(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148286
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/40 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H01R13/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061297
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 梨紗
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE08
5E087FF07
5E087GG13
5E087QQ04
5E087RR36
(57)【要約】
【課題】端子収容部品内に収容された端子の回転規制を行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】コネクタ40は、ピン状の相手側端子が挿入接続される端子42を備えるコネクタであって、筒状基部43と、筒状基部の一端から延出する複数の弾性片44とを有する端子42と、端子の少なくとも一部を収容する収容空間Sを有する端子収容部品50と、を備え、筒状基部は、筒状基部の周方向において複数の弾性片の間に位置するスリット43gを有し、スリットは、筒状基部の周方向において対向し合う一対の側面を有し、端子収容部品は、収容空間側に突出し、スリットに嵌って一対の側面間に位置する回転止め凸部53を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン状の相手側端子が挿入接続される端子を備えるコネクタであって、
筒状基部と、前記筒状基部の一端から延出する複数の弾性片とを有する前記端子と、
前記端子の少なくとも一部を収容する収容空間を有する端子収容部品と、
を備え、
前記筒状基部は、前記筒状基部の周方向において前記複数の弾性片の間に位置するスリットを有し、
前記スリットは、前記筒状基部の周方向において対向し合う一対の側面を有し、
前記端子収容部品は、前記収容空間側に突出し、前記スリットに嵌って前記一対の側面間に位置する回転止め凸部を有する、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記筒状基部の周方向に沿った方向において、前記スリットの幅は、前記複数の弾性片間の隙間の幅よりも小さい、コネクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記筒状基部は、前記筒状基部の周方向において前記複数の弾性片の間であって前記スリットとは異なる箇所に位置する前止め面を有し、
前記前止め面は、前記複数の弾性片の各々が延出する側を向いており、
前記端子収容部品は、前記収容空間側に突出し、前記前止め面に対向する前止め凸部を有する、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記筒状基部の周方向に沿った方向において、前記前止め凸部の幅は、前記回転止め凸部の幅よりも大きい、コネクタ。
【請求項5】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記回転止め凸部は、前記複数の弾性片の各々が延出する側とは反対側において、前記スリットの奥側面に対して間隔をあけて対向している、コネクタ。
【請求項6】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記筒状基部の周方向に沿った方向において、前記前止め凸部の幅は、前記複数の弾性片間の隙間の幅よりも小さい、コネクタ。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記端子収容部品は、前記複数の弾性片のそれぞれの先端部をまとめて覆う頭部を含み、
前記頭部の一部は、前記筒状基部の周方向に沿った方向において前記複数の弾性片の間に入り込んでいる、コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記一対の側面は、前記複数の弾性片のいずれかと前記頭部との接触を回避する範囲で、前記回転止め凸部に接触して、前記端子を回転規制する、コネクタ。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記回転止め凸部のうち前記複数の弾性片の各々が延出する方向とは逆側の端部は、先端に向うに連れて細幅になる案内端部である、コネクタ。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記端子収容部品の周りを囲む外導体をさらに備え、
前記端子と前記外導体とが同軸上に配置されている、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、接続ピンが挿入接続される下部コンタクトを備える同軸コネクタを開示している。特許文献1に開示の技術では、下部コンタクトは下部絶縁体で包囲され、下部絶縁体の外周は導電性の外部シェルで包囲されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下部絶縁体内における下部コンタクトの変形抑制の観点から、下部コンタクトの回転規制を行うことが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、端子収容部品内に収容された端子の回転規制を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ピン状の相手側端子が挿入接続される端子を備えるコネクタであって、筒状基部と、前記筒状基部の一端から延出する複数の弾性片とを有する前記端子と、前記端子の少なくとも一部を収容する収容空間を有する端子収容部品と、を備え、前記筒状基部は、前記筒状基部の周方向において前記複数の弾性片の間に位置するスリットを有し、前記スリットは、前記筒状基部の周方向において対向し合う一対の側面を有し、前記端子収容部品は、前記収容空間側に突出し、前記スリットに嵌って前記一対の側面間に位置する回転止め凸部を有する、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子収容部品内に収容された端子の回転規制を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】図は実施形態に係る中継用同軸コネクタを備える機器を示す斜視図である。
【
図3】
図3は
図2と同じ断面における中継用同軸コネクタの断面図である。
【
図4】
図4は
図2の断面図とは反対側から見た中継用同軸コネクタの断面図である。
【
図6】
図6は中継用同軸コネクタを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は中継用同軸コネクタの部分的な分解斜視図である。
【
図8】
図8は中継用同軸コネクタの部分的な分解斜視図である。
【
図11】
図11は変形例に係る中継用同軸コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)ピン状の相手側端子が挿入接続される端子を備えるコネクタであって、筒状基部と、前記筒状基部の一端から延出する複数の弾性片とを有する前記端子と、前記端子の少なくとも一部を収容する収容空間を有する端子収容部品と、を備え、前記筒状基部は、前記筒状基部の周方向において前記複数の弾性片の間に位置するスリットを有し、前記スリットは、前記筒状基部の周方向において対向し合う一対の側面を有し、前記端子収容部品は、前記収容空間側に突出し、前記スリットに嵌って前記一対の側面間に位置する回転止め凸部を有する、コネクタである。
【0012】
このコネクタによると、端子の少なくとも一部が端子収容部品の収容空間に収容された状態で、回転止め凸部が筒状基部のスリットに嵌る。回転止め凸部が一対の側面の間に位置することで、端子が回転規制される。
【0013】
(2)(1)のコネクタであって、前記筒状基部の周方向に沿った方向において、前記スリットの幅は、前記複数の弾性片間の隙間の幅よりも小さくてもよい。
【0014】
この場合、スリットおよびスリットに嵌る回転止め凸部が、複数の弾性片の弾性変形に影響を与え難い。
【0015】
(3)(1)または(2)のコネクタであって、前記筒状基部は、前記筒状基部の周方向において前記複数の弾性片の間であって前記スリットとは異なる箇所に位置する前止め面を有し、前記前止め面は、前記複数の弾性片の各々が延出する側を向いており、前記端子収容部品は、前記収容空間側に突出し、前記前止め面に対向する前止め凸部を有してもよい。
【0016】
この場合、前止め凸部が前止め面に接触することで、端子が先端側に移動することが規制される。
【0017】
(4)(3)のコネクタであって、前記筒状基部の周方向に沿った方向において、前記前止め凸部の幅は、前記回転止め凸部の幅よりも大きくてもよい。
【0018】
これにより、端子が先端側に移動することを規制する前止め凸部の強度を大きくできる。
【0019】
(5)(3)または(4)のコネクタであって、前記回転止め凸部は、前記複数の弾性片の各々が延出する側とは反対側において、前記スリットの奥側面に対して間隔をあけて対向していてもよい。
【0020】
これにより、端子が先端側に移動しようとする力が、前止め凸部によって受止められる。このため、回転止め凸部に加わる力を小さくでき、回転止め凸部を小さくできる。スリットを細幅にできるので、筒状基部の強度を高めることができる。
【0021】
(6)(3)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記筒状基部の周方向に沿った方向において、前記前止め凸部の幅は、前記複数の弾性片間の隙間の幅よりも小さくてもよい。
【0022】
これにより、弾性変形する弾性片が前止め凸部に干渉し難い。
【0023】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのコネクタであって、前記端子収容部品は、前記複数の弾性片のそれぞれの先端部をまとめて覆う頭部を含み、前記頭部の一部は、前記筒状基部の周方向に沿った方向において前記複数の弾性片の間に入り込んでいてもよい。
【0024】
この場合、端子収容部品の頭部の一部が、筒状基部の周方向に沿った方向において複数の弾性片の間に入り込んでいるため、当該頭部をなるべく弾性片に近付けることができる。これにより、弾性片を保護し易い。
【0025】
(8)(7)のコネクタであって、前記一対の側面は、前記複数の弾性片のいずれかと前記頭部との接触を回避する範囲で、前記回転止め凸部に接触して、前記端子を回転規制してもよい。
【0026】
これにより、複数の弾性片と頭部との接触による、弾性片の変形が抑制される。
【0027】
(9)(1)から(8)のいずれか1つのコネクタであって、前記回転止め凸部のうち前記複数の弾性片の各々が延出する方向とは逆側の端部は、先端に向うに連れて細幅になる案内端部であってもよい。
【0028】
これにより、回転止め凸部をスリットに嵌め込み易い。
【0029】
(10)(1)から(9)のいずれか1つのコネクタであって、前記端子収容部品の周りを囲む外導体をさらに備え、前記端子と前記外導体とが同軸上に配置されていてもよい。
【0030】
これにより、コネクタを同軸コネクタとして好適に利用できる。この場合、端子収容部品を誘電体として利用できる。誘電体の配置空間を増やすために端子収容部品と内導体との距離を小さくした場合でも、端子の回転が規制されるため、弾性片と端子収容部品とが接触し難く、弾性片の変形が抑制される。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明する。本実施形態では、コネクタが同軸コネクタである例が説明される。また、コネクタが機器に組込まれた中継用コネクタである例が説明される。つまり、本実施形態では、コネクタが中継用同軸コネクタである例が説明される。
【0033】
なお、コネクタが同軸コネクタであること、コネクタが機器に組込まれていること、および、中継用コネクタであることは必須ではない。例えば、コネクタは、ハウジング内に端子を収容するコネクタであり、複数の端子が同軸上に配置されないコネクタであってもよい。また、コネクタは、ケーブル端部に取付けられるコネクタであってもよいし、基板に実装されるコネクタであってもよい。
【0034】
<機器の全体構成について>
中継用同軸コネクタ40を備える機器10の例について説明する。
図1は中継用同軸コネクタ40を備える機器10を示す斜視図である。
図2は
図1のII-II線断面図である。
【0035】
機器10は、例えば、カメラ機器である。カメラ機器は、例えば、車載用の機器である。機器10は、カメラ機器でなくてもよい。
【0036】
機器10は、ケース12と、電気部品20とを備える。ケース12内に電気部品20が収容されている。電気部品20に中継用同軸コネクタ40が固定されている。
【0037】
ケース12は、第1ケース13と、第2ケース14とを備えている。第1ケース13および第2ケース14は、例えば、樹脂によって形成される。第1ケース13と第2ケース14とが合体することで、電気部品20を収容する直方体箱状のケース12が構成される。機器10がカメラ機器である場合、第1ケース13は撮像用のレンズまたは窓を有しており、第2ケース14が外部接続用同軸コネクタ30を有していることが想定される。
【0038】
外部接続用同軸コネクタ30は、電気部品20と、外部の電気部品とを接続するための同軸コネクタである。例えば、外部接続用同軸コネクタ30は、外部の電気部品に接続されたケーブルが接続される同軸コネクタである。外部接続用同軸コネクタ30が接続されるケーブルは、例えば、同軸ケーブルである。
【0039】
より具体的には、ケース12の底部15に保持筒部16が突設されている。保持筒部16は、円筒であり、底部15の中央部から外側に突出している。保持筒部16の内側開口は第2ケース14内に開口し、保持筒部16の外側開口は第2ケース14外に開口している。保持筒部16の中心軸Xに沿った方向(軸方向X)の中間部に保持仕切部17が形成されている。本実施形態では、保持筒部16の中心軸Xに沿った方向の中間であって内側開口寄りの位置に保持仕切部17が形成されている。保持仕切部17は、保持筒部16のうち内側開口側の空間と、外側開口側の空間とを仕切っている。保持仕切部17に保持孔17hが形成されており、当該保持孔17hに外部接続用同軸コネクタ30が挿入されて保持される。
【0040】
外部接続用同軸コネクタ30は、外部接続用内導体32と、外部接続用絶縁体34と、外部接続用外導体36とを備える。
【0041】
外部接続用内導体32は、細長い棒状に形成されており、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用内導体32は、後述する可動側内導体42に挿入接続されるピン状の相手側導体の一例である。外部接続用絶縁体34は、樹脂等の絶縁体によって形成されており、外部接続用内導体32の周りを囲んでいる。本実施形態では、外部接続用絶縁体34は、誘電体である。外部接続用外導体36は、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用外導体36は、外部接続用絶縁体34の周りを囲む筒状に形成されている。
【0042】
電気部品20は、例えば、基板に電子部品が実装された実装基板である。機器10がカメラ機器である場合、電気部品20は、回路基板21と、当該回路基板21に実装された撮像素子22であることが想定される。撮像素子22は、第1ケース13の撮像用のレンズまたは窓に対向し、当該レンズまたは窓を回して外側景色を撮像する。以下、撮像素子22が向く第1ケース13側を前側、それとは反対側の第2ケース14側を後側という場合がある。
【0043】
回路基板21に基板側同軸コネクタ60が実装固定されている。基板側同軸コネクタ60は、回路基板21のうち撮像素子22とは反対側の面に位置している。基板側同軸コネクタ60は、回路基板21から上記外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。基板側同軸コネクタ60は、例えば、基板側内導体62と、基板側絶縁体70と、基板側外導体80とを備える。基板側内導体62と基板側外導体80とは、例えば、回路基板21の回路にはんだ付等によって接続される。基板側内導体62に後述する可動側内導体42が接続される。基板側絶縁体70は、基板側内導体62の周りを囲んでいる。基板側外導体80は、基板側絶縁体70の周りを囲んでいる。つまり、基板側内導体62と基板側絶縁体70と基板側外導体80とは、この順で中心から外周側に向って同心円状に配置される。
【0044】
基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが、中継用同軸コネクタ40を介して接続される。中継用同軸コネクタ40は、例えば、可動側内導体42と、可動側絶縁体50と、可動側外導体56とを備える。可動側内導体42の周囲を可動側絶縁体50が囲んでいる。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、可動側絶縁体50は、誘電体であってもよい。可動側絶縁体50の周囲を可動側外導体56が囲んでいる。
【0045】
可動側内導体42は、筒状基部43と、筒状基部43の一端から延出する複数の弾性片44とを有する端子の一例であり、内導体の一例でもある。可動側絶縁体50は、端子としての可動側内導体42の少なくとも一部を収容する収容空間Sを有する端子収容部品の一例である。可動側外導体56は端子収容部品としての可動側絶縁体50の周りを囲む外導体の一例である。可動側内導体42と可動側外導体56とが同軸上に配置されている。
【0046】
可動側内導体42に基板側内導体62が挿入接続されると共に、基板側外導体80が可動側外導体56に外嵌め接続された状態で、中継用同軸コネクタ40が基板側同軸コネクタ60に接続されている。この状態で、中継用同軸コネクタ40は、基板側同軸コネクタ60からさらに外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入接続されると共に、可動側外導体56が外部接続用外導体36に挿入接続されることで、中継用同軸コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に接続される。これにより、中継用同軸コネクタ40が、基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とを中継接続する。
【0047】
これにより、外部からのケーブルが、当該外部接続用同軸コネクタ30に接続されることで、当該ケーブルの接続先である外部の電気部品と、ケース12内の電気部品20とが電気的に接続される。
【0048】
本機器10の組付作業時または完成状態において、基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれる可能性がある。このような場合、可動側内導体42は基板側内導体62および外部接続用内導体32に対して傾いた状態で接続され得る。また、可動側外導体56は、基板側外導体80および外部接続用外導体36に対して傾いた状態で挿入接続され得る。つまり、中継用同軸コネクタ40は、基板側同軸コネクタ60および外部接続用同軸コネクタに対して傾いた状態で接続され得る。これにより、本機器10の組付作業時または完成状態において、基板側同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれていたとしても、基板側同軸コネクタ60および外部接続用同軸コネクタに対して中継用同軸コネクタ40が傾くことで、当該位置ずれが吸収される。
【0049】
<中継用同軸コネクタについて>
中継用同軸コネクタ40がより具体的に説明される。
図3は
図2と同じ断面における中継用同軸コネクタ40の断面図である。
図4は
図2の断面図とは反対側から見た中継用同軸コネクタ40の断面図である。
図5は
図3のV-V線断面図である。
図6は中継用同軸コネクタ40を示す分解斜視図である。
図7および
図8は中継用同軸コネクタ40の部分的な分解斜視図である。
図7において可動側絶縁体50が
図3と同じ面で破断され、
図8において可動側絶縁体50が
図4と同じ面で破断されている。
図9は
図5のIX-IX線断面図であり、
図10は
図3のX-X線断面図である。
【0050】
図2から
図10に示すように、中継用同軸コネクタ40は、可動側内導体42と、可動側絶縁体50と、可動側外導体56とを備える。
【0051】
可動側内導体42は、細長い導電性部材である。本実施形態では、可動側内導体42は、金属板をプレス加工することによって形成されている。より具体的には、可動側内導体42は、筒状基部43と、複数の弾性片44と、反対側接続部48とを備える。
【0052】
筒状基部43は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。筒状基部43の一端は、外部接続用内導体32側を向いており、筒状基部43の他端は、基板側内導体62側を向いている。
【0053】
筒状基部43に、係止突部43aが突設されていてもよい。係止突部43aは、筒状基部43の外周部から部分的に突出している。係止突部43aは、筒状基部43の一端から他端に向って徐々に突出寸法が大きくなる形状に形成されている。筒状基部43が可動側絶縁体50内に挿入された状態で、係止突部43aが可動側絶縁体50の内周部に引っ掛って、可動側内導体42が可動側絶縁体50から抜止め状態で保持される。
【0054】
筒状基部43は、筒状基部43の周方向において複数の弾性片44の間に位置するスリット43gを有している。スリット43gは、筒状基部43の一端側、内周側および外周側に開口している。スリット43gは、筒状基部43の周方向において対向し合う一対の側面43g1を有している。スリット43gのうち筒状基部43の他端側に位置し、筒状基部43の一端を向く面が奥側面43g2である。
【0055】
本実施形態では、複数の弾性片44の間に複数の隙間が存在し、スリット43gは、当該複数の隙間の一部に対応して存在する。より具体的には、2つの弾性片44の間に2つの隙間が存在し、1つの隙間に対応してスリット43gが設けられる。後述するように、可動側絶縁体50の内周部に形成された回転止め凸部53が当該スリット43gに嵌ることができる。これにより、可動側絶縁体50に対する可動側内導体42の回転止がなされる。また、可動側絶縁体50に対する可動側内導体42の先端側への移動規制がなされる。
【0056】
筒状基部43の一端から複数の弾性片44が延出している。好ましくは、複数の弾性片44は、筒状基部43の中心軸X周りに等間隔で位置する。本実施形態では、2つの弾性片44が筒状基部43の中心軸X周りで対向している。
【0057】
複数の弾性片44のそれぞれは、弾性片本体45と、弾性接触片46とを有する。
【0058】
弾性片本体45の基端は筒状基部43の一端に連なっている。弾性片本体45は、筒状基部43の一端から当該筒状基部43の軸方向Xの一方側に延出している。弾性接触片46は、弾性片本体45の先端から弾性片本体45の基端に向って内側に折返された弾性接触片である。
【0059】
外部接続用内導体32は、2つの弾性片44の先端側から当該2つの弾性片44間に向けて挿入される。外部接続用内導体32が、当該2つの弾性片44によって挟込まれた状態となることで、可動側内導体42が外部接続用内導体32に接続される。
【0060】
なお、弾性片が上記折返された弾性接触片を有していることは必須ではなく、筒状基部から軸方向Xの一方側に延出する部分の内向き部分が外部接続用内導体32に接触してもよい。
【0061】
筒状基部43の周方向において弾性片本体45の間に隙間が存在している。筒状基部43の一端において2つの弾性片44の間に2つの隙間が存在する。
【0062】
筒状基部43の一端のうち1つの隙間に対応する部分に上記スリット43gが形成されている。筒状基部43の一端のうち他の1つの隙間に対応する部分に前止め面43frsが形成されている。前止め面43frsは、筒状基部43の筒状基部43の周方向において複数の弾性片44の間であってスリット43gとは異なる箇所に位置している。前止め面43frsは、弾性片44が延出する側を向く面である。前止め面43frsは、軸方向Xと直交していることが好ましい。
【0063】
後述する可動側絶縁体50の前止め凸部54が前止め面43frsに接することで、可動側絶縁体50が、弾性片44が延出する側に移動することが規制される。
【0064】
反対側接続部48は、筒状基部43に対して複数の弾性片44とは反対側に連なっている。反対側接続部48は、基板側内導体62が接続される部分である。本実施形態では、反対側接続部48は、筒形状部分であり、より具体的には、筒状基部43よりも太い筒形状部分である。例えば、基板側内導体62が当該反対側接続部48に挿入接続される。
【0065】
可動側絶縁体50は、樹脂等によって形成されている。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、可動側絶縁体50は、誘電体としても把握され得る。可動側絶縁体50は、例えば、金型成形樹脂部品である。
【0066】
可動側絶縁体50は、可動側内導体42の少なくとも一部を収容可能な筒状に形成されている。本実施形態では、可動側絶縁体50は、円筒状に形成されており、その内部に収容空間Sが形成されている。当該収容空間S内に、可動側内導体42の筒状基部43および複数の弾性片44が収容される。反対側接続部48は、可動側絶縁体50の外側に突出している。
【0067】
可動側絶縁体50は、筒部51と、頭部52とを有する。
【0068】
筒部51は、円筒状に形成されている。筒部51内に可動側内導体42のうち筒状基部43と、複数の弾性片44のうち先端を除く部分が収容される。筒部51内に、収容空間S側に突出する回転止め凸部53が突設されている。回転止め凸部53は、スリット43gに嵌って一対の側面43g1間に位置することができる。これにより、可動側絶縁体50内において可動側内導体42の回転止がなされる。
【0069】
また、筒部51は、収容空間S側に突出する前止め凸部54を有している。前止め凸部54が前止め面43frsに対して対向するように配置される。これにより、筒部51内において可動側内導体42が、弾性片44が延出する側に移動しないように規制される。
【0070】
頭部52は、筒部51に対して外部接続用同軸コネクタ30側の端部に位置し、複数の弾性片44の先端部をまとめて覆う。頭部52には、外側から収容空間Sに連通する孔52hが形成されている。孔52hは、収容空間Sよりも細く、かつ、外部接続用内導体32を挿入可能な孔に形成されている。つまり、収容空間Sは、頭部52によって狭められている。孔52hは、複数の弾性片44の先端間に対向し、複数の弾性片44の先端側の周りを塞いでいる。外部接続用内導体32の位置が孔52hによって規制されることで、当該外部接続用内導体32が複数の弾性片44の間に配置され易い。
【0071】
頭部52の内側部分のうち孔52hの周りであって複数の弾性片44の間に位置する部分は、他の部分よりも内側に突出している。頭部52の内側部分のうち複数の弾性片44の先端部を覆う部分は、当該弾性片44の内外方向の弾性変形を許容できるように凹んでいる。頭部52の内側部分のうち孔52hの周りで複数の弾性片44の間に位置する部分52pは、筒状基部43の周方向に沿った方向において複数の弾性片44の間に入り込んでいる。これにより、弾性片44の周りの空間になるべく誘電体を配置することができる。
【0072】
頭部52の上記部分52pが弾性片44の先端部の間に入り込んでいるため、可動側内導体42が自由に回転すると、弾性片44の先端部が当該部分52pに干渉する可能性がある。可動側内導体42を回転止するための構成が後に詳述される。
【0073】
可動側絶縁体50の外周側に可動側外導体56が配置される。可動側外導体56は、金属等の導電材料によって形成されており、可動側絶縁体50の周りを囲んでいる。可動側外導体56は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。
【0074】
可動側外導体56は、外側筒状基部57と、外側弾性片58とを備える。本実施形態では、可動側外導体56は、さらに、外側反対接続部59を備える。
【0075】
外側筒状基部57は、内側に可動側絶縁体50を配置可能な筒状に形成されている。外側筒状基部57に、係止突部57aが突設されていてもよい。係止突部57aは、外側筒状基部57の内周部から部分的に突出している。係止突部57aは、外側筒状基部57の一端から他端に向って徐々に突出寸法が小さくなる形状に形成されている。可動側絶縁体50が外側筒状基部57内に挿入された状態で、係止突部57aが可動側絶縁体50の外周部に引っ掛って、可動側絶縁体50が外側筒状基部57から抜止め状態で保持される。
【0076】
外側筒状基部57は、周方向において部分的に内側に突出する位置決め突部57pを有していてもよい(
図6参照)。当該位置決め突部57pが、可動側絶縁体50の外周に形成された位置決め凹部に嵌ることで、可動側絶縁体50に対する外側筒状基部57の回転止がなされてもよい。当該位置決め突部57pが、当該位置決め凹部に嵌ることで、可動側絶縁体50に対する外側筒状基部57の他端側への移動規制がなされてもよい。外側筒状基部57が可動側絶縁体50に外嵌めされることで、外側筒状基部57が、筒状基部43に対して同軸上に配置される。
【0077】
外側筒状基部57のうち一端側開口縁から複数の外側弾性片58が延出している。複数の外側弾性片58は、可動側絶縁体50の一端部の周りを囲むように並ぶ。
【0078】
より具体的には、外側弾性片58は、傾斜部58aと、膨出部58bと、先端ガイド部58cとを有する。傾斜部58aと膨出部58bと先端ガイド部58cとは、外側筒状基部57の一端側開口から当該外側筒状基部57の中心軸Xの一方側に向けてこの順で連なっている。
【0079】
傾斜部58aは、外側筒状基部57の一端側開口から外側弾性片58の先端に向うに連れて外周側に傾斜している。傾斜部58aは、主として外側筒状基部57に連なる部分を支点として、外側筒状基部57の内外方向に弾性変形することができる。
【0080】
膨出部58bは、傾斜部58aの先端から外向きに凸となる曲面をなしつつ中心軸Xの一方側に向っている。膨出部58bのうち最も外周側に突出する部分が、外側筒状基部57の径方向において外側を向き、外部接続用外導体36に接触する部位である。
【0081】
先端ガイド部58cは、膨出部58bの先端から中心軸Xの一方側に向って内周側に傾斜している。
【0082】
可動側外導体56が外部接続用外導体36内に挿入される際に、先端ガイド部58cが外部接続用外導体36の開口縁に接触することで、外側弾性片58を外部接続用外導体36の内周側に案内する。可動側外導体56が外部接続用外導体36内に挿入された状態で、傾斜部58aが内周側に弾性変形する。傾斜部58aが元の形状に戻ろうとする弾性力によって、膨出部58bが外部接続用外導体36の内周面に弾性的に押付けられる。これにより、複数の外側弾性片58が、外部接続用外導体36に対して内周側から接触し、可動側外導体56と外部接続用外導体36と接続される。外側反対接続部59が、基板側外導体80に挿入接続される。
【0083】
<可動側絶縁体内における可動側内導体の位置規制構成について>
上記したように可動側内導体42にスリット43gが形成され、可動側絶縁体50に回転止め凸部53が形成されている。
【0084】
上記したように、筒状基部43が可動側絶縁体50内に挿入された状態で、係止突部43aが可動側絶縁体50の内周部に引っ掛って、可動側内導体42が可動側絶縁体50から抜止め状態で保持される。この状態で、回転止め凸部53がスリット43gに挿入されて、可動側内導体42の回転規制がなされる。
【0085】
スリット43gの一対の側面43g1の幅は、回転止め凸部53の幅と同じか当該幅よりも大きく設定される。
【0086】
スリット43gの一対の側面43g1の幅が、回転止め凸部53の幅と同じであれば、可動側内導体42を回転止できる。スリット43gの一対の側面43g1の幅は、回転止め凸部53の幅より大きいとしても、回転止め凸部53が一対の側面43g1に接触する範囲内で、可動側内導体42を一定の範囲内で回転止できる。
【0087】
スリット43gの一対の側面43g1の幅が回転止め凸部53の幅よりも大きいとしても、その大きさは、可動側外導体56の内周部と弾性片44との干渉を回避できる程度であることが好ましい。例えば、一対の側面43g1は、複数の弾性片44のいずれかと頭部52の上記部分52pとの接触を回避する範囲で、回転止め凸部53に接触して、可動側内導体42の回転規制できることが好ましい。
【0088】
また、筒状基部43の周方向に沿った方向において、スリット43gの幅Waは、弾性片44間の隙間の幅Wbよりも小さいことが好ましい(
図9参照)。スリット43gの幅Waを、弾性片44間の隙間の幅Wbより小さくすることで、筒状基部43の強度を確保し易い。また、弾性片44がその基端で安定して弾性変形し易い。さらに、筒状基部43を一様な円筒形状に近付けることができるので、同軸コネクタとして要請される特性インピーダンスを良好にし易い。
【0089】
回転止め凸部53のうち複数の弾性片44の延出方向とは逆側の端部は、先端に向うに連れて細幅になる案内端部53gに形成されてもよい(
図4、
図8参照)。回転止め凸部53がスリット43gに挿入される際に、案内端部53gがスリット43gの開口に接してスリット43g内に向けて導かれる。これにより、回転止め凸部53がスリット43gに円滑に挿入される。
【0090】
スリット43gの開口部が外側に向って徐々に広がるように形成されてもよい。金属板のプレス加工によってガイド形状を形成するよりも、樹脂の金型成形によって案内端部53gを形成する方が当該形状を容易に形成できる。
【0091】
また、上記したように可動側内導体42に前止め面43frsが形成されている。前止め面43frsは、中心軸X周りにおいて、スリット43gとは反対側に位置している。また、可動側絶縁体50に前止め凸部54が形成されている。前止め凸部54は、中心軸X周りにおいて、回転止め凸部53とは反対側に位置している。
【0092】
上記したように、筒状基部43が可動側絶縁体50内に挿入された状態で、係止突部43aが可動側絶縁体50の内周部に引っ掛って、可動側内導体42が可動側絶縁体50から抜止め状態で保持される。この状態で、前止め凸部54が前止め面43frsに対向する。好ましくは、前止め凸部54が前止め面43frsに接する。前止め凸部54によって、可動側絶縁体50に対して可動側内導体42が、弾性片44が延出する側に移動することが規制される。
【0093】
筒状基部43の周方向に沿った方向において、前止め凸部54の幅Wcは、弾性片44間の隙間の幅Wdよりも小さいことが好ましい。これにより、弾性片44が内外方向に弾性変形する際および弾性変形した状態で、弾性片44が前止め凸部54に干渉し難くなる。従って、外部接続用内導体32を複数の弾性片44の間に挿入する際に、弾性片44の動きが妨げられ難く、その挿入作業を容易に行える。また、外部接続用内導体32の挿入状態においても、弾性片44が前止め凸部54に引っ掛り難くなり、しっかりと外部接続用内導体32に接触できる。
【0094】
回転止め凸部53と前止め凸部54との関係を説明する。
【0095】
筒状基部43の周方向に沿った方向において、前止め凸部54の幅Wcは、回転止め凸部53の幅Weよりも大きいことがこのましい。これにより、可動側内導体42が先端側に移動することを規制する前止め凸部54の強度を大きくできる。例えば、中継用同軸コネクタ40の組立時およびコネクタの挿抜作業等において、可動側内導体42に対して、回転力および先端側に移動させる力が加わる可能性がある。可動側内導体42を可動側絶縁体50に組込む際およびコネクタを抜く際等に、可動側内導体42に対して先端側に移動させる大きな力が加わる可能性がある。前止め凸部54の幅Wcを大きくすることで、可動側内導体42の先端側への移動をしっかりと規制できる。
【0096】
また、もともと複数の弾性片44の間には隙間が形成されているので、当該隙間に配置される回転止め凸部53の幅を、弾性片44に干渉しない範囲で大きくしても、可動側内導体42の強度に影響を与え難い。また、同軸コネクタの特性インピーダンスにも影響を与え難い。
【0097】
前止め凸部54が前止め面43frsに接した状態で、回転止め凸部53は、スリット43gの奥側面43g2に接していてもよいし、接していなくてもよい。
図5に示す例では、前止め凸部54が前止め面43frsに接した状態で、回転止め凸部53は、スリット43gの奥側面43g2に接している。
【0098】
図11に示す変形例のように、前止め凸部54が前止め面43frsに接した状態で、回転止め凸部53に対応する回転止め凸部153は、スリット43gの奥側面43g2に対して間隔Gaをあけて対向していてもよい。
【0099】
この場合、可動側内導体42を可動側絶縁体50に向けて押込んだ際に、前止め凸部54が前止め面43frsに接すると、回転止め凸部53に押込力が作用し難い。回転止め凸部53が前止め凸部54と比較して細い場合に、比較的太い前止め凸部54で当該押込力を受止めて、細い回転止め凸部53に加わる力を小さくできる。
【0100】
<効果等>
このように構成された中継用同軸コネクタ40によると、可動側内導体42の少なくとも一部が可動側絶縁体50の収容空間S内に収容された状態で、回転止め凸部53が筒状基部43のスリット43gに嵌る。回転止め凸部53がスリット43gの一対の側面43g1の間に位置することで、可動側内導体42が回転規制される。可動側内導体42が回転規制されることで、可動側絶縁体50内における弾性片44の位置が安定し、弾性片44と回転止め凸部との干渉が抑制され、想定外の弾性片44の変形等が抑制される。
【0101】
また、スリット43gの幅Waが、弾性片44間の隙間の幅Wbよりも小さいため、スリット43gおよびスリットに嵌る回転止め凸部53が、複数の弾性片44の弾性変形に影響を与え難い。また、中継用同軸コネクタ40において、導電性部分が無い部分を小さくして同軸形状部分を多くでき、特性インピーダンスに影響がおよび難くなる。
【0102】
また、上記回転止め凸部53とは別の前止め凸部54が前止め面43frsに対向している。当該前止め凸部54が前止め面43frsに接触することで、可動側内導体42が先端側に移動することが規制される。
【0103】
特に、前止め凸部54の幅Wcを、回転止め凸部53の幅Weよりも大きくすることで、太幅の前止め凸部54によって可動側内導体42が先端側に移動することをより確実に規制できる。
【0104】
例えば、変形例に係る回転止め凸部153のように、回転止め凸部153を、スリット43gの奥側面43g2に対して間隔をあけて対向させることができる。この場合、可動側内導体42が先端側に移動しようとする力は、前止め凸部54によって受止められる。このため、回転止め凸部53に加わる力を小さくでき、回転止め凸部53を小さくできる。スリット43gを細くできるので、特性インピーダンス性能に影響を与え難い。
【0105】
また、前止め凸部54の幅を、弾性片44の幅よりも小さくすることで、弾性変形する弾性片44が前止め凸部54に干渉し難くできる。これにより、弾性片44の想定外の弾性片44の変形等が抑制される。
【0106】
また、可動側絶縁体50が複数の弾性片44の先端部を覆う頭部52を含み、頭部52は、複数の弾性片44の間に入り込む部分52pを含む。この場合、当該頭部52をなるべく弾性片44に近付けることができ、弾性片44を保護し易い。また、弾性片44の周りで誘電体の配置場所を増やすことができ、特性インピーダンスを良好にし易い。
【0107】
また、一対の側面43g1が、弾性片44と頭部52の上記部分52pとの接触を回避する範囲で、回転止め凸部53に接触して、可動側内導体42を回転規制する。これにより、弾性片44と頭部52との接触による弾性片44の変形が抑制される。
【0108】
また、回転止め凸部53が案内端部53gを有しているため、回転止め凸部53をスリット43gに嵌め込み易い。
【0109】
上記各構成が同軸コネクタとしての中継用同軸コネクタ40に組込まれているため、端子収容部品のとしての可動側絶縁体50が誘電体として利用される。誘電体の配置空間を増やすために、可動側絶縁体50と可動側内導体42との距離を小さくした場合でも、可動側内導体42の回転が規制されるため、弾性片44と可動側絶縁体50とが接触し難く、弾性片44の変形が抑制される。
【0110】
なお、上記実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0111】
10 機器
12 ケース
13 第1ケース
14 第2ケース
15 底部
16 保持筒部
17 保持仕切部
17h 保持孔
20 電気部品
21 回路基板
22 撮像素子
30 外部接続用同軸コネクタ
32 外部接続用内導体(相手側端子)
34 外部接続用絶縁体
36 外部接続用外導体
40 中継用同軸コネクタ(コネクタ)
42 可動側内導体(端子)
43 筒状基部
43a 係止突部
43frs 前止め面
43g スリット
43g1 一対の側面
43g2 奥側面
44 弾性片
45 弾性片本体
46 弾性接触片
48 反対側接続部
50 可動側絶縁体(端子収容部品)
51 筒部
52 頭部
52h 孔
52p 頭部複数の弾性片の間に入り込んでいる部分
53、153 回転止め凸部
53g 案内端部
54 前止め凸部
56 可動側外導体(外導体)
57 外側筒状基部
57a 係止突部
57p 位置決め突部
58 外側弾性片
58a 傾斜部
58b 膨出部
58c 先端ガイド部
59 外側反対接続部
60 基板側同軸コネクタ
62 基板側内導体
70 基板側絶縁体
80 基板側外導体
S 収容空間
Wa スリットの幅
Wb、Wd 複数の弾性片間の隙間の幅
Wc 前止め凸部の幅
We 回転止め凸部の幅
X 軸方向(中心)軸