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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148361
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20240101AFI20241010BHJP
【FI】
D06F39/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061436
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】大藪 起也
(72)【発明者】
【氏名】須坂 祐輔
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA12
3B166AA15
3B166AA24
3B166AE02
3B166BA72
3B166BA82
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CB12
3B166DC00
3B166FB05
3B166JM02
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、外箱の上部にトップカバーが設けられている衣類処理装置について、線状部材を取り外さなくともトップカバーの前部を持ち上げ可能とし、且つ、装置全体を前側に移動させなくともトップカバーの前部を持ち上げ可能とする。
【解決手段】本実施形態に係る衣類処理装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽が収容されている外箱と、前記外箱の上部に設けられているトップカバーと、前記外箱内から延びて前記トップカバーに設けられている部品に接続されている線状部材と、前記線状部材を保持する保持部と、を備え、前記線状部材は、前記外箱の上部において前記トップカバーが前側に移動することを許容するように湾曲した湾曲部分を有し、前記保持部は、前記湾曲部分を押した状態で前記線状部材を保持している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される衣類収容槽と、
前記衣類収容槽が収容されている外箱と、
前記外箱の上部に設けられているトップカバーと、
前記外箱内から延びて前記トップカバーに設けられている部品に接続されている線状部材と、
前記線状部材を保持する保持部と、
を備え、
前記線状部材は、前記外箱の上部において前記トップカバーが前側に移動することを許容するように湾曲した湾曲部分を有し、
前記保持部は、前記湾曲部分を押した状態で前記線状部材を保持している衣類処理装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記線状部材から与えられる力の大きさに応じて伸縮可能な構成である請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記線状部材の巻き取りおよび巻き出しが可能な構成である請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記線状部材を螺旋状に収める溝を備えている請求項3に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記トップカバーの底面上に載置されている請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記トップカバーの底面から吊り下げられている請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
衣類が収容される衣類収容槽と、
前記衣類収容槽が収容されている外箱と、
前記外箱の上部に設けられているトップカバーと、
前記外箱内から延びて前記トップカバーよりも下方に設けられている部品に接続されている線状部材と、
を備える衣類処理装置。
【請求項8】
前記線状部材が接続されている部品は、前記外箱内に備えられている請求項7に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記線状部材は、前記水槽を弾性支持する吊り棒に巻き付けられている請求項7に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、外箱の上部にトップカバーが設けられている衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる縦軸型の洗濯機は、衣類に洗い処理などを施す衣類処理装置の一例であり、水槽や回転槽が収容されている外箱の上部にトップカバーが設けられた構成となっている。この種の洗濯機について例えば修理などのメンテナンス作業を行う場合には、作業者は、トップカバーの前部を持ち上げて、洗濯機内部の各種の部品類に対し作業を行う。しかしながら、トップカバーの前部を持ち上げると、外箱内の部品とトップカバー内の部品との間を接続する例えばリード線などといった線状部材が引っ張られた状態となってしまう。そのため、作業者は、トップカバーの前部を持ち上げる場合には線状部材を取り外さなければならなかった。
【0003】
例えば特許文献1に開示されている洗濯機は、線状部材にたるみ部分を設けることにより、上述した課題の解決を図っている。即ち、線状部材にたるみ部分が設けられている構成によれば、トップカバーの前部を持ち上げることに伴い線状部材が引っ張られた状態となってしまうことを回避することができ、線状部材を取り外さなくともトップカバーの前部を200mm以上も持ち上げることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成によれば、線状部材を取り外さなくともトップカバーの前部を大きく持ち上げることができるが、このようなトップカバーの持ち上げ、つまり、トップカバーの上方向への回動を許容するための十分なスペースが洗濯機の後側に確保されている必要がある。このようなスペースが洗濯機の後側に存在しない場合、作業者は、トップカバーの前部を持ち上げる際に洗濯機全体を前側に移動させなければならない。
【0006】
そこで、本実施形態は、外箱の上部にトップカバーが設けられている衣類処理装置について、線状部材を取り外さなくともトップカバーの前部を持ち上げることができ、且つ、装置全体を前側に移動させなくともトップカバーの前部を持ち上げることができるようにした構成例を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る衣類処理装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽が収容されている外箱と、前記外箱の上部に設けられているトップカバーと、前記外箱内から延びて前記トップカバーに設けられている部品に接続されている線状部材と、前記線状部材を保持する保持部と、を備え、前記線状部材は、前記外箱の上部において前記トップカバーが前側に移動することを許容するように湾曲した湾曲部分を有し、前記保持部は、前記湾曲部分を押した状態で前記線状部材を保持している。
【0008】
本実施形態に係る衣類処理装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽が収容されている外箱と、前記外箱の上部に設けられているトップカバーと、前記外箱内から延びて前記トップカバーよりも下方に設けられている部品に接続されている線状部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーを前側にスライド移動させた状態の一例を示す縦断側面図
図3】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーの前部を持ち上げた状態の一例を示す縦断側面図
図4】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーの上方への回動角度の一例を示す縦断側面図
図5】第2実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図6】第2実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーを前側にスライド移動させた状態の一例を示す縦断側面図
図7】第2実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーの前部を持ち上げた状態の一例を示す縦断側面図
図8】第3実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図9】第3実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーを前側にスライド移動させた状態の一例を示す縦断側面図
図10】第3実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーの前部を持ち上げた状態の一例を示す縦断側面図
図11】第4実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図12】第4実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーを前側にスライド移動させた状態の一例を示す縦断側面図
図13】第4実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示すものであって、トップカバーの前部を持ち上げた状態の一例を示す縦断側面図
図14】変形実施形態に係る保持装置の構成例を概略的に示す図
図15】変形実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図(その1)
図16】変形実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図(その2)
図17】変形実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図(その3)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、衣類処理装置に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯機100は、衣類に所定の処理、この場合、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理などを施す衣類処理装置の一例であり、装置本体の外郭を構成する外箱101の内部に水槽102を収容している。外箱101は、上部が開放した有底矩形状に形成されている。水槽102は、上部が開放した有底円筒状に形成されており、内部に水を溜めることが可能である。水槽102の内部には、上部が開放した有底円筒状の回転槽103が縦軸回りに回転可能に収容されている。即ち、洗濯機100は、回転槽103の回転中心軸が上下方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機として構成されている。
【0012】
回転槽103の底部には、当該回転槽103内の衣類や水を撹拌するための図示しないパルセータが回転可能に備えられている。回転槽103の上部には、当該回転槽103の振動を抑制するためのバランスリング103Aが設けられている。回転槽103は、水槽102の下部に設けられている洗濯機モータ104によって回転する構成となっている。なお、本実施形態では、水槽102の上面開口部には内蓋が設けられていないが、洗濯機100は、水槽102の上面開口部に内蓋を設けた構成としてもよい。
【0013】
外箱101の上部にはトップカバー105が設けられている。トップカバー105の上面のうち前後方向における中央部から前部にわたる部分は、後側から前側に向かって緩やかに下降傾斜している。トップカバー105の上面のうち前後方向における中央部よりも後側の部分は、水平面を形成している。
【0014】
トップカバー105の中央部には、衣類を出し入れするための衣類出入口105Aが設けられている。衣類出入口105Aは、トップカバー105の上部において上下方向に回動可能に設けられている外蓋106によって開閉されるようになっている。洗濯機100の使用者は、この外蓋106を開くことにより、開放状態となった衣類出入口105Aを介して、回転槽103内に衣類を収容することができ、回転槽103内の衣類を取り出すことができる。回転槽103および当該回転槽103を収容する水槽102は、衣類が収容される衣類収容槽の一例として定義することができる。
【0015】
トップカバー105の内部には、衣類出入口105Aよりも後方に位置して、機械室107が設けられている。機械室107の内部には、水槽102内に水を供給する図示しない給水装置や水槽102内に衣類処理剤を投入する図示しない衣類処理剤投入装置などが収容されている。衣類処理剤は、例えば洗剤や柔軟剤などである。
【0016】
洗濯機100は、トップカバー105の内部に制御ユニット108を備えている。制御ユニット108は、制御プログラムや各種の設定情報などに基づいて洗濯機100の動作全般を制御可能に構成されている。制御ユニット108は、トップカバー105内に設けられている部品の一例である。
【0017】
洗濯機100は、リード線109を備えている。リード線109は、外箱101内から線状に延びる線状部材の一例であり、外箱101内の図示しない接続源から延びてトップカバー105内の制御ユニット108に接続されている。外箱101内の図示しない接続源は、例えば、上述した制御ユニット108とは異なる他の制御ユニット、洗濯機100に電力を供給する電源部、洗濯機100内に設けられる各種の駆動系の部品などである。
【0018】
リード線109は、外箱101の上部においてトップカバー105が前側にスライド移動することを許容するように湾曲した湾曲部分109Aを有している。洗濯機100は、この湾曲部分109Aが十分な長さで確保されていることにより、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を外箱101上部の正規の取り付け位置から前側に所定距離スライド移動させることができる構成となっている。正規の取り付け位置は、トップカバー105が外箱101の上面開口部を閉塞し、且つ、トップカバー105の前面、後面、左側面、右側面がそれぞれ外箱101の前面、後面、左側面、右側面に面一となる位置である。
【0019】
洗濯機100は、さらに保持装置120を備えている。保持装置120は、洗濯機100内においてリード線109を保持する保持部の一例である。保持装置120は、固定部121および可動部122を備えている。固定部121は、保持装置120のベース部分を構成するものであり、本実施形態では、トップカバー105のうち機械室107の底面上に移動不能に載置されている。即ち、固定部121は、例えばネジなどにより機械室107の底面上に強固に固定されている。固定部121は、洗濯機100の上下方向に沿って貫通した筒状に形成されている。
【0020】
可動部122は、固定部121内に移動可能に収容されている。可動部122は、洗濯機100の上下方向に沿って移動可能となっている。可動部122の先端部は、滑らかな球面状に形成されている。可動部122の基端部は、複数の脚部122Aにより構成されている。トップカバー105のうち機械室107の底面には、これら脚部122Aが移動可能に挿通される挿通孔が形成されている。可動部122は、例えば圧縮コイルバネなどで構成されている付勢部材123により、洗濯機100の上方に向かって付勢されている。
【0021】
保持装置120は、リード線109の一部である湾曲部分109Aを可動部122の先端部により上方に押した状態で当該リード線109を保持している。なお、洗濯機100は、湾曲部分109Aの前後においてリード線109を移動可能に支持する支持部を備える構成としてもよい。このような保持形態つまりリード線109を保持装置120により押した状態で保持する形態においては、保持装置120の可動部122には、リード線109の湾曲部分109Aから反力が与えられる。そして、この反力の大きさに応じて、可動部122は、付勢部材123の付勢力に抗して固定部121内に押し込まれる。即ち、保持装置120は、リード線109を押した状態で保持可能であるとともに、リード線109から与えられる反力の大きさに応じて伸縮可能な構成となっている。
【0022】
以上のように構成されている洗濯機100において、作業者は、例えば修理などのメンテナンス作業を行う場合にはトップカバー105の前部を持ち上げて、洗濯機100内部の各種の部品類に対し作業を行うことが可能な状態を形成する。次に、作業者がトップカバー105の前部を持ち上げる場合の動作例について説明する。
【0023】
図2に例示するように、作業者は、まず、トップカバー105を外箱101上部の正規の取り付け位置から前側に所定距離Dだけスライド移動させる。トップカバー105が前側にスライド移動することに伴い、リード線109も前側に引き出される状態となる。洗濯機100によれば、上述した通りリード線109には湾曲部分109Aが十分な長さで確保されている。そのため、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側に無理なくスライド移動させることができる。即ち、リード線109は、当該リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側に所定距離Dだけスライド移動させるのに十分な湾曲部分109Aを有した構成となっている。
【0024】
トップカバー105が前側にスライド移動することに伴い前側に引き出されるリード線109により、保持装置120は、可動部122がリード線109に押されて固定部121内に押し込まれる状態となる。そして、押し込まれた可動部122は、引き続きリード線109の湾曲部分109Aを上方に押圧する。そのため、リード線109の湾曲部分109Aが保持装置120の可動部122により押された状態を維持することができ、湾曲部分109Aがたるんでしまうことを回避することができる。
【0025】
次に、図3に例示するように、作業者は、前側にスライド移動させたトップカバー105の前部を上方に持ち上げる。これにより、作業者は、洗濯機100内部の各種の部品類に対し作業を行うことが可能な状態を形成する。このとき、トップカバー105の前部が外箱101の前面よりも前側に突出していることから、作業者は、トップカバー105の前部を上方に持ち上げやすい。
【0026】
トップカバー105の上方への回動角度αは、図4に例示するように、トップカバー105の前部を正規の取り付け位置から上方に持ち上げた場合に、トップカバー105の前面の下端と外箱101の前面の上端との間の距離Lが少なくとも200mm(ミリメートル)以上となる角度とすることが好ましい。これにより、トップカバー105を十分に大きく開くことができ、作業者による作業を行いやすくすることができる。
【0027】
以上に例示したようにトップカバー105を前側にスライド移動させてから当該トップカバー105の前部を上方に持ち上げる形態によれば、トップカバー105の上方向への回動を許容するための十分なスペースが洗濯機100の後側に確保されていなくても、トップカバー105を、洗濯機100の後方に存在する後壁Wに接触させることなく開くことができる。
【0028】
第1実施形態に例示した洗濯機100によれば、リード線109は、外箱101の上部においてトップカバー105が前側に移動することを許容するように湾曲した湾曲部分109Aを有し、保持装置120は、その湾曲部分109Aを押した状態でリード線109を保持している。この構成例によれば、リード線109には湾曲部分109Aが十分な長さで確保されているため、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機100全体を前側に移動させなくともトップカバー105を後壁Wに接触させることなく開くことができる。
【0029】
洗濯機100によれば、保持装置120は、リード線109から与えられる反力の大きさに応じて伸縮可能な構成である。この構成例によれば、トップカバー105が外箱101の上部の正規の取り付け位置に取り付けられている状態、トップカバー105が外箱101上部の正規の取り付け位置から前側にスライド移動した状態、前側にスライド移動したトップカバー105の前部が上方に持ち上げられた状態のうち何れの状態においても、リード線109の湾曲部分109Aが保持装置120の可動部122により押された状態を維持することができ、湾曲部分109Aがたるんでしまうことを回避することができる。
【0030】
リード線109がたるんでしまうと、そのたるんだ部分が洗濯機100内の各種の部品類に接触したり引っ掛かったりしてしまい、リード線109が断線したり、リード線109が各種の部品類の動作に影響を及ぼしたりすることが懸念される。洗濯機100によれば、トップカバー105の位置や状態に関わらず、リード線109がたるんでしまうことを抑制することができ、このようなリード線109のたるみによる懸念を払拭することができる。
【0031】
洗濯機100によれば、保持装置120は、トップカバー105のうち機械室107の底面上に載置されている。この構成例によれば、保持装置120を安定した状態で保持することができる。これにより、保持装置120によるリード線109の押圧を安定して行うことができ、ひいては、リード線109にたるみが発生してしまうことを一層確実に回避することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図5に例示する洗濯機200によれば、保持装置120は、トップカバー105の機械室107の底面から吊り下げられるように設けられている。即ち、本実施形態では、固定部121は、トップカバー105のうち機械室107の底面下に移動不能に吊り下げられている。即ち、固定部121は、例えばネジなどにより機械室107の底面下に強固に固定されている。
【0033】
洗濯機200は、さらに滑車124を備えている。この滑車124も、トップカバー105のうち機械室107の底面下に移動不能に吊り下げられている。即ち、滑車124も、例えばネジなどにより機械室107の底面下に強固に固定されている。この場合、滑車124は、保持装置120よりも後側に配置されている。滑車124は、リード線109のうち湾曲部分109Aよりも後側部分を保持している。
【0034】
保持装置120は、リード線109の一部である湾曲部分109Aを可動部122の先端部により下方に押しており、滑車124は、リード線109のうち下方に押されている湾曲部分109Aよりも後側部分を保持している。このような保持形態によっても、保持装置120の可動部122には、リード線109の湾曲部分109Aから反力が与えられる。そして、この反力の大きさに応じて、可動部122は、付勢部材123の付勢力に抗して固定部121内に押し込まれる。即ち、保持装置120は、リード線109を押した状態で保持可能であるとともに、リード線109から与えられる反力の大きさに応じて伸縮可能である。
【0035】
次に、作業者がトップカバー105の前部を持ち上げる場合の動作例について説明する。図6に例示するように、作業者は、まず、トップカバー105を外箱101上部の正規の取り付け位置から前側に所定距離Dだけスライド移動させる。トップカバー105が前側にスライド移動することに伴い、リード線109も前側に引き出される状態となる。洗濯機200によれば、上述した通りリード線109には湾曲部分109Aが十分な長さで確保されている。そのため、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側に無理なくスライド移動させることができる。即ち、リード線109は、当該リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側に所定距離Dだけスライド移動させるのに十分な湾曲部分109Aを有した構成となっている。
【0036】
トップカバー105が前側にスライド移動することに伴い前側に引き出されるリード線109により、保持装置120は、可動部122がリード線109に押されて固定部121内に押し込まれる状態となる。そのため、リード線109の湾曲部分109Aが保持装置120の可動部122により押された状態を維持することができ、湾曲部分109Aがたるんでしまうことを回避することができる。
【0037】
次に、図7に例示するように、作業者は、前側にスライド移動させたトップカバー105の前部を上方に持ち上げる。これにより、作業者は、洗濯機200内部の各種の部品類に対し作業を行うことが可能な状態を形成する。トップカバー105の上方への回動角度αは、第1実施形態に例示した角度と同様の角度とすることが好ましい。これにより、トップカバー105を十分に大きく開くことができ、作業者による作業を行いやすくすることができる。
【0038】
第2実施形態に例示した洗濯機200によっても、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機200全体を前側に移動させなくともトップカバー105を後壁Wに接触させることなく開くことができる。
【0039】
洗濯機200によれば、保持装置120は、トップカバー105のうち機械室107の底面下に吊り下げられている。この構成例によっても、保持装置120を安定した状態で保持することができる。これにより、保持装置120によるリード線109の押圧を安定して行うことができ、ひいては、リード線109にたるみが発生してしまうことを一層確実に回避することができる。
【0040】
(第3実施形態)
図8に例示する洗濯機300は、トップカバー105の内部に水位センサ308を備えている。洗濯機300は、エアチューブ309を備えている。エアチューブ309は、外箱101内から線状に延びる線状部材の一例である。エアチューブ309の基端部は、水槽102の側周面の下部に設けられている図示しないエアトラップに接続されている。エアチューブ309の先端部は、水位センサ308に接続されている。図示しないエアトラップ内の圧力は、水槽102内の水位に応じて変動する。水位センサ308は、エアチューブ309を介して伝達されるエアトラップ内の圧力に基づいて水槽102内の水位を検知可能に構成されている。水位センサ308は、トップカバー105内に設けられている部品の一例である。
【0041】
エアチューブ309の基端部側部分は、水槽102を弾性支持する吊り棒350に巻き付けられている。なお、水槽102は、複数の吊り棒350により弾性支持されており、エアチューブ309は、複数の吊り棒350のうちの何れか1つに巻き付けられている。図面においては、エアチューブ309が巻き付けられている吊り棒350のみを図示している。
【0042】
洗濯機300は、上述した保持装置120に代わる保持装置320を備えている。保持装置320は、洗濯機100内においてエアチューブ309を保持する保持部の一例である。保持装置320は、いわゆる回転リールとして構成されており、水位センサ308と図示しないエアトラップとの間においてエアチューブ309の巻き取りおよび巻き出しが可能な構成となっている。保持装置320は、円柱状の回転体321の側面に螺旋状の収容溝321Aを備えた構成となっている。保持装置320は、回転体321を回転させることにより、エアチューブ309を収容溝321Aに沿わせて螺旋状に収容可能な構成となっている。
【0043】
保持装置320は、回転体321を第1方向である巻き取り方向に回転させることにより当該回転体321にエアチューブ309を巻き取り可能である。保持装置320は、回転体321を第1方向とは反対方向の第2方向である巻き出し方向に回転させることにより当該回転体321からエアチューブ309を巻き出し可能である。
【0044】
回転体321は、例えば捻りコイルバネなどで構成されている図示しない付勢部材により巻き取り方向側に回転するよう付勢されている。但し、図示しない付勢部材による付勢力は、エアチューブ309が巻き出し方向に引っ張られると当該エアチューブ309の巻き出しを許容する程度の付勢力となっている。
【0045】
次に、作業者がトップカバー105の前部を持ち上げる場合の動作例について説明する。図9に例示するように、作業者は、まず、トップカバー105を外箱101上部の正規の取り付け位置から前側に所定距離Dだけスライド移動させる。トップカバー105が前側にスライド移動することに伴い、エアチューブ309も前側に引き出される状態つまりエアチューブ309が巻き出し方向に引っ張られる状態となる。洗濯機300によれば、上述した通りエアチューブ309が巻き出し方向に引っ張られると当該エアチューブ309の巻き出しが許容される。つまり、トップカバー105が前側にスライド移動することに伴い、エアチューブ309が保持装置320から巻き出される。そのため、エアチューブ309を取り外さなくともトップカバー105を前側に無理なくスライド移動させることができる。
【0046】
次に、図10に例示するように、作業者は、前側にスライド移動させたトップカバー105の前部を上方に持ち上げる。これにより、作業者は、洗濯機300内部の各種の部品類に対し作業を行うことが可能な状態を形成する。トップカバー105の上方への回動角度αは、第1実施形態に例示した角度と同様の角度とすることが好ましい。これにより、トップカバー105を十分に大きく開くことができ、作業者による作業を行いやすくすることができる。
【0047】
第3実施形態に例示した洗濯機300によっても、エアチューブ309を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機300全体を前側に移動させなくともトップカバー105を後壁Wに接触させることなく開くことができる。
【0048】
洗濯機300によれば、保持装置320は、エアチューブ309の巻き取りおよび巻き出しが可能な構成である。この構成例によっても、トップカバー105の位置や状態に関わらず、エアチューブ309がたるんでしまうことを抑制することができ、上述したようなたるみによる懸念を払拭することができる。
【0049】
洗濯機300によれば、保持装置320は、エアチューブ309を螺旋状に収める収容溝321Aを備えている。この構成例によれば、保持装置320に巻き取ったエアチューブ309を螺旋状に整然と収めることができ、エアチューブ309がたるんだり絡まったりすることを抑制することができる。また、保持装置320からのエアチューブ309の巻き出しを円滑に行うことができる。
【0050】
(第4実施形態)
図11に例示する洗濯機400によれば、水位センサ308は、外箱101内に備えられた構成となっており、トップカバー105内には備えられていない。この構成例においては、トップカバー105の位置が変動したとしても、洗濯機400内における水位センサ308の位置は不変である。水位センサ308は、トップカバー105よりも下方に設けられている部品として定義することができる。
【0051】
次に、作業者がトップカバー105の前部を持ち上げる場合の動作例について説明する。図12に例示するように、作業者は、まず、トップカバー105を外箱101上部の正規の取り付け位置から前側にスライド移動させる。洗濯機400によれば、上述した通り水位センサ308がトップカバー105内ではなく外箱101内に備えられている。そのため、エアチューブ309を取り外さなくともトップカバー105を前側に無理なくスライド移動させることができる。この場合、作業者は、トップカバー105を外箱101上部の正規の取り付け位置から前側に上述した所定距離D以上スライド移動させてもよい。
【0052】
次に、図13に例示するように、作業者は、前側にスライド移動させたトップカバー105の前部を上方に持ち上げる。これにより、作業者は、洗濯機400内部の各種の部品類に対し作業を行うことが可能な状態を形成する。トップカバー105の上方への回動角度αは、第1実施形態に例示した角度と同様の角度とすることが好ましい。これにより、トップカバー105を十分に大きく開くことができ、作業者による作業を行いやすくすることができる。
【0053】
第4実施形態に例示した洗濯機400によっても、エアチューブ309を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機400全体を前側に移動させなくともトップカバー105を開くことができる。
【0054】
洗濯機400によれば、水位センサ308は、トップカバー105内よりも下方において、当該トップカバー105内ではなく外箱101内に備えられている。この構成例によれば、トップカバー105の位置に関わらず、洗濯機400内における水位センサ308の位置を不変とすることができる。これにより、エアチューブ309が引っ張られたり、たるんだりしてしまうことを考慮することなく、トップカバー105を前側に移動させて大きく開くことができる。
【0055】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変形や拡張などを行うことができる。例えば、衣類処理装置は、上述した複数の実施形態および後述の変形実施形態を適宜選択して組み合わせた構成とすることができる。
【0056】
図14に例示するように、保持装置120は、可動部122の表面に、リード線109が嵌り込む凹部122Bを有する構成としてもよい。この構成例によれば、リード線109を凹部122Bによって安定した状態で移動可能に保持することができる。凹部122Bは、円弧状に滑らかに窪む凹状とすることが好ましい。これにより、凹部122B内におけるリード線109の移動を円滑化することができる。
【0057】
図15に例示するように、保持装置120は、トップカバー105の機械室107内において、当該機械室107内に設けられているフレームFから吊り下げられるように設けられていてもよい。この構成例によっても、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機200全体を前側に移動させなくともトップカバー105を後壁Wに接触させることなく開くことができる。また、保持装置120を安定した状態で保持することができ、リード線109にたるみが発生してしまうことを確実に回避することができる。なお、保持装置120は、フレームF以外、例えば機械室107の上面から吊り下げられていてもよい。
【0058】
図16に例示するように、洗濯機500は、保持部の一例としてU字状の保持部材520を備える構成としてもよい。保持部材520は、トップカバー105の機械室107内において当該機械室107の上面から吊り下げられるように設けられている。保持部材520は、その下端部においてリード線109を移動可能に保持している。この構成例によっても、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機500全体を前側に移動させなくともトップカバー105を後壁Wに接触させることなく開くことができる。また、保持部材520を安定した状態で保持することができ、リード線109にたるみが発生してしまうことを確実に回避することができる。なお、保持部材520は、機械室107の上面ではなく、機械室107内に設けられている例えばフレームなどといった構造物から吊り下げられていてもよいし、機械室107の底面から吊り下げられていてもよい。
【0059】
図17に例示するように、洗濯機600は、保持部の一例としてフック状の保持部材620を備える構成としてもよい。保持部材620は、トップカバー105の機械室107内において当該機械室107の上面から吊り下げられるように設けられている。保持部材620は、その下端部においてリード線109を移動可能に保持している。この構成例によっても、リード線109を取り外さなくともトップカバー105を前側にスライド移動させて当該トップカバー105の前部を持ち上げることができる。また、洗濯機600全体を前側に移動させなくともトップカバー105を後壁Wに接触させることなく開くことができる。また、保持部材620を安定した状態で保持することができ、リード線109にたるみが発生してしまうことを確実に回避することができる。なお、保持部材620は、機械室107の上面ではなく、機械室107内に設けられている例えばフレームなどといった構造物から吊り下げられていてもよいし、機械室107の底面から吊り下げられていてもよい。
【0060】
保持部材520,620は、例えばゴム部材やばね部材などといった伸縮可能な部材を介して吊り下げられた構成としてもよい。この構成例によれば、トップカバー105の前側への移動時や上方への回動時において、保持部材520,620は、リード線109からの荷重を受けて移動することができる。これにより、リード線109に作用する負荷を軽減することができる。
【0061】
線状部材は、リード線109やエアチューブ309に限られず、衣類処理装置に備えられる各種の線状の部材を適用することができる。線状部材が接続される部品は、制御ユニット108や水位センサ308に限られず、衣類処理装置に備えられる各種の部品を適用することができる。
【0062】
トップカバー105を正規の取り付け位置から前側にスライド移動させる距離は、線状部材の断線などが懸念されない範囲において適宜変更して実施することができる。トップカバー105の上方への回動角度は、洗濯機100の後方に存在する後壁Wに接触しない範囲において適宜変更して実施することができる。本開示の構成例によれば、トップカバー105を前側にスライド移動させながら上方へ回動させることも可能である。
【0063】
また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機や乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、いわゆる縦軸型の洗濯機に限らず、他のタイプの洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌、漂白などといった衣類に対して何らかの処理を施すことが可能な装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0064】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
図面において、100,200,300,400,500,600は洗濯機(衣類処理装置)、101は外箱、102は水槽(衣類収容槽)、103は回転槽(衣類収容槽)、105はトップカバー、108は制御ユニット(トップカバー内に設けられている部品)、109はリード線(線状部材)、109Aは湾曲部分、120,320は保持装置(保持部)、308は水位センサ(トップカバー内に設けられている部品、トップカバーよりも下方に設けられている部品)、309はエアチューブ(線状部材)、321Aは収容溝(溝)、350は吊り棒、520,620は保持部材(保持部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17