(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148438
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ウインドウシェード制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
B60J 3/04 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
B60J3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061562
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】南里 卓也
(72)【発明者】
【氏名】志小田 雄宇
(57)【要約】
【課題】車両乗員のプライバシーを保護することが可能なウインドウシェード制御方法及び制御装置を提供する。
【解決手段】車両1の窓2に設けられたシェード機能の作動とその解除とを制御するにあたり、車両1の外部の情報を取得すると共に、車内の乗員の状態及び/又は乗員が着席しているシートの状態を取得し、取得された車両外部情報及び乗員状態及び/又はシート状態に基づいて車両1の窓2におけるシェード機能の作動とその解除とを制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓に設けられたシェード機能の作動とその解除とを制御するウインドウシェード制御方法において、
前記車両の外部の情報を取得し、車内の乗員の状態及び/又は乗員が着席しているシートの状態を取得し、取得された車両外部情報及び乗員状態及び/又はシート状態に基づいて前記シェード機能の作動とその解除とを制御するウインドウシェード制御方法。
【請求項2】
前記車両外部情報から車両の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合に、前記シェード機能を有する全ての窓をシェード機能作動対象の候補窓に設定する請求項1に記載のウインドウシェード制御方法。
【請求項3】
前記車両外部情報から車両の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合に、前記乗員状態から検出された乗員の頭部位置又は前記シート状態から検出されたヘッドレストと前記車両外部情報から検出された人物の頭部位置とを結ぶ直線が通る領域の窓をシェード機能作動対象の候補窓に設定する請求項1に記載のウインドウシェード制御方法。
【請求項4】
前記シート状態から検出されたシートバックのリクライニング後傾角が所定角度以上である場合に、前記シェード機能を有する全ての窓をシェード機能作動対象の候補窓に設定する請求項1に記載のウインドウシェード制御方法。
【請求項5】
前記シート状態から検出されたシートバックのリクライニング後傾角が所定角度未満である場合に、前記乗員状態から検出された乗員の頭部位置又は前記シート状態から検出されたヘッドレストと前記車両外部情報から検出された人物の頭部位置とを結ぶ直線が通る領域の窓をシェード機能作動対象の候補窓に設定する請求項1に記載のウインドウシェード制御方法。
【請求項6】
車両に対する太陽の位置を検出し、前記太陽に面する窓をシェード機能作動対象の候補窓に設定する請求項1に記載のウインドウシェード制御方法。
【請求項7】
前記車両外部情報から検出された車両の周囲の所定の範囲内の人物に予め登録された人物が検出された場合に、その登録された人物の頭部と前記乗員状態から検出された乗員の頭部位置又は前記シート状態から検出されたヘッドレストとを結ぶ直線が通る領域の窓をシェード機能作動対象の候補窓から除外する請求項2乃至6の何れか1項に記載のウインドウシェード制御方法。
【請求項8】
車両が直ちに走行することが可能な走行可能状態が検出された場合に、前記シェード機能を有する全ての窓のシェード機能を解除する請求項1に記載のウインドウシェード制御装置。
【請求項9】
車両の窓に設けられたシェード機能の作動とその解除とを制御するウインドウシェード制御装置において、
前記車両の外部の情報及び車内の乗員の状態及び/又は乗員が着席しているシートの状態を取得し、前記車両外部情報から車両の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合に、取得された車両外部情報及び乗員状態及び/又はシート状態に基づいて前記シェード機能の作動とその解除とを制御するコントローラを備えたウインドウシェード制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓に設けられたシェード機能の作動とその解除を制御するウインドウシェード制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、降車時の安全を目的として乗員の降車意思を判定してサンシェードを解除(開制御)する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のウインドウシェード制御装置では、車両乗員のプライバシーを保護することについて考慮されていない。
本発明は、車両乗員のプライバシーを保護することが可能なウインドウシェード制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、車両の窓に設けられたシェード機能の作動とその解除とを制御するにあたり、車両の外部の情報を取得すると共に、車内の乗員の状態及び/又は乗員が着席しているシートの状態を取得し、取得された車両外部情報及び乗員状態及び/又はシート状態に基づいて車両の窓におけるシェード機能の作動とその解除とを制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両外部情報から車両の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合などには、その人物が車両の内部、特に乗員を見ることができないように車両の窓のシェード機能を制御することで、車両乗員のプライバシーを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】車両に搭載されたウインドウシェード制御装置の概略構成を示す説明図である。
【
図4】ウインドウシェードコントローラで実行されるプライバシーシェードモードの演算処理のフローチャートである。
【
図5】
図4のプライバシーシェード制御で実行される演算処理のフローチャートである。
【
図6】
図5の太陽光対応シェード制御で実行される演算処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
図1に示す車両1では、所定の窓2(前方窓を除く)を外部から見えなくしたり光の入射を制限したりするシェード機能が付加されている。このシェード機能は、例えば各窓全域に設けられた液晶パネル(フィルム)などのシェードアクチュエータに電力を印加して着色することで達成される。このような電子シェード機能としては、例えば特開昭62-255220号公報に記載されるものがある。なお、以下では、窓2を外部から見えなくしたり窓2からの光の入射を制限したりすることを「シェード」又は「シェードする」と規定する。この「シェード(する)」は、英単語shadeの「遮る」、「保護する」、「薄暗くする」といった意味を示す。そして、この車両1には、各窓2のシェード状態(オン・オフ)を選択するためのウインドウシェード選択スイッチ4が設けられている。このウインドウシェード選択スイッチ4を操作することによって、シェード機能が付加された全窓2のシェードを禁止するシェード解除モード、シェード機能が付加された全窓2をシェードする全窓シェードモード、乗員が個別に窓2をシェードしたり解除したりすることができる個別手動シェードモード、車外の人物が車両1に接近したときにプライバシーを保護するのに必要な窓2を自動的にシェードするプライバシーシェードモードなどを選択することができる。なお、全窓シェードモードや個別手動シェードモードが選択されて所定の窓2がシェードされている場合であっても、車両1が走行可能状態である場合には、全ての窓2のシェードが強制的に解除される。この車両1の走行可能状態とは、車両1が直ちに走行できる状態を規定し、具体的にはエンジンが運転されている場合やパーキングが解除された場合(インヒビタースイッチオフ)などが該当する。
【0010】
各窓2のシェード状態は、ウインドウシェードコントローラ3によって制御される。このウインドウシェードコントローラ3は、ウインドウシェード選択スイッチ4の選択状態はウインドウシェードコントローラ3に入力される。このウインドウシェードコントローラ3は、各窓2のシェードアクチュエータへの印加電力を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。そのため、このウインドウシェードコントローラ3は、高度な演算処理能力を有するコンピュータシステムを備える。このコンピュータシステムは、周知のコンピュータシステムと同様に、高度な演算処理能力を発揮するプロセッサ11と、プログラムやセンサ信号などの情報を記憶する記憶装置12を備えて構成される。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)で構成される。記憶装置12は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置で構成される。記憶装置12は、更に、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるメモリを含んでよい。ウインドウシェードコントローラ3によって実行される演算処理は、例えば、ウインドウシェードコントローラ3の記憶装置12に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ11が実行することによって実現される。また、ウインドウシェードコントローラ3によって実行される演算処理を、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路で実行してもよい。例えば、ウインドウシェードコントローラ3はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ等のプログラマブル・ロジック・デバイス等を有していてもよい。
【0011】
ウインドウシェードコントローラ3では、シェードの対象となる窓2のシェードアクチュエータに電力を印加してシェード状態とすることをシェードオンと規定し、シェード状態を解除することをシェード解除と規定する。
図2は、シェード解除状態の右リヤウインドウ(窓2)を示す。また、
図3は、シェードオン状態の右リヤウインドウ(窓2)を示す。実際のシェードオン状態では、窓2(ガラス)が完全に遮光されるわけではなく、車外から車内がほぼ見えない状態、或いは、太陽光が車内に入射しにくい状態(少なくとも車外側は暗色の不透明状態)とされる。また、ウインドウシェードコントローラ3は、車内マイク5に入力された音声(の記録)から「シェード解除」の文言を認識できるように構成されている。また、ウインドウシェードコントローラ3は、ウインドウシェード選択スイッチ4でシェード解除モード、全窓シェードモード、個別手動シェードモードが選択されている場合には、それぞれに適合するシェードオン信号を各窓2のシェードアクチュエータに向けて出力する。
【0012】
ウインドウシェードコントローラ3で各窓2のシェード状態を制御するために、車両1には、車内の状態、特に乗車可能な座席における全ての乗員を撮像可能な車内カメラ6が設けられており、この車内カメラ6で撮像された車内画像はウインドウシェードコントローラ3に入力される。また、この車両1には、リクライニング可能なシートバックのリクライニング後傾角(以下、リクライニング傾角)を検出するリクライニング傾角センサ14(図では運転席のみを示す)が設けられており、このリクライニング傾角センサ14で検出された各座席のシートバックのリクライニング傾角もウインドウシェードコントローラ3に入力される。また、この車両1には、乗員、特に運転者の音声を検出する車内マイク5が設けられており、この車内マイク5で検出された音声もウインドウシェードコントローラ3に入力される。
【0013】
また、この車両1には、前部のフロントビューカメラ7、後部のリヤビューカメラ8、両側部のサイドビューカメラ9が設けられ、それらのカメラで撮像された車外の画像がモニタコントローラ10に入力される。このモニタコントローラ10では、例えば
図7に示すように、自車両1を画像の中央に配置し、その前方にフロントビューカメラ7の撮像画像、後方にリヤビューカメラ8の撮像画像、両側方にサイドビューカメラ9の撮像画像を合成して、いわゆるアラウンドビュー画像を作成し、それを例えば図示しないナビゲーションモニタに映し出すことができる。ウインドウシェードコントローラ3は、モニタコントローラ10と相互通信を行ってアラウンドビュー画像を車外情報(車外画像)として取得することができるように構成されている。
【0014】
図4は、ウインドウシェード選択スイッチ4によってプライバシーシェードモードが選択されている状態で実行される演算処理を示している。この演算処理は、所定サンプリング周期毎に実行され、まずステップS1で、個別の演算処理に従って、前述したように、車両1が直ちに走行可能な走行可能状態であるか否かを判定し、直ちに走行可能な状態である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS2に移行する。ステップS2では、プライバシーシェードモード以外(シェード解除モードを含む)のシェードモードが選択されているか否かを判定し、プライバシーシェードモード以外のシェードモードが選択されている場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。ステップS3では、車内マイク5の音声(の記録)を読み込んで「シェード解除」の音声が検出されたか否かを判定し、「シェード解除」の音声が検出された場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS4に移行する。ステップS4では、
図5に示す演算処理を実行してから復帰する。また、ステップS5では、個別の演算処理に従って、全ての窓2のシェードを解除してから復帰する。
【0015】
図5の演算処理では、まずステップS11で、車内カメラ6の車内撮像画像を読み込む。次にステップS12に移行して、個別の演算処理に従って、車内カメラ6の撮像画像から乗員(の位置)を検出し、更に、乗員の頭部の位置を検出する。この乗員及びその頭部の検出は、周知の画像解析によって実行される。この実施形態では、車内カメラ6による車内画像から画像解析によって乗員及びその頭部を検出しているが、乗員の位置は、例えば座席シートの車両前後方向位置とシート座面に設けられた荷重センサの出力から検出することができ、乗員の頭部の位置は、シートバックのリクライニング傾角から求めたヘッドレストの位置で代用することができる。座席シートの車両前後方向位置はシート位置センサの出力から、シートバックのリクライニング傾角はリクライニング傾角センサ14の出力から検出することができる。なお、座席シートの車両前後方向位置やシートバックのリクライニング傾角が電動モータなどのアクチュエータで調整されるものである場合には、センサ類に代えて、それらのアクチュエータの作動量(作動状態)から座席シートの車両前後方向位置やシートバックのリクライニング傾角を検出する構成としてもよい。
【0016】
次にステップS13に移行して、モニタコントローラ10から車外画像を読み込む。次にステップS14に移行して、読み込まれた車外画像から、車両1の周囲の所定の範囲内に存在する人物を車外人物として検出する。この車外人物も車外画像の画像解析で検出することができるが、これに代えて、ソナーやLiDARなどの距離センサの出力信号から検出することも可能である。次にステップS15に移行して、個別の演算処理に従って、検出された車外人物から登録車外人物とシェード対象車外人物を検出する。この処理は、ウインドウシェードコントローラ3の記憶装置12に記憶されている家族などの登録人物を検出された車外人物から周知の顔認証画像解析によって検出し、検出された場合には、その人物を登録車外人物とし、その他の車外人物をシェード対象車外人物とする。次にステップS16に移行して、シェード対象車外人物がいるか否かを判定し、シェード対象車外人物がいる場合にはステップS17に移行し、そうでない場合にはステップS24に移行する。
【0017】
ステップS17では、リクライニング傾角センサ14で検出された全ての座席シートのシートバックのリクライニング傾角を読み込む。次にステップS18に移行して、読み込まれた何れかのリクライニング傾角が所定角度以上であるか否かを判定し、所定角度以上である場合にはステップ21に移行し、そうでない場合にはステップ19に移行する。ステップS19では、検出された乗員の頭部位置(又はヘッドレスト位置)とシェード対象車外人物の頭部位置を結ぶ直線を算出し、その直線が通る領域の窓2をシェード対象窓(の候補)に設定する。例えばアラウンドビュー画像では、
図7に示すように、車両1に近い位置に車外人物の足部が映り、車両1から遠い位置に車外人物の頭部が映るので、画像解析で検出されたシェード対象車外人物の車両1から最も遠い位置をその人物の頭部位置として特定することができる。また、周知の顔認証画像解析によってシェード対象車外人物の頭部を直接的に検出することもできる。次にステップS20に移行して、
図7の太陽光対応シェード制御を実行してからステップS22に移行する。一方、ステップS21では、シェード機能が付加された全ての窓2をシェード対象窓(の候補)に設定してからステップS22に移行する。ステップS22では、検出された乗員の頭部位置(又はヘッドレスト位置)と登録車外人物の頭部位置を結ぶ直線を算出し、その直線が通る領域の窓2をシェード解除窓に設定する。登録車外人物の頭部位置の検出は、シェード対象車外人物の頭部位置の検出と同様である。次にステップS23に移行して、(全ての)シェード対象窓(の候補)から(全ての)シェード解除窓を除き、残ったシェード対象窓のシェードアクチュエータにシェードオン信号を出力してから復帰する。また、ステップS24では、個別の演算処理に従って、全ての窓2のシェードを解除してから復帰する。
【0018】
図6の演算処理では、まずステップS31で、例えば、ナビゲーションを制御するモニタコントローラ10からGPS(Global Positioning System)(経度・緯度)情報と車両1の向きを読み込む。次にステップS32に移行して、現在の日時から太陽の位置を算出する。次にステップS33に移行して、個別の演算処理に従って、車両画像から太陽光の入射方向の明度が所定明度以上であるか否かを判定し、太陽光の入射方向の明度が所定明度以上である場合にはステップS34に移行し、そうでない場合にはステップS22に移行する。ステップS34では、太陽に向いている窓2をシェード対象窓(の候補)に設定してからステップS22に移行する。
【0019】
この演算処理では、直ちに車両1が走行可能な状態ではなく、プライバシーシェードモードが選択され、「シェード解除」の音声が記録されていない場合に、プライベートシェードモードに応じた各窓2のシェードオン及びシェード解除の制御が行われる。このシェードオン/解除制御では、車内の乗員の状態(及びその頭部の位置)が検出されると共に、車両1の周囲の所定の範囲内いる人物(車外人物)の状態(及びその頭部の位置)が検出され、更に、車外人物は、登録車外人物とシェード対象車外人物に弁別される。そして、リクライニング傾角が所定角度以上である場合には、(シェード機能が付加された)全窓2がシェードオンの対象となるシェード対象窓(の候補)に設定される。一方、リクライニング傾角が所定角度未満である場合には、乗員の頭部(ヘッドレスト)とシェード対象車外人物の頭部を結ぶ直線が算出され、その直線が通る領域の窓2がシェードオンの対象となるシェード対象窓(の候補)に設定される。また、車両1に対する太陽の位置を求め、太陽の入射方向の明度が所定明度以上である場合には、太陽に向いている窓2もシェード対象窓(の候補)に設定される。これに対し、登録車外人物の頭部と乗員の頭部(ヘッドレスト)を結ぶ直線が算出され、その直線が通る領域の窓2はシェード解除の対象となるシェード解除窓に設定される。そして、シェード解除窓を除いた残りのシェード対象窓のシェードアクチュエータにシェードオン信号が出力される。
【0020】
従って、何れかの座席のリクライニング傾角が所定角度以上である場合には、登録車外人物の頭部と乗員の頭部を結ぶ直線上の領域の窓2を除く全窓2がシェード対象窓となる(第1条件)。一方、全ての座席のリクライニング傾角が所定角度未満である場合には、登録車外人物の頭部と乗員の頭部を結ぶ直線領域の窓2を除き、シェード対象車外人物の頭部と乗員の頭部を結ぶ直線上の領域の窓2がシェード対象窓となる(第2条件)。この場合、太陽が明るい場合には、太陽に向いている窓2が(シェード解除窓でない場合に)シェード対象窓となる(第3条件)。但し、車両1の周囲の所定範囲内にシェード対象車外人物がいない場合には、何れの窓2もシェード対象窓にならない(第4条件)。第1条件では、何れかの座席の乗員がシートバックを大きく倒して、例えば寝ているような場合が想定されるので、この条件でプライベートシェードモードが選択されている場合には、車外から車内が見えないように、シェード機能が付加された全窓2をシェードする。第2条件では、何れの座席のシートバックも大きく倒れていない、例えば何れの乗員も寝てはいないような場合が想定されるので、この条件でプライベートシェードモードが選択されている場合には、車内の乗員(の頭部=顔)のみが車外の人物から見えないように、乗員の頭部とシェード対象車外人物の頭部を結ぶ直線上の領域の窓2をシェードする。この条件にあって、更に第3条件では、太陽が明るい場合、太陽に向けている窓2をシェードする。これにより、車内を暗くすることができるので、乗員(の頭部=顔)だけでなく、車内全般を見えにくくすることができる。一方、登録車外人物の頭部と乗員の頭部を結ぶ直線上の領域の窓2はシェードが解除される。これは、例えば、家族のように、車外人物が車外から見られても差し支えのない人物である場合や、逆に、車内から登録人物を見守ったり目顔で知らせ合ったりする必要のある場合を想定し、乗員と登録人物が顔を見あうことができるようにしている。これらに対し、第4条件では、車外にシェード対象車外人物がいない、すなわち即座にプライバシーが保護できない状態ではないので、全ての窓2のシェードを解除する。車内のプライバシーを事前に保護状態にしておきたい場合には、全窓シェードモードや個別手動シェードモードを選択すればよい。また、車両1が直ちに走行可能な場合には、全ての窓2のシェードが強制的に解除される。
【0021】
このように、この実施形態では、車両1の外部の情報を取得すると共に、車内の乗員の状態及び/又は乗員が着席しているシートの状態を取得し、取得された車両外部情報及び乗員状態及び/又はシート状態に基づいて車両1の窓2に設けられてシェード機能の作動とその解除とを制御する。これにより、車両外部情報から車両1の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合などには、その人物が車両1の内部、特に乗員(の顔など)を見ることができないように車両1の窓2のシェード機能を制御することで、車両乗員のプライバシーを保護することができる。
【0022】
また、車両外部情報から車両1の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合に、シェード機能を有する全ての窓2をシェード機能作動対象の候補窓に設定する。これにより、車両1の近くにいる人物から、車内のプライバシーを保護することができる。
また、車両外部情報から車両1の周囲の所定の範囲内に人物が検出された場合に、乗員状態から検出された乗員の頭部位置又はシート状態から検出されたヘッドレストと車両外部情報から検出された人物の頭部位置とを結ぶ直線が通る領域の窓2をシェード機能作動対象の候補窓に設定する。これにより、車両1の近くにいる人物から乗員の顔を見えないようにすることができ、その結果、乗員のプライバシーを保護することができる。
【0023】
また、シート状態から検出されたシートバックのリクライニング後傾角が所定角度以上である場合に、シェード機能を有する全ての窓2をシェード機能作動対象の候補窓に設定する。これにより、乗員が寝ているような場合に車外から車内が見えないようにすることができ、その結果、乗員のプライバシーを保護することができる。
また、シート状態から検出されたシートバックのリクライニング後傾角が所定角度未満である場合に、乗員状態から検出された乗員の頭部位置又はシート状態から検出されたヘッドレストと車両外部情報から検出された人物の頭部位置とを結ぶ直線が通る領域の窓2をシェード機能作動対象の候補窓に設定する。これにより、車両1の近くにいる人物から乗員の顔を見えないようにすることができ、その結果、乗員のプライバシーを保護することができる。
【0024】
また、車両1に対する太陽の位置を検出し、太陽に面する窓2をシェード機能作動対象の候補窓に設定する。これにより、車内を暗くすることで車内全般を見えにくくすることができ、その結果、車内のプライバシーを保護することができる。
また、車両外部情報から検出された車両1の周囲の所定の範囲内の人物に予め登録された人物が検出された場合に、その登録された人物の頭部と乗員状態から検出された乗員の頭部位置又はシート状態から検出されたヘッドレストとを結ぶ直線が通る領域の窓2をシェード機能作動対象の候補窓から除外する。これにより、車外にいる登録人物と乗員が互いに顔を見あうことができ、車外の登録人物を見守ったり目顔で知らせ合ったりすることが可能となる。
【0025】
また、車両1が直ちに走行することが可能な走行可能状態が検出された場合に、シェード機能を有する全ての窓2のシェード機能を解除する。これにより、車両走行時の安全を確保することができる。
なお、上記の実施形態では、各窓2の全領域をシェードオンしたりシェード解除したりする例について説明したが、例えば、各窓2の特定の部分領域をシェードオンできるようにしたり、各窓2の区分けされた部分領域ごとにシェードオン/解除できるようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…車両、2…窓、3…ウインドウシェードコントローラ