(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148419
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】カメラ制御装置及びカメラ制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/695 20230101AFI20241010BHJP
H04N 23/69 20230101ALI20241010BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20241010BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241010BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241010BHJP
【FI】
H04N23/695
H04N23/69
H04N23/611
G03B15/00 Q
G03B15/00 P
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061528
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康生
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA12
2H105AA13
2H105AA14
5C122EA65
5C122FA00
5C122FE05
5C122FH11
5C122FH14
5C122GD04
5C122GD06
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】必要以上に被写体を追尾せず被写体を撮影するようPTZカメラを制御することができるカメラ制御装置を提供する。
【解決手段】PTZカメラ100は、第1の被写体を撮影している状態から第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられる。制御部30は、判定部31が、第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定するまで、第2の被写体を追尾しながら、第2の被写体のフレーム内の位置を調整するようパン駆動部6及びチルト駆動部5を制御し、第2の被写体の大きさを調整するようズーム駆動部4を制御する。制御部30は、判定部31が、第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、第2の被写体を撮影する画角を決定し、第2の被写体の追尾を停止して、パン駆動部6、チルト駆動部5、ズーム駆動部4における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン駆動部、チルト駆動部、及びズーム駆動部を備えるパン・チルト・ズームカメラが第1の画角及び第1のズーム量で第1の被写体を撮影している状態から、前記第1の被写体における一部の領域である第2の被写体を拡大して撮影する第2の画角及び第2のズーム量で前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影することによって生成する映像信号に基づいて前記第2の被写体を特定する被写体特定部と、
前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影している状態で、前記被写体特定部が特定した前記第2の被写体に基づいて、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定する判定部と、
前記パン・チルト・ズームカメラが前記第1の被写体を撮影している状態から前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定するまで、前記第2の被写体を追尾しながら、前記第2の被写体のフレーム内の位置を調整するよう前記パン駆動部及び前記チルト駆動部を制御し、前記第2の被写体の大きさを調整するよう前記ズーム駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、前記第2の被写体を撮影する画角を決定し、前記第2の被写体の追尾を停止して、前記パン駆動部、前記チルト駆動部、前記ズーム駆動部における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持する
カメラ制御装置。
【請求項2】
前記第2の被写体は人であり、
前記被写体特定部は、人の顔を認識し、人の骨格を検出することにより、前記第2の被写体を特定する
請求項1に記載のカメラ制御装置。
【請求項3】
前記被写体特定部は、前記第2の画角内で顔が最も大きく撮影されている人を前記第2の被写体とし、前記第2の被写体の顔を認識する請求項2に記載のカメラ制御装置。
【請求項4】
前記パン・チルト・ズームカメラが前記第1の被写体を撮影することを指示する第1のプリセット番号に対応して、前記第1の画角及び前記第1のズーム量を設定し、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影することを指示する第2のプリセット番号に対応して、前記第2の画角及び前記第2のズーム量を設定するカメラ設定テーブルを保持するテーブル保持部をさらに備え、
前記制御部は、
遠隔制御装置から前記第1のプリセット番号が供給されれば、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第1の被写体を前記第1の画角及び前記第1のズーム量で撮影するよう、前記パン駆動部、前記チルト駆動部、及び前記ズーム駆動部を制御し、
前記遠隔制御装置から前記第2のプリセット番号が供給されれば、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を前記第2の画角及び前記第2のズーム量で撮影するよう、前記パン駆動部、前記チルト駆動部、及び前記ズーム駆動部を制御する
請求項1~3のいずれか1項に記載のカメラ制御装置。
【請求項5】
パン駆動部、チルト駆動部、及びズーム駆動部を備えるパン・チルト・ズームカメラが第1の画角及び第1のズーム量で第1の被写体を撮影している状態から、前記第1の被写体における一部の領域である第2の被写体を拡大して撮影する第2の画角及び第2のズーム量で前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、被写体特定部が、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影することによって生成する映像信号に基づいて前記第2の被写体を特定し、
前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影している状態で、判定部が、前記被写体特定部が特定した前記第2の被写体に基づいて、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定し、
前記パン・チルト・ズームカメラが前記第1の被写体を撮影している状態から前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定するまで、制御部が、前記第2の被写体を追尾しながら、前記第2の被写体のフレーム内の位置を調整するよう前記パン駆動部及び前記チルト駆動部を制御し、前記第2の被写体の大きさを調整するよう前記ズーム駆動部を制御し、
前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、前記制御部が、前記第2の被写体を撮影する画角を決定し、前記第2の被写体の追尾を停止して、前記パン駆動部、前記チルト駆動部、前記ズーム駆動部における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持する
カメラ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ制御装置及びカメラ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影しようとする範囲を切り替えたり、被写体を拡大または縮小したりするために、水平回転(パン)、垂直回転(チルト)、及び拡大・縮小(ズーム)が可能なパン・チルト・ズームカメラが用いられることがある。パン・チルト・ズームカメラは特定の被写体を追尾する追尾機能を備え、被写体を追尾しながら撮影することがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パン・チルト・ズームカメラが備える追尾機能によれば、被写体の位置がずれても被写体を常時画角内に位置させることができるものの、追尾する必要がない場合でも被写体を追尾してしまうことがある。一例として、追尾機能を働かせたパン・チルト・ズームカメラが、登壇して講演または演説する弁士を撮影するとき、講演または演説が終了した弁士が降壇した後も弁士を追尾してしまう。
【0005】
本発明は、必要以上に被写体を追尾することなく被写体を撮影するようパン・チルト・ズームカメラを制御することができるカメラ制御装置及びカメラ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パン駆動部、チルト駆動部、及びズーム駆動部を備えるパン・チルト・ズームカメラが第1の画角及び第1のズーム量で第1の被写体を撮影している状態から、前記第1の被写体における一部の領域である第2の被写体を拡大して撮影する第2の画角及び第2のズーム量で前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影することによって生成する映像信号に基づいて前記第2の被写体を特定する被写体特定部と、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影している状態で、前記被写体特定部が特定した前記第2の被写体に基づいて、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定する判定部と、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第1の被写体を撮影している状態から前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定するまで、前記第2の被写体を追尾しながら、前記第2の被写体のフレーム内の位置を調整するよう前記パン駆動部及び前記チルト駆動部を制御し、前記第2の被写体の大きさを調整するよう前記ズーム駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、前記第2の被写体を撮影する画角を決定し、前記第2の被写体の追尾を停止して、前記パン駆動部、前記チルト駆動部、前記ズーム駆動部における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持するカメラ制御装置を提供する。
【0007】
本発明は、パン駆動部、チルト駆動部、及びズーム駆動部を備えるパン・チルト・ズームカメラが第1の画角及び第1のズーム量で第1の被写体を撮影している状態から、前記第1の被写体における一部の領域である第2の被写体を拡大して撮影する第2の画角及び第2のズーム量で前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、被写体特定部が、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影することによって生成する映像信号に基づいて前記第2の被写体を特定し、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第2の被写体を撮影している状態で、判定部が、前記被写体特定部が特定した前記第2の被写体に基づいて、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定し、前記パン・チルト・ズームカメラが前記第1の被写体を撮影している状態から前記第2の被写体を撮影する状態へと切り替えられると、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定するまで、制御部が、前記第2の被写体を追尾しながら、前記第2の被写体のフレーム内の位置を調整するよう前記パン駆動部及び前記チルト駆動部を制御し、前記第2の被写体の大きさを調整するよう前記ズーム駆動部を制御し、前記判定部が、前記第2の被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、前記制御部が、前記第2の被写体を撮影する画角を決定し、前記第2の被写体の追尾を停止して、前記パン駆動部、前記チルト駆動部、前記ズーム駆動部における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持するカメラ制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカメラ制御装置及びカメラ制御方法によれば、必要以上に被写体を追尾することなく被写体を撮影するようパン・チルト・ズームカメラを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るカメラ制御装置を備えるパン・チルト・ズームカメラを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るカメラ制御装置を備えるパン・チルト・ズームカメラの外観を示す正面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るカメラ制御装置を備えるパン・チルト・ズームカメラが第1の被写体として議場を撮影している状態を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るカメラ制御装置を備えるパン・チルト・ズームカメラが第2の被写体として登壇者を撮影している状態を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るカメラ制御装置が備えるテーブル保持部に保持されているカメラ設定テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、遠隔制御装置からプリセット番号2が供給されたときに、制御部が画角及びズーム量を調整して決定するまでの画像の変化の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、遠隔制御装置からプリセット番号3が供給されたときに、制御部が画角及びズーム量を調整して決定するまでの画像の変化の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るカメラ制御装置の動作、及び一実施形態に係るカメラ制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態に係るカメラ制御装置及びカメラ制御方法について、添付図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るカメラ制御装置を備えるパン・チルト・ズームカメラ100を示している。
図2は、パン・チルト・ズームカメラ100を正面から見た外観を示している。以下、パン・チルト・ズームカメラ100をPTZカメラ100と略記する。
【0011】
図1または
図2に示すように、PTZカメラ100は、円柱状の鏡筒部10を仰角方向に回転自在に保持する鏡筒保持部15と、鏡筒保持部15を水平方向の面内で回転自在に保持する基部25とを備える。鏡筒部10は、レンズ群11及び撮像素子12を備える。
図2において、レンズ群11を保護する保護ガラス11pの内面側にレンズ群11が位置する。
【0012】
図1においては、簡略化のため、レンズ群11がレンズ11L1~11L3の3枚のレンズを含むように図示しているが、レンズ群11はさらに多くのレンズを含む。レンズ群11は、フォーカスレンズ及びズームレンズを含む。レンズ群11は、1またはそれ以上の凸レンズ、及び1またはそれ以上の凹レンズを含む。撮像素子12は、CCD(Charge Coupled Device)センサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサである。
【0013】
鏡筒保持部15内には、フォーカスレンズを駆動するフォーカス駆動部3、ズームレンズを駆動するズーム駆動部4、鏡筒部10を仰角方向に回転させるチルト駆動部5が設けられている。フォーカス駆動部3は、フォーカスレンズを移動させるモータを含む。ズーム駆動部4は、ズームレンズを移動させるモータを含む。チルト駆動部5は、鏡筒部10を仰角方向に回転させるモータを含む。
【0014】
基部25は、パン駆動部6、映像信号処理部20、被写体特定部21、制御部30、テーブル保持部40を備える。少なくとも被写体特定部21及び制御部30は、カメラ制御装置を構成する。
図1に示す構成例では、被写体特定部21、制御部30、テーブル保持部40がカメラ制御装置を構成している。
図1に示す構成例では、PTZカメラ100内にカメラ制御装置を設けているが、PTZカメラ100の外部にカメラ制御装置を設けてもよい。
【0015】
映像信号処理部20は、撮像素子12から供給される撮像信号に基づいて、各フレームの映像信号を生成して出力する。映像信号処理部20は、信号処理回路で構成することができる。PTZカメラ100が生成する映像信号は、ネットワークを介して外部に伝送されてもよいし、モニタに表示されてもよいし、記録媒体に記録されてもよい。映像信号処理部20が生成する映像信号は、被写体特定部21に供給される。
【0016】
被写体特定部21は、入力される映像信号に含まれる所定の被写体を特定する。一例として、被写体は人である。以下、被写体を人としてPTZカメラ100の動作を説明する。被写体特定部21は、人の顔を認識したり、人の骨格を検出したりすることにより、撮影対象の被写体として人を特定する。図示していないA/D変換器が映像信号をデジタル信号に変換変化して、被写体特定部21に供給してもよい。被写体特定部21は、デジタル信号の映像信号に基づいて人を特定してもよい。被写体特定部21は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムによって動作するマイクロプロセッサで構成されていてもよいし、DSP(Digital Signal Processor)で構成されていてもよい。被写体特定部21は集積回路等で構成されていてもよい。
【0017】
パン駆動部6は、鏡筒部10を保持する鏡筒保持部15を水平方向の面内で回転させるよう鏡筒保持部15を駆動する。制御部30は、フォーカス駆動部3、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、パン駆動部6を制御する。制御部30は、被写体特定部21と同様にマイクロプロセッサで構成することができる。被写体特定部21と制御部30とが1つのマイクロプロセッサで構成されていてもよい。
【0018】
制御部30は判定部31を有する。判定部31が実行する処理については後述する。テーブル保持部40は、後述するカメラ設定テーブルを保持する。テーブル保持部40は、不揮発性の所定のメモリで構成することができる。制御部30は、カメラ設定テーブルを参照して、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、パン駆動部6(またはこれらに加えてフォーカス駆動部3)を制御する。
【0019】
PTZカメラ100には、遠隔制御装置50が例えば有線で接続されている。遠隔制御装置50とPTZカメラ100とはLAN(Local Area Network)で接続されていてもよい。オペレータは、遠隔制御装置50を操作することによってPTZカメラ100を遠隔で操作することができる。遠隔制御装置50とPTZカメラ100とが無線で接続されていてもよい。
【0020】
以上のように構成されるPTZカメラ100は、一例として、
図3に示すような議場200の後方に配置されている。PTZカメラ100は、第1の被写体の一例として議場200の全体を撮影する。
【0021】
図3において、演台62の位置まで移動した登壇者61は、弁士として複数の出席者64に向けて講演または演説する。登壇者61の後方には、出席者63a~63cが着席した状態で並んでいる。出席者63a~63cは、議長または副議長等の立場の出席者であってもよい。PTZカメラ100は、登壇者61、出席者63a~63c及び64の全体が撮影されるように、一点鎖線で示す画角V1(第1の画角)で議場200を撮影する。PTZカメラ100が画角V1で議場200を撮影することを指示するプリセット番号をプリセット番号1(第1のプリセット番号)とする。
【0022】
図4に示すように、制御部30が、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6を制御することにより、PTZカメラ100は、登壇者61を拡大する一点鎖線で示す画角V2(第2の画角)で登壇者61を撮影することができる。登壇者61は、第1の被写体における一部の領域である第2の被写体の一例である。PTZカメラ100が画角V2で登壇者61を撮影することを指示するプリセット番号をプリセット番号2または3(第2のプリセット番号)とする。
図4に示す画角V2のアスペクト比は画角V1のアスペクト比と異なっているが、両者のアスペクト比は同じであってもよい。
【0023】
図5は、テーブル保持部40に保持されているカメラ設定テーブルの一例を示している。プリセット番号1はPTZカメラ100が画角V1で議場200の全体を撮影するときのプリセット番号である。プリセット番号1に対応して、撮影画角、ズーム量、及び追尾設定としてモード0が設定されている。プリセット番号1に対応する撮影画角には、画角V1となるようなチルト駆動部5による鏡筒部10の制御値、及びパン駆動部6による鏡筒保持部15の制御値が設定される。プリセット番号1に対応するズーム量(第1のズーム量)には、ズームレンズを例えばワイド端とするためのズーム駆動部4の制御値が設定される。追尾設定のモード0とは追尾機能を働かせない(オフする)ことを意味する。
【0024】
プリセット番号2はPTZカメラ100が画角V2で登壇者61を撮影するときのプリセット番号である。プリセット番号2に対応して、撮影画角、ズーム量、追尾設定としてモード1、及び、人物の大きさの設定として全身が設定されている。プリセット番号3はPTZカメラ100が画角V2で登壇者61を撮影するときのプリセット番号である。プリセット番号3に対応して、撮影画角、ズーム量、追尾設定としてモード1、及び、人物の大きさの設定としてバストショットが設定されている。
【0025】
プリセット番号2及び3に対応する撮影画角には、画角V2となるようなチルト駆動部5による鏡筒部10の制御値、及びパン駆動部6による鏡筒保持部15の制御値が設定される。プリセット番号2及び3に対応するズーム量(第2のズーム量)には、ズームレンズによって所定のズーム量とするためのズーム駆動部4の制御値が設定される。プリセット番号2に対応する撮影画角とプリセット番号3に対応する撮影画角とは同じでなくてもよい。
【0026】
追尾設定のモード1とは、追尾機能を働かせて(オンして)、登壇者61を全身またはバストショットで撮影するよう画角を調整して画角を決定したら、追尾機能をオフすることを意味する。撮影する画角を全身にするときの追尾設定のモードをモード1、撮影する画角をバストショットにするときの追尾設定のモードをモード2として、両者に別々の追尾設定のモードを設定してもよい。この場合、追尾設定のモード1は、追尾機能をオンして、登壇者61の全身を撮影するよう画角を調整して画角を決定したら、追尾機能をオフすることを意味する。追尾設定のモード2は、追尾機能をオンして、登壇者61をバストショットで撮影するよう画角を調整して画角を決定したら、追尾機能をオフすることを意味する。
【0027】
図5では、カメラ設定テーブルにプリセット番号2及び3を設定しているが、プリセット番号2のみを設定してもよいし、プリセット番号3のみを設定してもよい。また、カメラ設定テーブルに、追尾設定として、登壇者61等の被写体を常時追尾するモードを設定するプリセット番号を設定してもよい。
【0028】
予めプリセット番号1が選択されていてPTZカメラ100が画角V1で議場200の全体を撮影しており、登壇者61が
図3に示すように演台62の位置まで移動したとする。オペレータが、登壇者61を拡大して撮影するため遠隔制御装置50を操作してプリセット番号2を選択したとする。すると、制御部30は、プリセット番号2に対応して設定されている撮影画角となるようにチルト駆動部5及びパン駆動部6を制御し、プリセット番号2に対応して設定されているズーム量となるようにズーム駆動部4を制御する。これにより、PTZカメラ100が議場200の全体を撮影している状態から、PTZカメラ100が登壇者61を撮影する状態へと切り替えられる。
【0029】
図6に示す画像201は、プリセット番号2に対応する撮影画角である画角V2で登壇者61を拡大して撮影した状態を示している。プリセット番号2では追尾設定がモード1に設定されているから、制御部30は被写体特定部21を動作させる。被写体特定部21は、人の顔を認識したり人の骨格を検出したりすることによって、登壇者61を特定する。登壇者61の後ろに出席者63a~63cの顔が存在するが、被写体特定部21は、顔が最も大きく撮影されている人を登壇者61として、登壇者61の顔を認識すればよい。被写体特定部21の顔認識または骨格検出に人工知能が利用されてもよい。
【0030】
制御部30は、特定した登壇者61を追尾するようチルト駆動部5及びパン駆動部6を制御する。プリセット番号2では人物の大きさの設定として全身が設定されているから、制御部30は、登壇者61の全身がフレーム内に所定の大きさで収まるようにズーム駆動部4を制御する。制御部30は、登壇者61に焦点を自動的に合わせるようにフォーカス駆動部3を制御する。
【0031】
制御部30は、追尾機能を働かせながら、登壇者61の全身がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されるように、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6を制御する。フレーム内の所定の位置とは、例えば、水平方向の中央及び垂直方向の中央である。所定の大きさとは、登壇者61の全身がフレームからはみ出ることなく表示され、フレームの大方の領域を占めるような大きさである。登壇者61の全身の大きさは、設計的な事項として適宜に設定されればよい。
【0032】
制御部30が以上のようにズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6を制御すると、
図6に示す画像201が画像202へと変化し、画像202が画像203へと変化するように、ズーム量及びフレーム内の登壇者61の位置が順に調整される。画像201から画像202、画像202から画像203への変化は一例であって、ズーム量の調整とフレーム内の登壇者61の位置の調整との順番は任意であり、ズーム量または登壇者61の位置が何段階で調整されるかも任意である。
【0033】
制御部30内の判定部31は、登壇者61の全身がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定する。判定部31が登壇者61の全身がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、制御部30は、画像203で登壇者61の全身を撮影する画角を決定する。
【0034】
制御部30は、画角を決定すると追尾機能をオフして、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持する。制御部30は、画角を決定すると、フォーカス駆動部3によるオートフォーカスを停止させて、マニュアルフォーカスに移行させるとよい。
【0035】
登壇者61が
図3に示すように演台62の位置まで移動した後、オペレータが、登壇者61を拡大して撮影するため遠隔制御装置50を操作してプリセット番号3を選択したとする。すると、制御部30は、プリセット番号3に対応して設定されている撮影画角となるようにチルト駆動部5及びパン駆動部6を制御し、プリセット番号3に対応して設定されているズーム量となるようにズーム駆動部4を制御する。
【0036】
図7に示す画像301は、プリセット番号3に対応する撮影画角である画角V2で登壇者61を拡大して撮影した状態を示している。なお、画像301は
図6の画像201と同じである。
【0037】
プリセット番号2を選択した場合と同様に、プリセット番号3では追尾設定がモード1に設定されているから、制御部30は被写体特定部21を動作させ、被写体特定部21は登壇者61を特定する。制御部30は、特定した登壇者61を追尾するようチルト駆動部5及びパン駆動部6を制御する。プリセット番号3では人物の大きさの設定としてバストショットが設定されているから、制御部30は、登壇者61の胸部及び頭部がフレーム内に所定の大きさで収まるようにズーム駆動部4を制御する。制御部30は、登壇者61に焦点を自動的に合わせるようにフォーカス駆動部3を制御する。
【0038】
制御部30は、追尾機能を働かせながら、登壇者61の胸部及び頭部がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されるように、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6を制御する。プリセット番号2を選択した場合と同様に、フレーム内の所定の位置とは、例えば、水平方向の中央及び垂直方向の中央である。所定の大きさとは、登壇者61の胸部及び頭部がフレームからはみ出ることなく表示され、フレームの大方の領域を占めるような大きさである。登壇者61の胸部及び頭部の大きさは、設計的な事項として適宜に設定されればよい。
【0039】
制御部30が以上のようにズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6を制御すると、
図7に示す画像301が画像302へと変化し、画像302が画像303へと変化するように、ズーム量及びフレーム内の登壇者61における胸部及び頭部の位置が順に調整される。画像301から画像302、画像302から画像303への変化は一例であって、ズーム量の調整とフレーム内の登壇者61における胸部及び頭部の位置の調整との順番は任意であり、ズーム量または胸部及び頭部の位置が何段階で調整されるかも任意である。
【0040】
制御部30内の判定部31は、登壇者61の胸部及び頭部がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定する。判定部31が登壇者61の胸部及び頭部がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定すると、制御部30は、画像303で登壇者61の胸部及び頭部を撮影する画角を決定する。
【0041】
制御部30は、画角を決定すると追尾機能をオフして、ズーム駆動部4、チルト駆動部5、及びパン駆動部6における各制御値を画角決定時の制御値から変化させないように維持する。制御部30は、画角を決定すると、フォーカス駆動部3によるオートフォーカスを停止させて、マニュアルフォーカスに移行させるとよい。
【0042】
図6または
図7において、制御部30は、画角を決定した後に追尾機能をオフするから、登壇者61が講演または演説中に多少動いたとしても画角が維持される。登壇者61が講演または演説を終了して降壇しても、PTZカメラ100は登壇者61を追尾しない。講演または演説を終了した登壇者61は、自席に戻ったり、議場200から退出したりする。
【0043】
オペレータは、登壇者61の降壇を確認すると、遠隔制御装置50を操作してプリセット番号1を選択して、PTZカメラ100が画角V1で議場200の全体を撮影する初期の状態に戻す。
【0044】
図8に示すフローチャートを用いて、一実施形態に係るカメラ制御装置の動作、及び一実施形態に係るカメラ制御方法を説明する。PTZカメラ100の電源がオンされて処理が開始されると、制御部30は、ステップS1にて、PTZカメラ100を初期設定する。ステップS1にて初期状態の撮影画角とズーム量が設定される。制御部30は、ステップS2にて、プリセット番号Nが入力されたか否かを判定する。プリセット番号Nとは、
図5に示す例では、プリセット番号1~3のいずれかである。プリセット番号Nが入力されなければ(NO)、制御部30は、処理をステップS8に移行させる。
【0045】
ステップS2にてプリセット番号Nが入力されれば(YES)、制御部30は、ステップS3にて、プリセット番号Nの撮影画角とズーム量を設定する。続けて、制御部30は、ステップS4にて、追尾設定がモード1であるか否かを判定する。なお、上記のようにモード1とモード2とを別々に設定している場合には、制御部30は、ステップS4にて、追尾設定がモード1またはモード2であるか否かを判定する。ここでは、
図5に示すように、プリセット番号2及び3の双方にモード1が設定されているとする。
【0046】
ステップS4にて追尾設定がモード1でなければ(NO)、制御部30は、処理をステップS8に移行させる。追尾設定がモード1であれば(YES)、制御部30は、ステップS5にて、被写体の追尾動作を実行する。ここでの被写体は例えば登壇者61である。制御部30は、ステップS6にて、被写体がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されているか否かを判定する。被写体がフレーム内の所定の位置で所定の大きさに表示されていなければ(NO)、制御部30は、ステップS5及びS6の処理を繰り返す。
【0047】
制御部30は、判定部31が、登壇者61の全身または胸部及び頭部がフレーム内の所定の位置に所定の大きさで表示されていると判定するまで、登壇者61を追尾しながら、登壇者61のフレーム内の位置を調整するようパン駆動部6及びチルト駆動部5を制御し、登壇者61の大きさを調整するようズーム駆動部4を制御する。
【0048】
ステップS6にて被写体がフレーム内の所定の位置で所定の大きさに表示されていれば(YES)、制御部30は、ステップS7にて、被写体の追尾動作を停止させて、処理をステップS2に戻す。制御部30は、ステップS2以降の処理を繰り返す。
【0049】
制御部30は、ステップS8にて、電源のオフ等で撮影終了の指示がなされたか否かを判定する。撮影終了の指示がなされなければ(NO)、制御部30は、処理をステップS2に戻す。制御部30は、ステップS2以降の処理を繰り返す。撮影終了の指示がなされれば(YES)、制御部30は、処理を終了させる。
【0050】
以上のようにして、一実施形態に係るカメラ制御装置及びカメラ制御方法によれば、必要以上に被写体を追尾することなく被写体を撮影するようパン・チルト・ズームカメラ100を制御することができる。必要以上に被写体を追尾する必要がない場合は、一例として、登壇して講演または演説する弁士(登壇者)が講演または演説を終了して降壇する場合である。一実施形態に係るカメラ制御装置及びカメラ制御方法によれば、降壇する弁士を追尾して撮影することを回避することができる。
【0051】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
3 フォーカス駆動部
4 ズーム駆動部
5 チルト駆動部
6 パン駆動部
10 鏡筒部
11 レンズ群
12 撮像素子
15 鏡筒保持部
20 映像信号処理部
21 被写体特定部
25 基部
30 制御部
31 判定部
40 テーブル保持部
50 遠隔制御装置
100 パン・チルト・ズームカメラ