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特開2024-148442評価支援装置、評価支援方法及び評価支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148442
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】評価支援装置、評価支援方法及び評価支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20240101AFI20241010BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20241010BHJP
   A63F 13/822 20140101ALI20241010BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20241010BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20241010BHJP
【FI】
G06Q50/00
G09B9/00 Z
A63F13/822
A63F13/58
A63F13/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061566
(22)【出願日】2023-04-05
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】相澤 章仁
(72)【発明者】
【氏名】木梨 智子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049EE10
(57)【要約】
【課題】グリーンインフラを、効率的に評価するための評価支援装置、評価支援方法及び評価支援プログラムを提供する。
【解決手段】評価支援装置A1は、環境への影響の評価を支援する制御部21を備える。そして、制御部21が、ユーザ画面において複数の環境要素を配置した環境マップを取得する。制御部21は、環境マップにおける環境要素の配置の関係に基づいて、環境マップについて、複数の評価指標のスコアを算出し、各スコアを並べたユーザ画面を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境への影響の評価を支援する制御部を備えた評価支援装置であって、
前記制御部が、
ユーザ画面において複数の環境要素を配置した環境マップを取得し、
前記環境マップにおける環境要素の配置の関係に基づいて、前記環境マップについて、複数の評価指標のスコアを算出し、
前記各スコアを並べたユーザ画面を出力することを特徴とする評価支援装置。
【請求項2】
前記評価指標には、生物多様性、利用環境、風環境の少なくとも2つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の評価支援装置。
【請求項3】
環境への影響の評価を支援する制御部を備えた評価支援装置を用いて、評価支援を行なう方法であって、
前記制御部が、
ユーザ画面において複数の環境要素を配置した環境マップを取得し、
前記環境マップにおける環境要素の配置の関係に基づいて、前記環境マップについて、複数の評価指標のスコアを算出し、
前記各スコアを並べたユーザ画面を出力することを特徴とする評価支援方法。
【請求項4】
環境への影響の評価を支援する制御部を備えた評価支援装置を用いて、評価支援を行なうプログラムであって、
前記制御部を、
ユーザ画面において複数の環境要素を配置した環境マップを取得し、
前記環境マップにおける環境要素の配置の関係に基づいて、前記環境マップについて、複数の評価指標のスコアを算出し、
前記各スコアを並べたユーザ画面を出力する手段として機能させることを特徴とする評価支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グリーンインフラを評価するための評価支援装置、評価支援方法及び評価支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境を評価するための技術が検討されている(特許文献1~4、非特許文献1を参照)。例えば、特許文献1に記載された技術では、生息生物種群の多様性の向上効果を定量的に予測する。また、特許文献2に記載された技術では、周辺の緑地から計画地に至る移動予測経路及び移動難易度を算出する。更に、設計レイアウトに応じた出現マップを生成することにより出現率を評価する。そして、移動予測経路及び移動難易度と、設計レイアウトにおける出現率マップとを含めた評価を行なう。また、特許文献3、非特許文献1に記載された技術では、流体計算用3次元データや風データに流体計算を適用することにより、シミュレーション領域に対する風環境予測の演算や風環境予測の演算結果の提示を行なう。
【0003】
また、特許文献4に記載された技術では、街づくり要素等のゲーム性を向上させるシミュレーションプログラムが検討されている。この文献に記載された技術では、ユーザ操作によって仮想平面上の所定領域にゲームオブジェクトを配置する。このゲームオブジェクトに関連付けられるゲームポイントを増減させることにより、ゲームオブジェクトが配置された所定領域の状態を判定する。そして、判定の結果に応じて、ゲームポイントの増減の度合いを制御する。
【0004】
また、社会課題に対応するために、より持続可能な社会を実現するための取り組みとしてグリーンインフラが注目されている。このグリーンインフラでは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用する。その結果、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-136265号公報
【特許文献2】特開2015-228817号公報
【特許文献3】特開2003-203194号公報
【特許文献4】特開2017-035280号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】木梨智子他,“市街地風環境の予測・評価技術”,2005年12月,大林組技術研究所報,No.69,第1頁-第8頁,[令和5年4月1日検索],インターネット<URL:https://www.obayashi.co.jp/technology/shoho/069/2005_069_11.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
グリーンインフラは、その機能が従来のインフラのように一つではない。すなわち、多機能であるため、単一的な評価が難しい。また、一元的な善し悪しという評価を行なうのではなく、多元的な機能を比較できなければ、ユーザにとっても機能を評価し難い。例えば、生物多様性を重要視するユーザ、風環境だけを重要視するユーザと様々である。このような意思・希望を反映した評価を行なうツールがなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための評価支援装置は、環境への影響の評価を支援する制御部を備える。そして、前記制御部が、ユーザ画面において複数の環境要素を配置した環境マップを取得し、前記環境マップにおける環境要素の配置の関係に基づいて、前記環境マップについて、複数の評価指標のスコアを算出し、前記各スコアを並べたユーザ画面を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、グリーンインフラを、効率的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のシステムの説明図である。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態の風速の配点テーブルの説明図である。
図4】実施形態の処理手順の説明図である。
図5】実施形態の処理手順の説明図である。
図6】実施形態の処理手順の説明図である。
図7】実施形態の処理手順の説明図である。
図8】実施形態の処理手順の説明図である。
図9】実施形態の処理手順の説明図である。
図10】実施形態の処理手順の説明図である。
図11】実施形態の処理手順の説明図である。
図12】実施形態の画面の説明図である。
図13】実施形態の処理手順の説明図であって、(a)は解析格子、(b)は評価高さの環境マップの説明図である。
図14】実施形態の画面の説明図である。
図15】実施形態の画面の説明図である。
図16】実施形態の画面の説明図である。
図17】別例の風速の配点テーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図16を用いて、評価支援装置、評価支援方法及び評価支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、ユーザが屋外の公共スペースに、環境要素(要素オブジェクト)を配置する画面操作(ゲーム)を行なう。これにより、自然環境や社会環境等への影響(グリーンインフラ)の評価を支援する場合に用いる評価支援装置、評価支援方法及び評価支援プログラムとして説明する。ここでは、グリーンインフラの指標として、生物多様性、利用環境、風環境を評価する。
図1に示すように、本実施形態の評価支援装置A1は、ネットワークを介して相互に接続されたユーザ端末10、支援サーバ20を用いる。
【0012】
(ハードウェア構成の説明)
図2を用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0013】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインターフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インターフェース等である。
【0014】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶装置H14は、ユーザ端末10、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0015】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0016】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0017】
〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路
〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0018】
(具体的な構成)
ユーザ端末10は、ユーザが用いるコンピュータ端末である。
支援サーバ20は、グリーンインフラの指標を評価するコンピュータシステムである。支援サーバ20は、制御部21、レイアウト情報記憶部22、パターン情報記憶部23、配点情報記憶部24、評価結果記憶部25を備える。
【0019】
制御部21は、後述する処理(管理段階、第1評価段階、第2評価段階、第3評価段階等を含む処理)を行なう。このための処理プログラムを実行することにより、制御部21は、管理部210、第1評価部211、第2評価部212、第3評価部213等として機能する。
【0020】
管理部210は、第1評価部211~第3評価部213を管理する。更に、管理部210は、ユーザに対して、ゲーム画面を提供する。
第1評価部211は、指標としての生物多様性を評価する。
【0021】
第2評価部212は、指標としての利用環境(利用性)を評価する。ここでは、ウォーカビリティ(歩きやすさ)、利用多様性、日陰状況、リラックス性を評価する。
第3評価部213は、指標としての風環境を評価する。3次元モデルを用いて、風速分布(風向や風速)を、解析的に算出する処理を実行する。ここでは、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)を用いた解析を行なう。具体的には、風環境シミュレータである「Zephyrus/ゼフィルス(登録商標)」を用いる。
【0022】
レイアウト情報記憶部22には、シミュレーションに用いるマップが記録される。このマップには、要素オブジェクトを配置する公共スペースモデル、建物形状を示す建物モデルが含まれる。このモデルは、例えば、BIM(Building Information Modeling)技術等を用いて作成される。このモデルには、オプション要素を配置する公共スペースモデルだけではなく、公共スペースモデルを中心にした周囲に、周辺構造物を含めた街区モデルが設定されている。例えば、数十メートル四方の公共スペースモデルに対して、1~2km四方の街区モデルを用いる。このような公共スペースモデルを中心とした広い街区モデルを用いて、風環境評価のための数値シミュレーションを行なうことで、周辺の建物等の影響を受けた風の状況が予測できる。その結果、より現実的に近い形で、公共スペース内の風(風速、風向)を算出できる。
【0023】
また、公共スペースモデルは、複数の区画に分割されている。
図12に示すように、マップ500は複数の区画A~Eを備える。区画A~Eは、複数のセルからなるメッシュによって構成される。各セルには、後述するオプション要素(要素オブジェクト)が配置される。
【0024】
パターン情報記憶部23には、各区画にオプション要素を配置した複数のパターンが記録されている。オプション要素には、高木、低木、草地(芝生)、水域(池、水辺)、舗装面等がある。
【0025】
図12に示すように、区画A~Eに対して、それぞれパターンセット501~505が準備されている。各パターンセット501~505には、それぞれ選択可能な3種類のパターンが設定されている。各パターンには、オプション要素が異なる位置に配置されている。ここでは、各パターンは、配置されているオプション要素に応じて、「森が主に配置」、「芝が主に配置」、「池が主に配置」、「広場が主に配置」に分類されている。
【0026】
配点情報記憶部24には、環境を評価するための配点情報が記録される。
第1評価部211が評価する生物多様性のスコアについては、例えば、高木「100点」、低木「80点」、草地「30点」、水域「60点」、舗装面「-30点」、建物「-10点」のように設定される。なお、特許文献2に記載の得点を計算し、それを正規化して用いることも可能である。
【0027】
第2評価部212が評価する利用環境のスコアについては、ウォーカビリティ、利用多様性、日陰状況、リラックス性に対するスコアが設定されている。
ウォーカビリティについては、歩きやすいかどうかを、「1点」、「0.5点」、「0点」の3段階で評価する。
【0028】
利用多様性については、環境マップに用いられているパターンの分類「森が主に配置」、「芝が主に配置」、「池が主に配置」、「広場が主に配置」の分類数を用いて評価する。
【0029】
日陰状況については、適度な日陰を評価するために、日陰の度合いについて、「1点」、「0.5点」、「0点」の3段階で評価する。
【0030】
第3評価部213が評価する風環境については、シミュレーションによって算出した風速比等を用いて評価する。ここでは、所定の評価高さの風速比を用いる。評価高さとしては、例えば、「地上1.5m」である。
そして、図3に示す風環境配点テーブルT1を用いる。この風環境配点テーブルT1では、風速比に対して、スコアが付与される。
【0031】
また、第3評価部213は、シミュレーションによって算出した風速比と気象データから、平均風速、瞬間風速、風向を算出する。
【0032】
気象データとしては、例えば、東京管区気象台データを用いる。具体的には、過去10年間の8月に観測された10分間平均風速と最多風向、気温の統計値である。ここでは、10分間平均風速=3m/s、最多風向=南、累積頻度50%の気温=29度を用いる。
なお、気象データと評価高さは、案件毎に定めることが可能である。
【0033】
また、第3評価部213は、下記のリンケの算出式を用いて、評価地点の体感温度を算出する。
〔体感温度〕=〔気温〕-4×〔平均風速〕0.5
【0034】
評価結果記憶部25には、パターンを組み合わせて生成された環境マップ毎に、生物多様性、利用環境、風環境の評価結果が記録される。ここでは、各環境マップを特定するためのマップ識別子に関連付けて、評価結果としての生物多様性、利用環境、風環境のスコアが記録される。生物多様性については、更にセル毎にスコアを色分けしたヒートマップが記録される。また、風環境については、更にセル毎を色分けしたヒートマップ画像が記録される。更に、生物多様性、利用環境、風環境のスコアを各軸とするレーダーチャートが記録される。また、レーダーチャートのスコアバランスに応じた標語が記録される。
【0035】
(準備処理)
次に、図4図11を用いて、準備処理を説明する。
【0036】
(準備処理の概要)
図4を用いて、準備処理の概要を説明する。この準備処理はゲームを提供する前に行なわれる。
【0037】
まず、支援サーバ20の制御部21は、選択肢の組み合わせの生成処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部21の管理部210は、パターン情報記憶部23に記録されたパターンセット501~505に含まれる各パターンを組み合わせて、選択肢となる環境マップを生成する。本実施形態では、区画A~Eに、それぞれ3種類のパターンを用いるため、243個の環境マップが生成される。
【0038】
次に、支援サーバ20の制御部21は、生物多様性評価処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部21の第1評価部211が、パターンを組み合わせて生成された環境マップについて、生物多様性を評価する。評価方法については、図5を用いて後述する。
【0039】
また、支援サーバ20の制御部21は、利用環境評価処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21の第2評価部212が、パターンを組み合わせて生成された環境マップについて、利用環境を評価する。利用環境としては、ウォーカビリティ(歩きやすさ)、利用多様性、日陰状況、リラックス性について評価する。評価方法については、図6図9を用いて後述する。
【0040】
また、支援サーバ20の制御部21は、風環境評価処理を実行する(ステップS14)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、パターンを組み合わせて生成された環境マップについて、風環境を評価する。評価方法については、図10を用いて後述する。
【0041】
そして、支援サーバ20の制御部21は、総合評価処理を実行する(ステップS15)。具体的には、制御部21の管理部215は、生物多様性、利用環境、風環境のスコアを各軸とするレーダーチャートを生成して評価結果記憶部25に記録する。次に、管理部215は、レーダーチャートのスコアバランスに応じた標語を生成して、評価結果記憶部25に記録する。例えば、生物多様性、利用環境、風環境の何れかのスコアが、他の指標に対して基準割合以上で突出して高い場合には、この指標の重視型という標語を設定する。
【0042】
(生物多様性評価処理)
図5を用いて、生物多様性評価処理(ステップS12)を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、環境マップ毎に以下の処理を繰り返す。
【0043】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、セル毎にスコアの配置処理を実行する(ステップS21)。具体的には、制御部21の第1評価部211は、評価対象の環境マップに含まれる各オプション要素が配置されたセルに対して、配点情報記憶部24に記録された各環境要素のスコアを配置する。
【0044】
次に、支援サーバ20の制御部21は、周囲セルの加点処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御部21の第1評価部211は、各セルに対して、各環境要素のスコアを周囲セルに加点する。加点する場合の重み付けは、セル間の距離に応じて設定する。
【0045】
例えば、重み付けテーブルT2を用いる。ここでは、評価対象セルから距離が遠くなる程、加点が小さくなるように、距離に反比例するように設定される。
この処理により、第1評価部211は、環境マップの各セルのスコアを配置したヒートマップを生成し、評価結果記憶部25に記録する。
【0046】
次に、支援サーバ20の制御部21は、配置に応じて採点処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部21の第1評価部211は、環境マップ内の全セルのスコアを合計することにより、生物多様性のスコアを算出する。そして、第1評価部211は、算出したスコアを、マップ識別子に関連付けて記録する。
【0047】
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理をすべての環境マップについて繰り返す。
そして、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS24)。具体的には、制御部21の第1評価部211は、各環境マップのスコアが所定スコア範囲に収まるように、マップ識別子に関連付けられたスコアの正規化を行なう。ここでは、各スコアの大小関係を維持しながら、全スコアが所定スコア範囲に収まるように、各スコアを換算する。
【0048】
(利用環境評価処理)
次に、利用環境評価処理(ステップS13)について説明する。ここでは、ウォーカビリティ評価処理、利用多様性評価処理、日陰状況評価処理、リラックス性評価処理を行なう。
【0049】
(ウォーカビリティ評価処理)
図6を用いて、ウォーカビリティ評価処理を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、環境マップ毎に以下の処理を繰り返す。
【0050】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、動線の設定処理を実行する(ステップS31)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、評価対象の環境マップにおいて、外構部の外から中央に至る動線を設定する。
図12においては、入口511~514から中央部までの動線を設定する。
【0051】
次に、支援サーバ20の制御部21は、歩きやすさの評価処理を実行する(ステップS32)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、各動線において、評価対象の環境マップに配置された各オプション要素に対してスコアを算出する。例えば、高木、低木、水域(池、水辺)の各オプション要素が配置されている場合には、迂回しなければならないので、第2評価部212は、低いスコアを付与する。一方、草地(芝生)、舗装面の各オプション要素が配置されている場合には、直進できるので、第2評価部212は、高いスコアを付与する。そして、第2評価部212は、各動線についてのスコアを合計する。そして、第2評価部212は、算出したスコアを、マップ識別子に関連付けて記録する。
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理をすべての環境マップについて繰り返す。
【0052】
そして、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS33)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、各環境マップのスコアが所定スコア範囲に収まるように、マップ識別子に関連付けられたスコアの正規化を行なう。
【0053】
(利用多様性評価処理)
図7を用いて、利用多様性評価処理を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、環境マップ毎に以下の処理を繰り返す。
【0054】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、分類の多様性の評価処理を実行する(ステップS41)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、評価対象の環境マップにおいて、区画毎の各パターンの分類(「森が主に配置」、「芝が主に配置」、「池が主に配置」、「広場が主に配置」)を特定する。そして、第2評価部212は、環境マップ全体で利用されている分類の種類(分類数)を算出する。例えば、複数の区画において同じ分類のパターンが用いられている場合には、分類数は「1」となる。更に、第2評価部212は、広場は多様な利用を促進する要素であるため、分類「広場が主に配置」のパターンを含む場合には、追加点を付与する。
【0055】
次に、支援サーバ20の制御部21は、多様性の減点評価処理を実行する(ステップS42)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、同じ分類のパターンが3つ以上の区画で配置されている場合は減点を行なう。そして、第2評価部212は、算出したスコアを、マップ識別子に関連付けて記録する。
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理をすべての環境マップについて繰り返す。
【0056】
そして、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS43)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、各環境マップのスコアが所定スコア範囲に収まるように、マップ識別子に関連付けられたスコアの正規化を行なう。
【0057】
(日陰状況評価処理)
図8を用いて、日陰評価処理を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、環境マップ毎に以下の処理を繰り返す。
【0058】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、環境要素の配置に応じた日陰の評価処理を実行する(ステップS51)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、評価対象の環境マップを構成するパターンにおけるオプション要素の配置に応じて採点を行なう。ここでは、草地(芝生)や舗装面の所定範囲内に高木が配置されている場合には、日陰が生じるため、高いスコアを付与する。
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理をすべての環境マップについて繰り返す。
【0059】
そして、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS52)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、各環境マップのスコアが所定スコア範囲に収まるように、マップ識別子に関連付けられたスコアの正規化を行なう。
【0060】
(リラックス性評価処理)
図9を用いて、リラックス性評価処理を説明する。
まず、支援サーバ20の制御部21は、環境マップ毎に以下の処理を繰り返す。
【0061】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、分類に応じた配点処理を実行する(ステップS61)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、評価対象の環境マップにおいて、区画毎の各パターンの分類(「芝が主に配置」、「池が主に配置」、「広場が主に配置」)を特定する。そして、第2評価部212は、環境マップ全体で利用されている分類の種類の数に応じてスコアを算出する。
【0062】
次に、支援サーバ20の制御部21は、多様性の減点評価処理を実行する(ステップS62)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、同じ分類のパターンが3つ以上の区画で配置されている場合は減点を行なう。そして、第2評価部212は、算出したスコアを、マップ識別子に関連付けて記録する。
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理をすべての環境マップについて繰り返す。
【0063】
次に、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS63)。具体的には、制御部21の第2評価部212は、各組み合わせのスコアが所定スコア範囲に収まるように正規化を行なう。
【0064】
(風環境評価処理)
図10を用いて、風環境評価処理(ステップS14)を説明する。
ここでは、図13(a)に示すように、解析格子600を用いる。解析格子600では、街区モデルに対して、オプション要素を配置する公共スペースモデルが設定されている。
【0065】
まず、支援サーバ20の制御部21は、初期シミュレーション処理を実行する(ステップS71)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、初期状態の環境マップを取得する。
【0066】
図13(b)には、評価高さ(ここでは、1.5m)の2次元の初期状態の環境マップ601を示す。この環境マップ601には、ユーザが配置するオプション要素(高木、低木、草地、水域等)は配置されていない状態である。そして、第3評価部213は、3次元化の環境マップにおいて、風況シミュレーション(数値シミュレーション)を行なう。
【0067】
次に、支援サーバ20の制御部21は、風速比等の算出処理を実行する(ステップS72)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、初期シミュレーション処理により、解析格子毎に、所定の高さ(ここでは1.5m)の風速比Wr(0)、ベクトル等を算出する。この風速比Wr(0)は、風環境配点テーブルT1のスコアを決める根拠の一つとして用いられる。
【0068】
次に、支援サーバ20の制御部21は、環境マップ毎に以下の処理を繰り返す。この場合には、オプション要素の組み合わせを設定した環境マップを用いる。
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、オプション要素を配置したシミュレーション処理を実行する(ステップS73)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、オプション要素を配置した3次元化の評価対象の環境マップにおいて、風況シミュレーションを行なう。
【0069】
次に、支援サーバ20の制御部21は、風速比等の算出処理を実行する(ステップS74)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、評価対象の環境マップのシミュレーション処理により、解析格子毎に、所定の高さ(ここでは1.5m)の風速比Wr(i)、ベクトル等を算出する。
【0070】
次に、支援サーバ20の制御部21は、平均風速・瞬間風速の算出処理を実行する(ステップS75)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、風速比Wr(i)と気象データから平均風速Wa(i)を算出する。更に、第3評価部213は、平均風速Wa(i)と突風率とから瞬間風速Wm(i)を算出する。この突風率は、例えば、非特許文献1に記載された技術を用いて、風速比Wr(i)に対する関数を用いて、数値シミュレーションから算出される。
【0071】
次に、支援サーバ20の制御部21は、体感温度の算出処理を実行する(ステップS76)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、解析格子毎に、リンケの算出式に平均風速を代入して体感温度Ts(i)を算出する。
【0072】
次に、支援サーバ20の制御部21は、風環境の評価・採点処理を実行する(ステップS77)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、風速比Wr(i)に対して、配点情報記憶部24に記録された風環境配点テーブルT1を用いて、風速比から、各解析格子のスコアを算出する。
【0073】
更に、下記条件で、解析格子毎にスコアを調整する。
・「風速比Wr(i)≧0.6」かつ「風速比Wr(i)≧風速比Wr(0)」の場合は減点
・「風速比Wr(i)<0.6」かつ「風速比Wr(i)<風速比Wr(0)」の場合は加点
・「風速比Wr(i)<0.5」かつ「風速比Wr(0)<0.5」の場合は加点
・「瞬間風速Wm(i)>5m/s」の場合は減点
・「体感温度Ts(i)>26度」の場合は減点
次に、第3評価部213は、すべての解析格子のスコアを合計する。
【0074】
そして、第3評価部213は、環境マップの各解析格子の風速を配置したヒートマップを生成し、評価結果記憶部25に記録する。
支援サーバ20の制御部21は、以上の処理をすべての環境マップについて繰り返す。
【0075】
そして、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS78)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、各組み合わせのスコアが所定スコア範囲に収まるように正規化を行なう。
【0076】
(グリーンインフラ評価処理)
図11を用いて、自然環境や社会環境への影響を評価するためのグリーンインフラ評価処理を説明する。本実施形態では、一例として、ゲームを用いて、自然環境や社会環境への影響の評価結果を学習する。
【0077】
ここでは、まず、支援サーバ20の制御部21は、区画毎に環境の設定処理を実行する(ステップS81)。具体的には、制御部21の管理部210は、ユーザ端末10の表示装置H13にゲーム画面(ユーザ画面)を出力する。このゲーム画面において、各区画のパターンを設定する。
【0078】
図14に示すように、ユーザ端末10には、ゲーム画面700が出力される。このゲーム画面700では、区画Aのパターンを設定することができる。そして、3つのパターンから一つを選択することにより、区画Aのパターンの設定を完了する。そして、同様に、区画B~Eのパターンを順次、設定することにより、環境マップを完成する。
【0079】
次に、図15に示すように、ユーザ端末10には、ゲーム画面710が出力される。このゲーム画面710では、パターンの再設定、又は解析を選択するボタンが含まれる。
解析ボタンが選択されて、すべての区画の設定を完了した場合、支援サーバ20の制御部21は、評価結果の取得処理を実行する(ステップS82)。具体的には、制御部21の管理部210は、完成した環境マップのマップ識別子を用いて、評価結果記憶部25から評価結果を取得する。
【0080】
次に、支援サーバ20の制御部21は、出力処理を実行する(ステップS83)。具体的には、制御部21の管理部210は、ユーザ端末10の表示装置H13に評価結果画面を出力する。
【0081】
図16に示すように、評価結果画面720には、環境マップ721、生物多様性評価結果722、利用多様性評価結果723、風環境評価結果724、レーダーチャート725、標語726が含まれる。
【0082】
次に、支援サーバ20の制御部21は、終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS84)。具体的には、制御部21の管理部210は、評価結果画面720に表示されたボタンの選択によって判定する。
【0083】
終了ボタンが選択されて、終了と判定した場合(ステップS84において「YES」の場合)、グリーンインフラ評価処理を終了する。
一方、配置を直すボタンが選択された場合(ステップS84において「NO」の場合)には、管理部210は、図15に示すゲーム画面710が出力される。このゲーム画面710を用いて、各区画のパターンを再選択することができる。そして、選択された区画のパターンを変更することができる。
【0084】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、選択肢の組み合わせの生成処理を実行する(ステップS11)。これにより、多様なパターンを設定した環境マップを効率的に生成することができる。
【0085】
(2)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、生物多様性評価処理を実行する(ステップS12)。これにより、ユーザが設定した環境マップにおいて、公共スペースにおける生物への影響を評価することができる。
【0086】
(3)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、周囲セルの加点処理を実行する(ステップS22)。これにより、周囲環境の影響を考慮して、各領域を評価することができる。
【0087】
(4)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、利用環境評価処理を実行する(ステップS13)。これにより、ユーザが設定した環境マップにおいて、公共スペースにおける多様な利用への影響を評価することができる。
【0088】
(5)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、動線の設定処理(ステップS31)、歩きやすさの評価処理(ステップS32)を実行する。これにより、公共スペースにおける移動の容易性を評価することができる。
【0089】
(6)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、分類の多様性の評価処理(ステップS41)、多様性の減点評価処理(ステップS42)を実行する。これにより、多様なニーズへの対応可能性を評価することができる。
【0090】
(7)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、環境要素の配置に応じた日陰の評価処理を実行する(ステップS51)。これにより、盛夏における公共スペースの快適性を評価することができる。
【0091】
(8)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、分類に応じた配点処理(ステップS61)、多様性の減点評価処理(ステップS62)を実行する。これにより、公共スペースの利用者への心理的影響を評価することができる。
【0092】
(9)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、風環境評価処理を実行する(ステップS14)。これにより、ユーザが設定した環境マップにおいて、公共スペースにおける風への影響を評価することができる。
【0093】
(10)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、初期シミュレーション処理(ステップS71)、風速比等の算出処理(ステップS72)を実行する。これにより、気象データを利用して、風向や風速を算出することができる。
【0094】
(11)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、平均風速・瞬間風速の算出処理を実行する(ステップS75)。風が強いと、利用者の心理的負担となる。これにより、風の影響を考慮して、公共スペースの快適性を評価することができる。
【0095】
(12)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、体感温度の算出処理を実行する(ステップS76)。盛夏では、風が少ないと、快適性が低下する。これにより、体感温度を用いて、公共スペースの快適性を評価することができる。
【0096】
(13)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、正規化処理を実行する(ステップS24、S33、S43、S52、S63、S78)。これにより、複数の指標を同じスコア範囲で評価することができる。
【0097】
(14)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、準備処理を実行する。これにより、環境マップが決まれば、速やかに評価結果を出力することができる。
(15)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、グリーンインフラ評価処理を実行する。これにより、ゲームを通じて、公共スペースのレイアウトの自然環境や社会環境への影響を学習することができる。
【0098】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ゲームを用いて、グリーンインフラ評価処理を行なう。グリーンインフラを評価できれば、ゲーム形式に限定されるものではない。
【0099】
・上記実施形態では、生物多様性、利用環境、風環境を指標として評価する。グリーンインフラの評価指標はこれらに限定されるものではない。例えば、生物多様性、利用環境、風環境の何れか2つ以上のように、複数あればよい。
【0100】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、準備処理を実行する。これに代えて、グリーンインフラ評価処理において、逐次、計算するようにしてもよい。この場合、予め定められたパターンから選択するだけではなく、ユーザがオプション要素を任意の場所に設定できるようにしてもよい。
【0101】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、生物多様性、利用環境、風環境の各評価処理を実行する。これに加えて、一つの指標の評価結果を、他の指標に反映させるようにしてもよい。例えば、生物多様性の評価結果を用いて、利用多様性のスコアを調整するようにしてもよい。また、風環境の評価結果を用いて、生物多様性のスコアを調整するようにしてもよい。
【0102】
・上記実施形態では、体感温度をリンケの算出式により算出する。算出方法は、リンケの算出式に限定されるものではなく、体感温度を算出できれば、ミスナールの体感温度の算出式を用いてもよい。
・上記実施形態では、気象データとしては、東京都管区気象台の過去所定年間の所定月(例えば8月)の風向(南)、平均風速(3m)、気温(29度)を用いる。これに代えて、ユーザが地域や季節を選択できるようにしてもよい。この場合にも、選択された地域や季節に基づいて、天候情報サイト等から気象データを取得する。
【0103】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、風環境の評価・採点処理を実行する(ステップS76)。具体的には、制御部21の第3評価部213は、風速比Wr(i)に対して、配点情報記憶部24に記録された風環境配点テーブルT1を用いて、風速比からスコアを算出する。スコアの算出方法は、これに限定されるものではない。例えば、瞬間風速Wm(i)又は平均風速Wa(i)を用いてもよい。
【0104】
この場合には、初期シミュレーション処理(ステップS71)において、解析格子毎の平均風速Wa(0)を算出する。
更に、第3評価部213は、オプション要素の組み合わせを設定した環境マップ毎に、風況シミュレーションを行なって、解析格子毎の平均風速Wa(i)、瞬間風速Wm(i)を算出する。
【0105】
次に、風環境の評価・採点処理(ステップS76)では、瞬間風速又は平均風速に対して、スコアが記録されている風環境配点テーブルを用いる。
図17は、この場合の風環境配点テーブルT3の一例である。風環境配点テーブルT3では、瞬間風速又は平均風速を順次変化させた値に対して、スコアが記録される。
【0106】
そして、風環境配点テーブルT3を用いて、瞬間風速又は平均風速からスコアを算出する。
更に、下記条件で、解析格子毎にスコアを調整する。
【0107】
・「平均風速Wa(i)≧平均風速Wa(0)」の場合は減点
・「瞬間風速Wm(i)>5m/s」の場合は減点
・「体感温度Ts(i)>26度」の場合は減点
【0108】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(a)前記制御部が、
複数のパターンを含むパターンセットを前記ユーザ端末に出力し、
前記パターンセットから選択されたパターンを用いて環境マップを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援装置。
【0109】
(b)前記制御部が、前記環境マップに含まれるオプション要素に対して、指標に応じたスコアを付与して、前記環境マップを評価することを特徴とする請求項1、2、(a)のいずれかに記載の評価支援装置。
【0110】
(c)前記制御部が、前記環境マップに含まれるオプション要素に対する配点を周囲に加算して、生物多様性を評価することを特徴とする(b)に記載の評価支援装置。
(d)前記制御部が、前記環境マップに動線を設定し、前記動線とオプション要素との位置関係に基づいて、歩きやすさを評価することを特徴とする(b)に記載の評価支援装置。
【0111】
(e)前記制御部が、前記環境マップに含まれるオプション要素を用いて、風況シミュレーションを実行し、前記シミュレーションにより算出した平均風速を用いて、風環境を評価することを特徴とする請求項1、2、(a)のいずれかに記載の評価支援装置。
【0112】
(f)前記制御部が、前記風況シミュレーションにおいて、瞬間風速を算出し、前記瞬間風速に基づいて前記風環境を評価することを特徴とする(e)に記載の評価支援装置。
(g)前記制御部が、
前記平均風速を用いて、体感温度を予測し、
前記体感温度に基づいて、前記風環境を評価することを特徴とする(e)に記載の評価支援装置。
【符号の説明】
【0113】
A1…評価支援装置、10…ユーザ端末、20…支援サーバ、21…制御部、210…管理部、211…第1評価部、212…第2評価部、213…第3評価部、22…レイアウト情報記憶部、23…パターン情報記憶部、24…評価結果記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17