(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148454
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】車両用回路体
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
B60R16/02 645D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061611
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 進
(57)【要約】
【課題】車両が出荷された後で、既存の車載電装機器を制御するための新たな制御機能を追加する場合に、簡単な取り付け作業だけで機能の追加を可能にすること。
【解決手段】車両の電源回路(車載電源31)に接続された第1接続部20aと、車両に搭載される電装機器32と接続された第2接続部20bと、電源回路と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路22と接続された第3接続部20cと、付け捨て状態の第2回路24と接続された第4接続部20dと、を有する、リレー着脱部20と、着脱可能なプラグインリレー10A又は10Bを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上の電源回路に接続された第1接続部と、
前記車両に搭載された電装機器と接続された第2接続部と、
前記車両上の所定の電源回路と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路と接続された、第3接続部と、
付け捨て状態の第2回路と接続された第4接続部と、を有する、リレー着脱部と、
前記リレー着脱部に着脱可能なリレーと、
を備えた車両用回路体。
【請求項2】
前記リレー着脱部は、常時閉回路接点の第1リレー及び常時開回路接点の第2リレーの2種類の互いに共通の端子形状を有する前記リレーの選択的装着を許容し、
前記リレー着脱部に前記第2リレーが装着された状態において、前記第4接続部は前記電装機器を制御対象とする追加制御ユニットとの接続を許容する、
請求項1に記載の車両用回路体。
【請求項3】
前記リレー着脱部は、常時閉回路接点の第1リレー及び常時開回路接点の第2リレーの2種類の互いに共通の端子形状を有する前記リレーの選択的装着を許容し、
前記リレー着脱部に前記第2リレーが装着された状態において、
前記第2リレーは、そのコイルの上流側端子が前記第3接続部に接続され、前記コイルの下流側端子が前記第4接続部に接続され、
前記第4接続部は、前記電装機器を制御する追加制御ユニットに接続される、
請求項1に記載の車両用回路体。
【請求項4】
車両用ワイヤハーネスにその一部分を構成する回路として組み込まれた、
請求項1に記載の車両用回路体。
【請求項5】
車両上の電源回路と前記車両に搭載された電装機器の電源入力回路との間の回路接続を開閉するスイッチ回路の制御に用いられる第1接続部および第2接続部と、
前記車両上の所定の電源回路と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路と接続された、第3接続部と、
付け捨て状態の第2回路と接続された第4接続部と、を有する、リレー着脱部と、
前記リレー着脱部に着脱可能なリレーと、
を備えた車両用回路体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用回路体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な車両において、車両上の主電源である車載バッテリー等と、同じ車体上の様々な箇所に設置された様々な車載電装機器との間は一般的に多数の電線の集合体であるワイヤハーネスを介してそれぞれ接続される。例えば、各種照明機器のランプ、ヒータ類、電気モータ類、センサ類、電子制御ユニット(ECU)などが車載電装機器としてそれぞれワイヤハーネスに接続される。
【0003】
したがって、車載バッテリーが出力する電源電力をワイヤハーネスに含まれる各回路(電線)を介して様々な車載電装機器にそれぞれ供給することが可能である。また、例えば必要な時だけ電源電力の供給を実施できるように、車両上の主電源の出力と各車載電装機器との間の電流経路にスイッチ回路を挿入し、このスイッチ回路を所定のECUの制御により状況に応じて開閉する場合もある。
【0004】
また、上記のようなスイッチ回路やECUの機能を、車両メーカが車両を出荷した後で追加したい場合がある。しかし、車両が出荷された後で機能を追加するような状況では、追加する部品を接続する際に様々な困難が伴う。例えば、既に車両に搭載されているワイヤハーネスに対して、追加する新たなECUを接続可能にするために、特別な電線を新たに用意してワイヤハーネスに接続する必要がある。このような作業は、非常に難しく、様々な回路の加工や改造を必要とする場合がある。
【0005】
一方、例えば特許文献1においては、取付対象車両に選択的に後付けされる拡張系電装機器が、追加接続部材を介して基本ハーネスに後付けされている。また、追加接続部材は、一端がハーネス分岐接続機構を介して基本ハーネスに分岐接続され、他端が拡張系電装機器接続機構を介して拡張系電装機器に接続される。この技術によれば、例えば車両メーカの工場内で車種毎に拡張系電装機器を後付けでワイヤハーネスの幹線に接続することが容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、例えば車両メーカから出荷された車両に装備されている既存の車載電装機器を制御する新たな機能を、例えば車両ディーラーの整備工場等で後付けで追加する場合には、利用できない。あるいは、大規模な部品の交換作業、又は改造が必要になる。
【0008】
例えば、既存の車載電装機器の電源入力端子に対しては、ワイヤハーネスの特定の電線を介して上流側から主電源の電源電力を常時供給可能な状態になっていることが想定される。したがって、既存の車載電装機器への電源電力供給のオンオフを切り替える機能を新たに追加するためには、既存の電源ラインの電線を途中で切断してその間に新たな回路を挿入する形態で再接続することになる。しかし、車両に搭載された状態のワイヤハーネスに含まれる多数の回路から任意の回路を特定するのは困難である。また、車両に搭載された状態のワイヤハーネスの電線に、圧接などにより新たな電線を接続する作業も困難である。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が出荷された後で、既存の車載電装機器を制御するための新たな制御機能を追加するような場合であっても、簡単な取り付け作業によって機能の追加が可能な車両用回路体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用回路体は、下記を特徴としている。
車両上の電源回路に接続された第1接続部と、
前記車両に搭載された電装機器と接続された第2接続部と、
前記車両上の所定の電源回路と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路と接続された、第3接続部と、
付け捨て状態の第2回路と接続された第4接続部と、を有する、リレー着脱部と、
前記リレー着脱部に着脱可能なリレーと、
を備えた車両用回路体。
【0011】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用回路体は、下記を特徴としている。
車両上の電源回路と前記車両に搭載された電装機器の電源入力回路との間の回路接続を開閉するスイッチ回路の制御に用いられる第1接続部および第2接続部と、
前記車両上の所定の電源回路と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路と接続された、第3接続部と、
付け捨て状態の第2回路と接続された第4接続部と、を有する、リレー着脱部と、
前記リレー着脱部に着脱可能なリレーと、
を備えた車両用回路体。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用回路体によれば、車両が出荷された後で、既存の車載電装機器を制御するための新たな制御機能を追加するような場合であっても、簡単な取り付け作業だけで機能の追加が可能となる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における車両出荷時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態における車両出荷時の車両用回路体の変形例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態における車両出荷後の機能追加時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態における車両出荷時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態における車両出荷後の機能追加時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3実施形態における車両出荷時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施形態における車両出荷後の機能追加時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態における車両出荷時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を
図1に示す。また、第1実施形態における車両出荷時の変形例の構成を
図2に示す。また、本発明の第1実施形態における車両出荷後の機能追加時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を
図3に示す。
【0016】
図1に示した車両用回路体は、同じ車両上で車両の主電源と様々な種類の電装機器32との間を接続するワイヤハーネスW/Hの一部分の電気回路として車両上に組み込まれている。尚、この車両用回路体は、ワイヤハーネスW/Hから独立した形態で車両上に組み込まれてもよい。
【0017】
車載電源31は、車載バッテリーなどで構成される主電源から出力される直流の電源電力を、所定のヒューズや電力分配回路を経由して系統毎に出力側の各端子(31a,31b等)に供給する機能を有する。
【0018】
車載電源31の負極側のグランド端子31cは、車両上のグランド33と接続されている。例えば、金属で構成される車体全体や、ワイヤハーネスW/Hに組み込まれたグランド線や、車体上に配置された金属製のバスバーなどをこの車両のグランド33として利用可能である。
【0019】
電装機器32は、車両上の様々な箇所に配置された各種照明機器のランプ、各種ヒータ、各種電気モータ、各種センサ、各種電子制御ユニットなどに相当する。
図1に示すように、ワイヤハーネスW/Hを利用して車載電源31の電源出力端子31aと電装機器32の電源入力端子32aとの間を接続することで、車載電源31が出力する電源電力を電装機器32に供給することができる。電装機器32は、車載電源31から供給される電源電力により動作可能な状態になる。
【0020】
図1に示した車両用回路体は、ワイヤハーネスW/Hに組み込まれたリレーソケット20およびプラグインリレー10Aを備えている。プラグインリレー10Aは4つのリレー端子10a、10b、10c、及び10dを有し、リレーソケット20は4つの端子20a、20b、20c、及び20dを有している。
【0021】
プラグインリレー10Aの4つのリレー端子10a~10dは、それぞれ薄板形状、或いはピン形状の突起として金属により形成されている。リレーソケット20の4つの端子20a~20dは、それぞれプラグインリレー10Aの4つのリレー端子10a~10dと一致する位置に金属により形成され、各リレー端子10a~10dの突起を受け入れ可能な形状の凹部を有している。
【0022】
したがって、プラグインリレー10Aのリレー端子10a~10dをリレーソケット20の端子20a~20dに差し込むと、両者が嵌合してプラグインリレー10Aがリレーソケット20上に固定される。同時に、リレー端子10aと端子20a、リレー端子10bと端子20b、リレー端子10cと端子20c、及びリレー端子10dと端子20dがそれぞれ電気的に接続された状態になる。
【0023】
また、リレーソケット20の各端子20a~20dは、例えば弾性部材により構成されている。したがって、リレー端子10aと端子20a、リレー端子10bと端子20b、リレー端子10cと端子20c、及びリレー端子10dと端子20dの間でそれぞれ適度な接触圧力を常時与えることができ、良好な電気接続状態を維持できる。また、プラグインリレー10Aをリレーソケット20に着脱する操作も容易である。
【0024】
図1に示すように、プラグインリレー10Aは、常時閉路接点11Aおよび電気コイル12を有している。電気コイル12の通電の有無により、常時閉路接点11Aの状態を切り替えることができる。すなわち、電気コイル12が非通電の状態では常時閉路接点11Aが「閉路」状態であり、電気コイル12に所定の電流が流れると可動部が動いて常時閉路接点11Aが「開路」状態に切り替わる。
【0025】
図1に示した構成においては、リレーソケット20及びプラグインリレー10Aは車両上に装備されたリレーボックスRB内に配置されている。リレーソケット20の端子20aは、ワイヤハーネスW/Hに含まれる電線21を経由して車載電源31の電源出力端子31aと接続されている。リレーソケット20の端子20bは、ワイヤハーネスW/Hに含まれる電線23を経由して電装機器32の電源入力端子32aと接続されている。
【0026】
また、
図1の構成ではリレーソケット20の端子20cは、電線22及び電線22Aを経由して車載電源31の電源出力端子31bと接続されている。電線22AはワイヤハーネスW/Hに組み込むことができる。一方、
図2の構成ではリレーソケット20の端子20cに接続された電線22の一端にある端子22aは何も接続されない開放状態、すなわち付け捨て状態になっている。また、
図1、
図2のいずれの構成においても、リレーソケット20の端子20dに電線24が接続され、電線24の一端の端子は何も接続されない開放状態、すなわち付け捨て状態になっている。
【0027】
図1又は
図2の構成では、電気コイル12が常時非通電になるため、常時閉路接点11Aが「閉路」状態に固定される。そのため、車載電源31の電源出力端子31aから供給される電源電力は、電線21、端子20a、リレー端子10a、常時閉路接点11A、リレー端子10b、端子20b、及び電線23を経由して電装機器32の電源入力端子32aに入力される。
【0028】
一方、
図1又は
図2の構成のワイヤハーネスW/Hを搭載した車両が車両メーカから出荷された後で、電装機器32に対してその機能をオンオフするための特別な制御機能を後付けで追加したい場合がある。その場合、
図1又は
図2の車両用回路体を組み込んだ車両においては、
図3に示すような構成への変更を、例えば車両ディーラーにおいて容易に行うことができる。
【0029】
図3に示した構成においては、
図1、
図2に示したプラグインリレー10Aの代わりに、プラグインリレー10Bがリレーソケット20に装着されている。このプラグインリレー10Bは、端子形状および端子レイアウトがプラグインリレー10Aと共通のリレー端子10a~10dを有しているが、接点は常時開路接点11Bに変更されている。
【0030】
すなわち、プラグインリレー10Bの場合は、電気コイル12が非通電の状態において常時開路接点11Bが「開路」であり、電気コイル12に所定の電流が流れると常時開路接点11Bが「閉路」状態に切り替わる。
【0031】
図3に示した構成においては、リレーソケット20の端子20cが電線22及び電線22Aを経由して車載電源31の電源出力端子31bと接続されている。また、電装機器32を制御するために新たに追加制御ユニット40が用意され、この追加制御ユニット40の制御出力端子40aが、電線41及び電線24を介してリレーソケット20の端子20dと接続されている。
【0032】
追加制御ユニット40は、状況に応じて、制御出力端子40aを開放状態及び接地状態に選択的に切り替えることができる。制御出力端子40aが開放状態の時には、プラグインリレー10Bの電気コイル12が非通電になるため、常時開路接点11Bは「開路」状態になる。また、制御出力端子40aが接地状態になると電気コイル12に電流が流れてプラグインリレー10Bの可動部が動き、常時開路接点11Bが「閉路」状態に切り替わる。
【0033】
したがって、
図3に示した構成では、電装機器32の電源入力端子32aに対する電源電力供給の有無を、プラグインリレー10B及び追加制御ユニット40を用いて切り替える事ができる。つまり、追加制御ユニット40は状況に応じて電装機器32の状態を制御できる。例えば、電装機器32の機能が必要な時に限り常時開路接点11Bを「閉路」状態に制御し、電装機器32が不要な時には常時開路接点11Bを「開路」状態にすることができる。これにより、例えば電装機器32が無駄な電源電力を消費するのを防止したり、機器毎の優先順位を考慮した電力配分調整を行うことが、追加制御ユニット40により可能になる。追加制御ユニット40は、特に限定されないが、一例として、アルコール検出の有無に応じて車両のエンジンを起動するスターター信号を制御するアルコールインターロック装置が挙げられる。
【0034】
図1の構成から
図3の構成に変更するために必要な作業は、プラグインリレー10Aを接点の種類が違うプラグインリレー10Bに交換する作業と、新たな追加制御ユニット40を電線41を介して付け捨て状態の電線24の一端に接続する作業だけである。また、
図2の構成から
図3の構成に変更する場合には、新たに追加した電線22Aを用いて車載電源31の電源出力端子31bと付け捨て状態の電線22との間を接続する作業が必要になる。
【0035】
図1又は
図2に示すワイヤハ-ネスW/Hにおいては、機能を追加する際に作業者が追加制御ユニット40の電線41を取り付けるべき適切な場所(電線24)を特定することは容易である。また、追加制御ユニット40の追加に伴って既存の電線の切断や再接続の作業は不要である。また、種類の違うプラグインリレー10A、10Bの取り替え作業も容易である。特に、リレーソケット20が、リレーボックス内RBに配置されているため、プラグインリレー10A、10Bの取り換え作業が極めて容易である。さらに、例えば、追加制御ユニット40を電線41を介して電線24に接続する際、電線41及び電線24の各端部にコネクタ、すなわち、端子と、端子を保持するハウジングとを設けておき、コネクタ同士を嵌合可能に構成することで、接続作業が一層容易になる。
【0036】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態における車両出荷時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を
図4に示す。また、本発明の第2実施形態における車両出荷後の機能追加時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を
図5に示す。
【0037】
図4に示した車両用回路体は、
図1中に示した車両用回路体の構成と同様に、車両の主電源と様々な種類の電装機器32との間を接続するワイヤハーネスW/Hの一部分の電気回路として車両上に組み込まれている。
【0038】
図4に示した車両用回路体は、
図1に示した構成と同様にワイヤハーネスW/Hに組み込まれたリレーソケット20およびプラグインリレー10Aを備えている。プラグインリレー10Aは4つのリレー端子10a、10b、10c、及び10dを有し、リレーソケット20は4つの端子20a、20b、20c、及び20dを有している。プラグインリレー10Aおよびリレーソケット20の構成は
図1の構成と同様である。
【0039】
図4の構成においては、リレー15が追加されている。また、リレー15の常時開路接点16が車載電源31の電源出力端子31aとリレーソケット20の端子20aとの間に挿入されている。また、リレーソケット20の端子20bと電装機器32の電源入力端子32aとの間が電線23で接続されている。
【0040】
したがって、リレー15の常時開路接点16とプラグインリレー10Aの常時閉路接点11Aとが直列に接続された状態で、車載電源31の電源出力端子31aと電装機器32の電源入力端子32aとの間に配置されている。但し、
図4に示すようにプラグインリレー10Aの電気コイル12が付け捨て状態になっている状況では、常時閉路接点11Aは常時「閉路」のままであり、電装機器32への電源電力供給に影響を及ぼさない。
【0041】
図4の構成においては、リレー15を制御する制御ユニット45が最初から備わっている。この制御ユニット45は、電源入力端子45aが電線46を介して車載電源31の電源出力端子31eと接続され、制御出力端子45bが電線47を介してリレー15の電気コイル17の一端と接続されている。電気コイル17の他端はグランド33と接続されている。
【0042】
したがって、制御ユニット45は電気コイル17に対する通電の有無を制御し、常時開路接点16の開閉を制御できる。
図4の構成では、常時閉路接点11Aが常時「閉路」であるため、リレー15の常時開路接点16が開路の状態では電装機器32の電源入力端子32aに対する電源電力供給が停止する。一方、リレー15の常時開路接点16が閉路の状態では電装機器32の電源入力端子32aに対して電源電力が供給される。
【0043】
図4に示した構成においても、
図1の構成と同様にリレーソケット20及びプラグインリレー10Aは車両上に装備されたリレーボックスRB内に配置することができる。また、同じリレーボックスRB内にリレー15も配置できる。なお、リレー15については交換を前提としないので、リレーソケットを使わずに回路に直接接続してもよい。
【0044】
図4に示した構成においては、リレーソケット20の端子20cを電線22及び電線22Aを介して車載電源31の電源出力端子31bに接続してある。但し、リレーソケット20の電気コイル12は付け捨て状態になるので、電線22Aの接続を省略し、端子22aを開放して電線22を付け捨て状態にしても良い。
【0045】
図4の構成では、リレー15及び制御ユニット45が備わっているので、電装機器32の電源入力端子32aに車載電源31からの電源電力を供給するか否かを、状況に応じて制御ユニット45が制御できる。
【0046】
一方、
図4の構成のワイヤハーネスW/Hを搭載した車両が車両メーカから出荷された後で、車両メーカ、或いは車両のユーザにおいては、電装機器32の機能をオンオフするための制御ユニット45以外の更なる制御機能を追加したい場合がある。その場合、
図4の車両用回路体を組み込んだ車両については、
図5に示すような構成への変更を、例えば車両ディーラーにおいて容易に行うことができる。
【0047】
図5に示した構成においては、
図4に示したプラグインリレー10Aの代わりに、プラグインリレー10Bがリレーソケット20に装着されている。このプラグインリレー10Bは、端子形状および端子レイアウトがプラグインリレー10Aと共通のリレー端子10a~10dを有しているが、接点は常時開路接点11Bに変更されている。
【0048】
すなわち、プラグインリレー10Bの場合は、電気コイル12が非通電の状態において常時開路接点11Bが「開路」であり、電気コイル12に所定の電流が流れると常時開路接点11Bが「閉路」状態に切り替わる。
【0049】
図5に示した構成においては、リレーソケット20の端子20cが電線22及び電線22Aを経由して車載電源31の電源出力端子31bと接続されている。また、電装機器32を制御するために新たに追加制御ユニット40が用意され、この追加制御ユニット40の制御出力端子40aが電線41、及び電線24を介してリレーソケット20の端子20dと接続されている。
【0050】
追加制御ユニット40は、状況に応じて、制御出力端子40aを開放状態、及び接地状態に選択的に切り替えることができる。制御出力端子40aが開放状態の時には、プラグインリレー10Bの電気コイル12が非通電になるため、常時開路接点11Bは「開路」状態になる。また、制御出力端子40aが接地状態になると電気コイル12に電流が流れてプラグインリレー10Bの可動部が動き、常時開路接点11Bが「閉路」状態に切り替わる。
【0051】
したがって、
図5に示した構成では、電装機器32の電源入力端子32aに対する電源電力供給の有無を、プラグインリレー10B及び追加制御ユニット40を用いて切り替える事ができる。つまり、追加制御ユニット40は状況に応じて電装機器32の状態を制御できる。
【0052】
例えば、電装機器32が必要な時だけ常時開路接点11Bを「閉路」状態に制御し、電装機器32が不要な時に常時開路接点11Bを「開路」状態にすることができる。これにより、例えば電装機器32が無駄な電源電力を消費するのを防止したり、機器毎の優先順位を考慮した電力配分調整を行うことが、追加制御ユニット40により可能になる。追加制御ユニット40は、特に限定されないが、一例として、アルコール検出の有無に応じて車両のエンジンを起動するスターター信号を制御するアルコールインターロック装置が挙げられる。
【0053】
図4の構成から
図5の構成に変更するために必要な作業は、プラグインリレー10Aをプラグインリレー10Bに交換する作業と、新たな追加制御ユニット40を電線41を介して付け捨て状態の電線24の一端に接続する作業だけである。なお、
図2の構成と同じように電線22Aが存在せず、電線22が付け捨て状態の場合は、端子22aと車載電源31の電源出力端子31bとの間を、新たに用意した電線22Aを用いて接続する必要がある。
【0054】
図4に示すワイヤハ-ネスW/Hにおいては、機能を追加する際に作業者が追加制御ユニット40の電線41を取り付けるべき適切な場所(電線24)を特定することは容易である。また、追加制御ユニット40の追加に伴って既存の電線の切断や再接続の作業は不要である。また、種類の違うプラグインリレー10A、10Bの取り替え作業も容易である。特に、リレーソケット20が、リレーボックス内RBに配置されているため、プラグインリレー10A、10Bの取り換え作業が極めて容易である。さらに、例えば、追加制御ユニット40を電線41を介して電線24に接続する際、電線41及び電線24の各端部にコネクタ、すなわち、端子と、端子を保持するハウジングとを設けておき、コネクタ同士を嵌合可能に構成することで、接続作業が一層容易になる。
【0055】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態における車両出荷時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を
図6に示す。また、本発明の第3実施形態における車両出荷後の機能追加時の車両用回路体を含むワイヤハーネス主要部の構成を
図7に示す。
【0056】
図6に示した車両用回路体は、
図1中に示した車両用回路体の構成と同様に、車両の主電源と様々な種類の電装機器32との間を接続するワイヤハーネスW/Hの一部分の電気回路として車両上に組み込まれている。
【0057】
図6に示した車両用回路体は、
図1に示した構成と同様にワイヤハーネスW/Hに組み込まれたリレーソケット20およびプラグインリレー10Aを備えている。プラグインリレー10Aは4つのリレー端子10a、10b、10c、及び10dを有し、リレーソケット20は4つの端子20a、20b、20c、及び20dを有している。プラグインリレー10Aおよびリレーソケット20の構成は
図1の構成と同様である。
【0058】
図6の構成においては、リレー15が追加されている。また、リレー15の常時開路接点16が車載電源31の電源出力端子31aと電装機器32の電源入力端子32aとの間に接続されている。
【0059】
また、リレー15を制御する制御ユニット45が備わっている。この制御ユニット45は、電源入力端子45aが電線46を介して車載電源31の電源出力端子31eと接続され、制御出力端子45bが電線47を介してリレー15の電気コイル17の一端と接続されている。電気コイル17の他端は、電線26を経由してリレーソケット20の端子20aと接続されている。また、リレーソケット20の端子20bは電線27を介してグランド33と接続されている。すなわち、端子20a、20bは、リレー15の制御に用いられる。
【0060】
図6の構成では、電気コイル12が付け捨て状態であり、常時閉路接点11Aが常時「閉路」状態であるため、電気コイル17の他端が直接グランド33と接続されている場合と同様にリレー15が動作する。したがって、制御ユニット45は制御出力端子45bで電気コイル17の通電の有無を制御し、電装機器32に対する電源電力供給の有無を制御できる。
【0061】
すなわち、
図6の構成では、制御ユニット45が電気コイル17を通電状態に制御したときに常時開路接点16が「閉路」状態になり、電装機器32の電源入力端子32aに車載電源31から電源電力が供給される。また、制御ユニット45が電気コイル17を非通電状態に制御したときに、常時開路接点16が「開路」状態になり、電装機器32の電源入力端子32aへの電源電力供給が停止する。
【0062】
図6に示した構成においても、
図1の構成と同様にリレーソケット20及びプラグインリレー10Aは車両上に装備されたリレーボックスRB内に配置することができる。また、同じリレーボックスRB内にリレー15も配置できる。なお、リレー15については交換を前提としないのでリレーソケットを使わずに回路に直接接続してもよい。
【0063】
図6に示した構成においては、リレーソケット20の端子20aを電線22及び電線22Aを介して車載電源31の電源出力端子31bに接続してある。但し、リレーソケット20Aの電気コイル12は付け捨て状態になるので、電線22Aの接続を省略し、端子22aを開放して電線22を付け捨て状態にしても良い。
【0064】
図6の構成では、リレー15及び制御ユニット45が備わっているので、電装機器32の電源入力端子32aに車載電源31からの電源電力を供給するか否かを状況に応じて制御ユニット45が制御できる。
【0065】
一方、
図6の構成のワイヤハーネスW/Hを搭載した車両が車両メーカから出荷された後で、車両メーカ、或いは車両のユーザにおいては、電装機器32の機能をオンオフするための制御ユニット45以外の更なる制御機能を追加したい場合がある。その場合、
図6の車両用回路体を組み込んだ車両については、
図7に示すような構成への変更を、例えば車両ディーラーにおいて容易に行うことができる。
【0066】
図7に示した構成においては、
図6に示したプラグインリレー10Aの代わりに、プラグインリレー10Bがリレーソケット20に装着されている。このプラグインリレー10Bは、端子形状および端子レイアウトがプラグインリレー10Aと共通のリレー端子10a~10dを有しているが、接点は常時開路接点11Bに変更されている。
【0067】
すなわち、プラグインリレー10Bの場合は、電気コイル12が非通電の状態において常時開路接点11Bが「開路」であり、電気コイル12に所定の電流が流れると常時開路接点11Bが「閉路」状態に切り替わる。
【0068】
図7に示した構成においては、リレーソケット20の端子20cが電線22及び22Aを経由して車載電源31の電源出力端子31bと接続されている。また、電装機器32を制御するために新たに追加制御ユニット40が用意され、この追加制御ユニット40の制御出力端子40aが電線41、及び電線24を介してリレーソケット20の端子20dと接続されている。
【0069】
追加制御ユニット40は、状況に応じて、制御出力端子40aを開放状態、及び接地状態に選択的に切り替えることができる。制御出力端子40aが開放状態の時には、プラグインリレー10Bの電気コイル12が非通電になるため、常時開路接点11Bは「開路」状態になる。また、制御出力端子40aが接地状態になると電気コイル12に電流が流れてプラグインリレー10Bの可動部が動き、常時開路接点11Bが「閉路」状態に切り替わる。
【0070】
図7に示した構成では、リレー15の電気コイル17と、プラグインリレー10Bの常時開路接点11Bとが直列に接続されており、且つ常時開路接点11Bの状態が電気コイル12の通電の有無に応じて切り替わる。
【0071】
したがって、リレー15の常時開路接点16の開閉状態は、制御ユニット45の制御出力端子45bと、追加制御ユニット40の制御出力端子40aとの双方の状態を反映した結果となる。
【0072】
すなわち、制御ユニット45が電源入力端子45aから電気コイル17の上流側の端子に高電位を印加し、且つ追加制御ユニット40が常時開路接点11Bを「閉路」状態に制御した時に、電気コイル17が通電状態になり、常時開路接点16が閉路状態になり、電装機器32の電源入力端子32aに電源電力が供給される。一方、制御ユニット45が電気コイル17の上流側の端子に高電位を印加しない時、又は追加制御ユニット40が常時開路接点11Bを「開路」状態に制御した時には、電気コイル17が非通電状態になり、常時開路接点16が開路状態になり、電装機器32への電源電力供給は停止する。
【0073】
つまり、
図7に示す構成では、電装機器32の電源入力端子32aへの電源電力供給を、制御ユニット45で制御することもできるし、追加制御ユニット40で制御することもできる。追加制御ユニット40は、特に限定されないが、一例として、アルコール検出の有無に応じて車両のエンジンを起動するスターター信号を制御するアルコールインターロック装置が挙げられる。
【0074】
図6の構成から
図7の構成に変更するために必要な作業は、プラグインリレー10Aからプラグインリレー10Bに交換する作業と、新たな追加制御ユニット40を電線41を介して付け捨て状態の電線24の一端に接続する作業だけである。なお、
図2の構成と同じように電線22Aが存在せず、電線22が付け捨て状態の場合は、端子22aと車載電源31の電源出力端子31bとの間を、新たに用意した電線22Aを用いて接続する必要がある。
【0075】
図6に示すワイヤハーネスW/Hにおいては、機能を追加する際に作業者が追加制御ユニット40の電線41を取り付けるべき適切な場所(電線24)を特定することは容易である。また、追加制御ユニット40の追加に伴って既存の電線の切断や再接続の作業は不要である。また、種類の違うプラグインリレー10A、10Bの取り替え作業も容易である。特に、リレーソケット20が、リレーボックス内RBに配置されているため、プラグインリレー10A、10Bの取り換え作業が極めて容易である。さらに、例えば、追加制御ユニット40を電線41を介して電線24に接続する際、電線41及び電線24の各端部にコネクタ、すなわち、端子と、端子を保持するハウジングとを設けておき、コネクタ同士を嵌合可能に構成することで、接続作業が一層容易になる。
【0076】
以上説明したように、例えば
図1又は
図2の構成のワイヤハーネスW/Hを搭載した車両を車両メーカが出荷した後で、例えば車両ディーラー又は車両ユーザは
図3に示すように構成を変更し、追加制御ユニット40を追加できる。これにより、電装機器32の機能を改良し車両の付加価値を高めることができる。ここで、
図1の構成を
図3の構成に変更するために必要な作業は、プラグインリレー10Aをプラグインリレー10Bに取り替える作業と、新たな用意した追加制御ユニット40を電線41を介して電線24に接続する作業である。したがって、作業者は追加制御ユニット40の接続先として適切な設計仕様の電線を探すために苦労することもなく、電線の切断や再接続の作業も不要であるため、簡単に作業を完了できる。
【0077】
上記と同様に、
図4の構成のワイヤハーネスW/Hを搭載した車両を車両メーカが出荷した後で、例えば車両ディーラー又は車両ユーザは
図5に示すように構成を変更し、追加制御ユニット40を簡単な作業だけで追加できる。
【0078】
また、
図6の構成のワイヤハーネスW/Hを搭載した車両を車両メーカが出荷した後で、例えば車両ディーラー又は車両ユーザは
図7に示すように構成を変更し、追加制御ユニット40を簡単な作業だけで追加できる。
【0079】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0080】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車両用回路体の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両上の電源回路(車載電源31)に接続された第1接続部(端子20a)と、
前記車両に搭載された電装機器(32)と接続された第2接続部(端子20b)と、
前記車両上の所定の電源回路(車載電源31)と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路(電線22)と接続された、第3接続部(端子20c)と、
付け捨て状態の第2回路(電線24)と接続された第4接続部(端子20d)と、を有する、リレー着脱部(リレーソケット20)と、
前記リレー着脱部に着脱可能なリレー(プラグインリレー10A、又は10B)と、
を備えた車両用回路体(ワイヤハーネスW/H)。
【0081】
上記[1]の構成の車両用回路体によれば、リレー着脱部に装着したリレーを経由する経路を利用して、電源回路の電源電力を電装機器に供給できる。リレーはリレー着脱部に着脱自在であるため、リレー着脱部に装着するリレーの種類を変更することは容易である。リレー着脱部に装着したリレーを制御することで、電装機器への電源電力供給の有無を制御できる。これにより、後付けで制御機能を追加する場合に、取り付けや加工などの作業を最小限に減らすことが可能になる。
【0082】
具体的には、リレーは、リレー着脱部に着脱可能であるため、必要に応じて2種類のリレーを使い分けることができる。例えば、工場出荷時に常時閉回路接点を有するリレーをリレー着脱部に取り付けておくことで、第1接続部と第2接続部との間が常時接続状態になるので、第2接続部の下流側の既存の電装機器に対する電源電力供給機能が阻害されることがない。また、リレーを、工場出荷後に、常時開回路接点を有する別のリレーに取り替えることで、第2接続部の下流側の電装機器に対する電源電力供給のオンオフを、リレーに対する制御により切り替える事が可能になる。したがって、車両出荷後に、リレーを差替え、かつ、所望の追加制御ユニットを第4接続部に接続する、という作業を行うだけで、容易に、既存の電装機器を追加制御ユニットで制御可能となる。
【0083】
[2] 前記リレー着脱部は、常時閉回路接点の第1リレー(プラグインリレー10A)及び常時開回路接点の第2リレー(プラグインリレー10B)の2種類の互いに共通の端子形状を有する前記リレーの選択的装着を許容し、
前記リレー着脱部に前記第2リレーが装着された状態において、前記第4接続部は前記電装機器(32)を制御対象とする追加制御ユニット(40)との接続を許容する、
上記[1]に記載の車両用回路体。
【0084】
上記[2]の構成の車両用回路体によれば、リレー着脱部に第1リレーを装着することで、第1リレーを制御する回路が付け捨て状態であっても、第1リレーの常時閉回路接点を経由して、電装機器に電源電力を常時供給可能になる。また、リレー着脱部に第2リレーを装着し、第4接続部に前記追加制御ユニットを接続することで、電装機器への電源電力供給を第2リレーの常時開回路接点を利用して制御可能になる。
【0085】
[3] 前記リレー着脱部は、常時閉回路接点の第1リレー(プラグインリレー10A)及び常時開回路接点の第2リレー(プラグインリレー10B)の2種類の互いに共通の端子形状を有する前記リレーの選択的装着を許容し、
前記リレー着脱部に前記第2リレーが装着された状態において、
前記第2リレーは、そのコイル(電気コイル12)の上流側端子(リレー端子10c)が前記第3接続部(端子20c)に接続され、前記コイルの下流側端子(リレー端子10d)が前記第4接続部(端子20d)に接続され、
前記第4接続部は、前記電装機器を制御する追加制御ユニット(40)に接続される、
上記[1]に記載の車両用回路体。
【0086】
上記[3]の構成の車両用回路体によれば、車両を工場から出荷した後で、所望の追加制御ユニットを後付けで車両に搭載する場合に、簡単な接続作業だけで追加制御ユニットを装着できる。
【0087】
[4] 車両用ワイヤハーネス(ワイヤハーネスW/H)にその一部分を構成する回路として組み込まれた、
上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の車両用回路体。
【0088】
上記[4]の構成の車両用回路体によれば、車両に既に搭載されている電装機器を制御するための新たな機能を、車両を工場から出荷した後で追加したい場合に、ワイヤハーネスに対する加工や接続などの作業を最小限に減らすことが可能になる。
【0089】
[5] 車両上の電源回路(車載電源31)と前記車両に搭載された電装機器(32)の電源入力回路(電源入力端子32a)との間の回路接続を開閉するスイッチ回路(リレー15)の制御に用いられる第1接続部および第2接続部(端子20a、20b)と、
前記車両上の所定の電源回路(車載電源31)と接続された、又は、付け捨て状態の第1回路(電線22)と接続された、第3接続部(端子20c)と、
付け捨て状態の第2回路(電線24)と接続された第4接続部(端子20d)と、を有する、リレー着脱部(リレーソケット20)と、
前記リレー着脱部に着脱可能なリレー(プラグインリレー10A、又は10B)と、
を備えた車両用回路体(ワイヤハーネスW/H)。
【0090】
上記[5]の構成の車両用回路体によれば、スイッチ回路を経由する経路を利用して、電源回路の電源電力を電装機器に供給できる。また、リレー着脱部に装着したリレーを経由する経路を利用して、スイッチ回路の状態を制御できる。また、リレーはリレー着脱部に着脱自在であるため、リレー着脱部に装着するリレーの種類を変更することは容易である。リレー着脱部に装着したリレーを制御することで、スイッチ回路を制御し、電装機器への電源電力供給の有無を制御できる。これにより、後付けで制御機能を追加する場合に、取り付けや加工などの作業を最小限に減らすことが可能になる。
【符号の説明】
【0091】
10A,10B プラグインリレー
10a,10b,10c,10d リレー端子
11A 常時閉路接点
11B 常時開路接点
12 電気コイル
15 リレー
16 常時開路接点
17 電気コイル
20 リレーソケット
20a,20b,20c,20d 端子
21,21A,21B,22,22A,23,23A,24 電線
22a 端子
26,27 電線
31 車載電源
31a,31b,31e 電源出力端子
31c グランド端子
32 電装機器
32a 電源入力端子
33 グランド
40 追加制御ユニット
40a 制御出力端子
41 電線
45 制御ユニット
45a 電源入力端子
45b 制御出力端子
46,47 電線
RB リレーボックス
W/H ワイヤハーネス