(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014839
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】タイルカーペットの自動洗浄システム及びタイルカーペットの自動洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B08B 1/20 20240101AFI20240125BHJP
B08B 11/00 20060101ALI20240125BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240125BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20240125BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B08B1/02
B08B11/00 B
B08B3/02 A
B08B3/04 Z
B08B5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118614
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2022115971
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522291588
【氏名又は名称】株式会社ワイズ・クルー
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁科 剛
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AA46
3B116AB14
3B116AB23
3B116BA02
3B116BA12
3B116BB02
3B116BB22
3B116BB71
3B116BB77
3B116BB82
3B116BB90
3B116CA01
3B116CC01
3B116CC03
3B201AA02
3B201AA46
3B201AB03
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3B201BB02
3B201BB22
3B201BB71
3B201BB75
3B201BB77
3B201BB90
3B201CA01
3B201CC01
3B201CC15
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、タイルカーペットの洗浄面の汚れを従来よりも落とすことができるタイルカーペットの自動洗浄システムを提供する。
【解決手段】タイルカーペットの自動洗浄システムは、タイルカーペットTCの被洗浄面上で1以上のブラシを移動させてタイルカーペットの被洗浄面を洗浄し、洗浄したタイルカーペットの被洗浄面を濯ぐ機能を有する2台の同種の洗浄機21,25を含む洗浄装置と、洗浄装置を通過したタイルカーペットから水分を真空吸引する真空吸引装置27と、複数のコンベア装置20,23,24を含んで構成されて、複数のコンベア装置上にタイルカーペットTCを載せた状態でタイルカーペットを搬送する搬送ラインCLを備えている。搬送ラインCLが、2台の同種の洗浄機21,25の間において、搬送ラインCLの進行方向に対するタイルカーペットTCの配置状態を変更するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルカーペットの被洗浄面上で1以上のブラシを移動させて前記タイルカーペットの前記被洗浄面を洗浄し、洗浄したタイルカーペットの前記被洗浄面を濯ぐ機能を有する2台の同種の洗浄機を含む洗浄装置と、
前記洗浄装置を通過した前記タイルカーペットから水分を真空吸引する真空吸引装置と、
複数のコンベア装置を含んで構成されて、前記複数のコンベア装置上に前記タイルカーペットを載せた状態で前記タイルカーペットを搬送する搬送ラインを備え、
前記搬送ラインが、前記2台の同種の洗浄機の間において、前記搬送ラインの進行方向に対する前記タイルカーペットの配置状態を変更するように構成されていることを特徴とするタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項2】
前記搬送ラインの進行方向に対する前記タイルカーペットの配置状態の変更は、前記進行方向に対して前記タイルカーペットが前記被洗浄面と直交する仮想線を中心にして前記被洗浄面が所定の角度回転した状態になる変更である請求項1に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項3】
前記搬送ラインを構成する前記複数のコンベア装置には、前段の前記洗浄機で洗浄された前記タイルカーペットを搬送する前段のコンベア装置と、後段の前記洗浄機に前記タイルカーペットを搬入する後段のコンベア装置が含まれており、
前記前段のコンベア装置の搬送方向と前記後段のコンベア装置の搬送方向とが90度をなすように、前記前段のコンベア装置と前記後段のコンベア装置が配置されており、
前記前段のコンベア装置によって搬送される前記タイルカーペットが前記後段のコンベア装置の上に乗り移るように前記前段のコンベア装置と前記後段のコンベア装置が構成されていることを特徴とする請求項2に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項4】
前記搬送ラインを構成する前記複数のコンベア装置には、前段の前記洗浄機で洗浄された前記タイルカーペットを搬送する前段の前記コンベア装置と、後段の前記洗浄機に前記タイルカーペットを搬入する後段の前記コンベア装置と、前記前段のコンベア装置と前記後段のコンベア装置との間に位置して前記前段のコンベア装置の搬送方向に対して前記タイルカーペットを90度回転させる回転機構を備えた中段のコンベア装置を備えている請求項2に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項5】
前記洗浄装置の前に前記タイルカーペットに水または温水を吹き付けて前記タイルカーペットの被洗浄面を予洗する予洗装置を更に備えている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項6】
前記洗浄機は、前記濯ぎの後に脱水を実施する機能を有している請求項1に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項7】
前記予洗装置の前に、洗浄水に前記タイルカーペットを漬ける浸漬タンクが配置されている請求項5に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項8】
前記予洗装置は、前記タイルカーペットの前記被洗浄面を起毛させるように水または温水を前記被洗浄面に対して所定の角度を付けて吹き付ける構成を有している請求項5に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項9】
前記1以上のブラシは、3個の回転ブラシからなる請求項1に記載のタイルカーペットの自動洗浄システム。
【請求項10】
タイルカーペットの被洗浄面上で1以上のブラシを移動させて前記被洗浄面を洗浄する洗浄工程と、
洗浄したタイルカーペットの前記被洗浄面を濯ぐ濯ぎ工程と、
前記濯ぎ工程を経た前記タイルカーペットから水分を真空吸引する真空吸引工程を、複数のコンベア装置を含む搬送ラインを利用して前記コンベア装置上に前記タイルカーペットを載せた状態で搬送しながら順次実施するタイルカーペットの自動洗浄方法であって、
同種の洗浄機を用いて前記洗浄工程を複数回実施し、前段の洗浄工程と後段の洗浄工程の間において、前記搬送ラインの進行方向に対する前記タイルカーペットの配置状態を変更する配置状態変更工程を実施することを特徴とするタイルカーペットの自動洗浄方法。
【請求項11】
前記搬送ラインは、前記複数のコンベア装置が列をなすように構成されており、
前記前段の洗浄工程で洗浄された前記タイルカーペットを搬送する前段のコンベア装置の搬送方向と前記後段の洗浄工程にタイルカーペットを搬送する後段のコンベア装置の搬送方向とが90度をなすように、前記前段のコンベア装置と前記後段のコンベア装置が配置されており、
前記配置状態変更工程で、前記前段のコンベア装置によって搬送される前記タイルカーペットが前記後段のコンベア装置の上に乗り移るように前記前段のコンベア装置と前記後段のコンベア装置が構成されている請求項10に記載のタイルカーペットの自動洗浄方法。
【請求項12】
前記搬送ラインは、前記複数のコンベア装置が直線の列を成すように構成されており、
前記前段の洗浄工程で洗浄された前記タイルカーペットを搬送する前段のコンベア装置と前記後段の洗浄工程にカーペットを搬送する後段のコンベア装置の間に位置する中段のコンベア装置は、前記前段のコンベア装置から前記タイルカーペットを受け取った後に、前記前段のコンベア装置の搬送方向に対して90度回転し、その後に前記後段のコンベア装置に前記タイルカーペットを移送するように構成されている請求項10に記載のタイルカーペットの自動洗浄方法。
【請求項13】
前記前段の洗浄工程の後に前段の前記濯ぎ工程を実施し、前記後段の洗浄工程の後に後段の前記濯ぎ工程を実施し、
前記後段の濯ぎ工程の後に前記真空吸引工程を実施する請求項10乃至12のいずれか1項に記載のタイルカーペットの自動洗浄方法。
【請求項14】
前記前段の洗浄工程の後に前段の前記濯ぎ工程と前段の脱水工程を実施し、前記後段の洗浄工程の後に後段の前記濯ぎ工程と後段の脱水工程を実施する請求項10乃至12のいずれか1項に記載のタイルカーペットの自動洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物等の床面に敷きつめたタイルカーペットの洗浄を自動的に行うタイルカーペットの自動洗浄システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平9-285769号公報(特許文献1)には、従来のタイルカーペットの自動洗浄装置の一例が開示されている。従来のタイルカーペットの自動洗浄装置では、所定圧の清水を噴出して汚れたタイルカーペットの表面を予洗する予洗スプレー部と、洗剤タンクに連通されかつ多数の下方に向いた噴水孔を備えて洗浄用の洗剤をタイルカーペットの被洗浄面に供給する洗剤スプレー部と、水道ホースに連通されかつ下方に向いた多数のノズルを備えて洗浄後のタイルカーペットに清水濯ぎ水を供給して濯ぎ洗いをする清水濯ぎ洗い部とが、順次、搬送ベルトの幅方向全体にわたって配設された構造を有している。さらに、清水濯ぎ洗い部より下流側の中央搬送コンベア部に続く位置には、清水濯ぎ洗い部からの濯ぎ水の水切りとタイルカーペットに付着した水を落す脱水コンベア部が設けられている。また、脱水コンベア部の上には、タイルカーペットから脱水された水分をウエットバキューム装置(真空ポンプ)を介して吸引する吸い口が配設されている。また中央搬送コンベア部の中央部の直上には、スリーブラシ洗浄部が配設されている。従来の装置では、スリーブラシを正・逆回転させてタイルカーペットの被洗浄面を洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来のタイルカーペットの自動洗浄装置でスリーブラシを正・逆回転させても、タイルカーペットの洗浄面の汚れを十分に落とすことができない場合があった。これはカーペットの種類によって、起毛の長さ及び起毛の植設状態の相違や、カーペットが使用されていたときに重いものが長期間に亘って載っていたために、起毛が寝た状態になっている場所の存在等が起因しているものと推測される。
【0005】
本発明の目的は、タイルカーペットの洗浄面の汚れを従来よりも落とすことができるタイルカーペットの自動洗浄システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタイルカーペットの自動洗浄システムは、タイルカーペットの被洗浄面上で1以上のブラシを移動させてタイルカーペットの被洗浄面を洗浄し、洗浄したタイルカーペットの被洗浄面を濯ぐ機能を有する2台の同種の洗浄機を含む洗浄装置と、洗浄装置を通過したタイルカーペットから水分を真空吸引する真空吸引装置と、複数のコンベア装置を含んで構成されて、複数のコンベア装置上にタイルカーペットを載せた状態でタイルカーペットを搬送する搬送ラインを備えている。本発明では、搬送ラインが、2台の同種の洗浄機の間において、搬送ラインの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態を変更するように構成されている。
【0007】
本発明方法においては、このようにすると前段の洗浄中におけるタイルカーペットの起毛の向きが変わることにより、ブラシと起毛の延びる方向との位置関係が変わることになり、従来では落ちることがなかった汚れや砂等のゴミを除去することが可能になる。その結果、本発明によれば、タイルカーペットの洗浄面の汚れを、従来よりも落とすことができる。
【0008】
2台の同種の洗浄機は、同じ製品または同じ構造のものであれば、本発明のシステムの価格を大幅に下げることができる。しかしながら使用する同種の洗浄機としては、1以上のブラシの可動方向を含む可動条件が同じものであれば、異なる製品または異なる構造の洗浄機を用いてもよいのは勿論である。
【0009】
なお洗浄機で使用するブラシは任意であり、回転するタイプのブラシでも、また往復移動するブラシでもよい。また回転するタイプのブラシの場合には、一方向に回転するものでも、また正・逆回転するものでもよい。さらに洗浄機は、濯ぎの後に、プレス等の公知の方法でタイルカーペットから水分の一部を除く脱水を行う機能を有していてもよい。
【0010】
搬送ラインの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態の変更は、進行方向に対してタイルカーペットが被洗浄面と直交する仮想線を中心にして被洗浄面が所定の角度回転した状態になる変更であるのが好ましい。このような変更であれば、被洗浄面の起毛の延びる方向とブラシとの位置関係を、確実に変更することができる。なお所定の確度は、理想的には、目標値としては90度が好ましいが、実際上は90度とは異なる角度に変更される場合も許容される。
【0011】
搬送ラインを構成する複数のコンベア装置には、前段の洗浄機で洗浄されたタイルカーペットを搬送する前段のコンベア装置と、後段の洗浄機にタイルカーペットを搬入する後段のコンベア装置が含まれている場合がある。前段のコンベア装置の搬送方向と後段のコンベア装置の搬送方向とが90度をなすように、前段のコンベア装置と後段のコンベア装置が配置されている場合には、前段のコンベア装置によって搬送されるタイルカーペットが後段のコンベア装置の上に乗り移るように前段のコンベア装置と後段のコンベア装置が構成されていればよい。このようにすると前段のコンベア装置と後段のコンベア装置の配置を変えることにより、搬送ラインの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態の変更を行うことができるので、配置状態の変更を実現するための設備の構成が簡単になる。
【0012】
搬送ラインを構成する複数のコンベア装置が、前段の洗浄機で洗浄されたタイルカーペットを搬送する前段のコンベア装置と、後段の洗浄機にタイルカーペットを搬入する後段のコンベア装置と、前段のコンベア装置と後段のコンベア装置との間に位置して前段のコンベア装置の搬送方向に対してタイルカーペットを90度回転させる回転機構を備えた中段のコンベア装置を備えていてもよい。このようにすると中段のコンベア装置を回転させる必要があるものの、搬送ラインを直線状にすることができるので、設備の設置及び保守管理が容易になる。
【0013】
洗浄装置の前にタイルカーペットに水または温水を吹き付けてタイルカーペットの被洗浄面を予洗する予洗装置を更に備えていてもよい。予洗においては、タイルカーペットの被洗浄面を起毛させるように水または温水を被洗浄面に対して所定の角度を付けて吹き付けるようにしてもよい。このようにすると、タイルカーペットの被洗浄面の毛の中に入り込んだ汚れやゴミを確実に除去することができる。
【0014】
なおタイルカーペットの被洗浄面への洗剤の付与は、予洗装置において行ってもよく、また洗浄機において行ってもよく、また予洗装置と洗浄機の両方において行ってもよい。
【0015】
なお予洗装置による予洗の前に、洗浄水にタイルカーペットを所定時間以上漬ける浸漬タンクに、タイルカーペットを浸漬しておいてもよい。このようにすると洗浄機における洗浄効率を高めることができる。なおこの洗浄水には、洗剤等が含まれていてもよいのは勿論である。
【0016】
洗浄機は、濯ぎの後に脱水を実施する機能を有してもよい。また1以上のブラシは、3個の回転ブラシから構成されていてもよい。
【0017】
本発明は、タイルカーペットの被洗浄面上で1以上のブラシを移動させて被洗浄面を洗浄する洗浄工程と、洗浄したタイルカーペットの被洗浄面を濯ぐ濯ぎ工程を実施する濯ぎ工程と、タイルカーペットから水分を真空吸引する真空吸引工程とを、複数のコンベア装置を含む搬送ラインを利用してコンベア装置上にタイルカーペットを載せた状態で搬送しながら順次実施するタイルカーペットの自動洗浄方法としても把握することができる。この方法においては、同種の洗浄機を用いて洗浄工程を複数回実施し、前段の洗浄工程と後段の洗浄工程の間において、搬送ラインの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態を変更する配置状態変更工程を実施する。
【0018】
洗浄工程及び濯ぎ工程を複数回実施し、前回の洗浄工程及び濯ぎ工程と後の回の洗浄工程及び濯ぎ工程の間において、コンベア装置上で該コンベア装置の進行方向に対してタイルカーペットを90度回転させるようにしてもよい。また洗浄工程、濯ぎ工程及び脱水工程を複数回順次実施し、前回の洗浄工程、濯ぎ工程及び脱水工程の実施と後の回の洗浄工程、濯ぎ工程及び脱水工程の実施の間において、コンベア装置上で該コンベア装置の進行方向に対してタイルカーペットを90度回転させるようにしてもよいのは勿論である。
【0019】
配置状態変更工程における搬送ラインの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態の変更は、進行方向に対してタイルカーペットが被洗浄面と直交する仮想線を中心にして被洗浄面が所定の角度回転した状態になる変更である。搬送ラインが、複数のコンベア装置が列をなすように構成されている場合には、前段の洗浄工程で洗浄されたタイルカーペットを搬送する前段のコンベア装置の搬送方向と後段の洗浄工程にタイルカーペットを搬送する後段のコンベア装置の搬送方向とが90度をなすように、前段のコンベア装置と後段のコンベア装置を配置する。そして配置状態変更工程では、前段のコンベア装置によって搬送されるカーペットが後段のコンベア装置の上に乗り移るように前段のコンベア装置と後段のコンベア装置を運転すればよい。
【0020】
また搬送ラインを、複数のコンベア装置が直線状の列を成すように構成する場合には、前段の洗浄工程で洗浄されたカーペットを搬送する前段のコンベア装置と後段の洗浄工程にカーペットを搬送する後段のコンベア装置の間に位置する中段のコンベア装置を利用する。即ち中段のコンベア装置を、前段のコンベア装置からタイルカーペットを受け取った後に、前段のコンベア装置の搬送方向に対して90度回転し、その後に後段のコンベア装置にカーペットを移送するように構成する。
【0021】
前段の洗浄工程の後に前段の濯ぎ工程を実施し、後段の洗浄工程の後に後段の濯ぎ工程を実施し、最後の後段の濯ぎ工程の後に真空吸引工程を実施するのが好ましい。このようにすると少ない設備で洗浄から脱水までも実施することができる。
【0022】
なお前段の洗浄工程の後に前段の濯ぎ工程と前段の脱水工程を実施し、後段の洗浄工程の後に後段の濯ぎ工程と後段の脱水工程を実施するようにしてもよいのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態の自動洗浄システムの第1の洗浄ラインの構成を示す図である。
【
図2】第1の洗浄ラインに続く第2の洗浄ラインの構成を示す図である。
【
図3】第2の洗浄ラインにおいて配置状態変更工程を実現する構造の一例の構成を示す図である。
【
図4】第2の洗浄ラインにおいて配置状態変更工程を実現する構造の他の例の構成を示す図である。
【
図5】第1の洗浄ラインに続く第2の洗浄ラインの異なる構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明のタイルカーペットの自動洗浄システムの一実施の形態を説明する。本発明の方法を実施する本実施の形態の自動洗浄装置1を
図1と
図2に分けて図示する。
図1は、自動洗浄装置1の第1の洗浄ラインの構成を示しており、
図2は第1の洗浄ラインに続く第2の洗浄ラインの構成を示している。第1の洗浄ラインと第2の洗浄ラインは、後述する複数のコンベア装置(17,20,23,24)から構成される搬送ラインCLを含んで連続している。第1の洗浄ラインには、60℃の温水と洗剤を含む洗浄水にタイルカーペットTCを所定時間以上漬ける浸漬工程を実施する浸漬タンク3と予洗工程を実施する高圧洗浄機5が配置されている。温水は給湯器7から浸漬タンク3に供給される。
図1には、浸漬タンク3の下に、その内部構造を概略的に拡大して示してある。浸漬タンク3は、上方に開口部を有し、底部にドレイン33を有するタンク本体31の内部に、複数の仕切り板32を備えた構造を有している。隣り合う2枚の仕切り板32の間には、洗浄対象となるタイルカーペットTCが収納されており、浸漬タンク3内は温水によって満たされている。なお浸漬タンク3内の温水には、洗剤が含まれている。浸漬タンク3内の温水は、ドレイン33から排出される。
【0025】
また給湯器7の温水は、隣接する温水タンク9にも供給されて貯湯される。温水タンク9に貯湯される湯には、洗剤が含まれてもよい。温水タンク9に貯湯された温水は、ポンプ11及び13を介して4本の高圧ノズル15に供給される。4本の高圧ノズル15は、高圧洗浄機5内に配置されている。
【0026】
浸漬タンク3から作業者によって取り出されたタイルカーペットTCは、搬送ラインCLの一部を構成するコンベア装置17のコンベア治具19上に置かれて、高圧洗浄機5内へと搬送される。高圧洗浄機5内に配置された4本の高圧ノズル15は、60cmの長さを有しており、高圧で温水を噴射する。また4本の高圧ノズル15は、タイルカーペットTCの被洗浄面に対して所定の角度を付けて温水を吹き付けるように並設されている。このようにすると、タイルカーペットTCの被洗浄面の毛の中に入り込んだ汚れやゴミを確実に除去することができる。高圧洗浄機5は、飛散防止カバー51によって、4本の高圧ノズル15とタイルカーペットTCを備えたコンベア装置17の一部を囲っている。また高圧洗浄機5内の水は、ドレイン52を介して排出される。
【0027】
高圧洗浄機5からコンベア装置17によって外部に搬送されたタイルカーペットTCは、
図2に示す第2の洗浄ラインに移行する。第2の洗浄ラインには、搬送ラインCLの一部を構成するコンベア装置20と、第1の洗浄機21と、回転機構22によって回転させられる中間コンベア装置としてのコンベア装置23と、コンベア装置23から移送されたタイルカーペットTCを第2の洗浄機25内に搬入するコンベア装置24が含まれている。
【0028】
具体的には、
図3に示すように、中間コンベア装置としてのコンベア装置23は、コンベア装置20から受け取ったタイルカーペットTCを載せた状態で、回転機構22により搬送ラインCLの進行方向Dに対して90度回転させられた後に、タイルカーペットTCをコンベア装置24上に移送するように構成されている。
図3においては、タイルカーペットTCの配置位置の変更を理解しやすくするために、コンベア装置22上にあるタイルカーペットTCの先端にAの符号を付し、後端に符号Bを付してある。
図3に示す工程が、本発明の方法において、搬送ラインCLの進行方向Dに対するタイルカーペットの配置状態を変更する配置状態変更工程である。
【0029】
配置状態変更工程は、
図4に示すような構成によっても実現できる。
図4に示す具体的な構成では、搬送ラインCLが、第1の洗浄機21による前段の洗浄工程で洗浄されたタイルカーペットTCを搬送する前段のコンベア装置20の搬送方向CD1と第2の洗浄機25による後段の洗浄工程にタイルカーペットTCを搬送する後段のコンベア装置24の搬送方向CD2とが90度をなすように、前段のコンベア装置20と後段のコンベア装置24を配置する。そして前段のコンベア装置20によって搬送されるタイルカーペットTCが後段のコンベア装置24の上に乗り移るように前段のコンベア装置20と後段のコンベア装置24を構成する。
図4の構造では、前段のコンベア装置20が、複数の搬送用ローラRが搬送方向CD1に並んでいて、終点領域に2本の搬送ベルトCBが搬送方向に間隔を開けて並んだ構成を有している。2本の搬送ベルトCBは、タイルカーペットTC´が終点領域に到達するまでは、搬送用ローラRよりも下方に位置している。そしてタイルカーペットTC´が終点領域に到達すると、タイルカーペットTC´を持ち上げるように上方に移動し、後段のコンベア装置24の搬送方向CD2に向かってタイルカーペットTC´を送り出すように回動する。後段のコンベア装置24の上に乗り移ったタイルカーペットは後段のコンベア装置24の搬送用ローラによって、第2の洗浄機25へと搬送される。このようにすると前段のコンベア装置20と後段のコンベア装置24の配置を変えることにより、回転機構を用いることなく、搬送ラインCLの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態の変更を行うことができるので、配置状態変更工程を実現するための設備の構成が簡単になる。
【0030】
図2に示す本実施の形態で用いる第1の洗浄機21及び第2の洗浄機25は、同種の洗浄機であって、それぞれ蔵王産業株式会社が「バーチャルオートリセッタPRO」の商標で販売する同じ構造の洗浄機である。同種の第1の洗浄機21及び第2の洗浄機25は、本実施の形態において前段の洗浄工程及び前段の濯ぎ工程と後段の洗浄工程及び後段の洗浄工程を実施する。第1の洗浄機21及び第2の洗浄機25は、それぞれ予洗したタイルカーペットTCの被洗浄面上で3個の回転ブラシを回転させて、予洗したタイルカーペットTCの被洗浄面を洗浄する洗浄工程と、洗浄したタイルカーペットTCの被洗浄面を濯ぐ濯ぎ工程を実施する濯ぎ工程と、タイルカーペットTCから水分を除去する脱水工程とを実施する。タイルカーペットの被洗浄面への洗剤の付与は、予洗工程において行ってもよく、または第1の洗浄機21及び第2の洗浄機25において行ってもよく、また予洗工程と洗浄工程の両方において行ってもよい。本実施の形態では、予洗工程において、タイルカーペットTCの被洗浄面に洗剤を付与し、必要に応じて洗浄工程において洗剤の付与を行っている。
【0031】
また本実施の形態では、第2の洗浄機25の後方に、脱水したタイルカーペットから水分を真空吸引する真空吸引工程を実施する真空吸引装置27を備えている。すなわち第2の洗浄機25を出た脱水したタイルカーペットTCには、真空吸引装置27によって水分を真空吸引する真空吸引工程が実施される。本実施の形態で用いる真空吸引装置27は、吸引ノズル27Aと排水槽27Bと真空ポンプ27Cとを備えている。真空ポンプ27Cで発生した高圧の負圧をドラム缶からなる排水槽27Bに作用させ、排水槽27Bを介して吸引ノズル27Aに高圧真空を作用させている。したがって吸引ノズル27Aから吸引された水分は、排水槽27B内に回収される。この真空吸引工程によって、タイルカーペットTCは、ほぼ乾燥に近い状態となる。そしてほぼ乾燥したタイルカーペットTCは回収ラック29に積層された状態で回収される。なお回収ラック29に回収したタイルカーペットを自然完全乾燥または乾燥機を用いて完全乾燥をしてもよいのは勿論である。
【0032】
本実施の形態では、予洗したタイルカーペットTCの被洗浄面に洗剤を付けた後、被洗浄面上で回転ブラシを回転させて予洗したタイルカーペットの被洗浄面を洗浄する工程と、洗浄したタイルカーペットTCの被洗浄面を濯ぐ濯ぎ工程を実施する濯ぎ工程と、タイルカーペットTCから水分を除去する脱水工程と連続して実施する市販の洗浄機を2台用意し、2台の洗浄機21及び25の間にある搬送ラインCL中に、コンベア装置20の進行方向に対してタイルカーペットTCを90度回転させる回転機構22を配置している。
【0033】
このようにすると第1の洗浄機21が、予洗したタイルカーペットTCの被洗浄面に洗剤を付けた後、被洗浄面上で回転ブラシを回転させて予洗したタイルカーペットの被洗浄面を洗浄する工程と、洗浄したタイルカーペットTCの被洗浄面を濯ぐ濯ぎ工程を実施する濯ぎ工程と、タイルカーペットTCから水分を除去する脱水工程と連続して実施する。
【0034】
その後、回転機構22がコンベア装置20の進行方向に対してタイルカーペットTCを90度回転させた後、回転したタイルカーペットTCを第2の洗浄機25内へ搬入する。第2の洗浄機25では、タイルカーペットTCの被洗浄面に再度洗剤を付けた後、被洗浄面上で回転ブラシを回転させて予洗したタイルカーペットの被洗浄面を洗浄する工程と、洗浄したタイルカーペットTCの被洗浄面を濯ぐ濯ぎ工程を実施する濯ぎ工程と、タイルカーペットTCから水分を除去する脱水工程と連続して実施する。
【0035】
このようにすると洗浄中におけるタイルカーペットTCの起毛の向きが90度変わることにより、従来では落ちることがなかった汚れや砂等のゴミを除去することが可能になる。その結果、タイルカーペットTCの洗浄面の汚れを、従来よりも落とすことができる。
【0036】
上記実施の形態では、2台の同種の洗浄機21及び25を用いたが、3台以上の洗浄機を用いてもよいのは勿論である。なおこの場合においても、2台の同種の洗浄機の間で、搬送ラインCLの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態を変更する(具体的には搬送ラインCLの進行方向に対して90°回転させる配置変更)を実施するのは勿論である。また上記実施の形態では、同種の洗浄機21及び25が、洗浄工程と、濯ぎ工程と、脱水工程を1台の洗浄機で実施しているが、また
図5に示すように、第1及び第2の洗浄機21及び25として、洗浄工程の後に濯ぎ工程を実施するタイプの洗浄機を用いてもよいのは勿論である。さらに洗浄工程だけを実施する複数の洗浄機を用いる場合にも、本発明を適用できる。その場合には、最後の洗浄機の後に、濯ぎ工程及び脱水工程を実施すればよい。また本発明は、洗浄工程と洗浄工程を連続して実施する複数の洗浄機を用いる場合にも、本発明を適用できる。その場合には、最後の洗浄機の後に、脱水工程を実施してもよい。
【0037】
また上記実施の形態では、同種の洗浄機21及び25が、洗浄工程と、濯ぎ工程と、脱水工程を1台の洗浄機で実施しているが、洗浄機21及び25として洗浄工程と、濯ぎ工程と、脱水工程と、真空吸引工程を連続して実施するものを利用してもよいのは勿論である。この場合には、最後の洗浄機における真空吸引工程が、本発明における真空吸引工程になる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、同種の洗浄機を用いて洗浄工程を複数回実施し、前段の洗浄工程と後段の洗浄工程の間において、搬送ラインの進行方向に対するタイルカーペットの配置状態を変更する配置状態変更工程を実施するので、前段の洗浄中におけるタイルカーペットの起毛の向きが変わることにより、ブラシと起毛の延びる方向との位置関係が変わることになり、従来では落ちることがなかった汚れや砂等のゴミを除去することが可能になる。その結果、本発明によれば、タイルカーペットの洗浄面の汚れを、従来よりも落とすことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 自動洗浄装置
3 浸漬タンク
5 高圧洗浄機
7 給湯器
9 温水タンク
11,13 ポンプ
15 高圧ノズル
17,20,23,24 コンベア装置
21 第1の洗浄機
22 回転機構
25 第2の洗浄機
27 真空吸引装置
29 回収ラック
CL 搬送ライン