(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148259
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】水分子移動システム、粉体湿潤装置・充填剤洗浄装置及びコンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/00 20060101AFI20241010BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20241010BHJP
C04B 18/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B01D61/00 500
C04B28/02
C04B18/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061243
(22)【出願日】2023-04-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2022年度、独立行政法人環境再生保全機構 環境研究総合推進費資源循環領域委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】506060258
【氏名又は名称】公立大学法人北九州市立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 光春
(72)【発明者】
【氏名】高巣 幸二
(72)【発明者】
【氏名】陶山 裕樹
【テーマコード(参考)】
4D006
4G112
【Fターム(参考)】
4D006GA14
4D006KA33
4D006KB30
4D006KD30
4D006MA01
4D006MA04
4D006MC18
4D006PA10
4D006PB08
4D006PC80
4G112PA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高価な駆動液を用いずに、供給水から水を回収し、また、環境負荷を低減させた水分子移動システム及びジオポリマーコンクリートの製造方法を提供する。
【解決手段】正浸透膜によって供給水が供給される第一の部屋と第二の部屋とに仕切る。第二の部屋には、充填剤が充填される。充填剤は、含水率が液性限界を超えない粉末状または粒子状の物質である。充填剤に燃焼灰を用いたとき、別途洗浄工程を設けることなく、燃焼灰の製造時に発生する重金属等の不純物が除去された燃焼灰を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正浸透膜によって、供給水が供給される第一の部屋と第二の部屋とに仕切られ、
前記供給水中の水分子が第二の部屋に移動する水分子移動システムであって、
前記第二の部屋には、充填剤が充填され、
前記充填剤は、含水率が液性限界を超えない粉末状または粒子状の物質である水分子移動システム。
【請求項2】
前記正浸透膜を円筒状に形成した中空糸を前記充填剤に埋没させ、
前記中空糸の内部を第一の部屋とし、中空糸の外部を第二の部屋とする請求項1に記載の水分子移動システム。
【請求項3】
前記正浸透膜を袋形状に形成した正浸透膜袋を前記充填剤に埋没させ、
前記正浸透膜袋の内部を第一の部屋とし、前記正浸透膜袋の外部を第二の部屋とし、
正浸透膜袋には、供給口と排出口とを設けた請求項1に記載の水分子移動システム。
【請求項4】
前記第一の部屋は、多面の壁面によって構成された内部空間であり、
壁面のうち少なくとも1面が前記正浸透膜によって構成され、
前記第一の部屋の外部を第二の部屋とし、
前記第一の部屋に供給口と排出口とを設けた請求項1に記載の水分子移動システム。
【請求項5】
前記充填剤は、燃焼灰である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水分子移動システム。
【請求項6】
前記充填剤は、木質バイオマス燃焼灰である請求項5に記載の水分子移動システム。
【請求項7】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水分子移動システムを用いて、充填剤を湿潤させる粉体湿潤装置であって、
前記充填剤は、粉体である粉体湿潤装置。
【請求項8】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水分子移動システムを用いて、充填剤を洗浄する充填剤洗浄装置。
【請求項9】
請求項5に記載の水分子移動システムを用いて、燃焼灰を洗浄する充填剤洗浄装置。
【請求項10】
請求項6に記載の水分子移動システムを用いて、木質バイオマス燃焼灰を洗浄する充填剤洗浄装置。
【請求項11】
請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の充填剤洗浄装置を用いて、洗浄することによって排出される洗浄廃液を、前記供給水として前記第1の部屋に供給する充填剤洗浄装置。
【請求項12】
請求項9に記載の充填剤洗浄装置において、洗浄後の前記燃焼灰をコンクリートの原料又は混和材料として使用するコンクリートの製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の充填剤洗浄装置において、洗浄後の前記木質バイオマス燃焼灰をコンクリートの原料又は混和材料として使用するコンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分子移動システム及びコンクリートの製造方法、具体的には、従来の水分子移動システムにおける駆動液を用いずに供給水から水を回収し、また、回収した水を充填剤の洗浄液として使用する水分子移動システム及びコンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木質バイオマス燃焼灰は、その固有の特性と環境負荷における利点から、注目されている資源である。例えば、木質バイオマスの燃焼灰を、ジオポリマーコンクリート材料として使用した場合、セメントを必要としないため、従来のコンクリートと比較して二酸化炭素排出量が非常に少ないという利点がある。また、耐久性や柔軟性にも優れているため、さまざまな用途に活用することができる。
ジオポリマーコンクリート材料として木質バイオマス燃焼灰を使用する際には、重金属を除去し、高品質の材料とするためには、木質バイオマス燃焼灰の水洗が必須である。この水洗によって発生する水洗排水には、重金属が含まれており、さらなる環境負荷低減のために、この水洗排水を洗浄水として再利用することが有用である。
【0003】
現在、排水から水を回収するシステムの中で、最も低コストであり、よく用いられているものとして逆浸透(RO)膜法がある。この方法は、固液分離された排水を供給液とし、逆浸透膜を解して駆動液に水分子のみを移動させる方法である。この方法の場合、廃液の浸透圧以上の圧力を駆動液に与える必要があるため、エネルギー消費が大きくなる。
そこで、これに変わる省エネルギー化技術として正浸透(FO)膜法がある。正浸透膜法を排水回収に用いるためには、浸透圧が供給液よりも高い液を駆動液として用い、供給水中の水分子を駆動液側に移動させた後、駆動液から水を分離して、駆動液を再生させるとともに水を回収する。膜透過の駆動力が供給液と駆動液との浸透圧差であるため逆浸透膜法と比較して低いエネルギー消費で水の回収が可能である。
この技術を用いて水を回収する方法として特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
正浸透膜法による水回収においては、駆動液の種類によって、駆動液側から供給液側に駆動液の成分が移動(逆拡散)し、駆動液の成分濃度が低くなり、駆動液の成分を補充する必要があった。
また、水分子の駆動液側への移動後において、駆動液と水とを分離する工程では、熱エネルギーが必要となる。
加えて、高性能な駆動液は高価である。
【0006】
引用文献1に記載の技術においても、懸濁水を駆動液として使用し、水中に分散された粒子が沈降して堆積層を形成する際に、粒子表面に形成されることから、駆動液の成分濃度の低下は防げるにしても、水回収は沈降分離を必要とするため、水の回収までの時間はかかる。
【0007】
そこで、発明者らは、これらの問題を解決すべく、そもそも膜分離後の水の回収する工程を省き、駆動液の代替として充填剤(粉体又は粒体)を充填し、膜分離により直接水を回収したり、回収した水にて、粉体を湿潤させたり、充填剤(洗浄対象物)を洗浄したりすることができれば、環境負荷を低減でき、安価な湿潤・洗浄システムとして機能することができることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、高価な駆動液を用いずに、供給水から水を回収し、また、環境負荷を低減させた水分子移動システム、粉剤湿潤装置・充填剤洗浄装置及びコンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、正浸透膜によって、供給水が供給される第一の部屋と第二の部屋とに仕切られ、前記供給水中の水分子が第二の部屋に移動する水分子移動システムであって、前記第二の部屋には、充填剤が充填され、前記充填剤は、含水率が液性限界を超えない粉末状または粒子状の物質である水分子移動システムである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記正浸透膜を円筒状に形成した中空糸を前記充填剤に埋没させ、前記中空糸の内部を第一の部屋とし、中空糸の外部を第二の部屋とする請求項1に記載の水分子移動システムである。
請求項3に記載の発明は、前記正浸透膜を袋形状に形成した正浸透膜袋を前記充填剤に埋没させ、前記正浸透膜袋の内部を第一の部屋とし、前記正浸透膜袋の外部を第二の部屋とし、正浸透膜袋には、供給口と排出口とを設けた請求項1に記載の水分子移動システムである。
請求項4に記載の発明は、前記第一の部屋は、多面の壁面によって構成された内部空間であり、壁面のうち少なくとも1面が前記正浸透膜によって構成され、前記第一の部屋の外部を第二の部屋とし、前記第一の部屋に供給口と排出口とを設けた請求項1に記載の水分子移動システムである。
【0010】
従来の正浸透膜を用いた水分子移動システムでは、浸透圧の高い溶液(ドロー溶液)と浸透圧の低い溶液(供給水、フィード溶液)を半透膜で仕切っている。本発明では、一言で述べると、このドロー溶液を、含水率が液性限界を超えない粉末状又は粒子状の物質に置換することが特徴である。
含水率が液性限界を超えない粉末状又は粒子状の物質とは、粉末状又は粒子状の物質を充填剤として使用するものであるが、この充填剤が第二の部屋に充填されるとき、液性を持たないものをいう。このため、水に粉末状又は粒子状の物質が分散された分散液は含まれないため、充填剤に含まれない。この場合、駆動液を用いた場合と同じであるため、問題解決に寄与しない。逆に、粉末状又は粒子状の物質に水がわずかに含まれたペースト状や半固形、一部塊が形成されたものであっても充填剤として使用することができる。
粉末状又は粒子状の物質の種類については特に問わず、木材等の燃焼灰のような有機物、ゼオライト粉末のような無機粉末、吸水性ポリマーのような高分子材料粉末、乾燥させたタンパク質のような生体材料粉末でもよい。また、材料自体に吸水性、水吸着性能を持たせる必要もない。また、粉末状や粒子状の物質は、液性限界を超えない塑性状態の粘性粉や粘性粒子も含まれる。
【0011】
第一の部屋と第二の部屋の形状・形態については特に問わず、第一の部屋と第二の部屋とが正浸透膜によって仕切られていればよい。そのため、請求項2に記載の発明のように、正浸透膜の形状を中空糸形状とした上で、正浸透膜を充填剤に埋没させることで、正浸透膜の内部(中空糸形状によって構成された内部空間)を第一の部屋、正浸透膜の外部を第二の部屋としても、本発明の効果を得ることができる。
また、請求項3に記載の発明や請求項4に記載の発明のように、正浸透膜の形状を袋形状または箱状に形成し、正浸透膜を充填剤に埋没させることで、正浸透膜の内部(袋形状またが箱状によって構成された内部空間)を第一の部屋、正浸透膜の外部を第二の部屋としても、本発明の効果を得ることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記充填剤は、燃焼灰である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水分子移動システムである。
請求項6に記載の発明は、前記充填剤は、木質バイオマス燃焼灰である請求項5に記載の水分子移動システムである。
【0013】
請求項5に記載の発明、請求項6に記載の発明によれば、充填剤の種類を燃焼灰とすることにより、供給水から正浸透膜を介して移動した水分子によって水を回収することができ、必要に応じて、燃焼灰の洗浄も可能とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水分子移動システムを用いて、充填剤を湿潤させる粉体湿潤装置であって、前記充填剤は、粉体である粉体湿潤装置である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、充填剤を粉体にし、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水分子移動システムを用いることにより、供給水から、正浸透膜を介して移動してきた水分子によって粉体を湿潤させることができる。
【0016】
請求項8~10に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の水分子移動システムを用いて、充填剤を洗浄する充填剤洗浄装置である。
請求項11に記載の発明は、請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の充填剤洗浄装置を用いて、洗浄することによって排出される洗浄廃液を、前記供給水として前記第1の部屋に供給する充填剤洗浄装置である。
【0017】
請求項8~10に記載の発明によれば、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した水分子移動システムを用いることにより、膜分離後の水を洗液として使用することができる。これにより、充填剤の洗浄が可能となる。特に充填剤が燃焼灰であれば、洗浄工程を設けることなく、燃焼灰の生成時に発生する重金属などの不純物が除去された燃焼灰を得ることができ、土木資材等として使用することができる。
特に、請求項11に記載の発明によれば、水分子移動システムを用いて、充填剤の洗浄を行ったときに発生する洗浄廃液を供給水として第1の部屋に供給する。これにより、水の循環が生じ、環境負荷の低減に寄与することができる。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項9に記載の充填剤洗浄装置において、洗浄後の前記燃焼灰をコンクリートの原料又は混和材料として使用するコンクリートの製造方法である。
請求項13に記載の発明は、請求項10に記載の充填剤洗浄装置において、洗浄後の前記木質バイオマス燃焼灰をコンクリートの原料又は混和材料として使用するコンクリートの製造方法である。
【0019】
請求項12~13に記載の発明によれば、請求項9~10に記載の洗浄装置によって洗浄された燃焼灰、つまり、洗浄工程を設けることなく、不純物が除去された燃焼灰をコンクリート(コンクリートの種類は問わない)の原料又は混和材料として使用する。これにより、品質の高いコンクリートを製造することができる。
特に、請求項13に記載された発明によれば、洗浄後の木質バイオマス燃焼灰、つまり、別途、洗浄工程を設けることなく、不純物が除去された木質バイオマス燃焼灰をジオポリマーコンクリート原料又は混和材料として使用する。これにより、品質のよいジオポリマーコンクリートを製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来の正浸透膜を用いた水処理装置におけるドロー溶液を、含水率が液性限界を超えない粉末状又は粒子状の物質に置換することにより、高価な駆動液を使用する必要がなく、安価な水回収システムとして機能できる。
また、供給液から正浸透膜を介して移動してきた水分子によって充填剤を洗浄することができる。洗浄後の水を供給液として第一の部屋に供給することで水循環を形成することができる。その結果、環境負荷を低減させた洗浄システムを構築することができる。
請求項8~10に記載の発明によれば、別途、洗浄工程を設けることなく、充填物の洗浄が可能であり、特に、充填剤が燃焼灰の場合、燃焼灰の生成時に発生する重金属等の不純物が除去された燃焼灰を得ることができ、高品質な土木資材等として使用することができる。
特に、水分子移動システムを用いて、充填剤の洗浄を行ったときに発生する洗浄廃液を供給水として第1の部屋に供給することから、水の循環が生じ、環境負荷の低減に寄与することができる。
請求項12~請求項13に記載された発明によれば、請求項9~10に記載の洗浄装置によって洗浄された燃焼灰を高品質なコンクリート(請求項13にあっては、ジオポリマーコンクリート)原料または混和材料として使用することができる。これにより、品質のよいコンクリート(請求項13にあっては、ジオポリマーコンクリート)を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)従来技術に係る洗浄システムの装置構成を示す概略図である。(B)本発明の実施例1に係る洗浄システムの装置構成を示す概略図である。
【
図2】(A)本発明の実施例2に係る洗浄システムにおけるコア部の断面図である。(B)本発明の実施例3に係る洗浄システムにおけるコア部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(従来技術に係る洗浄システム)
従来の洗浄システムは、正浸透膜によって第一の部屋と第二の部屋とに区切られたコア部の他に、濃縮器、分離器、洗浄器とから構成される。
第一の部屋には、供給液(フィード溶液)が供給され、第二の部屋には駆動液(ドロー溶液)が供給され、供給液の浸透圧と駆動液の浸透圧の差により、供給液の水分子が正浸透膜を介して駆動液に移動する。
濃縮器では、第一の部屋から排出された供給廃液を濃縮し、得られた濃縮廃液を排水するとともに、濃縮時に生成された不純物を含む排水を第一の部屋に供給する。
分離器では、第二の部屋にて供給水から移動してきた水分子を含む駆動液を再生水と分離し、再生水は洗浄器に供給し、残液は駆動液として第二の部屋に供給される。
洗浄器では、洗浄対象物が充填され、分離器から供給される再生水を通水することで、洗浄対象物を洗浄する。
【0023】
(本発明の実施例1に係る洗浄システム)
これに対し、本発明の実施例1に係る洗浄システムでは、正浸透膜によって第一の部屋と第二の部屋とに区切られたコア部と、濃縮器のみで構成される。このうち、濃縮器については従来技術に係る洗浄システムと同一のものであり、作用も同一であるため、省略する。
第一の部屋には、供給液が供給されるが、第二の部屋には、充填剤が充填されている。また、供給液から正浸透膜を介して第二の部屋に移動してきた水分子が第二の部屋から排出可能となるように排水口が第二の部屋に設けられている。排水口から排出された排水は供給液として、第一の部屋に供給される。
【0024】
本発明の実施例1に使用した正浸透膜は、三酢酸セルロース製の平膜(FLUID TECHNOLOGY SOLUTIONS, INC.)を用いた。
また、充填剤として、木質バイオマス燃焼灰として、火力発電所から排出された石炭とバイオマス混焼灰を使用した。
供給液としては、木質バイオマス燃焼灰の洗浄に用いられた洗浄後の廃液を遠心分離機において固液分離し、液相部分を供給液として使用した。
【0025】
本発明の実施例1に係る洗浄システムの構成において、洗浄後の木質バイオマス燃焼灰に残存する重金属等の不純物について分析を行ったところ、十分に洗浄されていると評価することできる程度まで洗浄されていた。
このことから、駆動液を用いずにバイオマス燃焼灰の洗浄を行うことが可能であることが判明した。そして、別途洗浄工程を設けることなく、高品質なジオポリマーコンクリート原料として使用することができることが明らかとなった。
【0026】
なお、コア部の形状については、正浸透膜によって第一の部屋と第二の部屋とに区切られていれば特に問題はない。
実施例2に係る洗浄システムでは、
図2(A)に示すように、正浸透膜の形状を中空糸形状に形成し、正浸透膜を充填剤に埋没させ、正浸透膜の内部(中空糸形状によって構成された内部空間)に供給液を供給する構造とした。
また、実施例3に係る洗浄システムでは、
図2(B)に示すように、正浸透膜の形状を袋形状に形成し、正浸透膜を充填剤に埋没させ、正浸透膜の内部(袋形状によって構成された内部空間)に供給液を供給する構造とした。
これらのように構成しても、実施例1に係る洗浄システムと同様の性能・評価をすることができた。作用効果については実施例1に係る洗浄システムと同等のため、説明を省略する。