IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイアールアジアインターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷蔵庫 図1
  • 特開-冷蔵庫 図2
  • 特開-冷蔵庫 図3
  • 特開-冷蔵庫 図4
  • 特開-冷蔵庫 図5
  • 特開-冷蔵庫 図6
  • 特開-冷蔵庫 図7
  • 特開-冷蔵庫 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148469
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20241010BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F25D23/02 305A
F25D21/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061641
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】片桐 賢宏
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KC06
3L102LE02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センターピラーが取り付けられた観音開き式の扉を有する冷蔵庫であって、扉とセンターピラーとの間の気密性が確保されるとともに、少ないヒータ容量でセンターピラーの本体の前面部の結露を効率的に抑制する冷蔵庫を提供する。
【解決手段】観音開き式の扉と、扉の一方の扉の自由端に回転自在に取り付けられたセンターピラー10と、を備え、センターピラー10は、少なくとも前面部12Aが樹脂材料で形成され、本体12内の前面部12Aの近傍において、上下に延びた2つの板状の磁石20,22が、それぞれの扉に対向する位置に所定の間隔を開けて配置され、2つの磁石20,22の間の領域に、コード状ヒータ30が上下細長のリング状に配置され、一方の磁石20及び他方の磁石22に交互に近付くように蛇行して上下に延びている冷蔵庫を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観音開き式の扉と、
前記扉の一方の扉の自由端に回転自在に取り付けられたセンターピラーと、
を備え、
前記センターピラーは、少なくとも前面部が樹脂材料で形成され、上下方向に延びた本体を備え、
前記本体内の前記前面部の近傍において、
上下に延びた2つの板状の磁石が、それぞれの前記扉に対向する位置に所定の間隔を開けて配置され、
2つの前記磁石の間の領域に、コード状ヒータが上下細長のリング状に配置され、
前記コード状ヒータは、両端部から一方の磁石側を上下に延びる第1の部分と、他方の磁石側を上下に延びる第2の部分と、前記本体の上端及び下端の近傍で前記第1の部分及び前記第2の部分を繋げる折り返し部分とを有し、
前記第1の部分は、前記両端部が圧着端子でリード線と接続された接続部を有し、前記接続部が前記一方の磁石の面部と重なる位置に配置され、
前記接続部が前記一方の磁石の面部と重なる位置では、前記第2の部分が、前記一方の磁石及び前記他方の磁石の間の領域において、前記一方の磁石及び前記他方の磁石に交互に近付くように蛇行して上下に延びていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記本体の内部に断熱材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記一方の磁石及び前記他方の磁石の間の領域において、前記コード状ヒータが前記断熱材及び前記前面部に挟まれて固定されていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記接続部、前記接続部と隣接する前記第1の部分及び前記リード線の一部が配置された領域を除き、前記一方の磁石及び前記他方の磁石が、前記断熱材及び前記前面部に挟まれて固定されていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記接続部が、前記一方の磁石及び前記断熱材で囲まれ固定されていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観音開き式の扉を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
両側の扉の回転軸が外側に位置し、両側の扉を開くと収納領域が全面的に開放される観音開き式の扉を備えた冷蔵庫が普及している。観音開き式の扉を備えた冷蔵庫では、多くの場合、扉を閉じたときの密封製を確保するため、一方の扉の自由端に回転自在に取り付けられたセンターピラーを備える。センターピラーを備える冷蔵庫の中には、センターピラーの本体の中にヒータを備え、外気に触れるセンターピラーの本体の前面部に結露が生じるのを防ぐようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-257066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷蔵庫は、金属製のセンターピラーの本体の前面部と、扉の内面に取り付けられた磁石を有するガスケットとが磁力で互いに引きつけられて、前面部と扉の内面との間の気密性が確保されている。センターピラー側に磁石が配置されていないので、本体の前面部の幅方向の任意の位置に配置することができる。
【0005】
センターピラーの本体の前面部を、金属材料より熱伝導率が低い樹脂材料で形成した場合、結露を防ぐためのヒータ容量を低減できる。また、樹脂材料を用いることにより、より自由なデザインのセンターピラーが実現できる。
【0006】
しかしながら、センターピラーの本体の前面部を樹脂材料で形成する場合、磁力で扉との気密性を得るには、センターピラーの本体の中に磁石を配置する必要がある。このため、磁石との干渉を考慮すると、ヒータを配置できる場所が制限されることになる。このため、センターピラーの本体の前面部を十分に加熱できず、外気と接する前面部の外面に結露が生じる虞がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、センターピラーが取り付けられた観音開き式の扉を有する冷蔵庫であって、扉とセンターピラーとの間の気密性が確保されるとともに、少ないヒータ容量でセンターピラーの本体の前面部の結露を効率的に抑制する冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
観音開き式の扉と、
前記扉の一方の扉の自由端に回転自在に取り付けられたセンターピラーと、
を備え、
前記センターピラーは、少なくとも前面部が樹脂材料で形成され、上下方向に延びた本体を備え、
前記本体内の前記前面部の近傍において、
上下に延びた2つの板状の磁石が、それぞれの前記扉に対向する位置に所定の間隔を開けて配置され、
2つの前記磁石の間の領域に、コード状ヒータが上下細長のリング状に配置され、
前記コード状ヒータは、両端部から一方の磁石側を上下に延びる第1の部分と、他方の磁石側を上下に延びる第2の部分と、前記本体の上端及び下端の近傍で前記第1の部分及び前記第2の部分を繋げる折り返し部分とを有し、
前記第1の部分は、前記両端部が圧着端子でリード線と接続された接続部を有し、前記接続部が前記一方の磁石の面部と重なる位置に配置され、
前記接続部が前記一方の磁石の面部と重なる位置では、前記第2の部分が、前記一方の磁石及び前記他方の磁石の間の領域において、前記一方の磁石及び前記他方の磁石に交互に近付くように蛇行して上下に延びている冷蔵庫である。
【0009】
本態様によれば、センターピラーの本体の前面部が、金属に比べて熱伝導率の低い樹脂材料で形成されているので、ヒータ容量を低減でき、デザインの自由度も高まる。前面部が樹脂材料で形成されていても、上下に延びた2つの板状の磁石が、それぞれの扉に対向する位置に配置されているので、扉とセンターピラーとを確実に磁力で密封することができる。更に、2つの磁石の間の領域において、一方の磁石側及び他方の磁石側にコード状ヒータが上下に延びて配置されているので、前面部を十分に加熱して、外気と触れる外面の結露を防ぐことができる。
【0010】
特に、コード状ヒータの第1の部分の両端部の発熱に寄与しない接続部が、2つの磁石の間の領域から外れた一方の磁石の面部上に配置され、その領域では、コード状ヒータの第2の部分が、2つの磁石の間の領域において、2つの磁石に交互に近付くように蛇行して上下に延びている。これにより、前面部を加熱して、外気と触れる前面部の外面に結露が生じるのを抑制できる。
【0011】
特に、発熱に寄与しないコード状ヒータの第1の部分の両端部の接続部が、2つの磁石の間の領域から外れた磁石の面部上に配置され、その領域では、コード状ヒータの第2の部分が、2つの磁石の間の領域において、2つの磁石に交互に近付くように蛇行して上下に延びている。これにより、前面部の全領域において十分な加熱が実現でき、外気と触れる前面部の外面に結露が生じるのを効果的に抑制できる。
【0012】
これにより、センターピラーが取り付けられた観音開き式の扉を有する冷蔵庫であって、扉とセンターピラーとの間の気密性が確保されるとともに、少ないヒータ容量でセンターピラーの本体の前面部の結露を効率的に抑制する冷蔵庫を提供できる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記本体の内部に断熱材が配置されている冷蔵庫である。
【0014】
本態様によれば、センターピラーの本体の内部に断熱材が配置されているので、低温の庫内からの伝熱で前面部の温度が下がるのを抑えて、センターピラーの前面部分の結露をより効果的に抑制できる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、
前記一方の磁石及び前記他方の磁石の間の領域において、前記コード状ヒータが前記断熱材及び前記前面部に挟まれて固定されている冷蔵庫である。
【0016】
本態様によれば、コード状ヒータが配置された領域は、断熱材により、低温の庫内からの伝熱による温度低下が抑制される。それとともに、コード状ヒータは、断熱材及び前面部の間に挟まれて固定されているので、位置ずれなく、安定して前面部を加熱することができる。
【0017】
本発明の第4の態様は、第2または第3の態様において、
前記接続部、前記接続部と隣接する前記第1の部分及び前記リード線の一部が配置された領域を除き、前記一方の磁石及び前記他方の磁石が、前記断熱材及び前記前面部に挟まれて固定されている冷蔵庫である。
【0018】
本態様によれば、磁石が、断熱材及び前面部に挟まれて固定されているので、低温の庫内側からの影響を受けにくく、安定して磁力で扉とセンターピラーとの間の気密性を保つことができる。
【0019】
本発明の第4の態様は、第2から第4の何れかの態様において、
前記接続部が、前記一方の磁石及び前記断熱材に挟まれて固定されている冷蔵庫である。
【0020】
本態様によれば、断熱材が接続部の外側にも回り込んで配置され、接続部は、一方の磁石及び断熱材で囲まれて固定されている。これにより、接続部が安定して固定されて、接続不良等が生じるのを抑制できる。また、断熱材により、接続部及び接続部に続くコード状ヒータは、低温の庫内や外気からの影響を受けにくく、コード状ヒータにより安定して前面部を加熱することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明では、音開き式の扉に取り付けられたセンターピラーを有し、扉とセンターピラーとの間の気密性が確保されるとともに、少ないヒータ容量でセンターピラーの本体の前面部の結露を効率的に抑制する冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】センターピラーが取り付けられた観音開き式の扉を有する本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の上側の部分の外形を示す斜視図である。
図2図1に示す冷蔵庫において、扉が開いた状態のセンターピラーを示す上面図である。
図3図1に示す冷蔵庫において、扉が閉じた状態のセンターピラーを示す上面図である。
図4図1に示す冷蔵庫のセンターピラーの外形を示す斜視図である。
図5図4に示すセンターピラーのカバー部材が取り外され、断熱材が取り除かれて、前面部の内面、磁石及びコード状ヒータが視認可能な状態になった斜視図である。
図6図5に示すセンターピラーのうち、コード状ヒータの両端部の接続部が配置された領域を拡大して示す平面図である。
図7図5の断面A-Aを示す断面図である。
図8図5の断面B-Bを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。以下の記載では、冷蔵庫が水平面上に載置され、扉側が前側とし、上下、前後を記載してある。
【0024】
(本発明の1つの実施形態に冷蔵庫の概要)
はじめに、図1から図3を参照しながら、本発明の1つの実施形態に冷蔵庫の概要を説明する。図1は、センターピラーが取り付けられた観音開き式の扉を有する本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の上側の部分の外形を示す斜視図である。図2は、図1に示す冷蔵庫において、扉が開いた状態のセンターピラーを示す上面図である。図3は、図1に示す冷蔵庫において、扉が閉じた状態のセンターピラーを示す上面図である。
【0025】
図1において、一点鎖線は、図示を省略した冷蔵庫の下側部分との境界部を表す。冷蔵庫1は、冷蔵庫本体2、冷蔵庫本体2の前方部分に水平方向に回転可能に設けられた一方の扉3及び他方の扉4を備える。一方の扉3及び他方の扉4の回転軸6は冷蔵庫1の両端に配置され、両側の扉3,4を開くと、収納領域5が全面的に開放される。つまり、扉3,4は観音開き式の扉であり、フレンチドアとも称される。
【0026】
一方の扉3及び他方の扉4は、開閉に際して互いに干渉しないよう に構成されている。つまり、他方の扉4が閉じられている状態で、一方の扉3を開閉可能であり、同様に、一方の扉3が閉じられている状態で、他方の扉4を開閉可能である。
【0027】
一方の扉3の自由端には、センターピラー10が回転自在に取り付けられている。センターピラー10は、上下に延びた本体12を有し、本体12は、一方の扉3の自由端の上下3カ所に取り付けられた回転連結部14A,14B,14Cにより回転自在に取り付けられている。センターピラー10は、一方の扉3と他方の扉4との間に生じる可能性がある隙間を埋め、冷却機能の低減を抑制することができる。センターピラー10が回転することにより、一方の扉3及び他方の扉4を個別に開閉することもできるし、同時に開閉することもできる。なお、センターピラー10は、「回転仕切体」と称することもできる。
【0028】
図3に示すように、一方の扉3が閉じられているとき、センターピラー10の本体12の前面部12Aの外面が、一方の扉3の内面と接するようになっている。センターピラー10の本体12の中には、一方の扉3に対応する位置に一方の磁石20が配置されている。一方の扉3の内面には、磁性体を有するパッキンが取り付けられており、一方の磁石20の磁力により、センターピラー10の本体12の前面部12Aと一方の扉3とが互いに引き付けられる。これにより、センターピラー10と一方の扉3の間が密封された状態となる。
【0029】
同様に、センターピー10の本体12の中には、他方の扉4に対応する位置に他方の磁石22が配置されている。他方の扉4の内面には、磁性体を有するパッキンが取り付けられており、他方の磁石22の磁力により、センターピラー10の本体12の前面部12Aと他方の扉4とが互いに引き付けられる。これにより、センターピラー10と他方の扉4の間が密封された状態となる。
【0030】
更に、一方の磁石20と他方の磁石22との間の領域には、コード状ヒータ30が配置されている。
【0031】
(本発明の1つの実施形態にセンターピラー)
次に、図4から図8を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係るセンターピラー10の説明を行う。図4は、図1に示す冷蔵庫1のセンターピラー10の外形を示す斜視図である。図5は、図4に示すセンターピラー10のカバー部材12Cが取り外され、断熱材50が取り除かれて、前面部12Aの内面、磁石20,22及びコード状ヒータ30が視認可能な状態になった斜視図である。図6は、図5に示すセンターピラー10のうち、コード状ヒータ30の両端部の接続部40が配置された領域を拡大して示す平面図である。図7は、図5の断面A-Aを示す断面図である。図8は、図5の断面B-Bを示す断面図である。なお、図7及び図8では、センターピラー10が扉3に取り付けられた状態の断面形状を示している。
【0032】
上下方向に延びたセンターピラー10の本体12は、図7図8に示すように、略矩形の中空形状を有し、前面部12A及び両側の側面部12Bが一体的に形成された前側部分と、後側部分を覆うカバー部材12Cとが互いに嵌合して構成されている。本実施形態では、前面部12A、側面部12B及びカバー部材12Cが、樹脂材料で形成されている。また、カバー部材12Cには、金属フレーム12Dが取り付けられており、本体12の強度が補強されている。なお、本実施形態に係る本体12は、金属フレーム12Dを除き、樹脂材料で形成されているが、これに限られるものではない、少なくとも前面部12Aが樹脂材料で形成されていれば、他の部分が金属材料をはじめとする他の材料で形成されている場合もあり得る
【0033】
本体12の内部には、断熱材50が配置されている。センターピラー10の本体12の内部に断熱材50が配置されているので、低温の庫内からの伝熱で前面部12Aの温度が下がるのを抑えて、センターピラー10の前面部12Aの結露を効果的に抑制できる。
【0034】
更に、前面部12Aの近傍の領域、更に詳細には、断熱材50及び前面部12Aの間の領域において、2つの磁石20,22と、コード状ヒータ30とが配置されている。本実施形態では、2つの磁石20,22及びコード状ヒータ30が前面部12Aの内面に接するように配置されている。ただし、これに限られるものではなく、2つの磁石20,22及びコード状ヒータ30が、前面部12Aの内面からわずかに離間している場合もあり得る。
【0035】
前面部12Aの内外面と直交する方向から見た場合、本体12内の前面部12Aの近傍において、上下に延びた板状の磁石20,22が、所定の間隔を開けて上下に延びて配置されている。一方の磁石20は、扉3が閉じられとき、扉3に対向する位置に配置されている。他方の磁石22は、扉4が閉じられたとき、扉4に対向する位置に配置されている。扉3,4の内面には、磁性体を有するパッキン60が取り付けられており、磁石20,22とパッキン60が有する磁性体との間の磁力で、扉3,4とセンターピラー10の本体12とが密封状態となる。
【0036】
前面部12の内外面と直交する方向から見た場合、2つの磁石20,22の間の領域に、コード状ヒータ30が上下細長のリング状に配置されている。更に詳細に述べれば、コード状ヒータ30は、両端部から一方の磁石20側を上下に延びる第1の部分32と、他方の磁石22側を上下に延びる第2の部分34と、本体12の上端及び下端の近傍で第1の部分32及び第2の部分34を繋げる折り返し部分36A,36Bとを有する。第1の部分32は、一方の磁石20の近傍を磁石20の内側面に沿って上下に延びている。第2の部分34も、後述する蛇行部分を除き、他方の磁石22の近傍を磁石22の内側面に沿って上下に延びている。
【0037】
コード状ヒータ30の第1の部分32の両端部は、圧着端子(図示せず)でリード線42と接続された2つの接続部40が形成されている。接続部40は、コード状ヒータ30の第1の部分32の端部とリード線42の端部とが挿入され圧着端子がかしめられて、コード状ヒータ30及びリード線42が電気的に接続されている。圧着端子の領域は熱収縮チューブ44で覆われて、周囲との絶縁が図られている。
【0038】
リード線42は、一方の磁石20の面部上に位置する接続部40から、一方の磁石20の外側面に沿って下側に延びて、回転連結部14Cを介して扉3側に延びている。リード線42は、扉3から、ヒンジ部を介して冷蔵庫本体2側に延びており、冷蔵庫本体2内の電源部と接続されている。これにより、電源部からの電力をコード状ヒータ30に供給できる。
【0039】
図6に示すように、前面部12の内外面と直交する方向から見た場合において、接続部40が一方の磁石20の面部と重なる位置に配置されている。そして、この接続部40が一方の磁石20の面部と重なる位置では、コード状ヒータ30の第2の部分34が、一方の磁石20及び他方の磁石22の間の領域において、一方の磁石20及び他方の磁石22に交互に近付くように蛇行して上下に延びるように配置されている(図6のCで示す部分参照)。更に詳細に述べれば、接続部40と連続するコード状ヒータ30の第1の部分32及びリード線42の領域でも、コード状ヒータ30の第2の部分34が蛇行して上下に延びるように配置されている。
【0040】
仮に、コード状ヒータ30の第1の部分32の両端部の接続部40が、一方の磁石20及び他方の磁石22の間の領域に配置されている場合、接続部40で発熱に寄与しないので、2つの磁石20,22の間の領域が十分に加熱されず、外気に触れる前面部12Aの外面が結露する虞がある。
【0041】
そこで、本実施形態では、接続部40の位置を外側にずらして、接続部40が一方の磁石20の面部と重なる位置に配置している。これにより、2つの磁石20,22の間の領域にコード状ヒータ30の第2の部分34のみが存在する状態になるので、この領域全体に第2の部分34を配置することができる。このため、第2の部分34を一方の磁石20にも近付くように蛇行されることにより、2つの磁石20,22の間の領域を十分に加熱することができる。これにより、外気に触れる前面部12Aの外面が結露するのを抑制することができる。
【0042】
なお、コード状ヒータ30の第1の部分32を延長して、2つの磁石20,22の間のほぼ全領域に第1の部分32が存在するようにすることが考えられる。しかし、その場合には、第1の部分32が一方の磁石20の面部にまで存在し、接続部40を配置するスペースを確保するのが困難にある。特に、接続部40の外径はリード線42よりかなり大きくなり、折り曲げることもできないので、リード線42のように一方の磁石20の側部を沿わせることも困難であり、適切な配線が難しくなる。
【0043】
(磁石及びコード状ヒータ30の断熱材に対する配置)
図7図8に示すように、一方の磁石20及び他方の磁石22の間の領域において、コード状ヒータ30は、断熱材50及び前面部12Aに挟まれて固定されている。これにより、コード状ヒータ30が配置された領域は、断熱材50により、低温の庫内からの伝熱による温度低下が抑制される。それとともに、コード状ヒータ30は、断熱材50及び前面部12Aの間に挟まれて固定されているので、位置ずれなく、安定して前面部12Aを加熱することができる。
【0044】
更に、図7図8に示すように、本実施形態では、接続部40、接続部40と隣接するコード状ヒータ30の第1の部分32及びリード線42が配置された領域を除き、一方の磁石20及び他方の磁石22が、断熱材50及び前面部12Aに挟まれて固定されている。
【0045】
このように、一方の磁石20及び他方の磁石22は、断熱材50により、低温の庫内からの伝熱による温度低下が抑制される。それとともに、一方の磁石20及び他方の磁石22は、断熱材50及び前面部12Aの間に挟まれて固定されているので、位置ずれなく、安定して磁力で扉3,4とセンターピラー10との間の気密性を保つことができる。
【0046】
接続部40,接続部40と隣接するコード状ヒータ30の第1の部分32及びリード線42の一部が配置された領域についても、一方の磁石20は、接続部40,第1の部分32及びリード線42を介して、断熱材50及び前面部12Aに挟まれた状態となっており、安定して固定された状態になっている。
【0047】
更に、図7に示すように、本実施形態では、断熱材50が接続部40の外側にも回り込んで配置され、接続部40は、一方の磁石20及び断熱材50で囲まれて固定されている。
【0048】
これにより、接続部40が安定して固定されて、接続不良等が生じるのを抑制できる。また断熱材50により、接続部40及び接続部40に続くコード状ヒータ30は、低温の庫内や外気からの影響を受けにくく、コード状ヒータ30により安定して前面部12Aを加熱することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、観音開き式の扉3,4と、扉3,4の一方の扉3の自由端に回転自在に取り付けられたセンターピラー10と、を備え、センターピラー10は、少なくとも前面部12Aが樹脂材料で形成され、上下方向に延びた本体12を備え、本体12内の前面部12Aの近傍において、上下に延びた2つの板状の磁石20,22が、それぞれの扉3,4に対向する位置に所定の間隔を開けて配置され、2つの磁石20,22の間の領域に、コード状ヒータ30が上下細長のリング状に配置され、コード状ヒータ30は、両端部から一方の磁石20側を上下に延びる第1の部分32と、他方の磁石22側を上下に延びる第2の部分34と、本体12の上端及び下端の近傍で第1の部分32及び第2の部分34を繋げる折り返し部分36A,36Bとを有し、第1の部分32は、両端部が圧着端子でリード線42と接続された接続部40を有し、接続部40が一方の磁石20の面部と重なる位置に配置され、接続部40が一方の磁石20の面部と重なる位置では、第2の部分34が、一方の磁石20及び他方の磁石22の間の領域において、一方の磁石20及び他方の磁石22に交互に近付くように蛇行して上下に延びている。
【0050】
本実施形態では、センターピラー10の本体12の前面部12Aが、金属に比べて熱伝導率の低い樹脂材料で形成されているので、ヒータ容量を低減でき、デザインの自由度も高まる。前面部12Aが樹脂材料で形成されていても、上下に延びた2つの板状の磁石20,22が、それぞれの扉3,4に対向する位置に配置されているので、扉3,4とセンターピラー10とを確実に磁力で密封することができる。更に、2つの磁石20,22の間の領域において、一方の磁石20側及び他方の磁石22側にコード状ヒータ30が上下に延びて配置されている。これにより、前面部を加熱して、外気と触れる前面部の外面に結露が生じるのを効果的に抑制できる。
【0051】
特に、コード状ヒータ30の第1の部分32の両端部の発熱に寄与しない接続部40が、2つの磁石20,22の間の領域から外れた一方の磁石20の面部上に配置され、その領域では、コード状ヒータ30の第2の部分34が、2つの磁石20,22の間の領域において、2つの磁石20,22に交互に近付くように蛇行して上下に延びている。これにより、前面部12Aの全領域において十分な加熱が実現でき、外気と触れる前面部12Aの外面に結露が生じるのを効果的に抑制できる。
【0052】
これにより、センターピラー10が取り付けられた観音開き式の扉3,4を有する冷蔵庫1であって、扉3,4とセンターピラー10との間の気密性が確保されるとともに、少ないヒータ容量でセンターピラー10の本体12の前面部12Aの結露を効率的に抑制する冷蔵庫1を提供できる。
【0053】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0054】
1 冷蔵庫
2 冷蔵庫本体
3 一方の扉
4 他方の扉
5 収納領域
10 センターピラー
12 本体
12A 前面部
12B 側面部
12C カバー部材
12D 金属フレーム
14A、14B,14C 回転連結部
20 一方の磁石
22 他方の磁石
30 コード状ヒータ
32 第1の部分
34 第2の部分
36A,36B 折り返し部分
40 接続部
42 リード線
44 熱収縮チューブ
50 断熱材
60 磁性体を有するパッキン
C1,C2 接続部
D 蛇行領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8