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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148301
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241010BHJP
   G03F 7/42 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
H01L21/304 651B
H01L21/30 572B
G03F7/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061321
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉原 直彦
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196LA03
5F146MA02
5F146MA06
5F157AA64
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BA02
5F157BA03
5F157BA07
5F157BA31
5F157BB23
5F157BB45
5F157BB66
5F157BC12
5F157BE23
5F157BE43
5F157CF02
5F157CF62
5F157CF92
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】レジストの剥離性能を向上させることができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、薬液吐出部8と、洗浄部材5と、第1移動部6Aとを備える。薬液吐出部8は、少なくとも硫酸を含む薬液を基板Wに向けて吐出する。洗浄部材5は、接触部51を含む。洗浄部材5は、接触部51から基板Wに過酸化水素水を供給する。第1移動部6Aは、洗浄部材5を接触位置へ移動させる。接触位置は、基板Wの上面に液膜が形成されていない状態において、基板Wに形成されているレジストに接触部51が接触する位置を示す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
少なくとも硫酸を含む薬液を前記基板に向けて吐出する薬液吐出部と、
接触部を含み、前記接触部から前記基板に過酸化水素水を供給する洗浄部材と、
前記洗浄部材を接触位置へ移動させる第1移動部と
を備え、
前記接触位置は、前記基板の上面に液膜が形成されていない状態において、前記基板に形成されているレジストに前記接触部が接触する位置を示す、基板処理装置。
【請求項2】
前記薬液は、前記硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に前記基板を回転させる第1回転部を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に前記洗浄部材を移動させる第2移動部を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に前記接触部を回転させる第2回転部を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記洗浄部材は、硫酸を吐出する硫酸吐出部を更に含み、
前記硫酸吐出部は、前記接触部の周囲に配置される、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
平面視において前記接触部の側面は円環状であり、
前記硫酸吐出部は、前記接触部の側面に沿って延びる円環状の領域に配置される、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記硫酸吐出部は、環状である、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記硫酸吐出部は、複数の円弧状の吐出部を含む、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項10】
平面視において前記接触部の側面は矩形状であり、
前記硫酸吐出部は、前記接触部の側面に沿って延びる矩形の領域に配置される、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記硫酸吐出部は、環状である、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記硫酸吐出部は、複数の直線状の吐出部を含む、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記薬液吐出部からの前記薬液の吐出と、前記接触部からの前記過酸化水素水の供給と、前記第1移動部とを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記薬液吐出部から前記薬液を吐出させて前記基板の上面に前記薬液の液膜を形成した後に、前記洗浄部材を前記接触位置へ移動させ、
前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に洗浄処理を実行し、
前記洗浄処理は、前記接触部から前記基板に前記過酸化水素水を供給させる処理を示す、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記薬液吐出部からの前記混合液の吐出と、前記接触部からの前記過酸化水素水の供給と、前記第1移動部とを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記薬液吐出部から前記混合液を吐出させて前記基板の上面に前記混合液の液膜を形成した後に、前記洗浄部材を前記接触位置へ移動させ、
前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に洗浄処理を実行し、
前記洗浄処理は、前記接触部から前記基板に前記過酸化水素水を供給させる処理を示し、
前記制御部は、前記洗浄処理の後に、前記薬液吐出部から前記基板に向けて前記混合液を吐出させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板を処理する方法であって、
少なくとも硫酸を含む薬液を薬液吐出部から吐出させて前記基板の上面に前記薬液の液膜を形成する液膜形成工程と、
前記薬液の液膜を形成した後に、洗浄部材を接触位置へ移動させて洗浄処理を実行する洗浄処理工程と
を包含し、
前記洗浄部材は、前記基板に過酸化水素水を供給する接触部を含み、
前記接触位置は、前記基板の上面に液膜が形成されていない状態において、前記基板に形成されているレジストに前記接触部が接触する位置を示し、
前記洗浄処理は、前記接触部から前記基板に前記過酸化水素水を供給させる処理を示す、基板処理方法。
【請求項16】
前記薬液は、前記硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液を含む、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記洗浄部材は、硫酸を吐出する硫酸吐出部を更に含み、
前記洗浄処理工程において、前記硫酸吐出部から前記硫酸を吐出させる、請求項15又は請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記洗浄処理工程の後に、前記薬液吐出部から前記基板に向けて前記混合液を吐出させる工程を更に含む、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記洗浄処理工程において、前記基板を回転させる、請求項15又は請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記洗浄処理工程において、前記洗浄部材を移動させる、請求項15又は請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記洗浄処理工程において、前記接触部を回転させる、請求項15又は請求項16に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に形成したレジスト膜を剥離するために、過酸化水素水(H22)と硫酸(H2SO4)とが混合された薬液(混合液)であるSPM(Sulfuric acid-Hydrogen Peroxide Mixture)液が用いられることがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
硫酸は単独でも洗浄効果を有するが、硫酸に過酸化水素水を混合すると下記の反応式で表される反応が生じ、その結果、カロ酸(CARO酸;H2SO5)が発生して強い洗浄効果を得ることができる。
2H2SO4+H22→H2SO4+H2SO5+H2
【0004】
カロ酸は、非常に酸化力の強い化合物である。カロ酸によって、レジストが基板表面から剥離すると同時に二酸化炭素(CO2)に分解されてSPM液中から抜けていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-76662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カロ酸の洗浄力は、時間の経過とともに弱くなる。換言すると、カロ酸の洗浄力を得るには新鮮なカロ酸が必要であり、SPM液を用いたレジスト剥離処理には、更なる改善の余地がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、レジストの剥離性能を向上させることができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板を処理する。当該基板処理装置は、薬液吐出部と、洗浄部材と、第1移動部とを備える。前記薬液吐出部は、少なくとも硫酸を含む薬液を前記基板に向けて吐出する。前記洗浄部材は、接触部を含む。前記洗浄部材は、前記接触部から前記基板に過酸化水素水を供給する。前記第1移動部は、前記洗浄部材を接触位置へ移動させる。前記接触位置は、前記基板の上面に液膜が形成されていない状態において、前記基板に形成されているレジストに前記接触部が接触する位置を示す。
【0009】
ある実施形態において、前記薬液は、前記硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液を含む。
【0010】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に前記基板を回転させる第1回転部を更に備える。
【0011】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に前記洗浄部材を移動させる第2移動部を更に備える。
【0012】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に前記接触部を回転させる第2回転部を更に備える。
【0013】
ある実施形態において、前記洗浄部材は、硫酸を吐出する硫酸吐出部を更に含む。前記硫酸吐出部は、前記接触部の周囲に配置される。
【0014】
ある実施形態において、前記接触部の側面は、平面視で円環状である。前記硫酸吐出部は、前記接触部の側面に沿って延びる円環状の領域に配置される。
【0015】
ある実施形態において、前記硫酸吐出部は環状である。
【0016】
ある実施形態において、前記硫酸吐出部は、複数の円弧状の吐出部を含む。
【0017】
ある実施形態において、前記接触部の側面は、平面視で矩形状である。前記硫酸吐出部は、前記接触部の側面に沿って延びる矩形の領域に配置される。
【0018】
ある実施形態において、前記硫酸吐出部は、環状である。
【0019】
ある実施形態において、前記硫酸吐出部は、複数の直線状の吐出部を含む。
【0020】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、制御部を更に備える。前記制御部は、前記薬液吐出部からの前記薬液の吐出と、前記接触部からの前記過酸化水素水の供給と、前記第1移動部とを制御する。前記制御部は、前記薬液吐出部から前記薬液を吐出させて前記基板の上面に前記薬液の液膜を形成した後に、前記洗浄部材を前記接触位置へ移動させる。前記制御部は、前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に洗浄処理を実行する。前記洗浄処理は、前記接触部から前記基板に前記過酸化水素水を供給させる処理を示す。
【0021】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、制御部を更に備える。前記制御部は、前記薬液吐出部からの前記混合液の吐出と、前記接触部からの前記過酸化水素水の供給と、前記第1移動部とを制御する。前記制御部は、前記薬液吐出部から前記混合液を吐出させて前記基板の上面に前記混合液の液膜を形成した後に、前記洗浄部材を前記接触位置へ移動させる。前記制御部は、前記洗浄部材が前記接触位置に配置されている際に洗浄処理を実行する。前記洗浄処理は、前記接触部から前記基板に前記過酸化水素水を供給させる処理を示す。前記制御部は、前記洗浄処理の後に、前記薬液吐出部から前記基板に向けて前記混合液を吐出させる。
【0022】
本発明の一局面によれば、基板処理方法は、基板を処理する方法である。当該基板処理方法は、少なくとも硫酸を含む薬液を薬液吐出部から吐出させて前記基板の上面に前記薬液の液膜を形成する液膜形成工程と、前記薬液の液膜を形成した後に、洗浄部材を接触位置へ移動させて洗浄処理を実行する洗浄処理工程とを包含する。前記洗浄部材は、前記基板に過酸化水素水を供給する接触部を含む。前記接触位置は、前記基板の上面に液膜が形成されていない状態において、前記基板に形成されているレジストに前記接触部が接触する位置を示す。前記洗浄処理は、前記接触部から前記基板に前記過酸化水素水を供給させる処理を示す。
【0023】
ある実施形態において、前記薬液は、前記硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液を含む。
【0024】
ある実施形態において、前記洗浄部材は、硫酸を吐出する硫酸吐出部を更に含む。前記洗浄処理工程において、前記硫酸吐出部から前記硫酸を吐出させる。
【0025】
ある実施形態において、上記基板処理方法は、前記洗浄処理工程の後に、前記薬液吐出部から前記基板に向けて前記混合液を吐出させる工程を更に含む。
【0026】
ある実施形態では、前記洗浄処理工程において、前記基板を回転させる。
【0027】
ある実施形態では、前記洗浄処理工程において、前記洗浄部材を移動させる。
【0028】
ある実施形態では、前記洗浄処理工程において、前記接触部を回転させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法によれば、レジストの剥離性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の模式的な平面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す平面図である。
図4】(a)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる洗浄部材の断面を示す図である。(b)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる洗浄部材の底面図である。
図5】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6】液膜形成処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図7】(a)は、第1洗浄処理時の基板処理部を模式的に示す図である。(b)は、第2洗浄処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図8】第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時の洗浄部材、基板及び液膜を拡大して示す図である。
図9】(a)は、第3洗浄処理時の基板処理部を模式的に示す図である。(b)は、過酸化水素水供給処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図10】洗浄部材の変形例1の底面図である。
図11】(a)は、洗浄部材の変形例2を示す側面図である。(b)は、洗浄部材の変形例2を示す底面図である。
図12】(a)は、洗浄部材の変形例3の底面図である。(b)は、洗浄部材の変形例4の底面図である。(c)は、洗浄部材の変形例5の底面図である。(d)は、洗浄部材の変形例6の底面図である。
図13】本発明の実施形態2に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
図14】本発明の実施形態2に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す平面図である。
図15】本発明の実施形態2に係る基板処理装置の構成の一部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面(図1図15)を参照して本発明の基板処理装置及び基板処理方法に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0032】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法において、基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0033】
[実施形態1]
まず、図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置100は、枚葉式の装置であり、処理液により1枚ずつ基板Wを処理する。
【0034】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理部2と、流体キャビネット10Aと、複数の流体ボックス10Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0035】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。本実施形態では、未処理の基板W(処理前の基板W)の各々に、不要になったレジストのマスク(レジスト膜)が付着している。なお、レジストは、硬化層を含んでもよく、硬化層を含まなくてもよい。例えば、硬化層は、レジストにイオンが注入されることによって形成される。例えば、硬化層は、レジストの上部に形成される。
【0036】
インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理部2との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0037】
複数の基板処理部2は、複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理部2(図1では3つの基板処理部2)を含む。
【0038】
流体キャビネット10Aは、処理液を収容する。流体ボックス10Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット10A内の処理液は、いずれかの流体ボックス10Bを介して、流体ボックス10Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理部2に供給される。
【0039】
処理液は、硫酸(H2SO4)、過酸化水素水(H22)、及びリンス液を含む。本実施形態において、リンス液は、純水である。純水は、例えば、脱イオン水(DIW:Deionized Water)である。なお、リンス液は、例えば、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、アンモニア水、又は希釈された塩酸水(例えば、濃度が10ppm~100ppm程度の塩酸水)であってもよい。
【0040】
基板処理部2の各々は、処理液を基板Wの上面に供給する。例えば、基板処理部2は、硫酸過酸化水素混合液(SPM:Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)を基板Wに供給する。硫酸過酸化水素混合液(SPM)は、硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液である。基板Wの上面にSPMが供給されると、基板Wの上面からレジスト膜(有機物)が剥離されて、基板Wの上面からレジスト膜が除去される。
【0041】
詳しくは、SPMに含まれる硫酸によりレジスト膜が剥離される。また、SPMに含まれる硫酸と過酸化水素水とが反応して生成されるカロ酸(CARO酸;H2SO5)により、レジスト膜が剥離される。
【0042】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び基板処理部2を制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
【0043】
制御部102は、記憶部103に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置100の各部の動作を制御する。制御部102は、例えば、プロセッサを有する。制御部102は、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有してもよい。あるいは、制御部102は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。
【0044】
記憶部103は、基板処理装置100の動作を制御するための各種情報を記憶する。例えば、記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、種々のレシピデータを含む。レシピデータは、例えば、プロセスレシピを含む。プロセスレシピは、基板処理の手順を規定するデータである。具体的には、プロセスレシピは、基板処理に含まる一連の処理の実行順序、各処理の内容、及び各処理の条件(パラメータの設定値)を規定する。
【0045】
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでもよい。
【0046】
続いて、図1及び図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。
【0047】
図2に示すように、基板処理部2は、処理室2aと、基板保持部3と、基板回転部4と、洗浄部材5と、移動部6Aと、移動部6Bと、第1ノズル8と、第2ノズル9と、液受け部11と、昇降部111とを有する。また、基板処理装置100は、第1薬液供給部7Aと、第2薬液供給部7Bと、第3薬液供給部7Cと、第4薬液供給部7Dと、リンス液供給部7Eとを更に備える。
【0048】
基板Wは、処理室2a内に搬入されて、処理室2a内で処理される。処理室2aは、略箱形状を有する。処理室2aは、基板保持部3と、基板回転部4と、洗浄部材5と、移動部6Aと、移動部6Bと、第1薬液供給部7Aの一部と、第2薬液供給部7Bの一部と、第3薬液供給部7Cの一部と、第4薬液供給部7Dの一部と、リンス液供給部7Eの一部と、第1ノズル8と、第2ノズル9と、液受け部11と、昇降部111とを収容する。処理室2aは、例えば、チャンバーである。
【0049】
基板保持部3は、基板Wを保持する。基板保持部3の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。より具体的には、基板保持部3は、基板Wを水平な姿勢で保持する。基板保持部3は、例えば、スピンチャックである。基板保持部3は、スピンベース31と、複数のチャック部材32とを有してもよい。
【0050】
スピンベース31は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材32を支持する。複数のチャック部材32は、スピンベース31の周縁部に配置される。複数のチャック部材32は、基板Wの周縁部を挟持する。複数のチャック部材32により、基板Wが水平な姿勢で保持される。複数のチャック部材32の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。複数のチャック部材32は、基板Wの中心がスピンベース31の中心と一致するように配置されている。
【0051】
基板回転部4は、基板Wを回転させる。具体的には、基板回転部4は、鉛直方向に延びる第1回転軸線AX1を中心として、基板Wと基板保持部3とを一体に回転させる。基板回転部4は、「第1回転部」の一例である。基板回転部4の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0052】
詳しくは、第1回転軸線AX1は、スピンベース31の中心を通る。したがって、スピンベース31は、スピンベース31の中心を回転中心として回転する。また、既に説明したように、基板保持部3は、基板Wの中心がスピンベース31の中心と一致するように基板Wを保持する。したがって、基板Wは、基板Wの中心を回転中心として回転する。
【0053】
基板回転部4は、例えば、モータ本体41と、シャフト42とを有する。シャフト42はスピンベース31に結合される。モータ本体41は、シャフト42を回転させる。その結果、スピンベース31が回転する。モータ本体41の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。モータ本体41は、例えば、電動モータである。
【0054】
洗浄部材5は、接触部51を含み、接触部51から基板Wに過酸化水素水を供給する。具体的には、洗浄部材5は、支持部52と、回転軸部53と、回転駆動部54とを更に含む。
【0055】
接触部51は、例えば、ブラシ状である。あるいは、接触部51は、スポンジ状であってもよいし、多孔質の膜状であってもよい。接触部51は、過酸化水素水を基板Wへ供給できる限り、特に限定されない。例えば、接触部51がブラシ状である場合、ブラシの各毛の隙間を通って過酸化水素水が基板Wへ供給される。接触部51がスポンジ状又は多孔質の膜状である場合、過酸化水素水は接触部51の各孔から基板Wへ供給される。なお、接触部51が多孔質の膜状である場合、膜の内部に貯留された過酸化水素水が、膜の各孔から基板Wへ供給される。
【0056】
接触部51は、可撓性を有する。接触部51は、弾性を有してもよい。接触部51が可撓性又は弾性を有することにより、接触部51が基板Wに接触しても、基板Wに損傷(例えば、パターンの倒壊)が発生し難い。
【0057】
接触部51の材料には、耐熱性を有する材料が使用される。接触部51が耐熱性を有することにより、100℃以上のSPMによって基板Wを処理することができる。基板処理に用いられるSPMの温度は、例えば、120℃以上170℃以下である。接触部51の材料は、例えば、フッ素樹脂である。具体的には、接触部51の材料は、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)又はPTEE(ポリテトラフルオロエチレン)であってもよい。なお、接触部51は、硫酸に対して耐性を有してもよい。
【0058】
支持部52は、接触部51を支持する。回転軸部53は、支持部52に結合される。回転軸部53は、鉛直方向に延びる。回転駆動部54は、接触部51を回転させる。具体的には、回転駆動部54は、鉛直方向に延びる第2回転軸線AX2を中心として、回転軸部53を回転させる。この結果、接触部51が、第2回転軸線AX2を中心として回転する。回転駆動部54は、「第2回転部」の一例である。回転駆動部54は、制御装置101(制御部102)によって制御される。回転駆動部54は、例えば、電動モータである。
【0059】
移動部6Aは、洗浄部材5を第1退避位置と接触位置との間で移動させる。移動部6Aは、「第1移動部」の一例である。移動部6Aは、制御装置101(制御部102)によって制御される。第1退避位置は、平面視において基板保持部3の外側の位置である。本実施形態において、第1退避位置は、平面視において液受け部11の外側の位置である。接触位置は、高さ方向(上下方向)の位置を示す。接触位置は、基板Wの上面に液膜が形成されていない状態において、基板Wに形成されているレジストに接触部51が接触する位置である。図2は、接触位置に配置された洗浄部材5を示している。
【0060】
詳しくは、移動部6Aは、鉛直方向及び水平方向に洗浄部材5を移動させる。具体的には、移動部6Aは、第1アーム61Aと、第1基台62Aと、第1移動機構63Aとを有する。
【0061】
第1アーム61Aは水平方向に沿って延びる。第1アーム61Aの先端部に洗浄部材5が配置される。第1アーム61Aは第1基台62Aに結合される。第1基台62Aは、鉛直方向に沿って延びる。
【0062】
第1移動機構63Aは、鉛直方向及び水平方向に第1アーム61Aを移動させる。この結果、洗浄部材5が鉛直方向及び水平方向に移動する。第1移動機構63Aは、制御装置101(制御部102)によって制御される。具体的には、第1移動機構63Aは、回転機構64Aと、昇降/押圧調整機構65Aとを含む。
【0063】
回転機構64Aは、鉛直方向に延びる第3回転軸線AX3を中心として第1基台62Aを揺動させて、第1アーム61Aを水平面に沿って揺動させる。この結果、洗浄部材5が水平面に沿って移動する。回転機構64Aは、制御装置101(制御部102)によって制御される。回転機構64Aは、例えば、正逆回転可能な電動モータを含む。
【0064】
昇降/押圧調整機構65Aは、第1基台62Aを鉛直方向に沿って昇降させて、第1アーム61Aを昇降させる。この結果、洗浄部材5が鉛直方向に沿って移動する。昇降/押圧調整機構65Aは、制御装置101(制御部102)によって制御される。昇降/押圧調整機構65Aは、例えば、ボールねじ機構と、正逆回転可能な電動モータとを含む。電動モータは、ボールねじ機構を駆動する。
【0065】
更に、昇降/押圧調整機構65Aは、基板Wの上面に液膜が形成されていない状態において接触部51が基板Wを押圧する力を調整する。以下、基板Wの上面に液膜が形成されていない状態において接触部51が基板Wを押圧する力を、「接触部51の押圧力」と記載する場合がある。
【0066】
具体的には、接触位置が調整されることにより、接触部51の押圧力が調整される。詳しくは、制御装置101に設定される接触位置のパラメータが調整される。例えば、接触部51の押圧力(接触位置)は、レジストの種類によって変更されてもよい。具体的には、接触部51の押圧力(接触位置)は、レジストの材料が「ポジ型」であるのか、「ネガ型」であるのかによって変更されてもよいし、レジストが吸収する光の波長ごとに変更されてもよい。あるいは、接触部51の押圧力(接触位置)は、レジストのアスペクト比(高さと幅との比)に応じて変更されてもよいし、レジストに注入されたイオンの種類に応じて変更されてもよい。
【0067】
なお、接触部51の押圧力は「0」であってもよい。すなわち、基板Wの上面に液膜が形成されていない状態において、基板Wに形成されているレジストに接触部51が接触すればよく、接触部51は基板Wを押圧しなくてもよい。
【0068】
第1薬液供給部7Aは、洗浄部材5に硫酸を供給する。本実施形態では、洗浄部材5は、過酸化水素水に加えて、基板Wに硫酸を供給する。具体的には、第1薬液供給部7Aは、第1供給配管71Aと、第1開閉弁72Aと、第1流量調整弁73Aとを含む。処理室2aは、第1供給配管71Aの一部を収容する。第1開閉弁72A及び第1流量調整弁73Aは、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0069】
第1供給配管71Aは、管状の部材であり、硫酸を洗浄部材5まで流通させる。第1開閉弁72Aは、第1供給配管71Aに介装される。第1開閉弁72Aは、第1供給配管71Aを介した洗浄部材5への硫酸の供給、及び洗浄部材5への硫酸の供給停止を制御する。具体的には、第1開閉弁72Aの状態は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。第1開閉弁72Aが開状態になると、硫酸が第1供給配管71Aを介して洗浄部材5まで流通する。第1開閉弁72Aが閉状態になると、第1供給配管71Aを介した硫酸の流通が停止する。第1開閉弁72Aは、制御装置101(制御部102)によって制御される。第1開閉弁72Aのアクチュエータは、は、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0070】
第1流量調整弁73Aは、第1供給配管71Aに介装される。第1流量調整弁73Aは、第1供給配管71Aを流通する硫酸の流量を調整する。具体的には、第1流量調整弁73Aは、開度を調整可能である。制御装置101(制御部102)は、第1流量調整弁73Aの開度を制御する。硫酸は、第1流量調整弁73Aの開度に応じた流量で第1供給配管71Aを流通する。第1流量調整弁73Aのアクチュエータは、例えば、電動アクチュエータである。なお、第1流量調整弁73Aは、省略されてもよい。
【0071】
第2薬液供給部7Bは、洗浄部材5に過酸化水素水を供給する。具体的には、第2薬液供給部7Bは、第2供給配管71Bと、第2開閉弁72Bと、第2流量調整弁73Bとを含む。処理室2aは、第2供給配管71Bの一部を収容する。第2開閉弁72B及び第2流量調整弁73Bは、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0072】
第2供給配管71Bは、洗浄部材5まで過酸化水素水を流通させる。第2薬液供給部7Bの構成は、第1薬液供給部7Aと略同様であるため、詳しい説明は割愛する。なお、第1流量調整弁73Aと同様に、第2流量調整弁73Bは省略されてもよい。
【0073】
第1ノズル8は、少なくとも硫酸を含む薬液を基板Wに向けて吐出する。本実施形態では、第1ノズル8は、基板Wに向けてSPMを吐出する。第1ノズル8は、「薬液吐出部の一例」である。具体的には、第1ノズル8には、硫酸と過酸化水素水とが供給される。硫酸及び過酸化水素水は第1ノズル8の内部で混合される。この結果、第1ノズル8の内部でSPMが生成されて、第1ノズル8からSPMが吐出される。
【0074】
詳しくは、第1ノズル8は、回転中の基板Wの上方から、基板Wの上面に向けてSPMを吐出する。この結果、SPMが基板Wに供給されて、基板Wの上面にSPMの液膜が形成される。なお、第1ノズル8から吐出されるSPMの温度は、例えば、100℃以上である。例えば、第1ノズル8から吐出されるSPMの温度は、120℃程度であってもよく、170℃程度であってもよい。
【0075】
本実施形態において、第1ノズル8は、回転中の基板Wの上方から、基板Wの上面に向けて、過酸化水素水を更に吐出する。この結果、過酸化水素水が基板Wに供給されて、基板Wの上面に過酸化水素水の液膜が形成される。
【0076】
第3薬液供給部7Cは、第1ノズル8に硫酸を供給する。具体的には、第3薬液供給部7Cは、第3供給配管71Cと、第3開閉弁72Cと、第3流量調整弁73Cとを含む。処理室2aは、第3供給配管71Cの一部を収容する。第3開閉弁72C及び第3流量調整弁73Cは、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0077】
第3供給配管71Cは、第1ノズル8まで硫酸を流通させる。第3薬液供給部7Cの構成は、第1薬液供給部7Aと略同様であるため、詳しい説明は割愛する。なお、SPMにおける硫酸と過酸化水素水との混合比は、第3流量調整弁73Cによって調整される。SPMにおける硫酸と過酸化水素水との混合比(硫酸:過酸化水素水)は、例えば、2:1~20:1の範囲内に含まれる。
【0078】
第4薬液供給部7Dは、第1ノズル8に過酸化水素水を供給する。具体的には、第4薬液供給部7Dは、第4供給配管71Dと、第4開閉弁72Dと、第4流量調整弁73Dとを含む。処理室2aは、第4供給配管71Dの一部を収容する。第4開閉弁72D及び第4流量調整弁73Dは、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0079】
第4供給配管71Dは、第1ノズル8まで過酸化水素水を流通させる。第4薬液供給部7Dの構成は、第1薬液供給部7Aと略同様であるため、詳しい説明は割愛する。なお、第1流量調整弁73Aと同様に、第4流量調整弁73Dは省略されてもよい。
【0080】
移動部6Bは、第1ノズル8を第2退避位置から処理位置まで移動させる。移動部6Bは、制御装置101(制御部102)によって制御される。第2退避位置は、平面視において基板保持部3の外側の位置である。本実施形態において、第2退避位置は、平面視において液受け部11の外側の位置である。処理位置は、基板保持部3に保持されている基板Wの中心位置CPに対向する位置である。
【0081】
詳しくは、移動部6Bは、鉛直方向及び水平方向に第1ノズル8を移動させる。具体的には、移動部6Bは、第2アーム61Bと、第2基台62Bと、第2移動機構63Bとを有する。
【0082】
第2アーム61Bは水平方向に沿って延びる。第2アーム61Bの先端部に第1ノズル8が配置される。第2アーム61Bは第2基台62Bに結合される。第2基台62Bは、鉛直方向に沿って延びる。
【0083】
第2移動機構63Bは、鉛直方向及び水平方向に第2アーム61Bを移動させる。この結果、第1ノズル8が鉛直方向及び水平方向に移動する。第2移動機構63Bは、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0084】
具体的には、第2移動機構63Bは、鉛直方向に延びる第4回転軸線AX4を中心として第2基台62Bを揺動させて、第2アーム61Bを水平面に沿って揺動させる。この結果、第1ノズル8が水平面に沿って移動する。また、第2移動機構63Bは、第2基台62Bを鉛直方向に沿って昇降させて、第2アーム61Bを昇降させる。この結果、第1ノズル8が鉛直方向に沿って移動する。第2移動機構63Bは、制御装置101(制御部102)によって制御される。第2移動機構63Bは、例えば、ボールねじ機構と、正逆回転可能な電動モータとを含む。電動モータは、ボールねじ機構を駆動する。
【0085】
第2ノズル9は、基板Wにリンス液を供給する。詳しくは、第2ノズル9は、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。第2ノズル9は、固定ノズルである。なお、本実施形態において、第2ノズル9は固定ノズルであるが、第2ノズル9はスキャンノズルであってもよい。
【0086】
リンス液供給部7Eは、第2ノズル9にリンス液を供給する。具体的には、リンス液供給部7Eは、第5供給配管71Eと、第5開閉弁72Eとを含む。処理室2aは、第5供給配管71Eの一部を収容する。第5開閉弁72Eは、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0087】
第5供給配管71Eは、リンス液を第2ノズル9まで流通させる。第5供給配管71E及び第5開閉弁72Eの構成は、第1供給配管71A及び第1開閉弁72Aと略同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0088】
液受け部11は、基板保持部3及び基板回転部4の外方に配置される。液受け部11は、略筒形状を有する。換言すると、液受け部11は、基板保持部3及び基板回転部4を取り囲んでいる。液受け部11は、回転する基板Wから飛散する処理液(SPM及びリンス液)を受け止める。
【0089】
昇降部111は、液受け部11を昇降させる。昇降部111は、制御装置101(制御部102)によって制御される。昇降部111は、例えば、ボールねじ機構と、正逆回転可能な電動モータとを含む。電動モータは、ボールねじ機構を駆動する。
【0090】
具体的には、昇降部111は、液受け部11を液受け位置と退避位置との間で昇降させる。液受け位置は、退避位置よりも上方の位置である。詳しくは、センターロボットCR(図1)により基板Wが処理室2a内部に搬入される際、あるいは、センターロボットCR(図1)により基板Wが処理室2a内部から搬出される際に、液受け部11は退避位置に配置される。液受け部11は、処理液を受け止める際に、液受け位置に配置される。
【0091】
続いて、図1図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図3は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す平面図である。詳しくは、図3は、上側から視た基板処理部2の内部を示す。
【0092】
図3に示すように、洗浄部材5は、第3回転軸線AX3を中心とする円弧状の軌跡Jに沿って移動する。軌跡Jは、平面視において基板Wの中心位置CPを通る。本実施形態では、移動部6Aは、軌跡Jに含まれる第1位置P1と第2位置P2との間を洗浄部材5が往復するように洗浄部材5を移動させる。具体的には、移動部6Aは、平面視において洗浄部材5の中心が第1位置P1と第2位置P2との間を往復するように洗浄部材5を移動させる。移動部6Aは、「第2移動部」の一例である。
【0093】
第1位置P1及び第2位置P2は、平面視において基板Wの内側の位置である。第1位置P1及び第2位置P2は、基板Wの中心位置CPに対して互いに反対側の位置であり、第1位置P1及び第2位置P2はいずれも、基板Wの中心位置CPよりも基板Wの端Eに近い。洗浄部材5が第1位置P1に移動すると、洗浄部材5の端が基板Wの端Eの近傍に位置する。同様に、洗浄部材5が第2位置P2に移動すると、洗浄部材5の端が基板Wの端Eの近傍に位置する。第1位置P1と第2位置P2との間で往復する際に、洗浄部材5は接触位置に配置されている。よって、接触部51は、基板Wに接触している状態で、第1位置P1と第2位置P2との間を往復する。
【0094】
続いて、図1図4(a)及び図4(b)を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図4(a)は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる洗浄部材5の断面を示す図である。詳しくは、図4(a)は、支持部52の断面を示す。
【0095】
図4(a)に示すように、支持部52は、支持部材521と、流路形成部材522とを有する。流路形成部材522は、底面が開放された筒状であり、内部空間を有する。支持部材521は、流路形成部材522の内部に配置される。接触部51は、支持部材521に支持されて、流路形成部材522から下方に突出する。回転軸部53は、流路形成部材522の天井部を貫通して、支持部材521に結合される。
【0096】
支持部材521は第1流路52aを有し、回転軸部53は第2流路53aを有する。第1流路52aは、鉛直方向に延びており、その一端(下端)は接触部51に連通する。第2流路53aは、鉛直方向に延びており、その一端(下端)は、第1流路52aの他端(上端)に連通する。第2供給配管71Bは第2流路53aの他端に連通している。したがって、第2薬液供給部7Bから第2流路53aへ過酸化水素水が供給される。第2流路53aへ流入した過酸化水素水は、第2流路53a及び第1流路52aを流通して、接触部51へ供給される。
【0097】
流路形成部材522は、第3流路52bを有する。第3流路52bには、第1薬液供給部7Aから硫酸が供給される。流路形成部材522は、下面に吐出口52cを有し、第3流路52bは吐出口52cに連通している。第3流路52bに流入した硫酸は、第3流路52bを流通して吐出口52cから吐出される。すなわち、流路形成部材522の下面から硫酸が吐出される。吐出口52cは、「硫酸吐出部」の一例である。なお、流路形成部材522の下面は、接触部51の下面(先端面)よりも上方に位置する。
【0098】
具体的には、第3流路52bは、共通流路52b1と、分岐流路52b2とを含む。共通流路52b1は、流路形成部材522の天井部に配置される。共通流路52b1は、水平面に沿って拡がってもよい。第1供給配管71Aは共通流路52b1に連通し、共通流路52b1へ硫酸を供給する。分岐流路52b2は、鉛直方向に延びる。分岐流路52b2の一端(上端)は共通流路52b1に連通している。分岐流路52b2の他端(下端)は、吐出口52cに連通している。第1薬液供給部7Aから共通流路52b1へ流入した硫酸は、共通流路52b1を介して分岐流路52b2へ流入する。その結果、硫酸が分岐流路52b2を流通して、吐出口52cから硫酸が吐出される。
【0099】
図4(b)は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる洗浄部材5の底面図である。図4(a)及び図4(b)に示すように、吐出口52cは、接触部51の周囲に配置される。
【0100】
本実施形態では、図4(a)及び図4(b)に示すように、接触部51は円柱状である。したがって、接触部51の側面は円環状である。図4(b)に示すように、吐出口52cは、接触部51の側面に沿って延びる円環状の領域に配置される。
【0101】
詳しくは、図4(b)に示すように、流路形成部材522は、複数の吐出口52cを含む。したがって、流路形成部材522は、複数の分岐流路52b2を含む。図4(b)に示す例では、流路形成部材522は、4つの吐出口52cを含む。複数の吐出口52cはそれぞれ、円弧状である。
【0102】
続いて、図1図9を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。本実施形態の基板処理方法は、例えば、図1図4を参照して説明した基板処理装置100により実施することができる。図5は、本実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。詳しくは、図5は、制御装置101(制御部102)が実行する処理の流れを示す。
【0103】
図5に示すように、本実施形態の基板処理方法は、ステップS1~ステップS9を含む。図6は、液膜形成処理時(図5に示すステップS2)の基板処理部2を模式的に示す図である。図7(a)は、第1洗浄処理時(図5に示すステップS3)の基板処理部2を模式的に示す図である。図7(b)は、第2洗浄処理時(図5に示すステップS4)の基板処理部2を模式的に示す図である。図8は、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時の洗浄部材5、基板W及び液膜LM1を拡大して示す図である。図9(a)は、第3洗浄処理時(図5に示すステップS5)の基板処理部2を模式的に示す図である。図9(b)は、過酸化水素水供給処理時(図5に示すステップS6)の基板処理部2を模式的に示す図である。
【0104】
図5に示す処理を開始すると、制御装置101(制御部102)は、まず、センターロボットCRを制御して、処理室2aに基板Wを搬入させる(ステップS1)。そして、制御装置101(制御部102)は、基板保持部3を制御して、センターロボットCRが搬入した基板Wを保持させる。この結果、基板保持部3により、処理室2a内で基板Wが保持される。制御装置101(制御部102)は、基板Wが保持されると、基板処理部2に液膜形成処理を開始させる(ステップS2)。
【0105】
具体的には、図6に示すように、制御装置101(制御部102)は、基板回転部4を制御して、基板保持部3に保持された基板Wの回転を開始させる。また、制御装置101(制御部102)は、移動部6Bを制御して、第1ノズル8を処理位置まで移動させる。具体的には、第1ノズル8は、基板Wの中心位置CPに対向する位置へ移動する。
【0106】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転速度が予め定められた第1回転速度に達すると、第3薬液供給部7C及び第4薬液供給部7Dを制御して、回転中の基板Wに向けて第1ノズル8からSPMを吐出させる。この結果、基板Wの上面にSPMの液膜LM1が形成される(ステップS2)。
【0107】
SPMの液膜LM1が形成された後、制御装置101(制御部102)は、移動部6Bを制御して、第1ノズル8を処理位置から第2退避位置へ移動させつつ、移動部6Aを制御して、洗浄部材5を第1位置P1へ移動させる。第1位置P1は、接触位置に含まれる。図5に示すように、制御装置101(制御部102)は、洗浄部材5を第1位置P1へ移動させると、基板処理部2に第1洗浄処理を開始させる(ステップS3)。
【0108】
詳しくは、図7(a)に示すように、制御装置101(制御部102)は、第1洗浄処理時に移動部6Aを制御して、洗浄部材5の接触部51を、基板Wの上面に形成されているレジストに接触させる。その後、制御装置101(制御部102)は、洗浄部材5による洗浄処理を開始させる。
【0109】
具体的には、制御装置101(制御部102)は、回転駆動部54を制御して、接触部51を回転させる。そして、制御装置101(制御部102)は、移動部6Aを制御して、図3を参照して説明したように、洗浄部材5を第1位置P1と第2位置P2との間で往復させる。この間、洗浄部材5は接触位置に配置されている。換言すると、洗浄部材5が第1位置P1と第2位置P2との間で往復移動している際に、接触部51は、基板Wの上面に形成されているレジストに接触している。
【0110】
また、制御装置101(制御部102)は、第1薬液供給部7Aを制御して、接触部51から基板Wへ過酸化水素水へ供給させる。本実施形態では、制御装置101(制御部102)は更に、第2薬液供給部7Bを制御して、流路形成部材522の下面(吐出口52c)から基板Wへ向けて硫酸を供給させる。
【0111】
なお、第1洗浄処理では、制御装置101(制御部102)は、基板Wを回転させる。したがって、回転している基板Wに対して、洗浄部材5が第1位置P1と第2位置P2との間で往復移動する。
【0112】
本実施形態によれば、接触部51から基板Wへ過酸化水素水を供給することで、SPMの液膜LM1に含まれる未反応の硫酸と過酸化水素水とを反応させて、新鮮なカロ酸を基板W上で生成することができる。したがって、レジストを効率よく剥離することができる。特に、レジストが硬化層を含む場合、新鮮なカロ酸によって効率よく硬化層を剥離することができる。
【0113】
また、本実施形態によれば、接触部51から基板Wへ過酸化水素水を供給するため、接触部51に硫酸が接触して接触部51が劣化することを抑制することができる。
【0114】
更に、本実施形態によれば、接触部51を接触位置に配置することで、古いSPMを接触部51の周りから排除しつつ、接触部51の周りで新鮮なカロ酸を生成することができる。したがって、レジストを効率よく剥離することができる。特に、本実施形態では、接触部51が回転するため、古いSPMを接触部51の周りから効率よく排除することができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、第1洗浄処理時に、接触部51の周囲から基板Wに硫酸を供給することができる。その結果、新鮮なカロ酸を効率よく生成することができる。したがって、より効率よくレジストを剥離することができる。更に、第1洗浄処理時では基板Wを回転させるため、古いSPMを基板Wから排出させることができる。したがって、基板W上のSPMを古いSPMから新しいSPMへ置換することができる。よって、より効率よくレジストを剥離することができる。
【0116】
図5に示すように、制御装置101(制御部102)は、第1洗浄処理を開始してから、予め規定された時間が経過すると、第1洗浄処理を終了させて、基板処理部2に第2洗浄処理を開始させる(ステップS4)。
【0117】
具体的には、図7(b)に示すように、第2洗浄処理を開始すると、制御装置101(制御部102)は、基板回転部4を制御して、基板Wの回転を停止させる。この結果、基板Wの回転が停止した状態で、第1洗浄処理時と同様に、洗浄部材5による洗浄処理が実行される。
【0118】
なお、既に説明したように、接触位置は、基板Wの上面に液膜が形成されていない状態において、基板Wに形成されているレジストに接触部51が接触する位置であるが、図8に示すように、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に接触部51は基板Wに接触していなくてもよい。つまり、基板Wの上面Waと接触部51の先端面51a(下面)との間に隙間Gが形成されてもよい。隙間Gは、基板Wの上面Waと接触部51の先端面51a(下面)との間に液体が浸入することによって形成される。
【0119】
図5に示すように、制御装置101(制御部102)は、第2洗浄処理を開始してから、予め規定された時間が経過すると、第2洗浄処理を終了させて、基板処理部2に第3洗浄処理を開始させる(ステップS5)。
【0120】
具体的には、図9(a)に示すように、制御装置101(制御部102)は、基板回転部4を制御して、基板保持部3に保持された基板Wの回転を開始させる。また、制御装置101(制御部102)は、移動部6A及び移動部6Bを制御して、洗浄部材5を第1退避位置へ移動させつつ、第1ノズル8を処理位置まで移動させる。
【0121】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転速度が予め定められた第2回転速度に達すると、第3薬液供給部7C及び第4薬液供給部7Dを制御して、回転中の基板Wに向けて第1ノズル8からSPMを吐出させる。なお、第2回転速度は、第1回転速度より高速の回転速度であってもよい。
【0122】
本実施形態によれば、第1洗浄処理及び第2洗浄処理の後に、第3洗浄処理を実行することができる。したがって、第1洗浄処理及び第2洗浄処理では全てのレジストを除去できなかった場合でも、第3洗浄処理によりレジストの残渣を除去することができる。したがって、基板Wをより清浄にすることができる。例えば、レジストに硬化層が含まれる場合、第1洗浄処理及び第2洗浄処理によって硬化層を剥離した後、第3洗浄処理によってレジストの残渣を剥離することができる。
【0123】
また、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に、基板Wから剥離したレジストが接触部51に付着する可能性がある。そして、接触部51に付着したレジストが基板Wに再付着する可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、基板Wに再付着したレジストを第3洗浄処理によって除去することができる。したがって、基板Wをより清浄にすることができる。
【0124】
図5に示すように、制御装置101(制御部102)は、第3洗浄処理を開始してから、予め規定された時間が経過すると、第3洗浄処理を終了させて、基板処理部2に過酸化水素水供給処理を開始させる(ステップS6)。
【0125】
具体的には、図9(b)に示すように、第3薬液供給部7Cを制御して、第1ノズル8への硫酸の供給を停止させる。この結果、回転中の基板Wに向けて第1ノズル8から過酸化水素水が吐出されて、基板Wの上面に過酸化水素水の液膜LM2が形成される。詳しくは、過酸化水素水によって、SPMが基板Wの上面から排出されて、SPMの液膜LM1が過酸化水素水の液膜LM2に置換される。
【0126】
制御装置101(制御部102)は、過酸化水素水の吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、第4薬液供給部7Dを制御して、過酸化水素水の吐出を停止させる。その後、制御装置101(制御部102)は、移動部6Bを制御して、第1ノズル8を第2退避位置へ退避させる。
【0127】
制御装置101(制御部102)は、第1ノズル8を第2退避位置へ退避させた後、リンス液供給部7Eを制御して、回転中の基板Wに向けて第2ノズル9からリンス液を吐出させる(ステップS7)。この結果、基板Wの上面にリンス液の液膜が形成される。詳しくは、リンス液によって、過酸化水素水が基板Wの上面から排出されて、過酸化水素水の液膜LM2がリンス液の液膜に置換される。
【0128】
制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、リンス液供給部7Eを制御して、リンス液の吐出を停止させる。制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出を停止させた後、基板Wの上面からリンス液を除去して基板Wの上面を乾燥させる乾燥処理を実行する(ステップS8)。
【0129】
具体的には、制御装置101(制御部102)は、基板回転部4を制御して、基板Wを高速回転させる。基板Wを高速回転させることにより、基板Wに付着しているリンス液が振り切られて基板Wが乾燥される。
【0130】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの高速回転を開始してから、予め規定された時間が経過した後、基板回転部4を制御して、基板Wの回転を停止させる。基板Wの回転が停止すると、制御装置101(制御部102)は、基板保持部3を制御して、基板Wの保持を解除させる。基板保持部3による基板Wの保持が解除されると、制御装置101(制御部102)は、センターロボットCRを制御して、基板Wを処理室2aから搬出させる(ステップS9)。この結果、図5に示す処理が終了する。
【0131】
以上、図1図9を参照して、本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、レジストの剥離性能を向上させることができる。
【0132】
なお、本実施形態では、第1洗浄処理を開始してから、予め規定された時間が経過すると、第2洗浄処理が開始したが、制御装置101(制御部102)は、第1洗浄処理を開始してから、洗浄部材5の往復回数が予め規定された回数に達すると、第2洗浄処理を開始させてもよい。
【0133】
同様に、本実施形態では、第2洗浄処理を開始してから、予め規定された時間が経過すると、第3洗浄処理が開始したが、制御装置101(制御部102)は、第2洗浄処理を開始してから、洗浄部材5の往復回数が予め規定された回数に達すると、第3洗浄処理を開始させてもよい。
【0134】
また、本実施形態では、第2洗浄処理時に基板Wの回転を停止させたが、第2洗浄処理時に、基板Wを低速回転させてもよい。具体的には、制御装置101(制御部102)は、基板回転部4を制御して、第1回転速度よりも低い回転速度で基板Wを回転させてもよい。例えば、制御装置101(制御部102)は、接触部51が基板Wに接触していない状態でSPMの液膜LM1が維持できる程度の回転速度で基板Wを回転させてもよい。より具体的には、制御装置101(制御部102)は、接触部51が基板Wに接触していない状態で基板Wの周縁からSPMが流れ落ちない程度の回転速度で基板Wを回転させてもよい。
【0135】
また、本実施形態において、洗浄部材5は、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に第1位置P1と第2位置P2との間を往復したが、洗浄部材5は、第1位置P1から第2位置P2まで移動した後に第1退避位置へ移動してもよい。あるいは、洗浄部材5は、基板Wの中心位置CPと第1位置P1との間を往復してもよいし、基板Wの中心位置CPから第1位置P1まで移動した後に第1退避位置へ移動してもよい。同様に、洗浄部材5は、基板Wの中心位置CPと第2位置P2との間を往復してもよいし、基板Wの中心位置CPから第2位置P2まで移動した後に第1退避位置へ移動してもよい。
【0136】
また、本実施形態では、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に接触部51を回転させたが、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に接触部51を回転させなくてもよい。例えば、回転駆動部54が省略されてもよい。
【0137】
また、本実施形態では、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に洗浄部材5が移動したが、接触部51の先端面51a(下面)の寸法によっては、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に洗浄部材5は移動しなくてもよい。
【0138】
続いて、図10図12を参照して、洗浄部材5の変形例を説明する。図1図9を参照して説明した実施形態において、洗浄部材5(流路形成部材522)は、複数の円弧状の吐出口52cを有したが、吐出口52cの形状は特に限定されない。図10は、洗浄部材5の変形例1の底面図である。図10に示すように、洗浄部材5(流路形成部材522)は、円環状の吐出口52cを有してもよい。あるいは、洗浄部材5(流路形成部材522)は、複数の円形状の吐出口52cを有してもよい。複数の円形状の吐出口52cは、接触部51の側面に沿って配列される。
【0139】
また、図1図9を参照して説明した実施形態において、接触部51は円柱状であったが、接触部51の形状は特に限定されない。図11(a)は、洗浄部材5の変形例2を示す側面図である。図11(b)は、洗浄部材5の変形例2を示す底面図である。
【0140】
図11(a)及び図11(b)に示すように、接触部51は、直方体状であってもよい。この場合、図11(b)に示すように、接触部51の側面は矩形状であり、吐出口52cは、接触部51の側面に沿って延びる矩形状の領域に配置される。具体的には、図11(b)に示すように、流路形成部材522は、複数の直線状の吐出口52cを有してもよい。
【0141】
詳しくは、直線状の吐出口52cは、洗浄部材5の進行方向側に配置される。例えば、図3を参照して説明したように、洗浄部材5が第1位置P1と第2位置P2との間で往復移動する場合、直線状の吐出口52cは、第1位置P1から第2位置P2へ向かう側と、第2位置P2から第1位置P1へ向かう側との両側に配置される。
【0142】
なお、第2変形例において、直線状の吐出口52cは、接触部51を挟む両側に配置されたが、直線状の吐出口52cは、接触部51を挟む両側のうちの一方側にのみ配置されてもよい。例えば、洗浄部材5が第1位置P1から第2位置P2へ移動した後に第1退避位置へ移動する場合、直線状の吐出口52cは、第1位置P1から第2位置P2へ向かう側にのみ配置されてもよい。
【0143】
続いて、図12(a)~図12(d)を参照して、洗浄部材5の第3変形例~第6変形例を説明する。図12(a)は、洗浄部材5の変形例3の底面図である。図12(b)は、洗浄部材5の変形例4の底面図である。図12(c)は、洗浄部材5の変形例5の底面図である。図12(d)は、洗浄部材5の変形例6の底面図である。
【0144】
例えば、図12(a)に示すように、接触部51を挟む両側に直線状の吐出口52cが一つずつ配置されてもよい。また、図12(b)に示すように、複数の直線状の吐出口52cによって接触部51が囲まれてもよい。あるいは、図12(c)に示すように、流路形成部材522は、環状(矩形状)の吐出口52cを有してもよい。
【0145】
また、変形例2~変形例5において、接触部51及び支持部52は、洗浄部材5の進行方向に直交する方向に延びる長辺を有したが、図12(d)に示すように、接触部51及び支持部52は、洗浄部材5の進行方向に延びる長辺を有してもよい。換言すると、変形例2~変形例5において、接触部51及び支持部52は、第1アーム61Aが延びる方向に長い形状であったが、図12(d)に示すように、接触部51及び支持部52は、第1アーム61Aが延びる方向に直交する方向に長い形状であってもよい。
【0146】
なお、接触部51及び支持部52が直方体状である場合、接触部51及び支持部52の長手方向の寸法によっては、回転駆動部54が省略されてもよい。
【0147】
また、変形例2~変形例6において、接触部51及び支持部52は直方体状であったが、接触部51及び支持部52は、立方体状であってもよい。
【0148】
[実施形態2]
続いて図13図15を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、実施形態1と異なり、洗浄部材5が硫酸を吐出しない。
【0149】
図13は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。図14は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す平面図である。詳しくは、図14は、上側から視た基板処理部2の内部を示す。
【0150】
図13に示すように、本実施形態において、洗浄部材5は、支持部52Aを有する。実施形態1において、支持部52には硫酸が供給されたが、支持部52Aには硫酸が供給されない。具体的には、図14に示すように、支持部52Aは、支持部材521を含み、流路形成部材522を含まない。
【0151】
図15は、本実施形態の基板処理装置100の構成の一部を模式的に示す図である。図14及び図15に示すように、本実施形態において、基板処理部2は、第3ノズル12と、第4ノズル13とを更に有する。また、本実施形態において、移動部6Aは、第3アーム61Cと、第4アーム61Dとを更に有する。また、第1薬液供給部7Aは、第1硫酸供給部7Fと、第2硫酸供給部7Gとを含む。
【0152】
第3ノズル12及び第4ノズル13は、洗浄部材5に隣り合う位置に配置されて、洗浄部材5を挟んで対向する。詳しくは、第3ノズル12及び第4ノズル13は、洗浄部材5の進行方向側に配置される。具体的には、第3ノズル12は、洗浄部材5が第1位置P1から第2位置P2へ向かう側に配置される。第4ノズル13は、洗浄部材5が第2位置P2から第1位置P1へ向かう側に配置される。
【0153】
第3アーム61C及び第4アーム61Dは、第1基台62Aに結合されて、第1基台62Aにから水平方向に沿って延びる。詳しくは、第3アーム61C及び第4アーム61Dは、第1アーム61Aと平行に延びる。第3アーム61Cの先端部に第3ノズル12が配置される。第4アーム61Dの先端部に第4ノズル13が配置される。
【0154】
第1硫酸供給部7Fは、第3ノズル12に硫酸を供給する。具体的には、第1硫酸供給部7Fは、供給配管711Aと、開閉弁721Aと、流量調整弁731Aとを含む。第1硫酸供給部7Fの構成は、実施形態1で説明した第1薬液供給部7Aと略同様であるため、その説明は割愛する。
【0155】
第2硫酸供給部7Gは、第4ノズル13に硫酸を供給する。具体的には、第2硫酸供給部7Gは、供給配管712Aと、開閉弁722Aと、流量調整弁732Aとを含む。第2硫酸供給部7Gの構成は、実施形態1で説明した第1薬液供給部7Aと略同様であるため、その説明は割愛する。
【0156】
制御装置101(制御部102)は、図5に示す第1洗浄処理(ステップS3)及び第2洗浄処理(ステップS4)において、洗浄部材5が第1位置P1から第2位置P2へ移動する際に、第1硫酸供給部7Fを制御して、第3ノズル12から基板Wへ向けて硫酸を吐出させる。また、制御装置101(制御部102)は、図5に示す第1洗浄処理(ステップS3)及び第2洗浄処理(ステップS4)において、洗浄部材5が第2位置P2から第1位置P1へ移動する際に、第2硫酸供給部7Gを制御して、第4ノズル13から基板Wへ向けて硫酸を吐出させる。
【0157】
以上、図13図15を参照して本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、レジストの剥離性能を向上させることができる。
【0158】
なお、本実施形態では、図5に示す第1洗浄処理(ステップS3)及び第2洗浄処理(ステップS4)において、第3ノズル12と第4ノズル13とから交互に硫酸が吐出されが、第3ノズル12と第4ノズル13とから同時に硫酸が吐出されてもよい。
【0159】
また、本実施形態では、基板処理部2が第3ノズル12と第4ノズル13とを有したが、基板処理部2は、第3ノズル12と第4ノズル13とのうちの一方のみを有してもよい。例えば、洗浄部材5が第1位置P1から第2位置P2へ移動した後、第1退避位置へ移動する場合、基板処理部2は、第3ノズル12と第4ノズル13とのうち、第3ノズル12のみを有してもよい。
【0160】
また、本実施形態において、接触部51及び支持部材521は円柱状であったが、接触部51及び支持部材521の形状は特に限定されない。接触部51及び支持部材521は、例えば、直方体状であってもよいし、立方体状であってもよい。なお、接触部51及び支持部材521が直方体状である場合、接触部51及び支持部材521の長手方向の寸法によっては、回転駆動部54が省略されてもよい。
【0161】
以上、図面(図1図15)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0162】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0163】
例えば、図1図15を参照して説明した実施形態において、基板保持部3は、複数のチャック部材32を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックであったが、基板Wを保持する方式は、基板Wを水平に保持できる限り、特に限定されない。例えば、基板保持部3は、バキューム式のチャックであってもよいし、ベルヌーイ式のチャックであってもよい。
【0164】
また、図1図15を参照して説明した実施形態において、第1ノズル8は、基板Wの中心位置CPに対向する位置から基板Wに向けて薬液を吐出したが、第1ノズル8は、第4回転軸線AX4を中心とする円弧状の軌跡に沿って移動しながら基板Wに向けて薬液を吐出してもよい。すなわち、第1ノズル8は、スキャンノズルであってもよい。
【0165】
また、図1図15を参照して説明した実施形態において、基板処理部2は、第1ノズル8からSPMを基板Wに供給したが、基板処理部2は、2つノズルから硫酸と過酸化水素水とを基板Wに供給してもよい。この場合、基板Wの上面において硫酸と過酸化水素水とが混合されてSPMが生成される。
【0166】
また、図1図15を参照して説明した実施形態では、第1洗浄処理の開始前にSPMの液膜LM1を形成したが、第1洗浄処理の開始前に、回転中の基板Wに向けて第1ノズル8から硫酸を吐出させて、硫酸の液膜を形成してもよい。
【0167】
また、図1図15を参照して説明した実施形態において、洗浄部材5による洗浄処理は、接触部51の周囲から基板Wに硫酸を供給する処理を含むが、接触部51の周囲から基板Wに硫酸を供給する処理は省略されてもよい。具体的には、流路形成部材522、又は、第3ノズル12及び第4ノズル13は省略されてもよい。
【0168】
また、図1図15を参照して説明した実施形態では、第2洗浄処理(図5のステップS4)が実行されたが、第2洗浄処理は省略されてもよい。
【0169】
また、図1図15を参照して説明した実施形態では、第3洗浄処理(図5のステップS5)及び過酸化水素水供給処理(図5のステップS6)が実行されたが、第3洗浄処理及び過酸化水素水供給処理は省略されてもよい。
【0170】
また、図1図15を参照して説明した実施形態において、洗浄部材5は第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に円弧状の軌跡に沿って移動したが、洗浄部材5は第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に直進してもよい。すなわち、洗浄部材5は、第1洗浄処理時及び第2洗浄処理時に、直線状の軌跡に沿って往復してもよいし、一方側にのみ移動してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、基板を処理する装置、及び基板を処理する方法に有用である。
【符号の説明】
【0172】
2 :基板処理部
3 :基板保持部
4 :基板回転部
5 :洗浄部材
6A :移動部
7A :第1薬液供給部
7B :第2薬液供給部
7C :第3薬液供給部
7D :第4薬液供給部
7F :第1硫酸供給部
7G :第2硫酸供給部
8 :第1ノズル
12 :第3ノズル
13 :第4ノズル
51 :接触部
51a :先端面
52 :支持部
52A :支持部
52c :吐出口
53 :回転軸部
54 :回転駆動部
63A :第1移動機構
64A :回転機構
65A :押圧調整機構
100 :基板処理装置
101 :制御装置
102 :制御部
521 :支持部材
522 :流路形成部材
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15