(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148332
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/24 20060101AFI20241010BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241010BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20241010BHJP
H02H 11/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02H3/24
H02J3/38 180
H02J3/46
H02H11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061382
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】北川 友葵
(72)【発明者】
【氏名】安井 匡史
【テーマコード(参考)】
5G004
5G066
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004AB02
5G004CA03
5G004CA04
5G004DC06
5G066AA09
5G066HA06
5G066HA11
5G066HB02
5G066HB07
5G066LA01
(57)【要約】
【課題】発電装置が正常に動作できる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システムが、所定の解列条件が満たされる場合には導通状態切替器12を非導通状態にさせるための異常信号を出力し、解列条件が満たされない場合には異常信号を出力しない系統連系保護装置3と、住戸負荷18を連系用電力線13に接続する連系状態と、住戸負荷18を非連系用電力線11に接続する非連系状態との何れかに切り替わる接続切替器17aとを備え、系統連系保護装置3が異常信号を出力しておらず、且つ、電力系統1から電力が供給されている場合、導通状態切替器12は導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは連系状態に切り替わり、系統連系保護装置3が異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている場合、導通状態切替器12は非導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは非連系状態に切り替わる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される受電設備を介して前記電力系統に対して並列に接続される非連系用電力線及び連系用電力線と、
前記連系用電力線に接続される発電装置と、
前記連系用電力線に設けられて、前記発電装置と前記電力系統との間が導通する導通状態と、前記発電装置と前記電力系統との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる導通状態切替器と、
前記連系用電力線を流れる電力を測定し、測定結果を前記発電装置に伝達する電力測定部と、
前記電力系統から前記発電装置を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には前記導通状態切替器を前記非導通状態にさせるための異常信号を出力し、前記解列条件が満たされない場合には前記異常信号を出力しない系統連系保護装置と、
住戸負荷を前記連系用電力線に接続する連系状態と、前記住戸負荷を前記非連系用電力線に接続する非連系状態との何れかに切り替わる接続切替器とを備え、
前記系統連系保護装置が前記異常信号を出力しておらず、且つ、前記電力系統から電力が供給されている場合、前記導通状態切替器は前記導通状態に切り替わり、且つ、前記接続切替器は前記連系状態に切り替わり、
前記系統連系保護装置が前記異常信号を出力しており、且つ、前記電力系統から電力が供給されている場合、前記導通状態切替器は前記非導通状態に切り替わり、且つ、前記接続切替器は前記非連系状態に切り替わる電力供給システム。
【請求項2】
前記接続切替器の前記連系状態と前記非連系状態との間の切り替わり、及び、前記導通状態切替器の前記導通状態と前記非導通状態との間の切り替わりは、同一の電磁コイルで発生する電磁力の作用によって行われる請求項1に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統1から供給される電力を受電設備2で受電し、その受電設備2から各住戸10へ電力が供給される一括受電の集合住宅などがある。
図5は、そのような一括受電が行われる電力供給システムの構成を示す図である。
図5に示すように、集合住宅に設けられる共用電力線4は、受電設備2を介して電力系統1に接続される。各住戸10には、共用電力線4に接続される住戸内電力線6が引き込まれる。そして、発電装置14が設けられる住戸10では、住戸内電力線6は導通状態切替器12を介して共用電力線4に接続され、その住戸内電力線6に発電装置14及び住戸負荷18が接続される。また、住戸内電力線6を流れる電力を測定し、測定結果を発電装置14に伝達する電力測定部19も設けられる。そして、発電装置14は、例えば、電力測定部19で測定される電力が逆潮流電力にならないように、発電電力を調節することができる。
【0003】
また、電力系統1から発電装置14を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には導通状態切替器12を非導通状態にさせるための異常信号を出力し、解列条件が満たされない場合には異常信号を出力しない系統連系保護装置3が設けられる。その結果、例えば、電力系統1で停電が発生するのに伴って系統連系保護装置3が異常信号を出力した場合には、導通状態切替器12はその異常信号に応じて住戸内電力線6を共用電力線4から切断(開作動)する。尚、発電装置14が設けられていない住戸10には導通状態切替器12は設けられていない。
【0004】
図5は、このような電力供給システムにおいて、導通状態切替器12が住戸内電力線6を共用電力線4から切断した後、電力系統1からの電力供給が再開した場合の状態を示している。尚、図中では、電力供給が行われている箇所を太線で描いている。図示するように、発電装置14が設けられていない住戸10では、共用電力線4への電力供給が再開さえるのと同時に住戸内電力線6にも電力が供給され、住戸負荷18は動作できる。
【0005】
それに対して、発電装置14が設けられている住戸10では、共用電力線4への電力供給が再開されたとしても、導通状態切替器12によって共用電力線4と住戸内電力線6とが切断(開作動)されているため、電力系統1から住戸内電力線6への電力供給は行われない。これは、電気主任技術者などが現場に出向いて系統連系保護装置3をリセットすることで導通状態切替器12を導通させ、共用電力線4と住戸内電力線6とを接続する必要があるためである。つまり、電力系統1からの電力供給が再開された場合、発電装置14が設けられていない住戸10には電力供給が再開されるにも関わらず、発電装置14が設けられている住戸10には電力供給が再開されないという事態が起こり得る。
【0006】
このような問題を解決するためには、住戸10内での電力の供給経路を変更すればよい。例えば、
図6は、特許文献1(特開2020-137397号公報)に記載の電力供給システムを簡略化したシステムの構成を示す図である。具体的には、
図6は、特許文献1の
図1に記載の系統電源(200)、燃料電池発電システム(40)、負荷(252、253)、二次連系ブレーカー(83)及び電流検出部(2)を、
図6に示す電力系統1、発電装置14、住戸負荷18、導通状態切替器12及び電力測定部19で置き換えて描いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に示すような構成の場合、導通状態切替器12及び発電装置14は、住戸内電力線6から分岐する形態で設けられる。そのため、電力系統1からの電力供給が再開されると、導通状態切替器12が開作動し続けていたとしても、住戸負荷18への電力の供給が行われる。
【0009】
しかしながら、
図6に記載の電力供給システムでは、導通状態切替器12が開作動している間に、住戸内電力線6を介して電力系統1から住戸負荷18に電力が供給されると、住戸内電力線6に設けられている電力測定部19が電力を検出する。つまり、発電装置14では、電力系統1から供給される電力の電圧が加わらないにも関わらず、電力測定部19が電力を検出するという矛盾する状態が認識される。このような場合、発電装置14は、電力測定部19に異常が発生していると判定して、正常な動作を行えないことがある。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電装置が正常に動作できる電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、電力系統に接続される受電設備を介して前記電力系統に対して並列に接続される非連系用電力線及び連系用電力線と、
前記連系用電力線に接続される発電装置と、
前記連系用電力線に設けられて、前記発電装置と前記電力系統との間が導通する導通状態と、前記発電装置と前記電力系統との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる導通状態切替器と、
前記連系用電力線を流れる電力を測定し、測定結果を前記発電装置に伝達する電力測定部と、
前記電力系統から前記発電装置を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には前記導通状態切替器を前記非導通状態にさせるための異常信号を出力し、前記解列条件が満たされない場合には前記異常信号を出力しない系統連系保護装置と、
住戸負荷を前記連系用電力線に接続する連系状態と、前記住戸負荷を前記非連系用電力線に接続する非連系状態との何れかに切り替わる接続切替器とを備え、
前記系統連系保護装置が前記異常信号を出力しておらず、且つ、前記電力系統から電力が供給されている場合、前記導通状態切替器は前記導通状態に切り替わり、且つ、前記接続切替器は前記連系状態に切り替わり、
前記系統連系保護装置が前記異常信号を出力しており、且つ、前記電力系統から電力が供給されている場合、前記導通状態切替器は前記非導通状態に切り替わり、且つ、前記接続切替器は前記非連系状態に切り替わる点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、系統連系保護装置が異常信号を出力しており、且つ、電力系統から電力が供給されている場合、導通状態切替器は非導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器は非連系状態に切り替わる。つまり、系統連系保護装置が異常信号を出力しているため、導通状態切替器が非導通状態に切り替わることで、連系用電力線には電力系統からの電力が流れない状態になる。そのため、連系用電力線に接続されている発電装置は、連系用電力線に電力系統からの電力が流れない状態であることを認識できる。また、電力測定部は連系用電力線を電力が流れていない状態を検出する。その結果、発電装置は、電力系統から供給される電力の電圧が加わらない状態と、電力測定部が電力を検出しない状態という、互いに矛盾しない状態を認識できる。
従って、発電装置が正常に動作できる電力供給システムを提供できる。
【0013】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記接続切替器の前記連系状態と前記非連系状態との間の切り替わり、及び、前記導通状態切替器の前記導通状態と前記非導通状態との間の切り替わりは、同一の電磁コイルで発生する電磁力の作用によって行われる点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、接続切替器の前記連系状態と非連系状態との間の切り替わり、及び、導通状態切替器の導通状態と非導通状態との間の切り替わりが、同一の電磁コイルを用いて連動して行われる。そのため、導通状態切替器が導通状態に切り替わっている場合には接続切替器は連系状態に確実に切り替わり、導通状態切替器が非導通状態に切り替わっている場合には、接続切替器は非連系状態に確実に切り替わる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。
【
図3】第2実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。
【
図4】第2実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る電力供給システムについて説明する。
図1及び
図2は、第1実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。図示するように、電力供給システムは、非連系用電力線11及び連系用電力線13と、発電装置14と、導通状態切替器12と、電力測定部19と、系統連系保護装置3と、接続切替器17aとを備える。
【0017】
本実施形態の電力供給システムは、例えば一括受電の集合住宅などに設けられるシステムである。そのため、電力系統1から供給される電力を受電設備2で受電し、その受電設備2から各住戸10へ電力が供給される。
図1及び
図2に示すように、集合住宅に設けられる共用電力線4は、受電設備2を介して電力系統1に接続される。各住戸10には、共用電力線4に接続される住戸内電力線6が引き込まれる。そして、発電装置14が設けられる住戸10では、住戸内電力線6が分岐部7で非連系用電力線11と連系用電力線13とに分岐する。
【0018】
非連系用電力線11及び連系用電力線13は、電力系統1に接続される受電設備2を介して電力系統1に対して並列に接続される。住戸負荷18は、切替装置17を介して連系用電力線13又は非連系用電力線11に接続される。具体的には、切替装置17は、接続切替器17aとその接続切替器17aを切替駆動する電磁コイル17bとを備える。接続切替器17aの接点aは住戸負荷18に接続され、接続切替器17aの接点bは連系用電力線13に接続され、接続切替器17aの接点cは非連系用電力線11に接続される。そして、接続切替器17aは、住戸負荷18を連系用電力線13に接続する連系状態(接点aと接点bとが接続される状態)と、住戸負荷18を非連系用電力線11に接続する非連系状態(接点aと接点cとが接続される状態)との何れかに切り替わる。
【0019】
電磁コイル17bは連系用電力線13に接続される。そして、連系用電力線13に電力が流れる場合には電磁コイル17bにも通電されて、電磁コイル17bで電磁力が発生する。そして、電磁コイル17bで発生した電磁力が接続切替器17aに作用して、接続切替器17aの接点aと接点bとが接続される状態(連系状態)に切り替わる。それに対して、連系用電力線13に電力が流れない場合には電磁コイル17bには通電されず、電磁コイル17bで電磁力は発生しない。そして、接続切替器17aには電磁力が作用しないため、接続切替器17aの接点aと接点cとが接続される状態(非連系状態)に切り替わる。
【0020】
連系用電力線13には発電装置14が接続される。具体的には、発電装置14は、連系用電力線13から分岐する形態で連系用電力線13に接続される。発電装置14は、燃料電池装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などである。また、連系用電力線13を流れる電力を測定し、測定結果を発電装置14に伝達する電力測定部19も設けられる。そして、発電装置14は、例えば、電力測定部19で測定される電力が逆潮流電力にならないように、発電電力を調節することができる。
【0021】
発電装置14には自立供給線15も接続されている。発電装置14は、連系用電力線13に電圧が加わっていない場合には、発電電力を自立供給線15に供給する。自立供給線15には自立用電気コンセント16が接続されているため、住戸10の住人はその自立用電気コンセント16に任意の住戸負荷を接続して利用できる。
【0022】
導通状態切替器12は、連系用電力線13に設けられて、発電装置14と電力系統1との間が導通する導通状態と、発電装置14と電力系統1との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる。本実施形態では、系統連系保護装置3と導通状態切替器12との間は信号線5で接続されている。導通状態切替器12は、系統連系保護装置3が出力する異常信号の有無に応じて切り替わる。例えば、系統連系保護装置3は、電力系統1から発電装置14を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には導通状態切替器12を非導通状態にさせるための異常信号を出力し、解列条件が満たされない場合には異常信号を出力しない。この解列条件は、例えば電力系統1の電圧が基準電圧未満の状態が一定時間以上継続したことなどであるが、その内容は適宜設定可能である。
【0023】
図1は、電力系統1から電力が正常に供給されている状態での電力供給システムを示す図である。尚、図中では、電力供給が行われている箇所を太線で描いている。図示するように、系統連系保護装置3は、異常信号を出力しておらず、且つ、電力系統1から電力が供給されている。そのため、導通状態切替器12は導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは連系状態に切り替わっている。そして、電力系統1及び発電装置14の少なくとも一方から供給される電力が住戸負荷18に供給される。
【0024】
図2は、電力系統1からの電力供給が異常になった後、電力系統1から電力供給が正常に戻った状態での電力供給システムを示す図である。図示するように、系統連系保護装置3は異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている。導通状態切替器12はその異常信号に応じて非導通状態に切り替わっているため、連系用電力線13では電力が流れていない。また、連系用電力線13に電圧が加わっていないため、発電装置14は自立供給線15に対して発電電力を供給している。
【0025】
また、連系用電力線13では電力が流れていないため、電磁コイル17bは通電されず、接続切替器17aは非連系状態に切り替わっている。つまり、
図2に示す状態では電力系統1から電力が供給されているため、住戸負荷18は非連系用電力線11を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる。
【0026】
このように、本実施形態の電力供給システムは、系統連系保護装置3が異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている場合、導通状態切替器12は非導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは非連系状態に切り替わる。
【0027】
図2に示す場合、電気主任技術者などが現場に出向いて系統連系保護装置3をリセットすることで、導通状態切替器12を導通状態にさせることができる。但し、本実施形態の電力供給システムでは、導通状態切替器12が非導通状態のままであっても、住戸負荷18は非連系用電力線11を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる。
【0028】
図2に示すように、連系用電力線13に接続されている発電装置14は、連系用電力線13に電力系統1からの電力が流れない状態であることを認識できる。また、電力測定部19は連系用電力線13を電力が流れていない状態を検出する。その結果、発電装置14は、電力系統1から供給される電力の電圧が加わらない状態と、電力測定部19が電力を検出しない状態という、互いに矛盾しない状態を認識できる。
【0029】
<第2実施形態>
第2実施形態の電力供給システムは、導通状態切替器12及び接続切替器17aなどの構成が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の電力供給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0030】
図3及び
図4は、第2実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。尚、
図3及び
図4には複数の住戸10のうちの一つしか描いていない。図示するように、第2実施形態の電力供給システムも、非連系用電力線11及び連系用電力線13と、発電装置14と、導通状態切替器12と、電力測定部19と、系統連系保護装置3と、接続切替器17aとを備える。
【0031】
図3及び
図4に示すように、共用電力線4は受電設備2を介して電力系統1に接続される。住戸10には、共用電力線4に接続される住戸内電力線6が引き込まれる。そして、発電装置14が設けられる住戸10では、住戸内電力線6が分岐部7で非連系用電力線11と連系用電力線13とに分岐する。図示は省略するが、
図1及び
図2に示したように、発電装置14が設けられていない住戸10が共用電力線4に接続されていてもよい。
【0032】
住戸負荷18は、切替装置17を介して連系用電力線13又は非連系用電力線11に接続される。具体的には、切替装置17は、接続切替器17aと、導通状態切替器12と、電磁コイル17bとを備える。接続切替器17aの接点aは住戸負荷18に接続され、接続切替器17aの接点bは連系用電力線13の途中に接続され、接続切替器17aの接点cは非連系用電力線11の途中に接続される。そして、接続切替器17aは、住戸負荷18を連系用電力線13に接続する連系状態(接点aと接点bとが接続される状態)と、住戸負荷18を非連系用電力線11に接続する非連系状態(接点aと接点cとが接続される状態)との何れかに切り替わる。
【0033】
導通状態切替器12は、連系用電力線13に設けられて、発電装置14と電力系統1との間が導通する導通状態と、発電装置14と電力系統1との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる。系統連系保護装置3は、電力系統1から発電装置14を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には導通状態切替器12を非導通状態にさせるための異常信号を出力し、解列条件が満たされない場合には異常信号を出力しない。
【0034】
系統連系保護装置3が出力する異常信号は、非連系用電力線11の途中に設けられる接点信号受付部20が受け付ける。接点信号受付部20は、系統連系保護装置3から異常信号を受け付けている間は導通状態(オン)に切り替わり、系統連系保護装置3から異常信号を受け付けていない間は非導通状態(オフ)に切り替わる。そのため、非連系用電力線11の途中に設けられる電磁コイル17bには、系統連系保護装置3が異常信号を出力していない場合には通電されない。それに対して、電磁コイル17bには、系統連系保護装置3が異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている場合には通電される。
【0035】
電磁コイル17bに通電されると、電磁コイル17bで電磁力が発生する。そして、電磁コイル17bで発生した電磁力が切替装置17の接続切替器17a及び導通状態切替器12の両方に作用する。つまり、切替装置17において、接続切替器17a及び導通状態切替器12は、同一の電磁コイル17bで発生する電磁力によって切り替えられるように構成される。
【0036】
具体的には、電磁コイル17bで発生した電磁力が切替装置17の接続切替器17aに作用して、接続切替器17aの接点aと接点cとが接続される状態(非連系状態)に切り替わる。そして、住戸負荷18が非連系用電力線11に接続される。それに対して、電磁コイル17bで電磁力が発生しない場合には、接続切替器17aの接点aと接点bとが接続される状態(連系状態)に切り替わる。そして、住戸負荷18が連系用電力線13に接続される。
【0037】
また、電磁コイル17bで発生した電磁力が切替装置17の導通状態切替器12に作用して、導通状態切替器12の接点aと接点cとが接続される状態(非連系状態)に切り替わる。そして、発電装置14が電力系統1から解列される。この場合、発電装置14は発電電力を自立供給線15に供給する。それに対して、電磁コイル17bで電磁力が発生しない場合には、導通状態切替器12の接点aと接点bとが接続される状態(連系状態)に切り替わる。そして、発電装置14が電力系統1に連系される。
【0038】
このように、接続切替器17aの前記連系状態と非連系状態との間の切り替わり、及び、導通状態切替器12の導通状態と非導通状態との間の切り替わりが、同一の電磁コイル17bを用いて連動して行われる。そのため、導通状態切替器12が導通状態に切り替わっている場合には接続切替器17aは連系状態に確実に切り替わり、導通状態切替器12が非導通状態に切り替わっている場合には、接続切替器17aは非連系状態に確実に切り替わる。
【0039】
図3は、電力系統1から電力が正常に供給されている状態での電力供給システムを示す図である。尚、図中では、電力供給が行われている箇所を太線で描いている。図示するように、系統連系保護装置3は、異常信号を出力しておらず、且つ、電力系統1から電力が供給されている。そのため、導通状態切替器12は導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは連系状態に切り替わっている。そして、電力系統1及び発電装置14の少なくとも一方から供給される電力が住戸負荷18に供給される。
【0040】
図4は、電力系統1からの電力供給が異常になった後、電力系統1から電力供給が正常に戻った状態での電力供給システムを示す図である。図示するように、系統連系保護装置3は異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている。導通状態切替器12は非導通状態に切り替わっているため、連系用電力線13では電力が流れていない。また、連系用電力線13に電圧が加わっていないため、発電装置14は自立供給線15に対して発電電力を供給している。
【0041】
また、接続切替器17aは非連系状態に切り替わっているため、住戸負荷18は非連系用電力線11を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる。
【0042】
このように、本実施形態の電力供給システムは、系統連系保護装置3が異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている場合、導通状態切替器12は非導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは非連系状態に切り替わる。
【0043】
図4に示す場合、電気主任技術者などが現場に出向いて系統連系保護装置3をリセットすることで、接点信号受付部20が非導通状態(オフ)に切り替わり、電磁コイル17bに通電されなくなることで導通状態切替器12を導通状態にさせることができる。但し、本実施形態の電力供給システムでは、導通状態切替器12が非導通状態のままであっても、住戸負荷18は非連系用電力線11を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる。
【0044】
図4に示すように、連系用電力線13に接続されている発電装置14は、連系用電力線13に電力系統1からの電力が流れない状態であることを認識できる。また、電力測定部19は連系用電力線13を電力が流れていない状態を検出する。その結果、発電装置14は、電力系統1から供給される電力の電圧が加わらない状態と、電力測定部19が電力を検出しない状態という、互いに矛盾しない状態を認識できる。
【0045】
<別実施形態>
上記実施形態では、電力供給システムの構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0046】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、発電装置が正常に動作できる電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 電力系統
2 受電設備
3 系統連系保護装置
4 共用電力線
5 信号線
6 住戸内電力線
7 分岐部
10 住戸
11 非連系用電力線
12 導通状態切替器
13 連系用電力線
14 発電装置
15 自立供給線
16 自立用電気コンセント
17 切替装置
17a 接続切替器
17b 電磁コイル
18 住戸負荷
19 電力測定部
20 接点信号受付部