(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148468
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20241010BHJP
H01R 12/55 20110101ALI20241010BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061640
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 章弘
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB02
5E223AB18
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB24
5E223CD01
5E223DB09
(57)【要約】
【課題】回路基板に対する固着強度を保ちつつ小型化を図る
【解決手段】本開示のコネクタ10は、ハウジング20と、ハウジング20に取り付けられた端子金具40と、を備え、端子金具40は、相手側端子に接続される端子接続部41と、回路基板80に対して導通可能に固着される複数の基板接続部43と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた端子金具と、を備え、
前記端子金具は、
相手側端子に接続される端子接続部と、
回路基板に対して導通可能に固着される複数の基板接続部と、を備えているコネクタ。
【請求項2】
前記端子接続部は、
折り返し状に屈曲された折返部と、
前記折返部から平行に延出した一対の板状部と、を有し、
前記基板接続部は、
前記一対の板状部のうち前記折返部とは反対側の端縁部から互いに反対方向へ延出した第1基板接続部と第2基板接続部と、を有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記端子金具が圧入される圧入孔を有し、
前記第1基板接続部は、前記圧入孔に対する前記端子金具の圧入方向と直交する第1押圧面を有し、
前記第2基板接続部は、前記圧入孔に対する前記端子金具の圧入方向と直交する第2押圧面を有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1基板接続部と前記第2基板接続部は、前記圧入孔に食い込む圧入突起を有する請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記板状部のうち、前記第1基板接続部と前記第2基板接続部との分岐点の近傍に、前記圧入孔に食い込む補助突起が形成されている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1基板接続部は、互いに離隔して配置され、前記回路基板に対して別個に固着される複数の第1分岐接続部を有し、
前記第2基板接続部は、互いに離隔して配置され、前記回路基板に対して個別に固着される複数の第2分岐接続部を有する請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のコネクタは、コネクタハウジング(以下、ハウジングともいう。)に、回路基板から離脱不能に係合する係合ペグ(以下、ペグともいう。)を備えている。ペグは、略矩形の板材を一箇所で略直角に折曲げて形成され、L字型をなしている。ペグの折曲部分よりも回路基板側に配置される載置部は、回路基板の表面に載置された状態で接着又は半田によって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコネクタは、ペグの載置部がハウジングの左右両側面から幅方向外方へ張り出しているため、コネクタ全体が大型化するという問題があった。
【0005】
本開示は、回路基板に対する固着強度を保ちつつ小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容される端子金具と、を備え、
前記端子金具は、
相手側端子に接続される端子接続部と、
回路基板に対して導通可能に固着される複数の基板接続部と、を有しているコネクタ。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタは、回路基板に対する固着強度を保ちつつ小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のコネクタの備える端子金具の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のコネクタの正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1のコネクタの下方斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1のコネクタのA-A断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1のコネクタのB-B断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1のコネクタの正断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の成形前の端子金具を示す展開図である。
【
図9】
図9は、実施形態2のコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
【0010】
(1)本開示のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた端子金具と、を備え、前記端子金具は、相手側端子に接続される端子接続部と、回路基板に対して導通可能に固着される複数の基板接続部と、を備えている。コネクタは、回路基板に対して、ハウジングに取り付けた端子金具の複数の基板接続部を固着することによって取り付けられている。この構成によれば、1つの端子金具が複数ヶ所において回路基板に固着されているので、ハウジングを回路基板に固定するためのペグを用いなくても、コネクタを回路基板に確実に固定することができる。よって、ペグを設けることに起因するコネクタの大型化を回避できる。
【0011】
(2)(1)に記載のコネクタにおいて、前記端子接続部は、折り返し状に屈曲された折返部と、前記折返部から平行に延出した一対の板状部とを有し、前記基板接続部は、前記一対の板状部のうち前記折返部とは反対側の端縁部から互いに反対方向へ延出した第1基板接続部と第2基板接続部とを有している。この構成によれば、端子接続部は一対の板状部と折返部とによって密着曲げした形状をなすので、高い剛性を有する。端子接続部から互いに反対方向へ延出した第1基板接続部と第2基板接続部は、回路基板に対して離隔した位置に固着されるので、回路基板に対する端子金具の姿勢が安定する。
【0012】
(3)(2)に記載のコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記端子金具が圧入される圧入孔を有し、前記第1基板接続部は、前記圧入孔に対する前記端子金具の圧入方向と直交する第1押圧面を有し、前記第2基板接続部は、前記圧入孔に対する前記端子金具の圧入方向と直交する第2押圧面を有している。この構成によれば、第1押圧面及び第2押圧面に押圧力を付与することによって、端子金具を圧入孔に圧入することができる。端子金具の圧入時における操作面として機能する第1押圧面と第2押圧面を、基板接続部に設けたので、圧入用の操作面を基板接続部とは別の部位に形成したものに比べると、端子金具の形状を簡素化することができる。
【0013】
(4)(1)から(3)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記第1基板接続部と前記第2基板接続部は、前記圧入孔に食い込む圧入突起を有する。この構成によれば、第1基板接続部と第2基板接続部は、圧入突起によって別個にハウジングに固定されるので外力を受けたときに変形しにくい。
(5)(4)において、前記板状部のうち、前記第1基板接続部と前記第2基板接続部との分岐点の近傍に、前記圧入孔に食い込む補助突起が形成されている。この構成によれば、第1基板接続部と第2基板接続部の分岐点の近傍において、端子金具が補助突起によってハウジングに固定されるので、複数の基板接続部全体の変形が抑えられる。
【0014】
(6)(2)から(5)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記第1基板接続部は、互いに離隔して配置され、前記回路基板に対して別個に固着される複数の第1分岐接続部を有し、前記第2基板接続部は、互いに離隔して配置され、前記回路基板に対して個別に固着される複数の第2分岐接続部を有する。この構成によれば、回路基板に対する基板接続部の固着箇所を増やせるため、回路基板に対する固着強度を高めることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0016】
[実施形態1]
本開示の実施形態1のコネクタ10は、複数の端子金具40と、各端子金具40を装着するハウジング20とを備えている。コネクタ10は、回路基板80に実装される基板用コネクタである。ハウジング20は、相手側ハウジング(図示省略)に嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、
図1,2,4-6,8-10において、「前側」を「F」で表している。上下方向については、
図1-7,9,10において、「上側」を「U」で表している。左右方向については、
図1-4,7-10において、「右側」を「R」で表している。
【0017】
[コネクタ10]
コネクタ10は、
図1に示すように、ハウジング20と、端子金具40と、を備えている。
ハウジング20は、合成樹脂製である。
図1に示すように、ハウジング20は、左右方向に延び、板厚方向を前後方向に向けて配置される壁部21と、壁部21の外縁から角筒状に前向きに突出するフード部23と、を有している。フード部23内には、相手側コネクタ(図示省略)が嵌合されるようになっている。フード部23は、上下方向に間隔を空けて配置された上壁25及び下壁27と、左右方向に間隔を空けて配置された側壁28と、を有している。下壁27は、端子金具40を取り付けるための圧入孔30を有している。圧入孔30には、ハウジング20の下方から端子金具40が圧入されている。
【0018】
図3、
図5に示すように、下壁27の前端部には、左右方向に延びる傾斜部29が形成されている。傾斜部29は、後方に向かって高くなるように傾斜した傾斜面を有している。圧入孔30は、傾斜部29の後端から、下壁27の後端部に亘って形成されている。圧入孔30は、スリット部33と拡幅部36とによって構成されている。スリット部33は、下壁27を上下方向に貫通している。スリット部33は、圧入孔30の上端側領域を構成し、下壁27の左右幅方向における中心部において、前後方向に細長く開口している。スリット部33の内部空間は、上内壁35によって形成されている。上内壁35は、前後方向に対向する1対の第1上内壁35Aと、左右方向に対向する1対の第2上内壁35B(
図7を参照。)とによって構成される。
図7に示すように、一対の第2上内壁35Bは、いずれも、圧入方向に対して平行に延びている。拡幅部36は、スリット部33の下端に連なり、圧入孔30の下端側領域を構成している。拡幅部36の左右方向の幅寸法は、スリット部33の幅寸法よりも大きい。拡幅部36の前後方向の寸法は、スリット部33の前後方向の寸法と略同一である。拡幅部36の内部空間は、4つの下内壁37と、天壁39によって形成される。下内壁37は、前後方向に対向する1対の第1下内壁37Aと、左右方向に対向する1対の第2内壁37Bとによって構成されている。一対の第1下内壁37A、一対の第2内壁37Bは、いずれも、圧入方向に対して平行に延びている。天壁39は、内部空間の上端部を形成し、圧入方向に対して直交する方向に延びている。天壁39の左右方向中央部には、スリット部33が開口している。に繋がっている。
【0019】
[端子金具40]
図2に示すように、端子金具40は、端子接続部41と、基板接続部43を有している。端子接続部41は、1枚の板部を反転するように折り返した形状をなし、折返部45と、左右一対の板状部49とを有する。折返部45は、端子接続部41の上端部に配置されている。一対の板状部49は、折返部45から互いに平行をなして下方へ延出した平板状の部位であり、互いに密着するように配置されている。端子接続部41の上端部には、前方に突出した突出部52が形成されている。突出部52は、相手側ハウジングの相手側端子に接続される部位である。
【0020】
基板接続部43は、回路基板80の回路に対して導通可能に接続され、且つ回路基板80に対して固着される部位である。基板接続部43は、一対の板状部49の下端の端縁部47から左右に分岐するように延出した第1基板接続部53と第2基板接続部55とによって構成されている。第1基板接続部53と第2基板接続部55は、板状部49の端縁部47から、左右方向へ互いに反対の向きに延出する延出部59を有している。延出部59は、第1基板接続部53を構成する第1延出部59Aと、第2基板接続部55を構成する第2延出部59Bとを含む。端子金具40は、第1基板接続部53と第2基板接続部55との分岐点61の直上に、圧入孔30に食い込む補助突起63を有する。補助突起63は、
図5に示すように、スリット部33を形成する4つの上内壁35のうち、前後方向に対向する一対の第1上内壁35Aに食い込むように突出している。
【0021】
図2に示すように、第1延出部59Aは平板状をなす受圧部60を有する。受圧部60は、第1屈曲部65を介して端縁部47に繋がっており、板状部49に対して直角をなしている。受圧部60の下面は、端子金具40を圧入孔30に圧入する際に、下側から圧入方向(上方向)の押圧力を受ける第1押圧面69Aとして機能する。第1延出部59Aの延出端部は、第2屈曲部67によって下向きに屈曲されている。第1基板接続部53は、第1延出部59Aの延出端縁から回路基板80に向かって垂直下方向に延びた前後一対の第1分岐接続部70Aを有している。一対の第1分岐接続部70Aは、第1延出部59Aの延出端部の前端部と後端部に配置されている。一対の第1分岐接続部70Aは、回路基板80の前後方向に離隔した2位置に対して個別に固着される。第1延出部59Aの延出端部の前端部には、前方へ突出する圧入突起71が形成され、第1延出部59Aの延出端部の後端部には、後方へ突出する圧入突起71が形成されている。圧入突起71は、拡幅部36を構成する4つの下内壁37のうち、前後方向に対向する第1下内壁37Aに食い込むようになっている。
【0022】
第2延出部59Bは、第1延出部59Aと同様、平板状をなす受圧部60を有する。受圧部60は、第1屈曲部65を介して端縁部47に繋がっており、板状部49に対して直角をなしている。受圧部60の下面は、端子金具40を圧入孔30に圧入する際に、下側からら圧入方向(上方向)の押圧力を受ける第2押圧面69Bとして機能する。第2延出部59Bの延出端部は、第2屈曲部67において下向きに屈曲されている。第2基板接続部55は、第2延出部59Bの延出端縁から回路基板80に向かって垂直下方向に延びた前後一対の第2分岐接続部70Bを有している。一対の第2分岐接続部70Bは、第2延出部59Bの延出端部の前端部と後端部に配置されている。一対の第2分岐接続部70Bは、回路基板80の前後方向に離隔した2位置に対して個別に固着される。第2延出部59Bの延出端部の前端部には、前方へ突出する圧入突起71が形成され、第2延出部59Bの延出端部の後端部には、後方へ突出する圧入突起71が形成されている。
図6に示すように、圧入突起71は、拡幅部36を構成する4つの下内壁37のうち、前後方向に対向する第1下内壁37Aに食い込むようになっている。
【0023】
[回路基板80]
図3に示すように、回路基板80は、回路基板80を板厚方向に貫通する少なくとも4つのスルーホール81を有している。4つのスルーホール81は、前後方向及び左右方向に離隔した位置に配置されている。4つのスルーホール81は、基板接続部43を導通可能に固着させることによって、コネクタ10を回路基板80に対して強固に固定するための部位である。
【0024】
[実施例1の作用効果]
コネクタ10の組み立て、及び回路基板80に対するコネクタ10の実装手順について説明する。
図8に示すように、端子金具40は、所定形状に打ち抜き加工した展開状態の金属板材82からなり、この金属板材82を曲げ加工することによって成形される。展開状態の金属板材82は、折返部45を中心として、線対称となっている。金属板材82は、基板接続部43の第1延出部59Aにおいて、繋止片83を介して、帯状のキャリア90と繋がっている。第1延出部59Aにおける繋止片83との連結部には、ノッチ85が形成され、金属板材82は、ノッチ85において繋止片83から切り離される。
【0025】
次に、切り離した金属板材82、点線Aを折り目として反転させるように折り曲げる。これにより、折返部45から一対の板状部49が互いに密着して平行に延出した形態の端子接続部41が形成される。密着した一対の板状部49により、端子接続部41の強度が高められる。
【0026】
次に、2本の点線Bのうち一方の点線Bを折り目として、金属板材82を、板状部49に対して90°の角度をなすように左側へ折り曲げる。これにより、板状部49の端縁部47から板状部49に対して垂直方向左方へ延出した第1延出部59Aが形成される。同様に、点線Cに沿って、金属板材82を、板状部49に対して垂直方向右方へ折り曲げることよって、第2延出部59Bを形成する。点線B、及び点線Cは、成形後の端子金具40の第1屈曲部65に相当する箇所である。
【0027】
次に、点線Dを折り目として、金属板材82を点線Aにおける折曲げ方向と同方向へ垂直に折り曲げる。これにより、第1分岐接続部70Aが、端子接続部41と平行な向きになる。同様に、点線Eを折り目として、金属板材82を点線Aにおける折曲げ方向と同方向へ垂直に折り曲げる。これにより、第2分岐接続部70Bが、端子接続部41と平行な向きになる。点線D、及び点線Eは、成形後の端子金具40の第2屈曲部67に相当する箇所である。
【0028】
次に、成形された端子金具40を、ハウジング20の圧入孔30に圧入する。
図7において参照されるように、圧入工程では、第1押圧面69Aと第2押圧面69Bを押圧治具(図示省略)によって押圧することによって、端子接続部41をハウジング20の下方からスリット部33に挿通させる。端子接続部41の板厚は、スリット部33の左右方向の幅寸法と略同一である。スリット部33に対する端子接続部41の得通をさらに進めると、第1延出部59Aと第2延出部59Bが拡幅部36内に進入する。
【0029】
第1延出部59Aと第2延出部59Bが拡幅部36内に進入すると、第1延出部59Aと第2延出部59Bとの分岐点61の直上に位置する一対の補助突起63(
図5参照)が、スリット部33に進入して前後方向に対向する第1上内壁35Aに食い込む。同時に、第1分岐接続部70Aの上方近傍と第2分岐接続部70Bの上方近傍に位置する4つの圧入突起71が、拡幅部36に進入して第1下内壁37Aに食い込む(
図6参照。)。1対の第1分岐接続部70Aと1対の第2分岐接続部70Bは、圧入突起71により、別個にハウジング20に固定されるため、外力を受けたときに変形しにくい。さらに、補助突起63によって、第1基板接続部53、及び第2基板接続部55の変形を全体的に抑えられる。
図7に示すように、第1延出部59A、及び第2延出部59Bの上端面が、天壁39に当接すると、ハウジング20に対する端子金具40の圧入の工程が完了し、同時に、端子金具40がハウジング20に対して強固に一体化された状態で取り付けられる。以上により、コネクタ10の組付けが完了する。
【0030】
次に、コネクタ10を回路基板80に実装する。実装工程では、端子金具40の基板接続部43を、回路基板80に対して導通可能に固着する。具体的には、
図3、
図6に示すように、基板接続部43は、4つのスルーホール81に対して、2本の第1分岐接続部70Aと2本の第2分岐接続部70Bを個別に挿通させ、リフロー工程を経ることによって、導通可能に固着する。リフロー工程では、第1分岐接続部70Aと第2分岐接続部70Bに塗布した半田を図示しないリフロー炉内で溶融させた後、冷却して固化させる。以上により、回路基板80に対するコネクタ10の組み付けが完了する。
【0031】
本実施例1のコネクタ10は、回路基板80に対して1つの端子金具40が4ヶ所で固着されるようになっているので、1つの端子金具が回路基板に対して1ヶ所で固着されるものに比べると、回路基板80に対するコネクタ10の固着強度が高い。よって、ハウジング20を回路基板80に固定するためのペグを用いなくても、コネクタ10を回路基板80に確実に固定することができる。よって、ペグを設けることに起因するこの大型化を回避できる。また、第1分岐接続部70Aと第2分岐接続部70Bは、左右方向に間隔を空けて配置されている。2本の第1分岐接続部70Aは、互いに前後方向に間隔を空けて配置されている。2本の第2分岐接続部70Bも、互いに前後方向に間隔を空けて配置されている。したがって、2本の第1分岐接続部70Aと2本の第2分岐接続部70Bは、回路基板80に対して前後方向及び左右方向に離隔した4か所において固着されている。よって、コネクタ10に対して前後方向や左右方向から外力が作用しても、基板接続部43は、回路基板80に対して傾き難くなっている。
【0032】
実施形態1のコネクタ10は、ハウジング20と、ハウジングに取り付けられた端子金具40と、を備えている。端子金具40は、相手側端子に接続される端子接続部41と、回路基板80に対して導通可能に固着される複数の基板接続部43と、を備えている。この構成によれば、1つの端子金具40が複数ヶ所において回路基板80に固着されているので、ハウジング20を回路基板80に固定するためのペグを用いなくても、コネクタ10を回路基板80に確実に固定することができる。よって、ペグを設けることに起因するコネクタ10の大型化を回避できる。
【0033】
端子接続部41は、折り返し状に屈曲された折返部45と、折返部45から平行に延出した一対の板状部49と、を有する。基板接続部43は、一対の板状部49のうち折返部45とは反対側の端縁部47から互いに反対方向へ延出した第1基板接続部53と第2基板接続部55と、を有する。端子接続部41は一対の板状部49と折返部45とによって密着曲げした形状をなすので、高い剛性を有する。端子接続部41から互いに反対方向へ延出した第1基板接続部53と第2基板接続部55は、回路基板80に対して離隔した位置に固着されるので、回路基板80に対する端子金具40の姿勢が安定する。
【0034】
ハウジング20は、端子金具40が圧入される圧入孔30を有する。第1基板接続部53は、圧入孔30に対する端子金具40の圧入方向と直交する第1押圧面69Aを有する。第2基板接続部55は、圧入孔30に対する端子金具40の圧入方向と直交する第2押圧面69Bを有している。この構成によれば、第1押圧面69A及び第2押圧面69Bに押圧力を付与することによって、端子金具40を圧入孔30に圧入することができる。端子金具40の圧入時における操作面として機能する第1押圧面69Aと第2押圧面69Bを、基板接続部43に設けたので、圧入用の操作面を基板接続部43とは別の部位に形成したものに比べると、端子金具40の形状を簡素化することができる。
【0035】
第1基板接続部53と第2基板接続部55は、圧入孔30に食い込む圧入突起71を有する。この構成によれば、第1基板接続部53と第2基板接続部55は、圧入突起71によって別個にハウジング20に固定されるので外力を受けたときに変形しにくい。
【0036】
板状部49のうち、第1基板接続部53と第2基板接続部55との分岐点61の直上には、圧入孔30に食い込む補助突起63が形成されている。この構成によれば、第1基板接続部53と第2基板接続部55の分岐点61の近傍において、端子金具40が補助突起63によってハウジングに固定されるので、第1基板接続部53、及び第2基板接続部55全体の変形が抑えられる。
【0037】
第1基板接続部53は、互いに離隔して配置され、回路基板80に対して別個に固着される複数の第1分岐接続部70Aを有する。第2基板接続部55は、互いに離隔して配置され、回路基板80に対して個別に固着される複数の第2分岐接続部70Bを有する。この構成によれば、回路基板80に対する基板接続部43の固着箇所を増やせるため、回路基板80に対する固着強度を高めることができる。
【0038】
[実施形態2]
本開示を具体化した実施形態2のコネクタ89を、
図9を参照して説明する。実施形態2の説明において、上記実施形態1と同じ構成については、説明を省略し、実施形態1と同じ作用効果についても説明を省略する。
【0039】
図9に示すように、本実施形態2のコネクタ89の基板接続部91は、端子接続部92の端縁部92Eから分岐して延びる、第1基板接続部91A、及び第2基板接続部91Bを有している。第1基板接続部91Aと第2基板接続部91Bは、端子接続部92に対して直角な平板状をなす。第1基板接続部91Aは、前後一対の突起部(図示省略)を有する。この突起部は、拡幅部96の内部空間において、前後方向に対向する一対の第1内壁(図示省略)に食い込む。同様に、第2基板接続部91Bも一対の突起部(図示省略)を有する。この突起部も、拡幅部96の内部空間において、前後方向に対向する一対の第1内壁(図示省略)に食い込む。
【0040】
基板接続部91は、回路基板(図示省略)に対して導通可能に接続される。基板接続部91の下端面91Sは、板状の基板回路(図示省略)に対して半田付けにより接続される。実施形態2のコネクタ89は、いわゆる表面実装タイプのコネクタである。第1基板接続部91Aは、圧入孔94に対する端子金具95の圧入方向と直交する第1押圧面93Aを有し、第2基板接続部91Bは、圧入孔に対する端子金具95の圧入方向と直交する第2押圧面93Bを有する。
【0041】
[実施形態3]
本開示を具体化した実施形態3のコネクタ100を、
図10を参照して説明する。実施形態3の説明において、上記実施形態1と同じ構成については、説明を省略し、実施形態1と同じ作用効果についても説明を省略する。
【0042】
図10に示すように、実施形態3の端子金具101は、回路基板(図示省略)のスルーホール(図示省略)内に弾性変形した状態で挿入されるプレスフィット端子である。端子金具101は、圧入され、スルーホールの内周面に形成された導電部に対して弾性接触させることによって電気的接続をする。端子金具101は、第1基板接続部105と、第2基板接続部107とを有している。第1基板接続部105は、互いに前後方向に離隔して配置され、回路基板80に対して別個に固着される2つの第1分岐接続部103Aを有する。第2基板接続部107は、互いに前後方向に離隔して配置され、回路基板に対して個別に固着される2つの第2分岐接続部103Bを有している。
【0043】
第1分岐接続部103Aと第2分岐接続部103Bは、下方へ片持ち状に延出した細長い部位である。第1分岐接続部103A、及び第2分岐接続部103Bの上下方向における中央部には、一対の弾性接触片109と、両弾性接触片109の間に配された撓み空間111とが形成されている。一対の弾性接触片109は、互いに前後方向に離間するように膨らんだ形態である。第1分岐接続部103Aと第2分岐接続部103Bは、弾性接触片109をスルーホール内に挿入させることによって、回路基板に取り付けられる。スルーホール内では、スルーホールの内周面に接触した一対の弾性接触片109が、撓み空間111内へ進出して相互間の前後方向の間隔を狭めるような形態で弾性変形する。第1分岐接続部103Aと第2分岐接続部103Bは、弾性接触片109の弾性復元力に起因して弾性接触片とスルーホールの内周面との間に生じる摩擦力によって、回路基板に固着される。実施形態3の端子金具101は、弾性接触片109とスルーホールの内周面との間の摩擦力によって回路基板に固定されるため、半田接続工程(リフロー工程)を要しない。
【0044】
[本開示の他の実施形態]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
(1)実施形態1-3において、ハウジング内に複数のフード部を設け、複数のフード部内に端子金具をそれぞれ取り付けられていても良く、1つのフード部に複数の端子金具を取り付けてもよい。
(2)実施形態1-3において、ハウジングに対する端子金具の圧入方向は、上方向に限定されず、例えば左右方向や、後方向から圧入される構成としても良い。
(3)実施形態1-3において、圧入孔が、拡幅部を設けず、スリット部のみによって構成されていてもよい。
(4)実施形態1-3において、基板子接続部から圧入突起が突出する方向は、前後方向に限らず、左右方向でもよい。
(5)実施形態1-3において、第1押圧面と第2押圧面は、平面に限らず、凹凸を有する面で構成されていてもよい。第1押圧面と第2押圧面が凹凸を有する面であっても、第1押圧面と第2押圧面が、全体として、圧入孔に対する端子金具の圧入方向と直交する向きになっていればよい。
【符号の説明】
【0045】
10,89,100… コネクタ
20… ハウジング
21… 壁部
23… フード部
25… 上壁
27… 下壁
28… 側壁
29… 傾斜部
30… 圧入孔
33… スリット部
35… 上内壁
35A… 第1上内壁
35B… 第2上内壁
36… 拡幅部
37… 下内壁
37A… 第1下内壁
37B… 第2下内壁
39… 天壁
40,101… 端子金具
41,92… 端子接続部
43,91… 基板接続部
45… 折返部
47,92E… 端縁部
49… 板状部
52… 突出部
53,91A,105… 第1基板接続部
55,91B,107… 第2基板接続部
59… 延出部
59A… 第1延出部
59B… 第2延出部
60… 受圧部
61… 分岐点
63… 補助突起
65… 第1屈曲部
67… 第2屈曲部
69A,93A… 第1押圧面
69B,93B… 第2押圧面
70A,103A… 第1分岐接続部
70B,103B… 第2分岐接続部
71… 圧入突起
80… 回路基板
81… スルーホール
82… 金属板材
83… 繋止片
85… ノッチ
90… キャリア
91S… 下端面
109… 弾性接触片
111… 撓み空間
A… 点線
B… 点線
C… 点線
D… 点線
E… 点線