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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148255
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】シートベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/195 20060101AFI20241010BHJP
   B60R 22/26 20060101ALI20241010BHJP
   B60R 22/18 20060101ALI20241010BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20241010BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20241010BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241010BHJP
【FI】
B60R22/195 104
B60R22/26
B60R22/18 118
B60N2/42
B60N2/68
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061232
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】長橋 怜
【テーマコード(参考)】
3B087
3D018
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087DB02
3B087DE06
3D018CA09
3D018CB02
3D018CC02
(57)【要約】
【課題】シートフレームの補強を不要としつつ、後方視野に影響を与えずに、シートフレームの変形量を抑えることができるシートベルト装置を提供する。
【解決手段】シートベルト装置10は、乗員Aに装着されるシートベルト11と、リアシート2のシートバック3内に配置され、シートベルト11を巻き取るリトラクタ12と、シートバック3の上部に配置され、リトラクタ12から繰り出されたシートベルト11を通す開口部13aを有する保持部材13と、保持部材13と係合するようにシートバック3内に配置され、シートベルト11が引っ張られたときに生じる荷重を受ける荷重受け部材14と、車両1の衝突時に荷重受け部材14を上昇させるインフレータ15とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の衝突時に、シートフレームが内蔵されたシートに着座した乗員を拘束するシートベルト装置において、
前記乗員に装着されるシートベルトと、
前記シートのシートバック内に配置され、前記シートベルトを巻き取るリトラクタと、
前記シートバックの上部に配置され、前記リトラクタから繰り出された前記シートベルトを通す開口部を有する保持部材と、
前記保持部材と係合するように前記シートバック内に配置され、前記シートベルトが引っ張られたときに生じる荷重を受ける荷重受け部材と、
前記車両の衝突時に前記荷重受け部材を上昇させる上昇ユニットとを備えるシートベルト装置。
【請求項2】
前記シートフレームは、前記シートバックの上下方向に延びる2本の縦フレーム部を有し、
前記上昇ユニットは、前記荷重受け部材を前記車両の鉛直方向と前記縦フレーム部の延在方向との間の角度範囲内で上昇させる請求項1記載のシートベルト装置。
【請求項3】
前記上昇ユニットは、前記荷重受け部材を収容する収容部を有し、前記荷重受け部材を前記収容部から突出させて上昇させるインフレータである請求項1記載のシートベルト装置。
【請求項4】
前記シートフレームは、前記シートバックの上下方向に延びる2本の縦フレーム部と、前記2本の縦フレーム部の上端部同士を繋ぐ横上フレーム部と、前記2本の縦フレーム部の下端部同士を繋ぐ横下フレーム部とを有し、
前記インフレータは、前記横上フレーム部に固定されている請求項3記載のシートベルト装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記シートバックの表皮に取り付けられている請求項1~4の何れか一項記載のシートベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシートベルト装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載のシートベルト装置は、車両のシートに着座した乗員に装着されるシートベルトと、このシートベルトの一端側を巻き取って格納するリトラクタとを備え、車両の前面衝突検知時にリトラクタからのシートベルトの引き出しをロック可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-253734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一部の仕向地では、シートベルトのアンカー試験が設定されている。シートベルトのアンカー試験の要求性能としては、試験後のシートフレームの変形量が定義されている。シートフレームは、シートに内蔵されている。シートフレームの変形量は、シートベルトの拘束性能に影響を与える。シートフレームの変形量を抑えるためには、シートフレームを補強したり、或いはシートベルトが引っ張られたときに生じる荷重を受ける荷重受け部材の位置を高くする等といった手法がよく知られている。しかし、シートフレームの補強を行うと、シートフレームのコスト及び質量が増大してしまう。荷重受け部材の位置を高くすると、後方視野に影響を与えてしまう。
【0005】
本発明の目的は、シートフレームの補強を不要としつつ、後方視野に影響を与えずに、シートフレームの変形量を抑えることができるシートベルト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両の衝突時に、シートフレームが内蔵されたシートに着座した乗員を拘束するシートベルト装置において、乗員に装着されるシートベルトと、シートのシートバック内に配置され、シートベルトを巻き取るリトラクタと、シートバックの上部に配置され、リトラクタから繰り出されたシートベルトを通す開口部を有する保持部材と、保持部材と係合するようにシートバック内に配置され、シートベルトが引っ張られたときに生じる荷重を受ける荷重受け部材と、車両の衝突時に荷重受け部材を上昇させる上昇ユニットとを備える。
【0007】
このようなシートベルト装置において、車両の衝突時には、上昇ユニットにより荷重受け部材が上昇するため、荷重受け部材と係合する保持部材も上昇する。このように荷重受け部材の位置が高くなるため、シートフレームを補強しなくても、シートベルトの拘束性能が確保され、シートフレームの変形量が抑えられる。また、通常時には、荷重受け部材及び保持部材がシートバックの外形内に収まっているため、後方視野に影響を与えない。さらに、車両の衝突時には荷重受け部材の位置が高くなるため、プリテンショナー効果が得られる。
【0008】
シートフレームは、シートバックの上下方向に延びる2本の縦フレーム部を有し、上昇ユニットは、荷重受け部材を車両の鉛直方向と縦フレーム部の延在方向との間の角度範囲内で上昇させてもよい。このような構成では、車両の衝突時に、荷重受け部材が適切な方向に上昇する。従って、シートフレームの変形量が効果的に抑えられる。
【0009】
上昇ユニットは、荷重受け部材を収容する収容部を有し、荷重受け部材を収容部から突出させて上昇させるインフレータであってもよい。このような構成では、早く作動するインフレータを使用することにより、車両の衝突時に、荷重受け部材が短時間で且つ安定的に上昇する。
【0010】
シートフレームは、シートバックの上下方向に延びる2本の縦フレーム部と、2本の縦フレーム部の上端部同士を繋ぐ横上フレーム部と、2本の縦フレーム部の下端部同士を繋ぐ横下フレーム部とを有し、インフレータは、横上フレーム部に固定されていてもよい。このような構成では、既存のシートフレームをインフレータの取付に利用するため、インフレータの取付構造が簡素化される。
【0011】
保持部材は、シートバックの表皮に取り付けられていてもよい。このような構成では、車両の衝突時に、荷重受け部材が上昇すると、保持部材が表皮と共にスムーズに上昇する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シートフレームの補強を不要としつつ、後方視野に影響を与えずに、シートフレームの変形量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るシートベルト装置が適用される車両のリアシートを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシートベルト装置をシートフレームと共に示す斜視図である。
図3図2に示されたシートベルト装置の構造及び動作状態をシートバックと共に示す断面図である。
図4図3に示された荷重受け部材の動作状態を示す斜視図である。
図5】リアシートに着座した乗員にシートベルトが装着された状態を示す正面図である。
図6】比較例として従来のシートベルト装置の構造をシートバックと共に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るシートベルト装置が適用される車両のリアシートを示す斜視図である。図1において、車両1は、乗員A(図5参照)が着座するリアシート2を備えている。リアシート2は、シートクッション(図示せず)に傾斜可能に連結されたシートバック3を有している。シートバック3は、通常は直立位置に対して後方に傾斜している。
【0016】
シートバック3は、図2及び図3に示されるように、略四角形状のシートフレーム4と、このシートフレーム4の後側に配置された樹脂フレーム5と、シートフレーム4及び樹脂フレーム5の周囲に設けられたクッションパッド6と、このクッションパッド6を覆う表皮であるシートトリム7とを有している。従って、シートバック3には、シートフレーム4が内蔵されていることとなる。
【0017】
シートフレーム4は、例えば金属の丸棒を折り曲げ加工して形成されている。クッションパッド6は、ウレタンフォーム等の弾性体で形成されている。シートトリム7は、例えばファブリックまたはレザー等で形成されている。
【0018】
シートフレーム4は、シートバック3の上下方向(高さ方向)に延びる2本の縦フレーム部4aと、2本の縦フレーム部4aの上端部同士を繋ぐ横上フレーム部4bと、2本の縦フレーム部4aの下端部同士を繋ぐ横下フレーム部4cとを有している。横上フレーム部4b及び横下フレーム部4cは、シートバック3の左右方向(車幅方向)に延びている。シートフレーム4には、縦フレーム部4aに平行に延びる2本のロッド8と、横上フレーム部4b及び横下フレーム部4cに平行に延びるロッド9とが設けられている。
【0019】
本実施形態のシートベルト装置10は、車両1の前面衝突時に、リアシート2に着座した乗員Aを拘束する装置である。シートベルト装置10は、図2及び図3に示されるように、シートベルト11と、リトラクタ12と、保持部材13と、荷重受け部材14と、インフレータ15とを備えている。
【0020】
シートベルト11は、リアシート2に着座した乗員Aに装着される。シートベルト11には、リアシート2に固定されたバックル26(図5参照)に差し込まれるタングプレート16が取り付けられている。
【0021】
リトラクタ12は、シートバック3内に配置されている。リトラクタ12は、シートフレーム4に固定されている。具体的には、リトラクタ12は、シートフレーム4の2本のロッド8に取付部材17を介して固定されている。リトラクタ12は、シートベルト11を巻き取る巻取機である。リトラクタ12は、シートベルト11を巻き取る方向に付勢する。なお、図3では、取付部材17が便宜上省略されている。
【0022】
保持部材13は、図1に示されるように、シートバック3の上部に配置されている。保持部材13は、シートバック3の上端部のシートトリム7に取り付けられている。保持部材13は、例えばシートトリム7に縫い付けられている。
【0023】
保持部材13は、リトラクタ12から繰り出されたシートベルト11を通す開口部13aを有し、シートベルト11を保持する部材である。シートベルト11は、保持部材13においてシートバック3内から延び出ている。
【0024】
荷重受け部材14は、シートバック3内におけるリトラクタ12よりも上側に配置されている。つまり、荷重受け部材14は、シートバック3内におけるリトラクタ12と保持部材13との間に配置されている。荷重受け部材14は、逆U字状を呈している。荷重受け部材14は、例えば金属の丸棒を折り曲げ加工して形成されている。
【0025】
荷重受け部材14は、図4に示されるように、シートバック3の上下方向に延びる1対の摺動部14aと、これらの摺動部14aの上端部同士を繋ぐ係合部14bとを有している。係合部14bは、保持部材13と接触して係合している。
【0026】
荷重受け部材14は、リトラクタ12の付勢力に抗してシートベルト11が引っ張られたときに生じる荷重を受ける部材である。荷重受け部材14は、有効ベルトアンカレッジ・ワイヤと称されることがある。
【0027】
インフレータ15は、車両1の前面衝突時に、荷重受け部材14を上昇させる上昇ユニットである。インフレータ15は、ガスを発生させる1対の円筒状の本体部18と、各本体部18の上側に配置され、荷重受け部材14の摺動部14aが収容される1対の円筒状の収容部19とを有している。インフレータ15は、シートフレーム4に固定されている。具体的には、インフレータ15の本体部18及び収容部19は、取付ブラケット20を介してシートフレーム4の横上フレーム部4bに固定されている。
【0028】
インフレータ15は、荷重受け部材14を収容部19から突出させて上昇させる。具体的には、インフレータ15は、ガス圧により荷重受け部材14の摺動部14aを収容部19から突出させることで、荷重受け部材14をシートバック3の上方に移動させる。
【0029】
図3では、インフレータ15は、車両1の鉛直方向に延びている。つまり、インフレータ15の延在方向は、シートフレーム4の縦フレーム部4aの延在方向に対して交差している。インフレータ15は、荷重受け部材14を上昇させるのであれば、車両1の鉛直方向に対して傾いて延びていてもよい。インフレータ15は、例えばシートフレーム4の縦フレーム部4aの延在方向に対して平行に延びていてもよい。
【0030】
インフレータ15は、荷重受け部材14を車両1の鉛直方向(Z方向)と縦フレーム部4aの延在方向(S方向)との間の角度範囲θ内で上昇させる。このとき、インフレータ15は、車両1の前面衝突によりシートバック3が変形したときに、荷重受け部材14を車両1の真上方向または略真上方向に移動させればよい。
【0031】
インフレータ15の本体部18には、図3に示されるように、ガス発生剤を着火させる点火部21が配置されている。点火部21は、電線22を介してエアバッグECU23と接続されている。エアバッグECU23は、インフレータ15をエアバッグ用のインフレータ24と共に制御する。
【0032】
エアバッグECU23は、衝突感知センサ25により車両1の前面衝突が感知されると、インフレータ15及びエアバッグ用のインフレータ24に点火信号を出力する。インフレータ15の点火部21に点火信号が入力されると、ガス発生剤が着火して燃焼することで、本体部18内に高圧ガスが発生する。そして、高圧ガスによって荷重受け部材14の摺動部14aが収容部19から抜け出ることで、荷重受け部材14が上昇する。
【0033】
以上のようなシートベルト装置10において、通常は、図3(a)及び図4(a)に示されるように、荷重受け部材14の摺動部14aがインフレータ15の収容部19内に収容されている。このため、荷重受け部材14及び保持部材13は、何れもシートバック3の外形内に収まった通常高さ位置にある。この場合には、保持部材13が後方視界に影響を与えることがない。また、図5に示されるように、シートバック3の肩部に近い高さ位置からシートベルト11が延び出る状態となるため、低身長の乗員Aにとってもシートベルト11の首当たり感が軽減される。
【0034】
車両1の前面衝突が発生すると、エアバッグ用のインフレータ24と同様にインフレータ15に点火信号が入力されるため、インフレータ15の本体部18から高圧ガスが発生する。このため、図3(b)及び図4(b)に示されるように、ガス圧により荷重受け部材14の摺動部14aが収容部19から突出することで、荷重受け部材14が上昇する。すると、荷重受け部材14により保持部材13が上方に押圧されるため、保持部材13がシートバック3のシートトリム7と一緒に上昇する。
【0035】
このように車両1の前面衝突時には、荷重受け部材14の位置が高くなるため、シートフレーム4の変形量が抑えられ、シートベルト11による乗員Aの拘束力が確保される。また、リトラクタ12がロックされた状態で、荷重受け部材14の位置が高くなるため、シートベルト11の取り回し経路が長くなる。このため、シートベルト11により乗員Aがリアシート2に確実に固定される、いわゆるプリテンショナー効果が発揮される。
【0036】
図6は、比較例として従来のシートベルト装置の構造をシートバック3と共に示す断面図である。
【0037】
図6(a)に示されるシートベルト装置50は、シートベルト11と、リトラクタ12と、保持部材51と、荷重受け部材52とを備えている。荷重受け部材52は、シートフレーム4の横上フレーム部4bに固定されている。
【0038】
シートベルト装置50では、シートフレーム4の変形量を抑えるために、シートフレーム4に複数本の補強フレーム53を連結することで、シートフレーム4自体が補強されている。このようにシートフレーム4の補強を行うと、シートフレーム4のコスト及び質量の増大につながる。
【0039】
図6(b)に示されるシートベルト装置55は、シートベルト11と、リトラクタ12と、保持部材56と、荷重受け部材57とを備えている。保持部材56は、荷重受け部材57と係合している。荷重受け部材57は、シートフレーム4の横上フレーム部4bに固定されている。
【0040】
シートベルト装置55では、シートフレーム4の変形量を抑えるために、荷重受け部材57の位置がリアシート2の上端面よりも高くなっている。このように荷重受け部材57の位置を高くすると、保持部材56の位置も高くならざるを得ない。このため、後方視界に影響を及ぼすと共に、シートバック3の見栄えが悪くなる。
【0041】
そのような課題に対し、本実施形態では、車両1の前面衝突時には、インフレータ15により荷重受け部材14が上昇するため、荷重受け部材14と係合する保持部材13も上昇する。このように荷重受け部材14の位置が高くなるため、シートフレーム4を補強しなくても、シートベルト11の拘束性能が確保され、シートフレーム4の変形量が抑えられる。また、通常時には、荷重受け部材14及び保持部材13がシートバック3の外形内に収まっているため、後方視野に影響を与えない。以上のように、シートフレーム4の補強を不要としつつ、後方視野に影響を与えずに、シートフレーム4の変形量を抑えることができる。さらに、車両1の前面衝突時には、荷重受け部材14の位置が高くなるため、プリテンショナー効果が得られる。また、通常時には、荷重受け部材14及び保持部材13の位置が高くならないため、シートバック3の見栄えが良くなる。
【0042】
また、本実施形態では、インフレータ15は、荷重受け部材14を車両1の鉛直方向とシートフレーム4の縦フレーム部4aの延在方向との間の角度範囲θ内で上昇させる。このため、車両1の前面衝突時に、荷重受け部材14が適切な方向に上昇する。従って、シートフレーム4の変形量が効果的に抑えられる。
【0043】
また、本実施形態では、早く作動するインフレータ15を使用することにより、車両1の前面衝突時に、荷重受け部材14が短時間で且つ安定的に上昇する。
【0044】
また、本実施形態では、インフレータ15は、シートフレーム4の横上フレーム部4bに固定されている。このように既存のシートフレーム4をインフレータ15の取付に利用するため、インフレータ15の取付構造が簡素化される。
【0045】
また、本実施形態では、保持部材13がシートバック3のシートトリム7に取り付けられている。このため、車両1の前面衝突時に、荷重受け部材14が上昇すると、保持部材13がシートトリム7と共にスムーズに上昇する。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、荷重受け部材14は、逆U字状を呈し、インフレータ15は、2組の本体部18及び収容部19を有しているが、特にそのような形態には限られない。例えば、荷重受け部材14の形状は直線状であり、インフレータ15の本体部18及び収容部19の数は1組だけであってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、インフレータ15を使用して、車両1の前面衝突時に荷重受け部材14を上昇させているが、荷重受け部材14を上昇させる上昇ユニットとしては、特にインフレータ15には限られず、例えば車両1が前面衝突すると、荷重受け部材14が機械的に上昇する構造等を採用してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、保持部材13がシートバック3の上端部のシートトリム7に取り付けられているが、保持部材13がシートトリム7に取り付けられていなくてもよい。この場合でも、荷重受け部材14が上昇することで、保持部材13が荷重受け部材14に押されて上昇する。
【0049】
また、上記実施形態のシートベルト装置10は、車両1のリアシート2に適用されているが、本発明は、運転席及び助手席のシートにも適用可能である。また、前後方向に3列以上のシートが具備された車両では、運転席及び助手席といった最前列のシートと最後列のシートとに加え、最前列及び最後列以外のシートにも本発明を適用可能である。
【0050】
また、上記実施形態は、車両1の前面衝突時にリアシート2に着座した乗員Aを拘束するシートベルト装置10であるが、本発明は、車両1の後面衝突時及び側面衝突時にも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…車両、2…リアシート(シート)、3…シートバック、4…シートフレーム、4a…縦フレーム部、4b…横上フレーム部、4c…横下フレーム部、7…シートトリム(表皮)、10…シートベルト装置、11…シートベルト、12…リトラクタ、13…保持部材、13a…開口部、14…荷重受け部材、15…インフレータ、19…収容部、A…乗員、θ…角度範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6