおいて親機2に送信する優先度の高いデータを即時送信測定データB11として即時に親機2に送信する。したがって、親機2は、高頻度計測モードにおいて、即時送信測定データB11を、子機動作開始信号A1を送信するのと同じ時間間隔(0.1秒に1回)で受信する。
本実施形態では、一例として、子機3が計測を実行する時間間隔は、制御部200が子機動作開始信号A1を送信する時間間隔によって制御される。
【0083】
一方、制御部200は、検知部202によって構造物5が通常状態であることが検知されると、子機動作開始信号A1を子機3に送信することを停止する。
【0084】
また、子機3は、計測した計測データB1のうち地震モードまたはゲート動作モードにおいて親機2に送信する優先度の低いデータを蓄積測定データB12として一時記憶部303に蓄積する。子機3は、最後に子機動作開始信号A1を受信してから所定時間以内に子機動作開始信号A1が受信されない場合、一時記憶部303に記憶された蓄積測定データB12を親機2へ送信する。
【0085】
地震モードにおいて、子機3から親機2へ送信される優先度の高い計測データB1は、ゲート51の歪みの計測データである。歪みの計測データの優先度を高くする理由は、地震発生時は、ゲート動作が可能か否かの確認が最優先であるため、歪みセンサ36により、ゲート51の損傷状況を確認するためである。
地震モードにおいて、子機3から親機2へ送信される優先度の低い計測データB1は、歪み以外の計測データ(本実施形態の一例では、ゲート51の振動の計測データ)である。
【0086】
ゲート動作モードにおいて、子機3から親機2へ送信される優先度の高い計測データB1は、ゲート51の振動の計測データである。振動の計測データの優先度を高くする理由は、ゲート動作時の挙動データの採取が有効であるためであり、またゲート動作の影響で損傷が発生する可能性が高い箇所を優先的に監視するためである。
ゲート動作モードにおいて、子機3から親機2へ送信される優先度の低い計測データB1は、振動以外の計測データ(本実施形態の一例では、ゲート51の歪みの計測データ)である。
【0087】
なお、優先度は、優先度情報C1によって指定される。優先度情報C1は、子機3から親機2へ送信される計測データB1の種類についての優先度を指定する情報である。子機動作開始信号A1には、優先度情報C1が含まれる。
【0088】
制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態であることが検知されると、計測データB1の種類として第3計測データの優先度を高く指定する優先度情報C1を含む子機動作開始信号A1を子機3へ親機側通信部201を介して送信する。
【0089】
制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態とは異なる第2状態であることが検知されると、計測データB1の種類として第3計測データとは異なる第4計測データの優先度を高く指定する優先度情報C1を含む子機動作開始信号A1を子機3へ親機側通信部201を介して送信する。
第3計測データは、例えば、地震モードでは、歪みの計測データであり、ゲート動作モードでは、振動の計測データである。第4計測データは、例えば、地震モードでは、振動の計測データであり、地震モードでは、歪みの計測データである。
【0090】
つまり、制御部200は、構造物5の状態に応じて、親機2へ送信される計測データB1の種類の優先度を変化させる。
【0091】
なお、ゲート動作モードにおいて、子機3から親機2へ送信される優先度の高い計測データB1は、構造物5の種類によって予め決定される。例えば、ゲート51がローラゲート場合は、ローラ周辺の振動、及び音のうち1以上の計測データの優先度が高く設定される。別の一例では、ゲート51がラジアルゲートの場合は、支承部軸の温度等の計測データの優先度が高く設定される。
【0092】
制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態であることが検知されると、構造物5の種類に応じた計測データB1の優先度を高く指定する優先度情報C1を含む子機動作開始信号A1を、子機3へ親機側通信部201を介して送信する。
【0093】
図5は、本実施形態に係る子機動作の流れの一例を示す図である。子機3は、子機動作を子機通信モジュール30の電源がオンになると開始する。子機3は、子機通信モジュール30の電源がオンの間、子機動作を繰り返し実行する。
【0094】
ステップS210:子機3は、子機3の動作モードを待機モードにして動作を開始する。待機モードでは、子機3を構成する要素のうち子機側通信部300のみが起動している。したがって、待機モードでは、電源制御部301、計測制御部302、一時記憶部303、計時部304、及び計測部305それぞれは起動していない。したがって、待機モードでは、子機3を構成する部品のうち子機通信モジュール30のみが起動している。したがって、待機モードでは、計測回路電源モジュール31、計測制御マイコン32、一次保存メモリ33、RTCモジュール34、加速度センサ35、及び歪みセンサ36それぞれは起動していない。
その後、子機3は、ステップS220の動作を実行する。
【0095】
ステップS220:子機側通信部300は、地震モード子機動作開始信号A12を受信したか否かを判定する。
子機側通信部300は、地震モード子機動作開始信号A12を受信したと判定した場合(ステップS220;YES)、ステップS230の動作を実行する。一方、子機側通信部300は、地震モード子機動作開始信号A12を受信していないと判定した場合(ステップS220;NO)、ステップS280の動作を実行する。
【0096】
ステップS230:子機側通信部300は、電源制御部301を起動する。ここで子機通信モジュール30は、電源制御部301に起動信号を送信することによって電源制御部301を起動する。これによって、計測回路電源モジュール31が起動される。
【0097】
電源制御部301は、起動されると、計測制御部302、一時記憶部303、計時部304、及び計測部305を起動する。これによって、計測制御マイコン32、一次保存メモリ33、RTCモジュール34、加速度センサ35、及び歪みセンサ36が起動される。
【0098】
計測制御部302は、起動されると、計測部305に計測を行わせる。計測部305に含まれる加速度センサ35、及び歪みセンサ36はそれぞれ1回計測を行う。計測制御部302は、計測部305による計測の結果を取得し、計測データB1を生成する。ここで計測制御部302は、計時部304によって計時された計測部305による計測の時刻を、計測データB1に含める。したがって、計測データB1には、計測の結果と、計測の時刻との組が含まれる。
その後、計測制御部302は、ステップS240の動作を実行する。
【0099】
ステップS240:計測制御部302は、即時送信測定データB11を親機2に子機側通信部300を介して送信し、蓄積測定データB12を一時記憶部303に記憶させる。ここで計測制御部302は、優先度情報C1に基づいて、計測データB1から即時送信測定データB11、及び蓄積測定データB12をそれぞれ選択する。上述したように即時送信測定データB11は、高頻度計測モードにおいて、計測データB1のうち親機2に送信する優先度が高いデータである。蓄積測定データB12は、高頻度計測モードにおいて、計測データB1のうち親機2に送信する優先度が低いデータである。なお、優先度情報C1は、子機動作開始信号A1に含まれる。優先度情報C1は、子機側通信部300から計測制御部302に供給される。
【0100】
地震モードでは、歪みの計測データの方が振動の計測データよりも優先度が高い。したがって、計測制御部302は、即時送信測定データB11として歪みの計測データを親機2に送信し、蓄積測定データB12として振動の計測データを一時記憶部303に記憶させる。
その後、計測制御部302は、ステップS250の動作を実行する。
【0101】
ステップS250:子機側通信部300は、地震モード子機動作開始信号A12を受信したか否かを判定する。ここで子機側通信部300は、最後に地震モード子機動作開始信号A12を受信してから所定時間(例えば、1秒)以内に地震モード子機動作開始信号A12を受信しない場合に、地震モード子機動作開始信号A12を受信していないと判定する。
【0102】
子機側通信部300が、地震モード子機動作開始信号A12を受信したと判定した場合(ステップS250;YES)、計測制御部302は、ステップS240の動作を再度実行する。一方、子機側通信部300が、地震モード子機動作開始信号A12を受信していないと判定した場合(ステップS250;NO)、ステップS260の動作を実行する。
【0103】
ステップS260:計測制御部302は、一時記憶部303に記憶された蓄積測定データB12を、親機2へ子機側通信部300を介して送信する。ここで計測制御部302は、一時記憶部303に記憶されている蓄積測定データB12の全てを一時記憶部303から読み出す。計測制御部302は、読み出した蓄積測定データB12を一時記憶部303に消去させる。
その後、子機3は、ステップS270の動作を実行する。
【0104】
ステップS270:電源制御部301は、計測制御部302を停止させる。つまり、電源制御部301は、計測制御部302の電源をオフにする。また、電源制御部301は、一時記憶部303、計時部304、及び計測部305の電源をオフにする。さらに電源制御部301は、自身の電源をオフにする。
その後、子機3は、ステップS210の動作を再度実行する。
【0105】
ステップS280:子機側通信部300は、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信したか否かを判定する。
子機側通信部300は、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信したと判定した場合(ステップS280;YES)、ステップS290の動作を実行する。一方、子機側通信部300は、地震モード子機動作開始信号A12を受信していないと判定した場合(ステップS280;NO)、ステップS330の動作を実行する。
【0106】
ステップS290:子機側通信部300は、電源制御部301を起動する。ステップS290の動作は、上述したステップS230の動作と同様である。
その後、子機3はステップS300の動作を実行する。
【0107】
ステップS300:計測制御部302は、即時送信測定データB11を親機2に子機側通信部300を介して送信し、蓄積測定データB12を一時記憶部303に記憶させる。ステップS300の動作は、上述したステップS240の動作と、優先度情報C1が示す優先度のみが異なる。ゲート動作モードでは、振動の計測データの方が歪みの計測データよりも優先度が高い。したがって、計測制御部302は、即時送信測定データB11として振動の計測データを親機2に送信し、蓄積測定データB12として歪みの計測データを一時記憶部303に記憶させる。
その後、子機3はステップS310の動作を実行する。
【0108】
ステップS310:子機側通信部300は、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信したか否かを判定する。ここで子機側通信部300は、最後にゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信してから所定時間(例えば、1秒)以内にゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信しない場合に、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信していないと判定する。
【0109】
子機側通信部300が、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信したと判定した場合(ステップS310;YES)、計測制御部302は、ステップS300の動作を再度実行する。一方、子機側通信部300が、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信していないと判定した場合(ステップS310;NO)、ステップS320の動作を実行する。
【0110】
ステップS320:計測制御部302は、一時記憶部303に記憶された蓄積測定データB12を、親機2へ子機側通信部300を介して送信する。ステップS320の動作は、上述したステップS260の動作と、蓄積測定データB12の種類が異なる以外は同様である。
その後、子機3は、ステップS270の動作を実行する。
【0111】
ステップS330:子機側通信部300は、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信したか否かを判定する。
子機側通信部300は、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信したと判定した場合(ステップS330;YES)、ステップS340の動作を実行する。一方、子機側通信部300が、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信していないと判定した場合(ステップS330;NO)、子機3は、子機動作を終了する。
【0112】
ステップS340:子機側通信部300は、電源制御部301を起動する。ステップS340の動作は、上述したステップS230の動作と同様である。ただし、計測制御部302は、起動されると、バッテリーの残量を取得する。
その後、計測制御部302は、ステップS350の動作を実行する。
【0113】
ステップS350:計測制御部302は、応答データを親機2に子機側通信部300を介して送信する。ここで計測制御部302は、子機3のバッテリー残量を示す情報、及び通信可否を示す情報を応答データに含めて親機2に送信する。
その後、子機3は、ステップS360の動作を実行する。
【0114】
ステップS360:子機側通信部300は、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信したか否かを判定する。ここで子機側通信部300は、最後に死活確認モード子機動作開始信号A13を受信してから所定時間(例えば、1秒)以内に死活確認モード子機動作開始信号A13を受信しない場合に、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信していないと判定する。
【0115】
子機側通信部300が、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信したと判定した場合(ステップS360;YES)、計測制御部302は、ステップS350の動作を再度実行する。一方、子機側通信部300が、死活確認モード子機動作開始信号A13を受信していないと判定した場合(ステップS360;NO)、ステップS270の動作を実行する。
以上で、子機3は、子機動作を終了する。
【0116】
ここで上述したステップS240の動作は、地震モード子機動作開始信号A12を子機3が受信し続けている期間、繰り返し実行される。また、上述したステップS300の動作は、ゲート動作モード子機動作開始信号A11を子機3が受信し続けている期間、繰り返し実行される。つまり、計測制御部302は、子機側通信部300によって子機動作開始信号A1が受信される度に、計測部305に計測を行わせる。
【0117】
上述したように、計測制御部302は、優先度情報C1に基づいて、計測部305によって計測される蓄積測定データB12を一時記憶部303に記憶させ、子機側通信部300によって最後に子機動作開始信号A1が受信されてから所定時間以内に子機動作開始信号A1が受信されない場合、一時記憶部303に記憶させた蓄積測定データB12を、親機2へ子機側通信部300を介して送信する。なお、蓄積測定データB12は、計測制御部302によって一時記憶部303に記憶させられる計測データB1である第1計測データの一例である。
【0118】
一方、計測制御部302は、優先度情報C1に基づいて、計測部305によって計測される計測データB1を、計測部305によって計測が行われると即時に親機2へ子機側通信部300を介して送信する。なお、即時送信測定データB11は、計測部305によって計測される計測データB1に含まれる第1計測データよりも親機2へ送信する優先度の高い種類の第2計測データの一例である。
【0119】
なお、電源制御部301は、子機側通信部300が受信する子機動作開始信号A1の種類、または優先度情報C1が示す優先度に応じて、計時部304に含まれる各種のセンサのうち一部のセンサを起動してもよい。
【0120】
例えば、地震モードでは歪みの計測データの送信が優先される。電源制御部301は、子機側通信部300が地震モード子機動作開始信号A12を受信した場合、計時部304に含まれる各種のセンサのうち歪みセンサ36のみを起動させてもよい。また、例えば、ゲート動作モードでは振動の計測データの送信が優先される。電源制御部301は、子機側通信部300がゲート動作モード子機動作開始信号A11を受信した場合、計時部304に含まれる各種のセンサのうち加速度センサ35のみを起動させてもよい。
【0121】
なお、本実施形態では、計測データB1のうち、優先度情報C1によって指定される優先度が低い種類の計測データB1が一時記憶部303に記憶(蓄積)される場合の一例について説明したが、これに限られない。計測制御部302は、全ての計測データB1を一時記憶部303に記憶させてもよい。その場合であっても、上述した実施形態と同様に、計測制御部302は、子機側通信部300によって子機動作開始信号A1が受信される度に、計測部305に計測を行わせる。計測制御部302は、計測部305によって計測される計測データB1を一時記憶部303に記憶させ、子機側通信部300によって最後に子機動作開始信号A1が受信されてから所定時間以内に子機動作開始信号A1が受信されない場合、一時記憶部303に記憶された計測データB1を、親機2へ子機側通信部300を介して送信する。なお、この場合、子機動作開始信号A1に優先度情報C1は含まれなくてよい。
【0122】
なお、本実施形態では、一時記憶部303に記憶された計測データB1(蓄積測定データB12)は、子機側通信部300によって最後に子機動作開始信号A1が受信されてから所定時間以内に子機動作開始信号A1が受信されない場合に、親機2に送信される場合の一例について説明したが、これに限られない。一時記憶部303に記憶された計測データB1(蓄積測定データB12)は、所定の時間間隔で親機2に送信されてもよい。
その場合、一時記憶部303に記憶された計測データB1が送信される時期は、親機2において高頻度計測モードが終了し待機モードとなった後の時期であってもよい。
【0123】
なお、一時記憶部303に記憶された計測データB1(蓄積測定データB12)は、子機側通信部300が親機2との通信に用いる無線通信の帯域に空き容量が生じた場合には、当該空き容量が生じると即時に当該空き容量を用いて送信されてもよい。一時記憶部303に記憶された計測データB1(蓄積測定データB12)のなかで、優先度の高い計測データが空き容量を用いて送信され、優先度の低い計測データは空き容量が生じた場合であっても即時には送信されなくてもよい。
【0124】
なお、本実施形態では、子機3が計測を実行する時間間隔は、制御部200が子機動作開始信号A1を送信する時間間隔によって制御される場合の一例について説明したが、これに限られない。子機3が計測を実行する時間間隔(例えば、0.1秒に1回)を指定する計測間隔情報が子機動作開始信号A1に含まれて子機3に送信されてもよい。
【0125】
その場合、子機3に計測を停止させるために、制御部200は、計測を停止させることを指示する信号である子機動作停止信号を送信する。子機3では、計測制御部302は、子機側通信部300が子機動作停止信号を受信するまで、計測間隔情報によって指定される時間間隔において計測部305に計測を繰り返し実行させる。子機側通信部300が子機動作停止信号を受信すると、計測制御部302は、計測部305に計測を停止させる。
【0126】
なお、本実施形態では、構造物5が水力発電所関連設備であるダムゲートである場合の一例について説明したが、これに限られない。構造物維持管理システム1が維持管理の対象とする構造物は、ダムゲート以外の水力発電所関連設備であってもよい。ダムゲート以外の水力発電所関連設備とは、例えば、水圧鉄管、または除塵機などである。水圧鉄管の場合、子機3は、水圧鉄管の周囲に設置される。除塵機の場合、子機3は、除塵機除塵機の付近に設置される。
【0127】
また、構造物維持管理システム1が維持管理の対象とする構造物は、水力発電所関連設備以外のインフラストラクチャであってもよい。当該インフラストラクチャは、例えば、トンネル、橋梁、ダム等である。
【0128】
なお、計測部305には、構造物の種類に応じた種類のセンサが備えられる。例えば、計測部305は、水位計を備えてもよい。
【0129】
親機2と子機3とは、構造物の種類に応じて、構造物の所定の部分に設置される。親機2は、外部電源からの電力の供給が可能な部分に設置される。親機2は、当該外部電源から電力ケーブルを介して電力の供給を受ける。子機3は、外部電源からの電力の供給が困難である部分に設置される。子機3は、自身に備えられるバッテリーから電力の供給を受ける。
【0130】
以上に説明したように、本実施形態に係る構造物維持管理システム1は、親機2と、子機3と、を備える。
親機2は、親機側通信部201と、検知部202と、制御部200とを備える。親機側通信部201は、子機3と通信を行う。検知部202は、構造物5の状態を検知する。
子機3は、子機側通信部300と、計測部305と、計測制御部302と、電源制御部301と、を備える。子機側通信部300は、親機2と通信を行う。計測部305は、構造物5に関する計測を行う。計測制御部302は、計測部305を制御する。電源制御部301は、子機3を構成する要素の電源の制御を行う。
制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態であることが検知されると、子機3に動作を開始させるための信号である子機動作開始信号A1を、子機3へ親機側通信部201を介して送信する。制御部200は、子機3によって計測される計測データB1を、子機3から親機側通信部201を介して受信する。
電源制御部301は、待機状態において子機側通信部300によって子機動作開始信号A1が受信されると起動し、計測制御部302、及び計測部305それぞれの電源をオンに制御する。
計測制御部302は、計測部305に計測を行わせ、計測部305によって計測される計測データB1を親機2へ子機側通信部300を介して送信する。
【0131】
この構成により、本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、親機2と、計測を行う子機3とが別体として設けられており、計測データB1の計測に必要となる電力と、計測データB1についての処理(データの管理、及びクライアント端末4への送信など)に必要となる電力とが分離されている。子機3のうち計測に必要な要素は計測時に電源がオンとなる。したがって、構造物維持管理システム1では、構造物の維持管理において、計測を行う要素(子機3)の省電力化を実現できる。
【0132】
構造物維持管理システム1では、構造物のうち計測対象の部分の付近に外部電源が設置されていない場合であっても、親機2は外部電源の付近に設置し親機2には外部電源から電力を供給し、子機3は計測対象の部分の付近に設置し、子機3には内蔵バッテリーから電力を供給する構成としても計測を行う要素(子機3)の省電力化を実現できる。
【0133】
ここで従来の計測装置では、構造物のうち計測を行う対象の部分の付近に外部電源が設置されていない場合、大型のバッテリーによって電力が供給されていた。従来の計測装置では、消費電力が大きく、当該大型のバッテリーを定期的(例えば、1ヵ月程度)に交換する必要があった。
構造物維持管理システム1では、省電力化が実現されており、大型のバッテリーを用いていた従来の計測装置に比べれば、長時間の運用が可能であり子機3のバッテリーは交換の頻度は少ない。そのため、構造物維持管理システム1では、ユーザによる維持管理の手間が軽減される。
【0134】
また、構造物5の種類によっては、人が容易に近づけない場所があり、メンテナンスのために高頻度にアクセスすることが困難な箇所も多く、長期間運用が可能であることが望まれている。構造物維持管理システム1によれば、人が容易に近づけない場所に子機3を設置した場合であっても、バッテリーは交換の頻度は少なくて済む。
【0135】
また、本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、制御部200は、検知部202によって構造物5が第1状態であることが検知されると、子機動作開始信号A1を子機3に送信する時間間隔を構造物5が第1状態(本実施形態において、地震状態、またはゲート動作状態)とは異なる第2状態(本実施形態において、通常状態)である時期よりも短くして、子機3へ親機側通信部201を介して送信する。制御部200は、検知部202によって構造物5が第2状態であることが検知されると、子機動作開始信号A1を子機3に送信することを停止する。
計測制御部302は、子機側通信部300によって子機動作開始信号A1が受信される度に、計測部305に計測を行わせる。
【0136】
この構成により、本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、詳細な計測データが必要とされる時期には高頻度で計測を行い、詳細な計測データが必要とされない時期には、低頻度で計測を行うかまたは計測を停止するため、効率よく計測データを取得できる。なお、典型的なダムゲートでは、ゲート動作が行われる期間は年間に1%未満である。
【0137】
また、本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、子機動作開始信号A1には、子機3から親機2へ送信される計測データB1の種類についての優先度を指定する優先度情報C1が含まれる。
計測制御部302によって一時記憶部303に記憶させられる計測データB1は第1計測データであって、計測部305によって計測される計測データB1には、第1計測データよりも親機2へ送信する優先度の高い種類の第2計測データが含まれる。
計測制御部302は、優先度情報C1に基づいて、計測部305によって計測される第1計測データを一時記憶部303に記憶させ、所定の条件が満たされた場合、一時記憶部303に記憶させた第1計測データを、親機2へ子機側通信部300を介して送信する。
計測制御部302は、優先度情報C1に基づいて、計測部305によって計測される第2計測データを、計測部305によって計測が行われると即時に親機2へ子機側通信部300を介して送信する。
ここで所定の条件とは、本実施形態の一例では、子機側通信部300によって最後に子機動作開始信号A1が受信されてから所定時間以内に子機動作開始信号A1が受信されないことである。
【0138】
この構成により、本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、待機モードでは低頻度で測定、又は測定停止、或いは子機3に計測データB1を蓄積し、蓄積された計測データB1が所定の時期に親機2に送信され、ゲート動作時、または地震時など詳細なデータが必要な場合は、高頻度で計測が行われるため、効率よく計測データを取得できる。
【0139】
また、本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、親機側通信部201と、子機側通信部300とはそれぞれ、省電力低速通信を行う。
本実施形態に係る構造物維持管理システム1では、省電力低速通信であっても、待機モードでは低頻度で測定、又は測定停止、或いは子機3に計測データB1を蓄積し、蓄積された計測データB1が所定の時期に親機2に送信され、詳細なデータが必要な時期には、高頻度で計測が行われ計測データB1の送信が行われるため、省電力で効率よく計測データを取得できる。
【0140】
なお、上述した実施形態における制御部200をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、制御部200に内蔵されたコンピュータシステムであって、オペレーティングシステム(Operating system:OS)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における制御部200の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。制御部200の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0141】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0142】
1…構造物維持管理システム、2…親機、3…子機、200…制御部、201…親機側通信部、202…検知部、300…子機側通信部、301…電源制御部、302…計測制御部、305…計測部、A1…子機動作開始信号、B1…計測データ
図1
図2
図3
図4
図5