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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148364
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
F04B49/10 331N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061452
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】洞戸 翔太
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA03
3H145AA12
3H145AA22
3H145BA28
3H145CA06
3H145CA12
3H145CA25
3H145EA49
(57)【要約】
【課題】作業性を確保しつつ、コストを抑えて作業者に稼働情報を提示できるポンプ装置を提供する。
【解決手段】ポンプ装置は、塗布液を吐出可能なポンプ部を備える。ポンプ装置は、作業者による所定方向への操作を受ける操作装置と、通電により点灯する点灯部と、操作装置に対する操作に基づいて点灯部を制御する制御部と、を備え、制御部は、操作装置が所定の操作位置まで操作されたことを条件にポンプ装置の稼働に関する稼働情報を示す点灯態様で点灯部を点灯させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を吐出可能なポンプ部を備えるポンプ装置であって、
作業者による所定方向への操作を受ける操作装置と、
通電により点灯する点灯部と、
前記操作装置に対する操作に基づいて前記点灯部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作装置が所定の操作位置まで操作されたことを条件に前記ポンプ装置の稼働に関する稼働情報を示す点灯態様で前記点灯部を点灯させる、
ポンプ装置。
【請求項2】
前記稼働情報は、前記ポンプ装置が稼働した時間である稼働時間を含んでおり、
前記制御部は、前記操作装置が第1操作位置まで操作されたことを条件に前記稼働時間を示す点灯態様で前記点灯部を点灯させる、
請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記稼働情報は、前記ポンプ装置が稼働した回数である稼働回数を含んでおり、
前記制御部は、前記操作装置が第1操作位置とは異なる第2操作位置まで操作されたことを条件に前記稼働回数を示す点灯態様で前記点灯部を点灯させる、
請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
電力によって駆動するモータを更に備え、
前記制御部は、前記モータを駆動させて前記ポンプ部からの前記塗布液の吐出を制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料等の塗布液を圧送し外部に吐出するポンプ装置が知られている。塗料には顔料等の硬い粒子が含まれるため、塗料の圧送が繰り返されることでポンプ装置が消耗する。そして、消耗が進行すると、例えばポンプ装置内部から塗料が外部に漏れだしてしまう等の不具合が生じるおそれがある。このため、ポンプ装置の定期的なメンテナンスにより不具合の発生を未然に防ぐことが考えられている。
【0003】
従来構成では、ポンプ装置にディスプレイを接続し、当該ディスプレイにメンテナンススケジュールに利用できる情報等のポンプ装置の稼働情報を表示できる。ところで、メンテナンスの要否を判断するための稼働情報は、作業中に常時確認する必要がなく定期的に確認をすれば良い。このため、ポンプ装置の予防保全のためにディスプレイを搭載させることは、費用対効果が小さくコスト負担が課題となっていた。また、稼働情報を取得する行為によって、作業性が損なわれないことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005-515057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業性を確保しつつ、コストを抑えて作業者に稼働情報を提示できるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のポンプ装置は、塗布液を吐出可能なポンプ部を備えるポンプ装置である。ポンプ装置は、作業者による所定方向への操作を受ける操作装置と、通電により点灯する点灯部と、前記操作装置に対する操作に基づいて前記点灯部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記操作装置が所定の操作位置まで操作されたことを条件に前記ポンプ装置の稼働に関する稼働情報を示す点灯態様で前記点灯部を点灯させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態によるポンプ装置の構成の一例を模式的に示す図
図2】一実施形態によるポンプ装置について、操作装置及び点灯部の構成の一例を示す図
図3】一実施形態によるポンプ装置の電気的構成の一例を示すブロック図
図4】一実施形態によるポンプ装置について、制御部によって実行される制御内容の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態において、構成要素等に付された「第1」、「第2」との語句は、類似した構成要素を単に区別するためのものであり、構成要素間の優劣や時間的要素を意味するものではない。
【0009】
図1に示すポンプ装置10は、例えばプランジャポンプで構成されている。ポンプ装置10は、プランジャポンプに限られず、ダイヤフラムポンプやベローズポンプ等であっても良い。ポンプ装置10は、例えば塗料等の比較的高粘度の塗布液を加圧して霧化させるエアレス塗装等に用いることができる。ポンプ装置10は、主に工場内での塗装であるいわゆる工業塗装及び主に屋外での塗装であるいわゆる建築塗装に用いることができる。ポンプ装置10を工業塗装に用いる場合、ポンプ装置10は防爆仕様として構成される。
【0010】
ポンプ装置10は、駆動装置20、ポンプ部30、操作装置40、点灯部51、制御部60を備えている。駆動装置20は、筐体11内に収容されている。駆動装置20は、ポンプ装置10の駆動源としての機能つまりポンプ部30に駆動力を供給する機能を有する。駆動装置20は、例えば商用電源やバッテリ電力等の外部の電力供給源から供給される電力によって駆動する。つまり、ポンプ装置10は、いわゆる電動式で構成されている。ポンプ装置10は、電動式に限らず、例えばコンプレッサ等の圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を駆動源とする空気動式で構成しても良い。
【0011】
駆動装置20は、電動駆動部21、ケース22、ピストン23、及びロッド24を有して構成できる。電動駆動部21は、モータ211、電流検出部212、及び回転検出部213を含んで構成されている。モータ211は、外部の電力供給源から供給される電力によって駆動する。モータ211は、例えばステッピングモータやブラシレスモータ等で構成されており、図示しないギア等を介してロッド24に接続されている。電流検出部212は、モータ211に流れる電流を検知する。電流検出部212は、例えば電流センサで構成されている。回転検出部213は、モータ211の回転数を検出する。回転検出部213は、例えばエンコーダやレゾルバ等の回転角センサで構成されている。
【0012】
ケース22は、例えば鋼製で円筒形状に形成されている。ピストン23及びロッド24の一部は、ケース22内に収容されている。ピストン23は、例えば円盤状で構成されており、ケース22内を上下方向に往復移動可能である。ロッド24は、ピストン23に接続されており、ピストン23と一体的に上下方向に往復移動可能である。ロッド24は、モータ211に接続されており、モータ211から供給される駆動力を受けてケース22内を上下方向に往復移動可能である。ロッド24の下端部は、ケース22から下方へ突出している。
【0013】
ポンプ部30は、例えばタンク80に貯留された塗布液を吸引し、その吸引した塗布液を所定の吐出圧で吐出する機能を有する。所定の吐出圧とは、例えば5~15МPa程度の高圧を意味する。ポンプ部30は、ポンプケース31及びプランジャ32を有して構成することができる。ポンプケース31は、例えば鋼製で円筒形状に形成されており、ポンプ部30の外殻を構成している。
【0014】
ポンプケース31は、吸引口311及び吐出口312を有している。吸引口311は、タンク80に貯留された塗布液をポンプケース31内に吸引する機能を有する。吸引口311は、ポンプケース31の下部に設けられており、例えば可撓性を有するサクションホース81を介してタンク80に接続されている。吸引口311には、図示しない吸引弁が設けられている。吸引弁は、ポンプケース31の外部からポンプケース31の内部へ向かう塗布液は通すが、ポンプケース31の内部からポンプケース31の外部へ向かう塗布液は遮断する逆止機能を有している。
【0015】
吐出口312は、ポンプケース31内に供給された塗布液をポンプケース31外へ吐出する機能を有する。吐出口312は、ポンプケース31の側面に設けられており、例えば耐圧性を有する塗料ホース82を介してスプレーガン91に接続されている。作業者は、スプレーガン91を操作してポンプケース31内に供給された塗布液を被塗物に対して塗布する。また、吐出口312の下流側には図示しない逆止弁が設けられており、吐出口312から吐出された塗布液が吐出口312からポンプケース31内部の空間に逆流することが防止されている。
【0016】
プランジャ32は、下側部分がポンプケース31内に収容され、上側部分がポンプケース31内から突出しており、直線方向つまり上下方向に往復移動可能に構成されている。プランジャ32の上端部分は、例えばナット等で構成された図示しない接合部材を介してロッド24の下端部に着脱可能に接続されている。この場合、プランジャ32の上端部分及びロッド24の下端部には、例えば雄ねじ加工が施されている。このようにして、プランジャ32は、モータ211によって駆動つまりロッド24の往復移動に連動して上下方向に往復移動する。そして、ポンプ部30は、プランジャ32の上下方向への往復移動に伴い、塗布液の吸引及び吐出を連続して繰り返し行う。
【0017】
操作装置40及び点灯部51は、図2に示すように、例えば筐体11の外面に設けられている。操作装置40及び点灯部51は、筐体11の外面に設けられる構成に限らず、筐体11とは別体に設けられても良い。操作装置40は、ポンプ装置10の操作のために用いられる装置である。操作装置40は、操作部41及び可変抵抗器42を含んで構成できる。操作部41は、作業者の操作によってポンプ装置10に所定の動作を実行させるためのものである。操作部41は、作業者による所定方向例えば回転方向又はスライド方向への操作を受ける。本実施形態では、操作部41は、作業者による回転方向への操作を受ける。操作部41は、例えば合成樹脂製で円筒形状に構成されている。操作部41の表面には、目印411が設けられている。目印411は、例えば径方向に直線状に延びて形成されている。
【0018】
操作部41の周囲例えば径方向外側には、複数のマーク412~415が設けられている。操作部41は、目印411が複数のマーク412~415と径方向で重なる範囲内で時計回り又は反時計回りに回転できる。複数のマーク412~415は、操作部41の操作位置を示すためのものであり、周方向に間隔をあけて設けられている。複数のマーク412~415は、例えば数字や文字、図形等によって構成されている。
【0019】
速度設定マーク412は、塗布液の吐出速度つまりモータ211の回転速度を設定するために用いられる。速度設定マーク412は、複数のマーク例えば6つのマークを含んで構成されている。6つのマークは、例えば時計回りに「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、及び「5」の順に並んでいる。本実施形態では、速度設定マーク412において、操作部41の操作が「0」の位置から時計回りに進むにつれて、モータ211の回転速度が0の状態から段階的に上昇するように設定できる。
【0020】
稼働時間マーク413は、ポンプ装置10の稼働時間を確認するために用いられる。稼働時間マーク413は、例えば「稼働時間」との文字によって構成されている。稼働時間は、例えば年、月、日、及び時のいずれかの時間の単位で表すことができる。稼働時間は、例えばポンプ装置10から塗布液が実際に吐出された期間つまりスプレーガン91が操作された期間の合計時間であり、ポンプ装置10が待機状態にある期間の時間は含まれない。スプレーガン91が操作されたか否かの判断は、例えば電流検出部212の計測値の変化に基づいて行うことができる。なお、稼働時間には、ポンプ装置10が待機状態にある期間の時間を含んでも良く、この場合稼働時間は、ポンプ装置10が通電状態の期間の合計時間である。通電状態とは、ポンプ装置10の電源がオンされている状態を示す。
【0021】
稼働回数マーク414は、ポンプ装置10の稼働回数を確認するために用いられる。稼働回数マーク414は、例えば「稼働回数」との文字によって構成されている。稼働回数は、例えばプランジャ32の上下方向への往復移動の合計回数である。稼働回数は、例えば回転検出部213によって検出されたモータ211の回転数からプランジャ32の移動距離を割り出して算出される。稼働回数は、例えば図示しない磁気センサ等によって検出されるプランジャ32の往復移動に基づいて算出する構成としても良い。リセットマーク415は、ポンプ装置10の稼働情報この場合ポンプ装置10の稼働時間及び稼働回数のカウントをリセットするために用いられる。リセットマーク415は、例えば「リセット」との文字によって構成されている。
【0022】
可変抵抗器42は、操作部41の操作位置つまり各マーク412~415に対する目印411の位置に対応して抵抗値が変化する。操作装置40は、可変抵抗器42の抵抗値に基づく電気信号を制御部60に出力する。具体的には、操作装置40は、速度設定マーク412、稼働時間マーク413、稼働回数マーク414、リセットマーク415のいずれかに対応する位置この場合目印411と各マーク412~415とが径方向に並ぶ位置に操作部41が操作されると、速度設定マーク412、稼働時間マーク413、稼働回数マーク414、及びリセットマーク415にそれぞれ対応した抵抗値に基づく電気信号を出力する。稼働時間マーク413に対応する位置は、第1操作位置として機能し、稼働回数マーク414に対応する位置は、第2操作位置として機能する。
【0023】
点灯部51は、例えばLEDで構成されており、通電により点灯する。点灯部51は、図2に示すように、例えば操作装置40の付近に設けられており、作業者から視認可能な位置に設けられている。点灯部51は、作業者に対して情報を提示する機能を有する。点灯部51は、赤色LED511、緑色LED512、及び青色LED513を有している。赤色LED511、緑色LED512、及び青色LED513は、それぞれ、赤色、緑色、及び青色の発光素子である。点灯部51は、各LED511~513を任意のタイミングで点灯可能に構成されている。
【0024】
点灯部51は、ポンプ装置10が通電状態であることを報知するために用いることができる。ポンプ装置10に電源が投入された状態では、通電確認用として各LED511、512、513のうち例えば赤色LED511が点灯される。また、スプレーガン91が操作されて塗布液が吐出された状態では、例えば緑色LED512が赤色LED511から切り替わって点灯される。
【0025】
制御部60は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、ポンプ装置10全体の制御を司る。また、ポンプ装置10は、図3に示すように、計時部71及び記憶部72を備えている。計時部71は、基準となるある時点からの経過時間を測定する機能を有する。計時部71は、ポンプ装置10の稼働時間を計測可能である。記憶部72は、制御部60によって参照又は更新されポンプ装置10で用いられる各種の情報を記憶可能に構成されている。記憶部72は、例えばHDD、SSD、半導体メモリ、磁気ディスク等の周知の記憶媒体で構成できる。
【0026】
制御部60は、モータ211、電流検出部212、回転検出部213、可変抵抗器42、点灯部51、計時部71、及び記憶部72と電気的に接続されている。制御部60は、記憶領域に記憶されているプログラムを実行することによりポンプ装置10に関する様々な制御や処理を実行する。制御部60は、モータ211を駆動させてポンプ部30からの塗布液の吐出を制御する。
【0027】
本実施形態では、制御部60は、操作装置40に対する操作この場合可変抵抗器42の抵抗値に基づいて点灯部51を制御する。制御部60は、操作部41が所定の操作位置まで操作されたことを条件に、ポンプ装置10の稼働に関する稼働情報を示す点灯態様で点灯部51を点灯させる。つまり、作業者は、操作部41を所定の操作位置に操作して点灯部51の点灯状態を確認することで、ポンプ装置10の稼働情報を把握できる。稼働情報には、ポンプ装置10の稼働時間や稼働回数が含まれる。点灯態様とは、例えば点灯部51を点滅や点灯色等を含む。このように、点灯部51は、ポンプ装置10の通電状態以外の情報を報知するために用いられる。
【0028】
制御部60は、操作部41が稼働時間マーク413に対応する位置まで操作されたことつまり稼働時間マーク413に対応した抵抗値に基づく電気信号が入力されたことを条件に、稼働時間を示す点灯態様で点灯部51を点灯させる。また、制御部60は、操作部41が稼働回数マーク414に対応する位置まで操作されたことつまり稼働回数マーク414に対応した抵抗値に基づく電気信号が入力されたことを条件に、稼働回数を示す点灯態様で点灯部51を点灯させる。稼働時間を示す点灯態様と稼働回数を示す点灯態様は、同一であっても良いし異なっていても良い。
【0029】
次に、図4を参照して、ポンプ装置10の稼働情報を報知する際に制御部60で実行される制御内容の一例を説明する。ここでは、操作部41が稼働時間マーク413又は稼働回数マーク414に対応する位置まで操作された場合の一例について説明する。制御部60は、ポンプ装置10に電源が投入された状態で、操作部41が稼働時間マーク413又は稼働回数マーク414に対応する位置まで操作されて、各マーク413、414に対応した抵抗値に基づく電気信号を受けると(図4のスタート)、ステップS11において、点灯部51を消灯する。
【0030】
次に、制御部60は、ステップS12において、点灯部51を消灯してから所定時間例えば3秒経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合(ステップS12でYES)、制御部60は、ステップS13に処理を移行し、報知処理を実行する。報知処理は、制御部60は、例えば点灯部51を点滅又は消灯させてポンプ装置10の稼働情報を報知する処理を含む。
【0031】
具体的には、制御部60は、稼働時間又は稼働回数の最上位の桁から順に、例えば赤色LED511を各桁の数字に対応した回数点滅させた後に点灯部51を所定時間例えば3秒消灯する、といった点灯態様を実行する。これにより、制御部60は、稼働時間又は稼働回数を外部に報知する。制御部60は、当該消灯の前に、例えば赤色LED511を例えば2秒点灯させて、各桁の数字の報知が完了したことを知らせても良い。また、制御部60は、最小位の桁の数字の報知が終わると、緑色LED512つまり点滅に用いるLED511とは異なる色のLED512を例えば3秒点灯させて、最小位の桁の数字を示したことを報知する。更に、各桁の数字が0である場合、制御部60は、例えば赤色LED511を0以外の数字を報知する際の点滅間隔よりも速い又は遅い点滅間隔で例えば2秒間点滅させて数字が0であることを報知する。なお、点滅等に用いるLED511~513は、任意に設定できる。
【0032】
例えば稼働情報のうち稼働時間を報知する場合であって、稼働時間が例えば608時間である場合、制御部60は、まず最上位の桁の数字である「6」に対応する回数つまり6回赤色LED511を点滅する。次に、制御部60は、赤色LED511を2秒点灯させた後に、赤色LED511を3秒間消灯する。その後、制御部60は、赤色LED511を0以外の数字を報知する際の点滅間隔よりも速い点滅間隔で2秒間点滅させて、最上位の次の桁の数字が「0」であることを報知する。次に、制御部60は、赤色LED511を2秒点灯させた後に、赤色LED511を3秒間消灯する。
【0033】
制御部60は、最小位の桁の数字である「8」に対応する回数つまり8回赤色LED511を点滅する。次に、制御部60は、緑色LED512を例えば3秒点灯させて、最小位の桁の数字を示したことを報知する。このようにして、制御部60は、報知処理によって稼働時間を作業者に報知できる。本実施形態では、制御部60は、稼働時間と同様の点灯態様で稼働回数を報知できる。
【0034】
制御部60は、図4のステップS13の報知処理を実行すると、ステップS14に処理を移行し、操作部41が稼働時間マーク413又は稼働回数マーク414以外のマーク412、415対応した位置に操作されたか否かを判断する。制御部60は、各マーク412、415に対応した抵抗値に基づく電気信号を受けると、操作部41が稼働時間マーク413又は稼働回数マーク414以外のマーク412、415に対応した位置に操作されたと判断する。
【0035】
操作部41が稼働時間マーク413又は稼働回数マーク414以外のマーク412、415に対応した位置に操作されていない場合(ステップS14でNO)、制御部60は、報知処理を継続する。一方、操作部41が稼働時間マーク413又は稼働回数マーク414以外のマーク412、415に対応した位置に操作された場合(ステップS14でYES)、制御部60は、ステップS15に処理を移行し、報知処理を停止する。その後、制御部60は、ステップS16に処理を移行し、赤色LED511を点灯させてポンプ装置10が通電状態であることを報知して、一連の処理を終了する(図4のエンド)。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、ポンプ装置10は、塗布液を吐出可能なポンプ部30と、操作装置40と、点灯部51と、制御部60と、を備える。操作装置40は、作業者による所定方向への操作を受ける。点灯部51は、通電により点灯する。制御部60は、操作装置40に対する操作に基づいて点灯部51を制御する。そして、制御部60は、操作装置40が所定の操作位置まで操作されたことを条件にポンプ装置10の稼働に関する稼働情報を示す点灯態様で点灯部51を点灯させる。
【0037】
ここで、ポンプ装置10の予防保全の観点から、ポンプ装置10の稼働に関する稼働情報を作業者に提示することが望ましい。作業者にポンプ装置10の稼働情報を提示するための例えばディスプレイやモニター等の表示装置をポンプ装置10に搭載しようとすると、コスト増加が問題となる。また、ポンプ装置10の設置場所が爆発性雰囲気となる環境いわゆる防爆エリアである場合、当該表示装置を防爆仕様とする必要があり、製造負担や更なるコスト増加が生じる。
【0038】
そこで、本実施形態によれば、操作装置40と点灯部51とによる比較的安価な構造によって、作業者にポンプ装置10の稼働情報をできるため、コスト負担を軽減できる。また、作業者は、操作装置40を所定方向へ操作を行うといった簡易な方法で稼働情報を確認できるため、作業性を損なうことがない。結果として、作業性を確保しつつ、コストを抑えて作業者に稼働情報を提示できる。
【0039】
稼働情報は、ポンプ装置10が稼働した時間である稼働時間を含んでいる。そして、制御部60は、操作装置40が稼働時間マーク413に対応する位置まで操作されたことを条件に稼働時間を示す点灯態様で点灯部51を点灯させる。
【0040】
ここで、稼働時間は、ポンプ装置10の消耗具合を予測するために用いることができる情報である。そのため、作業者は稼働時間を定期的に確認することで、ポンプ装置10のメンテナンスの要否を判断できる。そして、必要に応じてメンテナンスや部品の交換等を行うことで、ポンプ装置10の故障を未然に防止できる。作業者は、操作装置40を稼働時間マーク413に対応する位置まで操作することで、稼働時間を容易に把握できるため、メンテナンス性を向上できる。
【0041】
稼働情報は、ポンプ装置10が稼働した回数である稼働回数を含んでいる。そして、制御部60は、操作装置40が稼働回数マーク414に対応する位置まで操作されたことを条件に稼働回数を示す点灯態様で点灯部51を点灯させる。
【0042】
これによれば、ポンプ装置10の稼働情報として稼働回数を作業者に提示することで、稼働回数に基づいてポンプ装置10のメンテナンスの要否を判断できる。これにより、ポンプ装置10の故障を未然に防止できるため、メンテナンス性を向上できる。
【0043】
また、ポンプ装置10は、電力によって駆動するモータ211を更に備える。制御部60は、モータ211を駆動させてポンプ部10からの塗布液の吐出を制御する。
【0044】
ここで、ポンプ装置10を電力によって駆動するモータ211を備える電動式で構成した場合、一般的に空動式のポンプ装置に比べてコストが増加する傾向にある。このような電動式のポンプ装置に表示装置を搭載しようとすると、コスト負担が大きくなってしまう。そこで、電動式のポンプ装置10において操作装置40と点灯部51とによって作業者に稼働情報を提示することで、コスト増加を抑えて利便性を向上できる。
【0045】
なお、操作装置40は、例えばロータリースイッチで構成しても良い。この場合、ロータリースイッチの先端のつまみ部分を周方向に回転させて、接続される接点を切り替えることで、ポンプ装置10の動作を多段階に制御可能である。
また、本実施形態では、点灯部51はポンプ装置10の通電状態の報知及び稼働情報の報知を兼用しているが、点灯部51を複数設けてポンプ装置10の通電状態の報知と稼働情報の報知とをそれぞれ個別に報知可能な構成としても良い。
【0046】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
10…ポンプ装置、211…モータ、30…ポンプ部、40…操作装置、51…点灯部、60…制御部
図1
図2
図3
図4