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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148327
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241010BHJP
   H03F 1/42 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/80 U
H01L21/90 N
H01L21/90 B
H01L21/88 J
H03F1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061374
(22)【出願日】2023-04-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G 宇宙ネットワーク向け未利用周波数帯活用型の無線通信技術の研究開発 Beyond 5G 宇宙ネットワーク向けQ/V帯高機能デジタルビームフォーミング(DBF)送受信システム技術およびW帯衛星搭載機器基盤技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】作野 圭一
(72)【発明者】
【氏名】原 信二
(72)【発明者】
【氏名】末松 英治
【テーマコード(参考)】
5F033
5F102
5J500
【Fターム(参考)】
5F033GG02
5F033MM30
5F033RR30
5F033VV05
5F102FA07
5F102GA16
5F102GA18
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GQ01
5F102GS09
5J500AA04
5J500AA41
5J500AC61
5J500AC92
5J500AF16
5J500AH12
5J500AH24
5J500AH31
5J500AK68
5J500AM19
5J500AQ03
5J500AS14
5J500AT01
(57)【要約】
【課題】最大有能電力利得を向上できる電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】電界効果トランジスタ1において、複数の単位トランジスタは、一方向d1に並んで配置され、ソース電極S、ドレイン電極D、およびゲート電極4をそれぞれが有する。ゲート配線10は、一方向d1に延び、複数のゲート電極4を接続する。信号入力電極G1は、ゲート配線10に接続される。少なくとも1つのインピーダンス素子18aは、信号入力電極G1よりもゲート配線10の一方向d1の一端側においてゲート配線10に接続される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に並んで配置され、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極をそれぞれが有する複数の単位トランジスタと、
前記一方向に延び、複数の前記ゲート電極を接続するゲート配線と、
前記ゲート配線に接続された信号入力電極と、
前記信号入力電極よりも前記ゲート配線の前記一方向の一端側において前記ゲート配線に接続された少なくとも1つのインピーダンス素子と、
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインピーダンス素子のうち1つは、前記ゲート配線の一端に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記信号入力電極は、前記ゲート配線の前記一方向の両端の間に接続され、
前記信号入力電極よりも前記ゲート配線の他端側において前記ゲート配線に接続された、少なくとも1つの別のインピーダンス素子をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのインピーダンス素子のうち1つは、前記ゲート配線の一端に接続され、
前記少なくとも1つの別のインピーダンス素子のうち1つは、前記ゲート配線の他端に接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記インピーダンス素子は、前記ゲート配線と、接地または前記ソース電極との間に直列接続された伝送線路および容量素子を有する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記インピーダンス素子は、前記ゲート配線と、接地または前記ソース電極との間に接続された容量素子である、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記インピーダンス素子は、オープンスタブである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記ゲート配線と前記インピーダンス素子との接続点から前記インピーダンス素子を見たインピーダンスは、直流において開放インピーダンスである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高周波用の電界効果トランジスタ(FET)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムや無線電力伝送システムの開発が進められている。これらのシステムには、高周波用の増幅素子が必要である。例えば、特許文献1は、高周波用のマルチフィンガータイプのMOSFETを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-16686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電界効果トランジスタでは、フィンガー数が多くなるほど、高周波域での最大有能電力利得(MAG:Maximum Available power Gain)が低下する。MAGを向上させることが望まれる。
【0005】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、最大有能電力利得を向上できる電界効果トランジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電界効果トランジスタは、一方向に並んで配置され、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極をそれぞれが有する複数の単位トランジスタと、一方向に延び、複数のゲート電極を接続するゲート配線と、ゲート配線に接続された信号入力電極と、信号入力電極よりもゲート配線の一方向の一端側においてゲート配線に接続された少なくとも1つのインピーダンス素子と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本開示の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、最大有能電力利得を向上できる電界効果トランジスタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a),(b)は、比較例の電界効果トランジスタの構成を示す平面図である。
図2】比較例の電界効果トランジスタにおけるMAGの周波数依存性を示す図である。
図3】実施の形態の電界効果トランジスタの構成を示す平面図である。
図4図3の電界効果トランジスタのシミュレーション用の回路図である。
図5図5(a)は、実施の形態の電圧V0から電圧V5のそれぞれの絶対値の周波数依存性を示す図であり、図5(b)は、図5(a)の電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値の周波数依存性を示す図である。
図6図6(a)は、実施の形態と比較例のMAGの周波数特性のシミュレーション結果を示す図であり、図6(b)は、実施の形態と比較例の電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値の周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。
図7図7(a)から図7(d)は、実施の形態と比較例における周波数毎の電圧V0から電圧V5の絶対値の分布を示す図である。
図8】実施の形態の電界効果トランジスタの別の構成例を示す平面図である。
図9】実施の形態の電界効果トランジスタのさらに別の構成例を示す平面図である。
図10】実施の形態の電界効果トランジスタのさらに別の構成例を示す平面図である。
図11】実施の形態の電界効果トランジスタのさらに別の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、マイクロ波帯およびミリ波帯の高周波用の電界効果トランジスタについて研究し、以下の知見を得た。図1(a),(b)は、比較例の電界効果トランジスタ100の構成を示す平面図である。電界効果トランジスタ100は、半導体基板(図示せず)上に配置され、並列接続された複数の単位トランジスタ2から構成されるマルチフィンガー構造を有する。
【0011】
図1(a)は、複数の単位トランジスタ2のそれぞれのソース電極Sにビア20が設けられた構成を示す。ビア20は、半導体基板の裏面の接地導体(図示せず)に接続されている。図1(b)は、両端の単位トランジスタ2のそれぞれのソース電極Sにビア20が設けられ、これら2つのソース電極Sがエアブリッジ等の接続導体24で接続された構成を示す。両端以外の単位トランジスタ2のソース電極Sも接続導体24に接続されている。
【0012】
図1(a),(b)では、単位トランジスタ2の並列数が「10」である一例を示す。並列数は、ゲートフィンガー数とも呼べる。複数の単位トランジスタ2のそれぞれは、ゲート電極4、ソース電極S、およびドレイン電極Dを備える。ゲート電極4は、ゲートフィンガーとも呼べる。
【0013】
複数のゲート電極4のそれぞれの一端は、一方向d1に延びるゲート配線10に接続されている。ゲート配線10には、信号入力電極G1が接続されている。ゲート電極4の幅をゲートフィンガー幅Wgとする。電界効果トランジスタ100は、公知の構成を有するため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0014】
図2は、比較例の電界効果トランジスタ100におけるMAGの周波数依存性を示す。この例では、電界効果トランジスタ100は、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。図2は、ゲート長0.15μm、ゲートフィンガー幅Wg=50μm、並列数が2、6、または10であるGaN HEMTのシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果は、並列数が「2」であるGaN HEMTの測定値から作成した等価回路モデルを使用したシミュレーションにより得られている。HEMTの測定時のバイアス条件は、Vds=28V、Ids=50mA/mmである。図4を参照して後述するが、シミュレーション回路ではゲート配線10を伝送線路としている。
【0015】
図2に示すように、比較例の電界効果トランジスタ100では、例えば、概ね40GHz以上の高周波帯域において、単位トランジスタ2の並列数が増えるにつれてMAGが低下する。
【0016】
本発明者らは、考察と分析を重ねた結果、単位トランジスタ2の並列数が増えるほどMAGが低下する現象は、ゲート配線10の分布定数線路としての振る舞いが、並列数が増えるほど、すなわちゲート配線10が長くなるほど顕在化することが主要因の1つであることを見出した。
【0017】
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ね、ゲート配線10にインピーダンス素子を接続することで、ゲート配線10の分布定数線路としての振る舞いを有効活用でき、所定の周波数帯域でMAGを改善できることを見出した。実施の形態は、このような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
図3は、実施の形態の電界効果トランジスタ1の構成を示す平面図である。電界効果トランジスタ1は、例えば、パワーアンプや低雑音増幅器などにおける増幅素子として利用できる。
【0020】
電界効果トランジスタ1は、第1単位トランジスタ2a、第2単位トランジスタ2b、第3単位トランジスタ2c、第4単位トランジスタ2d、第5単位トランジスタ2e、第6単位トランジスタ2f、第7単位トランジスタ2g、第8単位トランジスタ2h、第9単位トランジスタ2i、第10単位トランジスタ2j、ゲート配線10、信号入力電極G1、信号出力電極D1、接続導体24、インピーダンス素子18a、およびインピーダンス素子18bを備える。以下、適宜、第1単位トランジスタ2aから第10単位トランジスタ2jを総称して「単位トランジスタ2」と呼ぶ。適宜、インピーダンス素子18aおよびインピーダンス素子18bを総称して「インピーダンス素子18」と呼ぶ。インピーダンス素子18以外の構成は、図1(b)の比較例と同様である一例を示すが、他の電界効果トランジスタの構成を有してもよい。単位トランジスタ2の並列数は、図3の例では「10」であるが、複数であればよい。単位トランジスタ2は、単位セルとも呼べる。
【0021】
電界効果トランジスタ1は、並列接続された複数の単位トランジスタ2から構成されるマルチフィンガー構造を有する。複数の単位トランジスタ2は、半導体基板(図示せず)上に一方向d1に並んで配置される。一方向d1は、半導体基板の表面に沿っている。インピーダンス素子18も半導体基板上に配置される。半導体基板は、特に限定されないが、例えば、シリコンなどの半導体基板であってもよいし、化合物半導体基板であってもよいし、化合物半導体層を含む基板であってもよい。化合物半導体は、特に限定されないが、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)であってもよいし、窒化ガリウム(GaN)などの窒化物半導体であってもよい。電界効果トランジスタ1は、特に限定されないが、例えば、窒化ガリウムを用いた高電子移動度トランジスタ、即ちGaN HEMTであってもよい。
【0022】
複数の単位トランジスタ2のそれぞれは、ゲート電極4、ソース電極S、およびドレイン電極Dを有する。
【0023】
複数のソース電極Sは、それぞれ、方向d2に延びる。方向d2は、一方向d1に直交しており、半導体基板の表面に沿っている。
【0024】
一方の端のソース電極Sは、ビア20aに接続されている。ビア20aは、半導体基板の裏面に形成された接地導体(図示せず)に接続されている。他方の端のソース電極Sは、ビア20bに接続されている。ビア20bは、接地導体に接続されている。
【0025】
これら両端のソース電極Sは、エアブリッジ等の接続導体24で接続されている。両端以外の単位トランジスタ2のソース電極Sも接続導体24に接続されている。つまり、複数のソース電極Sは接地されている。接続導体24は複数の単位トランジスタ2を跨いでいるが、図3では、図面を明瞭にするため、接続導体24が取り除かれた状態を示す。なお、複数のソース電極Sは、接地されていなくてもよい。
【0026】
複数のドレイン電極Dは、それぞれ、方向d2に延びる。複数のドレイン電極Dの一端は、一方向d1に延びる電極を介して、ドレイン端子である信号出力電極D1に接続されている。信号出力電極D1は、高周波信号を出力する。
【0027】
複数のゲート電極4は、それぞれ、方向d2に延びる。ゲート配線10は、一方向d1に延び、複数のゲート電極4の一端を接続する。つまり、ゲート配線10と複数のゲート電極4は、櫛形の形状のゲート電極部を構成している。
【0028】
ゲート配線10において、隣り合う2つのゲート電極4を接続する部分をゲート接続部12と呼ぶ。ゲート接続部12は、ゲートフィード部とも呼べる。図3の例では、複数のゲート接続部12のそれぞれの長さは等しい。ゲート接続部12の長さをLfとする。
【0029】
ゲート配線10には、ゲート端子である信号入力電極G1が接続されている。信号入力電極G1には高周波信号が入力される。信号入力電極G1は、ゲート配線10の一方向d1の両端部の間に接続されている。ここでは、信号入力電極G1は、ゲート配線10の一方向d1の中央部に接続されている。
【0030】
インピーダンス素子18aは、ゲート配線10の一方向d1の一端に接続されている。インピーダンス素子18bは、ゲート配線10の他端に接続されている。2つのインピーダンス素子18は、同等の構成を有し、同等のインピーダンスを有してよい。
【0031】
ゲート配線10とインピーダンス素子18との接続点からインピーダンス素子18を見たインピーダンスは、入力信号の周波数帯域において容量性または誘導性である。また、ゲート配線10とインピーダンス素子18との接続点からインピーダンス素子18を見たインピーダンスは、直流において開放インピーダンス、すなわち実質的に無限大である。
【0032】
インピーダンス素子18aは、伝送線路14aおよび容量素子16aを有する。伝送線路14aは、ゲート配線10の一端に接続された一端と、他端と、を有する。
【0033】
容量素子16aは、例えば、MIM(Metal - Insulator - Metal)容量であり、伝送線路14aの他端と、接地との間に接続されている。例えば、容量素子16aの上部電極が伝送線路14aの他端に接続され、容量素子16aの下部電極がビア20cを介して接地導体に接続されている。ソース電極Sは、ビア20aを介して接地導体に接続されているので、容量素子16aは、伝送線路14aの他端と、ソース電極Sとの間に接続されているとも言える。容量素子16aは、ビア20a、ビア20c、および接地導体を介さずに直接的にソース電極Sに接続されてもよい。
【0034】
インピーダンス素子18bは、伝送線路14bおよび容量素子16bを有する。伝送線路14bは、ゲート配線10の他端に接続された一端と、他端と、を有する。容量素子16bは、例えば、MIM容量であり、伝送線路14bの他端と、接地との間に接続されている。例えば、容量素子16bの上部電極が伝送線路14bの他端に接続され、容量素子16bの下部電極がビア20dを介して接地導体に接続されている。容量素子16bも、伝送線路14bの他端と、ソース電極Sとの間に接続されているとも言える。容量素子16bも、ビア20b、ビア20d、および接地導体を介さずに直接的にソース電極Sに接続されてもよい。以下、適宜、伝送線路14aおよび伝送線路14bを総称して「伝送線路14」と呼ぶ。適宜、容量素子16aおよび容量素子16bを総称して「容量素子16」と呼ぶ。
【0035】
伝送線路14の幅と長さ、および容量素子16のキャパシタンスは、入力信号の周波数帯域でMAGが所望の値になるように、実験またはシミュレーションにより適宜定めることができる。伝送線路14と容量素子16をビア(図示せず)で接続する場合、当該ビアのインダクタンスを伝送線路14の長さに含めてもよい。
【0036】
伝送線路14と容量素子16の接続順序を入れ替えてもよい。つまり、容量素子16は、ゲート配線10の端部と伝送線路14の一端との間に接続されてもよく、伝送線路14は、容量素子16と、接地またはソース電極Sとの間に接続されてもよい。
【0037】
また、伝送線路14を設けず、容量素子16がゲート配線10の端部とソース電極Sまたは接地との間に直接的に接続されてもよい。例えば、容量素子16の上部電極がゲート配線10の端部に直接的に接続されてよい。つまり、インピーダンス素子18は、容量素子16であってもよい。
【0038】
容量素子16がゲート配線10の端部とソース電極Sまたは接地との間に伝送線路14を介して、または直接的に接続される場合、平面視で細長い形状の容量素子16を採用し、容量素子16の細長い上部電極が伝送線路14としての機能を合わせ持ってもよい。
【0039】
また、容量素子16を設けず、インピーダンス素子18は、伝送線路14で構成されたオープンスタブであってもよい。
【0040】
インピーダンス素子18のインピーダンスは、特に限定されないが、例えば、入力信号の周波数帯域でインピーダンスの絶対値は0Ω以上、10kΩ以下であってもよい。
【0041】
次に、電界効果トランジスタ1のシミュレーション回路とシミュレーション結果を説明する。図4は、図3の電界効果トランジスタ1のシミュレーション用の回路図である。
【0042】
ゲート配線10に含まれる複数のゲート接続部12のそれぞれは、図4では伝送線路13または2つの伝送線路13aで表される。つまり、ゲート配線10は、複数の伝送線路13と2つの伝送線路13aが直列接続された分布定数線路で表される。それぞれの伝送線路13は、隣り合う2つの単位トランジスタ2のゲート電極4の一端を接続する。例えば、伝送線路13の幅Wf=10μmであり、伝送線路13の長さLf=20μmであるとする。
【0043】
信号入力電極G1は、ゲート配線10の中心に接続されている。そのため、隣り合う第5単位トランジスタ2eのゲート電極4と第6単位トランジスタ2fのゲート電極4を接続するゲート接続部12は、直列接続された2つの伝送線路13aで表され、2つの伝送線路13aの接続ノードが信号入力電極G1に相当する。1つの伝送線路13aの長さLf=10μmであるとする。
【0044】
信号入力電極G1に信号源50が接続されている。信号入力電極G1の信号の電圧振幅(位相を含む。以下、単に「電圧」と称する)をV0とする。第5単位トランジスタ2eのゲート電極4の一端の電圧をV1とする。第4単位トランジスタ2dのゲート電極4の一端の電圧をV2とする。第3単位トランジスタ2cのゲート電極4の一端の電圧をV3とする。第2単位トランジスタ2bのゲート電極4の一端の電圧をV4とする。第1単位トランジスタ2aのゲート電極4の一端の電圧をV5とする。
【0045】
複数の伝送線路13,13aと複数の単位トランジスタ2の配置は、信号入力電極G1に対して対称である。そのため、第6単位トランジスタ2fのゲート電極4の一端の電圧は、電圧V1と等しく、同様に、第7単位トランジスタ2g、第8単位トランジスタ2h、第9単位トランジスタ2i、第10単位トランジスタ2jのゲート電極4の一端の電圧は、それぞれ、電圧V2,V3,V4,V5と等しい。そのため、以下、電圧V0から電圧V5のシミュレーション結果について説明する。
【0046】
シミュレーションに用いられる単位トランジスタ2のモデルは、既述のように、並列数が「2」であるGaN HEMTの測定値から作成した等価回路モデルである。
【0047】
インピーダンス素子18において、例えば、伝送線路14の幅W=30μmであり、伝送線路14の長さL=20μmであり、容量素子16のキャパシタンスは70fFであるとする。
【0048】
図5(a)から図5(d)は、実施の形態の電界効果トランジスタ1と比較例の電界効果トランジスタ100における高周波特性のシミュレーション結果を示す。
【0049】
図5(a)は、実施の形態の電圧V0から電圧V5のそれぞれの絶対値の周波数依存性を示し、図5(b)は、図5(a)の電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値の周波数依存性を示す。図5(a),(b)は、図4の回路のシミュレーション結果を示す。
【0050】
図5(c)は、比較例の電圧V0から電圧V5のそれぞれの絶対値の周波数依存性を示し、図5(d)は、図5(c)の電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値の周波数依存性を示す。図5(c),(d)は、図4の回路から2つのインピーダンス素子18を取り除いた回路のシミュレーション結果を示す。つまり、実施の形態と比較例のシミュレーションにおいて、2つのインピーダンス素子18の有無が異なり、他の条件は等しい。
【0051】
図5(c)に示すように、比較例では、概ね周波数50GHz以上の範囲では、概ね周波数20GHz以下の範囲と比べ、電圧V1から電圧V5の絶対値の分布が比較的大きくなっている。この分布は、ゲート配線10の長さ方向、すなわち一方向d1に立つ定在波により生じていると考えられる。
【0052】
図5(d)に示すように、比較例では、例えば周波数60GHz以上の範囲では、周波数20GHz以下の範囲と比べ、電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値が低下している。
【0053】
これに対して実施の形態では、図5(a)に示すように、周波数80GHz付近から90GHz付近の高周波側の範囲では、電圧V1から電圧V5の絶対値を比較例よりも概ね大きくできている。図5(b)に示すように、実施の形態では、例えば周波数60GHzから90GHzの範囲では、電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値が比較例よりも大きくなっている。この結果は、実施の形態ではゲート配線10内に生じるd1方向の電圧の定在波の分布が、電圧の平均値の絶対値が比較例よりも大きくなるように変化していることに起因する。
【0054】
図6(a)は、実施の形態と比較例のMAGの周波数特性のシミュレーション結果を示し、図6(b)は、実施の形態と比較例の電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値の周波数特性のシミュレーション結果を示す。図6(b)では、図5(b)と図5(d)のグラフを重ねている。
【0055】
図6(a)に示すように、MAGは、55GHz付近から91GHz付近の周波数範囲で10並列の比較例よりも改善している。例えば、70GHz付近から88GHz付近の周波数範囲では、MAGは、10並列の比較例よりも5dB程度改善している。なお、図6(a)に示す2並列の比較例のグラフは、図2の2並列のグラフと同一である。
【0056】
図6(a),(b)に破線で示すように、比較例と実施の形態においてMAGの大小関係が逆転する周波数と、比較例と実施の形態において電圧の平均値の絶対値の大小関係が逆転する周波数は、略一致している。このことから、電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値の増大がMAGの向上に寄与していることが分かる。
【0057】
ここで、電界効果トランジスタ1の信号出力電極D1に流れる出力電流Idは、次の式(1)で表される。Gmは、各単位トランジスタ2の相互コンダクタンスを表す。Nは、単位トランジスタ2の並列数を表す。Vgは、ゲート電極4の一端のゲート電圧を表し、例えば、電圧V1から電圧V5のそれぞれに相当する。
【0058】
Id=ΣVg・Gm=GmΣVg=(Gm・N)・(1/N)ΣVg (1)
【0059】
したがって、実施の形態によりゲート配線10内の電圧の定在波の分布が変わり複数の単位トランジスタ2のゲート電圧Vgの平均値<Vg>av=(1/N)ΣVgが大きくなれば、出力電流Idが大きくなり、実効相互コンダクタンスが大きくなり、利得が向上する。電圧の定在波の分布を変化させる主なパラメータはインピーダンス素子18をゲート配線10の一端から見た時の反射係数、特にその位相である。
【0060】
図7(a)から図7(d)は、実施の形態と比較例における周波数毎の電圧V0から電圧V5の絶対値の分布を示す。
【0061】
周波数50GHzでは、実施の形態と比較例で、図7(a)に示すように電圧V1から電圧V5の分布は同等であり、図6(a)に示すようにMAGも同等である。
【0062】
周波数70GHzでは、実施の形態では比較例に対して、図7(b)に示すように電圧V3から電圧V5の絶対値は高くなっており、そのため電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値も高くなっており、図6(a)に示すようにMAGも高くなっている。
【0063】
周波数80GHzでも、実施の形態では比較例に対して、図7(c)に示すように電圧V1から電圧V5の絶対値は高くなっており、そのため電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値も高くなっており、図6(a)に示すようにMAGも高くなっている。図7(c)のように、実施の形態では、電圧V1から電圧V5の分布は、下に凸の分布になっている。
【0064】
周波数90GHzでは、実施の形態と比較例で、図7(d)に示すように電圧V1から電圧V5の分布は異なるが、図6(b)に示すように電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値は同等であり、図6(a)に示すようにMAGも同等である。
【0065】
このように、MAGを向上できる周波数では、比較例に対して、電圧V1から電圧V5の平均値の絶対値は高くなっている。
【0066】
図示は省略するが、他の条件は図4と同一で伝送線路14の長さLを変更した場合にもMAGは比較例に対して改善する。伝送線路14の長さLを調整することで、MAGを向上させる周波数範囲を調整できる。
【0067】
また、図示は省略するが、伝送線路14がオープンスタブである場合にも、伝送線路14の長さに応じた周波数範囲でMAGが比較例よりも改善する。
【0068】
以上のように、実施の形態によれば、ゲート配線10の両端にインピーダンス素子が接続されていない比較例に対して、インピーダンス素子18によりゲート配線10内の電圧の分布を異ならせることができる。これにより、所定の周波数帯域で、複数の単位トランジスタ2のゲート電極4に入力されるゲート電圧の平均値の絶対値を比較例よりも増加させることができる。よって、比較例に対して、所定の周波数帯域で実効相互コンダクタンスを増大させることができるので、所定の周波数帯域でMAGを増加させることができる。単位トランジスタ2の並列数が多いほど、比較例に対するMAGの改善量を大きくできる。
【0069】
インピーダンス素子18として、直列接続された伝送線路14と容量素子16とを用いることで、MAGを効果的に増加させることができる。伝送線路14の長さをゼロとすれば、インピーダンス素子18の面積を小さくできる。インピーダンス素子18としてオープンスタブを用いることで、容量素子16を用いることなく、簡素な構成でインピーダンス素子18を実現できる。
【0070】
また、ゲート配線10とインピーダンス素子18との接続点からインピーダンス素子18を見たインピーダンスは、直流において開放インピーダンスであるので、インピーダンス素子18に直流電流が流れることを抑制できる。よって、消費電力の増加を抑制できる。
【0071】
また、インピーダンス素子18のインピーダンスの絶対値が入力信号の周波数帯域で0Ω以上、10kΩ以下であることで、より効果的にMAGを増加させることができる。
【0072】
本発明者らは、ゲート長を短くするなどの半導体プロセス技術の改良によりMAGを例えば5dB程度向上することは、非常に困難であると考える。半導体プロセス技術の改良のための多大な費用と長い時間も要する。これに対して、実施の形態では、既存の半導体プロセス技術を利用して、既存の電界効果トランジスタにインピーダンス素子18を追加するだけでMAGを例えば数dB向上できるので、コストの増加を抑制でき、長い開発期間も必要ない。
【0073】
なお、図3の構成では、ゲート配線10の長手方向の両端にインピーダンス素子18を1つずつ接続しているが、これに限らず、所望の高周波特性が得られるように、インピーダンス素子18の数とゲート配線10への接続位置を定めてもよい。
【0074】
図3に示すように、ゲート配線10は複数の単位トランジスタ2の端に配置されるため、インピーダンス素子18を配置する領域の自由度が高い。そのため、インピーダンス素子18の数とゲート配線10への接続位置の自由度も高い。したがって、インピーダンス素子18の周波数特性の設定自由度、すなわちインピーダンス素子18の回路構成の自由度が高い。例えば、所望の周波数帯でMAGを向上しつつ、特定の周波数帯のMAGを大きく減少させるなどの所望の高周波特性が得られるように、インピーダンス素子18を構成し、ゲート配線10への接続位置を設定してもよい。
【0075】
例えば、2つインピーダンス素子18のそれぞれを、ゲート配線10の両端ではなく、信号入力電極G1により近い位置でゲート配線10に接続してもよい。
【0076】
また、2つのインピーダンス素子18の一方を設けなくてもよい。この場合、1つインピーダンス素子18を、ゲート配線10の一端に接続してもよいし、信号入力電極G1により近い位置でゲート配線10に接続してもよい。
【0077】
あるいは、信号入力電極G1とゲート配線10の一端との間において、ゲート配線10に複数のインピーダンス素子18を接続してもよい。信号入力電極G1とゲート配線10の他端との間において、ゲート配線10に複数のインピーダンス素子18を接続してもよい。つまり、電界効果トランジスタ1は、3つ以上のインピーダンス素子18を備えてもよい。
【0078】
このように、電界効果トランジスタ1は、信号入力電極G1よりもゲート配線10の一方向d1の一端側においてゲート配線10に接続された少なくとも1つのインピーダンス素子18を備えてよい。この場合、少なくとも1つのインピーダンス素子18のうち1つは、ゲート配線10の一端に接続されてもよい。
【0079】
また、電界効果トランジスタ1は、信号入力電極G1よりもゲート配線10の他端側においてゲート配線10に接続された、少なくとも1つの別のインピーダンス素子18をさらに備えてもよい。この場合、少なくとも1つの別のインピーダンス素子18のうち1つは、ゲート配線10の他端に接続されてもよい。
【0080】
複数のインピーダンス素子18は、信号入力電極G1を中心として対称の位置に接続されてもよいし、非対称の位置に接続されてもよい。非対称の位置に接続される場合、信号入力電極G1の両側でインピーダンス素子18の数が異なってもよい。
【0081】
複数のインピーダンス素子18を設ける場合、所望の高周波特性が得られるように、それぞれのインピーダンス素子18のインピーダンスを異ならせてもよい。
【0082】
また、信号入力電極G1は、ゲート配線10の一方向d1の中心に接続されなくてもよく、当該中心から一方向d1にずらした位置においてゲート配線10に接続されてもよい。
【0083】
インピーダンス素子18の数とゲート配線10への接続位置は、所望の高周波特性が得られるように、実験またはシミュレーションにより適宜定めることができる。
【0084】
これらの構成でも、比較例に対してMAGを向上できる。また、電界効果トランジスタ1の構成の自由度を向上できる。
【0085】
次に、電界効果トランジスタ1の別の構成例を説明する。以下、図3の構成との相違点を中心に説明する。図8は、実施の形態の電界効果トランジスタ1の別の構成例を示す平面図である。図8の構成例では、複数の単位トランジスタ2のそれぞれのソース電極Sがビア20a、ビア20b、ビア20e、ビア20f、またはビア20gを介して接地されていることが図3と異なる。この構成例でも、既述の効果を得ることができる。
【0086】
図9は、実施の形態の電界効果トランジスタ1のさらに別の構成例を示す平面図である。図9の構成例では、一方の容量素子16aの他端は、一方の端の単位トランジスタ2のソース電極Sに接続され、他方の容量素子16bの他端は、他方の端の単位トランジスタ2のソース電極Sに接続されていることが図3と異なる。具体的には、容量素子16aは、ビア20aの隣に配置されている。容量素子16aの下部電極は、ビア20aを介して接地導体に接続されている。同様に、容量素子16bは、ビア20bの隣に配置されている。容量素子16bの下部電極は、ビア20bを介して接地導体に接続されている。この構成例でも、既述の効果を得ることができる。また、容量素子16の専用のビアを設ける必要がないので、同じ並列数の条件で、図3の構成よりも電界効果トランジスタ1を小型化できる可能性がある。
【0087】
図10は、実施の形態の電界効果トランジスタ1のさらに別の構成例を示す平面図である。図10の構成例では、電界効果トランジスタ1の外部との接続用の第1電極部30と第2電極部32が設けられている。第1電極部30は、一対の接地導体34、および、信号入力電極G1の一部を含む。一方の接地導体34は、ビア20cにより半導体基板の裏面の接地導体に接続されている。容量素子16aの他端は、一方の接地導体34に接続されている。他方の接地導体34は、ビア20dにより半導体基板の裏面の接地導体に接続されている。容量素子16bの他端は、他方の接地導体34に接続されている。第2電極部32は、一対の接地導体36、および、信号出力電極D1の一部を含む。一方の接地導体36は、ビア20eにより半導体基板の裏面の接地導体に接続されている。他方の接地導体36は、ビア20fにより半導体基板の裏面の接地導体に接続されている。この構成例でも、既述の効果を得ることができる。また、容量素子16の専用のビアを設ける必要がない。
【0088】
図11は、実施の形態の電界効果トランジスタ1のさらに別の構成例を示す平面図である。図11は、半導体基板の表面に接地導体40を備えたコプレーナ線路の構成例を示す。一方の端のソース電極Sおよび容量素子16aの下部電極は、方向d2に延びる接地導体40に含まれる。他方の端のソース電極Sおよび容量素子16bの下部電極は、方向d2に延びる別の接地導体40に含まれる。このような構成でも、既述の効果を得ることができる。
【0089】
以上、本開示を実施の形態にもとづいて説明した。本開示は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0090】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の電界効果トランジスタは、一方向に並んで配置され、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極をそれぞれが有する複数の単位トランジスタと、前記一方向に延び、複数の前記ゲート電極を接続するゲート配線と、前記ゲート配線に接続された信号入力電極と、前記信号入力電極よりも前記ゲート配線の前記一方向の一端側において前記ゲート配線に接続された少なくとも1つのインピーダンス素子と、を備える。
【0091】
この態様によると、所定の周波数帯域において、ゲート電圧の平均値の絶対値を増加させることができるので、最大有能電力利得を向上できる。
【0092】
前記少なくとも1つのインピーダンス素子のうち1つは、前記ゲート配線の一端に接続されてもよい。この場合、ゲート電圧の平均値の絶対値をより増加させることができるので、最大有能電力利得をより向上できる。
【0093】
前記信号入力電極は、前記ゲート配線の前記一方向の両端部の間に接続されてもよい。電界効果トランジスタは、前記信号入力電極よりも前記ゲート配線の他端側において前記ゲート配線に接続された、少なくとも1つの別のインピーダンス素子をさらに備えてもよい。この場合、ゲート電圧の平均値の絶対値をより増加させることができるので、最大有能電力利得をより向上できる。
【0094】
前記少なくとも1つのインピーダンス素子のうち1つは、前記ゲート配線の一端に接続され、前記少なくとも1つの別のインピーダンス素子のうち1つは、前記ゲート配線の他端に接続されてもよい。この場合、ゲート電圧の平均値の絶対値をより増加させることができるので、最大有能電力利得をより向上できる。
【0095】
前記インピーダンス素子は、前記ゲート配線と、接地または前記ソース電極との間に直列接続された伝送線路および容量素子を有してもよい。この場合、所定の周波数帯域で最大有能電力利得を効果的に増加させることができる。
【0096】
前記インピーダンス素子は、前記ゲート電極と、接地または前記ソース電極との間に接続された容量素子であってもよい。この場合、インピーダンス素子の面積を小さくできる。
【0097】
前記インピーダンス素子は、オープンスタブであってもよい。この場合、簡素な構成でインピーダンス素子を実現できる。
【0098】
前記ゲート配線と前記インピーダンス素子との接続点から前記インピーダンス素子を見たインピーダンスは、直流において開放インピーダンスであってもよい。この場合、インピーダンス素子に直流電流が流れることを抑制できる。
【符号の説明】
【0099】
1…電界効果トランジスタ、2…単位トランジスタ、2a…第1単位トランジスタ、2b…第2単位トランジスタ、2c…第3単位トランジスタ、2d…第4単位トランジスタ、2e…第5単位トランジスタ、2f…第6単位トランジスタ、2g…第7単位トランジスタ、2h…第8単位トランジスタ、2i…第9単位トランジスタ、2j…第10単位トランジスタ、4…ゲート電極、10…ゲート配線、14,14a,14b…伝送線路、16,16a,16b…容量素子、18,18a,18b…インピーダンス素子、S…ソース電極、D…ドレイン電極、D1…信号出力電極、G1…信号入力電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11