(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148466
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 12/73 20110101AFI20241010BHJP
【FI】
H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061637
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 章弘
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB01
5E223AC34
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB25
5E223CB26
5E223CD01
5E223DA13
5E223DB08
5E223DB11
5E223EA14
5E223EC72
(57)【要約】
【課題】第2回路基板と平行な方向において、小型化を実現する。
【解決手段】コネクタ装置は、第1回路基板10と、第1ハウジング16と、第1ハウジング16に取り付けた第1端子金具25と、第1回路基板10に対して直角に配置された第2回路基板40と、第2ハウジング46と、第2ハウジング46に取り付けた第2端子金具55と、を備え、第2端子金具55の第2端子接続部56と第2基板接続部62が、第2回路基板40と直角な方向に並ぶように配置され、第1端子接続部26が第1ハウジング16内に収容され、第1ハウジング16を構成する底壁部22に、第2端子金具55との干渉を回避する切欠部23が形成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路基板と、
第1ハウジングと、
第1端子接続部と、前記第1回路基板に固着された第1基板接続部とを有し、前記第1ハウジングに取り付けられた第1端子金具と、
前記第1回路基板に対して直角に配置された第2回路基板と、
前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第1端子接続部と接触可能な第2端子接続部と、前記第2回路基板に固着された第2基板接続部とを有し、前記第2ハウジングに取り付けられた第2端子金具と、を備え、
前記第2端子接続部と前記第2基板接続部が、前記第2回路基板と交差する方向に並ぶように配置され、
前記第1端子接続部が前記第1ハウジング内に収容され、
第1ハウジングを構成する壁部に、前記第2端子金具との干渉を回避する切欠部が形成されているコネクタ装置。
【請求項2】
前記第2端子金具は、前記第1端子金具に対して前記第1回路基板と交差する方向に接近するように嵌合されるようになっており、
前記第2ハウジングには、前記第1端子金具から前記第2端子金具に対して作用する嵌合時の押圧力を受け止める支持壁部が形成されている請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第2ハウジングが、前記第1ハウジングを包囲する箱形をなし、
前記第2ハウジングにおける前記第2回路基板との対向壁部には、前記第2基板接続部における前記第2回路基板への接続部位を前記第2ハウジングの外部へ露出させる凹部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第2端子金具は、前記第1端子金具に対して前記第1回路基板と交差する方向に接近して嵌合されるようになっており、
前記第2基板接続部が前記第2回路基板に対して表面実装されており、
前記第2基板接続部は、前記第2端子接続部よりも、前記第1回路基板側へ突出した延長部を有している請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
一対の前記第1端子金具が前記第1回路基板と平行に並ぶように配置され、
前記第1基板接続部が、前記第1端子接続部から延出した四半円弧状の第1屈曲部と、前記第1屈曲部から前記第1回路基板と平行に延出した第1実装部とを有し、
一対の前記第1実装部の延出方向が、前記一対の第1端子金具の並び方向において、互いに反対方向である請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
一対の前記第2端子金具が前記第2回路基板と平行に並ぶように配置され、
前記第2基板接続部が、前記第2端子接続部から延出した四半円弧状の第2屈曲部と、前記第2屈曲部から前記第2回路基板と平行に延出した第2実装部とを有し、
一対の前記第2実装部の延出方向が、前記一対の第2端子金具の並び方向において、互いに反対方向である請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記第2端子金具は、前記第2ハウジングに対して前記第2端子接続部が圧入された状態で取り付けられており、
前記第2端子接続部は、折り返し状に屈曲された2枚の板状部を有しており、
前記2枚の板状部のうち一方の前記板状部には、前記第2基板接続部が繋がり、
前記2枚の板状部のうち他方の前記板状部の端面には、前記第2端子金具を前記第2ハウジングに圧入するための押圧力が付与される受圧面が形成されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに直角をなすように配置された第1基板と第2基板とを有し、第1基板に取り付けた第1コネクタの第1端子と、第2基板取り付けた第2コネクタの第2端子とを接続する基板対基板コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1端子は、第1基板に対して溶接により固定されるソルダーテール部と、第2端子に接触する接触部とを有する。ソルダーテール部と接触部は、第1基板と平行な方向に離隔した位置関係で並ぶように配置されている。そのため、第1端子を含む第1コネクタは、第1基板と平行な方向において大型化する。
【0005】
本開示のコネクタ装置は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路基板と平行な方向において小型を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ装置は、
第1回路基板と、
第1ハウジングと、
第1端子接続部と、前記第1回路基板に固着された第1基板接続部とを有し、前記第1ハウジングに取り付けられた第1端子金具と、
前記第1回路基板に対して直角に配置された第2回路基板と、
前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第1端子接続部と接触可能な第2端子接続部と、前記第2回路基板に固着された第2基板接続部とを有し、前記第2ハウジングに取り付けられた第2端子金具と、を備え、
前記第2端子接続部と前記第2基板接続部が、前記第2回路基板と交差する方向に並ぶように配置され、
前記第1端子接続部が前記第1ハウジング内に収容され、
第1ハウジングを構成する壁部に、前記第2端子金具との干渉を回避する切欠部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタ装置は、第2回路基板と平行な方向において、小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1のコネクタ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1コネクタを第1回路基板に取り付けた状態をあらわす斜視図である。
【
図8】
図8は、第1コネクタと第2コネクタを離脱させた状態をあらわす側断面図である。
【
図9】
図9は、第1コネクタと第2コネクタを嵌合した状態をあらわす側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の形態例を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
(1)第1回路基板と、第1ハウジングと、第1端子接続部と、前記第1回路基板に固着された第1基板接続部とを有し、前記第1ハウジングに取り付けられた第1端子金具と、前記第1回路基板に対して直角に配置された第2回路基板と、前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、前記第1端子接続部と接触可能な第2端子接続部と、前記第2回路基板に固着された第2基板接続部とを有し、前記第2ハウジングに取り付けられた第2端子金具と、を備えている。前記第2端子接続部と前記第2基板接続部が、前記第2回路基板と交差する方向に並ぶように配置されている。前記第1端子接続部が前記第1ハウジング内に収容されている。第1ハウジングを構成する壁部に、前記第2端子金具との干渉を回避する切欠部が形成されている。
【0010】
この構成によれば、第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合して第1端子接続部と第2端子接続部を接続した状態では、第2基板接続部が、第1端子接続部と第2端子接続部との接触領域に対して、第2回路基板と交差する方向に並ぶように配置される。これにより、第2回路基板と平行な方向において、小型化を実現することができる。
【0011】
(2)(1)において、前記第2端子金具は、前記第1端子金具に対して前記第1回路基板と交差する方向に接近するように嵌合されるようになっており、前記第2ハウジングには、前記第1端子金具から前記第2端子金具に対して作用する嵌合時の押圧力を受け止める支持壁部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、第1端子接続部と第2端子接続部の嵌合時に、第2端子金具が第1端子金具から押圧力を受けても、第2端子金具が第2ハウジングに対して相対変位することを防止できる。
【0012】
(3)(1)又は(2)において、前記第2ハウジングが、前記第1ハウジングを包囲する箱形をなし、前記第2ハウジングにおける前記第2回路基板との対向壁部には、前記第2基板接続部における前記第2回路基板への接続部位を前記第2ハウジングの外部へ露出させる凹部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、第2基板接続部と第2回路基板との接続状態を目視によって確認することができる。
【0013】
(4)(1)又は(2)において、前記第2端子金具は、前記第1端子金具に対して前記第1回路基板と交差する方向に接近して嵌合されるようになっており、前記第2基板接続部が前記第2回路基板に対して表面実装されており、前記第2基板接続部は、前記第2端子接続部よりも、前記第1回路基板側へ突出した延長部を有していることが好ましい。この構成によれば、第2端子接続部に対する第1端子接続部の嵌合方向において、第2回路基板に対する第2基板接続部の接合長さを長く確保できるので、第1端子接続部と第2端子接続部との接続時に、第1端子金具から第2端子金具に作用する押圧力に対して、第2端子金具を第2回路基板に確実に固着しておくことができる。
【0014】
(5)(1)又は(2)において、一対の前記第1端子金具が前記第1回路基板と平行に並ぶように配置され、前記第1基板接続部が、前記第1端子接続部から延出した四半円弧状の第1屈曲部と、前記第1屈曲部から前記第1回路基板と平行に延出した第1実装部とを有し、一対の前記第1実装部の延出方向が、前記一対の第1端子金具の並び方向において、互いに反対方向であることが好ましい。この構成によれば、第1回路基板の実装面において、一対の第1実装部間の沿面距離を長く確保できる。
【0015】
(6)(1)又は(2)において、一対の前記第2端子金具が前記第2回路基板と平行に並ぶように配置され、前記第2基板接続部が、前記第2端子接続部から延出した四半円弧状の第2屈曲部と、前記第2屈曲部から前記第2回路基板と平行に延出した第2実装部とを有し、一対の前記第2実装部の延出方向が、前記一対の第2端子金具の並び方向において、互いに反対方向であることが好ましい。この構成によれば、第2回路基板の実装面において、一対の第2実装部間の沿面距離を長く確保できる。
【0016】
(7)(1)又は(2)において、前記第2端子金具は、前記第2ハウジングに対して前記第2端子接続部が圧入された状態で取り付けられており、前記第2端子接続部は、折り返し状に屈曲された2枚の板状部を有しており、前記2枚の板状部のうち一方の前記板状部には、前記第2基板接続部が繋がり、前記2枚の板状部のうち他方の前記板状部の端面には、前記第2端子金具を前記第2ハウジングに圧入するための押圧力が付与される受圧面が形成されていることが好ましい。この構成によれば、第2端子接続部を折り返し形状にすることによって、第2端子接続部の強度を高めることができる。また、折り返し形状にすることによって、圧入時の押圧力を受ける受圧面を確保したので、第2基板接続部に押圧力を付与せずに済む。これにより、第2基板接続部を変形させたり傷付けたりすることなく、第2端子金具を第2ハウジングに圧入することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1のコネクタ装置を、
図1~
図9を参照して説明する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。本実施例1において、前後の方向については、
図1~6,8,9におけるF方向を前方と定義する。上下の方向については、
図1~3,5~9におけるH方向を上方と定義する。左右の方向については、
図1~7におけるR方向を右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。
【0018】
本実施例1のコネクタ装置は、第1回路基板10と、第1回路基板10の第1実装面11に取り付けた第1コネクタ15と、第2回路基板40と、第2回路基板40の第2実装面41に取り付けた第2コネクタ45とを備えている。
【0019】
図1,2,4に示すように、第1回路基板10は、板厚方向を前後方向に向け、且つ第1実装面11を前方に向けて配置されている。
図3に示すように、第1コネクタ15は、第1ハウジング16と、一対の第1端子金具25とを備えている。第1ハウジング16内には、前後両端が開口した左右一対の第1端子収容室17が形成されている。第1ハウジング16は、1つの後側収容部18と、左右一対の前側収容部19とを有する。後側収容部18は、左右両第1端子収容室17の後端側領域を構成する。前側収容部19は、後側収容部18の前端から前方へ延出している。一対の前側収容部19は、一対の第1端子収容室17の前端側領域を個別に構成している。前側収容部19は、幅寸法よりも高さ寸法が大きい角筒状をなす。
【0020】
後側収容部18の上下寸法は前側収容部19の上下寸法よりも大きい。
図8に示すように、後側収容部18の上壁部の前端と前側収容部19の上壁部の後端との間には、傾斜壁部20が形成されている。後側収容部18の下壁部の前端と前側収容部19の下壁部の後端との間にも、傾斜壁部20が形成されている。傾斜壁部20には、左右一対の第1第1圧入孔21が形成されている。第1第1圧入孔21の後端は第1端子収容室17の上端部に開口している。
【0021】
図2,8,9に示すように、左右両前側収容部19を構成する底壁部22には、前後方向(第1回路基板10の第1実装面11と直交する方向)に延びる切欠部23が形成されている。切欠部23は、底壁部22の前面と上面と下面とに開口している。切欠部23は、第1端子収容室17の前端側領域と、第1ハウジング16の外部の下方空間とを連通させる。切欠部23は、第1ハウジング16の前方に開放されている。
【0022】
第1端子金具25は、曲げ加工された金属板材からなる雌形の単一部品である。
図3,4に示すように、第1端子金具25は、第1端子接続部26と、第1基板接続部30とを有する。第1基板接続部30は第1端子接続部26から後方へ延出している。第1端子接続部26と第1基板接続部30は、第1実装面11と直交する方向に並ぶように位置している。第1端子接続部26は、前後両端が開口した角筒状の支持部27と、左右一対の弾性接触片28とを有する。一対の弾性接触片28は、支持部27を構成する左右両側板部の前端縁から前方へ片持ち状に延出している。
図3,8に示すように、支持部27を構成する上板部と下板部には、前方へ突出した第1圧入突起29が形成されている。
【0023】
右側に配置される第1端子金具25の第1基板接続部30は、支持部27を構成する4つの板部のうち右側板部27Rの後端縁から後方へ延出している。第1基板接続部30は、第1板状基部31と、第1屈曲部32と、第1実装部33とを有する。第1板状基部31は、右側板部27Rと面一状に連なり、右側板部27Rの後端縁から後方へ延出している。第1屈曲部32は、四半円弧状をなし、第1板状基部31の後端縁から斜め右後方へ延出している。第1実装部33は、第1屈曲部32の延出端縁から第1板状基部31と直角をなすように右方へ延出している。右側の第1端子金具25において、第1実装部33は、支持部27のうち左側の第1端子金具25から最も遠い右端部に配置されている。右側の第1端子金具25において、第1実装部33の延出方向は、左側の第1端子金具25から遠ざかる方向である。
【0024】
左側に配置される第1端子金具25の第1基板接続部30は、支持部27を構成する4つの板部のうち左側板部27Lの後端縁から後方へ延出している。第1基板接続部30は、第1板状基部31と、第1屈曲部32と、第1実装部33とを有する。第1板状基部31は、左側板部27Lと面一状に連なり、左側板部27Lの後端縁から後方へ延出している。第1屈曲部32は、四半円弧状をなし、第1板状基部31の後端縁から斜め左後方へ延出している。第1実装部33は、第1屈曲部32の延出端縁から第1板状基部31と直角をなすように左方へ延出している。左側の第1端子金具25において、第1実装部33は、支持部27のうち右側の第1端子金具25から最も遠い左端部に配置されている。左側の第1端子金具25において、第1実装部33の延出方向は、右側の第1端子金具25から遠ざかる方向である。
【0025】
左右両第1端子金具25は、第1ハウジング16の後方から一対の第1端子収容室17内に個別に収容されている。第1端子収容室17に収容された第1端子金具25は、上下一対の第1圧入突起29を第1圧入孔21の内面に食い込ませることによって、第1ハウジング16に保持されている。上記のように第1端子金具25を第1ハウジング16内に収容することによって、第1コネクタ15の組付けが完了する。第1ハウジング16に第1端子金具25を取り付けた状態では、第1基板接続部30の第1板状基部31と第1端子接続部26の支持部27が、第1端子収容室17の後端側領域内に配置される。第1端子収容室17の前端側領域内には、弾性接触片28が配置される。前後方向(第2回路基板40の第2実装面41と平行な方向)において、弾性接触片28は切欠部23と同じ領域に配置される。
【0026】
第1コネクタ15は、第1端子収容室17の後端の開口を第1回路基板10に向けた姿勢で、第1回路基板10に対して表面実装により取り付けられている。第1コネクタ15の取付けは、第1実装部33を第1実装面11に対してリフロー半田により導通可能に固着することによって行う。
【0027】
第2回路基板40は、板厚方向を上下方向に向け、且つ第2実装面41を上方に向けて、第1コネクタ15よりも下方に配置されている。第2実装面41は第1実装面11に対して直角の向きをなしている。
図5~7に示すように、第2コネクタ45は、第2ハウジング46と、左右対称な一対の第2端子金具55とを備えている。第2ハウジング46内には、後端が開口した左右一対の第2端子収容室47が形成されている。
図5に示すように、第1ハウジング16を後方から見た背面視において、第2端子収容室47は、幅寸法よりも高さ寸法が大きい長方形をなす。
図8,9に示すように、第2ハウジング46は、左右両第2端子収容室47の前端を閉塞する支持壁部48を有する。
【0028】
図7~9に示すように、第2ハウジング46を構成する外壁部のうち、第2実装面41と対向する下面の対向壁部49には、左右一対の第2圧入孔50が形成されている。第2圧入孔50は、前後方向に細長く延びた形状であり、対向壁部49の上面と下面とに開口している。第2圧入孔50は、第2端子収容室47と、第2ハウジング46の外部の下方空間とを連通させる。対向壁部49には、対向壁部49の一部を凹ませた形態の左右一対の凹部51が形成されている。右側の凹部51は、第2ハウジング46の右側面と前面とに開放されている。左側の凹部51は、第2ハウジング46の左側面と前面とに開放されている。第2ハウジング46を下(第2回路基板40側)から見た底面視において、第2圧入孔50は、凹部51内に配置されている。
【0029】
第2端子金具55は、曲げ加工された金属板材からなる雄形の単一部品である。第2端子金具55は、第2端子接続部56と、第2基板接続部62とを有する。第2基板接続部62は第1端子接続部26から下方へ延出している。第2端子接続部56と第2基板接続部62は、第2実装面41と直交する方向に並ぶように位置している。
図6,7に示すように、第2端子接続部56は、折返部57と、折返部57から互いに平行に下方へ延出した左右一対の板状部58L,58Rとを有する。
図8,9に示すように、左右両板状部58L,58Rの下端部の前端部には、前方へ突出する第2圧入突起59が形成されている。左右両板状部58L,58Rの下端部の後端部には、後方へ突出する第2圧入突起59が形成されている。
【0030】
図7に示すように、右側に配置される第2端子金具55の一対の板状部58L,58Rのうち、左側の板状部58Lの下端面は、受圧面60として機能する。左側に配置される第2端子金具55の一対の板状部58L,58Rのうち、右側の板状部58Rの下端面も、受圧面60として機能する。これらの受圧面60は、第2端子金具55を第2圧入孔50に圧入するときに、治具等から圧入方向の押圧力を受ける面である。
【0031】
図6,7に示すように、右側に配置される第2端子金具55の第2基板接続部62は、左右一対の板状部58L,58Rのうち右側の板状部58Rの下端縁から下方へ延出している。第2基板接続部62は、第2板状基部63と、第2屈曲部64と、第2実装部65とを有する。第2板状基部63は、右側の板状部58Rと面一状に連なり、右側の板状部58Rの下端縁から下方へ延出している。第2屈曲部64は、四半円弧状をなし、第2板状基部63の下端縁から斜め右下方へ延出している。第2実装部65は、第2屈曲部64の延出端縁から板状部58Rと直角をなすように右方へ延出している。右側の第2端子金具55において、第2実装部65は、第2基板接続部62のうち左側の第2端子金具55から最も遠い右端部に配置されている。右側の第2端子金具55において、第2実装部65の延出方向は、左側の第2端子金具55から遠ざかる方向である。第2実装部65は、第2板状基部63及び第2屈曲部64の後端よりも後方へ延出した延長部66を有している。
【0032】
左側に配置される第2端子金具55の第2基板接続部62は、左右一対の板状部58L,58Rのうち左側の板状部58Lの下端縁から下方へ延出している。第2基板接続部62は、第2板状基部63と、第2屈曲部64と、第2実装部65とを有する。第2板状基部63は、左側の板状部58Lと面一状に連なり、左側の板状部58Lの下端縁から下方へ延出している。第2屈曲部64は、四半円弧状をなし、第2板状基部63の下端縁から斜め左下方へ延出している。第2実装部65は、第2屈曲部64の延出端縁から第2板状基部63と直角をなすように左方へ延出している。左側の第2端子金具55において、第2実装部65は、第2基板接続部62のうち右側の第2端子金具55から最も遠い左端部に配置されている。左側の第2端子金具55において、第2実装部65の延出方向は、右側の第2端子金具55から遠ざかる方向である。
図1,6,8,9に示すように、第2実装部65は、第2板状基部63及び第2屈曲部64の後端よりも後方へ延出した延長部66を有している。
【0033】
左右両第2端子金具55は、第2ハウジング46の下方から第2端子接続部56を第2圧入孔50に圧入することによって、第2ハウジング46に取り付けられている。圧入の際には、第2端子接続部56の受圧面60を治具(図示省略)によって押圧する。第2ハウジング46に取り付けた第2端子金具55は、前後一対の第2圧入突起59を第2圧入孔50の内面に食い込ませることによって、第2ハウジング46に保持されている。上記のように第2端子金具55を第2ハウジング46に取り付けることによって、第2コネクタ45の組付けが完了する。第2ハウジング46に第2端子金具55を取り付けた状態では、第2端子接続部56が第2端子収容室47内に収容されるとともに、第2基板接続部62が凹部51内に配置される。
【0034】
第2コネクタ45は、第2ハウジング46の凹部51(対向壁部49)を第2回路基板40に向けた姿勢で、第2回路基板40に対して表面実装により取り付けられている。第2コネクタ45の取付けは、第2実装部65を第2実装面41に対してリフロー半田により導通可能に固着することによって行う。
【0035】
第1コネクタ15と第2コネクタ45を嵌合する際には、第1回路基板10に対して第2回路基板40を後方へ平行移動させ、第1ハウジング16を第2ハウジング46内に収容する。両コネクタ15,45を嵌合した状態では、左右一対の前側収容部19が左右一対の第2端子収容室47内に個別に進入し、第1端子接続部26の弾性接触片28が、第2端子接続部56を左右両側から挟むように弾性的に接触する。第2端子接続部56の下端部から第2基板接続部62が下方へ延出しているため、前側収容部19と第2端子金具55が干渉することが懸念される。しかし、前側収容部19の底壁部22には、第2端子接続部56の下端部を収容するための切欠部23が形成されているので、第2端子金具55が前側収容部19(第1ハウジング16)と干渉することはない。
【0036】
また、第1端子金具25と第2端子金具55が接続する際には、弾性接触片28の弾力に起因する摩擦抵抗によって、第2端子金具55には第1端子金具25側から前方への押圧力が作用する。しかし、第2端子接続部56の前端縁が第2ハウジング46の支持壁部48に当接しているので、第2端子金具55が第2ハウジング46に対して前方へ傾いたり位置ずれしたりする虞はない。
【0037】
本実施例1のコネクタ装置は、第1回路基板10と、第1回路基板10に取り付けた第1コネクタ15と、第1回路基板10に対して直角に配置された第2回路基板40と、第2回路基板40に取り付けた第2コネクタ45とを備えている。第1コネクタ15は、第1ハウジング16に第1端子金具25を組み付けて構成されている。第1端子金具25は、第1端子接続部26と、第1回路基板10に固着された第1基板接続部30とを有する。第2コネクタ45は、第1ハウジング16と嵌合可能な第2ハウジング46に、第1端子金具25と接続可能な第2端子金具55を組み付けて構成されている。第2端子金具55は、第1端子接続部26に接続される第2端子接続部56と、第2回路基板40に固着された第2基板接続部62とを有する。
【0038】
第2端子接続部56と第2基板接続部62は、第2回路基板40の第2実装面41と交差する上下方向に並ぶように配置されている。第1端子接続部26は第1ハウジング16内に収容されている。第1ハウジング16を構成する底壁部22には、第2端子金具55との干渉を回避する切欠部23が形成されている。この構成によれば、第1ハウジング16と第2ハウジング46を嵌合して第1端子接続部26と第2端子接続部56を接続した状態では、第2基板接続部62が、第1端子接続部26と第2端子接続部56との接触領域に対して、第2回路基板40と交差する方向に並ぶように配置される。これにより、第2回路基板40と平行な方向において、小型化を実現することができる。
【0039】
第2端子金具55は、第1端子金具25に対して第1回路基板10と交差する方向に接近するように嵌合されるようになっている。第2ハウジング46には、第1端子金具25から第2端子金具55に対して作用する嵌合時の押圧力を受け止める支持壁部48が形成されている。この構成によれば、第1端子接続部26と第2端子接続部56の嵌合時に、第2端子金具55が第1端子金具25から押圧力を受けても、第2端子金具55が第2ハウジング46に対して相対変位することを防止できる。
【0040】
第2ハウジング46は、第1ハウジング16を包囲する箱形をなしている。第2ハウジング46のうち第2回路基板40と対向する対向壁部49には、凹部51が形成されている。凹部51は、第2基板接続部62における第2回路基板40への接続部位である第2実装部65を、第2ハウジング46の外部へ露出させる。この構成によれば、凹部51を形成したことによって、第2基板接続部62と第2回路基板40との接続状態を第2ハウジング46の左右両側方、又は後方から目視によって確認することができる。
【0041】
第2端子金具55は、第1端子金具25に対して第1回路基板10と交差する方向に接近して嵌合されるようになっている。第2基板接続部62は、第2回路基板40に対して表面実装されている。第2基板接続部62の第2実装部65は、第2端子接続部56よりも、第1回路基板10側(後方)へ突出した延長部66を有している。この構成によれば、第2端子接続部56に対する第1端子接続部26の嵌合方向(前後方向)において、第2回路基板40に対する第2基板接続部62の接合長さを長く確保できる。これにより、第1端子接続部26と第2端子接続部56との接続時に、第1端子金具25(弾性接触片28)から第2端子金具55に作用する押圧力に対して、第2端子金具55を第2回路基板40に確実に固着しておくことができる。延長部66は、第1回路基板10側へ延びているが、延長部66の後端は第2ハウジング46の後端よりも前方に位置している。よって、延長部66を形成したことに起因して、第2コネクタ45が前後方向に大型化することはない。
【0042】
一対の第1端子金具25は、第1回路基板10と平行な方向である左右方向に並ぶように配置されている。第1基板接続部30は、第1屈曲部32と第1実装部33とを有する。第1屈曲部32は、四半円弧状をなし、第1端子接続部26から第1板状基部31を介して延出している。第1実装部33は、第1屈曲部32から第1回路基板10と平行に延出している。一対の第1実装部33の延出方向は、一対の第1端子金具25の並び方向(左右方向)において、互いに反対方向である。この構成によれば、第1回路基板10の第1実装面11において、一対の第1実装部33間の沿面距離を長く確保できる。
【0043】
一対の第2端子金具55は、第2回路基板40と平行な方向である左右方向に並ぶように配置されている。第2基板接続部62は、第2屈曲部64と第2実装部65とを有する。第2屈曲部64は、四半円弧状をなし、第2端子接続部56から第2板状基部63を介して延出している。第2実装部65は、第2屈曲部64から第2回路基板40と平行に延出している。一対の第2実装部65の延出方向は、一対の第2端子金具55の並び方向(左右方向)において、互いに反対方向である。この構成によれば、第2回路基板40の第2実装面41において、一対の第2実装部65間の沿面距離を長く確保できる。
【0044】
第2端子金具55は、第2ハウジング46に対して第2端子接続部56が圧入された状態で取り付けられている。第2端子接続部56は、折り返し状に屈曲された2枚の板状部58L,58Rを有している。2枚の板状部58L,58Rのうち一方の板状部58L,58Rには、第2基板接続部62が繋がっている。2枚の板状部58L,58Rのうち他方の板状部58L,58Rの端面には、第2端子金具55を第2ハウジング46に圧入するための押圧力が付与される受圧面60が形成されている。この構成によれば、第2端子接続部56を折り返し形状にすることによって、第2端子接続部56の強度を高めることができる。また、第2端子接続部56を折り返し形状にすることによって、圧入時の押圧力を受ける受圧面60を第2端子接続部56に確保したので、第2基板接続部62に押圧力を付与せずに済む。これにより、第2基板接続部62を変形させたり傷付けたりすることなく、第2端子金具55を第2ハウジング46に圧入することができる。
【0045】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
第1端子金具を雄形の端子とし、第2端子金具を雌形の端子としてもよい。
第2ハウジングが支持壁部を有しない形状であってもよい。
第2基板接続部と第2回路基板との接続部分が、第2ハウジング内に収容されていて、外部から目視できないようになっていてもよい。
第1端子接続部と第2端子接続部との嵌合方向(第1回路基板と直交する方向)において、第2基板接続部と第2端子接続部が同じ寸法であってもよい。
第2端子金具は、圧入以外の手段によって第2ハウジングに取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…第1回路基板
11…第1実装面
15…第1コネクタ
16…第1ハウジング
17…第1端子収容室
18…後側収容部
19…前側収容部
20…傾斜壁部
21…第1圧入孔
22…底壁部(壁部)
23…切欠部
25…第1端子金具
26…第1端子接続部
27…支持部
27L…左側板部
27R…右側板部
28…弾性接触片
29…第1圧入突起
30…第1基板接続部
31…第1板状基部
32…第1屈曲部
33…第1実装部
40…第2回路基板
41…第2実装面
45…第2コネクタ
46…第2ハウジング
47…第2端子収容室
48…支持壁部
49…対向壁部
50…第2圧入孔
51…凹部
55…第2端子金具
56…第2端子接続部
57…折返部
58L…板状部
58R…板状部
59…第2圧入突起
60…受圧面
62…第2基板接続部
63…第2板状基部
64…第2屈曲部
65…第2実装部
66…延長部