(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148440
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/04 20060101AFI20241010BHJP
B08B 3/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B08B3/04 Z
B08B3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061564
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 崇文
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB02
3B201BB82
3B201BB88
3B201BB92
3B201CB12
3B201CC15
3B201CD36
3B201CD42
3B201CD43
(57)【要約】
【課題】洗浄装置のドアを洗浄槽に密着させること。
【解決手段】洗浄装置1は、洗浄槽2及び洗浄槽2に設けられた出入口33を開閉するドア14を備える。洗浄装置1は、洗浄槽2及びドア14の一方に固定され、ドア14が閉じた状態で、洗浄槽2及びドア14の他方に設けられた第1キャッチ43に結合する第1ロック41と、洗浄槽2に移動可能に支持され、ドア14に設けられた第2キャッチ44に結合可能な第2ロック42と、ドア14が開いた状態から閉じた状態に変化するように、第2キャッチ44に結合された第2ロック42を移動するロックモータ45と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽及び前記洗浄槽に設けられた出入口を開閉するドアを備える洗浄装置であって、
前記洗浄槽及び前記ドアの一方に固定され、前記ドアが閉じた状態で、前記洗浄槽及び前記ドアの他方に設けられた第1キャッチに結合する第1ロックと、
前記洗浄槽に移動可能に支持され、前記ドアに設けられた第2キャッチに結合可能な第2ロックと、
前記ドアが開いた状態から閉じた状態に変化するように、前記第2キャッチに結合された前記第2ロックを移動するロックモータと、を備える、
洗浄装置。
【請求項2】
前記第2ロックは、第1位置と前記第1位置よりも前記洗浄槽に近い第2位置とに移動可能であり、
前記ロックモータは、前記第1位置において前記第2キャッチに結合された前記第2ロックが前記第1位置から前記第2位置に移動するように駆動し、
前記第2ロックが前記第2位置に配置されることにより、前記ドアが閉じて前記第1キャッチが前記第1ロックに結合される、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽の内部空間を減圧可能な減圧装置を備え、
前記減圧装置は、前記第2ロックが前記第1位置から前記第2位置に移動後、前記洗浄槽の内部空間の減圧を開始する、
請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽の内部空間に給気を行う給気装置を備え、
前記第2ロックが前記第2キャッチに結合された後の洗浄工程において、前記減圧装置により減圧された前記洗浄槽の内部空間に給気を行う、
請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記出入口よりも後方側の前記洗浄槽の一部と前記ドアの一部とを連結するヒンジと、
左右方向において前記出入口よりも一方側の前記洗浄槽の一部と前記ドアの一部とを接続するガススプリングと、を備え、
前記第1ロック及び前記第2ロックは、左右方向において前記洗浄槽の中心よりも一方側に配置される、
請求項1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような洗浄装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄装置は、洗浄槽及び洗浄槽に設けられた出入口を開閉するドアを備える。洗浄槽の内部空間の密閉性を確保するために、ドアを洗浄槽に密着させる必要がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、洗浄装置のドアを洗浄槽に密着させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、洗浄槽及び記洗浄槽に設けられた出入口を開閉するドアを備える洗浄装置を開示する。洗浄装置は、洗浄槽及びドアの一方に固定され、ドアが閉じた状態で、洗浄槽及びドアの他方に設けられた第1キャッチに結合する第1ロックと、洗浄槽に移動可能に支持され、ドアに設けられた第2キャッチに結合可能な第2ロックと、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化するように、第2キャッチに結合された第2ロックを移動するロックモータと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、洗浄装置のドアを洗浄槽に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る洗浄装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る洗浄装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る洗浄槽の一部を拡大した斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る第1キャッチを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るドアの閉鎖方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、洗浄装置1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0010】
[洗浄装置]
図1は、実施形態に係る洗浄装置1を模式的に示す図である。洗浄装置1は、実施形態において、洗浄装置1は、減圧沸騰式洗浄装置である。洗浄装置1は、物品31を洗浄する。洗浄装置1により洗浄される物品31として、医療器具が例示される。医療器具として、メス、鋏、及び鉗子が例示される。
【0011】
洗浄装置1は、洗浄槽2と、敷網3と、給水装置4と、薬剤供給装置5と、排液装置6と、加熱装置7と、減圧装置8と、液相給気装置9と、気相給気装置10と、圧力センサ11と、温度センサ12と、制御装置13と、ドア14とを備える。
【0012】
洗浄槽2は、洗浄液32が貯留される内部空間を有する。洗浄槽2の上端部に出入口33が設けられる。物品31は、洗浄槽2の出入口33を介して洗浄槽2の内部空間に搬入される。物品31は、洗浄槽2の出入口33を介して洗浄槽2の内部空間から搬出される。ドア14は、洗浄槽2の上端部に設けられた出入口33を開閉する。洗浄槽2の出入口33は、ドア14により閉じられる。出入口33の周囲の洗浄槽2の上端部にシール部材34が配置される。シール部材34は、ドア14の下面の周縁部に密着する。洗浄槽2の出入口33がドア14により閉じられることにより、洗浄槽2の内部空間が密閉される。
【0013】
敷網3は、洗浄槽2の内部空間において物品31を支持する。物品31がバスケットのような網状の支持部材に支持される場合、敷網3は、洗浄槽2の内部空間において支持部材を介して物品31を支持する。物品31は、洗浄槽2の内部空間において敷網3よりも上方に配置される。洗浄液32は、敷網3を通過することができる。
【0014】
給水装置4は、洗浄槽2の内部空間に真水を供給する。給水装置4は、洗浄槽2に接続される給水ライン15と、給水ライン15に配置される電磁弁16とを有する。電磁弁16の作動により、給水源(不図示)からの真水が給水ライン15を介して洗浄槽2の内部空間に供給される。
【0015】
薬剤供給装置5は、洗浄槽2の内部空間に洗浄用の薬剤を供給する。薬剤供給装置5は、洗浄槽2に接続される薬剤供給ライン17を有する。薬剤が薬剤供給ライン17を介して洗浄槽2の内部空間に供給される。洗浄槽2の内部空間に供給された真水に薬剤が供給されることにより、洗浄槽2の内部空間において洗浄液32が生成される。
【0016】
排液装置6は、洗浄槽2の内部空間から洗浄液32を排出する。排液装置6は、洗浄槽2に接続される排液ライン18と、排液ライン18に配置される電磁弁19とを有する。電磁弁19の作動により、洗浄液32が排液ライン18を介して洗浄槽2の内部空間から排出される。
【0017】
加熱装置7は、洗浄槽2に貯留されている洗浄液32を加熱する。加熱装置7は、洗浄槽2の内部空間に配置されるヒータ20を含む。ヒータ20は、洗浄槽2の内部空間において洗浄液32に浸漬される。ヒータ20は、敷網3よりも下方に配置される。
【0018】
減圧装置8は、洗浄槽2の内部空間を減圧する。減圧装置8は、洗浄槽2の内部空間から気体を排出することにより、洗浄槽2の内部空間を減圧する。減圧装置8は、洗浄槽2に接続される排気ライン21と、排気ライン21に配置される真空ポンプ22とを有する。真空ポンプ22の作動により、洗浄槽2の内部空間から気体が排出され、洗浄槽2の内部空間が減圧される。
【0019】
液相給気装置9は、洗浄槽2の内部空間に給気を行う。液相給気装置9は、洗浄槽2に貯留されている洗浄液32に空気を供給する。液相給気装置9は、洗浄槽2の内部空間に配置される給気ノズル23と、給気ノズル23に接続される液相給気ライン24と、液相給気ライン24に配置されるフィルタ25と、フィルタ25と洗浄槽2と間の液相給気ライン24に配置される液相給気弁26とを有する。給気ノズル23は、洗浄槽2の内部空間において洗浄液32に浸漬される。給気ノズル23は、敷網3よりも下方に配置される。洗浄槽2の内部空間が減圧された状態で液相給気弁26が開くと、洗浄槽2の内部空間と外部空間との差圧により、洗浄槽2の外部空間の空気がフィルタ25及び液相給気ライン24を介して給気ノズル23に供給される。フィルタ25は、空気から異物を回収する。給気ノズル23は、複数の給気口27を有する。液相給気ライン24を介して給気ノズル23に供給された空気は、給気口27から洗浄液32に供給される。
【0020】
気相給気装置10は、洗浄槽2の内部空間に給気を行う。気相給気装置10は、洗浄槽2の内部空間の気体空間に空気を供給する。気相給気装置10は、洗浄槽2に接続される気相給気ライン28と、気相給気ライン28に配置されるフィルタ29と、フィルタ29と洗浄槽2との間の気相給気ライン28に配置される気相給気弁30とを有する。洗浄槽2の内部空間が減圧された状態で気相給気弁30が開くと、洗浄槽2の内部空間と外部空間との差圧により、洗浄槽2の外部空間の空気がフィルタ29及び気相給気ライン28を介して洗浄槽2の内部空間に供給される。
【0021】
圧力センサ11は、洗浄槽2の内部空間の圧力を検出する。温度センサ12は、洗浄槽2に貯留されている洗浄液32の温度を検出する。
【0022】
制御装置13は、コンピュータシステムを含む。制御装置13は、洗浄装置1を制御する。制御装置13は、洗浄槽2の内部空間を減圧した状態で洗浄液32に空気を供給して洗浄液32に流れを生じさせる液相給気パルス洗浄法により物品31を洗浄することができる。制御装置13は、洗浄槽2の内部空間を減圧した後に空気を供給して洗浄液32に流れを生じさせる気相給気パルス洗浄法により物品31を洗浄することができる。
【0023】
液相給気パルス洗浄法とは、物品31が配置され且つ洗浄液32が貯留された洗浄槽2の内部空間を減圧した状態で、洗浄液32に空気を供給して洗浄液32を爆発的に沸騰(突沸)させ、突沸により生じた洗浄液32の激しい流れで物品31を洗浄する洗浄方法をいう。気相給気パルス洗浄法とは、物品31が配置され且つ洗浄液32が貯留された洗浄槽2の内部空間を減圧した後に、洗浄槽2の内部空間に空気を供給して洗浄槽2の内部空間の圧力を変化させ、洗浄槽2の内部空間の圧力の変化により生じた洗浄液32の激しい流れで物品31を洗浄する洗浄方法をいう。
【0024】
液相給気パルス洗浄法に基づいて物品31を洗浄する場合、洗浄槽2の出入口33を介して洗浄槽2の内部空間に物品31が搬入された後、洗浄槽2の出入口33がドア14により閉じられる。物品31は、洗浄槽2の内部空間において敷網3よりも上方に配置される。物品31が洗浄液32に浸漬されるように洗浄槽2の内部空間に配置された後、制御装置13は、洗浄液32が設定温度まで加熱されるように加熱装置7を制御し、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されるように減圧装置8を制御する。洗浄液32が設定温度まで加熱され、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されることにより、洗浄液32が減圧沸騰する。例えば洗浄液32が50℃に加熱された場合、洗浄槽2の内部空間の圧力が約89kPaまで減圧されることにより、洗浄液32が減圧沸騰する。洗浄液32の沸騰による攪拌作用により物品31が洗浄される。制御装置13は、洗浄液32が沸騰している状態で、液相給気装置9から洗浄液32に少量の空気を供給させる。洗浄液32が減圧沸騰している状態で給気口27から洗浄液32に空気が供給されることにより、供給された空気が沸騰の核となって、洗浄液32が爆発的に沸騰(突沸)する。突沸により生じた洗浄液32の激しい流れで、物品31の表面が効果的に洗浄される。
【0025】
気相給気パルス洗浄法に基づいて物品31を洗浄する場合、液相給気パルス洗浄と同様、物品31が洗浄液32に浸漬されるように洗浄槽2の内部空間に配置された後、制御装置13は、洗浄液32が設定温度まで加熱されるように加熱装置7を制御し、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されるように減圧装置8を制御する。洗浄液32が設定温度まで加熱され、洗浄槽2の内部空間が設定圧力まで減圧されることにより、洗浄液32が減圧沸騰する。制御装置13は、洗浄液32が減圧沸騰している状態で、気相給気装置10から洗浄槽2の内部空間の気体空間に空気を供給する。洗浄槽2に空気が供給されることにより、洗浄槽2の内部空間の圧力が上昇する。洗浄槽2の内部空間の圧力が上昇すると、物品31の内部の蒸気が凝縮し、その結果、洗浄液32が物品31の内部に勢い良く流入する。洗浄槽2の内部空間の圧力の変化により生じた洗浄液32の激しい流れで、物品31の内部が効果的に洗浄される。
【0026】
図2は、実施形態に係る洗浄装置1の外観を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、洗浄装置1は、洗浄槽2及び洗浄槽2に設けられた出入口33を開閉するドア14を備える。洗浄槽2とドア14とは、ヒンジ35を介して連結される。ヒンジ35は、出入口33よりも後方側の洗浄槽2の一部とドア14の一部とを連結する。ドア14は、ヒンジ35により規定される回動軸を中心に回動する。ドア14の回動軸は、ドア14の後部に設けられる。ドア14の回動軸は、左右方向に延びる。ドア14の回動により、ドア14の前端部が上下方向に移動する。
【0027】
洗浄槽2の一部とドア14の一部とは、ガススプリング36により接続される。ガススプリング36は、重力の作用によりドア14が急激に閉じることを抑制する。ガススプリング36は、左右方向において出入口33よりも一方側の洗浄槽2の一部とドア14の一部とを接続する。実施形態において、ガススプリング36は、出入口33よりも右方側の洗浄槽2の一部とドア14の右方側の一部とを接続する。ガススプリング36のチューブ36Aは、洗浄槽2の右側面に取り付けられる。ガススプリング36のロッド36Bの先端部にブラケット36Cが設けられる。ブラケット36Cは、ドア14の右側面に回動可能に連結される。
【0028】
洗浄装置1は、第1ロック41と、第2ロック42と、第1キャッチ43と、第2キャッチ44と、ロックモータ45と、ドアモータ46と、位置センサ37とを備える。
【0029】
図3は、実施形態に係る洗浄槽2の一部を拡大した斜視図である。
図2及び
図3に示すように、第1ロック41は、洗浄槽2に固定される。第1キャッチ43は、ドア14に設けられる。第1ロック41は、ドア14が閉じた状態で、第1キャッチ43に結合する。
【0030】
第1ロック41は、左右方向において洗浄槽2の中心よりも一方側に配置される。実施形態において、第1ロック41は、洗浄槽2の中心よりも右方側に配置される。すなわち、第1ロック41は、左右方向においてガススプリング36に近い位置に配置される。実施形態において、第1ロック41は、洗浄槽2の上端部の右前方側のコーナーに固定される。
【0031】
図3に示すように、第1ロック41は、洗浄槽2に固定されるベース部41Aと、ベース部41Aから上方側に突出する環状部41Bとを有する。
【0032】
第1キャッチ43は、ドア14の下面に設けられる。第1キャッチ43は、ドア14が閉じた状態で、第1ロック41に結合されるように、ドア14の下面の右前方のコーナーに設けられる。
【0033】
第2ロック42は、洗浄槽2に移動可能に支持される。第2ロック42は、第1位置と第1位置よりも洗浄槽2に近い第2位置とに移動可能である。第2ロック42は、洗浄槽2に対して上下方向に移動可能である。第2キャッチ44は、ドア14に設けられる。第2ロック42は、第2キャッチ44に結合可能である。
【0034】
第2ロック42は、左右方向において洗浄槽2の中心よりも一方側に配置される。実施形態において、第2ロック42は、洗浄槽2の中心よりも右方側に配置される。すなわち、第2ロック42は、左右方向においてガススプリング36に近い位置に配置される。実施形態において、第2ロック42は、第2位置に移動したとき、洗浄槽2の上端部の右前方側のコーナーに配置される。第2ロック42は、第2位置に移動したとき、第1ロック41の隣に配置される。実施形態において、第2ロック42は、第2位置に移動したとき、第1ロック41の前方側に配置される。
【0035】
図3に示すように、第2ロック42は、ベース部42Aと、ベース部42Aから上方側に突出する環状部42Bとを有する。
【0036】
図4は、実施形態に係る第1キャッチ43を模式的に示す図である。第1キャッチ43は、ドア14に固定されるボディ部43Aと、ボディ部43Aに移動可能に支持される可動部43Bとを有する。また、第1キャッチ43は、ボディ部43Aと可動部43Bとの間に設けられる開口43Cと、開口43Cに通じる収容空間43Dとを有する。ボディ部43Aには、開口43Cが小さくなるように可動部43Bを付勢する部勢部材(不図示)が設けられる。収容空間43Dの外側から第1ロック41の環状部41Bが開口43Cに進入すると、開口43Cが大きくなるように可動部43Bが移動する。環状部41Bが開口43Cを通過して収容空間43Dに配置されると、開口43Cが小さくなるように可動部43Bが付勢部材の付勢力により移動する。可動部43Bは、環状部41Bの内側に入り込む。開口43Cが小さくなることにより、環状部41Bが収容空間43Dから抜けることが抑制される。環状部41Bが収容空間43Dに配置されることにより、第1ロック41と第1キャッチ43とが結合される。ボディ部43Aには、開口43Cが大きくなるように可動部43Bを移動可能なアクチュエータ(不図示)が設けられる。第1ロック41と第1キャッチ43との結合を解除する場合、制御装置13は、開口43Cが大きくなるようにアクチュエータを制御する。開口43Cが大きくなることにより、環状部41Bが収容空間43Dから脱出可能になり、第1ロック41と第1キャッチ43との結合が解除される。
【0037】
第2キャッチ44は、第1キャッチ43と同等の構造である。第2キャッチ44についての説明は省略する。
【0038】
ロックモータ45は、第2ロック42を上下方向に移動させる動力を発生する。ロックモータ45が発生する動力により、第2ロック42は、第1位置と第2位置との間を移動することができる。ロックモータ45は、第2ロック42よりも下方側に配置される。実施形態において、ロックモータ45は、洗浄槽2の前壁部の内部に配置される。ロックモータ45と第2ロック42のベース部42Aとが、動力伝達部材47を介して接続される。ロックモータ45が発生した動力は、動力伝達部材47を介して第2ロック42に伝達される。ロックモータ45は、第2ロック42が第1位置と第2位置との間を移動するように、動力を発生する。
【0039】
ロックモータ45は、ドア14が開いた状態から閉じた状態に変化するように、第2キャッチ44に結合された第2ロック42を移動する。ロックモータ45は、第1位置において第2キャッチ44に結合された第2ロック42が第1位置から第2位置に移動するように駆動する。すなわち、第2ロック42は、第1位置に配置された状態で、第2キャッチ44に結合する。第2ロック42と第2キャッチ44とが結合された後、ロックモータ45は、ドア14を下方側に引き寄せるように動力を発生する。第2ロック42が第2位置に配置され、ドア14が洗浄槽2に引き寄せられることにより、ドア14が閉じて第1キャッチ43が第1ロック41に結合される。
【0040】
ドアモータ46は、ドア14が閉じるように動力を発生する。ドアモータ46は、ヒンジ35の少なくとも一部に連結される。
【0041】
位置センサ37は、ドア14の位置を検出する。上述のように、ドア14は、ヒンジ35により規定される回動軸を中心に回動する。位置センサ37は、ドア14の回動方向の位置を検出する。実施形態において、洗浄槽2の上端部の右後方側のコーナーにブラケット38が固定される。位置センサ37は、ブラケット38に設けられる。位置センサ37は、非接触でドア14の位置を検出する光学センサである。
【0042】
[ドアの閉鎖方法]
図5は、実施形態に係るドア14の閉鎖方法を示すフローチャートである。洗浄対象である物品31が出入口33を介して洗浄槽2の内部空間に搬入される。物品31が洗浄槽2の内部空間に搬入された後、作業者は、洗浄装置1に設けられているドア閉ボタン(不図示)を操作する。ドア閉ボタンが操作される前において、第2ロック42は、第2位置に配置されている。ドア閉ボタンが操作されることにより、ドア14を閉じるための操作信号が生成される。制御装置13は、ドア閉ボタンからの操作信号を受信する(ステップS1)。
【0043】
制御装置13は、ドア閉ボタンからの操作信号を受信した後、ドア14が閉じるようにドアモータ46を制御する。ドアモータ46は、ドア14が閉じるように駆動する(ステップS2)。
【0044】
ドア14の位置は、位置センサ37により検出される。制御装置13は、位置センサ37の検出信号を受信する。制御装置13は、位置センサ37の検出信号に基づいて、ドア14が第1位置に接近したと判定した場合、第2ロック42が第2位置から第1位置に移動するように、ロックモータ45を制御する。ロックモータ45は、第2ロック42が第2位置から第1位置に上昇するように駆動する(ステップS3)。
【0045】
第2ロック42が第1位置に配置されている状態で、ドア14の前端部が下降することにより、第1位置に配置されている第2ロック42とドア14に設けられている第2キャッチ44とが結合される。
【0046】
第2ロック42と第2キャッチ44とが結合された後、制御装置13は、第2ロック42が第1位置から第2位置に移動するように、ロックモータ45を制御する。ロックモータ45は、第2キャッチ44に結合した第2ロック42が第1位置から第2位置に下降するように駆動する(ステップS4)。
【0047】
これにより、ドア14は、ロックモータ45が発生する動力により下方側に引き寄せられ、洗浄槽2の上端部に接近する。
【0048】
第2ロック42が第2位置まで移動すると、ドア14が開いた状態から閉じた状態に変化する。第2ロック42が第2位置に配置されることにより、ドア14が閉じて第1キャッチ43が第1ロック41に結合される。
【0049】
制御装置13は、第2ロック42が第1位置から第2位置に移動後、洗浄槽2の内部空間の減圧を減圧装置8に開始させる(ステップS5)。
【0050】
制御装置13は、第2ロック42が第2位置に配置され、第1キャッチ43と第1ロック41とが結合された後、ロックモータ45及びドアモータ46のそれぞれの駆動を停止させる(ステップS6)。
【0051】
制御装置13は、圧力センサ11の検出信号に基づいて、洗浄槽2の内部空間の圧力が予め定められている規定値以下になったと判定した場合、洗浄槽2の内部空間の減圧を終了させる。減圧装置8は、洗浄槽2の内部空間の減圧を終了する(ステップS7)。
【0052】
ドア14が閉じられた後、物品31の洗浄処理が開始される。液相給気パルス洗浄法に基づいて洗浄処理を行う場合、制御装置13は、減圧装置8により減圧された洗浄槽2の内部空間に液相給気装置9から給気を行う。気相給気パルス洗浄法に基づいて洗浄処理を行う場合、制御装置13は、減圧装置8により減圧された洗浄槽2の内部空間に気相給気装置10から給気を行う。
【0053】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、洗浄装置1は、洗浄槽2に固定され、ドア14が閉じた状態で、ドア14に設けられた第1キャッチ43に結合する第1ロック41と、洗浄槽2に移動可能に支持され、ドア14に設けられた第2キャッチ44に結合可能な第2ロック42と、ドア14が開いた状態から閉じた状態に変化するように、第2キャッチ44に結合された第2ロック42を移動するロックモータ45と、を備える。
【0054】
実施形態によれば、ロックモータ45が発生する動力により、ドア14が下方側に引き寄せられるので、ドア14が洗浄槽2の上端部に密着する。また、ロックモータ45が発生する動力によりドア14が閉じられると、第1ロック41と第1キャッチ43とが結合される。第2ロック42と第2キャッチ44との結合に加えて、第1ロック41と第1キャッチ43とが結合されるので、ドア14が洗浄槽2の上端部に十分に密着する。洗浄装置1による物品31の洗浄処理においては、洗浄槽2の内部空間が減圧沸騰されたり復圧されたりする。すなわち、洗浄装置1による物品31の洗浄処理においては、洗浄槽2の内部空間の圧力が大きく変動する。実施形態においては、第2ロック42と第2キャッチ44との結合に加えて、第1ロック41と第1キャッチ43とが結合されるので、洗浄装置1による物品31の洗浄処理において、ドア14と洗浄槽2との密着性が確保される。
【0055】
第2ロック42は、第1位置と第1位置よりも洗浄槽2に近い第2位置とに移動可能である。ロックモータ45は、第1位置において第2キャッチ44に結合された第2ロック42が第1位置から第2位置に移動するように駆動する。第2ロック42が第2位置に配置されることにより、ドア14が閉じて第1キャッチ43が第1ロック41に結合される。これにより、ロックモータ45が発生する動力により、ドア14が下方側に自動的に引き寄せられた後、第1ロック41と第1キャッチ43とが結合される。
【0056】
洗浄装置1は、洗浄槽2の内部空間を減圧可能な減圧装置8を備える。減圧装置8は、第2ロック42が第1位置から第2位置に移動後、洗浄槽2の内部空間の減圧を開始する。ドア14が開いた状態から閉じた状態に変化した後、洗浄槽2の内部空間の減圧が開始されるので、ドア14が洗浄槽2に密着する。
【0057】
洗浄装置1は、洗浄槽2の内部空間に給気を行う液相給気装置9及び気相給気装置10を備える。第2ロック42が第2キャッチ44に結合された後の洗浄工程において、減圧装置8により減圧された洗浄槽2の内部空間に給気が行われる。これにより、減圧沸騰式洗浄装置である洗浄装置1は、液相給気パルス洗浄法又は気相給気パルス洗浄法に基づいて物品31が洗浄することができる。
【0058】
洗浄装置1は、出入口33よりも後方側の洗浄槽2の一部とドア14の一部とを連結するヒンジ35と、左右方向において出入口33よりも右方側の洗浄槽2の一部とドア14の一部とを接続するガススプリング36と、を備える。第1ロック41及び第2ロック42は、左右方向において洗浄槽2の中心よりも右方側に配置される。ガススプリング36により、重力の作用によりドア14が急激に閉じることが抑制される。また、第1ロック41及び第2ロック42がガススプリング36の近くに配置されることにより、第1ロック41と第1キャッチ43との結合、及び第2ロック42と第2キャッチ44との結合が安定する。
【0059】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、第1ロック41が洗浄槽2に固定され、第1キャッチ43がドア14に設けられることとした。第1キャッチ43が洗浄槽2に固定され、第1ロック41がドア14に設けられてもよい。
【0060】
上述の実施形態において、ガススプリング36は、出入口よりも右方側の洗浄槽2の一部とドア14の一部とを接続することとした。また、第1ロック41及び第2ロック42は、洗浄槽2の中心よりも右方側に配置されることとした。ガススプリング36は、出入口よりも左方側の洗浄槽2の一部とドア14の一部とを接続してもよい。第1ロック41及び第2ロック42は、洗浄槽2の中心よりも左方側に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…洗浄装置、2…洗浄槽、3…敷網、4…給水装置、5…薬剤供給装置、6…排液装置、7…加熱装置、8…減圧装置、9…液相給気装置、10…気相給気装置、11…圧力センサ、12…温度センサ、13…制御装置、14…ドア、15…給水ライン、16…電磁弁、17…薬剤供給ライン、18…排液ライン、19…電磁弁、20…ヒータ、21…排気ライン、22…真空ポンプ、23…給気ノズル、24…液相給気ライン、25…フィルタ、26…液相給気弁、27…給気口、28…気相給気ライン、29…フィルタ、30…気相給気弁、31…物品、32…洗浄液、33…出入口、34…シール部材、35…ヒンジ、36…ガススプリング、36A…チューブ、36B…ロッド、36C…ブラケット、37…位置センサ、38…ブラケット、41…第1ロック、41A…ベース部、41B…環状部、42…第2ロック、42A…ベース部、42B…環状部、43…第1キャッチ、43A…ボディ部、43B…可動部、43C…開口、43D…収容空間、44…第2キャッチ、45…ロックモータ、46…ドアモータ、47…動力伝達部材。