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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148268
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】扇風機用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20241010BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F04D25/08 307G
F04D25/08 307Z
F04D29/60 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061265
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】520210262
【氏名又は名称】有限会社トーコーテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】太田 襄二
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB05
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA33Z
3H130BA66Z
3H130BA69J
3H130BA69Z
3H130BA96Z
3H130CA06
3H130DG01Z
3H130DJ01Z
3H130EA03Z
3H130EA04Z
3H130EB01Z
3H130EB02Z
3H130EC17Z
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、携帯型扇風機にも適用できる扇風機用冷却装置を提供する。
【解決手段】扇風機からの風の温度を低下させる扇風機用冷却装置は、風を通す通風孔が形成された略板状の吸水性部材2と、吸水性部材2を風の風下に位置するように支持する支持体1と、吸水性部材2の上方に設けられた貯水部3と、を備え、吸水性部材2はその上端に下方に凹む受水凹部22が形成され、貯水部3はその内部に貯留された水を流出させる流出口33を備え、流出口33に接続され、受水凹部22の内底面22aに達する給水管4を備えている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇風機からの風の温度を低下させる扇風機用冷却装置であって、
前記風を通す通風孔が形成された略板状の吸水性部材と、
前記吸水性部材を前記風の風下に位置するように支持する支持体と、
前記吸水性部材の上方に設けられた貯水部と、を備え、
前記吸水性部材はその上端に下方に凹む受水凹部が形成され、
前記貯水部はその内部に貯留された水を流出させる流出口を備え、
前記流出口に接続され、前記受水凹部の内底面に達する給水管を備えた扇風機用冷却装置。
【請求項2】
前記流出口から流出する水は滴状である請求項1記載の扇風機用冷却装置。
【請求項3】
前記吸水性部材は前記受水凹部が前記流出口の真下に位置するように配置され、
前記給水管は直管である請求項1または2記載の扇風機用冷却装置。
【請求項4】
前記給水管の内径は前記流出口の直径よりも大きい請求項3記載の扇風機用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扇風機、特に携帯型扇風機からの風の温度を低下させる扇風機用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱中症対策等のために、屋外での体温を下げるための様々な商品が提案、発売されている。特に、充電池の発達等による小型化が可能になったこともあり、携帯型の扇風機が多く販売されている。しかしながら、扇風機の風によって多少の冷感は得られるが、その風自体の温度は周囲の空気の温度と同じであるため、十分に体温を下げることは困難である。
【0003】
このような課題に対して様々な提案がなされている。例えば、扇風機の風下に保冷剤等の冷却体を配置して直接的に風を冷却するもの(例えば、特許文献1)や、扇風機の風下に吸水性部材を配置し、吸水性部材に含まれている水の気化熱によって風を冷却するもの(例えば、特許文献2,3)等が提案されている。このような技術を用いれば、扇風機が発生する風の温度を下げ、冷感効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-133821号公報
【特許文献2】特開2003-083286号公報
【特許文献3】特開2013-113200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保冷剤等を用いる場合、保冷剤を冷却する必要があるため、屋外での長時間の使用には適さない。これに対して、吸水性部材を用いる場合には吸水性部材に水を供給するだけで使用を継続することができる。しかしながら、特許文献2の装置の場合には、毛細管現象によって吸水性部材に水を供給するため、その供給量を調整することは困難である。この点に関して、特許文献3の装置では、給水量調節具を備えた給水チューブを介して吸水性部材に対して水が供給されるため、水の供給量を調節することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献3の装置では、吸水性部材にポケットを取り付け、そのポケット内に繊維集合塊が配置されており、水は繊維集合塊を介して吸水性部材に供給される。このような構成では水跳ねが生じるおそれがある。また、繊維集合塊を水が通過する速度が吸水性部材の吸水の速度よりも早い場合には、吸水性部材の吸水が間に合わず、ポケットに水が溜まり、さらには水が溢れるおそれがある。そのため、特許文献3の装置は携帯型扇風機には適さない。
【0007】
さらに、特許文献2,3の装置は、屋内で使用する据え置き型の扇風機を想定したものであるため、特許文献2の装置では移動させた場合にはタンクからの水漏れのおそれがあり、特許文献3の装置は比較的大型のため移動そのものが困難であり、携帯型扇風機には適用できないという課題もある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、携帯型扇風機にも適用できる扇風機用冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る、扇風機からの風の温度を低下させる扇風機用冷却装置は、前記風を通す通風孔が形成された略板状の吸水性部材と、前記吸水性部材を前記風の風下に位置するように支持する支持体と、前記吸水性部材の上方に設けられた貯水部と、を備え、前記吸水性部材はその上端に下方に凹む受水凹部が形成され、前記貯水部はその内部に貯留された水を流出させる流出口を備え、前記流出口に接続され、前記受水凹部の内底面に達する給水管を備えている。
【0010】
この構成では、吸水性部材が扇風機の風下に位置するため、吸水性部材の通風孔を風が通り抜ける際に、気化熱によって風の温度を下げることができる。また、貯水部の流出口から流出する水は給水管を介して吸水性部材に供給されるが、給水管の下端が吸水性部材の受水凹部の内底面にまで達しているため、水跳ねを起こすことなく水を吸水性部材に供給することができる。
【0011】
本発明に係る扇風機用冷却装置の好適な実施形態の一つでは、前記流出口から流出する水は滴状である。
【0012】
吸水性部材に供給される水の量が吸水性部材から気化する水の量より多い場合には、吸水性部材全体が保持する水の量は次第に増加する。そして、吸水性部材が保持できる最大量を超えると、水は吸水性部材に吸収されずに漏れ出してしまう。そのため、流出口からの流量を調整する必要がある。しかしながら、流出口から絶えず流れ出る水の量を調整するためには構造が複雑となる。一方、流出口から流出する水を滴状とすると、簡易な構成で流量を調整することができる。例えば、貯水部に閉塞可能な貯水タンクを備え、その貯水タンクに直径の小さな流出口を形成し、貯水タンクの内部に取り入れる外部雰囲気の空気の量を調整する機構を設けることで水を滴状にすることができる。
【0013】
本考案に係る扇風機用冷却装置の好適な実施形態の一つでは、前記吸水性部材は前記受水凹部が前記流出口の真下に位置するように配置され、前記給水管は直管である。
【0014】
この構成では、流出口から流出した水は、真っ直ぐに給水管を通って受水凹部に達することができる。そのため、水が滴状であるような流出量が少ない場合でも、的確に吸水性部材に水を供給することができる。
【0015】
また、本発明に係る扇風機用冷却装置の好適な実施形態の一つでは、前記給水管の内径は前記流出口の直径よりも大きくなっている。
【0016】
流出口から滴下する滴の大きさは流出口の直径と略同じであるため、給水管の内径が流出口の直径以下であると、水が流れにくくなるおそれがある。一方、この構成では、給水管の内径を流出口の直径よりも大きくしているため、水が流れやすくなり、的確に吸水性部材に水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】扇風機用冷却装置の正面図である。
図2】扇風機用冷却装置の背面図である。
図3】扇風機用冷却装置の分解斜視図である。
図4】扇風機用冷却装置の吸水性部材と貯水タンクとの近接部分の縦断面図である。
図5】扇風機用冷却装置の給水凸部近傍の縦断面図である。
図6】実験結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を用いて、本発明に係る扇風機用冷却装置の実施形態を説明する。なお、本実施形態の扇風機用冷却装置は携帯型扇風機の前面に取り付けて使用するものである。
【0019】
図1から図3に示すように、本実施形態における扇風機用冷却装置は、枠体1(本発明における支持体の例),吸水性部材2,貯水部3を備えている。この扇風機用冷却装置は扇風機の前方の風の通り道に設置する。例えば、携帯型扇風機に使用する場合には、吸水性部材2が扇風機の羽の正面に位置するように、扇風機用冷却装置を携帯型扇風機に固定する。なお、以下の説明における上下左右は図1の姿勢における上下左右と同じであり、前は風下側、後ろは風上側である。
【0020】
枠体1は、正面視において雫型のリング状であり、前後方向に厚みを有するように樹脂等により形成されている。本実施形態では、枠体1の径方向の厚み(リング幅)を5mmとし、吸水性部材2を支持している部分の外直径を105mm、内直径を95mmとしている。なお、本実施形態において開示する各々の構成の寸法は例であるため、適宜変更可能であり、使用する扇風機の大きさに適合させることが好ましい。
【0021】
図3に示すように、枠体1の後面の下方には、内径側が開放された円弧状の円弧状凹部11が形成されている。この円弧状凹部11の正面視形状は略吸水性部材2の正面視形状に適合している。また、円弧状凹部11の深さは吸水性部材2の厚みよりも大きくなっている。そのため、吸水性部材2は円弧状凹部11に嵌まり込み、枠体1に支持される。一方、枠体1の上方には径外方向に凹む貯水部嵌め込み凹部12が形成されている。貯水部嵌め込み凹部12の形状は後述する貯水部3の貯水タンク31の正面視形状に適合している。そのため、貯水部3は貯水部嵌め込み凹部12に嵌まり込み、枠体1に支持される。
【0022】
また、図2に示すように、円弧状凹部11の下端部には周内方向および後方に突出する位置決め凸部13が形成されている。また、図3に示すように、枠体1の上面には、貯水部3の給水凸部32を挿通するための挿通孔14が径方向に貫通形成されている。
【0023】
また、枠体1は扇風機に固定するための固定具(図示せず)を備えている。固定具は、扇風機の前ガード、ガードリング、後ろガード等に対して固定され、扇風機に対して扇風機用冷却装置を支持させるものであれば、様々な構成を用いることができる。
【0024】
吸水性部材2は厚みのある円盤状に形成されている。吸水性部材2の素材は、例えば、石膏,珪藻土,大谷石,ゼオライト,吸水性高分子やこれらの混合素材等、吸水性を有し、立体形状を保てるものであれば使用することができる。上述したように、吸水性部材2は円弧状凹部11に嵌まり込む必要があるため、吸水性部材2の直径は95mmよりも大きくする必要がある。例えば、円弧状凹部11aの径方向幅を3mmとすると、吸水性部材2の直径は101mmとすればよい。本実施形態では枠体の内直径が95mmであるため、吸水性部材2のうち、直径95mmの円内の部分が前方に露出している。
【0025】
吸水性部材2の全面には複数の通風孔21が略一様に形成されており、この通風孔21を通って扇風機の風が前方に流れることができる。本実施形態では、通風孔21の直径は5mmである。なお、通風孔21の数は適宜変更可能であるが、本発明の発明者の実験によると、正面視における通風孔21の開口の面積の総和は、吸水性部材2の露出部分の面積の60%以上にすることが好ましく、通風口の開口の面積を3cm以下にすると冷却効果が高まることが判明している。また、通風孔21の正面視形状は円形が好ましい。なお、図に示した吸水性部材2はこの数値要件を満たしていない。
【0026】
吸水性部材2の外周面の対向する位置に、径内方向に凹む受水凹部22と位置決め凹部23とが形成されている。位置決め凹部23の形状は枠体1の位置決め凸部13の形状にほぼ適合しており、位置決め凸部13が位置決め凹部23に嵌まり込むことによって、吸水性部材2が前後方向軸周りに回転することを規制することができる。なお、位置決め凸部13と位置決め凹部23との配置場所や数は適宜変更可能である。また、吸水性部材2を枠体1に対して位置決めするための構成も適宜変更可能である。
【0027】
貯水部3は、内部に水を貯留する貯水タンク31,貯水タンク31から上方に延設された筒状の給水凸部32,給水凸部32の上方の開口を閉塞可能な給水蓋34を備えている。また、図3に示すように、貯水タンク31の底面には貯水タンク31の水を滴下させるための滴下孔33(本発明における流出口の例)が形成されている。滴下孔33の直径は、流れ出る水が滴となりやすいよう、例えば、1mm程度と小さくすることが好ましいが、適宜変更可能である。貯水タンク31の内底面を滴下孔33に向かって下るように傾斜させておけば、内部の水を的確に滴下孔33から流出させることができるため、好ましい。
【0028】
図5に示すように、給水凸部32の内部には、貯水タンク31の内部に水を供給するための給水路32aが形成されており、給水路32aの上端は開口32bとなっている。給水凸部32の外周面には雄ねじが形成されており、給水蓋34の内周面には、給水凸部32の雄ねじに適合する雌ねじが形成されている。貯水タンク31の内部に水を入れる際には、給水蓋34を取り外し、開口32bから水を注入する。また、給水凸部32の外周面には連通路32cが形成されている。連通路32cは給水凸部32の開口32bから下方に向けて形成されている。本実施形態では、2本の連通路32cを対向する位置に設けているが、連通路32cの本数は適宜変更可能である。水が入った状態での貯水タンク31は、給水蓋34を締め付けることによって外部雰囲気との連通を遮断することができる。
【0029】
滴下孔33にはそこから流出(滴下)する水を通すための給水管4が接続されている。本実施形態では、給水管4は、直管で、その内径が滴下孔33の径よりも大きいものを使用する。例えば、給水管4の内径は流出口33の直径の2倍以上が好ましい。
【0030】
図3は扇風機用冷却装置の分解斜視図である。扇風機用冷却装置を組み立てる際には、先ず、貯水部3から給水蓋34を外し、滴下孔33に給水管4を接続しておく。そして、給水凸部32を下方から挿通孔14に挿通し、貯水タンク31を貯水部嵌め込み凹部12に嵌め込み、給水蓋34を取り付ける。さらに、吸水性部材2を、位置決め凹部23が位置決め凸部13に嵌まり込むように、円弧状凹部11にはめ込む。このとき、吸水性部材2の受水凹部22が給水管4,すなわち、滴下孔33の真下に位置させる。これにより、滴下孔33から滴下した水は給水管4を通って真っ直ぐに受水凹部22にまで達することができる。また、上述したように、滴下孔33の直径よりも給水管4の内径が大きいため、水が流れやすくなっている。また、図4に示すように、給水管4の下端は受水凹部22の内底面22aに略接している。このように給水管4を配置することにより、滴下孔33から滴下した水は給水管4を通り、受水凹部22の内底面22aに達する。そのため、水跳ねを起こすことなく、水は受水凹部22の内底面22aから吸収され、その後吸水性部材2全体に浸透してゆく。なお、発明者は実験を通して、吸水性部材2を網目状とした場合には、水が吸水性部材2の全体に浸透する際に網部分から滴下する場合があるが、本実施形態のように吸水性部材2に円形の通風孔21を形成した場合には、途中で滴下することなく、吸水性部材2全体に浸透しやすいという知見を得ている。また、発明者は実験を通して、滴下孔33からの滴下は1分間あたり10~50滴が好ましいという知見も得ている。
【0031】
本発明では、貯水部3からの水を吸水性部材2に的確に供給するために、給水管4と吸水性部材2とをこのような位置関係としている。そのため、この位置関係がずれると吸水性部材2への水の供給が正常に行われなくなる可能性がある。位置関係のずれとは、例えば、吸水性部材2が前後方向軸周りに回転を生じ、給水管4の先端が受水凹部22の底面から離間した場合である。しかしながら、上述したように、本実施形態では、枠体11の位置決め凸部13が吸水性部材2の位置決め凹部23に嵌まり込むため、吸水性部材2が前後方向軸周りに回転しにくくなっている。さらに、撓みにくい素材の給水管4を採用すれば、給水管4が受水凹部22に嵌まり込み、これらも吸水性部材2の前後方向軸周りの回転規制に寄与する。
【0032】
本発明の扇風機用冷却装置では、吸水性部材2への水の供給/停止を制御することができる。図5(b)において矢印で示すように、給水蓋34が緩んだ状態では、給水蓋34の内面が開口32bから離間し、貯水タンク31の内部雰囲気と外部雰囲気とは連通路32cおよび給水路32aを介して連通している。そのため、これらの通路を介して大気圧が貯水タンク31内の水に作用し、滴下孔33から水が滴下する。このとき、給水蓋34の緩め量を調整することにより、貯水タンクに流入する空気の量を調整し、滴下孔33から水の流量を調整することができる。具体的には、緩める量を大きくし、流入する空気の量を多くすると、水の流量が増大する。一方、緩める量を小さくし、流入する空気の量を少なくすると、水の流量が減少する。水の流量が一定以下になると、流出する水は滴状となる。このように、本実施形態では、給水蓋34の緩める量を調整することにより、滴下孔33からの水を滴状とすることができる。
【0033】
一方、図5(a)に示すように、給水蓋34を締め付け、給水蓋34の内面を開口32bに密着させると、連通路32cが閉塞される。これにより、貯水タンク31の内部雰囲気と外部雰囲気との連通が遮断され、滴下孔33からの水の滴下を止めることができる。
【0034】
図6は、本発明の扇風機用冷却装置の効果を示すための実験結果を表すグラフである。この実験では、本発明の扇風機用冷却装置を扇風機に取り付け、扇風機の後ろ側5cmの位置と、扇風機用冷却装置の前側5cmの位置と、で温度を測定した。横軸は、扇風機の後ろ側での温度、すなわち、外気温であり、縦軸は外気温と扇風機用冷却装置で冷却された空気の温度との差である。黒丸は実際の実験結果をプロットしたものであり、直線はこれらの実験結果から求めた回帰直線である。グラフから、外気温が高くなるほど、下がる温度も大きくなっていることが分かり、外気温が高い場合でも十分に冷感効果を得ることができることを示している。
【0035】
このように、本発明に係る扇風機用冷却装置は、吸水性部材2に対して水を供給する際に、水跳ねや水漏れが生じにくく、また、簡易な構成であるため、携帯型扇風機にも適用することができる。また、外気温が高い状態でも十分な冷感効果を得ることができる。
【0036】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、連通路は上下方向に溝状に形成したが、これに限定されるものではなく、他の構成であっても構わない。例えば、給水凸部32の側面に形成された、外部雰囲気と給水路32aとを連通させる貫通孔とすることができる。この場合、全ての貫通孔を、給水蓋34を締め付けた際の給水蓋34の下端よりも上方に位置させておけばよい。
【0037】
(2)上述の実施形態では、枠体1を支持体として吸水性部材2を支持したが、本発明の目的を達する限りにおいて、他の構成としても構わない。また、吸水性部材2を具体的に支持する構成についても同様である。
【0038】
(3)上述の実施形態では、吸水性部材2の前後方向軸周りの回転を規制するために位置決め凸部13と位置決め凹部23を設けたが、枠体1に対して吸水性部材2を接着等する場合には、これらの構成は設けなくても構わない。
【0039】
(4)上述の実施形態では、給水蓋34によって貯水タンク31内に流入する空気の量を調整することにより、滴下孔33からの水を滴状としたが、他の構成によって水を滴状としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、扇風機の前方に配置して利用することができる。特に、携帯型の扇風機に取り付けての使用に適しているが、据え置き型の扇風機に取り付けたり、その前方に配置したりしても利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:枠体(支持体)
2:吸水性部材
21:通風孔
22:受水凹部
22a:内底面
3:貯水部
33:滴下孔(流出口)
4:給水管

図1
図2
図3
図4
図5
図6