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特開2024-148220下受け部材供給装置および下受け部材供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148220
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】下受け部材供給装置および下受け部材供給方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/26 20060101AFI20241010BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20241010BHJP
   B41F 15/12 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B41F15/26 A
B41F15/08 303E
B41F15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061150
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 聖弥
(72)【発明者】
【氏名】宮原 清一
【テーマコード(参考)】
2C035
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FA30
2C035FA31
2C035FB24
2C035FD05
2C035FD42
(57)【要約】
【課題】小さな設置面積で実現することができる下受け部材供給装置および下受け部材供給方法を提供する。
【解決手段】下受け部材供給装置M2は、下受け部材S(2)~S(3)が載置される載置部35(2)~35(3)と、載置部35(2)~35(3)を垂直方向に動かして、基板を搬送するラインへ下受け部材S(2)~S(3)を供給可能な位置(ライン高さH)へ下受け部材S(2)~S(3)を移動させる駆動部32と、供給可能な位置において、載置部35(2)~35(3)を動作させて下受け部材S(2)~S(3)をラインへ供給させる供給制御部33を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクに基板を当接させ、前記マスク上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して前記基板に前記ペーストを印刷する印刷装置に対して、前記基板を下方から支持する下受け部材を供給する下受け部材供給装置であって、
前記下受け部材が載置される載置部と、
前記載置部を垂直方向に動かして、前記基板を搬送するラインへ前記下受け部材を供給可能な位置へ前記下受け部材を移動させる駆動部と、
前記供給可能な位置において、前記載置部を動作させて前記下受け部材を前記ラインへ供給させる制御部を有する下受け部材供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の下受け部材供給装置であって、
前記制御部は、前記供給可能な位置において前記載置部を動作させて、前記印刷装置から前記ラインに搬出された前記下受け部材を空の前記載置部に回収させる下受け部材供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の下受け部材供給装置であって、
第1の品種に対応する第1の下受け部材が載置される第1の載置部と、前記第1の載置部に対して垂直方向に設けられ、前記第1の品種とは異なる第2の品種に対応する第2の下受け部材が載置される第2の載置部を含む下受け部材供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の下受け部材供給装置であって、
前記制御部は、
前記第1の品種の生産が完了後、前記供給可能な位置において前記第1の載置部を動作させて、前記印刷装置から前記ラインに搬出された前記第1の下受け部材を前記第1の載置部に回収させ、
前記第1の下受け部材の回収が完了すると、前記駆動部を動かして、前記第2の載置部を前記供給可能な位置に移動させ、
前記供給可能な位置において、前記第2の載置部を動作させて前記第2の下受け部材を前記ラインへ供給させる下受け部材供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の下受け部材供給装置であって、さらに、
前記第1の載置部に載置された前記第1の下受け部材に対応する第1の情報、および前記第2の載置部に載置された前記第2の下受け部材に対応する第2の情報を所定位置において取得する情報取得部を有し、
前記制御部は、前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて前記駆動部を動作させて、前記供給可能な位置に前記第1の下受け部材および第2の下受け部材を移動させる下受け部材供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の下受け部材供給装置であって、
前記制御部は、前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記第1の載置部と前記第1の下受け部材が対応する情報と前記第2の載置部と前記第2の下受け部材が対応する情報を生成する下受け部材供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載の下受け部材供給装置であって、
前記下受け部材は、キャリアに保持されており、
前記載置部は、前記キャリアを前記ラインへ搬送して、前記下受け部材を前記印刷装置へ供給する下受け部材供給装置。
【請求項8】
請求項1に記載の下受け部材供給装置であって、さらに、
前記載置部に対して垂直方向に設けられ、前記印刷装置とは反対側から搬送された前記基板を前記印刷装置の側に通過させて前記ラインへ供給する通過部を有する下受け部材供給装置。
【請求項9】
パターン孔が設けられたマスクに基板を当接させ、前記マスク上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して前記基板に前記ペーストを印刷する印刷装置に対して、前記基板を下方から支持する下受け部材を供給する下受け部材供給方法であって、
前記下受け部材が載置される載置部を垂直方向に動かして、前記基板を搬送するラインへ前記下受け部材を供給可能な位置へ前記下受け部材を移動させ、
前記供給可能な位置において、前記下受け部材を前記載置部から前記ラインへ供給させる下受け部材供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を支持する下受け部材を印刷装置に供給する下受け部材供給装置および下受け部材供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、搬送コンベアが搬送した基板を印刷部の下受け部材で支持した状態で、基板の表面にペーストを印刷する。下受け部材は、基板の裏面に実装済みの部品等に干渉しないように、基板の種類毎に異なる形状のものが用意される。印刷装置では、印刷対象の基板の種類を切り換える際に下受け部材が交換される。特許文献1の印刷装置は、印刷部の側方に下受け部材を上下段に収納するストッカと、ストッカを昇降させる昇降手段を備える下受け部材収納部と、下受け部材収納部と印刷部の間で下受け部材を移動させる移動手段を有しており、基板の種類を切り換える際に自動で下受け部材を交換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-186362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、下受け部材を自動で交換することはできるものの、下受け部材を収納する下受け部材収納部と下受け部材を移動させる移動手段を印刷装置の内部に設ける必要が有り、印刷装置が大型化してフロアの設置面積が大きくなり、また、印刷装置のコストも高くなるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、小さな設置面積で実現することができる下受け部材供給装置および下受け部材供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の下受け部材供給装置は、パターン孔が設けられたマスクに基板を当接させ、前記マスク上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して前記基板に前記ペーストを印刷する印刷装置に対して、前記基板を下方から支持する下受け部材を供給する下受け部材供給装置であって、前記下受け部材が載置される載置部と、前記載置部を垂直方向に動かして、前記基板を搬送するラインへ前記下受け部材を供給可能な位置へ前記下受け部材を移動させる駆動部と、前記供給可能な位置において、前記載置部を動作させて前記下受け部材を前記ラインへ供給させる制御部を有する。
【0007】
本発明の下受け部材供給方法は、パターン孔が設けられたマスクに基板を当接させ、前記マスク上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して前記基板に前記ペーストを印刷する印刷装置に対して、前記基板を下方から支持する下受け部材を供給する下受け部材供給方法であって、前記下受け部材が載置される載置部を垂直方向に動かして、前記基板を搬送するラインへ前記下受け部材を供給可能な位置へ前記下受け部材を移動させ、前記供給可能な位置において、前記下受け部材を前記載置部から前記ラインへ供給させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小さな設置面積で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の印刷システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の印刷装置の要部の構成説明図
図3】(a)~(e)本発明の一実施の形態の印刷装置が備える下受け部材保持部から下受け部材を取り外す工程の説明図
図4】(a)~(e)本発明の一実施の形態の印刷装置が備える下受け部材保持部に下受け部材を装着する工程の説明図
図5】本発明の一実施の形態の下受け部材供給装置の要部の構成説明図
図6】(a)~(c)本発明の一実施の形態の印刷システムにおいて下受け部材を交換する工程の説明図
図7】(a)~(c)本発明の一実施の形態の印刷システムにおいて下受け部材を交換する工程の説明図
図8】(a)~(c)本発明の一実施の形態の印刷システムにおいて下受け部材を交換する工程の説明図
図9】本発明の一実施の形態の下受け部材回収方法のフロー図
図10】本発明の一実施の形態の下受け部材供給方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、印刷システム、管理コンピュータ、下受け部材供給装置、印刷装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0011】
まず図1を参照して、印刷システム1の構成を説明する。印刷システム1は、パターン孔が設けられたマスクを介して、下受け部材によって下方から支持された基板Bにクリームはんだ等のペーストPを印刷する機能を有する。また、本実施の形態の印刷システム1は、印刷装置M3に装着される下受け部材を基板Bの種類毎に自動で交換する機能を有する。
【0012】
印刷システム1は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、第1コンベア装置M1、下受け部材供給装置M2、印刷装置M3、第2コンベア装置M4が直列に連結されている。各装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。また、各装置は通信ネットワーク2を介して相互にデータを送受信する。管理コンピュータ3は、第1コンベア装置M1、下受け部材供給装置M2、印刷装置M3、第2コンベア装置M4等を統括して管理する機能を有している。
【0013】
図1において、第1コンベア装置M1、下受け部材供給装置M2、印刷装置M3、第2コンベア装置M4は、それぞれ基板搬送機構4~7を備えている。基板搬送機構4~7は、基板Bを搬送する一対の搬送コンベアを備えている。また、基板搬送機構4~7は、搬送する基板Bの幅に対応して一対の搬送コンベアの間隔を自動で変更する機能を有している。基板搬送機構4~7は直列に連結されており、上流の装置から下流の装置に基板Bを搬送するラインLを構成する。
【0014】
第1コンベア装置M1は、電極Eが形成された基板Bを上流の基板供給装置等から受け取り(矢印a)、下流の下受け部材供給装置M2に搬出する。下受け部材供給装置M2は、印刷システム1が印刷作業を実行している際は、第1コンベア装置M1から受け取った基板Bを、下流の印刷装置M3に搬出する。また、下受け部材供給装置M2は、キャリアJ(図3)に保持された下受け部材S(図2)を保管する機能を有している。下受け部材供給装置M2は、印刷対象の基板Bの種類を変更する際に、印刷装置M3から使用済みの下受け部材Sを回収し、印刷装置M3に次に使用される下受け部材Sを供給する。
【0015】
図1において、印刷装置M3は、下受け部材供給装置M2から受け取った基板Bを下受け部材Sで下方から支持し、パターン孔が設けられたマスクを介して基板BにペーストPを印刷する印刷作業を行う。印刷装置M3は、印刷済みの基板Bを下流の第2コンベア装置M4に搬出する。第2コンベア装置M4は、印刷装置M3から印刷済みの基板Bを受け取り、下流に配置される部品実装装置等に搬出する(矢印b)。部品実装装置では、ペーストPが印刷された基板Bに部品を搭載する部品実装作業が実行される。
【0016】
次に、図2を参照して、印刷装置M3の要部の構成を説明する。印刷装置M3は、パターン孔10hが設けられたマスク10を介して基板BにペーストPを印刷する機能を有している。パターン孔10hは、基板Bに形成された電極E(ランド)の形状、位置に対応して形成されている。印刷装置M3は、基板保持移動ユニット11、スキージユニット12及びペースト供給部(図示省略)を備えている。
【0017】
基板保持移動ユニット11は、基台13上に設けられており、基板Bの保持及び移動を行う。マスク10は、基板保持移動ユニット11に保持された基板Bの上方に水平姿勢で保持されている。スキージユニット12は、マスク10の上方に設けられている。ペースト供給部は、スキージユニット12と一体に設けられており、マスク10上にペーストPを供給する。印刷装置M3の各部は、印刷装置M3が備える印刷制御部14によって制御される。
【0018】
図2において、基板保持移動ユニット11は、XYθ移動機構15、ベーステーブル16、第1昇降テーブル17、及び第2昇降テーブル18が、基台13上に下から順に設けられている。XYθ移動機構15は、印刷制御部14によって制御されており、ベーステーブル16を水平面内(X軸方向、Y軸方向)で移動させ、Z軸回りにθ回転させる。第1昇降テーブル17は、印刷制御部14によって制御される第1昇降テーブル昇降モータ17mによってベーステーブル16に対して昇降する。第2昇降テーブル18は、印刷制御部14によって制御される第2昇降テーブル昇降モータ18mによって第1昇降テーブル17に対して昇降する。
【0019】
第1昇降テーブル17の上方には、第2昇降テーブル18を貫通して上方に延びる一対のコンベア支持部材19が設けられている。一対のコンベア支持部材19は、X軸に沿って延びてY軸方向に対向配置された一対の搬送コンベア20を支持している。一対の搬送コンベア20は印刷制御部14によって制御されており、基板Bの両端部を下方から支持してX軸に沿って搬送する。また、一対の搬送コンベア20は、印刷制御部14によって制御される印刷コンベア幅変更機構(図示省略)によって、一対の搬送コンベア20の間隔が変更される。なお、一対の搬送コンベア20は、基板BをX軸に沿って下流に搬送する他、基板BをX軸に沿って上流に搬送することも可能である。
【0020】
図2において、第2昇降テーブル18の上面には、下受け部材保持部21が設けられている。下受け部材保持部21の上面には、下受け部材Sが保持されている。一対の搬送コンベア20の上方には、X軸に沿って延びてY軸方向に対向配置された一対のクランプ部材22が設けられている。一対のクランプ部材22は、印刷制御部14によって制御されるクランプ部材開閉シリンダ22sの作動によってY軸方向に開閉し、下受け部材Sによって下方から支持された基板Bの両端部を挟んで保持(クランプ)する。
【0021】
図2において、スキージユニット12は、X軸に沿って延びて設けられたスキージベース23の下方にY軸方向に対向配置された2つのスキージ24を備えている。スキージベース23は、印刷制御部14によって制御されるスキージユニット移動機構(図示省略)によってY軸に沿って移動する。2つのスキージ24は、スキージベース23に設けられた印刷制御部14によって制御されるスキージ昇降シリンダ25によってスキージベース23に対して個別に昇降する。印刷制御部14は、ペースト供給部によってマスク10上にペーストPを供給させ、スキージ昇降シリンダ25によって一方のスキージ24をマスク10上に下降させて当接させ、スキージユニット移動機構によってスキージ24をY軸に沿って移動させる印刷作業を実行させる。
【0022】
このように、印刷装置M3は、下受け部材Sによって基板Bを下方から支持し、パターン孔10hが設けられたマスク10に基板Bを当接させ、マスク10上にペーストPを供給してスキージ24を摺動させることによりパターン孔10hを介して基板BにペーストPを印刷する。
【0023】
次に、図3図5を参照して、下受け部材保持部21、下受け部材S、キャリアJの構成について説明する。第2昇降テーブル18の上面に設けられた下受け部材保持部21は、下受けベース26を備えている。下受けベース26の上面には、印刷制御部14によって制御される吸引装置(図示省略)に連通する複数の吸引溝26aが形成されている。下受け部材Sの下面が下受けベース26に当接する状態で印刷制御部14が吸引装置を作動させることによって、下受け部材保持部21は下受け部材Sを吸着して保持する。
【0024】
下受け部材Sの下面であって、下受けベース26に当接しない位置には、下受け部材保持部21に保持された下受け部材Sが水平姿勢なるように支持する、複数のスペーサSaが配置されている。下受け部材SのX軸方向の両側面には、把持部Sbが配置されている。把持部Sbは、下受け部材Sが下受けベース26に当接する領域に近い位置に配置されている。キャリアJの下面には、把持部Sbに把持される複数の被把持部材Jaが配置されている。また、キャリアJの下面には、磁力によって下受け部材Sを引き寄せる複数の磁石Jbが配置されている。このように、キャリアJは、下受け部材Sを保持する。
【0025】
次に、図3図4(a)を参照して、印刷装置M3の下受け部材保持部21から使用済みの下受け部材Sを取り外してキャリアJに装着する下受け部材取外し処理について説明する。下受け部材取外し処理は、印刷制御部14が各部を制御することによって実行される。
【0026】
まず、印刷制御部14は、搬送コンベア20によって下受け部材Sが装着されている下受け部材保持部21の上方にキャリアJを搬送させる(図3(a))。次いで印刷制御部14は、一対のクランプ部材22によってキャリアJを挟んで保持させる(図3(b)の矢印c1)。次いで印刷制御部14は、第2昇降テーブル18を上昇させて(図3(c)の矢印c2)、下受け部材Sの上面をキャリアJの下面に当接させる。下受け部材Sが上昇する過程で、キャリアJの被把持部材Jaが下受け部材Sの把持部Sbに把持され、キャリアJの磁石Jbに下受け部材Sが吸着される。
【0027】
次いで印刷制御部14は吸引装置を停止させて、下受けベース26による下受け部材Sの吸引を停止させる(図3(c))。次いで印刷制御部14は、第2昇降テーブル18を下降させる(図3(d)の矢印c3)。これによって、下受け部材保持部21から下受け部材Sが解放され、解放された下受け部材SはキャリアJに保持される。次いで印刷制御部14は、一対のクランプ部材22にキャリアJを解放させる(図3(e)の矢印c4)。次いで印刷制御部14は、搬送コンベア20によって下受け部材Sが装着されたキャリアJを印刷装置M3から搬出させる(図4(a))。
【0028】
次に、図4(b)から図4(e)を参照して、印刷装置M3の下受け部材保持部21に下受け部材Sを取り付ける下受け部材取付け処理について説明する。下受け部材取付け処理は、印刷制御部14が各部を制御することによって実行される。
【0029】
まず、印刷制御部14は、搬送コンベア20によって下受け部材Sが装着されているキャリアJを下受け部材保持部21の上方に搬送させる(図4(b))。次いで印刷制御部14は、一対のクランプ部材22によってキャリアJを挟んで保持させる(図4(c)の矢印d1)。次いで印刷制御部14は、第2昇降テーブル18を上昇させて(図4(c)の矢印d2)、下受け部材保持部21をキャリアJに装着された下受け部材Sの下面に当接させる。
【0030】
次いで印刷制御部14は吸引装置を作動させて、下受け部材保持部21の下受けベース26に下受け部材Sを吸引させる(図4(c))。次いで印刷制御部14は、第2昇降テーブル18を下降させる(図4(d)の矢印d3)。下受け部材保持部21が下降する過程で、把持されていたキャリアJの被把持部材Jaが下受け部材Sの把持部Sbから外れる。これによって、キャリアJが下受け部材Sが解放され、解放された下受け部材Sは下受け部材保持部21に取り付けられる。次いで印刷制御部14は、一対のクランプ部材22にキャリアJを解放させる(図4(e)の矢印d4)。次いで印刷制御部14は、搬送コンベア20によって下受け部材Sが取り外されたキャリアJを印刷装置M3から搬出させる。
【0031】
次に、図5を参照して、下受け部材供給装置M2の要部の構成を説明する。下受け部材供給装置M2は、下受け部材Sが装着されたキャリアJを保管し、保管するキャリアJを供給し、キャリアJを回収する機能を有している。また、下受け部材供給装置M2は、上流から基板Bを受け取って、下流に搬出する機能を有している。
【0032】
図5において、下受け部材供給装置M2は、筐体30の内部に、ストッカ31と、ストッカ31を昇降(矢印e)させる駆動部32と、供給制御部33を備えている。駆動部32は、供給制御部33によって制御される。
【0033】
筐体30のX軸方向の上流側の側面であって、第1コンベア装置M1の基板搬送機構4と印刷装置M3の基板搬送機構6が基板Bを搬送する高さであるライン高さHには、基板BまたはキャリアJを下受け部材供給装置M2に搬入し、あるいは搬出するための筐体上流開口30aが形成されている。同様に、筐体30のX軸方向の下流側の側面のライン高さHには、基板BまたはキャリアJを下受け部材供給装置M2に搬入し、あるいは搬出するための筐体下流開口30bが形成されている。
【0034】
図5において、ストッカ31の最下部には、通過部34が配置されている。通過部34の上方には、3つの載置部35(1)、載置部35(2)、載置部35(3)が下からこの順番で垂直方向に並んで配置されている。通過部34、載置部35(1)~35(3)は、周回するコンベアベルト36によって基板BまたはキャリアJをX軸に沿って上流または下流に搬送(矢印f)する一対の搬送コンベアをそれぞれ備えている。通過部34、載置部35(1)~35(3)の一対の搬送コンベアは、供給制御部33によって制御される。
【0035】
筐体30のX軸方向の上流側の側面であって、通過部34、載置部35(1)~35(3)が基板BまたはキャリアJを搬入し、あるいは搬出する位置には、ストッカ上流開口31aが形成されている。筐体30のX軸方向の下流側の側面であって、通過部34、載置部35(1)~35(3)が基板BまたはキャリアJを搬入し、あるいは搬出する位置には、ストッカ下流開口31bが形成されている。
【0036】
図5図6(a)において、駆動部32によってライン高さHに移動した通過部34は、供給制御部33によって制御される供給コンベア幅変更機構(図示省略)によって、搬送する基板Bの幅に応じて一対の搬送コンベアの間隔が変更される。通過部34は、ライン高さHにおいて、第1コンベア装置M1から搬出された基板Bを受け取り(矢印g1)、一時保管し、印刷装置M3に受け渡す(矢印g2)。このように、通過部34は、載置部35(1)~35(3)に対して垂直方向(Z軸方向)に設けられ、印刷装置M3とは反対側(上流)から搬送された基板Bを印刷装置M3の側(下流)に通過させてラインLへ供給する。
【0037】
図5において、載置部35(1)~35(3)には、下受け部材Sを保持するキャリアJ、または下受け部材Sを保持していないキャリアJ(以下、単に「空のキャリアJ」などと称する。)が載置されている。駆動部32によってライン高さHに移動した載置部35(1)~35(3)は、ラインLへキャリアJを供給し、あるいはラインLからキャリアJを回収する。
【0038】
図5の例では、載置部35(1)には、空のキャリアJ(1)が載置されている。載置部35(2)には、下受け部材S(2)を保持するキャリアJ(2)が載置されている。載置部35(3)には、下受け部材S(3)を保持するキャリアJ(3)が載置されている。また、図6の例では、印刷装置M3には下受け部材S(1)が装着されている。
【0039】
図5において、下受け部材SのY軸方向の側面には、下受け部材Sを特定する情報を示すバーコードや2次元コードなどのラベルCが付されている。下受け部材供給装置M2には、ライン高さHに移動した載置部35(1)~35(3)に載置されるキャリアJ(1)~J(3)に保持された下受け部材S(1)~S(3)に付されたラベルCの情報を取得するリーダなどの情報取得部8が配置されている(図1も参照)。情報取得部8は、供給制御部33によって制御されている。
【0040】
供給制御部33は、情報取得部8が取得したラベルCに含まれる情報に基づいて、載置部35(1)~35(3)と下受け部材S(2)~S(3)が対応する情報を生成し、管理コンピュータ3または印刷装置M3に送信する。なお、供給制御部33は、情報取得部8が取得したラベルCに含まれる情報を管理コンピュータ3または印刷装置M3に送信し、管理コンピュータ3または印刷制御部14が、載置部35(1)~35(3)と下受け部材S(2)~S(3)が対応する情報を生成してもよい。管理コンピュータ3は、記憶する下受け部材S(1)~S(3)に対応する情報に基づいて、下受け部材S(1)~S(3)を回収し、供給するための指令を下受け部材供給装置M2および印刷装置M3に送信する。
【0041】
このように、情報取得部8は、下受け部材供給装置M2の所定位置において、ラベルCに含まれる下受け部材Sに対応する情報を取得する。具体的には、情報取得部8は、載置部35(1)(第1の載置部)に載置された下受け部材S(1)(第1の下受け部材)に対応する第1の情報、および載置部35(2)(第2の載置部)に載置された下受け部材S(2)(第2の下受け部材)に対応する第2の情報を所定位置において取得する。また、下受け部材Sを特定する情報を取得する情報取得部8(リーダ)を配線等によって印刷装置M3に接続し、印刷装置M3の印刷制御部14が下受け部材Sに対応する情報を取得する構成であってもよい。
【0042】
また、供給制御部33は、ラベルCに含まれる情報に基づいて、載置部35(1)~35(3)と下受け部材S(1)~S(3)が対応する情報を生成する。具体的には、供給制御部33(制御部)は、第1の情報および第2の情報に基づいて、載置部35(1)(第1の載置部)と下受け部材S(1)(第1の下受け部材)が対応する情報と載置部35(2)(第2の載置部)と下受け部材S(2)(第2の下受け部材)が対応する情報を生成する。そして、供給制御部33は、第1の情報および第2の情報に基づいて駆動部32を動作させて、供給可能な位置(ライン高さH)に下受け部材S(1)および下受け部材S(2)を移動させる。なお、ラベルCは、キャリアJ(1)~J(3)の側面に付されていてもよい。
【0043】
次に、図6図7(a)を参照して、基板B1(第1の品種の基板)に対応する下受け部材S(1)(第1の下受け部材)が装着された印刷装置M3における基板B1に対する印刷が終了し、使用済みの下受け部材S(1)を下受け部材供給装置M2に回収する下受け部材回収処理について説明する。下受け部材回収処理は、下受け部材供給装置M2の供給制御部33と印刷装置M3の印刷制御部14が、各部を制御することによって実行される。
【0044】
図6(b)において、基板B1に対する印刷が終了すると、供給制御部33は、駆動部32を動かして空のキャリアJ(1)を載置する載置部35(1)(第1の載置部)をライン高さHに移動させる(矢印h1)。また、印刷制御部14は、印刷コンベア幅変更機構によって一対の搬送コンベア20の間隔をキャリアJ(1)の幅に変更する。
【0045】
図6(c)において、次いで供給制御部33は、載置部35(1)の一対の搬送コンベアを動作させて、空のキャリアJ(1)を下受け部材供給装置M2からラインLに搬出させる。また、印刷制御部14は、一対の搬送コンベア20を作動させて、空のキャリアJ(1)を下受け部材保持部21の上方まで搬送させる(矢印h2)。次いで印刷制御部14は、下受け部材取外し処理を実行して、下受け部材保持部21に装着されていた使用済みの下受け部材S(1)を取り外して、下受け部材S(1)をキャリアJ(1)に装着させる(図3(a)~図3(e)参照)。
【0046】
図7(a)において、次いで印刷制御部14は、一対の搬送コンベア20を作動させて、下受け部材S(1)を保持するキャリアJ(1)を印刷装置M3からラインLに搬出させる。また、供給制御部33は、載置部35(1)の一対の搬送コンベアを動作させて、下受け部材S(1)を保持するキャリアJ(1)を載置部35(1)に回収させる(矢印h3)。
【0047】
このように、供給制御部33(制御部)は、第1の品種(基板B1)の生産が完了後、ラインLへ下受け部材Sを供給可能な位置(ライン高さH)において第1の載置部(載置部35(1))を動作させて、印刷装置M3からラインLに搬出されたキャリアJ(1)に保持された第1の下受け部材(下受け部材S(1))を第1の載置部に回収させる(矢印h3)。
【0048】
次に、図7(b)、図7(c)、図8を参照して、第1の品種とは異なる第2の品種に対応する下受け部材S(2)(第2の下受け部材)を印刷装置M3に供給する下受け部材供給処理について説明する。下受け部材供給処理は、下受け部材供給装置M2の供給制御部33と印刷装置M3の印刷制御部14が、各部を制御することによって実行される。
【0049】
図7(b)において、下受け部材S(1)(第1の下受け部材)の回収が完了すると、供給制御部33は駆動部32を動かして、下受け部材S(2)を保持するキャリアJ(2)を載置する載置部35(2)(第2の載置部)をライン高さHに移動させる(矢印i1)。
【0050】
図7(c)において、次いで供給制御部33は、載置部35(2)の一対の搬送コンベアを動作させて、下受け部材S(2)を保持するキャリアJ(2)を下受け部材供給装置M2からラインLに搬出させる。また、印刷制御部14は、一対の搬送コンベア20を作動させて、下受け部材S(2)を保持するキャリアJ(2)を下受け部材保持部21の上方まで搬送させる(矢印i2)。
【0051】
図8(a)において、次いで印刷制御部14は、下受け部材取付け処理を実行して、キャリアJ(2)が保持する下受け部材S(2)を取り外して、下受け部材保持部21に装着させる(図4(b)~図4(e)参照)。
【0052】
図8(b)において、次いで印刷制御部14は、一対の搬送コンベア20を作動させて、空のキャリアJ(2)を印刷装置M3からラインLに搬出させる。また、供給制御部33は、載置部35(2)の一対の搬送コンベアを動作させて、空のキャリアJ(2)を載置部35(2)に回収させる(矢印i3)。
【0053】
図8(c)において、次いで供給制御部33は、駆動部32を動かして通過部34をライン高さHに移動させる(矢印i4)。また、印刷制御部14は、印刷コンベア幅変更機構によって一対の搬送コンベア20の間隔を第2の品種の基板の幅に変更する。これによって、印刷装置M3において第2の品種の生産を実行する準備が完了する。
【0054】
このように、供給制御部33(制御部)は、第1の下受け部材(下受け部材S(1))の回収が完了すると、駆動部32を動かして、第2の載置部(載置部35(2))をラインLに供給可能な位置(ライン高さH)に移動させ(矢印i1)、供給可能な位置において、第2の載置部(載置部35(2))を動作させてキャリアJ(2)に保持された第2の下受け部材(下受け部材S(2))をラインLへ供給させる。
【0055】
次に、図9に示すフローに沿って、図面を参照しながら下受け部材供給装置M2によって印刷装置M3から下受け部材S(1)を回収する下受け部材回収方法について説明する。第1の品種(基板B1)の生産が完了後、印刷制御部14は、印刷コンベア幅変更機構によって一対の搬送コンベア20の間隔を空のキャリアJ(1)の幅に変更する(ST1)。次いで供給制御部33は、駆動部32によって空のキャリアJ(1)を載置する載置部35(1)を垂直方向に動かしてライン高さHに移動させる(ST2)(図6(b))。
【0056】
次いで供給制御部33は、載置部35(1)の一対の搬送コンベアを動作させて、空のキャリアJ(1)をラインLに搬出させる(ST3)(図6(c))。次いで印刷装置M3において下受け部材取外し処理を実行し、キャリアJ(1)に下受け部材S(1)が装着させる(ST4)(図3(a)~図3(e))。次いで供給制御部33は、載置部35(1)の一対の搬送コンベアを動作させて、下受け部材S(1)を保持するキャリアJ(1)を載置部35(1)に回収させる(ST5)(図7(a))。
【0057】
次に、図10に示すフローに沿って、図面を参照しながら下受け部材供給装置M2によって印刷装置M3に対して下受け部材S(2)を供給する下受け部材供給方法について説明する。下受け部材S(1)の回収が完了すると、供給制御部33は駆動部32を動かして、下受け部材S(2)を保持するキャリアJ(2)が載置される載置部35(2)を垂直方向に動かして、ライン高さHに移動させる(ST11)(図7(b))。次いで供給制御部33は、載置部35(2)の一対の搬送コンベアを動作させて、ライン高さH(供給可能な位置)において下受け部材S(2)を保持するキャリアJ(2)をラインLに搬出させる(ST12)(図7(c))。
【0058】
次いで印刷装置M3において下受け部材取付け処理を実行し、キャリアJ(2)が保持する下受け部材S(2)を取り外して、印刷装置M3に装着させる(ST13)(図4(b)~図4(e))。次いで供給制御部33は、載置部35(2)の一対の搬送コンベアを動作させて、空のキャリアJ(2)を載置部35(2)に回収させる(ST14)(図8(b))。次いで供給制御部33は、駆動部32を動かして通過部34をライン高さHに移動させる(ST15)(図8(c))。次いで印刷制御部14は、印刷コンベア幅変更機構によって一対の搬送コンベア20の間隔を下受け部材S(2)に対応する基板の幅に変更する(ST16)。
【0059】
上記説明したように、本実施の形態の下受け部材供給装置M2は、下受け部材Sが載置される載置部35(1)~35(3)と、載置部35(1)~35(3)を垂直方向に動かして、基板Bを搬送するラインLへ下受け部材Sを供給可能な位置(ライン高さH)へ下受け部材Sを移動させる駆動部32と、供給可能な位置において、載置部35(1)~35(3)を動作させて下受け部材SをラインLへ供給させる供給制御部33(制御部)を有する。これによって、下受け部材供給装置M2を小さな設置面積で実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の下受け部材供給装置および下受け部材供給方法は、小さな設置面積で実現することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0061】
8 情報取得部
10 マスク
10h パターン孔
24 スキージ
32 駆動部
33 供給制御部(制御部)
34 通過部
35(1)~35(3) 載置部
B、B1 基板
H ライン高さ(供給可能な位置)
J、J(1)~J(3) キャリア
L ライン
M2 下受け部材供給装置
M3 印刷装置
P ペースト
S、S(1)~S(3) 下受け部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10