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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148285
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20241010BHJP
【FI】
H01R24/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061296
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 梨紗
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AA30
5E223AB25
5E223AB60
5E223BA12
5E223BA15
5E223BA17
5E223CA13
5E223CA21
5E223CC09
5E223CD01
5E223EC02
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA52
5E223GA62
(57)【要約】
【課題】内導体と外導体との間隔調整を容易に行えるようにすること。
【解決手段】同軸コネクタ40は、ピン状の相手側内導体32が内導体42に挿入接続される同軸コネクタであって、筒状基部43と、筒状基部の一端から延出する複数の弾性片44とを有する内導体と、内導体の周りを囲む絶縁体50と、絶縁体の周りを囲む外導体54と、を備え、複数の弾性片のそれぞれは、筒状基部の一端から筒状基部の軸方向一方側に延出する弾性片本体45と、弾性片本体から内側に向って突出する接触部46とを有し、弾性片本体の基端は、接触部の外側への変位に伴って、弾性片本体の先端を外側に変位させるように弾性変形する弾性支持部47を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン状の相手側内導体が挿入接続される内導体を備える同軸コネクタであって、
筒状基部と、前記筒状基部の一端から延出する複数の弾性片とを有する前記内導体と、
前記内導体の周りを囲む絶縁体と、
前記絶縁体の周りを囲む外導体と、
を備え、
前記複数の弾性片のそれぞれは、前記筒状基部の一端から前記筒状基部の軸方向一方側に延出する弾性片本体と、前記弾性片本体から内側に向って突出する接触部とを有し、
前記弾性片本体の基端は、前記接触部の外側への変位に伴って、前記弾性片本体の先端を外側に変位させるように弾性変形する弾性支持部を有する、同軸コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸コネクタであって、
前記接触部は、前記弾性片本体の先端から折返し部を介して前記弾性片本体の基端に向って折返された弾性接触片である、同軸コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の同軸コネクタであって、
前記弾性接触片の先端は、前記弾性片本体に対して離れている、同軸コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の同軸コネクタであって、
前記弾性支持部は、前記相手側内導体が前記内導体に挿入接続された状態において、前記弾性接触片の先端を前記弾性片本体に対して離れた状態に保つ弾性を有する、同軸コネクタ。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記相手側内導体が前記内導体に挿入接続された状態において、前記弾性支持部の弾性変形量は、前記折返し部の弾性変形量よりも大きい、同軸コネクタ。
【請求項6】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記弾性接触片のうち前記相手側内導体との内側接触部位と前記弾性支持部との距離は、前記内側接触部位と前記折返し部との距離よりも大きい、同軸コネクタ。
【請求項7】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記折返し部に、当該折返し部の弾性変形を抑制するリブが形成されている、同軸コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記外導体は、前記筒状基部の軸方向に沿って前記弾性支持部と前記弾性片本体の先端との間で、前記弾性片本体の先端に向うに連れて外側に傾斜する傾斜部を含む、同軸コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記筒状基部の軸方向において、前記接触部のうち前記相手側内導体との内側接触部位と、前記外導体のうち相手側外導体との外側接触部位とは同じ位置に設定されている、同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、接続ピンが挿入接続される下部コンタクトを備える同軸コネクタを開示している。特許文献1に開示の技術では、下部コンタクトは下部絶縁体で包囲され、下部絶縁体の外周は導電性の外部シェルで包囲されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-92313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同軸コネクタにおいては、下部コンタクトと外部シェルとの間隔は、同軸コネクタの通信性能に影響を与える可能性がある。このため、接続ピンが下部コンタクトに挿入された状態で、下部コンタクトと外部シェルとの間隔を調整できるようにすることが望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、内導体と外導体との間隔調整を容易に行える同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の同軸コネクタは、ピン状の相手側内導体が挿入接続される内導体を備える同軸コネクタであって、筒状基部と、前記筒状基部の一端から延出する複数の弾性片とを有する前記内導体と、前記内導体の周りを囲む絶縁体と、前記絶縁体の周りを囲む外導体と、を備え、前記複数の弾性片のそれぞれは、前記筒状基部の一端から前記筒状基部の軸方向一方側に延出する弾性片本体と、前記弾性片本体から内側に向って突出する接触部とを有し、前記弾性片本体の基端は、前記接触部の外側への変位に伴って、前記弾性片本体の先端を外側に変位させるように弾性変形する弾性支持部を有する、同軸コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、内導体と外導体との間隔調整を容易に行える同軸コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態に係る中継用同軸コネクタを備える機器を示す斜視図である。
図2図2図1のII-II線断面図である。
図3図3は中継用同軸コネクタを示す分解斜視図である。
図4図4は中継用同軸コネクタに対する外部接続用同軸コネクタの接続前状態を示す説明図である。
図5図5図4の部分拡大断面図である。
図6図6は中継用同軸コネクタに対して外部接続用同軸コネクタを接続した状態を示す断面図である。
図7図7は可動側内導体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の同軸コネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)ピン状の相手側内導体が挿入接続される内導体を備える同軸コネクタであって、筒状基部と、前記筒状基部の一端から延出する複数の弾性片とを有する前記内導体と、前記内導体の周りを囲む絶縁体と、前記絶縁体の周りを囲む外導体と、を備え、前記複数の弾性片のそれぞれは、前記筒状基部の一端から前記筒状基部の軸方向一方側に延出する弾性片本体と、前記弾性片本体から内側に向って突出する接触部とを有し、前記弾性片本体の基端は、前記接触部の外側への変位に伴って、前記弾性片本体の先端を外側に変位させるように弾性変形する弾性支持部を有する、同軸コネクタである。
【0012】
この同軸コネクタによると、内導体に相手側内導体を挿入接続すると、相手側内導体が複数の弾性片のそれぞれの接触部に接触する。これにより、各接触部が外側に変位すると、弾性片本体の基端に位置する弾性支持部が弾性変形して、弾性片本体の先端が外側に変位する。このため、相手側内導体の太さおよび接触部の突出量に応じて、弾性片本体の先端を外側に変位させることができ、内導体と外導体との間隔調整を容易に行える。
【0013】
(2)(1)の同軸コネクタであって、前記接触部は、前記弾性片本体の先端から折返し部を介して前記弾性片本体の基端に向って折返された弾性接触片であってもよい。
【0014】
これにより、折返し加工することで、弾性片本体および接触部を容易に形成できる。
【0015】
(3)(2)の同軸コネクタであって、前記弾性接触片の先端は、前記弾性片本体に対して離れていてもよい。
【0016】
これにより、弾性接触片と相手側内導体との接触部位から折返し部および弾性片本体を経由する信号伝送路が構成される。このため、弾性片本体を前提としてノイズ設計することで、所期の特性インピーダンスが得られる。
【0017】
(4)(3)の同軸コネクタであって、前記弾性支持部は、前記相手側内導体が前記内導体に挿入接続された状態において、前記弾性接触片の先端を前記弾性片本体に対して離れた状態に保つ弾性を有してもよい。
【0018】
これにより、相手側内導体が内導体に挿入接続された状態においても、弾性片本体を前提として設計された所期の特性インピーダンスが得られる。
【0019】
(5)(2)から(4)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記相手側内導体が前記内導体に挿入接続された状態において、前記弾性支持部の弾性変形量は、前記折返し部の弾性変形量よりも大きくてもよい。
【0020】
これにより、手側内導体の太さおよび接触部の突出量に応じて、弾性片本体の先端を外側により大きく変位させることができ、内導体と外導体との間隔調整を容易に行える。
【0021】
(6)(2)から(5)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記弾性接触片のうち前記相手側内導体との内側接触部位と前記弾性支持部との距離は、前記内側接触部位と前記折返し部との距離よりも大きくてもよい。
【0022】
この場合、内側接触部位の変位によって、折返し部よりも弾性支持部に大きなモーメントが作用し、当該弾性支持部が大きく弾性変形する。このため、相手側内導体の太さおよび接触部の突出量に応じて、弾性片本体の先端を外側により大きく変位させることができ、内導体と外導体との間隔調整を容易に行える。
【0023】
(7)(2)から(6)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記折返し部に、当該折返し部の弾性変形を抑制するリブが形成されていてもよい。
【0024】
これにより、折返し部が弾性変形し難いようにできる。
【0025】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記外導体は、前記筒状基部の軸方向に沿って前記弾性支持部と前記弾性片本体の先端との間で、前記弾性片本体の先端に向うに連れて外側に傾斜する傾斜部を含んでもよい。
【0026】
弾性片本体の先端が外側に変位した状態で、当該弾性片本体は、先端に向うに連れて外側に傾斜することが考えられる。この場合に、弾性片本体と外導体の傾斜部との間隔の変化を抑制でき、ノイズ設計が容易となる。
【0027】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記筒状基部の軸方向において、前記接触部のうち前記相手側内導体との内側接触部位と、前記外導体のうち相手側外導体との外側接触部位とは同じ位置に設定されていてもよい。
【0028】
この場合、相手側同軸コネクタに対して同軸コネクタが傾いている場合でも、内側接触部位と外側接触部位とを同軸周りに配置し易い。これにより、相手側同軸コネクタに対して同軸コネクタが傾いている場合でも、通信性能の悪化が抑制される。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の同軸コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
[実施形態]
以下、実施形態に係る同軸コネクタについて説明する。本実施形態では、同軸コネクタが、機器に組込まれた中継同軸コネクタである例が説明される。なお、同軸コネクタが機器に組込まれていること、および、中継用同軸コネクタであることは必須ではない。例えば、同軸コネクタは、ケーブル端部に取付けられるコネクタであってもよいし、基板に実装される同軸コネクタであってもよい。
【0031】
<機器の全体構成について>
中継用同軸コネクタ40を備える機器10の例について説明する。図1は中継用同軸コネクタ40を備える機器10を示す斜視図である。図2図1のII-II線断面図である。
【0032】
機器10は、例えば、カメラ機器である。カメラ機器は、例えば、車載用の機器である。機器10は、カメラ機器でなくてもよい。
【0033】
機器10は、ケース12と、電気部品20とを備える。ケース12内に電気部品20が収容されている。電気部品20に中継用同軸コネクタ40が固定されている。
【0034】
ケース12は、第1ケース13と、第2ケース14とを備えている。第1ケース13および第2ケース14は、例えば、樹脂によって形成される。第1ケース13と第2ケース14とが合体することで、電気部品20を収容する直方体箱状のケース12が構成される。機器10がカメラ機器である場合、第1ケース13は撮像用のレンズまたは窓を有しており、第2ケース14が外部接続用同軸コネクタ30を有していることが想定される。
【0035】
外部接続用同軸コネクタ30は、電気部品20と、外部の電気部品とを接続するための同軸コネクタである。例えば、外部接続用同軸コネクタ30は、外部の電気部品に接続されたケーブルが接続される同軸コネクタである。外部接続用同軸コネクタ30が接続されるケーブルは、例えば、同軸ケーブルである。
【0036】
より具体的には、ケース12の底部15に保持筒部16が突設されている。保持筒部16は、円筒であり、底部15の中央部から外側に突出している。保持筒部16の内側開口は第2ケース14内に開口し、保持筒部16の外側開口は第2ケース14外に開口している。保持筒部16の中心軸Xに沿った方向(軸方向X)の中間部に保持仕切部17が形成されている。本実施形態では、保持筒部16の中心軸Xに沿った方向の中間であって内側開口寄りの位置に保持仕切部17が形成されている。保持仕切部17は、保持筒部16のうち内側開口側の空間と、外側開口側の空間とを仕切っている。保持仕切部17に保持孔17hが形成されており、当該保持孔17hに外部接続用同軸コネクタ30が挿入されて保持される。
【0037】
外部接続用同軸コネクタ30は、外部接続用内導体32と、外部接続用絶縁体34と、外部接続用外導体36とを備える。
【0038】
外部接続用内導体32は、細長い棒状に形成されており、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用内導体32は、後述する可動側内導体42に挿入接続されるピン状の相手側内導体の一例である。外部接続用絶縁体34は、樹脂等の絶縁体によって形成されており、外部接続用内導体32の周りを囲んでいる。本実施形態では、外部接続用絶縁体34は、誘電体である。外部接続用外導体36は、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用外導体36は、外部接続用絶縁体34の周りを囲む筒状に形成されている。外部接続用外導体36は、可動側外導体54が接続される相手側外導体の一例である。
【0039】
電気部品20は、例えば、基板に電子部品が実装された実装基板である。機器10がカメラ機器である場合、電気部品20は、回路基板21と、当該回路基板21に実装された撮像素子22であることが想定される。撮像素子22は、第1ケース13の撮像用のレンズまたは窓に対向し、当該レンズまたは窓を回して外側景色を撮像する。以下、撮像素子22が向く第1ケース13側を前側、それとは反対側の第2ケース14側を後側という場合がある。
【0040】
回路基板21に基板側同軸コネクタ60が実装固定されている。基板側同軸コネクタ60は、回路基板21のうち撮像素子22とは反対側の面に位置している。基板側同軸コネクタ60は、回路基板21から上記外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。基板側同軸コネクタ60は、例えば、基板側内導体62と、基板側絶縁体70と、基板側外導体80とを備える。基板側内導体62と基板側外導体80とは、例えば、回路基板21の回路にはんだ付等によって接続される。基板側内導体62に後述する可動側内導体42が接続される。基板側絶縁体70は、基板側内導体62の周りを囲んでいる。基板側外導体80は、基板側絶縁体70の周りを囲んでいる。つまり、基板側内導体62と基板側絶縁体70と基板側外導体80とは、この順で中心から外周側に向って同心円状に配置される。
【0041】
基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが、中継用同軸コネクタ40を介して接続される。中継用同軸コネクタ40は、例えば、可動側内導体42と、可動側絶縁体50と、可動側外導体54とを備える。可動側内導体42の周囲を可動側絶縁体50が囲んでいる。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、可動側絶縁体50は、誘電体であってもよい。可動側絶縁体50の周囲を可動側外導体54が囲んでいる。
【0042】
可動側内導体42は、筒状基部43と、複数の弾性片44とを有する内導体の一例である。可動側絶縁体50は、内導体としての可動側内導体42の周りを囲む絶縁体の一例である。可動側外導体54は絶縁体としての可動側絶縁体50の周りを囲む外導体の一例である。
【0043】
可動側内導体42に基板側内導体62が挿入接続されると共に、基板側外導体80が可動側外導体54に外嵌め接続された状態で、中継用同軸コネクタ40が基板側同軸コネクタ60に接続されている。この状態で、中継用同軸コネクタ40は、基板側同軸コネクタ60からさらに外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入接続されると共に、可動側外導体54が外部接続用外導体36に挿入接続されることで、中継用同軸コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に接続される。これにより、中継用同軸コネクタ40が、基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とを中継接続する。
【0044】
これにより、外部からのケーブルが、当該外部接続用同軸コネクタ30に接続されることで、当該ケーブルの接続先である外部の電気部品と、ケース12内の電気部品20とが電気的に接続される。
【0045】
本機器10の組付作業時または完成状態において、基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれる可能性がある。このような場合、可動側内導体42は基板側内導体62および外部接続用内導体32に対して傾いた状態で接続され得る。また、可動側外導体54は、基板側外導体80および外部接続用外導体36に対して傾いた状態で挿入接続され得る。つまり、中継用同軸コネクタ40は、基板側同軸コネクタ60および外部接続用同軸コネクタに対して傾いた状態で接続され得る。これにより、本機器10の組付作業時または完成状態において、基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれていたとしても、基板側同軸コネクタ60および外部接続用同軸コネクタに対して中継用同軸コネクタ40が傾くことで、当該位置ずれが吸収される。
【0046】
<中継用同軸コネクタについて>
中継用同軸コネクタ40がより具体的に説明される。図3は中継用同軸コネクタ40を示す分解斜視図である。図4は中継用同軸コネクタ40に対する外部接続用同軸コネクタ30の接続前状態を示す説明図である。図5図4の部分拡大断面図である。図6は中継用同軸コネクタ40に対して外部接続用同軸コネクタ30を接続した状態を示す断面図である。
【0047】
図2から図6に示すように、中継用同軸コネクタ40は、可動側内導体42と、可動側絶縁体50と、可動側外導体54とを備える。
【0048】
可動側内導体42は、細長い導電性部材である。本実施形態では、可動側内導体42は、金属板をプレス加工することによって形成されている。より具体的には、可動側内導体42は、筒状基部43と、複数の弾性片44と、反対側接続部48とを備える。
【0049】
筒状基部43は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。筒状基部43の一端は、外部接続用内導体32側を向いており、筒状基部43の他端は、基板側内導体62側を向いている。
【0050】
筒状基部43に、係止突部43aが突設されていてもよい。係止突部43aは、筒状基部43の外周部から部分的に突出している。係止突部43aは、筒状基部43の一端から他端に向って徐々に突出寸法が大きくなる形状に形成されている。筒状基部43が可動側絶縁体50内に挿入された状態で、係止突部43aが可動側絶縁体50の内周部に引っ掛って、可動側内導体42が可動側絶縁体50から抜止め状態で保持される。
【0051】
筒状基部43は、周方向において部分的に凹む位置決め凹部43gを有していてもよい。当該位置決め凹部43gは、筒状基部43の一端側、内周側および外周側に開口する凹みである。
【0052】
本実施形態では、位置決め凹部43gは、筒状基部43の一端の周方向において、複数の弾性片44の間に位置する。可動側絶縁体50の内周部に形成された位置決め凸部が当該位置決め凹部43gに嵌ることができる。これにより、可動側絶縁体50に対する可動側内導体42の回転止がなされる。また、可動側絶縁体50に対する可動側内導体42の先端側への移動規制がなされる。
【0053】
筒状基部43の一端から複数の弾性片44が延出している。好ましくは、複数の弾性片44は、筒状基部43の中心軸X周りに等間隔で位置する。本実施形態では、2つの弾性片44が筒状基部43の中心軸X周りで対向している。
【0054】
外部接続用内導体32は、2つの弾性片44の先端側から当該2つの弾性片44間に向けて挿入される。外部接続用内導体32が、当該2つの弾性片44によって挟込まれた状態となることで、可動側内導体42が外部接続用内導体32に接続される。
【0055】
反対側接続部48は、筒状基部43に対して複数の弾性片44とは反対側に連なっている。反対側接続部48は、基板側内導体62が接続される部分である。本実施形態では、反対側接続部48は、筒形状部分であり、より具体的には、筒状基部43よりも太い筒形状部分である。例えば、基板側内導体62が当該反対側接続部48に挿入接続される。
【0056】
可動側絶縁体50は、樹脂等によって形成されている。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、可動側絶縁体50は、誘電体としても把握され得る。可動側絶縁体50は、例えば、金型成形樹脂部品である。
【0057】
可動側絶縁体50は、可動側内導体42の少なくとも一部を収容可能な筒状に形成されている。本実施形態では、可動側絶縁体50は、円筒状に形成されており、その内部に円柱状空間Sが形成されている。当該円柱状空間S内に、可動側内導体42の筒状基部43および複数の弾性片44が収容される。
【0058】
円柱状空間Sの内径L1は、軸Xを中心としかつ複数の弾性片44の外面を通過する仮想的な円の直径L2よりも大きい(図6参照)。このため、複数の弾性片44は、円柱状空間S内において、内外方向に弾性変形でき、特に、初期状態よりも広がるように弾性変形できる。
【0059】
可動側絶縁体50は、外部接続用同軸コネクタ30側の端部に位置する頭部51を有する。頭部51には、外側から円柱状空間Sに連通する孔51hが形成されている。孔51hは、円柱状空間Sよりも細く、かつ、外部接続用内導体32を挿入可能な孔に形成されている。つまり、円柱状空間Sは、頭部51によって狭められている。孔51hは、複数の弾性片44の先端間に対向し、複数の弾性片44の先端側の周りを塞いでいる。外部接続用内導体32の位置が孔51hによって規制されることで、当該外部接続用内導体32が複数の弾性片44の間に配置され易い。
【0060】
可動側絶縁体50は、筒状基部43および複数の弾性片44を収容できる程度の長さに設定されている。反対側接続部48は、可動側絶縁体50の外側に突出している。
【0061】
可動側絶縁体50の外周側に可動側外導体54が配置される。可動側外導体54は、金属等の導電材料によって形成されており、可動側絶縁体50の周りを囲んでいる。可動側外導体54は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。
【0062】
可動側外導体54は、外側筒状基部55と、外側弾性片56とを備える。本実施形態では、可動側外導体54は、さらに、外側反対接続部58を備える。
【0063】
外側筒状基部55は、内側に可動側絶縁体50を配置可能な筒状に形成されている。外側筒状基部55に、係止突部55aが突設されていてもよい。係止突部55aは、外側筒状基部55の内周部から部分的に突出している。係止突部55aは、外側筒状基部55の一端から他端に向って徐々に突出寸法が小さくなる形状に形成されている。可動側絶縁体50が外側筒状基部55内に挿入された状態で、係止突部55aが可動側絶縁体50の外周部に引っ掛って、可動側絶縁体50が外側筒状基部55から抜止め状態で保持される。
【0064】
外側筒状基部55は、周方向において部分的に内側に突出する位置決め突部55pを有していてもよい(図3参照)。当該位置決め突部55pが、可動側絶縁体50の外周に形成された位置決め凹部に嵌ることで、可動側絶縁体50に対する外側筒状基部55の回転止がなされてもよい。当該位置決め突部55pが、当該位置決め凹部に嵌ることで、可動側絶縁体50に対する外側筒状基部55の他端側への移動規制がなされてもよい。外側筒状基部55が可動側絶縁体50に外嵌めされることで、外側筒状基部55が、筒状基部43に対して同軸上に配置される。
【0065】
外側筒状基部55のうち一端側開口縁から複数の外側弾性片56が延出している。複数の外側弾性片56は、可動側絶縁体50の一端部の周りを囲むように並ぶ。
【0066】
より具体的には、外側弾性片56は、傾斜部56aと、膨出部56bと、先端ガイド部56cとを有する。傾斜部56aと膨出部56bと先端ガイド部56cとは、外側筒状基部55の一端側開口から当該外側筒状基部55の中心軸Xの一方側に向けてこの順で連なっている。
【0067】
傾斜部56aは、外側筒状基部55の一端側開口から外側弾性片56の先端に向うに連れて外周側に傾斜している。傾斜部56aは、主として外側筒状基部55に連なる部分を支点として、外側筒状基部55の内外方向に弾性変形することができる。傾斜部56aは、後述する弾性支持部47と弾性片本体45の先端(ここでは折返し部56m)との間で、弾性片本体45の先端に向うに連れて外側に傾斜している部分である。
【0068】
膨出部56bは、傾斜部56aの先端から外向きに凸となる曲面をなしつつ中心軸Xの一方側に向っている。膨出部56bのうち最も外周側に突出する部分が、筒状基部43の径方向において外側を向き、外部接続用外導体36に接触する外側接触部位56pである(図6参照)。
【0069】
先端ガイド部56cは、膨出部56bの先端から中心軸Xの一方側に向って内周側に傾斜している。
【0070】
可動側外導体54が外部接続用外導体36内に挿入される際に、先端ガイド部56cが外部接続用外導体36の開口縁に接触することで、外側弾性片56を外部接続用外導体36の内周側に案内する。可動側外導体54が外部接続用外導体36内に挿入された状態で、傾斜部56aが内周側に弾性変形する。傾斜部56aが元の形状に戻ろうとする弾性力によって、外側接触部位56pが外部接続用外導体36の内周面に弾性的に押付けられる。これにより、複数の外側弾性片56が、外部接続用外導体36に対して内周側から接触し、可動側外導体54と外部接続用外導体36と接続される。外側反対接続部58が、基板側外導体80に挿入接続される。
【0071】
<可動側内導体について>
可動側内導体42についてより具体的に説明する。
【0072】
可動側内導体42の複数の弾性片44のそれぞれは、弾性片本体45と、弾性接触片46とを有する。
【0073】
弾性片本体45の基端は筒状基部43の一端に連なっている。弾性片本体45は、筒状基部43の一端から当該筒状基部43の軸方向Xの一方側に延出している。本実施形態では、弾性片本体45の延在方向中間部は、先端側に向うに連れて筒状基部43の中心軸X側に傾いている。また、弾性片本体45のうち先端寄りの部分は、中心軸Xと平行に延びている。よって、初期状態において、弾性片本体45の中間部よりも先端側の部分は、筒状基部43の外周面の延長上よりも内周側に位置している。
【0074】
弾性接触片46は、弾性片本体45から内側に向って突出している接触部の一例である。本実施形態では、弾性接触片46は、弾性片本体45の先端から折返し部46mを介して弾性片本体45の基端に向って折返された弾性接触片である。
【0075】
より具体的には、弾性接触片46は、基端側傾斜部46aと、曲げ部46bと、先端側傾斜部46cとを含む。基端側傾斜部46aと曲げ部46bと先端側傾斜部46cとは、弾性接触片46の基端側から先端側に向って、この順で連なっている。
【0076】
基端側傾斜部46aは、弾性片本体45の先端から弾性片本体45の基端側に向って中心軸X側に向うように傾斜している。先端側傾斜部46cは、基端側傾斜部46aの先端に対して曲げ部46bを介して連なっている。曲げ部46bは、中心軸X側に突出するように曲っている部分である。先端側傾斜部46cは、当該曲げ部46bから弾性片本体45の基端側に向って中心軸Xに対して離れるように傾斜している。
【0077】
弾性接触片46を全体として見ると、曲げ部46bが最も中心軸Xの近くに位置している。このため、複数の弾性片44の間に外部接続用内導体32を挿入すると、弾性接触片46は、曲げ部46bの頂点を内側接触部位46pとして外部接続用内導体32に接触する(図6参照)。
【0078】
外部接続用内導体32が接続されない状態において、弾性接触片46の先端は、弾性片本体45に対して離れていることが好ましい。
【0079】
弾性片本体45の基端は、弾性接触片46の外周側への変位に伴って、弾性片本体45の先端を外側に変位させるように弾性変形する弾性支持部47を有する。弾性支持部47は、弾性片本体45が筒状基部43に連なる部分である。
【0080】
弾性支持部47は、外部接続用内導体32が複数の弾性片44の間に挿入された状態において、弾性片本体45の先端を外側に変位させるように弾性変形すればよい。
【0081】
なお、外部接続用内導体32が複数の弾性片44の間に挿入された状態において、弾性支持部47が弾性変形することは、弾性片本体45に対して弾性接触片46が全く弾性変形しないことを意味するものではない。
【0082】
しかしながら、外部接続用内導体32が複数の弾性片44の間に挿入された状態において、弾性支持部47の弾性変形量θ1は、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きいことが好ましい。例えば、弾性支持部47の弾性変形量θ1は、弾性片本体45の初期角度に対する、外部接続用内導体32の挿入後の弾性片本体45の角度変化量として把握されてもよい(図6参照)。また、折返し部46mの弾性変形量θ2は、基端側傾斜部46aの初期角度に対する、外部接続用内導体32の挿入後の基端側傾斜部46aの角度変化量として把握されてもよい(図6参照)。
【0083】
そして、弾性支持部47の弾性変形量θ1が、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きければ、外部接続用内導体32の挿入によって、内側接触部位46pが中心軸Xから離れる方向に変位することによって、弾性片本体45の先端および中間部が中心軸Xから離れる方向に変位し易い。
【0084】
外部接続用内導体32を可動側内導体42に挿入することによって、弾性片本体45の先端側の部分が外側に変位する。この際、弾性片本体45の変位量は、弾性片本体45に対する弾性接触片46の突出量によって調整され得る。従って、弾性接触片46の突出量を調整することによって、接続状態における弾性片本体45の位置を調整できる。弾性片本体45の位置を調整することによって、接続状態における弾性片本体45と可動側外導体54との間隔を調整することができる。接続状態では、弾性支持部47の弾性復元力を利用して、弾性接触片46を外部接続用内導体32に押付けることができる。
【0085】
例えば、接続状態において、弾性片本体45が先端側に向けて外向き傾斜している状態とすることができる(図6参照)。上記したように、外側弾性片56は、外部接続用外導体36との弾性的な接触のために、外向き傾斜していることが想定される。この場合に、接続状態において、弾性片本体45と傾斜部56aとを平行状態に近付けることができる。これにより、中心軸Xに沿った方向において、弾性片本体45と傾斜部56aとの距離をなるべく一定に保ち易い。弾性片本体45と傾斜部56aとの距離をなるべく一定に保つことができれば、可動側内導体42と可動側外導体54との間隔に依存する通信性能を所望の性能に保ち易い。
【0086】
弾性支持部47の弾性変形量θ1を、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きくするためには、例えば、弾性接触片46のうち上記内側接触部位46pと弾性支持部47との距離D1を、当該内側接触部位46pと折返し部46mとの距離D2よりも大きくしてもよい(図5参照)。外部接続用内導体32の挿入時に変位する内側接触部位46pに対して、弾性支持部47が折返し部46mよりも離れていれば、折返し部46mよりも弾性支持部47に対して大きなモーメントが加わる。よって、弾性支持部47の弾性変形量θ1を、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きくし易い。
【0087】
弾性支持部47の弾性変形量θ1を、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きくする構成は、上記例に限られない。例えば、図7に示すように、折返し部46mにその弾性変形を抑制するための補強用のリブ46mbを形成してもよい。その他、折返し部46mを、弾性支持部47よりも太くしたり、厚くしたりしてもよい。
【0088】
また、弾性支持部47は、外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入接続された状態において、弾性接触片46の先端を弾性片本体45に対して離れた状態に保つ弾性を有していてもよい。弾性支持部47の弾性は、外部接続用内導体32の挿入による内側接触部位46pの変位量等に応じて、弾性支持部47の基端の幅または厚み等を設定することによって、調整され得る。
【0089】
筒状基部43の軸方向Xにおいて、上記弾性片44の内側接触部位46pと、外側弾性片56の外側接触部位56Pとは同じ位置(図6のラインM参照)に設定されていることが好ましい。ここで、軸方向Xにおいて、内側接触部位46pと外側接触部位56Pとが同じ位置に設定されるとは、軸方向Xにおいて部位46p、56pが筒状基部43の外径φの±5パーセントの距離範囲内に位置する場合が含まれる。
【0090】
仮に、軸方向Xにおいて、内側接触部位46pと外側接触部位56Pとが大きくずれていると、中継用同軸コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に対して大きく傾いた場合に、内側接触部位46pと外側接触部位56Pとが互いに離れる方向に大きく偏心する可能性がある。
【0091】
軸方向Xにおいて、内側接触部位46pと外側接触部位56Pとが同じ位置に設定されると、中継用同軸コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に対して大きく傾いたとしても、内側接触部位46pと外側接触部位56Pとが大きく偏心し難い。よって、可動側内導体42と可動側外導体54とが同軸上の位置関係に保たれ易く、所望の通信性能が維持され易い。
【0092】
<効果等>
以上のよう構成された中継用同軸コネクタ40によると、可動側内導体42に外部接続用内導体32を挿入接続すると、外部接続用内導体32が複数の弾性片44のそれぞれの弾性接触片46に接触する。これにより、各弾性片44の内側接触部位46pが外側に変位すると、弾性片本体45の基端に位置する弾性支持部47が弾性変形して、弾性片本体45の先端が外側に変位する。このため、外部接続用内導体32の太さおよび弾性接触片46の突出量に応じて、弾性片本体45の先端を外側に変位させることができ、可動側内導体42と可動側外導体54との間隔調整を容易に行える。
【0093】
例えば、機器10のコスト、サイズまたは形状などの制約によって、可動側外導体54または可動側絶縁体50のサイズ制約、または、可動側絶縁体50の誘電率の制約等が課される場合がある。このような場合に、外部接続用内導体32の外径に応じて、可動側内導体42の外径を調整することができる。可動側内導体42の外径を調整することで、可動側内導体42と可動側外導体54との間隔を調整して、接点付近での特性インピーダンスを調整できる。
【0094】
また、弾性片本体45の先端から折返し部46mを介して弾性接触片46が折返されているため、弾性片本体45から内側に突出する接触部としての弾性接触片46を容易に形成できる。
【0095】
また、弾性接触片46の先端は、弾性片本体45に対して離れている。弾性片本体45の先端は、外部接続用内導体32の挿入状態においても、弾性片本体45から離れた状態に保たれることが好ましい。
【0096】
仮に、弾性接触片46の先端が弾性片本体45に接していると、弾性接触片46の内側接触部位46pから弾性接触片46の先端を経由して弾性片本体45に至る信号伝送路が構成される可能性がある。この場合、弾性片本体45の全体形状を想定した所望の特性インピーダンスが得られない可能性がある。
【0097】
弾性接触片46の先端が、弾性片本体45に対して離れていると、外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入された状態で、弾性接触片46の内側接触部位46pから折返し部46mおよび弾性片本体45を経由する信号伝送路が構成される。これにより、弾性片本体45の全体形状を前提としてノイズ設計された所望の特性インピーダンスが得られる。
【0098】
また、外部接続用内導体32が挿入接続された状態において、弾性支持部47の弾性変形量θ1は、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きい。このため、外部接続用内導体32の太さおよび弾性接触片46の突出量に応じて、弾性片本体45を外側により大きく変位させることができ、可動側内導体42と可動側外導体54との間隔調整を容易に行える。
【0099】
弾性支持部47の弾性変形量θ1を、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きくするためには、例えば、内側接触部位46pと弾性支持部47との距離D1が、内側接触部位46pと折返し部46mとの距離D2よりも大きく設定されてもよい。これにより、内側接触部位46pの変位によって、折返し部46mよりも弾性支持部47に大きなモーメントが作用し、当該弾性支持部47が大きく弾性変形する。このため、相手側内導体の太さおよび接触部の突出量に応じて、弾性片本体の先端を外側により大きく変位させることができ、内導体と外導体との間隔調整を容易に行える。
【0100】
弾性支持部47の弾性変形量θ1を、折返し部46mの弾性変形量θ2よりも大きくするための構成は、弾性支持部47および折返し部46mの形状設定によっても行える。例えば、折返し部46mに弾性変形を抑制するリブ46mbが形成されてもよい。
【0101】
また、可動側外導体54は、筒状基部43の軸方向Xに沿って弾性支持部47と弾性片本体45の先端との間で、弾性片本体45の先端に向うに連れて外側に傾斜する傾斜部56aを含む。上記したように、外部接続用内導体32の挿入によって弾性片本体45の先端が外側に変位した状態で、当該弾性片本体45は、先端に向うに連れて外側に傾斜することが考えられる。この場合に、軸方向Xに沿った方向において、弾性片本体45と可動側外導体54との間隔の変化を抑制でき、これにより、ノイズ設計が容易となる。
【0102】
また、筒状基部43の軸方向Xにおいて、内側接触部位46pと外側弾性片56とが同じ位置に設定されている。このため、外部接続用同軸コネクタ30に対して中継用同軸コネクタ40が傾いている場合でも、内側接触部位46pと外側弾性片56とを同軸周りに配置し易い。これにより、中継用同軸コネクタ40が傾いている場合でも、通信性能の悪化が抑制される。
【0103】
なお、本実施形態では、接触部は、接触片本体の先端から折返された弾性接触片46である例が説明された。接触部が折返された弾性接触片であることは必須ではない。接触部は、弾性接触片の中間部をプレス加工等によって部分的に内側に突出させることによって形成された部分であってもよい。接触部は、削り出し加工または溶接等によって形成された中実(solid)な突起であってもよい。
【0104】
なお、上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 機器
12 ケース
13 第1ケース
14 第2ケース
15 底部
16 保持筒部
17 保持仕切部
17h 保持孔
20 電気部品
21 回路基板
22 撮像素子
30 外部接続用同軸コネクタ
32 外部接続用内導体(相手側内導体)
34 外部接続用絶縁体
36 外部接続用外導体(相手側外導体)
40 中継用同軸コネクタ(同軸コネクタ)
42 可動側内導体(内導体)
43 筒状基部
43a 係止突部
43g 位置決め凹部
44 弾性片
45 弾性片本体
46 弾性接触片(接触部)
46a 基端側傾斜部
46b 曲げ部
46c 先端側傾斜部
46m 折返し部
46mb リブ
46p 内側接触部位
47 弾性支持部
48 反対側接続部
50 可動側絶縁体(絶縁体)
51 頭部
51h 孔
54 可動側外導体(外導体)
55 外側筒状基部
55a 係止突部
55p 位置決め突部
56 外側弾性片
56P 外側接触部位
56a 傾斜部
56b 膨出部
56c 先端ガイド部
56p 外側接触部位
58 外側反対接続部
60 基板側同軸コネクタ
62 基板側内導体
70 基板側絶縁体
80 基板側外導体
D1、D2 距離
L1 内径
M ライン
S 円柱状空間
X 軸方向(中心軸)
θ1、θ2 弾性変形量
φ 外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7