(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148229
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】通信制御装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0446 20230101AFI20241010BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20241010BHJP
H04W 28/08 20230101ALI20241010BHJP
H04L 1/00 20060101ALI20241010BHJP
H04J 3/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H04W72/0446
H04W28/18
H04W28/08
H04L1/00 E
H04J3/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061177
(22)【出願日】2023-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【テーマコード(参考)】
5K014
5K028
5K067
【Fターム(参考)】
5K014FA11
5K028BB04
5K028CC05
5K028LL00
5K067AA12
5K067DD23
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE71
5K067GG03
(57)【要約】
【課題】通信端末に対して無線リソースをより効率よく割り当てることを目的とする。
【解決手段】
複数の通信端末2に対して無線リソースの割り当て単位であるリソースブロックを割り当てる通信制御装置1であって、各々が任意時刻で発信信号を発信する複数の通信端末2に関する情報を収集するように構成された収集部10と、複数の通信端末2の各々が発信信号を発信した任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、複数の通信端末2の各々に割り当てるリソースブロックを決定するように構成された決定部111と、複数の通信端末2の各々に、決定されたリソースブロックに関する情報を通知するように構成された通知部13とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末に対して無線リソースの割り当て単位であるリソースブロックを割り当てる通信制御装置であって、
各々が任意時刻で発信信号を発信する前記複数の通信端末に関する情報を収集するように構成された収集部と、
前記複数の通信端末の各々が前記発信信号を発信した前記任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定するように構成された決定部と、
前記複数の通信端末の各々に、決定された前記リソースブロックに関する情報を通知するように構成された通知部と
を備える通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
前記決定部は、前記複数の通信端末の各々にランダムに複数のリソースブロックの各々が割り当てられた場合に各リソースブロックで発信する通信端末の台数を、前記未知の入力として前記学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信制御装置において、
さらに、各々が前記任意時刻で前記発信信号を発信する前記複数の通信端末について、複数のリソースブロックの各々で発信する通信端末の台数が、前記複数のリソースブロックの各々で均等な目標台数に一致するように、機械学習モデルを学習するように構成された学習部と、
前記学習部によって構築された、前記学習済みの機械学習モデルを記憶するように構成された記憶部と
を備え、
前記決定部は、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信制御装置において、
前記機械学習モデルは、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークであり、
前記出力層の出力ノードの数は、前記リソースブロックの総数に対応する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通信制御装置において、
前記学習部は、前記リソースブロックの総数を変更して、ネットワーク構造を調整した前記ニューラルネットワークのパラメータの学習をさらに行い、
前記決定部は、前記学習部が前記ネットワーク構造を調整して学習を行った結果に基づいて、最適な前記リソースブロックの総数を決定し、決定された前記リソースブロックの総数に対応するネットワーク構造を有する学習済みのニューラルネットワークの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通信制御装置において、
前記収集部は、所定の通信規格のコアネットワークに含まれる、加入者情報を管理する統合データリポジトリから前記複数の通信端末に関する情報を収集する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信制御装置において、
前記収集部は、所定の通信規格のコアネットワークに含まれる、ユーザープレーン機能またはパケットデータ・ネットワーク・ゲートウェイから前記複数の通信端末に関する情報を収集する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信制御装置において、
前記通知部は、前記所定の通信規格の前記コアネットワークに含まれる、ショートメッセージサービスセンターを介して、前記複数の通信端末の各々に、決定された前記リソースブロックに関する情報を通知する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の通信制御装置において、
前記リソースブロックは、時分割多重接続におけるタイムスロットであり、
前記タイムスロットの各々では、前記目標台数の前記複数の通信端末が発信可能である
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項10】
複数の通信端末に対して無線リソースの割り当て単位であるリソースブロックを割り当てる通信制御方法であって、
各々が任意時刻で発信信号を発信する前記複数の通信端末に関する情報を収集する第1ステップと、
前記複数の通信端末の各々が前記発信信号を発信した前記任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定する第2ステップと、
前記複数の通信端末の各々に、決定された前記リソースブロックに関する情報を通知する第3ステップと
を備える通信制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の通信制御方法において、
前記第2ステップは、前記複数の通信端末の各々にランダムに複数のリソースブロックの各々が割り当てられた場合に各リソースブロックで発信する通信端末の台数を、前記未知の入力として前記学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定する
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の通信制御方法において、
さらに、各々が前記任意時刻で前記発信信号を発信する前記複数の通信端末について、複数のリソースブロックの各々で発信する通信端末の台数が、前記複数のリソースブロックの各々で均等な目標台数に一致するように、機械学習モデルを学習する第4ステップと、
前記第4ステップで構築された、前記学習済みの機械学習モデルを記憶部に記憶する第5ステップと
を備え、
前記第2ステップは、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置および通信制御方法に関し、特に、通信端末に対して無線リソースの割り当てを行う通信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末が通信を開始する際やデータの送受信を開始する際において、通信端末に対する無線リソースの割り当てをランダムに行う技術が知られている(特許文献1)。限られた無線リソースを効率的に使用するためには、一定のタイミング衝突を前提としつつ、通信端末が任意のタイミングで送信を試みる仕組みが採用されている。このような仕組みによりランダムに発信タイミングが決定される場合には、無線リソースが割り当てられず呼損となった通信端末については、リトライにより救済される。
【0003】
通信端末が通信を開始するタイミングにはばらつきがあるため、従来の技術によりランダムに発信タイミングが決定される仕組みでは、無線リソースが割り当てられず呼損となる通信端末の数にもばらつきが生ずる。無線リソースを増加させることは、基地局やコアネットワークにおける設備容量に関係する。そのため、無線リソースの増加により通信を開始しようとする全ての通信端末をコアネットワーク側で受け付け可能とするにはコストが膨大となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の技術では、通信端末の発信タイミングをランダムに決定するため、呼損となる通信端末の数にはばらつきがあり、通信端末に対して無線リソースを効率よく割り当てることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、通信端末に対して無線リソースをより効率よく割り当てることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信制御装置は、複数の通信端末に対して無線リソースの割り当て単位であるリソースブロックを割り当てる通信制御装置であって、各々が任意時刻で発信信号を発信する前記複数の通信端末に関する情報を収集するように構成された収集部と、前記複数の通信端末の各々が前記発信信号を発信した前記任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定するように構成された決定部と、前記複数の通信端末の各々に、決定された前記リソースブロックに関する情報を通知するように構成された通知部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記決定部は、前記複数の通信端末の各々にランダムに複数のリソースブロックの各々が割り当てられた場合に各リソースブロックで発信する通信端末の台数を、前記未知の入力として前記学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定してもよい。
【0009】
また、本発明に係る通信制御装置において、さらに、各々が前記任意時刻で前記発信信号を発信する前記複数の通信端末について、複数のリソースブロックの各々で発信する通信端末の台数が、前記複数のリソースブロックの各々で均等な目標台数に一致するように、機械学習モデルを学習するように構成された学習部と、前記学習部によって構築された、前記学習済みの機械学習モデルを記憶するように構成された記憶部とを備え、前記決定部は、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0010】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記機械学習モデルは、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークであり、前記出力層の出力ノードの数は、前記リソースブロックの総数に対応してもよい。
【0011】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記学習部は、前記リソースブロックの総数を変更して、ネットワーク構造を調整した前記ニューラルネットワークのパラメータの学習をさらに行い、前記決定部は、前記学習部が前記ネットワーク構造を調整して学習を行った結果に基づいて、最適な前記リソースブロックの総数を決定し、決定された前記リソースブロックの総数に対応するネットワーク構造を有する学習済みのニューラルネットワークの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定してもよい。
【0012】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記収集部は、所定の通信規格のコアネットワークに含まれる、加入者情報を管理する統合データリポジトリから前記複数の通信端末に関する情報を収集してもよい。
【0013】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記収集部は、前記所定の通信規格の前記コアネットワークに含まれる、ユーザープレーン機能またはパケットデータ・ネットワーク・ゲートウェイから前記複数の通信端末に関する情報を収集してもよい。
【0014】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記通知部は、所定の通信規格のコアネットワークに含まれる、ショートメッセージサービスセンターを介して、前記複数の通信端末の各々に、決定された前記リソースブロックに関する情報を通知してもよい。
【0015】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記リソースブロックは、時分割多重接続におけるタイムスロットであり、前記タイムスロットの各々では、前記目標台数の前記複数の通信端末が発信可能であってもよい。
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信制御方法は、複数の通信端末に対して無線リソースの割り当て単位であるリソースブロックを割り当てる通信制御方法であって、各々が任意時刻で発信信号を発信する前記複数の通信端末に関する情報を収集する第1ステップと、前記複数の通信端末の各々が前記発信信号を発信した前記任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定する第2ステップと、前記複数の通信端末の各々に、決定された前記リソースブロックに関する情報を通知する第3ステップとを備える。
【0017】
また、本発明に係る通信制御方法において、前記第2ステップは、前記複数の通信端末の各々にランダムに複数のリソースブロックの各々が割り当てられた場合に各リソースブロックで発信する通信端末の台数を、前記未知の入力として前記学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記複数の通信端末の各々に割り当てる前記リソースブロックを決定してもよい。
【0018】
また、本発明に係る通信制御方法において、さらに、各々が前記任意時刻で前記発信信号を発信する前記複数の通信端末について、複数のリソースブロックの各々で発信する通信端末の台数が、前記複数のリソースブロックの各々で均等な目標台数に一致するように、機械学習モデルを学習する第4ステップと、前記第4ステップで構築された、前記学習済みの機械学習モデルを記憶部に記憶する第5ステップとを備え、前記第2ステップは、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の通信端末の各々が発信信号を発信した任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、複数の通信端末の各々に割り当てるリソースブロックを決定する。そのため、通信端末に対して無線リソースをより効率よく割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信制御装置を含む通信制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る通信制御装置の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る通信制御装置の概要を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る学習部による学習処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る通信制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る通信制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る通信制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施の形態に係る通信制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1から
図8を参照して詳細に説明する。
【0022】
[通信制御システムの構成]
まず、本発明の実施の形態に係る通信制御装置1を備える通信制御システムの概要について説明する。
図1に示すように、通信制御システムは、通信制御装置1、複数の通信端末2a,2b,・・・,2m、基地局3、およびコアネットワーク4を備える。本実施の形態では、時分割多重接続(TDMA)のアップリンク方向において、一つの周波数に対して分割した時間であるタイムスロットを各通信端末2a,2b,・・・,2mに割り当てる場合を例示して説明する。
【0023】
また、本実施の形態において、通信端末2a,2b,・・・,2mが送信する発信信号は、C-Plane(Control Plane)で処理される制御信号、およびU-Plane(User Plane)で処理されるデータ信号が含まれる。制御信号には、通信端末2a,2b,・・・,2mが通信を開始するために、在圏する基地局3を介してコアネットワーク4に送信する位置登録信号が含まれる。また、データ信号には、通信端末2a,2b,・・・,2mが送信するテキスト、音声、画像などのユーザーデータが含まれる。
【0024】
また、C-Planeで処理される位置登録信号に対して、K個のタイムスロットが設けられる。さらに、U-Planeで処理されるデータ信号に対して、S個のタイムスロットが設けられる。さらに、K個のタイムスロットの各々で受け付け可能な通信端末2a,2b,・・・,2mの数はN台である。また、S個のタイムスロットの各々で受け付け可能な通信端末2a,2b,・・・,2mの台数はU台である。また、タイムスロットの総数は、コアネットワーク4の設備容量の範囲内で設定される。
【0025】
通信端末2a,2b,・・・,2mは、SIMを備えるスマートフォンなどの携帯通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)により実現される。また、通信端末2a,2b,・・・,2mは、固有のIPアドレスを持ちインターネットに接続可能なIoTデバイスによっても実現される。以下においては、M台の通信端末2a,2b,・・・,2mの各々が、任意の時刻でC-Planeで処理される位置登録信号を一斉にコアネットワーク4に発信する場合を例に挙げて説明する。なお、以下において、通信端末2a,2b,・・・,2mを区別しない場合には、通信端末2と総称する場合がある。
【0026】
基地局3は、LTE方式の無線通信に対応した無線基地局、および5G方式に対応した無線基地局で構成される。基地局3は、在圏する通信端末2a,2b,・・・,2mとコアネットワーク4との間の通信を中継する。
【0027】
コアネットワーク4は、5GのSA(Stand Alone)方式、およびNSA(Non Stand Alone)方式のコアネットワークで構成される。コアネットワーク4は、通信端末2a,2b,・・・,2mが基地局3を介して送信する位置登録信号やデータ信号などの発信信号を処理する。本実施の形態に係るコアネットワーク4は、3GPP TS 23.501, 4.3. Interworking with EPCで規定されている「Figure 4.3.1-1: Non-roaming architecture for interworking between 5GS and EPC/E-UTRAN」や「Figure 4.3.2-2: Home-routed roaming architecture for interworking between 5GS and EPC/E-UTRAN」などのアーキテクチャで構成される。なお、
図1では、上記3GPP TS 23.501において規定されているアーキテクチャの構成の一部を省略している。
【0028】
図1に示すように、コアネットワーク4は、NSA方式のアーキテクチャおよびSA方式のアーキテクチャを構成する各装置がネットワークLを介して接続されている。コアネットワーク4は、NSA方式のアーキテクチャとして、MME(Mobility Management Entity)400、DEA(Diameter Edge Agent)401、SGW(Serving Gateway)402、HSS(Home Location Subscriber Service)403、PGW-U(Packet Data Network Gateway)404、およびSMSC(Short Message Service Center)405を備える。
【0029】
MME400は、制御信号を扱い、通信端末2の情報の管理や認証、基地局3とSGW402との間で制御信号のやり取りを行いデータ転送経路の管理を行う装置である。
【0030】
DEA401は、Diameterによる認証プロトコルに基づいた通信制御を行うためのネットワーク機能である。
【0031】
SGW402は、ユーザのパケットデータを取り扱い、基地局間、システム間のデータ中継処理などを行うゲートウェイである。
【0032】
HSS403は、通信事業者が加入者に発行したSIMカードの情報を管理するデータベースである。
【0033】
PGW-U404は、ユーザのパケットデータを取り扱い、各データにIPアドレスの割り当てや、SGW402へのパケット転送などを行うLTE網と外部のインターネットIとの接続ポイントとなるパケットデータ・ネットワーク・ゲートウェイである。本実施の形態では、PGW-U404は、通信制御装置1との通信を行うインターフェース404aを備える。PGW-U404は、通信端末2によって任意の時刻に送信されたデータ信号の発信タイムスタンプ(ms単位)を保持している。
【0034】
SMSC405は、通信端末2から送信されたデータを保管するサーバとして機能するショートメッセージサービスセンターである。本実施の形態では、SMSC405は、通信制御装置1との通信を行うインターフェース405aを備える。
【0035】
MME400、DEA401、HSS403、およびSMSC405はC-Planeの処理機能を提供する。また、SGW402、およびPGW-U404は、U-Planeの処理機能を提供する。
【0036】
次に、コアネットワーク4を構成するSA方式のアーキテクチャとして、
図1に示すように、AMF(Access and Mobility Management Function)406、SMSF(Short Message Service Function)407、UPF(User Plane Function)408、およびUDM(Unified Data Management)409を備える。さらに、コアネットワーク4は、UDR(Unified Data Repository)410を備える。
【0037】
AMF406は、通信端末2の登録や無線接続などの移動管理を行う装置である。
【0038】
SMSF407は、NAS(Non-Access Stratum)を介してAMF406とのSMSメッセージの送受信の処理を行う。
【0039】
UPF408は、外部のインターネットIに接続し、ユーザーデータのパケット転送を行うユーザープレーン機能に係る装置である。本実施の形態では、UPF408は、通信制御装置1との通信を行うインターフェース408aを備える。UPF408には、通信端末2によって任意の時刻に送信されたデータ信号の発信タイムスタンプ(ms単位)が保持されている。
【0040】
UDM409は、通信事業者が加入者に発行したSIMカードの情報を管理するデータベースであり、NSA方式の構成として説明したHSS403に対応する。
【0041】
UDR410は、通信端末2の加入者情報や在圏情報など、アプリケーションやシステムの設定情報を管理記録する統合データリポジトリである。UDR410は、通信制御装置1との通信を行うインターフェース410aを備える。UDR410には、HSS403およびUDM409において管理および記録されている通信端末2が任意の時刻に送信した位置登録信号の発信タイムスタンプ(ms単位)が記憶されている。
【0042】
AMF406、SMSF407、およびUDM409は、C-Planeの処理機能を提供し、UPF408は、U-Planeの処理機能を提供する。
【0043】
図2に示すように、タイムスロットの各々で受け付け可能な通信端末2の台数はN台であり、コアネットワーク4全体で受け付け可能な通信端末2の台数は、n台(N×タイムスロットの総数)である。通信端末2の台数mとコアネットワーク4全体で受け付け可能な台数nとの関係は、m>nとなる。したがって、m台の通信端末2が一斉に発信信号を発信した場合には、m-n台の通信端末2において呼損となる。
【0044】
前述したように、従来例においては、m台の通信端末2に対してランダムにタイムスロットを割り当てていたため、m-n台よりも多い台数の通信端末2において呼損が生ずる場合があった。これに対し、本実施の形態に係る通信制御装置1では、機械学習を利用して、各タイムスロットに均等にN台の通信端末2が割り当てられるタイムスロットの数を決定し、呼損となる通信端末2の数を抑える。
【0045】
[通信制御装置の機能ブロック]
通信制御装置1は、収集部10、演算部11、機械学習(ML)モデル記憶部12、および通知部13を備える。通信制御装置1は、複数の通信端末2に対して無線リソースの割り当て単位であるタイムスロット(リソースブロック)を割り当てる。
【0046】
収集部10は、各々が任意時刻で発信信号を発信する通信端末2a,2b,・・・,2mに関する情報を収集する。より具体的には、収集部10は、位置登録信号またはデータ信号を送信した通信端末2a,2b,・・・,2mの識別情報、および位置登録信号またはデータ信号の発信日時である発信タイムスタンプ(ms単位)を収集する。
【0047】
収集部10は、コアネットワーク4のUDR410から、通信端末2a,2b,・・・,2mが送信した位置登録信号の発信タイムスタンプを収集する。また、収集部10は、コアネットワーク4のUPF408およびPGW-U404から、通信端末2a,2b,・・・,2mが送信したデータ信号の発信タイムスタンプを収集する。
【0048】
なお、収集部10が収集する通信端末2a,2b,・・・,2mの発信タイムスタンプには、通信端末2の各々に対してランダムに割り当てられるタイムスロットに関する情報が付されていてもよい。各通信端末2にランダムに割り当てられるタイムスロットに係る情報を、通信端末2の各々が発信信号を発信する任意時刻に関する情報として扱うことができる。また、本実施の形態に係る通信制御装置1は、例えば、従来の技術により、通信端末2に対してランダムにタイムスロットの割り当て情報が付された通信端末2に対して、新たにタイムスロットの割り当てを決定する構成とすることができる。
【0049】
演算部11は、学習部110と決定部111とを備える。演算部11は、タイムスロットの総数を決定し、M台の通信端末2の各々に割り当てるタイムスロットを決定する。
【0050】
学習部110は、各々が任意時刻で発信信号を発信する複数の通信端末2について、複数のタイムスロットの各々で発信する通信端末2の台数が、複数のタイムスロットの各々で均等な目標台数Nに一致するように、機械学習モデルを学習する。
【0051】
学習部110は、タイムスロットの総数を設定し、機械学習モデルの出力変数とすることができる。学習部110は、タイムスロットの総数の初期値Kiとして、コアネットワーク4の設備容量を考慮したタイムスロットの数を採用することができる。学習部110は、タイムスロットの総数の初期値Kiに応じた出力変数が設定された機械学習モデルのモデル構造で学習処理を行う。さらに、学習部110は、タイムスロットの総数を初期値KiからKi+1、Ki+2、・・・、Ki+nに変更し、モデル構造を調整し、さらに学習処理を繰り返し行う。
【0052】
図4は、学習部110が学習を行う機械学習モデルの一例として採用する、ニューラルネットワーク構造を示す。ニューラルネットワークは、入力層x、隠れ層h、および出力層yを備える。
図4の例では入力ノードおよび出力ノードの数は同数であり、これらは、タイムスロット#1、#2、・・・、#K
iに対応する。本実施の形態では、入力ノードおよび出力ノードの数がタイムスロットの総数K
iに対応し、設定されたK
i個の入力ノードx
kiおよび出力ノードy
kiを有するニューラルネットワークモデルの学習を行う。
【0053】
学習部110は、各々が任意時刻で位置登録信号を発信し、各タイムスロットにランダムに割り当てられる通信端末2の台数をニューラルネットワークの入力層に与え、入力の重み付け総和に活性化関数を適用し、閾値処理により決定された出力を出力層に渡す。出力層の各出力ノードは、各タイムスロットに対応し、各出力ノードの値が、各タイムスロットで発信する通信端末2の台数Nとなる。
【0054】
隠れ層hのレイヤ数、およびニューラルネットワークのノード間の結合の疎密を含む機械学習モデルのサイズや要素は、十分な推論精度が得られる設計であれば限定されず、例えば、ノード間の結合として全結合あるいはスパース化した構造であってもよい。
【0055】
図4に示すように、入力層の各入力ノードおよび出力ノードは、上から順に、タイムスロット#1からタイムスロット#K
iに対応する。また、各入力ノードには、K
i個のタイムスロットの各々にランダムに割り当てられた通信端末2の台数が入力値xとして与えられる。また、各入力ノードの入力値である、通信端末2の台数を構成する各通信端末2に関する情報には、通信端末2の識別子と発信日時とが関連付けられた情報が含まれる。また、各出力ノードからの出力値yは、固定値Nとされる。学習部110は、次の式(1)に示す目的関数Eを導入することで、M台の通信端末2からの発信信号があった場合に、K
i個のタイムスロットの各々で均等にN台の通信端末2が発信するように、ニューラルネットワークのパラメータを学習する。
【0056】
【0057】
上式(1)において、y1,y2,・・・,ykiは各出力ノードの出力値、Nは正解ラベル、およびkiはデータの次元であり、本実施の形態では、設定されたタイムスロットの数を示す。上式(1)の目的関数Eの値は、機械学習モデルの上記入力値x1,x2,・・・,xkiである、Ki個のタイムスロットの各々にランダムに割り当てられた通信端末2の台数に対する出力値y1,y2,・・・,ykiが目標出力Nに一致する場合に0となる。学習部110は、目的関数Eが最小、つまり0となるように、ニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。
【0058】
学習部110は、誤差逆伝搬法や確率的勾配降下法などを用いて、目的関数Eを勾配法で最適化することができる。さらに、学習部110は、入力ノードの数、つまり、タイムスロットの数KiをKi++1に更新し、更新されたネットワーク構造において、目的関数Eが最小となるようにニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。このように、学習部110は、タイムスロットの総数を調整しながら、学習処理を繰り返す。
【0059】
決定部111は、学習部110がニューラルネットワークのネットワーク構造を調整して学習を行った結果に基づいて、最適なタイムスロットの総数Kを決定する。例えば、決定部111は、タイムスロットの総数Ki,Ki+1,・・・,Ki+nにそれぞれ対応する入出力ノード数を有するニューラルネットワークのうち、学習結果が最適となったネットワーク構造の入出力ノード数、つまり、各出力ノードからの出力値が最も平準化するタイムスロットの総数を採用することができる。
【0060】
また、決定部111は、複数の通信端末2の各々が発信信号を発信した任意時刻に関する情報を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、複数の通信端末2の各々に割り当てるタイムスロットを決定する。
【0061】
より具体的には、決定部111は、任意時刻で位置登録信号を発信するM台の通信端末2の各々にランダムに複数のタイムスロットの各々を割り当てた場合に各タイムスロットで受け付けられる通信端末2の台数を、未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、複数の通信端末2の各々に割り当てるタイムスロットを決定する。なお、
図3の(a)で後述するように、通信端末2にランダムにタイムスロットを割り当てた場合に各タイムスロットで発信する通信端末2の台数においては、未知の偏りを有する。
【0062】
ここで、
図3の(a)は、M台の通信端末2の各々に対してタイムスロットがランダムに割り当てられる従来例の場合に、タイムスロット#1、#5、#8において呼損が生ずることを模式的に示している。
図3において、各黒丸点の高さは、各タイムスロットが割り当てられた通信端末2の台数を示している。
【0063】
一方、
図3の(b)は、本実施の形態の通信制御装置1が備える演算部11が、各タイムスロットでN台の通信端末2が発信できる最適なタイムスロットの総数Kを決定することで呼損の発生を抑制することを模式的に示している。このように、各タイムスロットに偏りをもった台数の通信端末2が割り当てられる場合であっても、本実施の形態の通信制御装置1により、それぞれのタイムスロットでの受付台数を平準化するため、無線リソースをより効率的に利用することが可能となる。
【0064】
図1に戻り、MLモデル記憶部12は、学習部110によって得られた、学習済みの機械学習モデルの学習済みのパラメータを記憶する。本実施の形態では、MLモデル記憶部12は、ニューラルネットワークの学習済み重み、および、入出力ノードの数、つまり決定されたタイムスロットの総数K、を記憶する。
【0065】
通知部13は、演算部11において決定された各通信端末2に割り当てるタイムスロットの識別子に基づいて、M台の通信端末2の各々に対して、発信タイミングを通知する。具体的には、通知部13は、通信端末2の各々に対して、SA(Stand Alone)SMS-MT(Short Message Service Mobile Terminated)ルート、または、NSA(Non Stand Alone)SMS-MTルートによりタイムスロット番号を通知する。
【0066】
SA SMS-MTルートの場合には、通知部13は、コアネットワーク4のSMSC405のインターフェース405aを介して、DEA401、SMSF407、AMF406を経由して、通信端末2に対して、タイムスロットの割り当て情報を通知する。NSA SMS-MTルートの場合には、通知部13は、SMSC405のインターフェース405aを介して、DEA401、MME400を経由し、通信端末2に対するタイムスロットの割り当て情報を通知する。
【0067】
[通信制御装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する通信制御装置1を実現するハードウェア構成の一例について、
図5を用いて説明する。
【0068】
図5に示すように、通信制御装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0069】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、
図1に示した収集部10、演算部11、通知部13など通信制御装置1の各機能が実現される。
【0070】
通信インターフェース104は、通信制御装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。
【0071】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0072】
補助記憶装置105は、通信制御装置1が実行する通信制御プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。また、補助記憶装置105は、機械学習モデルの学習を行うための学習プログラムを格納する領域を有する。補助記憶装置105によって、
図1で説明したMLモデル記憶部12が実現される。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0073】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0074】
[通信制御装置の動作]
次に、上述した構成を有する通信制御装置1の動作を、
図6から
図8のフローチャートを参照して説明する。
図6は、通信制御装置1による学習処理およびタイムスロット数の決定処理を示すフローチャートである。
図7は、学習済みの機械学習モデルの演算により、通信端末2に対してタイムスロットを割り当てる処理を示すフローチャートである。また、
図8は、通信制御装置1による、再学習処理およびタイムスロット数の更新処理を示すフローチャートである。
【0075】
まず、
図6に示すように、学習部110は、タイムスロットの総数の初期値K
iを設定し、機械学習モデルを設定する(ステップS1)。具体的には、学習部110は、機械学習モデルとしてニューラルネットワークを採用し、入力層、隠れ層、および出力層の設定、並びに重みパラメータおよび閾値その他のパラメータの初期値を設定する。学習部110は、入力層のノード数および出力層のノード数を、タイムスロットの総数K
iに対応させることができる。
【0076】
次に、学習部110は、任意の時刻に発信信号を送信するM台の通信端末2に対して、各タイムスロットで発信する通信端末2の台数が、各タイムスロット間で均等な目標台数Nに一致するように、機械学習モデルを学習する(ステップS2)。具体的には、学習部110は、上式(1)に基づいて、目的関数Eを最小とする重みパラメータを調整および更新を繰り返し、重みパラメータの値を決定する。
【0077】
また、学習部110は、ステップS2において、タイムスロットの総数を、初期値Kiから、Ki+1,Ki+2,・・・,Ki+nと変更していき、入力層および出力層のノード数を変更し、ネットワーク構造を調整したニューラルネットワークの重みパラメータの学習を繰り返し行う。
【0078】
その後、決定部111は、ステップS2での学習結果が最適となったニューラルネットワークモデルにより、タイムスロットの総数Kを決定する(ステップS3)。具体的には、決定部111は、ステップS2において、タイムスロットの総数を変更して学習を繰り返した結果、通信端末2の割り当て台数が最も平準化しているタイムスロットの総数Kを採用する。
【0079】
その後、MLモデル記憶部12は、ステップS2の学習処理により得られた学習済みの重みパラメータ、およびステップS3において決定されたタイムスロットの総数Kを記憶する(ステップS4)。以上のステップにより、タイムスロットの総数Kが決定される。
【0080】
次に、
図7を参照して、学習済みのニューラルネットワークおよび決定されたタイムスロットの総数Kを用いて各通信端末2に対して割り当てるタイムスロットを決定する処理を説明する。まず、収集部10は、各々が任意時刻で発信信号を発信するM台の通信端末2に関する情報を収集する(ステップS10)。具体的には、収集部10は、コアネットワーク4のUDR410のインターフェース410aを介して、タイムスロットへの割り当ての対象となる通信端末2の識別子と、通信端末2が発信信号を発信した日時情報として、発信タイムスタンプとを収集する。本実施の形態では、通信端末2の発信タイムスタンプの情報に、ランダムに割り当てられるタイムスロットの識別子の情報が予め付されているものとする。
【0081】
次に、決定部111は、MLモデル記憶部12から、学習処理により決定されたタイムスロットの総数Kを取得する(ステップS11)。続いて、決定部111は、MLモデル記憶部12から、学習済みのニューラルネットワークを読み出して、発信信号を発信した任意時刻に各々が関連付けられている複数の通信端末2の台数を未知の入力として学習済みのニューラルネットワークに与え、学習済みのニューラルネットワークの演算を行って、複数の通信端末2の各々に割り当てるタイムスロットを決定する(ステップS12)。
【0082】
より具体的には、決定部111は、決定されたK個のタイムスロットの各々に対してランダムに割り当てられる通信端末2の台数を未知の入力として与え、学習済みのニューラルネットワークの演算を行って、各タイムスロットが割り当てられるN台の通信端末2を出力する。
【0083】
次に、通知部13は、コアネットワーク4のSMSC405のインターフェース405aを介して、各通信端末2に対して発信タイミングを通知する(ステップS12)。具体的には、通知部13は、各通信端末2に対して割り当てるタイムスロット番号を通知することができる。以上の処理により、タイムスロットの通知処理は終了する。その後、各通信端末2は、割り当てられたタイムスロットにおいて発信を行う。
【0084】
図8は、学習部110による再学習処理および決定部111によるタイムスロットの総数の更新処理を示すフローチャートである。まず、収集部10は、コアネットワーク4のUDR410から、新たな学習用データとして、通信端末2に関する情報を収集する(ステップS20)。収集部10は、通信端末2の識別子および発信信号の発信タイムスタンプを、UDR410から収集する。なお、収集部10がUDR410から収集する通信端末2の発信タイムスタンプには予めランダムに割り当てられたタイムスロットの識別子が付されている。
【0085】
次に、学習部110は、ステップS20で収集された追加の学習用データを用いて、
図6のステップS2における学習処理で得られた学習済みのニューラルネットワークの再学習を行う(ステップS21)。学習部110は、MLモデル記憶部12から学習済みのニューラルネットワークを読み出し、上式(1)の目的関数Eを勾配法で最適化し、重みパラメータの調整を行うことができる。
【0086】
また、学習部110は、ステップS21において、タイムスロットの総数Kを更に変更し、ニューラルネットワークをさらに学習することができる。次に、決定部111は、ステップS21における再学習処理により学習結果が最適なタイムスロットの総数K’を採用し、タイムスロットの総数Kを更新する(ステップS22)。
【0087】
続いて、MLモデル記憶部12は、再学習により更新された重みパラメータおよび更新されたタイムスロットの総数K’を記憶する(ステップS23)。以上の処理により演算部11は、再学習処理およびタイムスロット数の更新処理を終了する。その後の処理は、
図6に示す、通知部13による通信端末2への発信タイミングの通知処理と同様である。
【0088】
なお、上述の実施の形態の説明では、通信端末2が発信する発信信号は、C-Planeで処理される位置登録信号である場合について説明した。しかし、前述したようにU-Planeで処理されるデータ信号を通信端末2が送信する場合であっても同様に、通信端末2に対してタイムスロットを割り当てることができる。この場合、C-PlaneとU-Planeとでは、別個の機械学習モデルをそれぞれ学習し、タイムスロットの総数K、Uをそれぞれ決定することができる。
【0089】
以下、通信端末2がU-Planeで処理されるデータ信号を発信する場合には、収集部10は、コアネットワーク4のUPF408のインターフェース408aおよびPGW-U404のインターフェース404aを介して、通信端末2が発信したデータ信号の発信日時である発信タイムスタンプ(ms単位)を収集する。また、学習処理を経て、通信端末2に割り当てるタイムスロットを通知する場合には、通知部13は、コアネットワーク4のSMSC405のインターフェース405aを介して、SA SMS-MTルートまたはNSA SMS-MTルートで、通信端末2に発信タイミングを通知する。
【0090】
さらに、
図8で説明した再学習処理およびタイムスロットの数の更新処理においては、収集部10は、追加の学習用データとして、コアネットワーク4のUPF408のインターフェース408aおよびPGW-U404のインターフェース404aを介して、追加の学習用データとして、通信端末2が送信したデータ信号の発信日時である発信タイムスタンプを収集することができる。
【0091】
以上説明したように、通信端末2が発信する信号がU-Planeで処理されるデータ信号の場合においても、各タイムスロット間で均等な台数Uが割り当てられる最適なタイムスロットの総数Sを決定して、呼損の発生を抑制することができる。
【0092】
なお、上述した実施の形態では、学習部110が、ニューラルネットワークを機械学習モデルとして用いて学習処理を行う場合について説明した。しかし、機械学習モデルは、上述したニューラルネットワークモデルの他、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、決定木等、さらにニューラルネットワークを多層化したディープラーニングを用いてもよい。また、これらの教師あり学習の他、教師なし学習を行う機械学習モデルとして、敵対的生成ネットワークや変分オードエンコーダ等の生成モデルを用いてもよい。
【0093】
例えば、それぞれが任意の時刻に発信するM台の通信端末2を入力として、各タイムスロットで均等な台数Nの通信端末2が割り当てられるタイムスロットの総数Kとの関係を学習するディープラーニングを用いることができる。この場合のディープラーニングは、M台の通信端末2の各々の発信日時に、各タイムスロットにN台の通信端末2が割り当てられる場合のタイムスロット番号が正解ラベルとして付された教師データを用いて学習を行うことができる。
【0094】
また、説明した実施の形態では、学習処理を行う学習部110、および学習済みの機械学習モデルに基づいて、通信端末2に割り当てるタイムスロットを決定する決定部111の両方が通信制御装置1に搭載される場合について説明した。しかし、学習部110および決定部111は同一のハードウェア構成として設けられている場合の他、複数のサーバ等によっても学習処理と通信制御処理とをネットワークNW上の別のサーバ等により分散することもできる。
【0095】
また、説明した実施の形態では、多重化アクセス方式のうち、時分割多重接続における時間軸のタイムスロットへの通信端末2の割り当てを行う場合を例に挙げて説明した。しかし、通信制御装置1が、通信端末2に対して割り当てる無線リソースは、周波数分割多重化(Frequency Division Multiplexing:FDM)におけるK個の周波数f1,f2,・・・,fKであってもよい。この場合、通信制御装置1は、各周波数f1,f2,・・・,fKのチャネルにおいて均等な台数Nの通信端末2が割り当てられる、最適な周波数fkの数を決定する。
【0096】
さらに、通信制御装置1は、別の多重化アクセス方式として、例えば、送信アンテナ数NTx×受信アンテナ数MRxからなるMIMO(Multi Input Multi Output)システムの、時間・周波数空間におけるMIMO軸の各チャネルにおいて均等な台数Nの通信端末2が割り当てられる、最適なチャネル数を決定することができる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信制御装置1によれば、発信信号を発信した任意時刻に各々が関連付けられている複数の通信端末の台数を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、複数の通信端末の各々に割り当てるリソースブロックを決定する。したがって、通信端末2に対して無線リソースをより効率よく割り当てることができる。
【0098】
以上、本発明の通信制御装置および通信制御方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…通信制御装置、10…収集部、11…演算部、110…学習部、111…決定部、12…MLモデル記憶部、13…通知部、2、2a、2b、2m…通信端末、3…基地局、4…コアネットワーク、400…MME、401…DEA、402…SGW、403…HSS、404…PGW-U、404a、405a、408a、410a…インターフェース、405…SMSC、406…AMF、407…SMSF、408…UPF、409…UDM、410…UDR、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、NW、L…ネットワーク、I…インターネット。