(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148462
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】サイフォン送水装置及びそれを使用したサイフォン送水工法。
(51)【国際特許分類】
E02B 7/18 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
E02B7/18
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061627
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】391028155
【氏名又は名称】株式会社山辰組
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 和三
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 健
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 剛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水中ポンプや注水合流部材等のサイフォン起動送水部を1条配管のサイフォン送水管(ホース)の上流端にまとめて収納用枠組内にサイフォン起動送水部として収納し、収納用枠組を移動することを可能としてサイフォン送水管に直接サイフォン起動送水部の荷重が掛かることを防止する装置を提供する。
【解決手段】サイフォン送水装置は、送水機器20、サイフォン吸水口11a、送水機器接続管12、サイフォン送水管13、注水合流部材30を備え、高水位域にある貯水部の水を高水位域より低所に位置する低地域に移動させる収納式のサイフォン送水装置において、送水機器20、サイフォン吸水口11a、送水機器接続管12、注水合流部材30が、収納用枠組内にサイフォン起動送水部として収納され固定された状態で移動して貯水部内に配置されることから構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製された注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部に直接又は送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の下流側の1つの開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以下の場合にサイフォン単独で使用することを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項2】
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製された注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部に直接又は送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の下流側の1つの開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以上の場合にサイフォン送水機能と送水機器の機能とを併用して使用することを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項3】
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製された注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部にサイフォン逆流防止部材と送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の下流側の1つの開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部のうち、サイフォン逆流防止部材を空中に、かつ少なくとも送水機器とサイフォン吸水口を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以下の場合にサイフォン単独で使用することを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記サイフォン吸水口には、サイフォン吸水用防塵カゴが備えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
【請求項5】
前記送水機器、前記サイフォン吸水口、前記サイフォン吸水用防塵カゴ、前記送水機器接続管、前記サイフォン送水管、前記注水合流部材から選択されるサイフォン起動送水部を構成するのに必要な組み合わせでサイフォン起動送水部を一体に構成し、収納用枠組内に収納されて固定された状態で前記貯水部の水中に配置されることを特徴とする請求項4に記載のサイフォン送水装置。
【請求項6】
前記収納用枠組は、壁面天端等からの吊下げ用に略矩形に形成された表側収納用吊下げ用枠組と、吊下げた際に壁面側に配置される壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組と、これらを所定の間隔を空けて連結する連結枠組と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項7】
前記収納用枠組の前記壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組の表面側には、エキスパンドメタル状の格子目状又は網目状の部材固定用基礎部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のサイフォン送水装置。
【請求項8】
前記収納用枠組を箱状に構成した6面の全表面に格子形状の鋼製枠又は網形状のエキスパンドメタルを固定し、これらの網目がサイフォン起動送水部の吸水作業によるゴミの吸入を防ぐことを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項9】
前記壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組には、壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組を補強すると同時に、前記サイフォン起動送水部を収納用枠組に配置し固定する際に、水平な地面に壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組を下面となるように仮置きした場合に、地面と部材固定用基礎部材との間に空間を生じさせる吊下げ用枠組補強部材が架設されていることを特徴とする請求項6に記載のサイフォン送水装置。
【請求項10】
前記収納用枠組には、前記収納用枠組を吊下げるときに使用する吊下げ用フックが設けられていることを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項11】
前記サイフォン送水装置の下流端に設ける吐出口には柔軟な材質からなるホース状の空気逆流防止部材が備えられていることを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置を使用して、高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させることを特徴とする送水工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイフォン送水作業に必要なサイフォン送水装置を構成するのに必要な各種注水用部材や吸水用部材をサイフォン管(ホース)の最上流部で送水機器による注水部とサイフォン吸水部を組み合わせて一体化してサイフォン起動送水部を構成し、サイフォン起動送水部を高水域の貯水部内に浸漬し、サイフォン起動送水部を構成する注水合流部材の下流部と連結されたサイフォン送水管(ホース)が配管の最高部を経て低水位域の吐出口まで敷設され、湛水池が直壁で構成されている場合はサイフォン起動送水部を直壁天端などから吊下げて敷設するための収納用枠組内に組み合わせたサイフォン起動送水部を固定して収納用枠組本体を吊下げるサイフォン送水装置及びサイフォン送水工法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイフォン送水装置は、高水位域にある貯水部と低地域との間に管状部材を架設して、サイフォン作用によって高水位域にある貯水部の水を低地域に送水するためのものである。本発明者は、サイフォン作用を起動し稼働させる部材の一つして、注水合流部材を提案している(特許文献1)。
【0003】
本発明者は送水機器に直接サイフォン送水管(ホースを含む)を接続して送水し、送水管内が満水状態で流れるようになったら送水機器の電源を停止してサイフォン作用に切替わるサイフォン送水装置を考案して特許を取得している。しかし、このサイフォン送水装置は送水機器として水中ポンプを使用しており、サイフォン送水作用に切替わった後は送水機器(水中ポンプ)がサイフォン吸水部となるためサイフォン稼働中に水中ポンプの吸水部に設けられるストレーナの小さな孔にゴミが吸い付くと送水が停止することになり、ゴミを取り除く維持作業が欠かせず煩わしかった。そこで、配管の最高部に配置する「Y」の字形状の注水合流部材を開発した。この注水合流部材は、上流側の二股の一方に送水機器からの注水を流す注水用管(ホース)を連結し、他方にサイフォン吸水管(ホース)を連結しYの字状に合流させて下流側にサイフォン送水管(ホース)を連結して送水する構造となっている。この送水装置にかかる構造の特徴の1つは、送水装置の注水管とサイフォンの吸水管が別々に構成され、サイフォン吸水口のストレーナの取り付けの必要をなくしたため、サイフォン吸水口を大きく開いて開放することができたので、サイフォン吸水中にゴミが吸水孔に詰まることをなくすことができた点である。サイフォン作用は揚程7mを超えるとサイフォン単独での送水作用が困難であるため、本発明者はその場合にはサイフォン作用に送水機器を併用して注水合流部材に注水することでサイフォン作用を高揚程でも持続させることができることを発見し特許を取得している。
【0004】
特許文献1にかかるサイフォン送水装置を使用する場合は、送水機器、サイフォン吸水管、吸水用防塵カゴ、送水機器接続管、サイフォン送水管、注水合流部材及び、逆流防止装置等サイフォン送水装置として必要な部材を組み合わせる前の状態で現地に搬入し、現地で組み合わせて貯水部などに順番に浸漬けして設置し使用していた。そのため、始めて使用する現場では組み立て経験者などが組み立て手順などの技術指導をしなければ組み立てが難しかった。また、
図12に示すように、略「Y」の字形状、又はカタカナの「ト」の字形状の注水合流部材130を配管の最高部付近に設置する構成としていたため、貯水池101の水中から注水合流部材130までの間には水中ポンプ注水用ホース140とサイフォン吸水用ホース150の2本のホースを注水合流部材130の二股のそれぞれの開口部に連結していた。
【0005】
また、特許文献1にかかるサイフォン送水装置は、また、各部材は連結していても、個々の部材を組み立てた全体構成とした形状で固定できていなかったため、垂直壁面又は垂直に近い壁面に対して設置する場合は、水中ポンプなど送水機器、注水合流部材などサイフォン送水装置の各部材のそれぞれにワイヤーロープ等の吊下げ用ロープの長さを調節したロープを取付け、さらに例えば、タンパックルなどの長さ調節部材を用いて各部材に均等に荷重がかかるようにして吊下げたり、設置に必要な足場材やアンカー材、固定用資材などを使用したりして以下のように設置していた。
【0006】
まず、空中の壁面に配管するには、
図13に示すように、まず、壁面にアンカーを打ち込んで足場202を組んで固定し、作業員がこの足場202を使用して、ホース、管状部材等の配管材203の配管作業を行う。次いで、連結用継手204を使用して壁面にアンカー孔を削孔して配管材の固定用アンカー205を打ち込んで配管材203を固定する。こうした作業を繰り返して、所定長さの配管材203を順番に連結し、配管延長を伸ばしていく。こうした作業工程は、施工費用が高額になるという欠点があった。
【0007】
次に、水中の垂直壁面に配管する場合には、
図13のように、潜水夫によって、水中の壁面を削孔してアンカー孔を設けて、それにケミカルアンカー(登録商標)などの充填剤を使用して配管用アンカー206を施工する。連結用継手204を使用して所定長さの配管材203を順番に連結し、配管延長を伸ばしていく。こうした、水中でのアンカー孔削孔作業は想像以上に厳しい作業で、特定の資格者しか施工することができないため施工費用が多大となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、まず、揚程が7m以上ある状態でサイフォンと送水機器を併用することができるようにするため、配管の最高部に配置していた「Y」の字形状の注水合流部材の二股の一方に送水機器を直接又は送水機器接続管を介して連結する構造とした。この構造にすることで他方のサイフォン吸水管(ホース)も水中に配置されることとなるため揚程7m以下に限定されることなくサイフォン作用を起動させることができることができる。つまり、揚程が7m以上の場合であっても、それ以上の揚程への送水機能を有する送水機器を起動することで、揚程7mを超えた配管の最高部以上に注水することができるため、最高部を通過した水が下流端の吐出し口に到達すると同時に、注水合流部材の二股の他方に設けたサイフォン吸水管(ホース)からのサイフォン吸水作用が起動するため、送水機器とサイフォン送水作業併用の送水作業により送水量が大幅に増量することとなる。この増水量の目安としては、各水中ポンプメーカーが示す送水機能曲線で見ると、例えば鶴見製作所製水中ポンプKTZ43.7の場合、実際には揚程が10mある現場でサイフォンと水中ポンプを併用で送水作業を実施する場合、水中ポンプ単独の場合の送水量は1.0m3/minであるが、サイフォン作用と併用すると10m-7m(限界揚程)=3mとなるため、グラフから揚程3mの送水機能の数値を読み取ると1.4m3/minとなり、1台の水中ポンプを稼働して1.4倍の送水量とすることができることとなる。サイフォン作用を起動させる際に揚程が7m以下であれば、送水機器を停止すれば注水合流部材の内部の切替弁の機能により自動的にサイフォンの流れが起動することとなる。また、揚程が7m以上の場合は送水機器との併用を続けることでサイフォン作用との併用の送水作業が実施できる。このサイフォンと送水機器との併用の送水作業での一例として、あるダムでの工事に伴う送水作業の送水量の試算では口径200mmの水中ポンプを単独で使用した場合、23台の水中ポンプを6ヶ月間稼働させなければならなかったのが、同じ200mmサイフォンと水中ポンプを併用すると13台で同じ流量の送水作業ができることとなった。23台の水中ポンプを稼働し続ける場合の燃料代とサイフォン併用で13台を稼働するだけで水中ポンプ23台分の送水作業をすることができるため燃料代が大幅に軽減されることとなった。また、注水合流部材を水中に配置するようにしたことで、先の特許技術では、必ず必要であった水中から注水合流部材までの間の2本のホースは不要となり1本で構成することができることとなった。注水合流部材の上流側の二股部の一方の開口部の連結部に送水機器を直接又は送水機器接続管を介して連結し、他方の開口部の連結部には必要に応じて吸水用防塵カゴを備えたサイフォン吸水部とを連結し、注水合流部材の下流側の1つの開口部となる連結部には送水機器による注水やサイフォン吸水した水を送水するサイフォン送水管(ホース)を連結して延伸し、配管の最高部を経て下流側の吐出口まで1本の送水ホースで構成することができるため、送水ホースの資材の省略を達成できることとなった。また、これら水中ポンプや注水合流部材等のサイフォン起動送水部材をまとめて収納用枠組内でサイフォン送水装置として組み立てた状態で全ての部材を固定した収納用枠組をそのまま貯水部に浸漬けするサイフォン送水装置及びサイフォン送水工法とした。貯水部内の法面が緩い勾配の場合は収納用枠組のまま法面上に載置して水中に設置するか、収納用枠組にフロートを取付けて、水位が変動しても一定の水深に浮遊するようにして岸辺から離れた任意の位置にクレーン等を使用して設置する方法をとることができる。また、垂直壁面又は垂直に近い壁面に対して設置する場合は収納用枠組の中にサイフォン起動送水部材を固定して、そのまま収納用枠組をワイヤーロープ等で吊下げる方法で吊下げた収納用枠組方式としたサイフォン送水装置、並びにこの吊下げ収納用枠組を採用したサイフォン送水装置を使用した送水工法を提案することによって、従来必要とした足場材やその組み立作業、送水管の壁面への固定作業などを省略して施工期間の工期短縮及び施工費用の削減を図ることができる。また、出荷元で収納用枠組内にサイフォン送水装置の必要部材を組み立てて固定した収納用枠組ごと出荷することで、現地での組み立て作業などの技術指導に出掛けなくても良いこととなることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明にかかるサイフォン送水装置は、
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製された注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部に直接又は送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以下の場合にサイフォン単独で使用することを特徴とする。
【0011】
揚程7m以下の場合は、送水機器によりサイフォン送水管内に水で満たされた後、送水機器を停止すれば注水合流部材の内部の切替弁の機能により自動的にサイフォンの流れが起動する。
【0012】
また、本発明にかかる送水装置は、高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製された注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部に直接又は送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以上の場合にサイフォン送水機能と送水機器の機能とを併用して使用することを特徴とする。
【0013】
揚程が7m以上ある状態でサイフォンと送水機器を併用することができるようにするため、配管の最高部に配置していた「Y」の字形状の注水合流部材の二股の一方に送水機器を直接又は送水機器接続管を介して連結する構造とした。この構造にすることで他方のサイフォン吸水管(ホース)も水中に配置されることとなるため揚程7m以下に限定されることなくサイフォン作用を起動させることができる。
【0014】
また、本発明にかかる送水装置は、高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製された注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部にサイフォン逆流防止部材と送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部のうち、サイフォン逆流防止部材を空中に、かつ少なくとも送水機器とサイフォン吸水口を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以下の場合にサイフォン単独で使用することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる送水装置は、サイフォン逆流防止部材を有しており、このサイフォン逆流防止部材を空中に設置してある。このように設置することで、このサイフォン逆流防止部材が組合わされていることで揚程が7m以下で、尚且つ水中ポンプより上流側が空気中にある状態でサイフォン送水管内が満水で流れるようにして水中ポンプを停止するとサイフォン逆流防止部材が大気圧により収縮させられて水中ポンプの流れを遮断するとともに、サイフォン吸水した流れが水中ポンプ側へ流入することを防止する働きをする。
【0016】
さらに、本発明にかかる送水装置において、前記送水機器、前記サイフォン吸水口、前記サイフォン吸水用防塵カゴ、前記送水機器接続管、前記サイフォン送水管、前記注水合流部材から選択されるサイフォン起動送水部を構成するのに必要な組み合わせでサイフォン起動送水部を一体に構成し、収納用枠組内に収納されて固定された状態で前記貯水部の水中に配置されることを特徴とするものであってもよい。
【0017】
本発明にかかる収納用枠組自体を吊下げる方式のサイフォン送水装置によれば、サイフォンの起動に必要な送水機器、サイフォン吸水管,送水機器接続管、注水合流部材及び逆流防止装置等の内の必要な部材をサイフォン起動送水装置としてサイフォン送水部材が吊下げ用の収納用枠組内で組み立てて固定されているので、吊下げ用の収納用枠組自体を吊下げながら貯水部内に配置することができる。よって、垂直壁面又は垂直に近い壁面を有する高水位域に送水ホース自体に各種サイフォン部材がぶら下がるような状態となってその荷重によりホースが引きちぎられて損傷することを避けることができるため、容易かつ安全にしかも迅速にサイフォン起動送水部を設置することができる。
【0018】
また、本発明にかかる吊下げ式サイフォン送水装置において、前記吊下げ用の収納用枠組は、略矩形に形成された表側吊下げ用枠組と、吊下げた際に壁面側に配置される壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組と、これらを所定の間隔を空けて連結する連結枠組と、を備えていることを特徴とするものであってもよい。枠組によってサイフォン起動送水部の外部を保護するような箱状に吊下げ用の収納用枠組を作製することによって、サイフォン送水機材を確実に保護し、吊下げ時における壁面への衝突からサイフォン起動送水部が損傷することを防止することができる。
【0019】
さらに、本発明にかかる吊下げ式サイフォン送水装置において、前記収納用枠組の前記壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組には、エキスパンドメタル状の格子目状又は網目状の部材固定用基礎部材が設けられていることを特徴とするものであってもよい。部材固定用基礎部材を取付けることによって、針金若しくは樹脂製又は金属製の結束バンド等の締結部材によって、それぞれのサイフォン起動送水部を構成する水中ポンプや注水合流部材、サイフォン吸水部、サイフォン吸水部の吸水用防塵カゴ等の各部材を吊下げ用の収納用枠組の配置したい位置に確実に固定することができる。
【0020】
さらに、吊下げ用の収納用枠組を箱状に構成した6面の全表面に格子形状の鋼製枠や、網形状のエキスパンドメタル等を貼り付けることで、その網目状が各種サイフォン用部材を吊下げ用の収納用枠組内に固定する際の結束用のアンカーの役目を果たすことと併せて送水機器やサイフォン吸水部の吸水作業によるゴミの吸入を防ぐことができる。
【0021】
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組には、壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組を補強すると同時に前記サイフォン送水機材を収納用枠組に配置し固定するために水平な地面に据え付けた場合に、地面と部材固定用基礎部材との間に空間を生じさせる吊下げ用衝撃防護型枠組補強部材が架設されていることを特徴とするものであってもよい。かかる吊下げ用枠組補強部材を設けることによって、吊下げ用枠組補強部材を地面などの平らな場所の面に接する形で仮置きして、サイフォン送水装置を構成する水中ポンプや注水合流部材、サイフォン吸水部、サイフォン吸水部の吸水用防塵カゴ等の各部材を吊下げ用の収納用枠組の配置したい位置に確実に固定する場合に、エキスパンドメタルの任意の網目の位置に各部材を配置して番線(針金)若しくは樹脂製又は金属製の結束バンド等の締結部材で固定する際に吊下げ用枠組補強部材により地面とエキスパンドメタルの間に空間を設けられることになるため、締結バンドなどの結束部材の先端をエキスパンドメタルの表側から地面側、地面側から表側へ通す作業が容易となる。つまり固定しようとするサイフォン部材を締結部材で固定する際に締結部材の先端をエキスパンドメタルの網目を通して地面側に出してから隣接付近の網目に折り返してサイフォン各部材を結束する表側に容易に折り返すことができることとなる。また、サイフォン送水装置の吊下げ用の収納用枠組の強度を向上させることができるとともに、吊下げ用枠組補強部材を壁面側に設けることによって、吊下げ用の収納用枠組が壁面に衝突した場合であってもはじめに吊下げ用枠組補強部材が衝突することによって、吊下げ用の収納用枠組の枠組材部分からなる本体が損傷することを防止又は軽減することができる。
【0022】
さらに、本発明にかかる吊下げ式サイフォン送水装置において、前記吊下げ用の収納用枠組には、前記吊下げ用の収納用枠組を吊下げるときに使用する吊下げ用フックが設けられていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、ワイヤ等を吊下げ用フックに引っ掛けることで容易に吊下げ用の収納用枠組本体を吊下げることができる。
【0023】
さらに、本発明にかかる吊下げ式サイフォン送水装置を使用した送水工法を提供する。すなわち本発明にかかる送水工法は、上述した吊下げ式サイフォン送水装置を使用して、高水位域にある貯水部の水を低所に位置する低地域に移動させることを特徴とする。かかる送水工法によれば、設置が容易で設置費用を削減でき、工期を短縮して迅速に設置して吊下げ式サイフォン送水装置を構築して送水を行うことができる。また、吊下げ用の収納用枠組にサイフォンを構成する各部材を固定して一体化した吊下げ用の収納用枠組をワイヤーロープで吊下げる構成のため、水中ポンプや注水合流部材が送水管(送水ホース)部材にぶら下がる状態にならないため送水管(送水ホース)部材の損傷を防ぐことができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100のサイフォン起動送水部の構成の概略を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の注水合流部材30の構成の概略を示す側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の注水合流部材30の別実施形態の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100において、空気逆流防止部材を設置した状態を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吊下げ用の収納用枠組90の構成の概略を示す正面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吊下げ用の収納用枠組90の構成の概略を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す正面図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態にかかるサイフォン送水装置100に使用される収納用枠組の構成の概略を示す正面図である。
【
図12】
図12は。従来にかかるサイフォン送水装置101の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、従来のサイフォン送水装置を垂直壁面又は垂直面に近い壁面に設置する方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
次に第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100について図に従って詳細に説明する。第1実施形態にかかる収納用枠組型のサイフォン送水装置100の概略が
図1に示されている。
図2は、
図1のA部の拡大図であり、サイフォン送水装置100を構成する各種部材の内、貯水部1側に配置されるサイフォン起動送水部14の組み合わせ図である。なお、サイフォン起動送水部14とは、サイフォンの起動に必要な部材のうち、貯水部1内に配置される部材の組み合わせをいい、送水機器20、サイフォン吸水口11a、送水機器接続管12、注水合流部材30及びサイフォン吸水用防塵カゴ15から選択されるものを指す。
【0026】
第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、
図1及び
図2に示すように、主として、サイフォン送水装置100を起動するための水中ポンプ等の送水機器20と、上流域又は高水域の貯水部1の水を吸水するサイフォン吸水口11aを有するサイフォン吸水管11、送水機器20に接続された送水機器接続管12及び下流側に配置されるサイフォン送水管13と、これら管を接続する二股の注水合流部材30と、を備えている。本実施形態では送水機器20、サイフォン吸水口11a、送水機器接続管12及び注水合流部材30が高水位域の貯水部1内に配置され、これらがサイフォン起動送水部材14を構成する。サイフォン送水管13は一部が貯水部1内に配置され、サイフォン作用を発揮することができるように、サイフォン送水管13の吐出口13aは貯水部1の水位1aより低い位置に設置される。
【0027】
注水合流部材30は、上流側の一方側の開口である第1開口部37にはサイフォン吸水管11が接続され、他方側の開口である第2開口部38には送水機器接続管12を介して又は直接に送水機器20と接続されている。サイフォン送水装置100のうち、貯水部1内に配置される各部材(サイフォン起動送水部材14)は、組み立てた後その全体を水中に浸漬して使用される。
【0028】
サイフォン送水作業に使用されるサイフォン吸水管11、送水機器接続管12及びサイフォン送水管13等の管部材は、容易に断面形状が変形することがない硬質のホース又は管材が使用される。硬質な素材を使用したホースの例としては、一般的にいわれるサクションホース、硬質ポリエチレンや塩化ビニール等のホース、鋼管などが挙げられる。サイフォン吸水管11は、上流域又は高水域であるプール、池、沼、河、ダム等の貯水部1に配置されている。先端のサイフォン吸水口11aにはサイフォン吸水用防塵カゴ15が設けられている。
【0029】
送水機器20は、電気によって稼働する送水機能を有するポンプであり、送水機器接続管12の先端に取付けられる。発電機又は系統の電源を引き込んだ配電盤のスイッチ(図示しない。)によって送水機器20のオン/オフを行うことができる。
【0030】
注水合流部材30は、
図3に示すように、上流側が二股に形成されており、サイフォン吸水管11と接続する第1開口部37、送水機器接続管12と接続する第2開口部38及びサイフォン送水管13と接続する第3開口部39とを備えている。注水合流部材30は、第1開口部37と第2開口部38の水路が鋭角に合流するように形成される。例えば、
図3に示すようにアルファベットの略Y字形状、又は
図4に示すようにカタカナの略トの字形状に形成される。注水合流部材30のそれぞれの開口部(37~39)の端部は接続機能があるフランジを備えており、
図2に示すように、フランジを利用して開口部(37~39)と管を容易かつ堅固に接続することができる。なお、本実施形態に使用される注水合流部材30は、水中に浸漬されているため、製作するにあたり溶接個所の気密性が完全でなく製作した場合でも溶接の空隙部から空気を吸うのではなく水を吸い込むためサイフォン作用には全く影響が生ずることはなくサイフォン作用を続けることができる。
【0031】
第1開口部37と第2開口部38との合流点の内側には、
図3に示すように切替弁35を備えている。この切替弁35により第1開口部37側からの水の流れを第2開口部38側へ流れ込むことを防止したり、第2開口部38側からの流れを第1開口部37側へ流れ込むことを防止したりする効果がある。また、切替弁35は第1開口部37と第2開口部38の両方から水が流れてくる場合は、それぞれの開口部側から流れて来て合流するそれぞれの流量と流速に反応して切替弁の角度がその割合で移動することとなる。
【0032】
また、注水合流部材30は、略「Y」の字形状の他、
図4に示すように、直管形状のサイフォン主管部材31の側面に送水機器注水用側方管部材32を合流させて取付けたカタカナの「ト」の字形状の構造であってもよい。この送水機器注水用側方管部材32は、直管形状のサイフォン主管部材31の側面に合流部を設けるために切り欠いた際に発生する合流部切欠片33を、送水機器注水用側方管部材32との合流部に蝶番等によってサイフォン主管部材31の側面の開口部を開閉可能に取付けるとよい。サイフォン主管部材31の合流部を切欠いた際に発生する合流部切欠片33は、当然、サイフォン主管部材31の側面に合流部の開口部の形状とほぼ一致するため、これを合流部の切替弁35として蝶番34を介して合流部に取付けることによって、合流部の開口の形状に合致する適切な大きさの切替弁35とすることができる。なお、切替弁35としては、直管を切り抜いた断片の再利用ではなく、新たに加工したものでも良い。
【0033】
また、サイフォン送水管13の最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材80を備えている。サイフォン停止用空気吸入部材は開閉することによって、空気をサイフォン送水管13内に入れないようにしたり供給(吸入)したりすることができる。そのため、サイフォン送水を停止したい場合には、サイフォン停止用空気吸入部材80の開口部を開放すれば、空気が開口部から吸引されサイフォン送水管13内の水を空気により分断することができ、サイフォン送水作用を停止することができる。本実施形態にかかるサイフォン送水装置は、サイフォン起動送水部材14が貯水部1内に配置されているため、貯水部1外該でサイフォンを停止させる装置として重要な部材となる。なお、以下に説明する第2実施形態~第4実施形態においてもサイフォン停止用空気吸入部材80は任意に採用することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態にかかるサイフォン送水装置によれば、以前に開発した技術を示す
図12に示すように、送水機器20やサイフォン吸水管11が設置してある水中から注水合流部材30まで水中ポンプ注水用ホース140とサイフォン吸水用ホース150の2本のホースとで2条配管で設置していたのに対し、水中から1条配管とすることができる。また、サイフォンの起動に必要な送水機器20、サイフォン吸水口11a、送水機器接続管12、注水合流部材30等のサイフォン送水機材を一箇所にまとめて貯水部1内に配置することができる。
【0035】
なお、
図5に示すように、吐出口13a又は吐出口13aの近傍に柔軟な材質からなるホースで作製されている空気逆流防止部材60を設けても良い。吐出口13aを硬質な部材で作製するとサイフォンの作用による水の水量が減少した場合に、下流側のサイフォン送水管13の吐出口13aの上方に空間ができ、そこから空気が流入して配管の最高部に達して溜まりサイフォン作用が停止してしまう可能性がある。しかし、柔軟な材質のホースからなる空気逆流防止部材60を設けることで、吐出口13aから吐き出される水量に応じて、ホースの断面が変化し、空気が逆流する空間が形成されることを防止することができる。
【0036】
第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、揚程が7m以下の場合はもちろんのこと、用途としては揚程が7m以上の場合で、現場の条件により揚程が20m以上になる場合も含まれる。このような現場条件の場合、サイフォン送水作用だけでは揚程が7mを超えると配管の最高部に負圧が生じて、配管の最高部の送水管内の水がそれぞれの自重により下流側と上流側とに分かれて流下しようとするため配管の最高部に大きな負圧が生じて水の気化現象により空洞が生じてサイフォンが停止することとなる。そこで、水中ポンプ送水作業の水圧により上流側へ流下しようとする水を配管の最高部に押し上げると、配管の最高部の空洞がなくなって送水管内に水が繋がることとなって、サイフォン送水作業が持続することとなる。つまり、揚程が7m以上ある現場では水中ポンプ送水作業を停止すると配管の最高部に空洞が生じてサイフォン作用が停止するため水中ポンプ送水作業を欠かすことはできないサイフォン送水作業となる。水中ポンプを稼働し続けるサイフォン送水方法では、コスト面や環境負荷面から見た場合に、従来の水中ポンプ工法と変わらないではないかと思われる。しかし、このサイフォンと水中ポンプを併用でサイフォン送水作業を行う方式は以下のような大きなメリットがある。試算によると揚程18mの現場で毎秒1.0m3の放流を求められている現場では、Φ200mm水中ポンプの送水量が2.85m3/minであるため22台を24時間稼働で6ヶ月間放流し続けなければならなかったが、同じくΦ200mmのサイフォン送水とΦ200mm水中ポンプ併用の送水作業では4.9m3/minの送水量を発揮するため13台の設置で済むこととなった。水中ポンプを稼働する燃料を水中ポンプ9台分889,200L(ドラム缶で4,446本分)節約することができる。また、燃料消費の軽減により温室効果ガスの発生量も2,700kgのCO2の発生を軽減することができることとなった。
【0037】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置について図に沿って説明する。第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、
図6に示すように、必要部材を収納用枠組90の中で組み立てて固定する収納用枠組型のサイフォン送水装置100である。第2実施形態にかかる収納用枠組型のサイフォン送水装置100は、
図7に示すように、主として、サイフォン送水装置100を起動するための水中ポンプ等の送水機器20と、上流域又は高水域の貯水部1の水を吸水するサイフォン吸水口11a、送水機器20に接続された送水機器接続管12及び下流側に配置されるサイフォン送水管13とからなる管と、これらを接続する注水合流部材30と、を主として備えている。第2実施形態は、サイフォン吸水口11aと、送水機器接続管12、送水機器20と、注水合流部材30、等のサイフォン起動送水部材14を収納用枠組90内に組み立てて固定しまとめて水中に浸漬けして設置する設置方式を採用している点が第1実施形態と異なる。
【0038】
本実施形態では、
図6又は
図7に示すように、サイフォン送水管13の上流側端部に注水合流部材30の第3開口部39に接続し、注水合流部材30の第1開口部37にサイフォン吸水口11aを、第2開口部38に送水機器接続管12を介して送水機器20を接続し、これらサイフォン起動送水部材14を吊下げ用の収納用枠組90内に収納して組み合わせて固定し、サイフォン起動送水部材14固定した吊下げ用の収納用枠組90を吊下げて吊下げ用の収納用枠組90全体を水中に浸漬して送水する。
【0039】
吊下げ用の収納用枠組90は、
図8に示すように、略矩形に形成された表側吊下げ用枠組91と、吊下げた際に壁面側に配置される壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組92と、これらを所定の間隔を空けて連結する連結枠組93と、を備えている。吊下げ用の収納用枠組90の大きさは、横1500cm×奥行き800cm×高さ2500cm程度に作製するとよい。もちろんこの大きさに限定するものではない。壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組92には、
図7に示すようにエキスパンドメタルやワイヤーラス等の金網94が設けられている。この金網94に、針金や金属製結束バンド等の締結用部材95を利用して、サイフォン送水機材を固定する。さらに、吊下げ用の収納用枠組を箱状に構成した6面の全表面に格子形状の鋼製枠や、網形状のエキスパンドメタル等を貼り付けることで、その網目状が各種サイフォン用部材を吊下げ用の収納用枠組90内に固定する際の結束用のアンカーの役目を果たすことと併せて送水機器やサイフォン吸水部の吸水作業によるゴミの吸入を防ぐことができることとなる。なお任意に、壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組92を補強する吊下げ用枠組補強部材96を架設してもよい。また、この吊下げ用の収納用枠組90には、吊下げ用の収納用枠組90を吊下げるときに使用する吊下げ用フック97が設けられている。
【0040】
以上のようにして、吊下げ用の収納用枠組90に組み立てて収納、固定されたサイフォン起動送水部材14は、
図6及び
図7に示すように、収納用枠組90の吊下げ用フック97に収納用枠組吊下げ用ワイヤ98Aを使用して水面下に浸漬けする。まず、配管の最高部2に作業用基礎台3を固定用アンカー4を使用して設置し、基礎面を構築した後、クレーン等の重機を利用して収納用枠組90の吊下げ用フック97を利用して垂直壁面又は垂直面に近い壁面の横を高水位域の水面に吊下げていく。この際に、吊下げ用枠組補強部材96が壁面側に向くようにして吊下げていくことによって、収納用枠組90が壁面に衝突した場合であっても、吊下げ用枠組補強部材96が先に壁面に衝突することによって吊下げ用の収納用枠組90が破損する可能性を低減することができる。なお、サイフォン送水機材をエキスパンドメタルに固定する際に、この吊下げ用枠組補強部材96が底面となるように地面に置くことによって、地面とエキスパンドメタルの間に空間を設けられることになるため、締結用部材95の先端をエキスパンドメタルの網目を通して地面側に出してから隣接付近の網目に折り返してサイフォン各部材を結束する表側に容易に折り返すことができる。また、サイフォン送水管(ホース)11にサイフォン送水機器が収納された収納用枠組90の重力が加わらないようにするため、
図6に示すように、収納用枠組90を吊るした収納用枠組吊下げ用ワイヤ98Aとは別に、サイフォン送水管13を吊上げるサイフォン送水管吊上げ用ワイヤ98Bをサイフォン送水管13の連結用金具(例えば、ターンバックル)99を利用してサイフォン送水管13の長さ以下に調節する。こうすることでサイフォン送水管13内に通水した場合でも水の重力が直接サイフォン送水管13に加わることなくサイフォン送水管13を保護することができる。収納用枠組吊下げ用ワイヤ98A、サイフォン送水管吊上げ用ワイヤ98Bの長さとサイフォン送水管13との長さの調節作業は平らな地面に、収納用枠組90、サイフォン送水管13、収納用枠組吊下げ用ワイヤ98A、サイフォン送水管ホース吊下げ用ワイヤ98Bを並べて組み合わせて長さを調節する。その後、収納用枠組吊下げ用ワイヤ98A、サイフォン送水管吊上げ用ワイヤ98Bの上端部となる箇所をクレーンを使用して完全に作業場の面から離れる高さまで吊上げて貯水部の水面上に移動し、徐々に下げて収納用枠組90が目的の位置、水深になるように設置する。その後収納用枠組吊下げ用ワイヤ98A、サイフォン送水管吊上げ用ワイヤ98Bの上端部を作業用基礎台3に固定して、サイフォン送水装置100の設置作業が完了する。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100が
図9に記載されている。上述した実施形態においては、垂直壁面又は垂直面に近い壁面に収納用枠組90に収納されたサイフォン送水機材を設置したが、これに限定されるものではなく、
図9に示すように、貯水部までなだらかな斜面からなる場合には、収納用枠組及びサイフォン送水管13にフロート70を設けて水中に配置してもよい。
【0042】
このようにフロート70を設けて設置する場合においても、サイフォンに必要な機材が収納用枠組90内に組み立てて収納されているので、容易かつ迅速にサイフォン送水装置100を設置することが可能となる。
【0043】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態にかかるサイフォン送水装置の構成の概略を示す正面図が図示されている。第4実施形態は、第1実施形態にかかるサイフォン送水部材の組み合わせに、さらに、サイフォン逆流防止部材40と延伸用のサイフォン吸水管11を加えて組み合わせる方式を採用している。第4実施形態は、揚程が7m以下の場合に使用される。
【0044】
第4実施形態では、
図11に示すように、サイフォン送水管13の上流側端部に注水合流部材30の第3開口部39に接続し、注水合流部材30の第1開口部37にサイフォン吸水管11を、第2開口部38にサイフォン逆流防止部材40と送水機器接続管12を介して送水機器20を接続し、これらを吊下げ用の収納用枠組90内に収納して固定する組み合わせ方式により送水機器を含めて上流部を水中へ浸漬する。本実施形態では、サイフォン用各部材の内、サイフォン逆流防止部材40が組合わされているため、それらの組み合わせ長さを揃えるために延伸用のサイフォン吸水管11が組合わされている。このサイフォン逆流防止部材40が組合わされていることで揚程が7m以下で尚且つ水中ポンプより上流側が空気中にある状態でサイフォン送水管13内が満水で流れるようにして水中ポンプを停止するとサイフォン逆流防止部材40が大気圧により収縮させられて水中ポンプの流れを遮断するとともに、サイフォン吸水組み合わせが水中ポンプ側へ流入することを防止する働きをすることとなる。なお、吊下げ用の収納用枠組90はなくてもよい。
【0045】
この第4実施形態のように注水合流部材30が空気中に配置される場合は、サイフォン逆流防止部材40を設けると良い。サイフォン逆流防止部材40は、
図11に示すように、注水合流部材30と送水機器接続管12との間に設けられ、送水機器20側へ水が逆流するのを防止するために設けられる。サイフォン逆流防止部材40は、軟質の素材で作製されたホースからなる。このサイフォン逆流防止部材40は、送水機器20からの電力による強制的な送水がオフになり、配管の最高部2より下流側に配置されたサイフォン送水管13内の水が位置エネルギー(重力)により下流側先端の吐出口13aの方向へ流下する際にサイフォン吸水管11内の水を下流側に引き込んで流れるため、サイフォン吸水管11の上流端部のサイフォン吸水口11aから貯水部1の水がサイフォン吸水管11内へ吸い込まれる。この際に、注水合流部材30内を通過する際にサイフォン逆流防止部材40内が閉塞されておらず空洞状態であると送水機器20側へ水が回り込み、水は送水機器20を通過して貯水部1へ戻ってしまうことになる。この際に、サイフォン逆流防止部材40を軟質の素材で作製されたホースで作製すると、サイフォン送水管13内への注水作業を停止すると、送水機器接続管12内とサイフォン逆流防止部材40内の水が重力により貯水部1へ戻るため、軟質の素材で作製されたサイフォン逆流防止部材40のホース材がサイフォン逆流防止部材40内の負圧及び外部の水圧によってサイフォン逆流防止部材40のホースが閉塞することによって、サイフォンによる流水が注水合流部材30内へ差し掛かってもポンプ方向(貯水部1)へ逆流することを防止する。
【0046】
また、サイフォン逆流防止部材40はサイフォン送水作業を起動する際に重要な役割を果たす。本発明にかかる吊下げ式のサイフォン送水装置100は、送水機器接続管12と接続された送水機器20を使用してサイフォン逆流防止部材40と注水合流部材30を介してサイフォン送水管13内へ注水作業を行う。サイフォン送水管13内が満水状態で流れるようになったら送水機器20を停止して送水作業を停止する。送水機器20からの流れを停止すると柔軟性のある素材で構成されているサイフォン逆流防止部材40内の水は送水機器接続管12内の水と共に上流側の貯水部1へ流下し戻ろうとする。そのためサイフォン逆流防止部材40内が負圧となるのと併せて貯水部1の水圧に押されて閉塞することとなる。この作用により、送水機器20から注水された水がサイフォン送管13の配管の最高部2から下流側に位置するサイフォン送水管13内の水が位置エネルギーにより下流側の吐出口13aに向かって流下する。この流れが上流部のサイフォン吸水口11aから貯水部1の水をサイフォン吸水管11内へ吸水する作用を働かせることとなる。この作用が働く際に注水合流部材30に流れ込んだ水が他方側に接続されているサイフォン逆流防止部材40の方向へ水が流れると水は貯水部1に戻ることとなるがこれがサイフォン逆流防止部材40で防止されているため、これによりサイフォン吸水された水が注水合流部材30内でサイフォン逆流防止部材40の方向へ向きを変えて流れることなく、下流方向の吐出口13aの方向へ流れることができる。
【0047】
また、直管形状のサイフォン主管部材31の側面に送水機器注水用側方管部材32を合流させて取付けた構造になっている注水合流部材30は、二股状を形成するサイフォン主管部材31と送水機器注水用側方管部材32の上流側開口部にサイフォン逆流防止部材40を設けてある。サイフォン起動時には、サイフォン吸水側の切替弁35を閉じておき、送水機器20からの水を注水する。低地域側からの排水が確認されたら、送水機器の注水を閉じることで、サイフォン吸水側の切替弁35が開くことでサイフォンによる送水が起動する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述した実施の形態で示すように、河川、湖沼、土砂ダムや氷河湖等の貯水部の水を安全に安価に効率よく排水する装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…貯水部、1a…水位、2…最高部、3…作業用基礎台、4…固定用アンカー、11…サイフォン吸水管、11a…サイフォン吸水口、12…送水機器接続管、12A…サイフォン逆流防止部材、13…サイフォン送水管、13a…吐出口、14…サイフォン起動送水部材、15…サイフォン吸水用防塵カゴ、20…送水機器、30…注水合流部材、31…サイフォン主管部材、32…送水機器注水用側方管部材、33…合流部切欠片、34…蝶番、35…切替弁、37…第1開口部、38…第2開口部、39…第3開口部、40…サイフォン逆流防止部材、60…空気逆流防止部材、70…フロート、80…サイフォン停止用空気吸入部材、90…収納用枠組、91…表側吊下げ用枠組、92…壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組、93…連結枠組、94…金網、95…締結用部材、96…吊下げ用枠組補強部材、97…吊下げ用フック、98A…収納用枠組吊下げ用ワイヤ、98B…サイフォン送水管吊上げ用ワイヤ、99…連結用金具、100…サイフォン送水装置、101…貯水池、130…注水合流部材、140…水中ポンプ注水用ホース、150…サイフォン吸水用ホース、202…足場、203…配管材、204…連結用継手、205…固定用アンカー、206…配管用アンカー
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製され、上流側の二股の2つの開口部との合流点の内側には切替弁を有する注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部に直接又は送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の下流側の1つの開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以下の場合にサイフォン単独で使用することを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項2】
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製され、、上流側の二股の2つの開口部との合流点の内側には切替弁を有する注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部に直接又は送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の下流側の1つの開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以上の場合にサイフォン送水機能と送水機器の機能とを併用して使用することを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項3】
高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置において、
略「Y」の字形状又は略カタカナの「ト」の字形状に作製され、、上流側の二股の2つの開口部との合流点の内側には切替弁を有する注水合流部材と、前記注水合流部材の上流側の二股の一方の開口部にサイフォン逆流防止部材と送水機器接続管を介して接続された送水機器と、他方の開口部に接続されたサイフォン吸水口と、を一体にしたサイフォン起動送水部と、
前記注水合流部材の下流側の1つの開口部には、1条配管で配管の最高部を経て下流部の吐出口まで延伸設置されるサイフォン送水管を備え、前記サイフォン送水管を連結した状態で前記サイフォン起動送水部のうち、サイフォン逆流防止部材を空中に、かつ少なくとも送水機器とサイフォン吸水口を水中に浸漬して設置し、前記サイフォン送水管の前記最高部又はその近傍にサイフォン停止用空気吸入部材を備え、
揚程7m以下の場合にサイフォン単独で使用することを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記サイフォン吸水口には、サイフォン吸水用防塵カゴが備えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
【請求項5】
前記送水機器、前記サイフォン吸水口、前記サイフォン吸水用防塵カゴ、前記送水機器接続管、前記サイフォン送水管、前記注水合流部材から選択されるサイフォン起動送水部を構成するのに必要な組み合わせでサイフォン起動送水部を一体に構成し、収納用枠組内に収納されて固定された状態で前記貯水部の水中に配置されることを特徴とする請求項4に記載のサイフォン送水装置。
【請求項6】
前記収納用枠組は、壁面天端等からの吊下げ用に略矩形に形成された表側収納用吊下げ用枠組と、吊下げた際に壁面側に配置される壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組と、これらを所定の間隔を空けて連結する連結枠組と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項7】
前記収納用枠組の前記壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組の表面側には、エキスパンドメタル状の格子目状又は網目状の部材固定用基礎部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のサイフォン送水装置。
【請求項8】
前記収納用枠組を箱状に構成した6面の全表面に格子形状の鋼製枠又は網形状のエキスパンドメタルを固定し、これらの網目がサイフォン起動送水部の吸水作業によるゴミの吸入を防ぐことを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項9】
前記壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組には、壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組を補強すると同時に、前記サイフォン起動送水部を収納用枠組に配置し固定する際に、水平な地面に壁面側衝撃防護型吊下げ用枠組を下面となるように仮置きした場合に、地面と部材固定用基礎部材との間に空間を生じさせる吊下げ用枠組補強部材が架設されていることを特徴とする請求項6に記載のサイフォン送水装置。
【請求項10】
前記収納用枠組には、前記収納用枠組を吊下げるときに使用する吊下げ用フックが設けられていることを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項11】
前記サイフォン送水装置の下流端に設ける吐出口には柔軟な材質からなるホース状の空気逆流防止部材が備えられていることを特徴とする請求項5に記載のサイフォン送水装置。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置を使用して、高水位域にある貯水部の水を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させることを特徴とする送水工法。