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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148353
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】多成分配合点眼剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/164 20060101AFI20241010BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/185 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/4166 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/737 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 33/22 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K31/164
A61K31/4164
A61K31/27
A61K31/704
A61K31/4402
A61K31/714
A61K31/185
A61K31/197
A61K31/4166
A61K31/4415
A61K31/198
A61K31/737
A61K31/045
A61K33/22
A61P27/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061420
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】307020615
【氏名又は名称】キョーリンリメディオ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷川 舞
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086BC17
4C086BC18
4C086BC38
4C086DA39
4C086EA10
4C086EA26
4C086HA05
4C086HA15
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
4C206AA01
4C206CA03
4C206FA44
4C206FA53
4C206GA05
4C206GA25
4C206HA24
4C206JA08
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA78
4C206NA14
4C206ZA33
(57)【要約】
【課題】本発明は、有効成分として、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合する、保存時の安定性が良好な点眼剤を提供することを課題とする。
【解決手段】上記点眼液のpHを特定の範囲に調整することで、上記課題を解決した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合し、pHが5.0~5.9であることを特徴とする配合点眼剤。
【請求項2】
更に、0.01w/v%から0.2w/v%未満のクロロブタノールを含有することを特徴とする請求項1に記載の配合点眼剤。
【請求項3】
グリチルリチン酸又はその塩の含有量が0.15w/v%から0.25w/v%であり、タウリンの含有量が0.5w/v%から1.0w/v%である請求項2に記載の配合点眼剤。
【請求項4】
0.04w/v%から0.05w/v%の塩酸テトラヒドロゾリン、0.004w/v%から0.005w/v%のネオスチグミンメチル硫酸塩、0.02w/v%から0.03w/v%のクロルフェニラミンマレイン酸塩、及び0.01w/v%から0.02w/v%のシアノコバラミンを含有する請求項3に記載の配合点眼剤。
【請求項5】
更にホウ酸を含有することを特徴とする請求項4に記載の配合点眼剤。
【請求項6】
0.05w/v%から0.25w/v%のホウ酸を含有する請求項5に記載の配合点眼剤。
【請求項7】
更に0.05w/v%から0.08w/v%のエデト酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の配合点眼剤。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目の疲れの緩和に有効な成分として、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合する、保存安定性と使用感に優れた配合点眼剤の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人の生活にパソコンや携帯電話は欠かせず、仕事でも家庭でも、今は年齢、職業にかかわらずに、使用しない日のほうが少なくなっているのが現状である。一方、パソコンや携帯電話は生活を便利にする一方で、目の疲れを引き起こす不便な面を持ち合わせており、結果的に現代人の生活では、目の疲れを自覚する機会が増えている(非特許文献1)。
【0003】
目の疲れは、充血や炎症、また乾燥やかすみ目等など人により症状は様々であり、それらの諸症状に有効とされる成分が複数配合された点眼剤(以下、「多成分配合点眼剤」と略すことがある)は、1つの点眼剤で多様な効果が期待できるため、使用者の利便性に大きく貢献する。
【0004】
一方、このような多成分配合点眼剤は一般用医薬品として販売され、そのような点眼剤に配合される有効成分の種類と配合量は「眼科用薬製造販売承認基準」により定められている。そのため、目の疲れに起因する様々な症状に適用でき、尚且つ効果の高い点眼剤を提供するには、有効成分の種類とその配合量を承認基準の最大量にすることが望ましい。しかし、点眼剤に用いられる有効成分の中には、溶液のpHや保存環境(光や温度等)により、変色・沈殿・析出及び分解等の問題が生ずるものがある。また、有効成分の種類と含有量が増えると、有効成分同士及び添加剤成分との複雑な相互作用が起こる可能性があり、それに伴う品質上の様々な問題が発生するリスクが高まる。
【0005】
例えば、抗炎症作用や細胞賦活作用により目の疲れを緩和するアラントインは、一般にアルカリ条件下、特にpH8.0で最も不安定であり、アラントイン酸を経由してグリオキシル酸と尿素に加水分解される(非特許文献2)。そのため、アラントインを含有する点眼剤ではpHを酸性にする必要があるが、角膜保護や目に潤いを与えるコンドロイチン硫酸塩類や目の炎症を抑えるグリチルリチン酸塩類と配合すると沈殿物が生ずるおそれがある。
【0006】
一方、目の疲れを抑える作用のあるシアノコバラミンは酸性条件では不安定であり、前述したアラントインの場合と安定なpH領域が異なる。更に、シアノコバラミンは光や他の水溶性ビタミンとの共存で分解することが知られている(非特許文献3)。
【0007】
また、眼組織の代謝を賦活化し、眼の疲れを改善するピリドキシンも光に対して不安定であり、尚且つシアノコバラミンとの配合性が悪いことが知られている(非特許文献3)。
【0008】
更には、点眼剤の防腐剤又は点眼時の刺激感を和らげる目的で用いられるクロロブタノールは、熱や光により経時的に分解し、点眼剤のpHを低下させるため、配合成分の不安定化や沈殿・析出等の問題が生ずることが報告されている(特許文献1)。
【0009】
このような課題があるため、目の疲れの諸症状を改善する多成分配合点眼剤を開発する場合、全ての有効成分の安定性を保証する必要がある。また、多くの有効成分に加えて添加剤も加わるため、着色や沈殿等の物理的変化や、点眼時の目の刺激感等、様々な課題を解決する必要がある。そのため、点眼剤に配合する有効成分と添加剤の種類が多ければ多いほど、各成分同士の物理的および化学的な相互作用も複雑化するため、その開発は極めて困難となる。
【0010】
一般用医薬品の市場では、目の疲れの諸症状を緩和する目的で、複数の有効成分を配合した多成分配合点眼剤が市販されている。これらの多成分配合点眼剤に配合された有効成分の組み合わせにおいて、特許文献2には塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、ピリドキシン塩酸塩、L-アスパラギン酸又はその塩、アラントイン、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、及び酢酸トコフェロールが配合された点眼剤が開示されているが、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、ピリドキシン塩酸塩、L-アスパラギン酸又はその塩、アラントイン、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム及びパンテノールが配合された点眼剤は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-105706号公報
【特許文献2】特開2015-10088号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】公益社団法人 日本眼科医会ホームページ 「目についての健康情報 パソコンと目」より https://www.gankaikai.or.jp/health/42/index.html
【非特許文献2】アラントインの安定性とその分解生成物の同定 薬学雑誌 113(7)515-524 1993
【非特許文献3】Effects of Formulation Variables and Storage Conditions on Protected Vitamin B12 Mixed Parenteral Formulations, Advanced Pharmaceutical Bulletin, 2014, 4(4), 329-338
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、有効成分として、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合する、保存時の安定性が良好な点眼剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、点眼剤のpHを特定の範囲に調整することで、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合する、保存時の温度に対する沈殿及び有効成分の分解等が顕著に抑制された点眼剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明は、以下の発明を含む。
(1)塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合し、pHが5.0~5.9であることを特徴とする配合点眼剤。
(2)更に、0.01w/v%から0.2w/v%未満のクロロブタノールを含有することを特徴とする(1)に記載の配合点眼剤。
(3)グリチルリチン酸又はその塩の含有量が0.15w/v%から0.25w/v%であり、タウリンの含有量が0.5w/v%から1.0w/v%である(2)に記載の配合点眼剤。
(4)0.04w/v%から0.05w/v%の塩酸テトラヒドロゾリン、0.004w/v%から0.005w/v%のネオスチグミンメチル硫酸塩、0.02w/v%から0.03w/v%のクロルフェニラミンマレイン酸塩、及び0.01w/v%から0.02w/v%のシアノコバラミンを含有する(3)に記載の配合点眼剤。
(5)更にホウ酸を含有することを特徴とする(4)に記載の配合点眼剤。
(6)0.05w/v%から0.25w/v%のホウ酸を含有する(5)に記載の配合点眼剤。
(7)更に0.05w/v%から0.08w/v%のエデト酸ナトリウムを含有することを特徴とする(1)から(6)に記載の配合点眼剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、温度に対する保存安定性に優れた多成分配合点眼剤が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、点眼剤の光に対する安定性が優れるとは、例えば、本発明の点眼剤に光を照射するとき、積算照度120万ルクスにおいて、有効成分の残存量が80%以上であり、特に好ましくは当該残存率が90%以上である。
【0018】
本発明において、点眼剤中の沈殿・析出物の発生や変色が防止されるとは、例えば、50℃で2箇月間又は5℃で1箇月間保存した後の本発明の点眼剤を第十八改正日本薬局方の点眼剤の不溶性異物検査法に従い観察したときに、澄明で、たやすく検出される不溶性異物を認めないことをいう。
【0019】
本発明において、点眼剤が保存効力試験に適合するとは、本発明の点眼剤が第十八改正日本薬局方の保存効力試験法において、保存効力があると判定されることをいう。
【0020】
本発明の配合点眼剤には、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムが含有されている。
【0021】
本発明において、塩酸テトラヒドロゾリンとは血管収縮作用を有する有効成分であり、目の充血を抑える目的で用いる。その配合量は0.01w/v%から0.05w/v%が好ましく、0.04w/v%から0.05w/v%がさらに好ましく、承認基準の最大濃度の0.05w/v%が最も好ましい。
【0022】
本発明において、ネオスチグミンメチル硫酸塩は調節機能改善成分であり、目のピントを調節する筋肉(毛様体筋)の働きを改善する目的で用いる。その配合量は0.001w/v%から0.005w/v%が好ましく、0.004w/v%から0.005w/v%がさらに好ましく、承認基準の最大濃度の0.005w/v%が最も好ましい。
【0023】
本発明において、グリチルリチン酸又はその塩とは、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム又はグリチルリチン酸モノアンモニウムのことであり、抗炎症作用を有し、目の疲れで生ずる炎症を抑える目的で用いる。本発明ではグリチルリチン酸二カリウムが好ましく、その配合量は0.05w/v%から0.25w/v%が好ましい。より好ましくは0.15w/v%から0.25w/v%、さらに好ましくは0.20w/v%から0.25w/v%、最も好ましくは承認基準の最大濃度である0.25w/v%である。
【0024】
本発明において、クロルフェニラミンマレイン酸塩は、炎症の原因となるヒスタミンのはたらきを抑え、充血や炎症症状を改善する目的で用いる。その配合量は0.006w/v%から0.03w/v%が好ましく、0.02w/v%から0.03w/v%がさらに好ましく、承認基準の最大濃度である0.03w/v%が最も好ましい。
【0025】
本発明において、シアノコバラミンは長時間にわたる目の酷使等によりピント調節機能の低下した毛様体筋や末梢神経に作用し、目の疲れを緩和する目的で用いる。その配合量は0.004w/v%から0.02w/v%が好ましく、0.01w/v%から0.02w/v%がさらに好ましく、承認基準の最大濃度である0.02w/v%が最も好ましい。
【0026】
本発明において、タウリンとはアミノエチルスルホン酸のことであり、眼組織を活性化する作用を有し、目の疲れを緩和する目的で用いる。その配合量は0.1w/v%から1.0w/v%が好ましい。より好ましくは、0.5w/v%から1.0w/v%、さらに好ましくは0.7w/v%から1.0w/v%、最も好ましくは承認基準の最大濃度の1.0w/v%である。
【0027】
本発明において、イプシロンアミノカプロン酸は炎症の原因物質であるプラスミンの産生を抑制する成分であり、目の炎症を抑える目的で用いる。その配合量は1.0w/v%から1.2w/v%が好ましく、点眼時の刺激が少ないという点で、1.0w/v%が最も好ましい。
【0028】
本発明において、アラントインは消炎・収れん作用を有し、目の炎症を抑え角膜の修復を目的として用いる。その配合量は0.06w/v%から0.3w/v%が好ましく、0.1w/v%が最も好ましい。
【0029】
本発明において、ピリドキシン塩酸塩は疲労した末梢神経の機能を高め、目の新陳代謝を促す作用を有し、眼の疲れを改善する目的で用いる。その配合量は0.01w/v%から0.1w/v%が好ましく、0.05w/v%が最も好ましい。
【0030】
本発明において、パンテノールは新陳代謝を促進し、組織修復作用や角膜の組織機能を高める作用を有し、目の疲れや目のかすみを緩和する目的で用いる。その配合量は0.01w/v%から0.1w/v%が好ましく、0.05w/v%が最も好ましい。
【0031】
本発明において、L-アスパラギン酸又はその塩とは、L-アスパラギン酸カリウム、L―アスパラギン酸マグネシウム又はL―アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物)のことであり、組織代謝を亢進し目の組織の呼吸を促す作用を有し、目の疲労回復を目的に用いる。本発明ではL―アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物)が好ましく、その配合量は0.4w/v%から2.0w/v%が好ましく、1.0w/v%が最も好ましい。
【0032】
本発明において、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、角膜の組成成分で、角膜の透明性維持や角膜損傷の修復及び水分保持機能を有し、角膜保護と目に潤いを与える目的で用いる。その配合量は0.05w/v%から0.5w/v%が好ましく、0.25w/v%が最も好ましい。
【0033】
本発明の点眼剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、点眼剤に通常用いられる添加剤を含有することができる。添加剤は、1種又は2種以上を任意の割合で併用して含有しても良い。添加剤としては、増粘剤、糖類、抗酸化剤、防腐剤、溶解補助剤、pH調節剤、等張化剤、清涼化剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
【0034】
「増粘剤」としては、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなどが挙げられる。
【0035】
「糖類」としては、グルコース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
【0036】
「抗酸化剤」としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキノン、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0037】
「防腐剤」としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、ベンザルコニウム塩化物、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩酸グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。本発明の点眼剤においては、有効な保存効力を達成するため及び保存安定性の向上を目的として、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸エチル及びパラオキシ安息香酸プロピルの3成分を併用するか、又はクロロブタノール及びベンザルコニウム塩化物の2成分を用いることが好ましい。クロロブタノールの含有量は0.01w/v%から0.2w/v%未満が好ましく、0.12w/v%が最も好ましい。
【0038】
本発明は、(1)塩酸テトラヒドロゾリン、(2)ネオスチグミンメチル硫酸塩、(3)グリチルリチン酸又はその塩、(4)クロルフェニラミンマレイン酸塩、(5)シアノコバラミン、(6)タウリン、(7)イプシロンアミノカプロン酸、(8)アラントイン、(9)ピリドキシン塩酸塩、(10)コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、(11)L-アスパラギン酸又はその塩、及び(12)パンテノール、を配合する点眼剤である。一方、特許文献2には、(12)のパンテノールを配合せずに、(1)~(11)の成分に酢酸トコフェロールを配合する点眼剤が開示されている。
【0039】
特許文献2の点眼剤では、有効な保存効力を達成するためにはクロロブタノールを高用量(0.2~0.4w/v%)使用する必要があった。なお、クロロブタノールは、経時的に分解し、点眼剤のpHを低下させ、配合成分の不安定化や沈殿・析出等の問題が生ずることが報告されている(特許文献1)。
【0040】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特許文献2の酢酸トコフェロールの代わりにパンテノールを使用することで、クロロブタノールを0.2w/v%未満としても、有効な保存効力を達成できることを見出した。また、特許文献2の点眼剤では、酢酸トコフェロールを可溶化するために0.15w/v%以上のポリオキシエチレン硬化ひまし油が必要であるが、本発明はパンテノールを使用していることから、ポリオキシエチレン硬化ひまし油を使用しない、又は使用量を抑えた点眼剤が可能となる。
【0041】
「溶解補助剤」としては、ポリソルベート類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体類、アルキルジアミノエチルグリシン、アルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、イプシロンアミノカプロン酸およびプロピレングリコールなどが挙げられる。本発明の点眼剤においては、ポリソルベート80を含有することが好ましい。ポリソルベート80の含有量は0.01w/v%から0.1w/v%が好ましく、0.05w/v%が最も好ましい。
【0042】
「pH調節剤」としては、塩酸、リン酸、酢酸、酒石酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。本発明の点眼剤における「pH調節剤」の種類は特に限定されないが、有効成分の保存安定性を良好に保つためには、点眼剤のpHを5.0~5.9の範囲に調整することが好ましく、5.1~5.7が最も好ましい。
【0043】
「等張化剤」としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、ホウ酸、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0044】
「清涼化剤」としては、d-カンフル、dl-カンフル、ゲラニオール、d-ボルネオール、l-メントール、リュウノウ、ウイキョウ油、ハッカ水、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油などが挙げられる。本発明においてはハッカ油およびl-メントールが好ましい。
【0045】
「緩衝剤」としては、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酒石酸塩緩衝剤、アミノ酸などが挙げられる。
【0046】
「安定化剤」としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸などが挙げられる。本発明の点眼剤においては、ホウ酸を含有することが好ましい。ホウ酸の含有量は、0.1w/v%から0.3w/v%が好ましく、0.05w/v%から0.25w/v%が更に好ましく、0.1w/v%が好適である。また、本発明の点眼剤においては、エデト酸ナトリウムを含有することが好ましい。エデト酸ナトリウムの含有量は、0.01w/v%から0.10w/v%が好ましく、0.05w/v%から0.08w/v%が更に好ましく、0.06w/v%が好適である。
【0047】
本発明の点眼剤は、例えば、1回1~3滴、1日5~6回の範囲で点眼することができるが、これに限られず、任意の用法・用量で使用することができる。
【0048】
本発明の点眼剤の効能・効果としては、例えば、目の疲れ、かすみ目、充血及び眼病予防などが挙げられる。
【0049】
本発明の点眼剤は、点眼剤の製造方法として公知の方法により製造できる。例えば、蒸留水又は精製水に、有効成分と添加剤とを溶解させ、所定の浸透圧及びpHに調整し、容器に充填することにより製造できる。場合によっては、滅菌処理工程を製造工程中に入れることもできる。
【0050】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【実施例0051】
実施例1
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸8g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を200mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール300mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.67になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0052】
実施例2
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸12g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を100mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール400mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.50になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0053】
実施例3
塩酸テトラヒドロゾリン3.5g、ネオスチグミンメチル硫酸塩350mg、イプシロンアミノカプロン酸70g、アラントイン7g、グリチルリチン酸二カリウム17.5g、クロルフェニラミンマレイン酸塩2.1g、シアノコバラミン1.4g、ピリドキシン塩酸塩3.5g、パンテノール3.5g、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム70g、タウリン70g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム17.5g、エデト酸ナトリウム水和物4.2g、ベンザルコニウム塩化物700mg、ポリソルベート80を3.5g、ハッカ油210mg、L-メントール700mg、クロロブタノール8.4g及びホウ酸7gを精製水5kgに加えて撹拌・溶解し、pHが5.30になるように調整してから、全量を7Lとした。
【0054】
実施例4
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸8g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を200mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール300mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.25になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0055】
実施例5
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸4g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を200mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール120mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.00になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0056】
比較例1
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸8g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を200mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール300mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが4.83になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0057】
[試験例1]12成分配合点眼剤のpHと50℃、2箇月保存における有効成分の安定性
実施例1~5及び比較例1で得られた点眼剤のpHと50℃、2箇月保存後のアラントイン含量の定量結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
点眼剤のpHが大きくなるとアラントインの含量が低下する傾向を認めた。点眼剤のpHが5.7以下であれば、アラントインの含量が90%以上であった。安定性試験評価基準によると、評価基準を満たすものは、含量90%以上のものであることから、90%以上が好ましい。
【0060】
実施例6
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸4g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を200mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール480mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.50になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0061】
実施例7
塩酸テトラヒドロゾリン200mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩20mg、イプシロンアミノカプロン酸4g、アラントイン400mg、グリチルリチン酸二カリウム1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩120mg、シアノコバラミン80mg、ピリドキシン塩酸塩200mg、パンテノール200mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム4g、タウリン4g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム1g、エデト酸ナトリウム水和物240mg、ベンザルコニウム塩化物40mg、ポリソルベート80を200mg、ハッカ油12mg、L-メントール40mg及びクロロブタノール120mgを精製水280gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.50になるように調整してから、全量を400mLとした。
【0062】
[試験例2]12成分配合点眼剤のpHと5℃、1週間保存における安定性
実施例1、4、6~7及び比較例1で得られた点眼剤のpHと5℃、1週間保存後の析出物の結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
点眼剤のpHを4.8に調整した比較例1に析出物が確認された。一方、点眼剤のpHを5.3以上に調整した点眼剤はいずれも析出しなかった。
【0065】
実施例8
実施例3で調製した液15mLを、UVカット剤としてベンゾオキサジン系を配合した15mL容量の点眼容器に充填した。
【0066】
実施例9
実施例3で調製した液15mLを、UVカット剤としてトリアジン系を配合した15mL容量の点眼容器に充填した。
【0067】
実施例10
塩酸テトラヒドロゾリン100mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩10mg、イプシロンアミノカプロン酸2g、アラントイン200mg、グリチルリチン酸二カリウム500mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩60mg、シアノコバラミン40mg、ピリドキシン塩酸塩100mg、パンテノール100mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム2g、タウリン2g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム500mg、エデト酸ナトリウム水和物120mg、ベンザルコニウム塩化物20mg、ポリソルベート80を100mg、ハッカ油6mg、L-メントール20mg及びクロロブタノール240mgを精製水140gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.25になるように調整してから、全量を200mLとした。この液15mLを、UVカット剤としてベンゾオキサジン系を配合した15mL容量の点眼容器に充填した。
【0068】
実施例11
実施例10で調製した液15mLを、UVカット剤としてトリアジン系を配合した15mL容量の点眼容器に充填した。
【0069】
実施例12
塩酸テトラヒドロゾリン50mg、ネオスチグミンメチル硫酸塩5mg、イプシロンアミノカプロン酸1g、アラントイン100mg、グリチルリチン酸二カリウム250mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩30mg、シアノコバラミン20mg、ピリドキシン塩酸塩50mg、パンテノール50mg、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム1g、タウリン1g、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム250mg、エデト酸ナトリウム水和物60mg、ベンザルコニウム塩化物10mg、ポリソルベート80を50mg、ハッカ油3mg、L-メントール10mg、クロロブタノール120mg及びホウ酸200mgを精製水70gに加えて撹拌・溶解し、pHが5.25になるように調整してから、全量を100mLとした。この液15mLを、UVカット剤が配合されていない15mL容量の点眼容器に充填した。
【0070】
実施例13
実施例12のホウ酸の含有量を100mgに減量して調製した液15mLを、UVカット剤が配合されていない15mL容量の点眼容器に充填した。
【0071】
実施例14
実施例12のホウ酸を添加せずに調製した液15mLをUVカット剤が配合されていない15mL容量の点眼容器に充填した。
【0072】
[試験例3]12成分配合点眼剤の光線照射保存下における有効成分の安定性と変色の抑制
12種類の有効成分が配合された点眼剤に対して、ホウ酸の配合量並びに充填容器を変えた実施例8~14について、各々の光線照射保存下(120万ルクス)における保存安定性を調べた。また、実施例8及び9について、50℃、2箇月保存後における有効成分の安定性を調べた。その結果を表3及び表4に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
UVカット剤もホウ酸も無添加の実施例14の点眼剤は、光線照射により点眼剤が変色し、シアノコバラミン及びピリドキシンの含量が著しく低下していた。実施例14に対して、UVカット剤配合容器を用いた実施例10及び11の点眼剤、又はホウ酸を添加した実施例12及び13の点眼剤は、いずれも変色が防止され、シアノコバラミンとピリドキシンの含量低下が抑制されていた。ただし、含量は90%以下であった。一方、UVカット剤配合容器及びホウ酸を添加した実施例8及び9の点眼剤は、いずれも変色が防止され、且つ、シアノコバラミンとピリドキシンの含量低下がほとんどなく、含量は90%以上であった。また、さらに他の保存条件(50℃、2箇月保存)においても、変色が防止され、全ての有効成分含量が90%以上であり、非常に優れた安定性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明により、有効成分として、塩酸テトラヒドロゾリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、グリチルリチン酸又はその塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン、タウリン、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、L-アスパラギン酸又はその塩、及びコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを配合する配合点眼剤の、保存時の温度に対する沈殿及び有効成分の分解等が顕著に抑制された点眼剤を提供できる。