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特開2024-148298部品実装機、部品実装システムおよび部品実装方法
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  • 特開-部品実装機、部品実装システムおよび部品実装方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148298
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】部品実装機、部品実装システムおよび部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241010BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061312
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC21
5E353EE24
5E353EE29
5E353EE54
5E353EE55
5E353EE62
5E353JJ60
5E353KK01
5E353KK11
5E353LL03
5E353LL06
5E353QQ03
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品実装機における生産効率を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】部品実装機は、部品保持部と、部品保持部を基板に対して移動させる移動機構と、基板を上方から撮像する第1のカメラと、部品保持部が部品を保持していることを検知する検知部と、供給位置に供給された部品を実装位置に実装する実装処理を実行する制御装置と、を備える。制御装置は、第1のカメラが撮像した基板の画像に基づいて、実装処理後に実装位置に部品が実装されているか否かを検査する実装検査部と、実装処理後の復路において部品保持部が部品を保持していることを検知する場合に、基板の画像に基づいて、所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する異物検査部と、実装処理後に実装位置に部品が実装されていないことが判明し、かつ、実装処理後に所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、実装位置に部品を再実装する再実装部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の実装位置に部品を実装する部品実装機であって、
供給位置に供給された前記部品を保持すると共に、保持した前記部品を前記実装位置で開放する部品保持部と、
前記供給位置から前記実装位置に向かう往路と前記実装位置から前記供給位置に向かう復路とを含む所定の経路に沿って、前記部品保持部を前記基板に対して移動させる移動機構と、
前記基板を上方から撮像する第1のカメラと、
前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する検知部と、
前記部品保持部および前記移動機構を制御して、前記供給位置に供給された前記部品を前記実装位置に実装する実装処理を実行する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記実装処理後に前記第1のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記実装処理後に前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査する実装検査部と、
前記検知部が、前記実装処理後の前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する場合に、前記実装処理後に前記第1のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記実装位置に対応する前記基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する異物検査部と、
前記実装検査部によって前記実装処理後に前記実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記実装処理後に前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、前記部品保持部および前記移動機構によって前記実装位置に部品を再実装する再実装部と、
を備える、
部品実装機。
【請求項2】
さらに、前記部品を廃棄する廃棄ボックスを備え、
前記制御装置は、前記実装検査部によって前記実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明する場合に、前記部品保持部を前記廃棄ボックスに移動させて前記部品保持部が保持する前記部品を廃棄する部品廃棄部をさらに備え、
前記再実装部は、前記部品廃棄部が前記部品を前記廃棄ボックスに廃棄した後に、再び前記部品保持部を前記供給位置に移動させて新たな部品を保持させた後に、当該新たな部品を前記実装位置に実装する、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記部品保持部は、前記部品を吸着するノズルを有し、
前記検知部は、前記ノズルが前記部品を吸着する圧力または前記ノズル内を流れる空気量に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項4】
さらに、前記部品保持部を撮像する第2のカメラを備え、
前記検知部は、前記第2のカメラが撮像する前記部品保持部の画像に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記第2のカメラは、前記部品保持部を側方から撮像可能であり、
前記検知部は、前記第2のカメラが撮像する前記部品保持部の側方からの画像に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する、
請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記第2のカメラは、前記部品保持部が移動する範囲の下方に配置されており、
前記復路は、前記第2のカメラの上方を経由して前記供給位置まで延びており、
前記検知部は、前記第2のカメラが撮像する前記部品保持部の下方からの画像に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する、
請求項4に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを判定するための実装判定画像を予め記憶している記憶部をさらに備え、
前記実装検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装判定画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記基板上の前記所定の範囲に異物が存在するか否かを判定するための異物判定画像を予め記憶している記憶部をさらに備え、
前記異物検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記異物判定画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを判定するための実装判定画像と、前記基板上の前記所定の範囲に異物が存在するか否かを判定するための異物判定画像と、を予め記憶している記憶部をさらに備え、
前記実装検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装判定画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査し、
前記異物検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記異物判定画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項10】
前記記憶部は、一つの判定用画像を予め記憶しており、
前記実装判定画像は、前記判定用画像のうちの第1範囲に含まれる画像であり、
前記異物判定画像は、前記判定用画像のうちの前記第1範囲とは重複しない第2範囲に含まれる画像である、
請求項9に記載の部品実装機。
【請求項11】
前記実装判定画像は、第1条件で撮像された前記基板の画像であり、
前記異物判定画像は、前記第1条件とは異なる第2条件で撮像された前記基板の画像であり、
前記実装検査部は、前記第1のカメラが前記第1条件で撮像した前記基板の画像と前記実装判定画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査し、
前記異物検査部は、前記第1のカメラが前記第2条件で撮像した前記基板の画像と前記異物判定画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する、
請求項9に記載の部品実装機。
【請求項12】
前記第1のカメラは、前記実装処理前の前記基板の画像である実装処理前画像をさらに撮像し、
前記実装検査部は、前記実装処理後に前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装処理前画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査し、
前記異物検査部は、前記実装処理後に前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装処理前画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項13】
部品実装システムであって、
基板上の第1の実装位置に部品を実装する第1の部品実装機と、
前記第1の部品実装機を制御する管理装置と、
を備え、
前記第1の部品実装機は、
第1の供給位置に供給された前記部品を保持すると共に、保持した前記部品を前記第1の実装位置で開放する第1の部品保持部と、
前記第1の供給位置から前記第1の実装位置に向かう第1の往路と前記第1の実装位置から前記第1の供給位置に向かう第1の復路とを含む所定の経路に沿って、前記第1の部品保持部を前記基板に対して移動させる第1の移動機構と、
前記基板を上方から撮像する第1のカメラと、
前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知する第1の検知部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記第1のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記第1の供給位置に供給された前記部品を前記第1の実装位置に実装する実装処理後に前記第1の実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査する実装検査部と、
前記第1の検知部が、前記実装処理後の前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知する場合に、前記第1のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記第1の実装位置に対応する前記基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する異物検査部と、
前記実装検査部によって前記実装処理後に前記第1の実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、前記第1の部品実装機により前記部品を基板上の前記第1の実装位置に実装させる再実装部と、
を備える、
部品実装システム。
【請求項14】
さらに、前記第1の部品実装機から搬出された前記基板上の第2の実装位置に第2の部品を実装する第2の部品実装機を備え、
前記管理装置は、さらに、前記第2の部品実装機を制御し、
前記第2の部品実装機は、
前記第1の部品実装機から搬出された前記基板を上方から撮像する第2のカメラを備え、
前記異物検査部は、前記第1の検知部が前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知する場合に、前記第2のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記第2の部品実装機に搬送された前記基板における前記第1の実装位置に対応する前記基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査し、
前記再実装部は、前記実装検査部によって前記実装処理後に前記第1の実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、前記第2の部品実装機により前記部品を基板上の前記第1の実装位置に実装させる、
請求項13に記載の部品実装システム。
【請求項15】
前記第1の検知部が、前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知し、かつ、当該部品が前記第2の部品実装機に供給されていない場合に、前記部品が、前記第1の部品実装機から前記第2の部品実装機に供給される、
請求項14に記載の部品実装システム。
【請求項16】
さらに、前記基板の搬送方向に沿って移動し、前記第2の部品実装機に対して部品を供給するローダを備え、
前記ローダは、前記第1の検知部が、前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知し、かつ、当該部品が前記第2の部品実装機に供給されていない場合に、前記部品を前記第2の部品実装機に供給する、
請求項14または15に記載の部品実装システム。
【請求項17】
部品実装機によって基板上の実装位置に部品を実装する部品実装方法であって、
前記部品実装機は、
供給位置に供給された前記部品を保持する部品保持部と、
供給位置に供給された前記部品を保持すると共に、保持した前記部品を前記実装位置で開放する部品保持部と、
前記供給位置から前記実装位置に向かう往路と前記実装位置から前記供給位置に向かう復路とを含む所定の経路に沿って、前記部品保持部を前記基板に対して移動させる移動機構と、
前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する検知部と、
を備え、
前記部品実装方法は、
前記供給位置に供給された前記部品を前記実装位置に実装する実装処理後に前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査する実装検査工程と、
前記検知部が、前記実装処理後の前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する場合に、前記実装位置に対応する前記基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する異物検査工程と、
前記実装検査工程において前記実装処理後に前記実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査工程において前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、前記部品保持部および前記移動機構によって前記実装位置に部品を再実装する再実装工程と、
を備える、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機によって部品を実装する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される電子部品装着装置は、吸着ノズルが吸着した電子部品を基板の装着位置に装着することなく持ち帰ったことを検出する持ち帰り検出装置を備えている。電子部品装着装置は、吸着ノズルの先端部を撮像した画像データに基づいて、吸着ノズルが吸着した電子部品をプリント基板の装着位置に装着することなく持ち帰ったことを検出する。電子部品装着装置は、吸着ノズルが電子部品を持ち帰ったことを検出する場合に、電子部品が装着されるはずであった装着位置を撮像し、撮像された装着位置に塗布されたハンダ上に持ち帰られた電子部品が押し付けられた形跡の有無を判定する。さらに、電子部品装着装置は、判定結果に基づいて、電子部品の装着の中断処理、または装着の補正処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-44094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の持ち帰りが発生すると、例えば、持ち帰られた電子部品を廃棄ボックスに廃棄する廃棄処理が行われる。しかしながら、電子部品の持ち帰りが検知されてから廃棄処理を行うまでの間に電子部品が基板上に脱落するおそれがある。従来の電子部品装着装置では、持ち帰られた電子部品が廃棄ボックスに廃棄されたのか、基板上に脱落したのかを確認していない。電子部品が基板上に脱落した状態では、電子部品の装着処理を適切に継続することが困難である。一方、電子部品の持ち帰りが発生しても、基板上に問題が発生していなければ、電子部品の装着処理を継続することができる。本明細書では、実装処理後の復路において部品保持部が部品を保持している場合であっても、実装処理を継続し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する技術は、基板上の実装位置に部品を実装する部品実装機によって具現化される。部品実装機は、供給位置に供給された前記部品を保持すると共に、保持した前記部品を前記実装位置で開放する部品保持部と、前記供給位置から前記実装位置に向かう往路と前記実装位置から前記供給位置に向かう復路とを含む所定の経路に沿って、前記部品保持部を前記基板に対して移動させる移動機構と、前記基板を上方から撮像する第1のカメラと、前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する検知部と、前記部品保持部および前記移動機構を制御して、前記供給位置に供給された前記部品を前記実装位置に実装する実装処理を実行する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記実装処理後に前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査する実装検査部と、前記検知部が、前記実装処理後の前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知する場合に、前記第1のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記実装位置に対応する前記基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査する異物検査部と、前記実装検査部によって前記実装処理後に前記実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記実装処理後に前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、前記部品保持部および前記移動機構によって前記実装位置に部品を再実装する再実装部と、を備える。
【0006】
上記の部品実装機は、実装処理後の復路において部品保持部が部品を保持している場合に、実装位置に部品が実装されているか否かと、実装位置に対応する基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かと、を検査する。これにより、部品実装機は、実装処理後の復路において部品保持部が部品を保持している場合に、基板上に問題があるか否かを検査する。そして、部品実装機は、基板上に問題ない場合に、実装位置に部品を再実装する。部品実装機は、実装処理後の復路において部品保持部が部品を保持している場合であっても、基板上に問題がなければ実装処理を継続する。このため、生産効率を向上させることができる。
【0007】
また、上記の部品実装機による部品実装方法、さらに、上記の部品実装機および管理装置を備える部品実装システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の部品実装機の斜視図。
図2図1の線II-IIに沿った断面図。
図3図2の線IIIに囲まれた範囲の拡大図。
図4図2の線IV-IVに沿った断面図。
図5】部品実装機の制御装置の構成図。
図6】部品実装機の制御装置が実行する部品実装処理のフローチャート。
図7】実施例の部品実装システムの斜視図。
図8】実施例の部品実装システムの管理装置の構成図。
図9】管理装置が実行する部品実装処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する部品実装機は、さらに、前記部品を廃棄する廃棄ボックスを備えてもよい。その場合、前記制御装置は、前記実装検査部によって前記実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明する場合に、前記部品保持部を前記廃棄ボックスに移動させて前記部品保持部が保持する前記部品を廃棄する部品廃棄部をさらに備えてもよい。その場合、前記再実装部は、前記部品廃棄部が前記部品を前記廃棄ボックスに廃棄した後に、再び前記部品保持部を前記供給位置に移動させて新たな部品を保持させた後に、当該新たな部品を前記実装位置に実装してもよい。
【0011】
例えば、部品保持部によって部品が適切に保持されていない場合、部品保持部は、実装位置において部品を開放できないことがある。この場合、当該部品を実装位置に再実装しても、当該部品が適切に開放されないおそれがある。上記の部品実装機は、実装処理後の復路において部品保持部に保持される部品を廃棄ボックスに廃棄した後、新たな部品を実装する。これにより、当該新たな部品が実装位置に再実装される確率を上げることができる。
【0012】
本明細書に開示する部品実装機では、前記部品保持部は、前記部品を吸着するノズルを有してもよい。その場合、前記検知部は、前記ノズルが前記部品を吸着する圧力または前記ノズル内を流れる空気量に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知してもよい。
【0013】
ノズルが部品を吸着している場合、ノズルが部品を吸着していない場合に比べてノズルが部品を吸着する圧力が大きくなる。また、ノズルが部品を吸着している場合、ノズルが部品を吸着していない場合に比べてノズル内を流れる空気量が減少する。このような構成によると、ノズルが部品を吸着する圧力またはノズル内を流れる空気量に基づいて、復路において部品保持部が部品を保持していることを精度よく検知することができる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装機は、さらに、前記部品保持部を撮像する第2のカメラを備えてもよい。その場合、前記検知部は、前記第2のカメラが撮像する前記部品保持部の画像に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知してもよい。
【0015】
このような構成によると、第2のカメラが撮像する部品保持部の画像に基づいて、復路において部品保持部が部品を保持していることを正確に検知することができる。
【0016】
本明細書に開示する部品実装機は、前記第2のカメラは、前記部品保持部を側方から撮像可能であってもよい。その場合、前記検知部は、前記第2のカメラが撮像する前記部品保持部の側方からの画像に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知してもよい。
【0017】
このような構成によると、第2のカメラが撮像する部品保持部の側方の詳細画像に基づいて、復路において部品保持部が部品を保持していることを検知することができる。
【0018】
本明細書に開示する部品実装機では、前記第2のカメラは、前記部品保持部が移動する範囲の下方に配置されており、前記復路は、前記第2のカメラの上方を経由して前記供給位置まで延びてもよい。その場合、前記検知部は、前記第2のカメラが撮像する前記部品保持部の下方からの画像に基づいて、前記復路において前記部品保持部が前記部品を保持していることを検知してもよい。
【0019】
このような構成によると、復路の下方に配置される第2のカメラが撮像する部品保持部の下方から画像に基づいて、復路において部品保持部が部品を保持していることを検知することができる。
【0020】
本明細書に開示する部品実装機は、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを判定するための実装判定画像を予め記憶する記憶部をさらに備えてもよい。その場合、前記実装検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装判定画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査してもよい。
【0021】
このような構成によると、例えば、実装処理前後に撮像された基板の画像の2つの画像を比較する構成に比べて、実装位置に部品が実装されているか否かを検査するための画像の撮像回数を低減することができる。このため、部品の実装に要する時間を短くすることができる。
【0022】
本明細書に開示する部品実装機は、前記基板上の前記所定の範囲に異物が存在するか否かを判定するための異物判定画像を予め記憶する記憶部をさらに備えてもよい。その場合、前記実装検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記異物判定画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査してもよい。
【0023】
このような構成によると、例えば、実装処理前後に撮像された基板の画像の2つの画像を比較する構成に比べて、所定の範囲内に異物が存在するか否か検査するための画像の撮像回数を低減することができる。このため、部品の実装に要する時間を短くすることができる。
【0024】
本明細書が開示する部品実装機は、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを判定するための実装判定画像と、前記基板上の前記所定の範囲に異物が存在するか否かを判定するための異物判定画像と、を予め記憶している記憶部をさらに備えてもよい。その場合、前記実装検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装判定画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査してもよい。さらに、前記異物検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記異物判定画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査してもよい。
【0025】
このような構成によると、例えば、2つの異なる検査毎に、実装処理前後に撮像された基板の画像の2つの画像を比較する構成に比べて、画像の撮像回数を低減することができる。このため、部品の実装に要する時間を短くすることができる。
【0026】
本明細書が開示する部品実装機では、前記記憶部は、一つの判定用画像を予め記憶していてもよい。その場合、前記実装判定画像は、前記判定用画像のうちの第1範囲に含まれる画像であってもよく、前記異物判定画像は、前記判定用画像のうちの前記第1範囲とは重複しない第2範囲に含まれる画像であってもよい。
【0027】
このような構成によると、一つの判定用画像に基づいて、実装位置に部品が実装されているか否か、および、所定の範囲内に異物が存在するか否か検査することができる。これにより、記憶部の使用量を低減することができる。
【0028】
本明細書が開示する部品実装機では、前記実装判定画像は、第1条件で撮像された前記基板の画像であってもよく、前記異物判定画像は、前記第1条件とは異なる第2条件で撮像された前記基板の画像であってもよい。その場合、前記実装検査部は、前記第1のカメラが前記第1条件で撮像した前記基板の画像と前記実装判定画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査してもよい。さらに、前記異物検査部は、前記第1のカメラが前記第2条件で撮像した前記基板の画像と前記異物判定画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査してもよい。
【0029】
実装位置に部品が実装されているか否かの検査は、基板の画像において、部品の外観を有する画像が実装位置に存在するか否かに基づいて実行される。これに対し、所定の範囲内に異物が存在するか否かの検査は、基板の画像において、基板上に基板と異なる外観を有する異物が存在するか否かに基づいて実行される。このように、2つの検査では、検査対象が互いに異なる。このような構成によると、各検査の検査対象に応じた条件で撮像された画像に基づいて実行するため、各検査の精度を向上させることができる。
【0030】
本明細書に開示する部品実装機では、前記第1のカメラは、前記実装処理前の前記基板の画像である実装処理前画像をさらに撮像してもよい。その場合、前記実装検査部は、前記実装処理後に前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装処理前画像とを比較することによって、前記実装位置に前記部品が実装されているか否かを検査してもよい。さらに、前記異物検査部は、前記第1のカメラが撮像した前記基板の前記画像と前記実装処理前画像とを比較することによって、前記所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査してもよい。
【0031】
このような構成によると、現時点で実装処理が実行されている基板の実装前後の画像に基づいて、実装位置に部品が実装されているか否か、および、所定の範囲内に異物が存在するか否か、を検査することができる。このため、例えば、実装処理後の基板の画像と一枚のマスターデータとを比較する構成に比べて、正確に検査することができる。
【0032】
本明細書に開示する部品実装システムは、さらに、前記第1の部品実装機から搬出された前記基板上の第2の実装位置に第2の部品を実装する第2の部品実装機を備えてもよい。その場合、前記管理装置は、さらに、前記第2の部品実装機を制御してもよい。さらに、前記第2の部品実装機は、前記第1の部品実装機から搬出された前記基板を上方から撮像する第2のカメラを備えてもよい。その場合、前記異物検査部は前記第1の検知部が、前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知する場合に、前記第2のカメラが撮像した前記基板の画像に基づいて、前記第2の部品実装機に搬送された前記基板における前記第1の実装位置に対応する前記基板上の所定の範囲内に異物が存在するか否かを検査してもよい。前記再実装部は、前記実装検査部によって前記実装処理後に前記第1の実装位置に前記部品が実装されていないことが判明し、かつ、前記異物検査部によって前記基板上の前記所定の範囲内に異物が存在しないことが判明した場合に、前記第2の部品実装機により前記部品を基板上の前記第1の実装位置に実装させてもよい。
【0033】
このような構成によると、第1の部品実装機において再実装できない事象が発生した場合であっても、第1の部品実装機から搬出された基板の第1の実装位置に対して、第2の部品実装機によって、再実装することができる。これにより、部品実装システムは、生産効率を向上させることができる。
【0034】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記第1の検知部が、前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知し、かつ、当該部品が前記第2の部品実装機に供給されていない場合に、前記部品が、前記第1の部品実装機から前記第2の部品実装機に供給されてもよい。
【0035】
このような構成によると、他の保管場所から第2の部品実装機に部品を供給する構成に比べて、第2の部品実装機に部品を迅速に供給することができる。
【0036】
本明細書に開示する部品実装システムは、さらに、さらに、前記基板の搬送方向に沿って移動し、前記第2の部品実装機に対して部品を供給するローダを備えてもよい。その場合、前記ローダは、前記第1の検知部が、前記第1の復路において前記第1の部品保持部が前記部品を保持していることを検知し、かつ、当該部品が前記第2の部品実装機に供給されていない場合に、前記部品を前記第2の部品実装機に供給してもよい。
【0037】
このような構成によると、第2の部品実装機に部品が供給されていない場合に、ローダによって自動的に第2の部品実装機に部品を供給することができる。実装処理が中断されないため、生産効率を向上させることができる。
【0038】
(第1実施例)
図面を参照して、第1実施例の部品実装機10Aについて説明する。図1に示される部品実装機10Aは、基板(例えば回路基板)に部品(例えば電子部品)を実装する装置であり、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。以下では、図中座標における+Z方向を単に「上」と記載することがあり、その反対方向を「下」と記載することがある。さらに、図中座標における-X方向を単に「前」と記載することがあり、その反対方向を単に「後」と記載することがある。さらに、部品実装機10Aの前面で部品実装機10Aに向かって立つ作業者から見た右方向(すなわち、-Y方向)を単に「右」と記載し、その反対方向を「左」と記載することがある。
【0039】
部品実装機10Aは、筐体11Aと、インターフェース装置12Aと、フィーダユニット20Aと、フィーダ保持部14Aと、制御装置40Aと、を備える。インターフェース装置12Aは、筐体11Aの前面に設けられる。インターフェース装置12Aは、作業者に部品実装機10Aの各種の情報を提供する装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける装置である。本実施例では、インターフェース装置12Aは、タッチパネルである。ただし、インターフェース装置12Aは、例えば、ディスプレイ等とキーボードやマウス等により構成されてもよい。制御装置40Aは、部品実装機10Aを制御するコンピュータである。
【0040】
フィーダユニット20Aは、複数台のフィーダ22a~22dを有する。複数台のフィーダ22a~22dのそれぞれは、いわゆるテープフィーダであり、リールに収容される部品を部品実装機10Aに供給する。複数台のフィーダ22a~22dは、それぞれ、フィーダ保持部14Aのスロット(図示省略)に着脱可能に取り付けられる。
【0041】
図2図4を参照して、部品実装機10Aの筐体11Aの内部の構造について説明する。部品実装機10Aは、フィーダユニット20Aおよびフィーダ保持部14Aに加えて、部品実装部15Aと、廃棄ボックス13Aと、基板撮像装置50Aと、下面撮像装置19(図4参照)を筐体11A内にさらに備える。部品実装部15Aは、装着ヘッド30Aと、ヘッド昇降装置16Aと、ヘッド移動装置18Aと、基板コンベア17Aを備える。
【0042】
図2に示されるように、例えば、フィーダ22aは、リール24aを備える。リール24aは、長尺のテープ26aを備える。テープ26aは、複数個の部品4aを収容する。リール24aからテープ26aが後方に送り出されると、部品4aがフィーダ22aの後端の供給位置SP1に供給される。
【0043】
供給位置SP1に供給された部品4aは、部品実装部15Aの装着ヘッド30Aに保持されるノズル32(図3参照)によって吸着される。部品実装部15Aは、部品4aを吸着したノズル32を有する装着ヘッド30Aをヘッド昇降装置16Aとヘッド移動装置18Aによって基板5上の実装位置IP1に移動させ、実装位置IP1で部品4aを開放する。これにより、部品4aが実装位置IP1に実装される。
【0044】
基板撮像装置50Aは、基板5の上面の画像を撮像するカメラを有している。下面撮像装置19は、装着ヘッド30Aの下方に配置されており、ノズル32に吸着された部品を下方から撮像するカメラを有する。
【0045】
図3を参照して、装着ヘッド30Aの詳細構造について説明する。装着ヘッド30Aは、4本のノズル32、34、36および38と、4つのノズル撮像装置31、33、35および37と、を備える。装着ヘッド30Aは、ノズル32~38およびノズル撮像装置31~35を、回転軸A1を中心に回転させる。これにより、各ノズル32、34、36および38を前方に配置することができる。前方に配置されたノズル(例えば、ノズル32)は、供給位置に供給された部品(例えば、部品4a)を吸着する。装着ヘッド30Aは、ノズル32~38およびノズル撮像装置31~35を半時計周りに回転させながら、各ノズル32、34、36および38によって、各部品4a~4dを吸着する。
【0046】
なお、本実施例では、装着ヘッド30Aは、4本のノズル32、34、36および38と、4つのノズル撮像装置31、33、35および37と、を備えるが、装着ヘッド30Aが備えるノズルおよびノズル装着装置の数については、これに限定されない。変形例では、装着ヘッド30Aは、例えば、一本のノズルと一つのノズル撮像装置を備えてもよい。また、4本のノズル32、34、36および38は、それぞれ、互いに同様の構成を有し、4つのノズル撮像装置31、33、35および37は、それぞれ、互いに同様の構成を有する。このため、以下では、ノズル32とノズル撮像装置31とについて主に説明する。
【0047】
ノズル32は、円筒形状を有しており、下端に開口を有している。ノズル32は、内部の空間を負圧にすることによって、部品4aを吸着する。ノズル32の上端には、圧力センサ39が設けられている。圧力センサ39は、各ノズル内のノズル圧力値を検出して、制御装置40Aに送信する。制御装置40Aは、例えば、圧力センサ39から受信したノズル圧力値が、制御装置40Aのメモリ42A(図5参照)に予め記憶される異常圧力値AP1(図5参照)よりも小さい場合に、当該圧力センサ39が設けられたノズルの吸着姿勢に異常が発生していることを検知する。本実施例の部品実装機10Aでは、吸着姿勢に異常が発生していると判定された部品は、廃棄ボックス13Aに廃棄される。
【0048】
ノズル撮像装置31は、ノズル32に隣接して配置されている。図3の矢印に示されるように、例えば、ノズル撮像装置31は、ノズル32を側方から撮像するカメラを有する。ノズル撮像装置31は、当該カメラによって撮像した画像を、制御装置40Aに送信する。他のノズル撮像装置33、35および37も、隣接するノズルを側方からカメラによって撮像し、撮像した画像を制御装置40Aに送信する。制御装置40Aは、各ノズル撮像装置31、33、35および37から受信した画像に基づいて、各ノズル撮像装置31、33、35および37に対応するノズルが部品を吸着しているか否かを検査する。ここで、ノズル32が部品4aを吸着している場合、ノズル撮像装置31の周辺からカメラに入射される光が部品4aによって遮られる。このため、ノズル32が部品4aを吸着している場合、ノズル32が部品4aを吸着していない場合と比べると、ノズル撮像装置31のカメラが撮像するノズル32の画像の明度が小さくなる。このため、制御装置40Aは、受信した画像の明度が、制御装置40Aのメモリ42A(図5参照)に予め記憶される閾値明度Bth(図5参照)を超える場合に、当該ノズルが部品を吸着していないと判定し、受信した画像の明度が閾値明度Bthを下回る場合に、当該ノズルが部品を吸着していると判定する。このように、本実施例では、ノズル撮像装置31が撮像するノズル32の側方の詳細画像に基づいて、ノズル32が部品4aを保持していることを検知することができる。
【0049】
図4を参照して、基板5に部品4aを実装する際に、装着ヘッド30Aが移動する経路R10について説明する。経路R10は、制御装置40Aのメモリ42A(図5参照)に予め記憶される生産プログラムP1A(図5参照)に含まれている。生産プログラムP1Aには、部品4a~4dのそれぞれの実装順序と、部品4a~4dのそれぞれの供給位置SPおよび実装位置IPと、がさらに含まれる。制御装置40Aは、生産プログラムに従って、部品実装部15Aを制御して、実装処理を実行する。
【0050】
実行処理では、制御装置40Aは、生産プログラムP1Aに従って装着ヘッド30Aを移動させる。装着ヘッド30Aは、まず、供給位置SP1に移動して、部品4aをノズル32によって吸着する。次いで、装着ヘッド30Aのノズル34、36、38のそれぞれは、経路R11に沿って右方に移動しながら、供給位置SP2~SP4のそれぞれにおいて、供給された部品4b~4dを吸着する。
【0051】
部品4a~4dを吸着すると、装着ヘッド30Aは、経路R12に沿って後方に移動する。この際、装着ヘッド30Aは、下面撮像装置19の上方で一旦停止し、下面撮像装置19は、装着ヘッド30Aの下面の画像を撮像する。このように、下面撮像装置19は、装着ヘッド30A(すなわち、ノズル32)が移動する範囲の下方に配置されている。下面撮像装置19は、撮像した画像を制御装置40Aに送信する。制御装置40Aは、受信した画像に基づいて、部品4a~4dの吸着姿勢を検査する。本実施例の部品実装機10Aでは、吸着姿勢に異常が発生していると判定された部品は、廃棄ボックス13Aに廃棄される。
【0052】
装着ヘッド30Aが経路R12に沿って移動し、実装位置IP1まで到達すると、ノズル32は、ヘッド昇降装置16Aによって下降した後、部品4aの吸着を開放する。これにより、部品4aがノズルの先端から離間して、実装位置IP1に実装される。その後、装着ヘッド30Aのノズル34、36、38のそれぞれは、経路R13に沿って左方に移動しながら、実装位置IP2~IP4において、吸着された部品4b~4dを開放する。このように、制御装置40Aは、部品4a~4dを、部品実装部15Aによって、実装位置IP1~IP4に実装する実装処理を実行する。
【0053】
実装処理が完了し、基板5に部品4a~4dが適切に実装された場合、制御装置40Aは、基板コンベア17Aによって基板5を搬送方向D1に搬出する。基板5を搬送方向D1に搬出した後、基板コンベア17Aは、新たな基板5を部品実装機10Aの筐体11A内に搬入する。制御装置40Aは、装着ヘッド30Aを供給位置SP1まで移動させて、上述した実装処理を再び開始する。
【0054】
図5を参照して、部品実装機10Aが備える制御装置40Aのハードウェアの構成について説明する。制御装置40Aは、メモリ42AとCPU44Aとを含むコンピュータにより構成されている。制御装置40Aは、インターフェース装置12Aと下面撮像装置19と部品実装部15Aと基板撮像装置50Aとノズル撮像装置31、33、35および37に対して通信可能に接続される。本実施例では、メモリ42Aは、生産プログラムP1Aと、異常圧力値AP1と、閾値明度Bthと、に加えて、一つの判定用画像I1Aをさらに予め記憶している。判定用画像I1Aは、実装処理が適切に行われた後の基板5の上面の全範囲の状態を示すマスターデータである。判定用画像I1Aは、例えば、実装テストを繰り返し、当該実装テストの画像と良否判断とを関連付けて作成される画像データである。
【0055】
制御装置40AのCPU44Aは、メモリ42Aに記憶されるプログラムに従って、様々な処理を実行する。例えば、CPU44Aは、実装位置IP1に部品4aが実装されているか否かを検査する実装検査部45Aと、基板5上の復路周辺範囲A10内に異物が存在しているか否かを検査する異物検査部47Aと、として機能する。図4に示されるように、復路周辺範囲A10は、実装位置IP4から供給位置SP1に向かう経路R14の周辺の領域である。復路周辺範囲A10は、経路R14を移動する装着ヘッド30Aのノズルから部品が脱落した際に、当該部品が位置すると推測される範囲であり、生産プログラムP1Aに予め設定されている。復路周辺範囲A10は、部品のサイズ、装着ヘッド30Aのノズルの高さ、装着ヘッド30Aが経路R14を移動する速度等に応じて設定される。なお、復路周辺範囲A10は、実際の部品の脱落状況に応じて、作業者によって変更されてもよい。また、制御装置40Aは、ノズルが部品を吸着していないことを判定することに応じて、生産プログラムP1Aに含まれる実装順序等に基づいて、復路周辺範囲A10を設定してもよい。CPU44Aは、さらに、装着ヘッド30Aを廃棄ボックス13Aに移動させて部品を廃棄する部品廃棄部48Aと、部品を再実装する再実装部49Aと、しても機能する。CPU44Aが実行する各処理の詳細については、図6を参照して後述する。
【0056】
図6を参照して、制御装置40AのCPU44Aが実行する部品実装処理について説明する。図6の処理は、部品実装機10Aが部品4a~4dを基板5に実装している間、継続して実行される。
【0057】
まず、CPU44Aは、上述の実装処理を実行する(S10)。
【0058】
次いで、CPU44Aは、装着ヘッド30Aを供給位置SP1まで経路R14に沿って移動させる(S12)。
【0059】
CPU44Aは、装着ヘッド30Aが経路R14に沿って移動しているタイミングで、ノズル撮像装置から、実装処理後にノズルを側方から撮像したノズル画像を受信する(S14)
【0060】
CPU44Aは、受信したノズル画像に基づいて、ノズルが実装処理後に部品を保持しているか否かを検査する(S20)。先に述べたように、CPU44Aは、ノズル画像の明度と閾値明度Bthとを比較することによって、ノズルが部品を保持しているか否かを検査する。これにより、CPU44Aは、ノズル画像に基づいて、実装処理後に供給位置SP1まで経路R14おいて装着ヘッド30Aのノズルが部品を保持しているか否かを正確に検査することができる。CPU44Aは、複数のノズル32、34、36および38のそれぞれについて、対応するノズル画像に基づいて、実装処理後に部品を保持しているか否かを検査する。
【0061】
実装処理後に全てのノズルが部品を保持していない場合(S20でNO)、CPU44Aは、S10の実装処理において、部品4a~4dのそれぞれが、対応する基板5の実装位置IP1~IP4に適切に実装されたと判定する。この場合、CPU44Aは、基板コンベア17Aによって基板5を搬送方向D1に搬出し、部品実装機10Aの筐体11A内に搬送された新たな基板5に対して再び実装処理を開始する(S10)。
【0062】
いずれかのノズルが部品を保持している場合(S20でYES)、CPU44Aは、実装処理後に当該ノズルが部品を持ち帰っていると判定する。この場合、CPU44Aは、基板撮像装置50Aから、基板5を上方から撮像した基板画像を受信する。(S22)。以下では、実装処理後に部品を持ち帰ったノズルを「対象ノズル」と記載し、対象ノズルによって実装処理後に保持されている部品を「対象部品」と記載する。さらに、対象部品が実装されるべき実装位置を「対象実装位置」と記載する。
【0063】
CPU44Aは、受信した基板画像と、実装判定画像と、を比較する(S30)。本実施例では、実装判定画像は、判定用画像I1Aのうち、対象実装位置を含む実装範囲に含まれる画像である。実装範囲は、対象部品が実装されるべき範囲を示す。例えば、対象部品が部品4dである場合、図4に示されるように、実装範囲は、実装位置IP4によって示される四角に囲まれた範囲を示す。対象部品が部品4dである場合、実装範囲は、復路周辺範囲A10によって囲まれる。このように、実装範囲は、復路周辺範囲A10とは異なる範囲であり、復路周辺範囲A10とは重複しない。CPU44Aは、生産プログラムP1Aに含まれる実装位置データと対象部品のサイズとに基づいて、対象部品が実装されるべきである実装範囲を決定し、受信した基板画像における実装範囲の画像と、判定用画像I1Aにおける実装範囲の画像と、を比較する。両範囲の画像が所定の割合を超えて類似しない場合(S30でNO)、CPU44Aは、対象部品が対象実装位置に実装されていないと判定して、S40に進む。一方、両範囲の画像が所定の割合を超えて類似する場合(S30でYES)、S20で対象ノズルが対象部品を保持していることが検知されているにもかかわらず、対象部品が対象実装位置に適切に実装されていることとなる。この場合、CPU44Aは、部品実装機10A自体に異常が発生していると判定して、S50に進む。
【0064】
CPU44Aは、受信した基板画像における実装範囲の画像と、予めメモリ42Aに記憶されている判定用画像I1Aにおける実装範囲に含まれる実装判定画像と、を比較することによって、部品が実装位置に実装されているか否かを検査する。このため、基板撮像装置50Aは、実装処理前の基板画像を撮像する必要がない。その結果、実装処理前後に撮像された2つの実装位置の画像を比較する構成に比べて、画像の撮像回数を低減することができため、部品の実装に要する時間を短くすることができる。
【0065】
CPU44Aは、部品4a~4dの基板5への実装を停止する(S50)。これにより、部品実装機10Aに異常が発生していると想定される状況で、部品4a~4dの実装が継続されることを防止することができる。
【0066】
さらに、CPU44Aは、異常発生を作業者に報知する(S52)。具体的には、CPU44Aは、異常が発生していることを示すメッセージを、インターフェース装置12Aに表示する。これにより、作業者は、部品実装機10Aに異常が発生していることを認識することができる。S52の処理が終了すると、CPU44Aは、図6の処理を終了する。
【0067】
基板画像と実装判定画像とが所定の割合を超えて類似しない場合(S30でNO)、CPU44Aは、S22で受信した基板画像と異物判定画像とを比較する(S40)。本実施例では、異物判定画像は、判定用画像I1Aのうち、上述した復路周辺範囲A10に含まれる画像である。CPU44Aは、受信した基板画像における復路周辺範囲A10の画像と、判定用画像I1Aにおける復路周辺範囲A10の画像と、を比較する。両範囲の画像が所定の割合を超えて類似しない場合(S40でNO)、CPU44Aは、基板5上の復路周辺範囲A10内に異物が存在すると判定して、S50に進む。
【0068】
CPU44Aは、受信した基板画像と、予めメモリ42Aに記憶されている判定用画像I1Aの復路周辺範囲A10に含まれる実装判定画像と、を比較することによって、基板5上の復路周辺範囲A10内に異物が存在するか否かを検査する。このため、基板撮像装置50Aは、実装処理前の基板画像を撮像する必要がない。その結果、実装処理前後に撮像された2つの実装位置の画像を比較する構成に比べて、画像の撮像回数を低減することができため、部品の実装に要する時間を短くすることができる。
【0069】
本実施例では、CPU44Aは、一つの判定用画像I1Aのうち、実装範囲に含まれる対象実装位置の画像に基づいて、対象実装位置に部品が実装されているか否かを検査する。さらに、CPU44Aは、一つの判定用画像I1Aのうち、実装範囲とは重複しない復路周辺範囲A10の画像に基づいて、復路周辺範囲A10に異物が存在するか否か検査することができる。これにより、2つの異なる検査毎に実装処理前後に撮像された基板5の画像を比較する構成に比べて、画像の撮像回数を低減することができるとともに、メモリ42Aの使用量を低減することができる。
【0070】
両画像が所定の割合を超えて類似する場合(S40でYES)、CPU44Aは、基板5上の復路周辺範囲A10内に異物が存在しないと判定して、S42に進む。
【0071】
CPU44Aは、部品廃棄処理を実行する(S42)。部品廃棄処理では、CPU44Aは、装着ヘッド30Aが経路R14に沿って供給位置SP1に到達する前に、装着ヘッド30Aを経路R15(図4参照)に沿って廃棄ボックス13Aに向かって移動させて、対象ノズルから対象部品を開放する。これにより、対象部品が廃棄ボックス13Aに廃棄される。
【0072】
部品廃棄処理の後、CPU44Aは、再実装処理を実行する(S44)。再実装処理では、CPU44Aは、例えば、経路R16(図4参照)に沿って、装着ヘッド30Aを廃棄ボックス13Aから対象部品に対応する供給位置に移動させ、対象ノズルによって対象部品を再び吸着させる。その後、装着ヘッド30Aを対象実装位置に移動させ、対象部品を対象実装位置に実装する。例えば、対象部品の吸着姿勢に異常が発生している場合、当該対象部品は、実装位置において適切に開放されないことがある。本実施例の部品実装機10AのCPU44Aは、実装処理後に対象ノズルが対象部品を保持している場合に、当該対象部品を廃棄した後、対象ノズルによって新たな対象部品を吸着し、再実装処理を実行する。これにより、対象部品が対象実装位置に再実装される確率を上げることができる。
【0073】
(本実施例の効果)
本実施例の部品実装機10Aは、実装処理後の経路R14において対象ノズルが対象部品を吸着している場合(S20でYES)に、対象実装位置に対象部品が実装されているか否か(S30)と、基板5上の復路周辺範囲A10に異物が存在するか否か(S40)と、を検査する。これにより、部品実装機10Aは、実装処理後の経路R14において対象ノズルが対象部品を吸着している場合に、基板5上に問題があるか否かを検査することができる。そして、部品実装機10Aは、基板5上に問題ない場合(S30でNO、S40でYES)に、対象実装位置に対象部品を再実装する(S44)。このため、部品実装機10Aによれば、実装処理後の経路R14において対象ノズルが対象部品を吸着している場合であっても、実装処理が中断されない。部品実装機における生産効率を向上させることができる。
【0074】
(対応関係)
ノズル32が、「部品保持部」の一例である。経路R11~R13、経路R14が、それぞれ、「往路」、「復路」の一例である。経路R10が、「所定の経路」の一例である。ヘッド移動装置18Aが、「移動機構」の一例である。復路周辺範囲A10が、「所定の範囲」の一例である。基板撮像装置50A、ノズル撮像装置31が、それぞれ、「第1のカメラ」、「第2のカメラ」の一例である。実装範囲、復路周辺範囲A10が、それぞれ、「第1範囲」、「第2範囲」の一例である。
【0075】
(第2実施例)
図5および図6を参照して、第2実施例の部品実装機10Aが実行する部品実装処理について説明する。第2実施例の部品実装機10Aのメモリ42Aには、第1実施例の閾値明度Bthに代えて、閾値圧力値Pthが記憶されている。閾値圧力値Pthは、例えば、ノズル32が部品4aを保持しているか否かを検査するための圧力値である。第2実施例の部品実装機10AのCPU44Aは、図6の部品実装処理におけるS14において、ノズル撮像装置からノズル画像を受信することに代えて、圧力センサ39からノズル圧力値を受信する。
【0076】
この場合、第2実施例のCPU44Aは、S20において、受信したノズル圧力値とメモリ42A内の閾値圧力値Pthと比較する。CPU44Aは、ノズル圧力値が閾値圧力値Pthよりも大きい場合、対象ノズルが対象部品を保持していると判定して(S20でYES)、S22に進む。一方、CPU44Aは、ノズル圧力値が閾値圧力値Pthよりも小さい場合、対象ノズルが対象部品を保持していないと判定して(S20でNO)、S10に戻る。このように、本実施例の部品実装機10Aでは、CPU44Aは、ノズル圧力値によって、対象ノズルが対象部品を保持しているか否かを判定する。これにより、ノズルが対象部品を保持していることを精度よく検知することができる。なお、変形例では、CPU44Aは、ノズル圧力値に代えて、ノズル内の空気の流量に基づいて、ノズルが部品を保持しているか否かを検査してもよい。
【0077】
(第3実施例)
図4図5および図6を参照して、第3実施例の部品実装機10Aが実行する部品実装処理について説明する。第3実施例の部品実装機10Aでは、生産プログラムP1Aの経路R10は、経路R14に代えて、経路R24および経路R25を含む。図4に示されるように、経路R24および経路R25は、実装位置IP4から、下面撮像装置19の上方を経由して供給位置SP1まで延びている。また、図5に示されるように、第3実施例の部品実装機10Aのメモリ42Aには、第1実施例の閾値明度Bthに代えて、吸着下面画像IL1が記憶されている。吸着下面画像IL1は、例えば、ノズル32に適切に吸着された部品4aの下面の画像を含む。第3実施例の部品実装機10AのCPU44Aは、図6の部品実装処理におけるS12において経路R24および経路R25に沿って装着ヘッド30Aを移動させる。さらに、CPU44Aは、装着ヘッド30Aが下面撮像装置19の上方に移動したタイミングで、下面撮像装置19に装着ヘッド30Aの下方からの画像である下面画像を撮像させる。この場合、CPU44Aは、S14において、ノズル撮像装置からノズル画像を受信することに代えて、下面撮像装置19から下面画像を受信する。
【0078】
この場合、第3実施例のCPU44Aは、S20において、受信した下面画像とメモリ42A内の吸着下面画像IL1と比較する。CPU44Aは、下面画像が吸着下面画像IL1と所定の割合を超えて類似する場合、対象ノズルが対象部品を保持していると判定して(S20でYES)、S22に進む。一方、CPU44Aは、下面画像が吸着下面画像IL1と所定の割合を超えて類似していない場合、対象ノズルが対象部品を保持していないと判定して(S20でNO)、S10に戻る。このように、本実施例の部品実装機10Aでは、CPU44Aは、対象ノズルの下面画像に基づいて、対象ノズルが対象部品を保持しているか否かを検査する。これにより、正確に検査をすることができる。さらに、部品の吸着姿勢を検査する下面撮像装置19を利用して対象ノズルが実装処理後に対象部品を保持しているか否かを検査するため、部品実装機10A(例えば装着ヘッド30A)の構成を簡略化することができる。
【0079】
(第4実施例)
図5および図6を参照して、第4実施例の部品実装機10Aが実行する部品実装処理について説明する。第4実施例の部品実装機10Aのメモリ42Aには、第1実施例の一つの判定用画像I1Aに代えて、二つの実装判定画像I2Aと異物判定画像I3Aとが記憶されている。実装判定画像I2Aは、実装範囲の画像を含む。実装判定画像I2Aは、実装位置(すなわち、実装範囲)に部品が適切に実装されている状態を示すマスターデータである。さらに、実装判定画像I2Aは、対象部品の色(例えば、黒)が明確に反映される条件で撮像された画像である。これに対し、異物判定画像I3Aは、復路周辺範囲A10の画像を含む。異物判定画像I3Aは、異物が存在していない復路周辺範囲A10の状態を示すマスターデータである。さらに、異物判定画像I3Aは、基板5の上面の色(例えば、緑)が明確に反映される条件で撮像された画像である。第4実施例の部品実装機10AのCPU44Aは、図6の部品実装処理におけるS22において、基板撮像装置50Aから基板画像を受信することに代えて、実装範囲画像と、復路周辺範囲画像と、を受信する。実装範囲画像は、基板撮像装置50Aが実装判定画像I2Aと同様の条件で基板5の対象実装位置を撮像した画像である。復路周辺範囲画像は、異物判定画像I3Aと同様の条件で基板5の復路周辺範囲A10を撮像した画像である。
【0080】
この場合、第4実施例のCPU44Aは、S30において、受信した実装範囲画像とメモリ42A内の実装判定画像I2Aと比較する。さらに、CPU44Aは、S40において、受信した復路周辺範囲像とメモリ42A内の異物判定画像I3Aと比較する。このように、本実施例では、CPU44Aは、対象実装位置に対象部品が実装されているか否かの検査を対象部品の色が明確に反映される条件で撮像された画像に基づいて実行し、基板5に異物が存在するか否かの検査を基板5の色が明確に反映される条件で撮像された画像に基づいて実行する。これにより、各検査の精度を向上させることができる。
【0081】
(第5実施例)
図5および図6を参照して、第5実施例の部品実装機10Aが実行する部品実装処理について説明する。第5実施例の部品実装機10Aのメモリ42Aには、第1実施例の一つの判定用画像I1A、第4実施例の実装判定画像I2Aおよび異物判定画像I3Aのいずれも記憶されていない。図6に示されるように、本実施例の部品実装機10AのCPU44Aは、部品実装処理において、S10で実装処理を実行する前に、基板撮像装置50Aから、実装処理前画像を受信する(S2)。
【0082】
第5実施例のCPU44Aは、基板撮像装置50Aから、実装処理後の基板画像を受信する(S22)。その場合、CPU44Aは、S30において、基板画像における実装範囲の画像と、S2で受信した実装処理前画像における実装範囲の画像と、を比較する。すなわち、本実施例では、実装処理前画像が、判定用画像であり、実装処理前画像のうちの実装範囲の画像が、図6における実装判定画像である。同様に、CPU44Aは、S40において、基板画像における復路周辺範囲A10の画像と、S2で受信した実装処理前画像における復路周辺範囲A10の画像と、を比較する。すなわち、本実施例では、実装処理前画像が、判定用画像であり、実装処理前画像のうちの復路周辺範囲A10の画像が、図6における異物判定画像である。このように、本実施例では、現時点で実装処理が実行されている基板5の実装処理前後の画像を比較することによって、対象実装位置に対象部品が実装されているか否か、復路周辺範囲A10に異物が存在するか否かを検査する。このため、一枚のマスターデータと複数の基板の基板画像とを比較する構成に比べて、正確に検査することができる。
【0083】
(部品実装システム)
図7図9を参照して、本明細書が開示する実施例の部品実装システムについて説明する。図7は、部品実装システム100の斜視図を示す。部品実装システム100は、3台の部品実装機10A、10Bおよび10Cと、管理装置60と、ローダ70と、レール80と、を備える。3台の部品実装機10A、10Bおよび10Cは、互いに同様の構成を有する。
【0084】
管理装置60は、各部品実装機10A、10Bおよび10C、ローダ70を制御する。管理装置60は、モニタ62と、バッファスペース64と、を備える。モニタ62は、作業者に各部品実装機10A、10Bおよび10Cの各種の情報を提供する装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける装置である。本実施例では、モニタ62は、タッチパネルである。ただし、モニタ62は、例えば、ディスプレイ等とキーボードやマウス等により構成されてもよい。
【0085】
ローダ70は、3台の部品実装機10A、10Bおよび10Cの前方に配置される。ローダ70は、レール80に沿って左右方向に移動する。ローダ70は、例えば、管理装置60のバッファスペース64からフィーダを取り出して、3台の部品実装機10A、10Bおよび10Cのいずれかに供給する。
【0086】
部品実装機10Aの右方には、部品実装機10Bが連結されている。部品実装機10Bの右方には、部品実装機10Cが連結されている。最も左側に位置する部品実装機10Aにおいて部品4a~4dの実装位置IP1~IP4への実装が完了すると、基板5は、搬送方向D1(図4参照)に沿って部品実装機10Bに搬送される。部品実装機10Bにおいて部品の実装処理が完了すると、基板5は、部品実装機10Cに搬送される。
【0087】
図8を参照して、管理装置60のハードウェアの構成について説明する。管理装置60は、メモリ63とCPU65とを含むコンピュータにより構成されている。管理装置60は、各部品実装機10A、10Bおよび10Cと互いに通信可能に接続されている。管理装置60のメモリ63は、生産プログラムP1Sと、異常圧力値AP2と、閾値明度Bthと、判定用画像I1Sと、を予め記憶している。
【0088】
生産プログラムP1Sは、上述した部品実装機10A、10Bおよび10Cのそれぞれについて、上述した実装位置データと、経路データとに加え、供給部品テーブルをさらに含む。供給部品テーブルには、部品実装機10A、10Bおよび10Cのそれぞれを識別する部品実装機識別情報と、部品を識別する部品識別情報と、が関連付けて格納されている。異常圧力値AP2は、部品実装機10A、10Bおよび10Cのそれぞれにおける吸着姿勢に異常を示す圧力値を含む。判定用画像I1Sは、部品実装機10A、10Bおよび10Cのそれぞれにおいて実装処理が適切に行われた後の基板5の上面の全範囲の状態を示すマスターデータを含む。
【0089】
管理装置60のCPU65は、メモリ63に記憶されるプログラムに従って、各部品実装機10A、10Bおよび10Cを制御する。例えば、CPU65は、実装検査部66と、異物検査部67と、部品廃棄部68と、再実装部69と、として機能する。CPU65が実行する各処理の詳細については、図9を参照して後述する。
【0090】
図9を参照して、管理装置60のCPU65が実行する再実装処理について説明する。再実装処理は、部品実装システム100における部品実装機(例えば、部品実装機10A)において部品の持ち帰りが発生した場合に、当該部品実装機の下流の部品実装機(例えば、部品実装機10B)により、対象部品を再実装するための処理である。図9の処理は、各部品実装機10A、10Bおよび10Cが部品を基板5に実装している間、継続して実行される。
【0091】
管理装置60のCPU65は、部品保持情報を受信することを監視する(S110)。部品保持情報は、部品実装機において実装処理後の経路R14で対象ノズルが対象部品を保持していること(すなわち、部品の持ち帰りが発生したこと)を示す情報であり、持ち帰りが発生した部品実装機からCPU65に送信される。先に述べたように、部品実装機は、例えば、ノズル撮像装置が撮像した対象ノズルの側方の画像に基づいて、対象ノズルが対象部品を保持していることを検知する。部品保持情報は、さらに、持ち帰りが発生した部品実装機を識別する実装機識別情報と、対象部品を識別する部品特情報を含む。CPU65は、部品保持情報を受信するまでS110の処理を繰り返す。
【0092】
部品保持情報を受信すると(S110でYES)、CPU65は、部品保持情報に含まれる実装機識別情報によって識別される部品実装機の下流の部品実装機(例えば、部品実装機10B)に対して、検査指示を送信する(S112)。検査指示は、部品実装機に対して基板の上面に問題があるか否かの検査を指示する情報である。検査指示は、部品保持情報に含まれる部品識別情報を含む。以下では、検査指示を送信した部品実装機を「対象部品実装機」と記載する。
【0093】
CPU65は、対象部品実装機から、基板画像を受信する(S114)。当該基板画像は、対象部品実装機に搬送された基板5の上面の画像を含む。
【0094】
次いで、CPU65は、対象部品実装機から受信した基板画像と、実装判定画像とを比較する(S120)。S120では、第1実施例のCPU44Aが実行する図6のS30と同様の処理が実行される。
【0095】
基板画像と実装判定画像とが所定の割合を超えて類似する場合(S120でYES)、先に述べたように、CPU65は、対象部品実装機に異常が発生していると判定して、S150に進む。
【0096】
次いで、CPU65は、実装停止指示を各部品実装機10A、10Bおよび10Cに送信する(S150)。実装停止指示を受信した各部品実装機10A、10Bおよび10Cは、実装処理を停止する。これにより、異常が発生した対象部品実装機を含む部品実装システム100が実装処理を継続することを防止することができる。
【0097】
次いで、CPU65は、異常発生を作業者に報知する(S152)。具体的には、CPU65は、対象部品実装機に異常が発生していることを示すメッセージを、モニタ62に表示する。これにより、作業者は、対象部品実装機に異常が発生していることを認識することができる。
【0098】
一方、基板画像と実装判定画像とが所定の割合を超えて類似しない場合(S120でNO)、CPU65は、対象部品が対象実装位置に実装されていないと判定して、S130に進む。
【0099】
S130では、第1実施例のCPU44Aが実行する図6のS40と同様の処理が実行される。基板画像と異物判定画像とが所定の割合を超えて類似する場合(S130でYES)、CPU65は、対象部品実装機の基板5上における復路周辺範囲(例えば、A10)に異物が存在していると判定して、S150に進む。これにより、復路周辺範囲に異物が存在している状態で実装処理が再開されることを防止することができる。基板画像と異物判定画像とが所定の割合を超えて類似しない場合(S130でNO)、CPU65は、S140に進む。
【0100】
CPU65は、対象部品実装機に対象部品が供給済みか否かを判定する(S140)。CPU65は、メモリ63内の生産プログラムP1Sに含まれる部品テーブルを利用して、対象部品実装機に対象部品が供給済みであるか否かを判定する。対象部品実装機に対象部品が供給済みである場合、CPU65は、S141の処理をスキップしてS144に進む。対象部品実装機に対象部品が供給済みでない場合、S142に進む。
【0101】
CPU65は、対象部品の供給指示をローダ70に送信する(S141)。供給指示は、実装機識別情報と、部品識別情報と、を含む。供給指示を受信したローダ70は、レール80に沿って左右方向に移動し、バッファスペース64から対象部品を収容するフィーダを取得すると、実装機識別情報によって識別される対象部品実装機の前方に移動する。そして、ローダ70は、対象部品実装機に供給済みのフィーダと、対象部品を収容するフィーダとを取り換える。これにより、対象部品が対象部品実装機に供給される。このように、部品実装システム100では、ローダ70を利用して対象部品を対象部品実装機に自動的に供給することによって、対象部品実装機において実装処理が中断されることを防止することができる。このため、生産効率が向上する。
【0102】
CPU65は、対象部品実装機に対して、部品廃棄指示を送信する(S142)。これにより、対象部品実装機は、対象部品を廃棄ボックスに破棄する。
【0103】
その後、CPU65は、対象部品実装機に対して、対象部品の再実装指示を送信する(S144)。これにより、対象部品実装機では、装着ヘッドが対象部品の供給位置に移動し、ノズルが対象部品を再び吸着する。さらに、装着ヘッドは、対象部品実装機に搬出された基板5の対象実装位置に移動し、ノズルが対象部品を対象実装位置に開放する。その結果、対象部品が対象実装位置に再度実装される。
【0104】
このように、部品実装システム100によれば、部品実装機10Aにおいて実装処理後の経路R14でノズルが部品を保持している場合に(S110でYES)、部品実装機10Bによって、部品実装機10Aから搬出された基板5に対して、対象部品を再実装することができる(S144)。このため、部品実装機10Aにおいて対象部品の再実装ができなくても、実装処理が中断されない。部品実装機における生産効率を向上させることができる。
【0105】
(対応関係)
部品実装機10A、部品実装機10Bが、それぞれ、「第1の部品実装機」、「第2の部品実装機」の一例である。
【0106】
本実施例の留意点を以下に述べる。上述した実施例では、ノズル32、34、36および38によって部品4a~4dを吸着したが、このような構成に限定されず、部品実装機10Aは、例えば、ノズル32、34、36および38に代えて、部品4a~4dを把持するチャックを備えてもよい。本変形例では、当該チャックが、「部品保持部」の一例である。
【0107】
4本のノズル32、34、36および38に対して、1つのノズル撮像装置が配置されてもよい。例えば、当該ノズル撮像装置は、装着ヘッド30Aの外周面から下方に延びてもよい。本変形例では、ノズル撮像装置は、回転することなくノズル32~38の前方に位置する。その場合、ノズル撮像装置は、ノズル32~38のうち、回転して前方に移動したノズルを側方から撮像してもよいし、前方に移動しているノズルが昇降している間に、当該ノズルに隣接する2本のノズルを側方から撮像してもよい。
【0108】
ノズル撮像装置31~37は、装着ヘッド30Aに配置されていなくてもよい。1つのノズル撮像装置が、例えば、下面撮像装置19に隣接して配置されてもよい。その場合、ノズル撮像装置は、装着ヘッド30とともに移動せず、移動した装着ヘッド30Aのノズル32~38を側方から撮像してもよい。
【0109】
CPU44Aは、図6のS42の処理を実行しなくてもよい。その場合、CPU44Aは、ノズルに保持されている部品を実装位置に再実装してもよい。
【0110】
部品実装システム100は、一つの部品実装機10Aのみを備えてもよい。その場合、管理装置60は、部品実装機10Aから部品保持情報を受信した場合(S110でYES)、部品実装機10Aに対して検査指示を送信してもよい(S112)。
【0111】
部品実装システム100は、ローダ70を備えなくてもよい。その場合、CPU65は、図9のS140およびS141の処理を実行しなくてもよい。
【0112】
部品実装システム100のローダ70は、図9のS141で供給指示を受信した場合に、バッファスペース64から対象部品を収容するフィーダを取得することに代えて、部品実装機10Aから対象部品を収容するフィーダを取得してもよい。このような構成によると、例えば、バッファスペース64から部品実装機10Bに対象部品を供給する構成に比べて、部品実装機10Bに対象部品を迅速に供給することができる。
【0113】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0114】
本明細書では、請求項3において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1または2に記載の部品実装機」に変更した技術思想や、請求項4において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1または2に記載の部品実装機」に変更した技術思想も開示されている。さらに、本明細書では、請求項7において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想や、請求項8において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想や、請求項9において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想や、請求項12において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0115】
4a-4d :部品
5 :基板
10A-10C:部品実装機
11A :筐体
12A :インターフェース装置
13A :廃棄ボックス
14A :フィーダ保持部
15A :部品実装部
16A :ヘッド昇降装置
17A :基板コンベア
18A :ヘッド移動装置
19 :下面撮像装置
20A-22d:フィーダユニット
24a :リール
26a :テープ
30A :装着ヘッド
31,33,35,37:ノズル撮像装置
32,34,36,38:ノズル
39 :圧力センサ
40A :制御装置
42A,63 :メモリ
44A,65 :CPU
45A,66 :実装検査部
47A,67 :異物検査部
48A,68 :部品廃棄部
49A,69 :再実装部
50A :基板撮像装置
60 :管理装置
62 :モニタ
64 :バッファスペース
70 :ローダ
80 :レール
100 :部品実装システム
A10 :復路周辺範囲
AP1、AP2:異常圧力値
Bth :閾値明度
D1 :搬送方向
I1A,I1S :判定用画像
I2A :実装判定画像
I3A :異物判定画像
IL1 :吸着下面画像
IP :実装位置
P1A,P1S :生産プログラム
Pth :閾値圧力値
R10-R16,R24,R25 :経路
SP :供給位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9