(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148373
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23K 5/04 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
F23K5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061466
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】有坂 拓真
(72)【発明者】
【氏名】赤佐 星次
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠介
(72)【発明者】
【氏名】関矢 政明
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA15
3K068CA11
3K068CB18
(57)【要約】
【課題】振動音の発生を抑制できる燃焼装置を提供する
【解決手段】置台2と、燃油を気化させ燃焼させるバーナ10と、燃油を貯留するレベラタンク21と、外部タンクからレベラタンク21に燃油を汲み上げる汲上ポンプ30と、置台2に対して垂直に立設した取付部材41と、汲上ポンプ30を固定するポンプ固定板42とを備え、取付部材41は、置台2に対して垂直方向に延設させた折曲部41aと、折曲部の一方側の第1垂直面41bと、他方側の第2垂直面41cとを有し、ポンプ固定板42は、取付部材の第1垂直面41bまたは第2垂直面41cに備えられ、汲上ポンプ30は、汲上ポンプ30内のプランジャ30aの振幅方向を上下方向としてポンプ固定板42に固定した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置台と、
燃油を気化させ燃焼させるバーナ部と、
前記燃油を貯留するレベラタンクと、
外部タンクから前記レベラタンクに前記燃油を汲み上げる汲上ポンプと、
前記汲上ポンプで汲み上げた前記燃油を前記レベラタンクへ送油する送油パイプと、
前記レベラタンクから前記バーナ部に前記燃油を送る電磁ポンプと、
前記置台に対して垂直に立設した取付部材と、
前記汲上ポンプを固定するポンプ固定板と、
を備え、
前記取付部材は、
前記置台に対して垂直方向に延設させた折曲部と、
前記折曲部の一方側の第1垂直面と、
他方側の第2垂直面と、
を有し、
前記ポンプ固定板は、
前記取付部材の前記第1垂直面または前記第2垂直面に備えられ、
前記汲上ポンプは、
前記汲上ポンプ内のプランジャの振幅方向を上下方向として前記ポンプ固定板に固定した
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記バーナ部を固定するバーナ取付台の端部に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載した燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置に関し、特に燃油等の液体燃料を外部の燃料タンクから汲み上げて内部のレベラタンクに汲み上げて燃焼させ、給湯、暖房等を行なう燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の燃焼装置では、外部の燃料タンクに貯留された灯油などの燃油を、外部の燃料タンクと燃焼装置との間に一旦中継的に貯留して液面位を調整するレベラタンクに汲み上げることのできる汲上ポンプを備えたものが知られている。
例えば、特許文献1には、筐体の内部に、燃油を燃焼させる燃焼部と、該燃焼部に燃油を供給する電磁ポンプと、該燃焼部に供給される燃油を貯留するレベラタンクと、該レベラタンク内に外部タンクからの燃油を供給する汲上ポンプ(12)を備えた燃焼装置が示されている。
【0003】
特許文献1の燃焼装置では、レベラタンクの上面はタンク蓋(13)で塞がれており、このタンク蓋に電磁ポンプ(10)および油面センサ(11)が取り付けられている。さらにタンク蓋は、レベラタンクの上面よりも一端側に延出された延出部(13a)を有しており、この延出部に汲上ポンプが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この燃焼装置は、燃焼によってレベラタンク内の燃油が少なくなると、汲上ポンプを駆動させて外部タンクからレベラタンク内に燃油を汲み上げるものであるが、この汲上ポンプには、磁力の周期的な変化によってシリンダに摺接状態で内装されたプランジャを軸心方向に振動させることによって、外部タンク内の燃料をレベラタンクに向けて吐出するように構成されており、このプランジャが振動することで、汲上ポンプとタンク蓋の延出部が振動し、さらにレベラタンクおよび置台に振動が伝搬され、不快な振動音の発生源の一つとなっていたものである。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、汲上ポンプの駆動による振動音を抑制できる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、置台と、燃油を気化させ燃焼させるバーナ部と、前記燃油を貯留するレベラタンクと、外部タンクから前記レベラタンクに前記燃油を汲み上げる汲上ポンプと、前記汲上ポンプで汲み上げた前記燃油を前記レベラタンクへ送油する送油パイプと、前記レベラタンクから前記バーナ部に前記燃油を送る電磁ポンプと、前記置台に対して垂直に立設した取付部材と、前記汲上ポンプを固定するポンプ固定板と、を備え、前記取付部材は、前記置台に対して垂直方向に延設させた折曲部と、前記折曲部の一方側の第1垂直面と、他方側の第2垂直面と、を有し、前記ポンプ固定板は、前記取付部材の前記第1垂直面または前記第2垂直面に備えられ、前記汲上ポンプは、前記汲上ポンプ内のプランジャの振幅方向を上下方向として前記ポンプ固定板に固定したことを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記取付部材は、前記バーナ部を固定するバーナ取付台の端部に形成したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
この本発明によれば、振動音の発生を抑制できる燃焼装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の一部の部品を外した状態の概略構成図
【
図3】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のバーナ部と燃料供給部の周辺を示す斜視図
【
図4】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のバーナ取付台と燃料供給部の周辺を示す第1斜視図
【
図5】本発明の第1の実施形態の燃焼装置のバーナ取付台と燃料供給部の周辺を示す第2斜視図
【
図6】本発明の第1の実施形態の燃焼装置の要部拡大図
【
図7】本発明の第1の実施形態の汲上ポンプの断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる第1の実施形態を
図1から
図6を参照して説明する。
【0012】
1は、第1の実施形態の燃焼装置であるところの石油暖房装置で、水平に載置された置台2、筐体3、操作部4、バーナ部10と、バーナ部10と連通した放熱器15、燃焼用ファン16、バーナ部10に燃油を供給する燃料供給部20を備えて構成されている。
【0013】
バーナ部10は、アルミダイキャスト製の図示しない気化器と、この気化器と連接して気化した燃油を燃焼させるバーナ10aと、気化器とバーナ10aとを内蔵する有底角筒状のバーナケース10bを備える。
バーナ10aは、燃焼用ファン16からの燃焼用空気の供給と、燃料供給部20からの燃油の供給を受けて、燃油を燃焼させて燃焼ガスを生成する。
生成した燃焼ガスは、バーナ10aの上部に位置する燃焼室11を通過して、バーナ部10と連通した放熱器15を経て、図示しない排気筒から器具外へ排気される。
【0014】
放熱器15は、バーナ部10で発生した燃焼ガスによって加熱され、室内に輻射熱を放出するとともに、送風ファン17から送風される室内空気と熱交換して温風空気を発生するものである。
【0015】
40は、平面視でコの字状を有し、置台2の上に載置固定されたバーナ取付台である。
19は、バーナ取付台40の上部に架け渡すように設置して固定した遮熱板である。
バーナ取付台40は、上下端および左右端に曲げ部40aを有してバーナ取付台40自体の剛性を高めるとともに、曲げ部40aによって置台2と後述する取付部材41および遮熱板19とそれぞれ螺子などで固定されるものである。
また、遮熱板19がバーナ取付台40に架け渡されて固定されていることで、バーナ取付台40の剛性を高めているものである。
【0016】
バーナケース10bは、バーナケース10bの上端の周囲に外側へ広がるバーリング部(図示しない)を備え、
図3に示すように、遮熱板19の中央に前記バーリング部を係止させて取り付けられている。
【0017】
50は、送風ファン17から送風される空気をバーナ部10の下部に空気を送るための風向板である。
風向板50は、左右端と後端をコの字状のバーナ取付台40の内側に接するように収まり、左右端で置台2とバーナ取付台40とともに螺子で共締めされて固定されており、バーナ取付台40の剛性向上に貢献している。
【0018】
燃料供給部20は、バーナ部10に供給する燃油を貯留するためのレベラタンク21と、レベラタンク21を置台2の上に固定するためのタンク支持部材25と、レベラタンク21の燃油をバーナ部10に供給する電磁ポンプ22と、レベラタンク21内の燃油の油面高さを検知する油面センサ23と、レベラタンク21の上を塞ぎ電磁ポンプ22と油面センサ23を備えるタンク蓋24と、レベラタンク21内の油面が所定高さよりも低下したときに所定高さまで屋外の外部タンク(図示せず)からレベラタンク21へ燃油を供給する汲上ポンプ30と、外部タンクから汲上ポンプ30までの燃油の経路である汲上管31と、汲上ポンプ30からレベラタンク21までの燃油の経路である送油パイプ32とを備えている。
【0019】
レベラタンク21の上面はタンク蓋24で塞がれ、タンク蓋24の上に電磁ポンプ22および油面センサ23が取り付けられている。
電磁ポンプ22は、吸入端(図示せず)がレベラタンク21内に設けられ、図示しない連結パイプを介してバーナ部10へ燃焼量に応じた量のレベラタンク21内の燃油を供給する。
油面センサ23は、レベラタンク21内の油面の上下動に応じて上下動するフロート(図示せず)を有し、下限油面と上限油面を検知する。
なお、この油面センサ23は、光学式のものであってもよい。
【0020】
レベラタンク21は、タンク支持部材25によって置台2に載置固定されており、タンク支持部材25は、ベース部25aと一対の立ち上げ部25bより成り、ベース部25aはゴムブッシュ15cを介して置台2に螺子止めされ、立ち上げ部25bの上端に、レベラタンク21の上端フランジ(図示せず)とタンク蓋24とが螺子で共締めされて、レベラタンク21の底部がベース部25aから離れた状態で固定されている。
【0021】
本発明では、汲上ポンプ30をレベラタンク21のタンク蓋24ではなく、ポンプ固定板42に取り付けた。以下具体的に説明する。
【0022】
すなわち、
図4および
図5に示すように、バーナ取付台40の右側端部には、汲上ポンプ30を固定するための取付部材41およびポンプ固定板42が取り付けられている。
取付部材41は、水平に載置した置台2に対し垂直に立設する折曲部41aを有し、該折曲部41aを挟んで水平断面がL字となるように、一方側(
図4の右側)の第1垂直面41bと、他方側(
図4の後側)の第2垂直面41cとを備える。
取付部材41は、取付部材41の高さで中腹に、ポンプ固定板42を固定するための切欠部41dと、バーナ取付台40と固定するための螺子穴41eとを備える。
【0023】
図6に示すように、ポンプ固定板42は汲上ポンプ30を固定する水平面であるポンプ固定面42aと、取付部材41の第1垂直面41bと向き合う係止面42bと、この係止面42bから切り起して切欠部41dと係止する係止部42cを備える。
ポンプ固定板42は、係止部42cと螺子などの締結部材42dで取付部材41の第1垂直面41bに固定される。
【0024】
さらに、ポンプ固定板42は、係止面42bと第1角部42fにて直交する垂直面の第1支持面42eと、第1支持面42eと第2角部42hにて直交する垂直面の第2支持面42gと、第2支持面42gとポンプ固定面42aと直交する第3角部42kを備える。
ポンプ固定面42aは、長辺と短辺を有する長方形を形成し、ポンプ固定面42aの長辺側と第3角部42kにて第2支持面42gと直交するものである。
【0025】
第2角部42hと第3角部42kには強度確保のため、三角リブ42pを施してある。
【0026】
汲上ポンプ30は、ポンプ固定板42のポンプ固定面42aに固定され、汲上ポンプ30の下部の入口側に外部タンクと連通した汲上管31が接続され、上部の出口側にレベラタンク21と連通した送油パイプ32が接続されている。
送油パイプ32は、タンク蓋24に開口された導入穴部(図示しない)を介してレベラタンク21内に開放されている。
【0027】
図7に示すように、汲上ポンプ30は、汲上ポンプ30内の筒状のシリンダ30bと、シリンダ30b内に往復動可能に支持されたプランジャ30aと、プランジャ30aを吐出方向に付勢するプランジャスプリング30cと、シリンダ30bの外周に設けられた電磁コイル30dとが設けられている。
【0028】
汲上ポンプ30は、駆動の指令を受けると電磁コイル30dが予め定められたオンタイムかつ所定の駆動周波数で、かつ所定の電源電圧で間欠的に励磁されると、通電時の磁束によってプランジャ30aがプランジャスプリング30cの付勢力に抗して下方向へ引き寄せられ、磁束がなくなるとプランジャ30aがプランジャスプリング30cの付勢力によって図の上方向へ上昇する上下振動を繰り返し、これによって、燃油を外部タンクからレベラタンク21へ供給するものである。
【0029】
本発明では、汲上ポンプ30は、汲上ポンプ30内のプランジャ30aの振幅方向を上下方向にしてポンプ固定板42のポンプ固定面42aに固定し、取付部材41の折曲部41aの延設方向とプランジャ30aの振幅方向をともに上下方向としたものである。
【0030】
次に、第1の実施形態における作用について説明する。
【0031】
暖房運転によってレベラタンク21内の燃油が消費され、油面センサ23によって下限油面まで燃油が減ったことを検知すると、汲上ポンプ30の駆動が開始され、外部タンクからの燃油がレベラタンク21に供給され、油面センサ23によって上限油面まで燃油が増えたことを検知すると、汲上ポンプ30の駆動が停止され、レベラタンク21内には一定量の燃油が保持される。
なお、汲上ポンプ30の駆動停止は、汲上ポンプ30の駆動開始から所定時間の経過をもって駆動停止するようにしてもよい。
【0032】
一旦、汲上ポンプ30の駆動が開始されると、汲上ポンプ30内のプランジャ30aが上下方向に所定の周波数(例えば、20Hz)で振幅する。
この振幅は汲上ポンプ30自体を上下に振動させ、汲上ポンプ30を固定したポンプ固定板42のポンプ固定面42aにも振動を伝え、ポンプ固定板42を固定した取付部材41にも振動を伝える。
【0033】
しかしながら、取付部材41には、水平に載置した置台2に対して垂直方向に延設した折曲部41aを備えたので、取付部材41は上下方向の振動に対して高い剛性を確保でき、この折曲部41aに隣接した第1垂直面41bにポンプ固定板42を固定したので、汲上ポンプ30のプランジャ30aの振幅による振動音の発生を抑制できるものである。
【0034】
さらに、ポンプ固定面42aの長辺側で第3角部42kにて第2支持面42gと直交するようにしたので、汲上ポンプ30の軸芯と、汲上ポンプ30のポンプ固定面42aへの固定用の螺子とを長辺方向に並べて配置でき、汲上ポンプ30の重心を第2支持面42gの比較的近い位置に配置することができるので、汲上ポンプ30の振動に対して剛性を高めることができるものである。
【0035】
なお、ポンプ固定板42は、取付部材41の第1垂直面41bに固定した構成で説明したが、第2垂直面41cに固定した構成でも良いものである。
【0036】
なお、取付部材41はバーナ取付台40の端部に別部品として固定した構成で説明したが、バーナ取付台40の右側端部に折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部を折曲部41aとするようにして、バーナ取付台40と取付部材41を一体とした構成でもよい。
【0037】
なお、ポンプ固定板42は、取付部材41と別部品として固定した構成で説明したが、取付部材41の第1垂直面41bを上端で折り曲げて水平面を形成してポンプ固定面42aとすることで、取付部材41とポンプ固定板42を一体とした構成でもよい。
【0038】
なお、本実施形態は、燃料供給部20を備える石油暖房装置1について説明したが、石油暖房装置に限らず、石油給湯機、石油温水ボイラでもよい。
【0039】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 :石油暖房装置(燃焼装置)
2 :置台
10 :バーナ部
21 :レベラタンク
22 :電磁ポンプ
30 :汲上ポンプ
30a :プランジャ
32 :送油パイプ
40 :バーナ取付台
41 :取付部材
41a :折曲部
41b :第1垂直面
41c :第2垂直面
42 :ポンプ固定板