(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014828
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】磁性コンポーネント
(51)【国際特許分類】
H01F 27/24 20060101AFI20240125BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20240125BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240125BHJP
H01F 27/22 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01F27/24 P
H01F30/10 A
H01F30/10 S
H01F30/10 E
H01F27/24 V
H01F27/28 176
H01F27/22
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118407
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/390,972
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/223,034
(32)【優先日】2023-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501231543
【氏名又は名称】乾坤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】程 信榮
(72)【発明者】
【氏名】簡 伯修
(72)【発明者】
【氏名】徐 永壽
(72)【発明者】
【氏名】陳 渾能
(72)【発明者】
【氏名】謝 協伸
【テーマコード(参考)】
5E043
5E050
【Fターム(参考)】
5E043DA06
5E050JA03
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】磁性コンポーネントは、コアと、少なくとも1つのコイルと、熱伝導性フィラーとを含む。コアは、内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、少なくとも1つの非結合領域とを含む。少なくとも1つのコイルは、内側脚または少なくとも2つの外側脚の周りに巻かれる。熱伝導性フィラーは、コアの一部分を覆う。少なくとも1つの非結合領域の少なくとも1つの部分が、熱伝導性フィラーによって覆われない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、少なくとも1つの非結合領域とを含む、コアと、
前記内側脚または前記少なくとも2つの外側脚の周りに巻かれる、少なくとも1つのコイルと、
前記コアの一部分を覆う熱伝導性フィラーと、を含み、
前記少なくとも1つの非結合領域の少なくとも1つの部分は、前記熱伝導性フィラーによって覆われない、
磁性コンポーネント。
【請求項2】
前記コアの内側プレート面が、前記熱伝導性フィラーによって覆われない、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項3】
前記内側脚上にスリーブ接続されるボビンをさらに含み、前記少なくとも1つのコイルは、前記ボビン上に配置され、前記熱伝導性フィラーの高さが、前記ボビンの高さ以下である、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項4】
前記熱伝導性フィラーが前記少なくとも1つのコイルの内側に接触し、前記熱伝導性フィラーと前記内側脚との接触面積を増加させることを可能にするように、少なくとも1つの穴が、前記ボビンに形成される、請求項3に記載の磁性コンポーネント。
【請求項5】
前記少なくとも1つの穴のうちの1つが、前記ボビンの上方プレートから前記ボビンの下方プレートに延び、前記少なくとも1つの穴の境界が、前記ボビンの前記上方プレートおよび前記下方プレートでオーバーラップする、請求項4に記載の磁性コンポーネント。
【請求項6】
前記コアは、第1のコア部材と、第2のコア部材とを含み、前記内側脚は、前記第1のコア部材と前記第2のコア部材との間に位置する浮遊部分を含み、前記第1のコア部材および前記第2のコア部材は、少なくとも2つの外側脚で互いに結合され、2つの非結合領域が、前記浮遊部分の両側に位置し、前記2つの非結合領域の一方が、前記熱伝導性フィラーによって覆われない、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項7】
前記内側脚に対する前記浮遊部分の割合が、50%または2%~95%である、請求項6に記載の磁性コンポーネント。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコイルは、一次コイルと、二次コイルとを含み、前記一次コイルの断面積が、前記二次コイルの断面積よりも大きく、前記内側脚に対する前記浮遊部分の割合Tが、50%<T≦95%である、請求項7に記載の磁性コンポーネント。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコイルは、一次コイルと、二次コイルとを含み、前記一次コイルの断面積が、前記二次コイルの断面積よりも小さく、前記内側脚に対する前記浮遊部分の割合が、2%≦T<50%である、請求項7に記載の磁性コンポーネント。
【請求項10】
前記内側脚上にスリーブ接続されるボビンをさらに含み、前記少なくとも1つのコイルは、前記ボビン上に配置され、前記ボビンの内側が、突出プラットフォームを有し、前記内側脚の前記浮遊部分は、前記突出プラットフォームによって支持される、請求項6に記載の磁性コンポーネント。
【請求項11】
前記突出プラットフォームは、前記内側脚の外側から内側に延びる、請求項10に記載の磁性コンポーネント。
【請求項12】
前記コアは、第1のコア部材と、第2のコア部材とを含み、前記内側脚および前記少なくとも2つの外側脚は、前記第1のコア部材から延び、前記内側脚は、前記第2のコア部材と結合され、前記少なくとも1つの非結合領域は、前記少なくとも2つの外側脚と前記第2のコア部材との間に位置する、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項13】
前記コアは、第1のコア部材と、第2のコア部材と、第3のコア部材とを含み、前記第1のコア部材および前記第2のコア部材は、並んで配置され、前記少なくとも2つの外側脚で前記第3のコア部材と結合され、前記少なくとも1つの非結合領域は、前記第1のコア部材および前記第2のコア部材の2つの隣接する側壁の間に位置し、前記2つの隣接する側壁は、前記内側脚の一部分を形成する、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項14】
前記第3のコア部材の前記内側脚と、前記第1のコア部材および前記第2のコア部材の前記内側脚とは、互いに配置され、結合されず、前記第3のコア部材の内側脚は、一体に形成され、前記第1のコア部材および前記第2のコア部材の前記2つの隣接する側壁は、前記内側脚で互いに対向する、請求項13に記載の磁性コンポーネント。
【請求項15】
前記コアは、プレート部分を有し、V字形状の凹部が、前記プレート部分のエッジに形成される、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項16】
前記V字形状の凹部の2つのエッジ間の接合部の位置が、前記内側脚に対応する、請求項15に記載の磁性コンポーネント。
【請求項17】
前記V字形状の凹部の先端が、5よりも大きい半径を有する、請求項15に記載の磁性コンポーネント。
【請求項18】
前記コア上に配置される放熱部材をさらに含み、前記放熱部材は、前記コアの頂面および側面と接触する、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項19】
前記放熱部材は、L字形状であり、前記コアの前記側面と接触する前記放熱部材の部分の長さが、前記コアの高さよりも小さい、請求項18に記載の磁性コンポーネント。
【請求項20】
前記熱伝導性フィラーは、前記放熱部材の一部分を覆う、請求項18に記載の磁性コンポーネント。
【請求項21】
前記放熱部材は、80よりも小さいショアDまたはショアA硬度を有する接着剤によって前記コアに接着される、請求項18に記載の磁性コンポーネント。
【請求項22】
前記内側脚上にスリーブ接続される少なくとも1つのスペーサをさらに含み、前記少なくとも1つのコイルおよび前記少なくとも1つのスペーサは、互いに積み重ねられる、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項23】
前記少なくとも1つのコイルは、一次コイルと、二次コイルとを含み、前記一次コイルと前記二次コイルとの間に配置される前記スペーサの材料が、電気絶縁性であり、かつ磁気透過性であり、前記スペーサは、前記一次コイルと前記二次コイルとの間に配置されるリング形状の構造を含む、請求項1に記載の磁性コンポーネント。
【請求項24】
内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、少なくとも1つの非結合領域とを含み、前記少なくとも1つの非結合領域は、前記少なくとも2つの外側脚に位置する、コアと、
前記内側脚または前記少なくとも2つの外側脚の周りに巻かれる少なくとも1つのコイルと、
前記コアの一部分と前記少なくとも2つの外側脚に位置する前記少なくとも1つの非結合領域とを覆う、熱伝導性フィラーと、を含む、
磁性コンポーネント。
【請求項25】
内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、複数の非結合領域とを含み、前記複数の非結合領域は、前記内側脚および前記少なくとも2つの外側脚に位置する、コアと、
前記内側脚上にスリーブ接続されるボビンであって、前記ボビンの上方面が前記コアの内側プレート面に結合される、前記ボビンと、
前記ボビン上に配置される少なくとも1つのコイルと、
前記コアの一部分を覆い、前記複数の非結合領域を覆わない、熱伝導性フィラーと、を含む、
磁性コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性コンポーネント(magnetic component)に関し、より具体的には、コアの熱応力を低減することができる磁性コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の急速充電の要求に対応して,動作電力は、ますます大きくなり,電子コンポーネントによって生成される熱もますます高くなっている。トランスのような車載充電器(OBC)の磁性コンポーネントは、運転中の損失に起因して熱を生成し、不均一な熱は、トランスのコアに追加の熱応力を生成する。熱応力は、トランスのコアの損失を増加させ、熱は、連続サイクル下で収束せず、それによって、過度に高い温度および損失をもたらす。その結果、過酷な場合にはコアに不可逆的な損傷を引き起こす。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記課題を解決するために、コアの熱応力を低減することができる磁性コンポーネントを提供する。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、磁性コンポーネントが、コアと、少なくとも1つのコイルと、熱伝導性フィラーとを含む。コアは、内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、少なくとも1つの非結合領域とを含む。少なくとも1つのコイルは、内側脚または少なくとも2つの外側脚の周りに巻かれる。熱伝導性フィラーは、コアの一部分を覆う。少なくとも1つの非結合領域の少なくとも1つの部分が、熱伝導性フィラーによって覆われない。
【0005】
本発明の別の実施形態によれば、磁性コンポーネントが、コアと、少なくとも1つのコイルと、熱伝導性フィラーとを含む。コアは、内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、少なくとも1つの非結合領域とを含む。少なくとも1つの非結合領域は、少なくとも2つの外側脚に位置する。少なくとも1つのコイルは、内側脚または少なくとも2つの外側脚の周りに巻かれる。熱伝導性フィラーは、少なくとも2つの外側脚に位置する少なくとも1つの非結合領域およびコアの一部分を覆う。
【0006】
本発明の別の実施形態によれば、磁性コンポーネントが、コアと、ボビンと、少なくとも1つのコイルと、熱伝導性フィラーとを含む。コアは、内側脚と、少なくとも2つの外側脚と、複数の非結合領域とを含む。複数の非結合領域は、内側脚および少なくとも2つの外側脚に位置する。ボビンは、内側脚上でスリーブ接続される(sleeved)。ボビンの上方面が、コアの内側プレート面に結合される。少なくとも1つのコイルは、ボビン上に配置される。熱伝導性フィラーは、コアの一部分を覆い、複数の非結合領域を覆わない。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、磁性コンポーネントが、コアと、少なくとも1つのスペーサと、少なくとも2つのコイルとを含む。コアは、内側脚と、少なくとも2つの外側脚とを含む。少なくとも2つのコイルおよび少なくとも1つのスペーサは、互いに積み重ねられ、内側脚上に直接スリーブ接続される。少なくとも2つのコイルの各々は、少なくとも3つの位置ずれした絶縁テープの層で覆われるワイヤを巻くことによって形成される。
【0008】
上述のように、一実施形態において、少なくとも1つの非結合領域は、内側脚または少なくとも2つの外側脚に位置することがあり、少なくとも1つの非結合領域の少なくとも1つの部分は、熱伝導性フィラーによって覆われないことがある。従って、非結合領域を有する内側脚または少なくとも2つの外側脚は、コアの熱応力を低減させてコアの損失が増大するのを防止することができるように、コアの温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。その上、別の実施形態において、少なくとも1つの非結合領域は、少なくとも2つの外側脚に位置することがあり、熱伝導性フィラーは、少なくとも1つの非結合領域を覆うことがある。同様に、非結合領域を有する少なくとも2つの外側脚は、コアの熱応力を低減させてコアの損失が増大するのを防止することができるように、コアの温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。別の実施形態において、コイルおよびスペーサは、一次コイルと二次コイルとの間およびコイルとコアとの間の絶縁および放熱の効果を向上させるために、コイルがボビンに巻かれる必要がないように、互いに積み重ねられ、コアの内側脚上で直接スリーブ接続されることがある。従って、磁性コンポーネントは、ボビンの大きさおよび空間によって制限される必要はなく、スペーサは、コイルと密接に接触することがあり、あるいは、磁性コンポーネントの大きさを最小にするように、スペーサとコイルとの距離およびギャップを固定しかつ最小にするために、コイルカバーの構造が、2つのコイルの間に延在することがある。
【0009】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に図示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者に疑義なく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による磁性コンポーネントを図示する断面図である。
【0011】
【
図2】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する断面図である。
【0012】
【
図3】
図2に示すスペーサ、コイルカバーおよび2つのコイルを図示する分解図である。
【0013】
【
図4】異なる形状の4つのスペーサを図示する概略図である。
【0014】
【
図5】絶縁テープの3つの不整列層によって覆われたワイヤを図示する概略図である。
【0015】
【
図6】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する斜視図である。
【0016】
【
図7】
図6に示す磁性コンポーネントを図示する断面図である。
【0017】
【
図8】
図6に示す磁性コンポーネントを図示する別の断面図である。
【0018】
【0019】
【
図10】
図9に示すボビンを図示する頂面図である。
【0020】
【
図11】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する断面図である。
【0021】
【
図12】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する断面図である。
【0022】
【
図13】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する断面図である。
【0023】
【
図14】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する斜視図である。
【0024】
【
図15】本発明の別の実施形態による磁性コンポーネントを図示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、
図1は、本発明の実施形態による磁性コンポーネント1を図示する断面図である。
【0026】
本発明の磁性コンポーネント1は、リアクトル(反応器)、トランス(変圧器)、インダクタ(誘導子)または他の磁性コンポーネントであってよい。
図1に示すように、磁性コンポーネント1は、コア10と、少なくとも1つのコイル12と、熱伝導性フィラー14とを含む。コア10は、内側脚100と、少なくとも2つの外側脚102と、少なくとも1つの非結合領域104と、少なくとも1つの結合領域106とを含む。この実施形態において、コア10は、第1のコア部材10aと、第2のコア部材10bとを含むことがあり、内側脚100は、第1のコア部材10aの中心か延びる中心柱(central pillar)であることがあり、2つの外側脚102は、第1のコア部材10aの外周(periphery)から延びる側柱(side pillar)であることがある。よって、この実施形態において、第1のコア部材10aは、Eコア、PQコア、TコアまたはFコアとすることがあり、第2のコア部材10bは、Iコア、UUコア、Uコア、U-Iコア、E-IコアまたはFコアであることがある。しかしながら、第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bのタイプは、実際の用途に応じて決定されることがあるので、本発明は、図に示す実施形態に限定されない。
【0027】
少なくとも1つのコイル12は、内側脚100または少なくとも2つの外側脚102の周囲に巻き付けられることがある。この実施形態において、コイル12は、内側脚100の周囲に巻かれることがあるが、本発明は、そのように限定されない。別の実施形態において、コイル12は、少なくとも2つの外側脚102の周囲に巻かれることがある。この実施形態において、第2のコア部材10bは、第1のコア部材10a上に配置され、内側脚100は、第2のコア部材10bと結合されて、結合領域106を形成する。さらに、2つの非結合領域104が、2つの外側脚102と第2のコア部材10bとの間に配置されるように、第2のコア部材10bは、2つの脚102に結合されない。コイル12のタイプは、円形ワイヤ、矩形ワイヤ、多房ワイヤ(multi-stranded wire)であってよい。
【0028】
この実施形態において、コア10は、ケーシング16内に配置されることがあり、熱伝導性フィラー14は、熱伝導性フィラー14がコア10の一部分を覆うように、ケーシング16内に充填される。このとき、少なくとも1つの非結合領域104の少なくとも一部分は、熱伝導性フィラー14によって覆われない。
図1に示すように、2つの非結合領域104および結合領域106は、熱伝導性フィラー14によって覆われない。従って、コア10の熱応力を低減させてコア10の損失が増大するのを防ぐことができるように、2つの非結合領域104を持つ2つの外側脚102は、コア10の温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。例えば、6.6kWの電力を有するインダクタまたはトランスについて、最大熱応力は、68MPaから27MPaに低減されることがあり、コア10の最大温度は、154℃から96℃に低減されることがある。コア10の内側プレート面110は、熱伝導性フィラー14によって覆われない場合があることが留意されるべきである。
【0029】
この実施形態では、熱伝導性フィラー14の熱伝導率は、0.3W/mkより大きいことがあり、熱伝導性フィラー14の材料は、エポキシ(epoxy)、シリコーン(silicone)、ポリウレタン(polyurethane, PU)、フェノール樹脂(phenolic resins)、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(thermoplastic polyethylene terephthalate, PET)、ポリアミド(polyamide, PA)、ポリフェニレンサルファイド(polyphenylene sulfide, PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone, PEEK)などを含むことがある。
【0030】
図2~
図5を参照すると、
図2は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント1を図示する断面図であり、
図3は、
図2に示すスペーサ18、コイルカバー19および2つのコイル12を図示する分解図であり、
図4は、異なる形状の4つのスペーサ18を図示する概略図であり、
図5は、絶縁テープ120の3つの不整列層によって覆われたワイヤ122を図示する概略図である。幾つかの実施態様において、スペーサ18の材料は、電気絶縁性および磁気透過性であり、あるいは電気絶縁性および熱伝導性である。例えば、スペーサ18は、磁性粉(magnetic powder)およびプラスチックを混合した後に射出成形することによって作られてよく、あるいは磁性材料(例えば、フェライト)で作られてよく、あるいは高い熱伝導率がおよび電気絶縁性を有する材料(例えば、セラミック)で作られてよい。この実施形態において、少なくとも1つのコイル12は、一次コイル12aと、二次コイル12bとを含んでよく、それらの断面は、円形、楕円形または長方形であってよく、長方形は、体積利用を効果的に向上させることがある。
図4に示すように、スペーサ18は、一次コイル12aと二次コイル12bとの間に配置されたリング形状構造(例えば、円形、楕円形、半円形または半楕円形)の構造を含むことがある。従って、漏れインダクタンス(Lk)および電力密度は、増加されることがある。さらに、磁性コンポーネント1は、コイル10の内側脚100に直接スリーブ接続され、スペーサ18および2つのコイル12の上方に積み重ねられる、コイルカバー19をさらに含むことがある。コイルカバー19は、案内溝19aを通じてコイル12の端をコア10から導き出すように構成される。この実施形態において、コイルカバー19は、電気的に絶縁されている。この実施形態において、スペーサ18は、コイルカバー19の案内溝19aに対応する案内溝18bをさらに含む。スペーサ18、コイルカバー19および2つのコイル12が、互いに積み重ねられ、コア10の内側脚100に直接スリーブ接続されると、コイル12の端は、コイルカバー9の案内溝19aおよびスペーサ18の案内溝18bを通じてコア10から導き出される。
【0031】
図2および
図3に示すように、磁性コンポーネント1は、コア10と、少なくとも1つのスペーサ18と、少なくとも2つのコイル12とを含むことがあり、少なくとも2つのコイル12および少なくとも1つのスペーサ18は、互いに積み重ねられ、内側脚100上に直接スリーブ接続される。この実施形態において、磁性コンポーネント1は、互いに積み重ねられたスペーサ18、コイルカバー19、および2つのコイル12を含むことがある。コイル12は、ボビンに巻かれる必要はない。コイル12が空気コイルに巻かれた後に、コイル12およびスペーサ18は、互いに積み重ねられ、コア10の内側脚100上に直接スリーブ接続される。この実施形態では、コイル12の巻線構造が、上方層および下方層の外側から導き出され(外側-外側巻線)、それは、内側から導き出される別の巻線構造(内側-外側巻線)と異なり、より良い平坦性を有する。従って、磁性コンポーネント1は、ボビンの大きさや空間に制限される必要はなく、スペーサ18は、コイル12に密接に接触することがあり、あるいは、コイルカバー19の構造は、磁性コンポーネント1の大きさを最小にするために、スペーサ18とコイル12との間の距離およびギャップを固定しかつ最小にするよう、2つのコイル12の間に延在することがある。磁性コンポーネント1の空間および大きさを最小限に抑えることができるため、放熱路を短縮することができ、磁性コンポーネント1は、良い好な放熱を得るために、内側脚100を覆う構造(例えば、ボビンおよび被覆壁を有するコイルカバー)を有さない。この実施形態において、スペーサ18は、空隙18aを有する。スペーサ18および2つのコイル12が積み重ねられるとき、熱伝導性フィラー14は、2つのコイル12の対向する積層面の間の空隙18aに充填されることがあり、熱伝導性フィラー14は、内側脚100と2つのコイル12との間の対向面に充填されることがあり、熱伝導性フィラー14は、2つのコイル12の放熱面を増大させ、次に、良い放熱効果を得るために、スペーサ18および2つのコイル12の外面をさらに覆うことがある。熱伝導性フィラー14がない幾つかの実施形態では、スペーサおよびコイルは、ボビン上にスリーブ接続されないため、空気流は、スペーサ18、コイルカバー19および2つのコイル12により容易に入り、良い放熱効果を得ることができる。幾つかの実施形態では、ボビンなしで2つのコイル12の間および2つのコイル12とコア10との間で同じ絶縁を維持するために、2つのコイル12の各々、(
図5に示すように)絶縁テープ120の少なくとも3つの不整列層によって覆われたワイヤ122を巻くことによって形成されてよい。単一の絶縁テープ120は、第1の層から少なくとも第2または第3の層まで位置ずれして積み重ねられてよく、位置ずれしたオーバーラップ比W2/W1は、67%よりも大きく、W1は、単一の絶縁テープ120の幅を表し、W2は、オーバーラップ幅を表す。絶縁テープ120は、ポリイミドフィルムで作られてよい。好ましくは、単一のワイヤ122または複数のワイヤ122が、絶縁層で覆われたエナメルワイヤである。
【0032】
図6~
図10を参照すると、
図6は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント1’を図示する斜視図であり、
図7は、
図6に示す磁性コンポーネント1’を図示する断面図であり、
図8は、
図6に示す磁性コンポーネント1’を図示する別の断面図であり、
図9は、
図7に示すボビン20を図示する斜視図であり、
図10は、
図9に示すボビン20を図示する頂面図である。
【0033】
磁性コンポーネント1’と前述の磁性コンポーネント1との間の主な相違は、
図6~
図9に示すように、磁性コンポーネント1’がボビン20をさらに含み、内側脚100がさらに浮遊部分1000をさらに含むことである。この実施形態では、内側脚100に対する浮遊部分1000の割合Tは、50%または2%~95%であってよい。さらに説明すると、内側脚100は、長さX1を有し、浮遊部分1000は、長さX2を有するため、内側脚100に対する浮遊部分1000の比Tは、X2/X1である。ボビン20は、内側脚100上にスリーブ接続され、少なくとも1つのコイル12は、ボビン20上に配置される。よって、コイル12は、内側脚100に依然として巻かれている。この実施形態では、浮遊部分1000が第1のコア部材10aと第2のコア部材10bとの間に位置するように、ボビン20の内側が、突出プラットフォーム200を有し、内側脚100の浮遊部分1000は、この突出プラットフォーム200によって支持される。この実施形態において、突出プラットフォーム200は、内側脚100の外側から内側に延びて浮遊部分1000を支持してよい。
【0034】
この実施形態において、第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bは、2つの外側脚102で互いに結合されて、2つの結合領域106を形成する。その上、第2のコア部材10bは、浮遊部分1000と結合されず、浮遊部分1000は、2つの非結合領域104a,104bが浮遊部分1000の両側に位置するように、突出プラットフォーム200によって支持される。熱伝導性フィラー14がケーシング16内に充填された後に、2つの非結合領域104a、104bの一方は、熱伝導性フィラー14によって(完全に)覆われない。
図7に示すように、浮遊部分1000の下方の非結合領域104aおよび2つの結合領域106は、熱伝導性フィラー14によって覆われ、浮遊部分1000の上方の非結合領域104bは、熱伝導性フィラー14によって覆われない。従って、非結合領域104bを有する内側脚100は、コア10の熱応力を低減させてコア10の損失が増大するのを防止するように、コア10の温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。
【0035】
この実施形態では、熱伝導性フィラー14が第2のコア部材10bの底面と接触しないように、熱伝導性フィラー14の高さH1が、ボビン20の高さH2以下であることがある。よって、熱伝導性フィラー14の熱膨張応力は、大幅に低減され、第2のコア部材10bおよび内側脚100は、熱伝導性フィラー14に起因するより高い熱応力によって相互作用することがなく、それによって、コア10の温度差(または最大温度)を低減させる。従って、コア10の熱応力を低減させることができ、コア10の損失が増大するのを防止することができる。
【0036】
図7および
図9に示すように、放熱路を増加させ、温度差(または最大温度)を効果的に減少させ、次に、熱に起因する追加の損失を減少させるために、少なくとも1つの穴202をボビン20に形成して、熱伝導性フィラー14が少なくとも1つのコイル12の内側に接触することを可能にし、熱伝導性フィラー14と内側脚100との間の接触面積を増加させる。この実施形態において、少なくとも1つの穴202の1つは、ボビン20の上方プレート204からボビン20の下方プレート206まで延び、少なくとも1つの穴202の1つの穴の境界が、ボビン20の上方プレート204および下方プレート206でオーバーラップすることがある。
図9に示すように、少なくとも1つの穴202は、2つの穴202aと2つの穴202bとを含む。2つの穴202bは、ボビン20の上方プレート204から下方プレート206まで延びてよく、各穴202bの境界202cは、
図9および
図10に示すように、上方プレート204および下方プレート206でオーバーラップしてよい。従って、コイル12から多くの熱が伝導されるように、熱伝導性フィラー14は、ボビン20により容易に流れる。その上、ボビン20を製造する(射出成形する)金型の数はより少ないことで、コストが低減されることがある。
【0037】
例えば、磁性コンポーネント1’が5.5KWのパワーを持つインダクタまたはトランスであり、内側脚100に対する浮遊部分1000の割合Tが30%であるとき、最大熱応力は、52MPaから28.6MPaに低減されることがあり、コア10の最大温度は、110℃から87.106℃に低減されることがある。浮遊部分1000の温度は、128.45℃であるが、浮遊部分1000は、単純なコラムであり、ひびが入らない。大きい断面積を持つコイルの巻回位置をさらに考慮するならば、内側脚100に対する浮遊部分1000の割合および大きな直径を持つコイルの巻回位置は、以下の通りである。少なくとも1つのコイル12は、一次コイル12aと、二次コイル12bとを含むことがあり、二次コイル12bの位置は、浮遊部分1000に対応し、一次コイル12aの位置は、第1のコア10aの内側脚100に対応することが留意されるべきである。一次コイル12aは、断面積D1を有し、二次コイル12bは、断面積D2を有する。一次コイル12aの断面積D1が二次コイル12bの断面積D2よりも大きいならば、一次コイル12aの動作温度は、二次コイル12bの動作温度よりも高く、内側脚100に対する浮遊部分1000の割合Tは、50%<T≦95%となる。一次コイル12aの断面積D1が二次コイル12bの断面積D2よりも小さいならば、二次コイル12bの動作温度は、一次コイル12aの動作温度よりも高く、内側脚100に対する浮遊部分1000の割合Tは、2%≦T<50%となる。
【0038】
図6および
図7に示すように、磁性コンポーネント1’は、コア10上に配置される放熱部材22をさらに含むことがあり、放熱部材22は、コア10の頂面S1および側面S2と接触する。この実施形態において、磁性コンポーネント1’は、コア10の両側に配置された2つの熱放散部材22を含むことがあるが、本発明は、そのように限定されない。この実施形態において、放熱部材22は、L字形状であることがあり、コア10の側面S2に接する放熱部材22の部分の長さLは、コア10の高さH3よりも小さいことがある。従って、コア10の高さが公差ばらつきを有するとしても、放熱部材22は、放熱性を高めるように、コア10の頂面S1と隙間なく接触し続けることがある。その上、頂面S1および側面S2に取り付けられた2つの放熱部材22があるので、放熱部材22は、より低いコストおよびより高い公差を伴うプロセスで製造されることがある。L字形状の放熱部材22は、特定の用途に限定されず、他の実施形態に適用されてもよい。
【0039】
この実施形態において、熱伝導性フィラー14は、放熱部材22が底に熱を伝導することができるように、放熱部材22の一部分を覆う。その上、放熱部材22は、コア10の温度差(または最大温度)を低減し、熱応力を低減するために、80よりも小さいショアDまたはショアA硬度を有する接着剤によってコア10に接着されてよい。例えば、ショアD>80であるならば、コア10の対応する最大温度は、59.3℃であることがあり、ショアD<80であるならば、コア10の対応する最大温度は、50.6℃まで低減されることがある。
【0040】
図11を参照すると、
図11は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント1”を図示する断面図である。
【0041】
磁性コンポーネント1”と前述の磁性コンポーネント1との間の主な相違は、磁性コンポーネント1”が、第1のコア部材10aおよび第2コアの部材10bに加えて、第3のコア部材10cをさらに含むことである。
図11に示すように、第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bは、2つの外側脚102で第3のコア部材10cと並んで配置されて結合されて、2つの結合領域106を形成する。その上、第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bの2つの隣接する2つの側壁108a、108bは、非結合領域104aが第1コアの部材10aおよび第2のコア部材10bの2つの隣接する側壁108a、108bの間に位置するように、互いに結合されない。この実施形態において、2つの隣接する側壁108a、108bは、内側脚100の一部分を形成する。第3のコア部材10cの内側脚100と、第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bの内側脚100とは、別の非結合領域104bを形成するように、互いに対して配置され、結合されない。第3のコア部材10cの内側脚100は、ギャップなく一体に形成される。第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bの2つの隣接する側壁108a、108bは、内側脚100で互いに対向する。
【0042】
熱伝導性フィラー14がケーシング16内に充填された後に、非結合領域104aの少なくとも一部分は、熱伝導性フィラー14によって覆われない。
図11に示すように、2つの隣接する側壁104a、108bと2つの結合領域106との間の非結合領域108aの下方部分は、熱伝導性フィラー14によって覆われ、非結合領域104aの上方部分は、熱伝導性フィラー14によって覆われない。その上、第3のコア部材10cの内側脚100の上方の非結合領域104bは、熱伝導性フィラー14によって覆われる。従って、非結合領域104aの上方部分を有する内側脚100は、コア10の熱応力を低減させてコア10の損失が増大するのを防止するように、コア10の温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。例えば、磁性コンポーネント1”が3.7kWのパワーを持つインダクタまたはトランスであるとき、最大熱応力は、48MPaから16MPaに低減されることがあり、コア10の最大温度は、150℃から120℃に低減されることがある。
【0043】
図12を参照すると、
図12は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント1”’を図示する断面図である。
【0044】
磁性コンポーネント1”’と前述の磁性コンポーネント1との間の主な相違は、熱伝導性フィラー14が、少なくとも1つの非結合領域104を覆うことであり、
図12に示すように、少なくとも1つの非結合領域104は、少なくとも2つの外側脚102に位置し、少なくとも1つの結合領域106は、内側脚100に位置する。この実施形態において、第1のコア部材10aおよび第2のコア部材10bは、Eコア、PQコア、Tコア、UUコア、Uコア、U-Iコア、E-Iコア、IコアまたはFコアの2つである。2つの非結合領域104が2つの外側脚102に位置し、1つの結合領域106が内側脚100に位置する。換言すれば、コア10の2つの外側脚102は、結合されず、コア10の内側脚100は、結合される。熱伝導性フィラー14がケーシング16内に充填された後に、熱伝導性フィラー14は、コア10の一部分、2つの外側脚102に位置する2つの非結合領域104、および内側脚100に位置する結合領域106を覆う。従って、非結合領域104を有する2つの外側脚102は、コア10の熱応力を低減させてコア10の損失が増大するのを防止するように、コア10の温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。例えば、磁性コンポーネント1”’が6.6KWのパワーを有するインダクタまたはトランスであるとき、最大熱応力は、68MPaから32.4MPaに低減されることがあり、コア10の最大温度は、154℃から115.2℃に低減されることがある。
【0045】
図13を参照すると、
図13は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント1””を図示する断面図である。
【0046】
磁性コンポーネント1””と前述の磁性コンポーネント1との間の主な相違は、
図13に示すように、磁性コンポーネント1””が、コア10、少なくとも1つのコイル12および熱伝導性フィラー14に加えて、ボビン20”をさらに含むことである。コア10は、内側脚100と、少なくとも2つの外側脚102と、複数の非結合領域104とを含む。複数の非結合領域104は、内側脚100および少なくとも2つの外側脚102に位置する。ボビン20’は、内側脚100上にスリーブ接続される。ボビン20’の頂面208が、接着剤によってコア10の内側プレート面110に結合されてよい。少なくとも1つのコイル12は、ボビン20’上に配置される。熱伝導性フィラー14がケーシング16内に充填された後に、熱伝導性フィラー14は、コア10の一部分を覆い、複数の非結合領域104を覆わない。従って、複数の非結合領域104を有する少なくとも2つの外側脚102および内側脚100は、コア10の熱応力を低減させてコア10の損失が増大するのを防止するように、コア10の温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。別の実施形態では、ボビン20’の下方面210が、接着剤によってコア10の別の内側プレート面112にさらに結合されることがあり、2つの内側プレート面110、112は、互いに対向する。
【0047】
図14を参照すると、
図14は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント3を図示する斜視図である。
【0048】
図14に示すように、磁性コンポーネント3のコア30は、プレート部分300を有し、V字形状の凹部302が、プレート部分300のエッジ(縁)に形成される。この実施形態において、V字形状の凹部302を有するプレート部分300のエッジは、応力集中を回避するために、不連続な幾何学構造のない連続エッジである。この実施形態では、V字形状の凹部302の2つのエッジ間の接合部(ジョイント)位置が、コア30の内側脚に対応することがある。
【0049】
図15を参照すると、
図15は、本発明の別の実施形態による磁性コンポーネント3を図示する斜視図である。
【0050】
図15に示すように、V字形状の凹部302が鋭すぎてプレート部分300の強度に影響を及ぼさないように、V字形状の凹部302の先端が、5よりも大きい半径Rを有することがある。例えば、半径Rが0.8であるならば、V字形状の凹部302に対応する最大熱応力は、85.6MPaであることがあり、半径Rが5であるならば、V字形状の凹部302に対応する最大熱応力は、64.3MPaに低減されることがある。V字形状の凹部302および半径Rを有するコア30は、特定の用途に限定されず、他の実施形態にも適用されることもある。
【0051】
上述のように、一実施形態において、少なくとも1つの非結合領域は、内側脚または少なくとも2つの外側脚に位置することがあり、少なくとも1つの非結合領域の少なくとも1つの部分は、熱伝導性フィラーによって覆われないことがある。従って、非結合領域を有する内側脚または少なくとも2つの外側脚は、コアの熱応力を低減させてコアの損失が増大するのを防止することができるように、コアの温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。その上、別の実施形態において、少なくとも1つの非結合領域は、少なくとも2つの外側脚に位置することがあり、熱伝導性フィラーは、内側脚に位置する配置された結合領域および/または少なくとも1つの非結合領域を覆うことがある。同様に、非結合領域を有する少なくとも2つの外側脚は、コアの熱応力を低減させてコアの損失が増大するのを防止することができるように、コアの温度差(または最大温度)が増大する間に自由に変形することができる。本明細書における温度差とは、同時点におけるコアの2つの異なる位置の間の温度差を指すことが留意されるべきである。別の実施形態では、一次コイルと二次コイルとの間およびコイルとコアとの間の絶縁および放熱の効果を向上させるために、コイルがボビンに巻き取られる必要がないように、コイルおよびスペーサは、互いに積み重ねられ、コアの内側脚に直接スリーブ接続されてよい。従って、磁性コンポーネントは、ボビンの大きさおよび空間に制限される必要はなく、スペーサは、コイルと緊密に接触してよく、あるいは、コイルカバーの構造は、磁性コンポーネントの大きさを最小にするように、スペーサとコイルとの間の距離およびギャップを固定し且つ最小にするために、2つのコイルの間に延在してよい。
【0052】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、デバイスおよび方法の多くの修正および変更が行われる場合があることを容易に理解するであろう。従って、上記開示は、添付の特許請求の範囲の限界によってのみ限定されるものとして解釈されるべきである。
【外国語明細書】