(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148270
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】バスバーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20241010BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241010BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/588
H01M50/591
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061267
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】中川 真理子
(72)【発明者】
【氏名】向笠 博貴
(72)【発明者】
【氏名】雄鹿 達也
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA05
5H043CA04
5H043FA04
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA09F
5H043JA26F
5H043KA01F
5H043KA22F
(57)【要約】
【課題】バスバーを収容する収容部の低背化に有利なバスバーモジュールを提供する。
【解決手段】バスバーモジュール1は、互いに並列に突出する第1単電池100aの一方の端子と第2単電池100bの一方の端子とを接続するバスバー10と、バスバー10を収容する収容部30と収容部30に装着されるカバー40とを有する絶縁性のバスバーケース20を備える。収容部30は、バスバー10を端子の接続方向とは垂直な方向から囲む枠状の側壁部31と、側壁部31における第1単電池100a又は第2単電池100bと対向する第1開口21の側からバスバー10を支持する支持部32とを有する。カバー40は、側壁部31における第1開口21とは反対側の第2開口22を覆うカバー本体41と、カバー本体41から第1開口21に向けて突出してバスバー10と接触する突出部42とを有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が正極端子及び負極端子の一対の端子を有する第1単電池と第2単電池とを電気的に接続するバスバーモジュールであって、
互いに並列に突出する前記第1単電池の一方の前記端子と前記第2単電池の一方の前記端子とを接続するバスバーと、
前記バスバーを収容する収容部と当該収容部に装着されるカバーとを有する絶縁性のバスバーケースと、を備え、
前記収容部は、前記バスバーを前記端子の接続方向とは垂直な方向から囲む枠状の側壁部と、当該側壁部における前記第1単電池又は前記第2単電池と対向する第1開口の側から前記バスバーを支持する支持部とを有し、
前記カバーは、前記側壁部における前記第1開口とは反対側の第2開口を覆うカバー本体と、当該カバー本体から前記第1開口に向けて突出して前記バスバーと接触する突出部とを有する、バスバーモジュール。
【請求項2】
前記カバー本体は、貫通孔を有する、請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
前記突出部は、複数あり、
前記カバー本体は、互いに平面方向で並び、各々の前記突出部を個別に支持する複数の平板部と、隣り合う2つの前記平板部を連結する複数の弾性部とを有する、請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項4】
前記カバー本体は、当該カバー本体の端縁に係止部を有し、
前記収容部は、前記側壁部の外面側に、前記カバーが前記収容部に装着されたときに前記係止部を係合させる被係止部を有する、請求項1又は2に記載のバスバーモジュール。
【請求項5】
前記バスバーケースは、変形自在な板状のヒンジ部を有し、
前記ヒンジ部の一端は、前記側壁部の外面と連続し、
前記ヒンジ部の前記一端とは反対側の他端は、前記カバー本体の端縁と連続する、請求項1又は2に記載のバスバーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車又はハイブリッド自動車のような車両には、駆動源として電池パックが搭載されている。電池パックでは、内部に備わる各々の単電池を電気的に接続するバスバーモジュールが採用される場合がある。バスバーモジュールに関する技術として、特許文献1は、複数の単電池を備える電池モジュールにおいて各々の単電池を接続する電池接続アセンブリを開示している。電池接続アセンブリは、隣り合う単電池同士のうち一方の単電池の正極端子と他方の単電池の負極端子とを電気的に接続するバスバーと、バスバーを内部で保持する絶縁部材とを備える。
【0003】
特許文献1に開示されている絶縁部材は、バスバーを収容する収容部の側壁に、収容部の内部へ突出しつつ、側壁の肉厚方向に弾性変形可能な係止爪を有する。バスバーが収容部に取り付けられるとき、係止爪は、バスバーが当接することで弾性変形し、その後、バスバーが乗り越えることで元の形状に戻る。最終的に、バスバーの一部が載置部上に載置され、バスバーの端縁が係止爪と係合することで、バスバーは、収容部内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている絶縁部材では、係止爪は、バスバーの取り付けに要する弾性変形を許容するために、取付方向に沿った係止爪の長手部分の長さをある程度確保する必要がある。したがって、バスバーの取付方向に沿う側壁の高さも係止爪の長さを確保する分必要となることで、絶縁部の一部である収容部の低背化を阻害し、結果として電池接続アセンブリの小型化を阻害し得る。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、バスバーを収容する収容部の低背化に有利なバスバーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、各々が正極端子及び負極端子の一対の端子を有する第1単電池と第2単電池とを電気的に接続するバスバーモジュールであって、互いに並列に突出する第1単電池の一方の端子と第2単電池の一方の端子とを接続するバスバーと、バスバーを収容する収容部と収容部に装着されるカバーとを有する絶縁性のバスバーケースと、を備え、収容部は、バスバーを端子の接続方向とは垂直な方向から囲む枠状の側壁部と、側壁部における第1単電池又は第2単電池と対向する第1開口の側からバスバーを支持する支持部とを有し、カバーは、側壁部における第1開口とは反対側の第2開口を覆うカバー本体と、カバー本体から第1開口に向けて突出してバスバーと接触する突出部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バスバーを収容する収容部の低背化に有利なバスバーモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】カバー装着前の一実施形態に係るバスバーモジュールの斜視図である。
【
図1B】カバー装着後の一実施形態に係るバスバーモジュールの斜視図である。
【
図2】バスバーケースの第1例を示す斜視図である。
【
図3】バスバーケースの第2例を示す斜視図である。
【
図4】バスバーケースの第3例を示す斜視図である。
【
図5】バスバーケースの第4例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて一実施形態に係るバスバーモジュールについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
図1A及び
図1Bは、一実施形態に係るバスバーモジュール1の斜視図である。
図1Aでは、バスバーケース20において収容部30にカバー40が装着される前の状態にあるバスバーモジュール1が示されている。
図1Bでは、収容部30にカバー40が装着された後の状態にあるバスバーモジュール1が示されている。以下、カバー40が収容部30に装着されている状態時を単に「カバー装着時」と表現する。
【0012】
一般に、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両は、駆動源として複数の単電池100を備えた電池パックを搭載している。バスバーモジュール1は、このような電池パックに採用され、単電池100同士を電気的に接続する。なお、電池パックは、バッテリーパックと呼称される場合もある。単電池は、単セル又はセルと呼称される場合もある。
【0013】
以下、バスバーモジュール1は、一例として、
図1A及び
図1Bにおいて二点鎖線で示されているように、仮想の電池パックに備わる第1単電池100aと第2単電池100bとの2つの単電池100を電気的に接続する。なお、第1単電池100aと第2単電池100bとは、互いに同形状及び同構成であるものとする。単電池100の概略形状は、直方体である。単電池100の1つの端面には、互いに離間しつつ同方向に突出する正極端子101及び負極端子102が設けられている。正極端子101及び負極端子102は、各々丸棒状であり、少なくとも先端部には、ネジ山が形成されている。
【0014】
また、単電池100の形状又は構造を参照して、各方向を次のように規定する。Z方向は、正極端子101及び負極端子102の突出方向に沿う。X方向及びY方向は、各々Z方向と垂直であり、かつ、互いに垂直である。X方向は、1つの単電池100において、正極端子101と負極端子102とが並ぶ方向に沿う。単電池100は、XZ平面を主平面とし、Y方向を厚み方向とした扁平状の直方体と見なし得る。以下、単電池100における四方の端面のうち、XY平面と平行で、かつ、正極端子101及び負極端子102が設けられている端面を接続面103と規定する。接続面103において、正極端子101は、X方向の一方の端部領域に設けられ、負極端子102は、X方向の他方の端部領域に設けられる。また、Y方向は、電池パック内での複数の単電池100の配列方向に相当する。本実施形態では、第1単電池100aと第2単電池100bとは、X方向で各々の正極端子101及び負極端子102が反対となるように配列される。この場合、第1単電池100aの正極端子101と第2単電池100bの負極端子102とが、及び、不図示であるが第1単電池100aの負極端子102と第2単電池100bの正極端子101とが、それぞれ、Y方向に沿って互いに近接して対向する。
【0015】
バスバーモジュール1は、第1単電池100aの正極端子101と、第2単電池100bの負極端子102とを電気的に接続することにより、第1単電池100aと第2単電池100bとを直列に接続する。バスバーモジュール1は、バスバー10と、バスバーケース20と、不図示の電圧検出回路とを備える。
【0016】
バスバー10は、金属製である導電性の部材であり、互いに並列に突出する第1単電池100aの正極端子101と第2単電池100bの負極端子102とを接続する。バスバー10は、長板状の金属材にプレス加工が施されることで形成され得る。本実施形態では、バスバー10は、第1接続部11と、第2接続部12と、係合部13とを有する。
【0017】
第1接続部11は、第1単電池100aの正極端子101を接続する板状部である。例えば、第1接続部11は、厚み方向に貫通する第1貫通孔11aを有してもよい。第1貫通孔11aには、バスバー10の取付時に、第1単電池100aの正極端子101の一部が貫通する。同様に、第2接続部12は、第2単電池100bの負極端子102を接続する板状部である。例えば、第2接続部12は、厚み方向に貫通する第2貫通孔12aを有してもよい。第2貫通孔12aは、バスバー10の取付時に、第2単電池100bの負極端子102の一部が貫通する。本実施形態では、バスバー10は、Z方向視では、Y方向を長手方向とした矩形である。第1接続部11及び第2接続部12の厚み方向は、Z方向に沿う。また、第1貫通孔11aと第2貫通孔12aとは、1つのバスバー10が有する一対の貫通孔として、Y方向で互いに離間する。
【0018】
第1貫通孔11a及び第2貫通孔12aの開口形状は、正極端子101及び負極端子102の軸形状に合わせて円形であってもよい。この場合、第1貫通孔11aと第2貫通孔12aとの各々の軸中心を結んだピッチは、第1単電池100aの正極端子101と第2単電池100bの負極端子102との各々の軸中心を結んだピッチにおおよそ合う。
【0019】
係合部13は、第1接続部11と第2接続部12との間を横切るように設けられ、バスバーケース20の支持部32に支持される。本実施形態では、係合部13は、バスバー10のY方向での中間に設けられ、内側にX方向に沿った溝13aが形成されるように、外側がZ方向に突出する凸形となる曲げ部である。
【0020】
図2は、バスバーケース20の第1例を示す斜視図である。
図2では、
図1Aに示されているものと同様に、収容部30にカバー40が装着される前のバスバーケース20が示されている。
【0021】
バスバーケース20は、例えば合成樹脂製である絶縁性の部材であり、第1単電池100aの正極端子101と第2単電池100bの負極端子102とに接続されているバスバー10を内包する。バスバーケース20は、金型を用いた射出成形により形成され得る。本実施形態では、バスバーケース20は、収容部30と、カバー40と、ヒンジ部50とを一体的に有する。
【0022】
収容部30は、バスバー10を収容する。収容部30は、側壁部31と、支持部32と、被係止部33とを有する。
【0023】
側壁部31は、正極端子101及び負極端子102の接続方向であるZ方向とは垂直なX方向又はY方向からバスバー10を囲む枠状である。本実施形態では、側壁部31は、Z方向視によるバスバー10の矩形に合わせて、Z方向視でY方向を長手方向として外周及び内周が矩形となる矩形枠である。具体的には、側壁部31は、第1側壁31aと、第2側壁31bと、第3側壁31cと、第4側壁31dとを有する。第1側壁31a、第2側壁31b、第3側壁31c及び第4側壁31dは、当該順序で環状に連続している。第1側壁31aと第3側壁31cとは、互いにX方向で対向する。第2側壁31bと第4側壁31dとは、互いにY方向で対向する。この場合、側壁部31の内側には、Z方向に沿って貫通する収容空間Sが形成されることになる。
【0024】
ここで、バスバーモジュール1が第1単電池100a及び第2単電池100bに接続されたとき、第1単電池100a又は第2単電池100bと対向する側を「下」とし、Z方向で下側とは反対側を「上」と定義する。以下、側壁部31において、収容空間Sに連通する下側の開口を第1開口21といい、収容空間Sに連通する上側の開口を第2開口22という。
【0025】
第1側壁31a及び第3側壁31cのY方向での長さ寸法、並びに、第2側壁31b及び第4側壁31dのX方向での長さ寸法は、それぞれ、Z方向視での側壁部31の内周がバスバー10の外周よりも大きくなるように設定される。側壁部31のZ方向での高さ寸法は、バスバーモジュール1が第1単電池100a及び第2単電池100bに接続された状態で、正極端子101及び負極端子102の上端部よりも高くなるように設定される。
【0026】
支持部32は、収容空間S内において第1開口21の側からバスバー10を支持する。本実施形態では、支持部32は、一端が第1側壁31aと連続して他端が第3側壁31cと連続するように、X方向に沿って延伸する棒状部である。また、支持部32は、Z方向では第1開口21の近傍に位置し、Y方向では収容空間Sの中間に位置する。支持部32の棒形状は、特に限定されるものではないが、バスバー10に設けられている係合部13の溝13aに係合し得る形状とする。
【0027】
被係止部33は、側壁部31の外面31e側に設置され、カバー装着時に係止部43を係合させる。本実施形態では、被係止部33は、第3側壁31cの外面31eの一部に設置される。
【0028】
カバー40は、収容部30に装着される。カバー40は、カバー本体41と、突出部42と、係止部43とを有する。
【0029】
カバー本体41は、側壁部31における第2開口22を覆う板体である。本実施形態では、側壁部31が矩形枠であるので、カバー本体41のZ方向視での形状は、第2開口22の開口形状とおおよそ同形状で、第2開口22の大きさよりも小さい矩形である。カバー本体41は、互いに表裏となる、外表面41aと、内表面41bとを有する。外表面41aは、カバー装着時に外部に面する。内表面41bは、カバー装着時に収容空間Sに面する。また、カバー本体41の四方の端縁のうち、Y方向に沿う一方の端縁を第1端縁41cと規定し、Y方向に沿う他方の端縁を第2端縁41dと規定する。
【0030】
突出部42は、カバー装着時に、収容空間S内でバスバー10と接触する。突出部42は、カバー装着時の軸方向がZ方向に沿うように、内表面41bから法線方向に突出する柱状部である。つまり、突出部42は、カバー装着時には、カバー本体41から第1開口21に向けて突出する形となる。ここで、収容空間Sでは、バスバー10は、第1単電池100aの正極端子101及び第2単電池100bの負極端子102と接続されている。そこで、突出部42は、バスバー10上の表面のうち、第1接続部11において正極端子101がボルト締結されている部分、及び、第2接続部12において負極端子102がボルト締結されている部分をそれぞれ避けた残存面と接触する。
【0031】
本実施形態では、一例として、第1突出部42a、第2突出部42b、第3突出部42c及び第4突出部42dの計4つの突出部42が存在する。第1突出部42aと第4突出部42dとは、互いに第1端縁41cに沿い、かつ、カバー装着時にバスバー10の係合部13との接触を回避し得る間隔で並ぶ。第2突出部42bと第3突出部42cとは、互いに第2端縁41dに沿い、かつ、カバー装着時にバスバー10の係合部13との接触を回避し得る間隔で並ぶ。
【0032】
第1突出部42a及び第2突出部42bは、カバー装着時に、互いにX方向で、かつ、第1接続部11において正極端子101がボルト締結されている部分との接触を回避し得る間隔で並ぶ。つまり、第1突出部42a及び第2突出部42bの各々の先端部42eは、カバー装着時に、第1接続部11において正極端子101がボルト締結されている部分以外の第1接続面11bを互いに異なる位置で押し付ける。
【0033】
第3突出部42c及び第4突出部42dは、カバー装着時に、互いにX方向で、かつ、第2接続部12において負極端子102がボルト締結されている部分との接触を回避し得る間隔で並ぶ。つまり、第3突出部42c及び第4突出部42dの各々の先端部42eは、カバー装着時に、第2接続部12において負極端子102がボルト締結されている部分以外の第2接続面12bを互いに異なる位置で押し付ける。
【0034】
各々の突出部42の先端部42eの形状は、
図2等に示すように、バスバー10とバスバーケース20との相対位置のズレに対応しやすくするために、曲面であってもよい。
【0035】
係止部43は、カバー装着時に、収容部30に予め設けられている被係止部33に係合される。本実施形態では、被係止部33は、収容部30における第3側壁31cの外面31eの一部に設置されているので、係止部43は、カバー本体41における第1端縁41cの一部に設置される。被係止部33と係止部43とは、一対でロック機構を構成するものであるが、具体的な構成は、特に限定されるものではない。
【0036】
ヒンジ部50は、収容部30とカバー40とを連結する変形自在な薄板部である。本実施形態では、カバー40を収容部30に装着させる前の状態で、X方向に沿って延伸しつつY方向で互いに離間するように並列に設けられた2つのヒンジ部50が存在する。ヒンジ部50の一端は、側壁部31における第1側壁31a上の外面31eと連続する。ヒンジ部50の一端とは反対側の他端は、カバー本体41の第2端縁41dと連続する。カバー装着時には、ヒンジ部50が折り曲げられ、被係止部33に係止部43が係止されることで、カバー40は、第2開口22を覆った状態で収容部30に保持される。
【0037】
ここで、第1側壁31aは、それぞれ第2開口22に面し、カバー装着時には折り曲げられたヒンジ部50の一部を各々収容する2つの切り欠き部31fを有してもよい。この場合、ヒンジ部50の一端は、切り欠き部31fの底部と連続する。このような構成によれば、カバー装着時には、
図1Bに示すように、カバー本体41の外表面41aが収容部30の第2開口22側の開口端とおおよそ合うように、カバー本体41の全体を収容空間Sに収容することができる。
【0038】
電圧検出回路は、バスバーモジュール1内で配索される配索材であり、バスバー10により互いに直列に接続されている各々の単電池100の正極端子101及び負極端子102に電気的に接続され、各々の単電池100の電圧を検知する。電圧検出回路は、不図示のコントローラに接続され、コントローラに検知情報を送信することで、各々の単電池100の状態が制御される。
【0039】
次に、バスバーモジュール1の単電池100への取り付けについて説明する。
【0040】
まず、第1単電池100a及び第2単電池100bは、
図1Aに示すように、Y方向を整列方向として予め配列されているものとする。作業者は、第1単電池100aの正極端子101及び第2単電池100bの負極端子102を収容部30の第1開口21を通じて収容空間Sに進入させながら、側壁部31を第1単電池100a及び第2単電池100bの各々の接続面103上に載置する。
【0041】
次に、作業者は、バスバー10に設けられている溝13aが収容部30の支持部32と係合するように、バスバー10を収容部30の第2開口22を通じて収容空間Sに収容する。このとき、作業者は、バスバー10の第1接続部11に設けられている第1貫通孔11aに、第1単電池100aの正極端子101を貫通させる。同時に、作業者は、バスバー10の第2接続部12に設けられている第2貫通孔12aに、第2単電池100bの負極端子102を貫通させる。その後、作業者は、各々不図示のナット等を用いたボルト締結により、正極端子101に第1接続部11を取り付け、併せて、負極端子102に第2接続部12を取り付ける。
図1Aでは、この段階でのバスバー10及びバスバーケース20の外観が示されている。
【0042】
そして、作業者は、バスバーケース20のヒンジ部50を折り曲げながら、カバー40を収容部30に装着させる。
図1Bでは、この段階でのバスバーケース20の外観が示されている。カバー本体41は、カバー40の係止部43が収容部30の被係止部33に係止されることで、第2開口22を覆いつつロック状態となる。このとき、カバー本体41の内表面41bから突出している複数の突出部42の各々の先端部42eは、バスバー10と接触するので、各々の突出部42は、各々の単電池100の接続面103に向かう方向でバスバー10を押し付けることになる。本実施形態では、第1突出部42a及び第2突出部42bは、第1接続部11上の第1接続面11bを押し付ける。一方、第3突出部42c及び第4突出部42dは、第2接続部12上の第2接続面12bを押し付ける。
【0043】
一方、バスバー10は、第1接続面11b及び第2接続面12bが各々の突出部42に押し付けられている方向とは反対方向で、収容部30の支持部32で支持されている。したがって、バスバー10は、バスバーケース20に、Z方向に沿って支持部32と複数の突出部42とで全体的に挟み込まれる形で保持されることになる。
【0044】
ここで、カバー装着時におけるZ方向を、バスバー10及びバスバーケース20における高さ方向と規定する。この場合、各々の突出部42の高さ寸法は、カバー装着時に、カバー本体41の外表面41aが収容部30の第2開口22側の開口端と高さ方向での位置が合うときに、バスバー10を保持し得る押圧力を与えることができる程度に設定されることが望ましい。
【0045】
次に、バスバーモジュール1の効果について説明する。
【0046】
まず、バスバーモジュール1は、各々が正極端子101及び負極端子102の一対の端子を有する第1単電池100aと第2単電池100bとを電気的に接続する。このバスバーモジュール1は、互いに並列に突出する第1単電池100aの一方の端子と第2単電池100bの一方の端子とを接続するバスバー10を備える。また、バスバーモジュール1は、バスバー10を収容する収容部30と、収容部30に装着されるカバー40とを有する絶縁性のバスバーケース20を備える。収容部30は、バスバー10を端子の接続方向とは垂直な方向から囲む枠状の側壁部31と、側壁部31における第1単電池100a又は第2単電池100bと対向する第1開口21の側からバスバー10を支持する支持部32とを有する。カバー40は、側壁部31における第1開口21とは反対側の第2開口22を覆うカバー本体41と、カバー本体41から第1開口21に向けて突出してバスバー10と接触する突出部42とを有する。
【0047】
ここで、上記の各図を用いた例示では、正極端子101及び負極端子102をバスバー10に接続する接続方向は、Z方向に相当する。
【0048】
バスバーモジュール1の構成によれば、バスバー10は、絶縁性のバスバーケース20によって全体的に覆われる状態で第1単電池100a及び第2単電池100bに接続される。したがって、バスバー10自体、又は、バスバー10と正極端子101又は負極端子102との接続部位等が外部から保護される。例えば、作業者が用いている工具が誤って正極端子101及び負極端子102に接触したことで、当該工具を介して正極端子101と負極端子102とが短絡してしまうことを抑止することができる。
【0049】
また、バスバーモジュール1の構成によれば、バスバーケース20は、バスバー10を、収容部30の一部分である支持部32と、カバー40の一部分である突出部42とで、端子の接続方向に沿って挟み込む形で保持する。ここで、端子の接続方向を高さ方向と規定すると、バスバーケース20では、正極端子101等の端子の高さを考慮しつつ、突出部42の高さ寸法を極力低くなるように設定することで、カバー40の高さ位置を低く設定することができる。したがって、カバー40を直接的に装着する側壁部31の高さ、すなわち収容部30の高さを、より低背化させることができる。
【0050】
ここで、比較例として、バスバーケースが上記のような突出部42を有さず、収容部を構成する側壁部に設けられた係止爪を用いてバスバーを保持する場合を想定する。この場合、本実施形態とは異なり、バスバーの保持機構がすべて収容部に存在することになる。そして、係止爪は、バスバーの取り付けに要する弾性変形を許容するために、取付方向すなわち上記高さ方向に沿った係止爪の長手部分の長さをある程度確保する必要がある。この係止爪の必要長さは、正極端子101等の端子の高さとは関係しない。そのため、正極端子101等の端子の高さを基準とすれば側壁部の高さをより低く設定し得るとしても、係止爪の長さを確保する必要性から、側壁部の高さを低く設定できない場合もあり得る。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、バスバー10を収容する収容部30の低背化に有利なバスバーモジュール1を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、収容部30の側壁部31には、上記の比較例で説明したような係止爪が存在しない。そのため、カバー40が収容部30に装着される前では、上方からのZ方向視では、収容部30の内部である収容空間Sは、係止爪が存在しない分、広くなる。したがって、例えば、バスバー10の第1接続部11又は第2接続部12に正極端子101又は負極端子102をボルト締結等で接続するときに干渉し得る部位を予め少なくすることができる。
【0053】
なお、各図を参照した上記の説明では、突出部42として、第1突出部42a、第2突出部42b、第3突出部42c及び第4突出部42dが存在するものとした。このような複数の突出部42によれば、支持部32とでバランスよくバスバー10を挟み込むことができるので、バスバー10の保持の確実性を向上させることができる。一方、バスバー10又はバスバーケース20の大きさ若しくは詳細形状、又は、それに伴う突出部42のカバー本体41における突出位置などによっては、バスバーケース20において突出部42が1つのみ存在していてもよい場合もあり得る。
【0054】
また、上記の説明では、正極端子101及び負極端子102は、ナット等を用いたボルト締結によりバスバー10に接続されるものとした。ただし、このボルト締結は例示であり、例えば、正極端子101等の端子は、レーザー溶接等によりバスバー10に接続されてもよい。側壁部31に係止爪が存在せず、カバー装着前の収容空間Sをより広くすることができる点は、バスバー10に正極端子101等の端子をレーザー溶接で接合するときに干渉し得る部位を少なくし得る点でも有利である。
【0055】
一方、バスバーケース20は、以下のように変形されてもよい。
【0056】
図3は、バスバーケース20の第2例を示す斜視図である。第2例に係るバスバーケース20に関して、
図2に示す第1例に係るバスバーケース20と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
バスバーケース20の第2例では、カバー本体41は、貫通孔41eを有する。カバー40には、カバー本体41から突出する突出部42が設けられているため、貫通孔41eは、カバー本体41における突出部42の設置位置を回避した領域に形成される。本実施形態での例示では、突出部42として、第1突出部42a、第2突出部42b、第3突出部42c及び第4突出部42dが存在する。この場合、貫通孔41eの開口形状は、Y方向を長手方向とする矩形であってもよい。また、貫通孔41eは、第1突出部42aと第2突出部42bとの間、及び、第3突出部42cと第4突出部42dとの間のいずれの領域にも係るように形成されてもよい。貫通孔41eがこのような形状を有することで、カバー装着時でも、収容空間Sにおけるバスバー10と正極端子101等の端子との接続部分が貫通孔41eを通じて外部から視認される。
【0058】
このように、バスバーモジュール1では、カバー本体41は、貫通孔41eを有してもよい。
【0059】
このバスバーモジュール1によれば、カバー装着時でも、作業者は、貫通孔41eを通じて、外部から収容空間S内を視認することができ、例えば、バスバー10と正極端子101等の端子とを接続するためのボルト締結又はレーザー溶接を実施することができる。
【0060】
図4は、バスバーケース20の第3例を示す斜視図である。第3例に係るバスバーケース20に関して、
図2に示す第1例に係るバスバーケース20と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
バスバーケース20の第1例及び第2例では、カバー本体41が1つの板体であったのに対して、バスバーケース20の第3例では、カバー本体41が複数に分割されている。具体的には、カバー本体41は、複数の平板部44と、複数の弾性部45とを有する。
【0062】
平板部44は、本実施形態では、4つの突出部42の各々に対応して4つ存在する。4つの平板部44、すなわち、第1平板部44a、第2平板部44b、第3平板部44c及び第4平板部44dは、互いに平面方向で並ぶ。第1平板部44aは、第1突出部42aを支持する。第2平板部44bは、第2突出部42bを支持する。第3平板部44cは、第3突出部42cを支持する。第4平板部44dは、第4突出部42dを支持する。第1平板部44aと第2平板部44bとは、X方向で互いに離間する。同様に、第3平板部44cと第4平板部44dとは、X方向で互いに離間する。第1平板部44aと第4平板部44dとは、Y方向で少なくとも一部が互いに離間する。同様に、第2平板部44bと第3平板部44cとは、Y方向で互いに離間する。
【0063】
弾性部45は、本実施形態では、4つの平板部44の各配置に対応して4つ存在する。4つの弾性部45、すなわち、第1弾性部45a、第2弾性部45b、第3弾性部45c及び第4弾性部45dは、それぞれ、隣り合う平板部44同士を連結する。第1弾性部45aは、第1平板部44aと第4平板部44dとをY方向で連結する。第2弾性部45bは、第1平板部44aと第2平板部44bとをX方向で連結する。第3弾性部45cは、第2平板部44bと第3平板部44cとをY方向で連結する。第4弾性部45dは、第3平板部44cと第4平板部44dとをX方向で連結する。4つの弾性部45の形状は、例えば、各々の突出部42の突出方向に沿って凸となる半円筒状であってもよい。
【0064】
このように、バスバーモジュール1では、突出部42は、複数あってもよい。カバー本体41は、互いに平面方向で並び、各々の突出部42を個別に支持する複数の平板部44と、隣り合う2つの平板部44を連結する複数の弾性部45とを有してもよい。
【0065】
このバスバーモジュール1によれば、突出部42ごとに、接触するバスバー10の表面形状に対応して適宜変位するので、カバー本体41がバスバー10の位置ばらつきに追従し、常時、カバー40の収容部30への正常な装着を実現することができる。
【0066】
また、本実施形態では、第2弾性部45b及び第4弾性部45dは、Y方向で互いに最も離間するように設けられる。これにより、カバー本体41には、バスバーケース20の第2例における貫通孔41eと同等の貫通空間が設けられるため、バスバーケース20の第3例でも、第2例の場合と同様の効果を奏し得る。
【0067】
図5は、バスバーケース20の第4例を示す斜視図である。第4例に係るバスバーケース20に関して、
図2に示す第1例に係るバスバーケース20と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
バスバーケース20の第1例では、全体形状が角柱状であり、先端部42eの形状が曲面となる突出部42を例示した。ただし、突出部42の形状は、これに限られない。例えば、突出部42の全体形状は、円柱状であってもよい。また、突出部42の先端は、
図5に示す四角錐状部42fのような任意の形状をなす突起であってもよい。
【0069】
また、バスバーモジュール1では、カバー本体41は、カバー本体41の端縁に係止部43を有してもよい。収容部30は、側壁部31の外面31e側に、カバー40が収容部30に装着されたときに係止部43を係合させる被係止部33を有してもよい。
【0070】
ここで、各図を参照した上記の説明では、カバー本体41において係止部43が設けられる端縁は、第1端縁41cである。一方、収容部30において被係止部33が設けられる側壁部31の一部は、第3側壁31cの外面31e側である。
【0071】
このバスバーモジュール1によれば、カバー40を収容部30に装着させたときのロック機構として機能する係止部43及び被係止部33は、収容部30の内部、すなわち収容空間Sにはない。したがって、例えば、バスバー10に正極端子101等の端子をボルト締結等で接続するときに干渉し得る部位を少なくするための構造の1つとして、収容空間Sを広く維持させることができる。
【0072】
更に、バスバーモジュール1では、バスバーケース20は、変形自在な板状のヒンジ部50を有してもよい。ヒンジ部50の一端は、側壁部31の外面31eと連続し、ヒンジ部50の一端とは反対側の他端は、カバー本体41の端縁と連続してもよい。
【0073】
ここで、各図を参照した上記の説明では、ヒンジ部50の一端が連続する側壁部31の外面31eは、第1側壁31aの外面31eである。一方、ヒンジ部50の他端が連続するカバー本体41の端縁は、第2端縁41dである。
【0074】
このバスバーモジュール1によれば、バスバーケース20は、収容部30とカバー40とがヒンジ部50を介して一体化されたものとなる。したがって、バスバーケース20全体を例えば射出成形による単純な工程で製造することができるとともに、バスバーモジュール1を構成する部品点数が削減されることで、作業時の取り扱いにも有利となり得る。
【0075】
なお、バスバーケース20では、収容部30とカバー40とがヒンジ部50を介して一体化されることは必須の要件ではなく、ヒンジ部50を有さずに、収容部30とカバー40とが各々別体であってもよい。
【0076】
以上、一実施形態を説明したが、実施形態はこれらに限定されるものではなく、実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 バスバーモジュール
10 バスバー
20 バスバーケース
21 第1開口
22 第2開口
30 収容部
31 側壁部
31e 外面
32 支持部
33 被係止部
40 カバー
41 カバー本体
41c 第1端縁
41d 第2端縁
41e 貫通孔
42 突出部
42a 第1突出部
42b 第2突出部
42c 第3突出部
42d 第4突出部
43 係止部
44 平板部
44a 第1平板部
44b 第2平板部
44c 第3平板部
44d 第4平板部
45 弾性部
45a 第1弾性部
45b 第2弾性部
45c 第3弾性部
45d 第4弾性部
50 ヒンジ部
100 単電池
100a 第1単電池
100b 第2単電池
101 正極端子
102 負極端子