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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148342
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】手袋用アダプタ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20241010BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C12M1/00 K
B01L1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061404
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】592041306
【氏名又は名称】株式会社美和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 哲也
【テーマコード(参考)】
4B029
4G057
【Fターム(参考)】
4B029AA19
4B029BB01
4G057AA09
(57)【要約】
【課題】アームホールに対して取り付ける手袋について、当該アームホール専用の手袋とは異なるサイズの手袋を取り付けることができる手袋用アダプタを提供する。
【解決手段】手袋用アダプタ3は、グローブボックス10のアームホール2に対して取り付けられる取付部4と、取付部4に設けられ、外周部に手袋7を被せることで手袋7が装着される手袋装着部5と、を備え、手袋装着部5の外周部の周長は、アームホール2の外周長に比べて異なる長さである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローブボックスのアームホールに対して取り付けられる取付部と、
前記取付部に設けられ、外周部に手袋を被せることで前記手袋が装着される手袋装着部と、
を備え、
前記手袋装着部の外周部の周長は、前記アームホールの外周長に比べて異なる長さである、
手袋用アダプタ。
【請求項2】
前記手袋装着部の外周部の周長は、前記アームホールの外周長に比べて長い、
請求項1に記載の手袋用アダプタ。
【請求項3】
前記手袋装着部は、前記アームホールの中心軸方向に見て、上下方向に長手方向を有する長円形状に形成されている、
請求項2に記載の手袋用アダプタ。
【請求項4】
前記アームホールに対して前記取付部が取り付けられた状態において、前記手袋装着部の下端は、グローブボックスの外蓋のハンドルの最下端よりも下方に位置している、
請求項3に記載の手袋用アダプタ。
【請求項5】
前記取付部は、
前記アームホールの外周面に対向する筒体部と、
前記筒体部に対して前記筒体部の周方向に間隔をおいて形成された複数のねじ穴と、
を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の手袋用アダプタ。
【請求項6】
前記取付部は、
前記アームホールの外周面に対向する筒体部と、
前記筒体部の内周面に沿って設けられ、前記アームホールの先端部が嵌め込まれる溝部と、
を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の手袋用アダプタ。
【請求項7】
前記取付部は、前記グローブボックスの内部から前記アームホールを閉じる内蓋を係止するための係止部を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の手袋用アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、グローブボックスの一例が開示されている。グローブボックスは、作業空間内に通じる作業用開口と、作業用開口から突き出す筒状体と、を備える。筒状体には、手袋が取り付けられる。作業空間は、筒状体に取り付けられた手袋によって、気密状に密閉されている。
【0003】
作業者は、手を手袋に装着し、筒状体の内部に手袋と共に手を通すことで、作業空間の内部で作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-015840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筒状体の外径は、グローブボックスの種類によって多種多様のものが存在する。このため、手袋についても、筒状体の種類に応じた各種のサイズが用意されているが、多く市場に出回っているサイズのものと、あまり出回っていないサイズのものとが存在する。
【0006】
一般的に、多く市場に出回っているサイズの手袋は、より多く製造されるため、比較的入手が容易であるのに対し、あまり出回っていないサイズの手袋は、製造数が少ないため、入手が困難になりやすい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、アームホールに対して取り付ける手袋につき、当該アームホール専用の手袋とは異なるサイズの手袋を取り付けることができる手袋用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の手袋用アダプタは、グローブボックスのアームホールに対して取り付けられる取付部と、前記取付部に設けられ、外周部に手袋を被せることで前記手袋が装着される手袋装着部と、を備え、前記手袋装着部の外周部の周長は、前記アームホールの外周長に比べて異なる長さである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様の手袋用アダプタは、アームホールに対して取り付ける手袋につき、当該アームホール専用の手袋とは異なるサイズの手袋を取り付けることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るグローブボックスの全体図である。
図2図2は、図1のA-A線断面図である。
図3図3は、実施形態に係る手袋用アダプタにおいて、図1のA-A線相当箇所で切断した断面斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る手袋用アダプタの正面図である。
図5図5(A)(B)は、実施形態に係る手袋用アダプタに対して、内蓋を嵌め込む説明のための正面図である。
図6図6は、図1のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本実施形態に係る手袋用アダプタ3は、例えば、図1に示すようなアームホール2を有するグローブボックス10に取り付けられる。手袋用アダプタ3は、図2に示すように、アームホール2に取り付けられる取付部4と、手袋7が装着される手袋装着部5とを備える。手袋装着部5の外周部の周長は、アームホール2の外周長に比べて異なる長さであり、本実施形態では、アームホール2の外周長よりも長い。
【0012】
本実施形態に係る手袋用アダプタ3を用いることで、グローブボックス10のアームホール2のサイズとは異なるサイズの手袋7を、グローブボックス10に取り付けることができるようになる。この結果、例えば、既設のグローブボックス10に適合する手袋7が入手しにくいサイズの手袋7の場合でも、入手しやすいサイズの手袋7を装着できる。
【0013】
以下、本実施形態の手袋用アダプタ3について、グローブボックス10のアームホール2に取り付けられた状態に基づいて説明する。グローブボックス10から作業者に向かい、かつ水平面に沿う方向を「前方向」とし、その反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向に平行な2方向を合わせて「前後方向」として定義する。また、前後方向に直交しかつ水平面に沿う方向を「左右方向」として定義する。
【0014】
本明細書において「平行」とは、2つの直線、辺、面等が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線、辺、面等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線、辺、面等がなす角度が90°±10°以内の範囲で交わる場合を含み、2つの直線等が直接交わらなくても、延長すれば交わる場合も含む。
【0015】
(グローブボックス10)
グローブボックス10は、外気と遮断された容器内で、手袋7によって作業できるように構成された密閉容器である。グローブボックス10としては、真空式と、ガス置換式(パージ式)とのいずれが用いられてもよいが、本実施形態では、真空式のグローブボックス10を一例に挙げて説明する。グローブボックス10は、図1に示すように、ボックス本体1と、ボックス本体1に設けられた複数のアームホール2と、手袋用アダプタ3と、手袋7(図2)と、複数のアームホール2を閉じる複数の外蓋8と、を備える。
【0016】
(ボックス本体1)
ボックス本体1は、内部に作業空間を有する気密容器であり、作業空間を気密状に区画する。ボックス本体1の形状は、内部に作業空間を有していれば特に制限はなく、例えば、直方体状、立方体状、側面視台形状、円筒状等が挙げられる。また、ボックス本体1の材質としては、特に制限はなく、例えば、ステンレス、アルミニウム、チタン、ガラス、合成樹脂等、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0017】
ボックス本体1には、サイドボックス11が設けられることが好ましい。サイドボックス11は、ボックス本体1内に通じており、作業空間に対して、処理物や容器等の対象物を供給することができる。サイドボックス11はスライドテーブルを有することが好ましい。サイドボックス11の左右方向の外側の端部は、ハッチ扉によって開閉可能に閉じられている。
【0018】
(アームホール2)
アームホール2は、ボックス本体1を内外に貫通する。アームホール2には、手袋7が取付け可能であり、手袋7を装着した作業者の手を、アームホール2を通して、ボックス本体1の作業空間内に入れることができる。アームホール2は、ボックス本体1の前面(本実施形態では、前面パネル)に設けられており、ボックス本体1の内部に通じている。
【0019】
アームホール2は、中心軸に沿う方向(以下、中心軸方向)の両端面に開口面を有する略円筒状に形成されている。アームホール2の中心軸方向は、水平面に沿っていてもよいが、前方向に進むに従って上方向に進むように、水平面に対して傾斜していることが好ましい。複数のアームホール2の中心軸は、左右方向に並んでおり、互いに略平行である。アームホール2の材質としては、特に制限はないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、チタン、ガラス、合成樹脂等が挙げられる。
【0020】
グローブボックス10は、1つのボックス本体1に対して、複数のアームホール2を備えてもよいし、1つのアームホール2のみを備えてもよい。本実施形態では、2つのアームホール2を備えるが、3つ以上のアームホール2を備えてもよい。
【0021】
各アームホール2は、図2に示すように、円筒体21と、円筒体21の先端に設けられた被覆材22と、を備える。円筒体21は、アームホール2において円筒状をなす部分であり、基端部71がボックス本体1に取り付けられる。円筒体21は、ボックス本体1の外面(前面)から突き出ている。円筒体21には、外周面に被さるようにして、手袋7を取り付けることができる。円筒体21の外周面には、円筒体21の中心軸方向に沿って間隔をおいて形成された複数の取付溝211が形成されている。各取付溝211には、リング状のパッキン23が配置されている。パッキン23としては、例えば、Oリング、Xリング等が挙げられる。パッキン23の外周面は、アームホール2の外周面(取付溝211を除く面)から突き出ている。
【0022】
円筒体21の先端部には、被覆材22が取り付けられている。被覆材22は、リング状に形成されており、アームホール2の先端のエッジが手袋7を傷付けたり穴を開けたりすることを防ぐ。被覆材22は、円筒体21の先端を覆うようにして取り付けられている。
【0023】
被覆材22の材質としては、特に制限はないが、例えば、エラストマ、軟質合成樹脂、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR;Nitrile butadiene rubber)、ブチルゴム、バイトン(登録商標)等の弾性体が用いられることが好ましい。手袋7を損傷しないような滑らかな外形を有していれば、弾性体でなくてもよく、例えば、硬質合成樹脂、布、パルプ、金属等であってもよい。本実施形態に係る被覆材22は、クロロプレンゴムによって構成されている。
【0024】
被覆材22は、接着剤を用いることなく、円筒体21に取り付けられることが好ましい。本実施形態に係る被覆材22は、断面略U字状に形成されている。被覆材22は、嵌め込みによって円筒体21に取り付けられている。
【0025】
(手袋用アダプタ3)
手袋用アダプタ3は、アームホール2に取り付けられて、アームホール2に装着される専用の手袋7とは異なるサイズの手袋7を装着することができる。本実施形態では、手袋用アダプタ3を用いて装着される手袋7のサイズは、アームホール2に装着される専用の手袋7よりも大きい。手袋用アダプタ3は、図3に示すように、取付部4と、取付部4に設けられた手袋装着部5と、被覆材取付部6と、被覆材取付部6に取付けられる被覆材61(図2)と、を備える。
【0026】
(取付部4)
取付部4は、アームホール2に取り付けられる部分である。取付部4は、図3に示すように、円筒状の筒体部41を有する。筒体部41の内側にアームホール2が嵌め込まれると、図2に示すように、筒体部41の内周面がアームホール2の外周面に対向する。筒体部41の内周面は、アームホール2の取付溝211内のパッキン23に接触し、アームホール2と気密状に接触する。筒体部41の内周面の後端部は、先端に近付くに従って内径が大きくなるようにテーパ状に形成されることが好ましい。これによって、筒体部41をアームホール2に嵌め込みやすくなる。
【0027】
筒体部41には、図3に示すように、径方向に貫通する複数のねじ穴411が形成されている。複数のねじ穴411は、筒体部41の周方向に間隔をおいて配置されている。各ねじ穴411には、ねじ具がねじ込まれる。アームホール2に対し、外側から内側に向かってねじ具を押し当てることで、アームホール2に対して取付部4が固定される。ねじ穴411は、円周角が90°となるように4箇所に形成されることが好ましい。ねじ具としては、例えば、六角ボルト、六角穴付ボルト、六角穴付止めねじ(いわゆる、いもねじ)、ビス等が挙げられる。
【0028】
ねじ穴411は、アームホール2の取付溝211に対応する位置に形成されることが好ましい。これによって、ねじ穴411に対してねじ具をねじ込んだ際に、ねじ具の先端が取付溝211に嵌まり込む。これによって、手袋用アダプタ3がアームホール2から外れにくくなる。なお、ねじ穴411は、隣り合う取付溝211の間に対応する位置に位置してもよい。
【0029】
取付部4は、アームホール2の先端部が嵌め込まれる溝部42を有することが好ましい。溝部42は、筒体部41の前側の端部に設けられた突出片43の一面と、筒体部41の内周面とで、凹状に形成されている。溝部42は、筒体部41の周方向の全周にわたって形成されている。
【0030】
突出片43は、筒体部41の内周面から径方向の内側に突き出た縦片431と、縦片431の先端から後方に突き出る横片432とを備える。突出片43は、断面L字状に形成されている。突出片43は、図2に示すように、縦片431がアームホール2の先端面に対向し、横片432がアームホール2の先端部の内周面に対向することで、アームホール2の先端部を覆うことができる。このとき、溝部42は、アームホール2の先端の被覆材22に接触することが好ましい。アームホール2の先端部が溝部42に嵌め込まれることで、ボックス本体1の気体や物質が、手袋用アダプタ3とアームホール2との間に入り込むのを低減でき、ボックス本体1の気体等の漏洩を防ぐことができる。
【0031】
図3に示すように、取付部4は、内蓋9を係止する係止部44を有することが好ましい。係止部44は、本実施形態では、突出片43の内周面に部分的に設けられた突条である。突条は、中心軸方向に見て、対角の位置に2つ設けられることが好ましい。複数の突条には、後述の内蓋9の側面のスリット922が差し込まれ、スリット922を引っ掛けることができる。
【0032】
(手袋装着部5)
手袋装着部5は、手袋7が装着される部分である。手袋装着部5は、取付部4の外周面に設けられている。手袋装着部5は、取付部4の外周面から、少なくとも一部が径方向の外側に向かって突き出ている。手袋装着部5は、取付部4に対して一体であることが好ましい。ここにおいて、本明細書でいう「一体」とは、溶接、一体成形等のように、接続された部位同士が1つになっている態様を意味する。ただし、手袋装着部5は、取付部4に対して、一体でなくてもよく、例えば、ねじ留め、嵌め込み、ねじ込み、接着等によって接続されてもよい。
【0033】
手袋装着部5の外周面には、手袋7が装着される。手袋装着部5の外周面の最大周長(外周部の周長)は、アームホール2の外周面の最大周長(外周長)よりも長いことが好ましい。図4に示すように、手袋装着部5の外形は、中心軸方向に見て、上下方向に長軸G2を有する長円形である。一方、アームホール2は、中心軸方向に見て円形(真円形)である。手袋装着部5の外形の短軸G1方向の最大距離は、アームホール2の外径よりも大きい。これによって、手袋装着部5の外周面の最大周長は、アームホール2の外周面の最大周長よりも長くなるように設定されている。
【0034】
アームホール2の外周長が、例えば、470mm以上628mm以下(直径150mm以上200mm以下)の場合、手袋装着部5の外周部の周長は、例えば、565mm以上880mm以下とすることができるし、例えば、750mm以上1150mm以下とすることもできる。手袋装着部5の外周部の周長を、565mm以上880mm以下とすることで、8インチ用の手袋を装着することができる。手袋装着部5の外周部の周長を、750mm以上1150mm以下とすることで、10インチ用の手袋を装着することができる。これによって、特注品ではなく、一般的に流通している手袋7を装着することができる。なお、アームホールの外周長と、手袋装着部5の外周部の周長とはあくまで例示に過ぎず、手袋装着部5の外周部の周長としては、12インチ用の手袋やそれ以上の手袋を装着できるようにしてもよい。アームホール2の外周長と、手袋装着部5の外周部の周長とは、必要に応じて適宜設計することができる。
【0035】
本明細書でいう長円形は、少なくとも一部に円弧を有すると共に、長軸G2と短軸G1とを有する。長円形には、楕円形のほか、2つの半円弧とこれを結ぶ2つの線分とで形成された形状や、ラグビーボール形等も含まれる。ただし、手袋装着部5の形状は、手袋装着部5の外周面の最大周長がアームホール2の外周面の最大周長よりも長ければ、長円形に限らない。例えば、手袋装着部5の外周面は、アームホール2の外周面の直径よりも大きい円形状に形成されてもよい。
【0036】
手袋装着部5の中心軸方向に見た形状は、直線と曲線とが滑らかに接続された形状であることが好ましく、角部を有さないことが好ましい。角部は、鈍角及び鋭角のいずれも含むが、R面取りを施した隅丸形状は含まない。また、手袋装着部5の中心軸方向に見た形状は、曲線のみで構成されてもよい。
【0037】
手袋装着部5の外周面には、図3に示すように、複数の手袋取付溝51が形成されている。複数の手袋取付溝51は、中心軸方向に間隔をおいて形成されている。手袋取付溝51には、図2に示すように、手袋7の開口側の端部(基端部71)の外側からリング状のパッキン62が嵌め込まれる。これによって、手袋7の基端部71は、手袋装着部5に装着される。
【0038】
(被覆材取付部6)
被覆材取付部6は、被覆材61が取り付けられる部分である。被覆材取付部6は、図2に示すように、アームホール2の延長線上に位置する。本実施形態では、被覆材取付部6は、縦片431から前方向に突き出ている。図3からもわかるように、被覆材取付部6は、中心軸方向に見て、円環状に形成されており、アームホール2と同心状に形成されている。被覆材取付部6は、取付部4(縦片431)に一体であることが好ましい。
【0039】
(被覆材61)
被覆材61は、被覆材取付部6に取り付けられる。被覆材61は、アームホール2の先端部に取り付けられた被覆材22と略同じ形状に形成されている。被覆材61は、被覆材取付部6に対して、嵌め込みにより取り付けられる。被覆材取付部6に対する被覆材61の取付けには、接着剤が用いられないことが好ましい。被覆材61の材質は、アームホール2の被覆材22と同じ材料を用いることができる。
【0040】
(手袋7)
手袋7は、アームホール2を塞ぐようにして、ボックス本体1の気密性を保つように、手袋用アダプタ3に取り付けられる。手袋7は、使用時には、アームホール2からボックス本体1内に挿し入れられ、不使用時にはアームホール2から外部に出され得る。手袋7は、手袋装着部5に取り付けられる。
【0041】
手袋7は、図2に示すように、手袋7の基端部71に手袋装着部5を通し、手袋7の基端部71を手袋取付溝51に対向させた後、手袋取付溝51に対して手袋7の外側からリング状のパッキン62を嵌め込むことで、手袋装着部5に取り付けられる。これによって、手袋装着部5の外周面と手袋7とが密着し、手袋装着部5に対して手袋7の基端部71が気密状に取り付けられる。
【0042】
手袋7の材料としては、特に制限はないが、例えば、バイトン(登録商標)、ブチル、ネオプレン(登録商標)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM;Chlorosulfonated polyethylene)、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR;Nitrile butadiene rubber)、シリコーン、クロロプレン、ポリウレタン等が挙げられる。このなかでも、耐薬品性、耐油性の観点から、アクリロニトリルブタジエンゴムが用いられることが好ましく、あるいは、耐ガス透過性の観点から、ブチルゴムが用いられることが好ましい。本実施形態では、ブチルゴムが用いられる。
【0043】
(内蓋9)
グローブボックス10は、内蓋9を備えることが好ましい。内蓋9は、手袋7を交換する際にアームホール2を内側から閉じる蓋である。内蓋9は、通常、本体ボックス内に配置されている。内蓋9は、図2に示すように、蓋本体92と、蓋本体92の外周部に設けられたフランジ91と、蓋本体92に取り付けられた取手93とを備える。蓋本体92は、図2に示すように、蓋本体92の外径が突出片43の内径よりも小さく形成されており、突出片43の内部に嵌め込まれる。フランジ91は、内蓋9がアームホール2を閉じると、突出片43の横片432の後端面に対向する。
【0044】
蓋本体92の周壁には、図5に示すように、周方向に延びるスリット922と、挿通穴921と、が形成されている。挿通穴921は、蓋本体92の前方向、径方向の外側及びスリット922に開放している。内蓋9がアームホール2の後側から前側に差し込まれると、図5(A)に示すように、挿通穴921に対して、手袋用アダプタ3の係止部44が前から差し込まれ、係止部44がスリット922に入る。この状態から、図5(B)に示すように、内蓋9を中心軸を中心に回転すると、係止部44がスリット922に入り込み、手袋用アダプタ3に対して内蓋9を固定できる。
【0045】
(外蓋8)
外蓋8は、手袋7の基端部71から先端までの部分をアームホール2内に通した状態で、アームホール2を塞ぐことができる。外蓋8は、図6に示すように、円板状の蓋本体82と、ボックス本体1に連結された台座アーム81と、台座アーム81に回転可能に支持された回転軸84と、回転軸84に取り付けられたハンドル83と、を備える。
【0046】
台座アーム81は、ボックス本体1に固定された支柱部811と、支柱部811に対して回転可能に連結された回転アーム812と、を備える。回転アーム812の回転軸は、回転アーム812の端部にあり、鉛直方向に平行である。回転アーム812の左右方向の略中央部には、ねじ部813が形成されている。回転アーム812の長手方向において回転アーム812とは反対側の端部は、ボックス本体1に固定された爪部85に対して、取外し可能に固定される。
【0047】
回転軸84の外周には雄ねじが形成されており、回転軸84は、回転アーム812のねじ部813にねじ込まれる。回転軸84は、長手方向の前側の端部にハンドル83が固定され、後側の端部に蓋本体82が回転可能に連結される。ハンドル83を、回転軸84を中心に回転すると、回転軸84の回転に従って蓋本体82が後側又は前側に移動する。これによって、蓋本体82を、手袋装着部5の被覆材61に押し付けてアームホール2を閉じたり、又は被覆材61から離間させてアームホール2を開いたりすることができる。
【0048】
ハンドル83は、棒状であることが好ましい。棒状のハンドル83は、アームホール2の径方向に平行に延びる。ハンドル83の径方向の端部は、中心軸方向に見て、蓋本体82の外縁と略同じかそれよりも小さいことが好ましい。これによって、手袋用アダプタ3の手袋装着部5の下端は、ハンドル83の最下端よりも下方に位置するようになる。したがって、例えば、作業者がハンドル83を背にして立ち上がった際などに、作業者の背中は、ハンドル83よりも先に手袋装着部5に接触しやすい。このため、作業者の背中がハンドル83に衝突してしまうのを抑制できる。ここでいう「ハンドル83の最下端」とは、ハンドル83の移動軌跡の最下端を意味する。
【0049】
ハンドル83は、棒状に限らず、例えば、円板状、六角形状、星形等であってもよい。ハンドル83の材質としては、例えば、金属、合成樹脂等が挙げられる。
【0050】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る手袋用アダプタ3は、手袋装着部5の外周部の周長がアームホール2の外周長に比べて異なるサイズであるため、アームホール2に対して取り付ける手袋7につき、当該アームホール2専用の手袋7とは異なるサイズの手袋7を取り付けることができる。この結果、例えば、既設のグローブボックス10に適合する手袋7が入手しにくいサイズの手袋7の場合でも、入手しやすいサイズの手袋7を装着できる。
【0051】
また、手袋装着部5の外周部の周長がアームホール2の外周長よりも長いため、グローブボックス10のアームホール2のサイズよりも大きいサイズの手袋7を、グローブボックス10に取り付けることができる。
【0052】
また、手袋用アダプタ3は、手袋装着部5が、アームホール2の中心軸方向に見て、上下方向に長手方向を有する長円形状に形成されているため、手袋7との間に隙間が生じにくく、外周部の周長を長くすることができる。
【0053】
また、アームホール2に対して取付部4が取り付けられた状態において、手袋装着部5の下端が、グローブボックス10の外蓋8のハンドル83の最下端よりも下方に位置するため、作業者がハンドル83を背にして立ち上がった際などに、ハンドル83よりも先に手袋装着部5に当たるため、ハンドル83に衝突してしまうのを軽減できる。
【0054】
また、手袋用アダプタ3では、取付部4は、アームホール2の外周面に対向する筒体部41と、筒体部41に対して前記筒体部41の周方向に間隔をおいて形成された複数のねじ穴411と、を有するため、作業者は簡易な作業で、手袋用アダプタ3をアームホール2に取り付けることができる。
【0055】
また、取付部4は、アームホール2の先端部が嵌め込まれる溝部42を有するため、アームホール2と手袋用アダプタ3との間に、グローブボックス10内のガスや物質が入り込むことを軽減できる。
【0056】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0057】
上記実施形態では、手袋装着部5の外周部の周長は、アームホール2の外周長に比べて長いが、アームホール2の外周長に比べて短くてもよい。この場合、アームホール2に装着される専用の手袋7に比べて、手袋用アダプタ3に装着される手袋7を、小さいサイズの手袋7とすることができる。
【0058】
グローブボックス10は、例えば、アイソレータ、エンクロージャ、ドライボックス、無菌チャンバ、鉄セル等と称されることもある。本明細書では、外気と遮断された容器内で作業できるように構成された密閉容器の総称をグローブボックス10とすることとする。
【0059】
上記実施形態に係る手袋装着部5は、手袋7が接着剤を用いることなく取り付けられたが、手袋7が接着剤によって取り付けられてもよいし、他の接合手段を用いて、手袋7が取り付けられてもよい。
【0060】
手袋用アダプタ3は、取付部4の外周面がアームホール2の内周面に対向するように、アームホール2に取り付けられてもよい。また、取付部4の後側の端面に円環状の溝を設け、当該溝に対して、アームホール2が差し込まれてもよい。
【0061】
手袋用アダプタ3の材質としては、特に制限はなく、例えば、合成樹脂、金属、カーボン、パルプ、FRP、ゴム、木、ガラス等が用いられてもよい。合成樹脂としては、硬質樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が用いられてもよい。
【0062】
上記実施形態では、内蓋9に挿通穴921及びスリット922が形成され、係止部44である突条が、挿通穴921及びスリット922に係止されたが、例えば、手袋用アダプタ3には、係止部44として、挿通穴及びスリットが形成されてもよい。この場合、内蓋9には、突条が形成されてもよい。ここでいう「係止」は、アームホールの中心軸方向に沿って内蓋9の移動が妨げられるように引っ掛けられることを意味する。
【0063】
<まとめ>
本明細書には以下の態様を含む。
項1.グローブボックス10のアームホール2に対して取り付けられる取付部4と、取付部4に設けられ、外周部に手袋7を被せることで手袋7が装着される手袋装着部5と、を備え、手袋装着部5の外周部の周長は、アームホール2の外周長に比べて異なる長さである、手袋用アダプタ3。
項2.手袋装着部5の外周部の周長は、アームホール2の外周長に比べて長い、項1に記載の手袋用アダプタ3。
項3.手袋装着部5は、アームホール2の中心軸方向に見て、上下方向に長手方向を有する長円形状に形成されている、項2に記載の手袋用アダプタ3。
項4.アームホール2に対して取付部4が取り付けられた状態において、手袋装着部5の下端は、グローブボックス10の外蓋8のハンドル83の最下端よりも下方に位置している、項3に記載の手袋用アダプタ3。
項5.取付部4は、アームホール2の外周面に対向する筒体部41と、筒体部41に対して筒体部41の周方向に間隔をおいて形成された複数のねじ穴411と、を有する、項1から4のいずれか一項に記載の手袋用アダプタ3。
項6.取付部4は、アームホール2の外周面に対向する筒体部41と、筒体部41の内周面に沿って設けられ、アームホール2の先端部が嵌め込まれる溝部42と、を有する、項1から項5のいずれか一項に記載の手袋用アダプタ3。
項7.取付部4は、グローブボックス10の内部からアームホール2を閉じる内蓋9を係止するための係止部44を有する、項1から6のいずれか一項に記載の手袋用アダプタ3。
【符号の説明】
【0064】
10 グローブボックス
2 アームホール
3 手袋用アダプタ
4 取付部
41 筒体部
411 ねじ穴
42 溝部
43 突出片
431 縦片
432 横片
44 係止部
5 手袋装着部
51 手袋取付溝
6 被覆材取付部
61 被覆材
62 パッキン
7 手袋
8 外蓋
83 ハンドル
G1 短軸
G2 長軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6