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特開2024-1485情報処理装置、情報処理装置の制御プログラムおよび情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001485
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
G06F1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100165
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 早代
(72)【発明者】
【氏名】江原 浩二
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA00
5B011EA02
5B011HH02
5B011MB01
5B011MB16
(57)【要約】
【課題】 電源断からのデータの保護を早期に行える情報処理装置、情報処理装置の制御プログラムおよび情報処理システムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、情報処理装置は、通信部と記憶部とプロセッサとを有する。通信部は、管理装置と通信する。記憶部は、データを格納するファイルを記憶する。プロセッサは、通信部により管理装置から終了指示を受けた場合、ファイルへのデータの書込み処理を終了したのに基づきファイルを読取専用とした状態で前記管理装置へ終了通知を送信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と通信する通信部と、
データを格納するファイルを記憶する記憶部と、
前記通信部により前記管理装置から終了指示を受けた場合、前記ファイルへのデータの書込み処理を終了したのに基づき前記ファイルを読取専用とした状態で前記管理装置へ終了通知を送信するプロセッサと、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記通信部により前記管理装置へ前記終了通知を送信したのに基づきシャットダウン処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記通信部により前記管理装置から前記終了指示を受けた場合、動作状況を示すログデータをファイルに書き込む書込み処理を終了したのに基づき前記記憶部が記憶する全てのファイルを読取専用とする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記管理装置としての無停電電源装置と接続するインターフェースを含む、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
通信部と記憶部とを有するコンピュータに、
前記通信部により管理装置から終了指示を受信した場合に前記記憶部が記憶するファイルへのデータの書込み処理を実行し、
前記ファイルへのデータの書込み処理を終了したのに基づき前記記憶部が記憶する全てのファイルを読取専用とし、
前記記憶部が記憶する全てのファイルを読取専用とした状態で前記管理装置へ終了通知を送信する、
処理を実行させる情報処理装置の制御プログラム。
【請求項6】
管理装置と情報処理装置とを有する情報処理システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記管理装置と通信する第1の通信部と、
データを格納するファイルを記憶する記憶部と、
前記第1の通信部により前記管理装置から終了指示を受けた場合、前記ファイルへのデータの書込み処理を終了したのに基づき前記ファイルを読取専用とした状態で前記管理装置へ終了通知を送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記管理装置は、
前記情報処理装置と通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部により前記情報処理装置へ終了指示を送信したのに基づき前記情報処理装置からの終了通知を受信する第2のプロセッサと、を有する、
情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置の前記第1のプロセッサは、前記第1の通信部により前記管理装置へ前記終了通知を送信したのに基づきシャットダウン処理を実行し、
前記管理装置の前記第2のプロセッサは、前記第2の通信部により前記情報処理装置から前記終了通知を受信したのに基づきシャットダウン処理を実行する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理装置の制御プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータなどの情報処理装置におけるファイル(データ)を電源断から保護するための方法として、ファイルシステムを読み取り専用で起動する方法や無停電電源装置によりオペレーティングシステム(OS)のシャットダウン処理(終了処理)が完了するまで電力を確保する方法がある。
しかしながら、ファイルシステムを読み取り専用で起動する場合、情報処理装置は、ファイルへのデータの書込みができないという問題がある。
【0003】
また、情報処理装置における終了処理に必要な電力を無停電電源装置から供給する方法では、無停電電源装置は、終了処理が完了するまでに必要な電力を確保できていることを保証することが難しい。仮に情報処理装置における終了処理中に無停電電源装置からの電力供給が遮断されると、従来の情報処理装置のファイルが破損する可能性がある。また、確実に終了処理を完了するのに必要とされる十分な電力を確保できる無停電電源装置は、大きなバッテリー容量を必要とするのでコストや設置場所の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014ー63358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたもので、電源断に対するデータの保護を早期に行える情報処理装置、情報処理装置の制御プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報処理装置は、通信部と記憶部とプロセッサとを有する。通信部は、管理装置と通信する。記憶部は、データを格納するファイルを記憶する。プロセッサは、通信部により管理装置から終了指示を受けた場合、ファイルへのデータの書込み処理を終了したのに基づきファイルを読取専用とした状態で前記管理装置へ終了通知を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの第1の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの第2の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの第3の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理装置および管理装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムにおける第1の動作例を説明するためのシーケンスである。
図6図6は、実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムにおける第2の動作例を説明するためのシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る情報処理装置および情報処理装置を含む情報処理システムの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置13を含む情報処理システム11Aの第1の構成例を示すブロック図である。
図1に示す第1の構成例の情報処理システム11Aは、管理装置としての情報処理装置12Aと情報処理装置13とが接続された構成を有する。
【0009】
第1の構成例において、情報処理装置12Aおよび情報処理装置13は、オペレーティングシステム(OS)が動作するコンピュータを有する装置である。情報処理装置12Aおよび情報処理装置13は、OS上で動作するアプリケーションプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。情報処理装置12Aと情報処理装置13とは、互いにデータを送受信するための通信機能を有する。
【0010】
情報処理システム11Aを構成する情報処理装置12Aおよび情報処理装置13は、特定の機器に限定されるものではない。情報処理システム11Aは、管理装置としての情報処理装置12Aが情報処理装置13に対して電源のオフを指示し、情報処理装置13が情報処理装置12Aからの指示に応じて電源をオフするための処理を実行するシステム又は装置であれば良い。
【0011】
例えば、情報処理システム11Aは、管理装置としての情報処理装置12Aと情報処理装置13とが通信回線を介して接続されたシステムであっても良いし、主制御ユニット(制御装置)としての情報処理装置12Aと処理デバイスとしての情報処理装置13とを組み込んだ組み込み装置であっても良い。
【0012】
組み込み装置の具体例としては、情報処理システム11Aは、主制御ユニットとしての情報処理装置12Aとカード(券)処理モジュールとしての情報処理装置13とを組み込んだ自動改札機であっても良い。また、情報処理システム11Aは、主制御ユニットとしての情報処理装置12Aと通信モジュールとしての情報処理装置13とを備えるIoTデバイス向けのゲートウエイ機器であっても良い。また、情報処理システム11Aは、主制御ユニットとしての情報処理装置12Aと各部の駆動モジュールとしての情報処理装置13とを備えるロボット(自動機)であっても良い。
【0013】
次に、実施形態に係る情報処理装置13を含む情報処理システム11の第2の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置13を含む情報処理システム11の第2の構成例を示すブロック図である。
図2に示す第2の構成例の情報処理システム11は、管理装置としての無停電電源装置12Bと情報処理装置13とが接続された構成を有する。
情報処理装置13は、無停電電源装置12Bから供給される電力によって動作する。無停電電源装置12Bは、情報処理装置13へ電力を供給するためのインターフェースを有し、外部電源からの電力供給が停止された場合であっても所定期間電力を情報処理装置13へ供給するためのバッテリーを備える。
【0014】
無停電電源装置12Bと情報処理装置13とは、互いにデータを送受信するための通信機能を有する。情報処理装置13は、オペレーティングシステム(OS)が動作するコンピュータであり、OS上で動作するアプリケーションプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。第2の構成例において、無停電電源装置12Bが情報処理装置13に対して電源のオフを指示し、情報処理装置13が無停電電源装置12Bからの指示に応じて電源をオフするための処理を実行する。
【0015】
次に、実施形態に係る情報処理装置13を含む情報処理システム11の第3の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置13(13a、13b、13c)を含む情報処理システム11の第3の構成例を示すブロック図である。
図3に示す第3の構成例の情報処理システム11Cは、管理装置12(12A、12B)に対して複数の情報処理装置13a、13b、13cが接続された構成を有する。
【0016】
例えば、第3の構成例の情報処理システム11Cは、第1の構成例に説明した管理装置としての情報処理装置12Aに対して複数の情報処理装置13a、13b、13cが接続されたシステムであっても良い。また、第3の構成例の情報処理システム11Cは、第2の構成例で説明した管理装置としての無停電電源装置12Bに対して複数の情報処理装置13a、13b、13cが接続されたシステムであっても良い。
【0017】
情報処理装置13は、オペレーティングシステム(OS)が動作し、OS上で動作するアプリケーションプログラムを実行することにより各種の処理を実行するコンピュータを有する装置である。管理装置12と複数の情報処理装置13a、13b、13cとは互いにデータを送受信するための通信機能を有する。
【0018】
具体例として、第3の構成例の情報処理システム11Cは、管理装置12がサーバなどの上位装置であり、情報処理装置13a、13b、13cが端末機器であるネットワークシステムであっても良い。また、情報処理システム11Cは、監視盤としての管理装置12に複数の自動改札機などの駅務機器が接続された駅務システムに適用しても良い。また、情報処理システム11Cは、1つの無停電電源装置12Bに複数の端末機器又は複数の処理モジュールとしての情報処理装置が接続されるシステム又は組み込み装置に適用しても良い。
【0019】
次に、実施形態に係る情報処理システム11を構成する管理装置12および情報処理装置13における制御系の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る情報処理システム11を構成する管理装置12と情報処理装置13とにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、管理装置12(12A、12B)は、プロセッサ(第2のプロセッサ)21、ROM22、RAM23、記憶部24および通信部(第2の通信部)25を有する。
【0020】
プロセッサ21は、プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ21は、システムバスなどを介して管理装置12内の各部と接続され、各部との間でデータを送受信する。
【0021】
ROM22は、プログラムおよび制御データなどを記憶するメモリである。ROM22は、不揮発性のメモリにより構成される。RAM(Random Access Memory)23は、データを一時的に記憶するメモリである。RAM23は、例えば、揮発性のメモリで構成される。
【0022】
記憶部24は、各種のデータを記憶する。記憶部24は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリで構成される。記憶部24は、プロセッサ21がインターフェースを介してアクセス可能な外部装置としての記憶装置で実現しても良い。
【0023】
プロセッサ21は、RAM23を使用しながらROM22又は記憶部24に記憶したプログラムを実行することにより後述する各種の処理を実行するように構成される。例えば、プロセッサ21は、オペレーティングシステム(OS)のプログラムを実行し、OS上で動作する各種のアプリケーションプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0024】
通信部25は、情報処理装置13と通信するための通信インターフェースである。通信部25は、ローカルに接続される情報処理装置13と通信するためのインターフェースであっても良いし、ネットワークを介して情報処理装置13と通信するネットワークインターフェースであっても良い。
【0025】
なお、管理装置12は、管理者が操作するための操作部および管理者に情報を表示する表示部などを備えるようにしても良い。また、管理装置12としての無停電電源装置12Bは、外部電源からの電力を蓄えるためのバッテリーなどを備える。無停電電源装置12Bは、通信部25として情報処理装置13とデータを送受信するためのインターフェースだけでなく、情報処理装置13へバッテリーに蓄えた電力を供給するためのインターフェースを備える。
【0026】
また、図4に示す構成例において、情報処理装置13(13a、13b、13c)は、プロセッサ(第1のプロセッサ)31、ROM32、RAM33、記憶部34および通信部(第1の通信部)35を有する。
【0027】
プロセッサ31は、プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ31は、システムバスなどを介して管理装置12内の各部と接続され、各部との間でデータを送受信する。
【0028】
ROM(Read Only Memory)32は、プログラムおよび制御データなどを記憶するメモリである。ROM32は、不揮発性のメモリにより構成される。RAM(Random Access Memory)33は、データを一時的に記憶するメモリである。RAM33は、例えば、揮発性のメモリで構成される。
【0029】
記憶部34は、各種のデータを記憶する。記憶部34は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリで構成される。記憶部34は、プロセッサ31がインターフェースを介してアクセス可能な外部装置としての記憶装置で実現しても良い。
【0030】
プロセッサ31は、RAM33を使用しながらROM32又は記憶部34に記憶したプログラムを実行することにより後述する各種の処理を実行するように構成される。例えば、プロセッサ31は、オペレーティングシステム(OS)のプログラムを実行し、OS上で動作する各種のアプリケーションプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0031】
通信部35は、管理装置12と通信するための通信インターフェースである。通信部35は、ローカルに接続される管理装置12と通信するためのインターフェースであっても良いし、ネットワークを介して管理装置12と通信するネットワークインターフェースであっても良い。
【0032】
なお、情報処理装置13は、用途に応じた処理又は動作を実行するためのハードウエアを有する。例えば、情報処理システム11が自動改札機であれば、情報処理装置13は、自動改札機に組み込まれる処理モジュールである。情報処理装置13が自動改札機に組み込まれるカードなどの記憶媒体を処理するための記憶媒体の処理モジュールであれば、カードなどの記憶媒体を処理するためのハードウエアなどを備える。また、情報処理システム11がIoT機器向けのゲートウエイ機器であれば、情報処理装置13は、通信用の回路などを含むハードウエアなどを備える。また、情報処理システム11がロボットであれば、情報処理装置13は、ロボットとして駆動するためのハードウエアとしての駆動機構などを備える。
【0033】
次に、実施形態に係る情報処理装置13を含む情報処理システム11の動作について説明する。
実施形態に係る情報処理システム11は、管理装置12が情報処理装置13に対して電源のオフ(終了)を指示する。情報処理装置13は、管理装置12から終了の指示を受信すると、ファイルにデータを書き込む処理に係る全ての処理を終了させたのに基づきファイルシステムを読取専用でマウントし直す。情報処理装置13は、ファイルシステムを読取専用でマウントすると、管理装置12へ終了通知を送信するとともに、シャットダウン処理を実行する。これにより、実施形態に係る情報処理装置13は、ファイルシステムを読取専用とした後であれば、シャットダウン処理中に電源断された場合であってもファイルの破損を防ぐことができる。
【0034】
また、実施形態に係る情報処理装置13は、管理装置12から終了指示を受けた場合であってもファイルシステムを読取専用とするまで(シャットダウン処理が始まるまで)ファイルへの書込みを可能とする。このため、情報処理装置13は、動作状況や動作するために必要な設定情報などのファイルへの書込みを確実に終了した後に読取専用に移行してから管理装置12への終了通知とシャットダウン処理とを実行できる。
【0035】
これにより、情報処理装置13は、終了指示に対するシャットダウン処理の前に読取専用で保護されるファイルに動作状況や設定情報などの情報を確実に保存することできる。この結果として、実施形態に係る情報処理装置は、障害の発生原因などを調査するための動作状況の確認を迅速に実施でき、シャットダウン直前の設定情報に基づくシャットダウン前の設定での動作を確実に再開することも可能となる。
【0036】
以下、実施形態に係る情報処理システム11において情報処理装置13の電源をオフする場合の動作について説明する。
まず、第1の構成例の情報処理システム11Aにおいて管理装置としての情報処理装置12Aからの終了指示に応じて情報処理装置13が電源をオフするまでの動作例(第1の動作例)について説明する。
図5は、実施形態に係る情報処理装置13を含む第1の構成例の情報処理システム11による第1の動作例を説明するためのシーケンスである。
【0037】
図1に示すような第1の構成例の情報処理システム11において、管理装置としての情報処理装置12Aは、情報処理装置13へ電源をオフさせるための終了指示を送信する。例えば、情報処理装置12Aは、管理者からの操作指示に応じて管理者が指定する情報処理装置13へ終了指示を送信する。情報処理装置12Aのプロセッサ21は、終了指示の対象となる情報処理装置13と通信部25を介して通信し、情報処理装置13へ終了指示を送信する(ST11)。
【0038】
情報処理装置13は、通信部35により情報処理装置12Aからの終了指示を受信する。情報処理装置13のプロセッサ31は、情報処理装置12Aからの終了指示を受信すると、OS上で動作するファイルシステムの各ファイルへのデータ書込み処理を終了させる(ST12)。例えば、プロセッサ31は、現在の動作状況を示す情報や設定内容を示す情報などを記憶部34に記憶する所定のファイル(ログデータを格納するファイル)に書き込む。プロセッサ31は、必要なデータの書込みが完了すると、ファイルシステムによって管理する全てのファイルへの書込みを停止する。
【0039】
情報処理装置13のプロセッサ31は、全てのファイルへデータの書込みを停止させた後、ファイルシステムを読取専用でマウントし直す(ST13)。例えば、プロセッサ31は、OS上で動作するファイルシステムが管理する全てのファイルに対するアクセス制限を書込み禁止かつ読取可とすることにより、当該情報処理装置13のファイルシステムを読取専用で動作させる(リマウントする)。
【0040】
情報処理装置13のプロセッサ31は、自身のファイルシステムを読取専用でリマウントした後、情報処理装置12Aからの終了指示に対応する応答としての終了通知を送信する(ST14)。情報処理装置13のプロセッサ31は、情報処理装置12Aへ終了通知を送信するとともに、当該情報処理装置13におけるOSのシャットダウン処理を実行する(ST15)。
【0041】
ここで、情報処理装置13のプロセッサ31は、OSのシャットダウン処理を実行することにより処理部36などを含む情報処理装置13における各部を所定の手順で終了させる。このシャットダウン処理において、プロセッサ31は、各部を動作せるためのプログラム(ドライバ)などを停止させるが、情報処理装置13が読取専用で動作しているため、ドライバの停止などに伴うログ(システムログ)の書込みは行わない。言い換えると、情報処理装置13は、全てのファイルを読取専用でリマウントした後であれば、ファイルへのデータの書込みが行われないため、任意のタイミングで電源が遮断されてもファイルへのデータにおける不具合が生じることがなく、ファイル内のデータを安全に保護することができる。
【0042】
管理装置としての情報処理装置12Aは、情報処理装置13から終了通知を通信部25により受信する。情報処理装置12Aのプロセッサ21は、情報処理装置13からの終了通知を受信すると、情報処理装置13におけるファイル内のデータの保護が完了したものと判別する。
【0043】
図5に示す動作例においては、管理装置としての情報処理装置12Aは、情報処理装置13を終了させるとともに自身のシャットダウン処理を実行するものとする。この場合、情報処理装置12Aのプロセッサ21は、情報処理装置13からの終了通知を受信した後に自身のシャットダウン処理を実行する(ST16)。これにより、情報処理システム11Aは、情報処理装置13のデータを保護した状態で情報処理装置13と管理装置としての情報処理装置12Aのシャットダウン処理が実行される。
【0044】
なお、上述した第1の動作例は、第3の構成例の情報処理システム11Cに適用しても良い。第3の構成例の情報処理システム11Cに第1の動作例を適用する場合、管理装置としての情報処理装置12Aは、複数の情報処理装置13へ終了指示を送信し、全ての情報処理装置13からの終了通知を受けた後に自身のシャットダウン処理を実行するようにしても良い。
【0045】
以上詳述したように、第1の動作例では、情報処理システムにおける情報処理装置は、管理装置からの終了指示に応じてログデータなどのデータの書込みなどを終了したのに基づきに全てのファイルを読取専用でリマウントさせ、読取専用でリマウントさせた状態でシャットダウン処理を実行する。これにより、情報処理装置は、読取専用とすることでファイル内のデータを保護した後にシャットダウン処理を実行することができ、シャットダウン処理中に電源断が発生してもデータを安全に保護できる。
【0046】
また、情報処理システムの管理装置は、終了指示の対象とする情報処理装置が読取専用となった時点で終了通知を受けることができるため、情報処理装置におけるシャットダウン処理の終了を待つことなく、当該情報処理装置が終了したものと認識することでき、自身のシャットダウン処理などの処理を早く実行できる。
【0047】
次に、第2の構成例の情報処理システム11Bにおいて管理装置としての無停電電源装置12Bからの終了指示に応じて情報処理装置13が電源をオフするまでの動作例(第2の動作例)について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置13を含む第2の構成例の情報処理システム11Bによる第2の動作例を説明するためのシーケンスである。
【0048】
図6に示す動作例において、図2に示すような第2の構成例の情報処理システム11Bにおける管理装置としての無停電電源装置12Bが情報処理装置13に終了を指示するものとする。例えば、無停電電源装置12Bは、外部電源からの電力供給が停止した場合(停電が発生した場合)に情報処理装置13におけるデータを保護するために終了指示を送信する。無停電電源装置12Bのプロセッサ21は、終了を指示する対象となる情報処理装置13と通信部25を介して通信し、情報処理装置13に終了指示を送信する(ST21)。
【0049】
情報処理装置13は、通信部35により無停電電源装置12Bから終了指示を受信する。情報処理装置13のプロセッサ31は、無停電電源装置12Bからの終了指示を受信すると、OS上で動作するファイルシステムによる各ファイルへのデータ書込み処理を終了させる(ST22)。例えば、プロセッサ31は、現在の動作状況を示す情報や設定内容を示す情報などのログデータを記憶部34に記憶する所定のファイル(ログデータを格納するファイル)に書き込む。プロセッサ31は、必要なデータの書込みが完了すると、ファイルシステムによって管理する全てのファイルへの書込みを停止する。
【0050】
情報処理装置13のプロセッサ31は、全てのファイルへデータの書込みを停止した後、ファイルシステムを読取専用でマウントし直す(ST23)。例えば、プロセッサ31は、OS上で動作するファイルシステムが管理する全てのファイルに対するアクセス制限を書込み禁止かつ読取可とすることにより当該情報処理装置13を読取専用として動作させる(リマウントする)。
【0051】
情報処理装置13のプロセッサ31は、自身のファイルシステムを読取専用でリマウントした後、終了指示に対応する応答としての終了通知を無停電電源装置12Bへ送信する(ST24)。プロセッサ31は、終了通知を管理装置としての無停電電源装置12Bへ送信するとともに、当該情報処理装置13全体のシャットダウン処理を実行する(ST15)。
【0052】
ここで、情報処理装置13のプロセッサ31は、OSのシャットダウン処理を実行することにより処理部36などを含む情報処理装置13における各部の動作を所定の手順でシャットダウンする。このシャットダウン処理において、プロセッサ31は、各部のハードウエアなどを動作せるためのプログラム(ドライバ)などを停止させるが、情報処理装置13が読取専用で動作しているため、ドライバの停止などに伴うログ(システムログ)の書込みは行わない。
【0053】
言い換えると、情報処理装置13は、全てのファイルを読取専用でリマウントした後であれば、ファイルにはデータが書き込まれないため、任意のタイミングで電源が遮断されてもファイル内に格納するデータにおける不具合(破損など)が生じることがなく、ファイル内のデータを安全に保護することができる。
【0054】
一方、管理装置としての無停電電源装置12Bは、情報処理装置13から終了通知を通信部25により受信する。無停電電源装置12Bのプロセッサ21は、情報処理装置13からの終了通知を受信すると、情報処理装置13におけるファイル内のデータの保護が完了したものと判別する。情報処理装置におけるデータの保護の観点からすると、無停電電源装置は、情報処理装置から終了通知を受けるまでの期間における当該情報処理装置への電源供給を保証すれば良いと考えられる。このため、無停電電源装置は、情報処理装置から終了通知を受けた後であれば当該情報処理装置への電源供給を停止しても良い。
【0055】
ただし、本実施形態に係る情報処理装置13は、読取専用としてリマウントした後、ハードウエアに対する終了処理などの処理を所定の手続きで完了しておくために読取専用の状態でシャットダウン処理を実行するようにしている。このため、第2の動作例において、無停電電源装置12Bは、情報処理装置13から終了通知を受けた後であってもシャットダウン処理を実行する情報処理装置13へ電源を供給するものとしている。
【0056】
なお、上述した第2の動作例は、第3の構成例の情報処理システム11Cに適用しても良い。第3の構成例の情報処理システム11Cに第2の動作例を適用すれば、管理装置としての無停電電源装置12Bは、複数の情報処理装置13へ終了指示を送信し、全ての情報処理装置13からの終了通知を受けた後に各情報処理装置13への電力供給を停止するようにしても良い。
【0057】
上述したように、第2の動作例では、情報処理システムにおける情報処理装置は、ログデータなどのデータの書込みなどを終了したのに基づきに全てのファイルを読取専用でリマウントする。情報処理装置は、読取専用でリマウントさせた後に無停電電源装置へ終了を通知するとともにシャットダウン処理を実行する。
これにより、情報処理装置は、読取専用とすることでファイル内のデータを保護した後にシャットダウン処理を実行することができ、シャットダウン処理中に電源断が発生してもデータを安全に保護できる。
【0058】
また、第2の動作例では、情報処理システムは、無停電電源装置が情報処理装置から終了通知を受信するまでの期間における電源供給を保証すれば、情報処理装置におけるデータが確実に保護できる。上述した読取専用でリマウントさせるまでの処理に要する時間が通常のOSのシャットダウン処理に要する時間よりも短いと考えられるため、無停電電源装置が情報処理装置に対して電源供給を保証すべき時間を短くすることができる。この結果として、小さいバッテリー容量の無停電電源装置であっても、情報処理装置におけるファイルを破損させることがないシャットダウン処理を実現できる情報処理システムを提供できる。
【0059】
以上のように、実施形態に係る情報処理システムにおいて、情報処理装置は、管理装置からの終了指示を受けると、ファイルへのデータの書込みを完了させて読取専用でリマウントし、読取専用でリマウントした状態でシャットダウン処理を実行する。これにより、実施形態に係る情報処理装置は、読み書き可能なファイルシステムが動作中に終了指示を受けた場合であっても、必要なデータのファイルへの書込みを実行でき、シャットダウン処理中に電源断されてもファイル破損を防ぐことができる。
【0060】
なお、上記した各処理はいくつかのソフトウェアによって実行することが可能である。このため、上記処理の手順を実行するいくつかのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこれらプログラムを情報処理装置にインストールして実行することで、上記処理を容易に実現することができる。例えば、情報処理装置は、プログラムをネットワーク経由でダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを記憶することで、プログラムをインストールするようにしても良い。また、情報処理装置は、上記プログラムを各種の情報記憶媒体から読み取り、読み取ったプログラムを記憶することで、プログラムをインストールするようにしても良い。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
11(11A、11B、11C)…情報処理システム、12…管理装置、12A…情報処理装置(管理装置)、12B…無停電電源装置(管理装置)、13…情報処理装置、21…プロセッサ(第2のプロセッサ)、25…通信部(第2の通信部)、31…プロセッサ(第1のプロセッサ)、34…記憶部、35…通信部(第1の通信部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6