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特開2024-148311出力物、被潜像模様を画面に表示する方法、及びソフトウェア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148311
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】出力物、被潜像模様を画面に表示する方法、及びソフトウェア
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20241010BHJP
   H04N 1/32 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G06T1/00 500B
H04N1/32 144
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061344
(22)【出願日】2023-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】506218239
【氏名又は名称】株式会社セントラルプロフィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】田畠 義之
(72)【発明者】
【氏名】中島 利章
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一矢
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD03
5B057CD04
5B057CE05
5B057CE06
5B057CE08
5B057CH09
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC05
5B057DC08
(57)【要約】
【課題】階調を有する被潜像模様を潜像化した潜像化画像の出力物、被潜像模様を可視化した可視化画像を画面に表示する方法及びソフトウェアを提供する。
【解決手段】本発明では、画線〔S〕を有するユニット〔U〕を連続的かつ規則的に配置し、被潜像模様〔1〕の光量〔18〕に応じて画線〔S〕を回転させることで、被潜像模様〔1〕を潜像化した潜像化画像〔4〕を形成する。また、本発明では、潜像化画像〔4〕の出力物〔5〕を撮像した映像信号〔15〕から静止画〔16〕を抜き出し、画線〔S〕の特徴点を抽出、平滑化及び平均化することで、潜像化された被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示する。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも媒体の一部に、第1の潜像化画像が出力された印刷/表示領域を有する出力物であって、
前記第1の潜像化画像は、仮想領域を定める正円形のユニットが、連続的かつ規則的に矩形内に複数配置され、
それぞれの前記ユニット内には、前記ユニットの中心を通る棒状の画線を有し、
それぞれの前記ユニット内の前記画線は、可視化処理におけるグレースケールの光量に応じた回転角度で配置され、
それぞれの前記ユニット内の前記画線によって、階調を有する被潜像模様を潜像化した前記第1の潜像化画像が形成され、
前記印刷/表示領域を撮像し、撮像された前記第1の潜像化画像をコンピュータ処理することで、前記被潜像模様を可視化した可視化画像を画面に表示する
ことを特徴とする出力物。
【請求項2】
前記ユニットの前記中心が千鳥状となるように、複数の前記ユニットが配置され、
行方向に配置される前記ユニットは、隣り合う前記ユニットの前記中心同士の間隔が、前記ユニットの外径寸法に等しく配置され、
n行目に配置される前記ユニットの前記中心及びn+1行目に配置される前記ユニットの前記中心は、行方向に前記外径寸法の1/2ずれた位置関係、列方向に前記外径寸法の√3/2の間隔で配置され、
前記画線は、8bit値の光量が128未満の色とし、
前記画線は、前記外径寸法を超えない形状及び大きさであり、
前記画線は、縦横比が1:4以上であり、
前記画線は、前記ユニットの前記中心を回転軸として、前記被潜像模様の8bit値の光量に応じて回転し、前記回転角度を0度乃至90度の範囲とする
ことを特徴とする請求項1に記載の出力物。
【請求項3】
複数配置される前記ユニットの前記行方向及び前記方向が、前記第1の潜像化画像の前記矩形の辺に対して、1度乃至29度の範囲で傾いて配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の出力物。
【請求項4】
前記第1の潜像化画像に、8bit値の光量が192以上の色の可視模様を合成して、第2の潜像化画像が形成された場合には、
撮像された前記第2の潜像化画像を前記コンピュータ処理することで、前記被潜像模様を可視化した前記可視化画像を前記画面に表示する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の出力物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の出力物を撮像したものから、前記被潜像模様を可視化した前記可視化画像を前記画面に表示する方法であって、
前記出力物を撮像して、映像信号を取得するステップと、
前記映像信号から、フレームを抜き出して静止画を取得するステップと、
前記静止画から、明度を第1の画像として取得するステップと、
前記第1の画像に、第1のトーンカーブを適用して、前記可視模様を消除した第2の画像を取得するステップと、
前記第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、前記画線の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、
前記第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、前記特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、
前記第4の画像に、第2のトーンカーブを適用して、コントラストを調整した前記可視化画像を取得するステップと、
前記可視化画像を、画面に表示するステップを備える
ことを特徴とする前記被潜像模様を可視化する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の前記被潜像模様を可視化する方法を、撮像部、画像処理部及び表示部を備える情報端末に実行させるためのソフトウェアであって、
前記出力物を撮像して、前記映像信号を取得する前記ステップと、
前記映像信号から、前記フレームを抜き出して前記静止画を取得する前記ステップと、
前記静止画から、前記明度を前記第1の画像として取得する前記ステップと、
前記第1の画像に、前記第1のトーンカーブを適用して、前記可視模様を消除した前記第2の画像を取得する前記ステップと、
前記第2の画像に、前記第1の畳み込み演算を行って、前記画線の前記特徴点を抽出した前記第3の画像を取得する前記ステップと、
前記第3の画像に、前記第2の畳み込み演算を行って、前記特徴点を平滑化・平均化した前記第4の画像を取得する前記ステップと、
前記第4の画像に、前記第2のトーンカーブを適用して、前記コントラストを調整した前記可視化画像を取得する前記ステップと、
前記可視化画像を、前記画面に表示する前記ステップと
を前記情報端末に実行させる
ことを特徴とするソフトウェア。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階調を有する模様(以下「被潜像模様」という。)を潜像化する潜像化技術及び潜像化した画像から被潜像模様を可視化する出力物、被潜像模様を画面に表示する方法、及びソフトウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画面とカメラを具備する情報端末(例えば、スマートフォン)にコンテンツを表示する画像処理の分野では、現実の映像αをコンピュータ処理することで、その場には実在していない仮想的な物体βを重畳したものを画面へ表示する拡張現実(AR:Augmented Reality)技術がある。この拡張現実は、映像αから特徴点またはマーカーを検出、もしくは情報端末のGPS機能から位置情報を取得することで、重畳すべき物体βを判別して映像αに合成するのが一般的な手法である。
【0003】
そのため、拡張現実では映像αに物体βを関連付ける情報(特徴点、マーカー、位置情報等)及び物体βの画像をアプリケーションやウェブサイト上に事前登録しなければならない。すなわち、物体βを重畳できるのは既知の映像αに限定され、未知の映像αに対して有意な物体βを重畳することは不可能である。また、映像αの情報を事前登録した場合でも、同一の位置において、無地または同一の模様を撮像した複数の映像αに対して、それぞれに異なる物体βを重畳させることは技術的に困難とされている。
【0004】
一方、印刷分野には、情報端末で撮像される印刷物γそのものに印刷物γの模様とは異なる模様(以下「被潜像模様δ」という。)を潜ませ、それをコンピュータ処理によって可視化する技術がある。例えば、特許文献1には、被潜像模様δを潜像化した印刷模様(印刷物γ)を形成する手法が示されており、特許文献2のような読取方法によって、潜像化されていた被潜像模様δを情報端末の画面に表示する手法が示されている。
【0005】
このように、撮像される印刷物γに、人の視覚では認識できない状態の被潜像模様δを潜ませておけば、印刷物γと被潜像模様δを関連付ける情報及び被潜像模様δを、アプリケーションやウェブサイト上に事前登録する必要がない。また、無地または同一の模様の印刷物γに対して、それぞれに異なる被潜像模様δを出現させることも容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6976527号公報
【特許文献2】特許第7024982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、被潜像模様δを潜像化する手法(以下「潜像化技術」という。)である。この特許文献1では、同一の形状と大きさを有する微細な画線を、2方向の角度を持たせて規則的に並べることで被潜像模様δを潜像化している。しかしながら、この2方向の角度はポジとネガの関係性にあるため、被潜像模様δは、白と黒のみで構成された2階調の模様に限定されるという課題があった。
【0008】
なお、白と黒のみであってもディザリング手法(例えば、誤差拡散法)を用いれば疑似的な階調再現は可能であるが、その表現力は、グレースケールのように階調を有する模様の場合、画質面で劣るという課題があった。
【0009】
特許文献2は、印刷物γから被潜像模様δを抽出/可視化する手法(以下「可視化技術」という。)である。特許文献2では、印刷物γの画線の特徴点を微分フィルターによって抽出するため、その前処理として、被潜像模様δを構成する画線以外を除去する平滑化処理を行っているが、同時に被潜像模様δを構成する画線も平滑化されてしまい、抽出された被潜像模様δが不鮮明になってしまうという課題があった。
【0010】
本発明は、前述した課題を解決するものであり、階調を有する被潜像模様δを潜像化した出力物、被潜像模様δを画面に表示する方法、及びソフトウェアの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の本発明の出力物〔5〕は、少なくとも媒体の一部に、第1の潜像化画像〔4〕が出力された印刷/表示領域を有する出力物〔5〕であって、第1の潜像化画像〔4〕は、仮想領域を定める正円形のユニット〔U〕が、連続的かつ規則的に矩形内に複数配置され、第1の潜像化画像〔4〕は、仮想領域を定める正円形のユニット〔U〕が、連続的かつ規則的に矩形内に複数配置され、それぞれのユニット〔U〕内には、ユニット〔U〕の中心を通る棒状の画線〔S〕を有し、それぞれのユニット〔U〕内の画線〔S〕は、可視化処理におけるグレースケール〔9〕の光量〔18〕に応じた回転角度〔r〕で配置され、それぞれのユニット〔U〕内の画線〔S〕によって、階調を有する被潜像模様〔1〕を潜像化した第1の潜像化画像〔4〕が形成され、印刷/表示領域を撮像し、撮像された第1の潜像化画像〔4〕をコンピュータ〔3〕処理することで、被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の出力物〔5〕において、ユニット〔U〕の中心が千鳥状となるように、複数のユニット〔U〕が配置され、行方向に配置されるユニット〔U〕は、隣り合うユニット〔U〕の中心同士の間隔〔m〕が、ユニット〔U〕の外径寸法〔d〕に等しく配置され、n行目に配置されるユニット〔U〕の中心及びn+1行目に配置されるユニット〔U〕の中心は、行方向に外径寸法〔d〕の1/2ずれた位置関係、列方向に外径寸法〔d〕の√3/2の間隔〔dv〕で配置され、画線〔S〕は、8bit値の光量〔18〕が128未満の色とし、画線〔S〕は、外径寸法〔d〕を超えない形状及び大きさであり、画線〔S〕は、縦横比が1:4以上であり、画線〔S〕は、ユニット〔U〕の中心を回転軸として、被潜像模様〔1〕の8bit値の光量〔18〕に応じて回転し、回転角度〔r〕を0度乃至90度の範囲とすることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の出力物〔5〕において、複数配置されるユニット〔U〕の行方向及び方向が、第1の潜像化画像〔4〕の矩形の辺に対して、1度乃至29度の範囲で傾いて配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明は、請求項2または請求項3に記載の出力物〔5〕において、第1の潜像化画像〔4〕に、8bit値の光量〔18〕が192以上の色の可視模様〔2〕を合成して、第2の潜像化画像〔4〕が形成された場合には、撮像された第2の潜像化画像〔4〕をコンピュータ〔3〕処理することで、被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の本発明の被潜像模様〔1〕を可視化する方法は、請求項1乃至請求項4に記載の出力物〔5〕を撮像したものから、被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示する方法であって、出力物〔5〕を撮像して、映像信号〔15〕を取得するステップと、映像信号〔15〕から、フレームを抜き出して静止画〔16〕を取得するステップと、静止画〔16〕から、明度を第1の画像として取得するステップと、第1の画像に、第1のトーンカーブ〔12〕を適用して、可視模様〔2〕を消除した第2の画像を取得するステップと、第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、画線〔S〕の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、第4の画像に、第2のトーンカーブ〔12〕を適用して、コントラストを調整した可視化画像〔7〕を取得するステップと、可視化画像〔7〕を、画面に表示するステップを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の本発明のソフトウェア〔8〕は、請求項5に記載の被潜像模様〔1〕を可視化する方法を、撮像部〔U01〕、画像処理部〔U02〕及び表示部〔U03〕を備える情報端末〔6〕に実行させるためのソフトウェア〔8〕であって、出力物〔5〕を撮像して、映像信号〔15〕を取得するステップと、映像信号〔15〕から、フレームを抜き出して静止画〔16〕を取得するステップと、静止画〔16〕から、明度を第1の画像として取得するステップと、第1の画像に、第1のトーンカーブ〔12〕を適用して、可視模様〔2〕を消除した第2の画像を取得するステップと、第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、画線〔S〕の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、第4の画像に、第2のトーンカーブ〔12〕を適用して、コントラストを調整した可視化画像〔7〕を取得するステップと、可視化画像〔7〕を、画面に表示するステップを情報端末〔6〕に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、階調を有する被潜像模様を潜像化した潜像化画像から、出力物を作製できる。また、本発明によれば、潜像化された被潜像模様を可視化した可視化画像を、画面に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の潜像化技術を示す概要図
図2】本発明の可視化技術を示す概要図
図3】本発明の潜像化画像を示す概要図
図4】ユニットの構成を示す図
図5】出力物を情報端末で撮像する状況と距離を示す図
図6】画線の形状の例を示す図
図7】画線の回転を示す図
図8】ユニットの配置を示す図
図9】ユニットの配置と画線の回転を示す図
図10】被潜像模様の潜像化を示す図
図11】出力物を情報端末で撮像した状態を示す図
図12】ユニットのグリッド配置の傾きを示す図
図13】グリッド配置の傾きと画線の回転を示す図
図14】潜像化画像に合成する可視模様を示す図
図15】潜像化画像と可視模様の合成と出力を示す図
図16】情報端末の構成を示す図
図17】可視化技術の手順を示すフローチャート
図18】コンピュータ処理の流れを示す図
図19】被潜像模様を可視化する手順を示すフローチャート
図20】明度の抽出を示す図
図21】トーンカーブ補正Aの適用を示す図
図22】畳み込み演算による特徴点の抽出を示す図
図23】畳み込み演算による平滑化・平均化を示す図
図24】トーンカーブ補正Bの適用を示す図
図25】本発明の実施例の印刷物を示す概要図
図26】本発明の実施例の抽選結果の確認を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明するが、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
【0020】
図1は、本発明の潜像化技術の概要を示すものである。図1に示すように、被潜像模様〔1〕と可視模様〔2〕は、コンピュータ〔3〕処理によって、被潜像模様〔1〕が潜像化(不可視化)され、可視模様〔2〕が人の視覚で認識できる状態のまま残存した潜像化画像〔4〕が形成される。なお、可視模様〔2〕は、本発明における必須条件ではないことから、無地または未使用でもよい。
【0021】
図2は、本発明の可視化技術の概要を示すものである。図2に示すように、潜像化画像〔4〕の出力物〔5〕を、画面とカメラを具備する情報端末〔6〕で撮像し、ソフトウェア〔8〕の処理によって被潜像模様〔1〕が抽出(可視化)され、可視化画像〔7〕として画面に表示される。なお、ソフトウェア〔8〕は、情報端末〔6〕にインストールしたアプリケーションであっても、情報端末〔6〕に備わるウェブブラウザー上で動作するスクリプトであってもよい。
【0022】
(潜像化技術)
図3は、本発明の潜像化画像〔4〕を示すものである。右の拡大図に示すように、潜像化画像〔4〕は、後述にて説明する画線を構成するユニット〔U〕を複数配置したものと、可視模様〔2〕を合成したものから形成される。
【0023】
図4は、画線〔S〕を構成するユニット〔U〕を示すものである。図4に示すように、ユニット〔U〕は、画線〔S〕を構成するための仮想的な領域を定める正円形であり、色彩や実線を有するものではなく、外径寸法〔d〕は、正円形の直径に等しい。
【0024】
また、ユニット〔U〕の外径寸法〔d〕は、図5に示すように、出力物〔5〕を情報端末〔6〕で撮像する距離に応じて最適値が異なる。例えば、図5(a)に示すように、出力物〔5〕と情報端末〔6〕の距離が約150mmの場合、外径寸法〔d〕は1.0mm乃至1.5mmの範囲にあるのが好ましく、図5(b)に示すように、出力物〔5〕と情報端末〔6〕の距離が約1.2mの場合、外径寸法〔d〕は3.0mm乃至5.0mmの範囲にあるのが好ましい。ただし、外径寸法〔d〕の最適値は、情報端末〔6〕のカメラの性能(視野角や解像度)に依存するため、本発明では値を限定しない。
【0025】
さらに、図4に示すように、ユニット〔U〕は領域の中心を通る棒状の画線〔S〕を有しており、この画線〔S〕はユニット〔U〕の外径寸法〔d〕を超えない形状及び大きさとする。すなわち、画線〔S〕の縦寸法〔v〕及び横寸法〔h〕は、いずれも外径寸法〔d〕未満の大きさである。
【0026】
また、画線〔S〕は、後述にて説明する可視化技術によって特徴点を抽出できるように、縦横比が異なる形状を用いる。なお、縦横比は1:4以上とし、例えば、図4の場合の縦横比は1:10である。
【0027】
また、画線〔S〕は、縦横比が異なる形状という要件を満たすものであれば、図6に示すような意匠性のある形状でもよい。
【0028】
図7は、ユニット〔U〕が有する画線〔S〕の回転を示すものである。図7に示すように、画線〔S〕は、グレースケール〔9〕の光量(8bit値の場合、0乃至255)に応じて、ユニット〔U〕の中心を回転軸に、0度乃至90度の範囲で回転する。例えば、グレースケール〔9〕の光量が170の場合、画線〔S〕の回転角度〔r〕は60度となる。なお、画線〔S〕の回転方向は、時計回りでも反時計回りでもよい。
【0029】
図8は、ユニット〔U〕の配置を示すものである。図8に示すように、ユニット〔U〕は、連続的かつ規則的に複数配置(以下「グリッド配置」という。)される。このとき、各々のユニット〔U〕の行方向の間隔〔dh〕は、ユニット〔U〕の外径寸法〔d〕に等しい。また、列方向の間隔〔dv〕は、以下に記す式1にて算出される。この算出結果は、正三角形の高さに等しいことから、隣り合うユニット〔U〕の中心同士の間隔〔m〕は、すべて外径寸法〔d〕に等しい。
【0030】
【数1】
【0031】
図9は、ユニット〔U〕のグリッド配置と、画線〔S〕の回転を示すものである。図9に示すように、ユニット〔U〕は、被潜像模様〔1〕の原点(例えば、左上端)を起点としてグリッド配置される。画線〔S〕は、被潜像模様〔1〕を各々のユニット〔U〕の範囲で平均化した光量に応じて、前述の規則に従って回転する。
【0032】
図10は、被潜像模様〔1〕の潜像化を示すものである。図10に示すように、すべての画線〔S〕を前述の通り回転した結果が、潜像化画像〔4〕となる。
【0033】
図11は、出力物〔5〕を情報端末〔6〕で撮像する状態を示すものである。図11に示すように、情報端末〔6〕のカメラ及びディスプレイの走査線〔10〕は、水平/垂直方向に並んでいるのが一般的である。このような情報端末〔6〕で、潜像化画像〔4〕の出力物〔5〕を撮像すると、干渉縞〔11〕が発生する場合がある。これは、グリッド配置の水平方向と情報端末〔6〕のカメラ/ディスプレイの走査線〔10〕が同じ方向性を持つことに起因する。このような干渉縞〔11〕は、可視化技術におけるノイズ成分となるため、可能な限り回避することが好ましい。
【0034】
図12は、ユニット〔U〕のグリッド配置の傾きを示すものである。図12に示すように、グリッド配置を1度乃至29度の範囲で傾ければ、ユニット〔U〕同士が水平方向及び垂直方向に並ばない配置となることから、図11に示すような干渉縞〔11〕の発生を回避できる。補足として、グリッド配置を30度傾けると、ユニット〔U〕が垂直方向に並ぶ配置となる。よって、グリッド配置を例えば31度乃至59度の範囲で傾けることは、本発明の技術的思想の範囲内である。なお、図12の場合の傾斜角度〔r〕は15度である。また、グリッド配置の傾斜方向は、時計回りでも反時計回りでもよい。
【0035】
図13は、ユニット〔U〕のグリッド配置の傾きと、画線〔S〕の回転を示すものである。図13に示すように、傾けたグリッド配置は、被潜像模様〔1〕を覆うように配置される。画線〔S〕は、前述の通り、被潜像模様〔1〕を各々のユニット〔U〕の範囲で平均化した光量に応じて回転する。結果、被潜像模様〔1〕の矩形の大きさで、潜像化画像〔4〕が形成される。
【0036】
図14は、潜像化画像〔4〕に合成する可視模様〔2〕を示すものである。可視模様〔2〕は、後述にて説明する可視化技術による消除を想定して、8bit値の光量を192以上にするのが好ましい。例えば、図14(a)に示すように、可視模様〔2〕が有する模様のすべての光量が192以上で構成される場合、光量の補正は不要である。一方、図14(b)に示すように、可視模様〔2’〕に光量が192未満の模様が含まれる場合、下限の光量を192とするトーンカーブ〔12〕補正を適用する。なお、可視模様〔2〕は、グレースケールに限定するものではなく、RGBまたはCMYKでもよい。この場合、各々のチャンネル(RGBの場合、Rチャンネル・Gチャンネル・Bチャンネル)がトーンカーブ〔12〕を適用する対象となる。また、前述の通り、可視模様〔2〕は、本発明における必須条件ではないことから、無地または未使用でもよい。
【0037】
図15は、潜像化画像〔4’〕と可視模様〔2〕の合成を示すものである。図15に示すように、可視模様〔2〕がある場合、被潜像模様〔1〕を潜像化した潜像化画像〔4’〕と、可視模様〔2〕を画像処理で合成(例えば、乗算合成)したものが、最終的に形成される潜像化画像〔4〕となる。なお、潜像化画像〔4〕が有する画線〔S〕は、黒色に限定するものではなく、光量が128未満であれば、RGBまたはCMYKでもよい。また、光量が128未満という条件を満たすものであれば、各々の画線〔S〕の色を変えてもよい。
【0038】
さらに、潜像化画像〔4〕を出力機器〔13〕で出力した物が、可視化技術のための出力物〔5〕となる。なお、出力機器〔13〕は、印刷機及びプリンター等のように、基材に印刷する機能を有するものすべてが含まれる。また、潜像化画像〔4〕の出力は、例えば、デジタルサイネージのような画面を具備する電子機器〔14〕でもよい。
【0039】
(可視化技術)
続いて、情報端末〔6〕によって、出力物〔5〕から被潜像模様〔1〕を可視化する方法について説明する。
【0040】
図16は、情報端末〔6〕の構成を示すものである。図16に示すように、本発明における情報端末〔6〕とは、撮像部〔U01〕、画像処理部〔U02〕、表示部〔U03〕を具備している機器である。
【0041】
撮像部〔U01〕は、カメラ機能によって、出力物〔5〕を撮像して映像信号を取得する。画像処理部〔U02〕は、撮像部〔U01〕によって取得された映像信号からフレーム(ここでは、映像を構成する1枚1枚の静止画をいう。)を抜き出し、被潜像模様〔1〕を可視化する処理を行う。表示部〔U03〕は、画像処理部〔U02〕によって可視化された可視化画像〔7〕を液晶ディスプレイ等の画面に表示する。
【0042】
補足として、画像処理部〔U02〕ではコンピュータ処理を必要とする。したがって、CPU上でOS及びソフトウェア〔8〕が動作する情報端末〔6〕が望ましい。このような情報端末〔6〕の一例として、スマートフォン、タブレットパソコン及び携帯型ゲームデバイス等が挙げられる。また、ソフトウェア〔8〕は、OSにインストールしたアプリケーションであっても、情報端末〔6〕に備わるウェブブラウザー上で動作するスクリプトであってもよい。
【0043】
本発明の可視化技術は、上述のような情報端末〔6〕を用いて、図17に示すような手順で処理する。
【0044】
ステップS01として、撮像部〔U01〕のカメラを起動する。
ステップS02として、撮像部〔U01〕のカメラから、出力物〔5〕を撮像した映像信号を取得する。
ステップS03として、ステップS02で取得した映像信号から、1フレームを抜き出して静止画を取得する。
ステップS04として、画像処理部〔U02〕によって、ステップS03で取得した静止画から、可視模様〔2〕を消除して、被潜像模様〔1〕を可視化する処理を行う。
ステップS05として、表示部〔U03〕によって、ステップS04で可視化された可視化画像〔7〕を画面に表示する。なお、ステップS03乃至ステップS05の処理を繰り返すことで、常に最新の可視化画像〔7〕が画面に表示される。
ステップS06として、撮像部〔U01〕のカメラの動作を停止して、ソフトウェア〔8〕を終了する。
【0045】
図18は、画像処理部〔U02〕のコンピュータ処理の流れを示すものである。図18に示すように、映像信号〔15〕は、例えば30fps(frames per second)のフレームレートで映像が更新される。画像処理部〔U02〕では、ステップS03として、映像信号〔15〕から1フレームを抜き出して静止画〔16〕を取得する。次に、ステップS04として、静止画〔16〕から被潜像模様〔1〕を可視化する処理を行い、ステップS05として、情報端末〔6〕の画面に可視化画像〔7〕を表示する。この1処理に要する時間が処理時間〔T〕であり、処理時間〔T〕は可能な限り短いことが好ましい。したがって、ステップS04のコンピュータ処理では、マルチスレッド処理やビットシフト演算等によって、処理時間〔T〕を短縮するのが望ましい。
【0046】
補足として、画像処理部〔U02〕は、上述の処理を繰り返し実行する。一方、映像信号〔15〕は非同期で取得されるため、フレームAの静止画〔16〕の処理が完了した後、次に処理されるのはフレームDとなる。すなわち、フレームB乃至フレームCは、画像処理部〔U02〕によって処理されることはない。
【0047】
また、ステップS04は、被潜像模様〔1〕を可視化するために行うもので、図19に示すような手順で処理する。
【0048】
ステップS11として、静止画〔16〕から明度を第1の画像として取得する。
ステップS12として、ステップS11で取得した第1の画像に対して、トーンカーブ補正Aを適用して、第2の画像を取得する。なお、ステップS11乃至ステップS12は、可視模様〔2〕を消除するための処理である。
ステップS13として、ステップS12で取得した第2の画像に対して、畳み込み演算を行って、画線〔S〕の特徴点を抽出した第3の画像を取得する。
ステップS14として、ステップS13で取得した第3の画像に対して、畳み込み演算を行って、特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得する。
ステップS15として、ステップS14で取得した第4の画像に対して、トーンカーブ補正Bを適用して、可視化画像〔7〕を取得する。なお、ステップS13乃至ステップS15は、被潜像模様〔1〕を可視化するための処理である。
【0049】
図20は、ステップS11における明度(L)の抽出を示すものである。例えば、図20(a)に示すように、一般的なグレースケールへの変換式の場合、色相環〔17〕に濃度差が生じることから、色彩を有する可視模様〔2〕を消除できない。そのため、本発明では、以下に記す式2にて明度(L)を算出して、図20(b)に示すように、可視模様〔2〕から色相及び彩度の情報を除外して、色彩で構成された模様を消除する。
【0050】
【数2】
【0051】
図21は、ステップS12におけるトーンカーブ補正Aの適用を示すものである。図21に示すように、トーンカーブ〔12〕を第1の画像に適用することで、可視模様〔2〕から明暗差のある模様を消除する。なお、図21のトーンカーブ〔12〕は一例を示すものであり、可視模様〔2〕の明暗差を消除できるものであれば、計算式を限定しない。
【0052】
また、潜像化技術において記した通り、可視模様〔2〕は光量が192以上で構成されている。そのため、図21のようなトーンカーブ〔12〕の適用によって、光量が192以上の明暗差が減少し、可視模様〔2〕の「星模様」は、可視模様〔2’〕のように消除される。さらに、トーンカーブ〔12〕の適用は、光量が128未満で構成される画線〔S〕に影響しないものが好ましい。
【0053】
図22は、ステップS13における特徴点の抽出を示すものである。図22に示すように、特徴点の抽出は畳み込み演算を利用する。上段の図の通り、画線〔S〕に対して、例えば垂直方向(n)に二次微分フィルターを適用すると、輝度(c)が得られる。このような二次微分フィルターを第2の画像に適用すると、下段の図の通り、回転角度が異なる画線〔S〕の特徴点が抽出された画像Eが得られる。なお、本説明の主体は可視化技術にあるので、公知の画像処理の技法である畳み込み演算の説明は省略する。
【0054】
図23は、ステップS14における平滑化・平均化を示すものである。図23に示すように、平滑化・平均化は畳み込み演算(例えば、ガウシアンフィルター)を利用する。平滑化として、垂直方向の平滑化フィルターを第3の画像に適用すると画像Fが得られる。さらに、平均化として、水平及び垂直方向の平均化フィルターを適用すると画像Gが得られる。なお、本説明では、平滑化と平均化を分けているが、単一のカーネルによって平滑化と平均化の畳み込み演算を同時に実行することは、本発明の技術的思想の範囲内である。
【0055】
また、上述の演算結果として、画線〔S〕の回転角度に応じて、単位面積あたりの光量〔18〕に差が生じる。
【0056】
図24は、ステップS15におけるトーンカーブ補正Bの適用を示すものである。図24に示すように、トーンカーブ〔12〕を第4の画像に適用することで、単位面積あたりの光量〔18’〕のコントラストが調整され、可視化画像〔7〕は、より明暗差のある光量〔18〕となる。なお、コントラストの調整は、ハイライトポイント及びシャドウポイントの調整に加えて、ガンマ補正を適用してもよい。また、図24のトーンカーブ〔12〕は一例を示すものであり、可視化画像〔7〕のコントラストを調整できるものであれば、計算式を限定しない。
【0057】
以上の可視化技術によって、潜像化画像〔4〕の出力物〔5〕から、被潜像模様〔1〕の階調が回帰的に復元された可視化画像〔7〕が得られる。
【実施例0058】
以下、本発明を実施するための形態にしたがって、具体的な実施例について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0059】
本実施例は、スクラッチくじにおける例で説明する。なお、スクラッチくじとは、抽選結果が印刷物上に被封(ブロック)されたくじであり、くじを入手した人は、被封部をコイン等で削って抽選結果を確認する。このようなスクラッチくじは、その場で抽選結果を確認できるメリットで人気を博しているが、抽選結果の印刷後に保護層(OPニス)及び被封層(非透過インキ)を施す製造コストや、削った際にカスが出るというデメリットも散見される。
【0060】
そこで、上述のようなメリットとデメリットを鑑みて、本実施例のスクラッチくじは、本発明の潜像化技術で被封部を形成し、可視化技術で抽選結果を確認できる形態とした。例えば、図25に示すように、n枚印刷されたスクラッチくじ〔19〕は、潜像化画像〔4〕がデザインされた被封部を有する。この被封部には、1枚1枚で異なる被潜像模様〔1〕から形成された潜像化画像〔4〕が印刷されている。
【0061】
図26は、抽選結果の確認を示すものである。図26に示すように、情報端末〔6〕でスクラッチくじ〔19〕の被封部を撮像すると、可視化画像〔7〕が画面に表示され、抽選結果を確認できる。なお、この抽選結果は、例えばウェブサイトへのアクセス時の乱数や確率で決定されるものではなく、印刷物であるスクラッチくじ〔19〕において決定している。そのため、同一の印刷物による再抽選を拒むための対策(例えば、ID登録)が不要である。
【0062】
補足として、本実施例の実証として、スマートフォン(iPhone(登録商標)12Pro)に備わるウェブブラウザー(Safari)にて動作するスクリプト(JavaScript)で、被潜像模様〔1〕を可視化したところ、静止画1枚あたり約35ミリ秒でコンピュータ処理されることを確認した。
【符号の説明】
【0063】
1 被潜像模様
2,2’ 可視模様
3 コンピュータ
4,4’ 潜像化画像
5 出力物
6 情報端末
7,7’ 可視化画像
8 ソフトウェア
9 グレースケール
10 走査線
11 干渉縞
12 トーンカーブ
13 出力機器
14 電子機器
15 映像信号
16 静止画
17 色相環
18,18’ 光量
19 スクラッチくじ
U ユニット
S 画線
d 外径寸法
h 横寸法
v 縦寸法
r 角度
dh 行方向の間隔
dv 列方向の間隔
m 中心同士の間隔
U01 撮像部
U02 画像処理部
U03 表示部
c 輝度
T 処理時間
A,B,C,D フレーム
E,F,G 画像


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の出力物〔5〕において、複数配置されるユニット〔U〕の行方向及び列方向が、第1の潜像化画像〔4〕の矩形の辺に対して、1度乃至29度の範囲で傾いて配置されることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の出力物〔5〕において、第1の潜像化画像〔4〕に、8bit値の光量〔18〕が192以上の色の可視模様〔2〕を合成して、第2の潜像化画像〔4〕が形成された場合には、撮像された第2の潜像化画像〔4〕をコンピュータ〔3〕処理することで、被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項5に記載の本発明の被潜像模様〔1〕を可視化する方法は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の出力物〔5〕を撮像したものから、被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示する方法であって、出力物〔5〕を撮像して、映像信号〔15〕を取得するステップと、映像信号〔15〕から、フレームを抜き出して静止画〔16〕を取得するステップと、静止画〔16〕から、明度を第1の画像として取得するステップと、第1の画像に、第1のトーンカーブ〔12〕を適用して、可視模様〔2〕を消除した第2の画像を取得するステップと、第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、画線〔S〕の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、第4の画像に、第2のトーンカーブ〔12〕を適用して、コントラストを調整した可視化画像〔7〕を取得するステップと、可視化画像〔7〕を、画面に表示するステップを備えることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも媒体の一部に、第1の潜像化画像が出力された印刷/表示領域を有する出力物であって、
前記第1の潜像化画像は、仮想領域を定める正円形のユニットが、連続的かつ規則的に矩形内に複数配置され、
それぞれの前記ユニット内には、前記ユニットの中心を通る棒状の画線を有し、
それぞれの前記ユニット内の前記画線は、可視化処理におけるグレースケールの光量に応じた回転角度で配置され、
それぞれの前記ユニット内の前記画線によって、階調を有する被潜像模様を潜像化した前記第1の潜像化画像が形成され、
前記印刷/表示領域を撮像し、撮像された前記第1の潜像化画像をコンピュータ処理することで、前記被潜像模様を可視化した可視化画像を画面に表示する
ことを特徴とする出力物。
【請求項2】
前記ユニットの前記中心が千鳥状となるように、複数の前記ユニットが配置され、
行方向に配置される前記ユニットは、隣り合う前記ユニットの前記中心同士の間隔が、前記ユニットの外径寸法に等しく配置され、
n行目に配置される前記ユニットの前記中心及びn+1行目に配置される前記ユニットの前記中心は、行方向に前記外径寸法の1/2ずれた位置関係、列方向に前記外径寸法の√3/2の間隔で配置され、
前記画線は、8bit値の光量が128未満の色とし、
前記画線は、前記外径寸法を超えない形状及び大きさであり、
前記画線は、縦横比が1:4以上であり、
前記画線は、前記ユニットの前記中心を回転軸として、前記被潜像模様の8bit値の光量に応じて回転し、前記回転角度を0度乃至90度の範囲とする
ことを特徴とする請求項1に記載の出力物。
【請求項3】
複数配置される前記ユニットの前記行方向及び前記列方向が、前記第1の潜像化画像の前記矩形の辺に対して、1度乃至29度の範囲で傾いて配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の出力物。
【請求項4】
前記第1の潜像化画像に、8bit値の光量が192以上の色の可視模様を合成して、第2の潜像化画像が形成された場合には、
撮像された前記第2の潜像化画像を前記コンピュータ処理することで、前記被潜像模様を可視化した前記可視化画像を前記画面に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の出力物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の出力物を撮像したものから、前記被潜像模様を可視化した前記可視化画像を前記画面に表示する方法であって、
前記出力物を撮像して、映像信号を取得するステップと、
前記映像信号から、フレームを抜き出して静止画を取得するステップと、
前記静止画から、明度を第1の画像として取得するステップと、
前記第1の画像に、第1のトーンカーブを適用して、前記可視模様を消除した第2の画像を取得するステップと、
前記第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、前記画線の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、
前記第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、前記特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、
前記第4の画像に、第2のトーンカーブを適用して、コントラストを調整した前記可視化画像を取得するステップと、
前記可視化画像を、画面に表示するステップを備える
ことを特徴とする前記被潜像模様を可視化する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の前記被潜像模様を可視化する方法を、撮像部、画像処理部及び表示部を備える情報端末に実行させるためのソフトウェアであって、
前記出力物を撮像して、前記映像信号を取得する前記ステップと、
前記映像信号から、前記フレームを抜き出して前記静止画を取得する前記ステップと、
前記静止画から、前記明度を前記第1の画像として取得する前記ステップと、
前記第1の画像に、前記第1のトーンカーブを適用して、前記可視模様を消除した前記第2の画像を取得する前記ステップと、
前記第2の画像に、前記第1の畳み込み演算を行って、前記画線の前記特徴点を抽出した前記第3の画像を取得する前記ステップと、
前記第3の画像に、前記第2の畳み込み演算を行って、前記特徴点を平滑化・平均化した前記第4の画像を取得する前記ステップと、
前記第4の画像に、前記第2のトーンカーブを適用して、前記コントラストを調整した前記可視化画像を取得する前記ステップと、
前記可視化画像を、前記画面に表示する前記ステップと
を前記情報端末に実行させる
ことを特徴とするソフトウェア。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項5に記載の本発明の被潜像模様〔1〕を可視化する方法は、請求項4に記載の出力物〔5〕を撮像したものから、被潜像模様〔1〕を可視化した可視化画像〔7〕を画面に表示する方法であって、出力物〔5〕を撮像して、映像信号〔15〕を取得するステップと、映像信号〔15〕から、フレームを抜き出して静止画〔16〕を取得するステップと、静止画〔16〕から、明度を第1の画像として取得するステップと、第1の画像に、第1のトーンカーブ〔12〕を適用して、可視模様〔2〕を消除した第2の画像を取得するステップと、第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、画線〔S〕の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、第4の画像に、第2のトーンカーブ〔12〕を適用して、コントラストを調整した可視化画像〔7〕を取得するステップと、可視化画像〔7〕を、画面に表示するステップを備えることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも媒体の一部に、第1の潜像化画像が出力された印刷/表示領域を有する出力物であって、
前記第1の潜像化画像は、仮想領域を定める正円形のユニットが、連続的かつ規則的に矩形内に複数配置され、
それぞれの前記ユニット内には、前記ユニットの中心を通る棒状の画線を有し、
それぞれの前記ユニット内の前記画線は、可視化処理におけるグレースケールの光量に応じた回転角度で配置され、
それぞれの前記ユニット内の前記画線によって、階調を有する被潜像模様を潜像化した前記第1の潜像化画像が形成され、
前記印刷/表示領域を撮像し、撮像された前記第1の潜像化画像をコンピュータ処理することで、前記被潜像模様を可視化した可視化画像を画面に表示する
ことを特徴とする出力物。
【請求項2】
前記ユニットの前記中心が千鳥状となるように、複数の前記ユニットが配置され、
行方向に配置される前記ユニットは、隣り合う前記ユニットの前記中心同士の間隔が、前記ユニットの外径寸法に等しく配置され、
n行目に配置される前記ユニットの前記中心及びn+1行目に配置される前記ユニットの前記中心は、行方向に前記外径寸法の1/2ずれた位置関係、列方向に前記外径寸法の√3/2の間隔で配置され、
前記画線は、8bit値の光量が128未満の色とし、
前記画線は、前記外径寸法を超えない形状及び大きさであり、
前記画線は、縦横比が1:4以上であり、
前記画線は、前記ユニットの前記中心を回転軸として、前記被潜像模様の8bit値の光量に応じて回転し、前記回転角度を0度乃至90度の範囲とする
ことを特徴とする請求項1に記載の出力物。
【請求項3】
複数配置される前記ユニットの前記行方向及び前記列方向が、前記第1の潜像化画像の前記矩形の辺に対して、1度乃至29度の範囲で傾いて配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の出力物。
【請求項4】
前記第1の潜像化画像に、8bit値の光量が192以上の色の可視模様を合成して、第2の潜像化画像が形成された場合には、
撮像された前記第2の潜像化画像を前記コンピュータ処理することで、前記被潜像模様を可視化した前記可視化画像を前記画面に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の出力物。
【請求項5】
請求項4に記載の出力物を撮像したものから、前記被潜像模様を可視化した前記可視化画像を前記画面に表示する方法であって、
前記出力物を撮像して、映像信号を取得するステップと、
前記映像信号から、フレームを抜き出して静止画を取得するステップと、
前記静止画から、明度を第1の画像として取得するステップと、
前記第1の画像に、第1のトーンカーブを適用して、前記可視模様を消除した第2の画像を取得するステップと、
前記第2の画像に、第1の畳み込み演算を行って、前記画線の特徴点を抽出した第3の画像を取得するステップと、
前記第3の画像に、第2の畳み込み演算を行って、前記特徴点を平滑化・平均化した第4の画像を取得するステップと、
前記第4の画像に、第2のトーンカーブを適用して、コントラストを調整した前記可視化画像を取得するステップと、
前記可視化画像を、画面に表示するステップを備える
ことを特徴とする前記被潜像模様を可視化する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の前記被潜像模様を可視化する方法を、撮像部、画像処理部及び表示部を備える情報端末に実行させるためのソフトウェアであって、
前記出力物を撮像して、前記映像信号を取得する前記ステップと、
前記映像信号から、前記フレームを抜き出して前記静止画を取得する前記ステップと、
前記静止画から、前記明度を前記第1の画像として取得する前記ステップと、
前記第1の画像に、前記第1のトーンカーブを適用して、前記可視模様を消除した前記第2の画像を取得する前記ステップと、
前記第2の画像に、前記第1の畳み込み演算を行って、前記画線の前記特徴点を抽出した前記第3の画像を取得する前記ステップと、
前記第3の画像に、前記第2の畳み込み演算を行って、前記特徴点を平滑化・平均化した前記第4の画像を取得する前記ステップと、
前記第4の画像に、前記第2のトーンカーブを適用して、前記コントラストを調整した前記可視化画像を取得する前記ステップと、
前記可視化画像を、前記画面に表示する前記ステップと
を前記情報端末に実行させる
ことを特徴とするソフトウェア。