(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014852
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】圧縮性フィルムを介して焼結力を加えるための装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119256
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】17/871,496
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504133796
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャペイ・ディン
(72)【発明者】
【氏名】テン・ホック・クア
(72)【発明者】
【氏名】ビン・ユアン
(72)【発明者】
【氏名】イ・リン
(72)【発明者】
【氏名】ジエン・リアオ
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AB03
5F047BA00
5F047BB05
5F047FA21
5F047FA90
(57)【要約】
【課題】基板の上に電子デバイスを、電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結するための焼結装置を提供すること。
【解決手段】焼結装置は、焼結ツールと、金属シートおよび電子デバイスの上に位置決め可能な圧縮性フィルムとを備えている。圧縮性フィルムの厚さは金属シートの高さより大きい。圧縮性フィルムは、焼結ツールが焼結プロセス中に圧縮性フィルムの上に焼結力を加える場合に、金属シートおよび電子デバイスの形状に適合して、金属シートおよび電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うようになっている。
【選択図】
図4D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に電子デバイスを、前記電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結するための焼結装置であって、
焼結ツールと、
前記金属シートおよび前記電子デバイスの上に位置決め可能な圧縮性フィルムと、を備え、
前記圧縮性フィルムの厚さは前記金属シートの高さより大きく、前記圧縮性フィルムは、前記焼結ツールが焼結プロセス中に前記圧縮性フィルムの上に焼結力を加える場合に、前記金属シートおよび前記電子デバイスの形状に適合して、前記金属シートおよび前記電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うようになっている、焼結装置。
【請求項2】
前記焼結装置は、少なくとも1つの基板を焼結中に支持可能なキャリアを受けるようになっており、前記キャリアは、前記焼結プロセスを行う前に前記金属シートおよび前記電子デバイスを覆うために一片の前記圧縮性フィルムとフィットするように構成されている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項3】
前記キャリアによって支持される前記金属シートおよび前記電子デバイスの上に前記一片の圧縮フィルムを置くための圧縮性フィルム投入ステーションをさらに備えた、請求項2に記載の焼結装置。
【請求項4】
前記キャリアは複数のポケットを有し、各ポケットはそれぞれの基板を保持するように構成され、前記キャリアはさらに貫通孔を有し、底部焼結ツールは、前記基板を支持するために、前記貫通孔を通じて挿入可能であることができる、請求項2に記載の焼結装置。
【請求項5】
前記圧縮性フィルムの体積は、前記焼結力が前記圧縮性フィルムの上に加えられる場合に変化するように構成されている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項6】
前記圧縮性フィルムの前記厚さは、前記焼結プロセス中に前記金属シートおよび前記電子デバイスの露出された領域全体をさらに覆うのに十分である、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項7】
前記圧縮性材料は、前記焼結ツールが前記焼結プロセス中に前記圧縮性材料上に焼結力を加えている場合に、前記焼結ツールの底部表面および側壁の一部に適合して覆うようになっている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項8】
前記圧縮性フィルムは、所定の伸張比で拡張された高繊維状構造膜を備えている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項9】
前記圧縮性フィルムは拡張PTFEを備えている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項10】
前記拡張PTFEは、0.5g/cm3~0.9g/cm3の密度、および50%~90%の圧縮率を有する、請求項9に記載の焼結装置。
【請求項11】
前記拡張PTFEはさらに、0.1g/cm3~1.9g/cm3の比重、25%~96の間隙率を有する、請求項10に記載の焼結装置。
【請求項12】
前記圧縮性フィルムは拡張グラファイトフィルムを備えている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項13】
前記拡張グラファイトフィルムは、0.5g/cm3~1.5g/cm3の密度、および15%~70%の圧縮率を有する、請求項12に記載の焼結装置。
【請求項14】
前記圧縮性フィルムは、圧縮性フィルムの複数の別個の適合した層を備えている、請求項1に記載の焼結装置。
【請求項15】
基板の上に電子デバイスを、前記電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結するための方法であって、
前記基板の上に前記電子デバイスを、前記電子デバイスの上に金属シートを置くステップと、
前記金属シートおよび前記電子デバイスの上に圧縮性フィルムを置くステップであって、前記圧縮性フィルムの厚さは前記金属シートの高さより大きいステップと、
次いで、前記圧縮性フィルムが前記金属シートおよび前記電子デバイスの形状に適合し、前記圧縮性フィルムによって前記金属シートおよび前記電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うように、焼結ツールで焼結プロセス中に前記圧縮性フィルムの上に焼結力を加えるステップと、を含む、方法。
【請求項16】
基板の上に電子デバイスを、前記電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結することによって焼結されたパッケージを製造するための方法であって、
前記基板の上に前記電子デバイスを、前記電子デバイスの上に金属シートを置くステップと、
前記金属シートおよび前記電子デバイスの上に圧縮性フィルムを置くステップであって、前記圧縮性フィルムの厚さは前記金属シートの高さより大きいステップと、
次いで、前記圧縮性フィルムが前記金属シートおよび前記電子デバイスの形状に適合して、前記圧縮性フィルムによって前記金属シートおよび前記電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うように、焼結ツールで焼結プロセス中に前記圧縮性フィルムの上に焼結力を加えるステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイパワーエレクトロニクスデバイスを含む焼結されたパッケージの製造中などの、電子デバイスの焼結に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結は、液状化点に溶融することなく、熱および/または圧力によって材料の固体塊を圧縮および形成するプロセスである。材料中の原子は、粒子の境界にわたって拡散して、粒子を共に溶解し、1つの固体片を作り出す。焼結は、焼結材料が高温用途においてはんだの代わりになる場合に、ハイパワーエレクトロニクスデバイス内に半導体ダイを取り付けるために一般的に利用される。
【0003】
積み重ねられた電力構造用の現在の焼結システムおよび解決法は、2ステップ焼結プロセスを必要とする。第1のステップ中、電力半導体ダイは基板の上に焼結される。第2のステップ中、薄い金属シートはその後、電力半導体ダイの上に焼結される。金属シートは、銅、銀、金、ニッケルまたは他の金属で作られた箔の形であってもよく、または合金を含んでいてもよい。金属シートはまた、銅箔の上にめっきされた銀層などのめっき層を含んでいてもよい。このような薄い金属シートの例は、いわゆるダイトップシステム(「DTS」)である。金属シートは、高い歩留まりでの銅ワイヤ結合を可能にするためにダイ保護を行い、半導体ダイの上のその組立を単純化するために、予め塗布された焼結ペーストおよび接着剤を含んでいてもよい。
【0004】
図1は、複数の半導体チップまたはダイ102および金属シート104が上に取り付けられた基板100の平面図である。基板100は、直接結合銅(DBC)セラミック基板であってもよい。普通は、焼結される単一のDBC基板100の上に取り付けられた複数の半導体ダイ102があり、様々な半導体ダイ102の間に高さ変化があってもよい。
【0005】
図2Aは、焼結ツール110および半導体ダイ102を分離させる非圧縮性フィルム108を使用した従来技術の焼結アプローチの側面図である。非圧縮性フィルム108は、圧縮均一性を改善するために、クッションとして使用される。このような非圧縮性フィルム108は、変形させるために力が加えられる場合に一定のままである体積を有する。このように、その材料は普通、非圧縮性フィルム108の体積保存状態を確立するために、変形力によって横に押される。半導体ダイ102は、基板100上の焼結ペースト106の層の上に置かれている。固化した焼結ペースト106は、焼結後に、半導体ダイ102を基板100に接着させる。
【0006】
図2Bは、非圧縮性フィルム108を介して半導体ダイ102上に加えられている焼結力112を示している。半導体ダイ102が焼結ペースト106および基板100の上に結合された後に、焼結ツール110および非圧縮性フィルム108は、半導体ダイ102から離れるように移動される。
【0007】
その後、
図2Cは、焼結ツール110および非圧縮性フィルム108が半導体ダイ102から離れるように移動された後に、基板100に結合された半導体ダイ102の上部に置かれた金属シート104を示している。焼結ペースト106の層は、金属シート104を半導体ダイ102に結合させるために、金属シート104と半導体ダイ102の間に存在している。
【0008】
図2Dは、非圧縮性フィルム108を介して、今回は金属シート104の上に焼結力112を加える焼結ツール110を示している。焼結ペースト106が硬化した後に、金属シート104は、半導体ダイ102の上に上手く結合される。
【0009】
焼結力112を伝達するために、通常の非圧縮性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルムなどの非圧縮性フィルム108に頼る、現在の2ステップ焼結プロセスにはいくつかの欠点がある。まず、ダイトップメタライゼーションは、第1の焼結ステップ中に半導体ダイトップと直接接触するPTFEフィルムによって汚染され、金属シートを焼結するためには、半導体ダイトップメタライゼーションを洗浄または再活性化させるための専用の洗浄プロセスが必要である。これは、組立時間を長くし、動作費用および複雑性を増大させる。
【0010】
さらに、PTFEフィルムなどの非圧縮性フィルムの典型的な厚さは0.05mmである。0.05mmの厚さを有するPTFEフィルムは、典型的には最大約0.01mmの高さ変化をカバーすることしかできないので、この厚さは普通、半導体ダイ102または金属シート104の高さ変化をカバーするのに十分ではない。もう一方で、半導体ダイ102または金属シート104の実際の変化は、0.05mmであってもよい。
【0011】
このような高さ変化が完全に補償されない場合、その後、焼結された半導体ダイ102または金属シート104の結合品質は悪影響を受ける。
【0012】
シリコーンゴムなどのエラストマーの形の非圧縮性材料はまた、製品内の厚さのあらゆる変化を補償するために、上部焼結ツールに接着される場合に圧力パッドとして使用されてもよい。しかし、エラストマー自体は固体材料であり、したがって、圧力パッドの内側の圧力分布は本質的に不均一である。より低い圧力領域は低いダイ結合強度を有する傾向があり、高圧領域は半導体ダイクラックのリスクが高いので、この不均一性は歩留まりまたは損傷の問題を生じるリスクがある。
【0013】
さらに、圧力パッドとしてのエラストマーの使用は、圧力焼結される領域または構成部品を選択できることを可能にしない。このような選択が可能ではないので、この概念は、特に基板がパネルタイプセラミック基板である場合に、焼結中にクラックまたは破断などの基板への損傷を誘導する可能性が高い。
【0014】
所定の領域の上に焼結圧力を選択的に加えることができないことなどの、現在の焼結アプローチの前述の欠点を避ける、金属シートおよび電力半導体ダイに対する1ステップ焼結プロセスを提供することが有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、焼結中に力分配媒体などの圧縮性材料を展開することによって、効果的な1ステップ焼結プロセスを提供することを目指すことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によると、基板の上に電子デバイスを、電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結するための焼結装置が提供され、焼結装置は、焼結ツールと、金属シートおよび電子デバイスの上に位置決め可能な圧縮性フィルムとを備え、圧縮性フィルムの厚さは金属シートの高さより大きく、圧縮性フィルムは、焼結ツールが焼結プロセス中に圧縮性フィルムの上に焼結力を加える場合に、金属シートおよび電子デバイスの形状に適合して、金属シートおよび電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うようになっている。
【0017】
本発明の第2の態様によると、基板の上に電子デバイスを、電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結するための方法が提供され、方法は、基板の上に電子デバイスを、電子デバイスの上に金属シートを置くステップと、金属シートおよび電子デバイスの上に圧縮性フィルムを置くステップであって、圧縮性フィルムの厚さは金属シートの高さより大きいステップと、次いで、圧縮性フィルムが金属シートおよび電子デバイスの形状に適合して、圧縮性フィルムによって金属シートおよび電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うように、焼結ツールで焼結プロセス中に圧縮性フィルムの上に焼結力を加えるステップと、を含んでいる。
【0018】
本発明の第3の態様によると、基板の上に電子デバイスを、電子デバイスの上に金属シートを同時に焼結することによって焼結されたパッケージを製造するための方法が提供され、方法は、基板の上に電子デバイスを、電子デバイスの上に金属シートを置くステップと、金属シートおよび電子デバイスの上に圧縮性フィルムを置くステップであって、圧縮性フィルムの厚さは金属シートの高さより大きいステップと、次いで、圧縮性フィルムが金属シートおよび電子デバイスの形状に適合して、圧縮性フィルムによって金属シートおよび電子デバイスの少なくとも一部を同時に覆うように、焼結ツールで焼結プロセス中に圧縮性フィルムの上に焼結力を加えるステップと、を含んでいる。
【0019】
以下、便宜上、本発明の特定の好ましい実施形態を例示する添付の図面を参照することによって、本発明をより詳細に記載する。図面および関連する記載の詳細は、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の幅広い同等物の一般性に優先するものではないことを理解されたい。
【0020】
本発明による例示的な焼結プロセスを次に、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】複数の半導体ダイおよび金属シートが上に取り付けられた基板の平面図である。
【
図2-1】
図2Aは、焼結ツールおよび半導体ダイを分離させる非圧縮性フィルムを使用した従来技術の焼結アプローチの側面図であり、
図2Bは、非圧縮性フィルムを介して半導体ダイ上に加えられる焼結力を示す図である。
【
図2-2】
図2Cは、半導体ダイの上部に置かれた金属シートを示す図であり、
図2Dは、非圧縮性フィルムを介して金属シート上に焼結力を加える焼結ツールを示す図である。
【
図3B】キャリアの上に置かれた基板を示す図である。
【
図3C】基板の上に置かれた半導体ダイを示す図である。
【
図3D】半導体ダイの上に置かれた複数の金属シートを示す図である。
【
図3E】基板の上に置かれた圧縮性フィルム片を示す図である。
【
図4A】本発明の好ましい実施形態による圧縮性フィルムを含む焼結装置の側面図である。
【
図4B】圧縮性フィルムに接触する焼結ツールを示す図である。
【
図4C】金属シートおよび半導体ダイの一部を覆うように圧縮されている圧縮性フィルムを示す図である。
【
図4D】圧縮性フィルムが金属シートおよび半導体ダイの形状に実質的に適合する焼結位置の焼結装置を示す図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態による、焼結プロセスを行うための焼結機械内に含まれてもよいモジュールの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
複数の電子デバイス(半導体ダイ18など)および金属シート20が焼結装置内での焼結によって基板16の上にどのように結合されるかを例示する目的で、
図3Aは、本発明の好ましい実施形態による、焼結中に複数の基板16を支持するために使用されるキャリア10の平面図である。キャリア10は、焼結のために少なくとも1つの基板16を支持している場合に、焼結装置によって受けられるようになっている。図示したキャリア10は、貫通孔を含む複数のポケット12を有し、各ポケット12は1つの基板16を載置するように構成されている。各ポケット12の周面は、段差14を内装し、その上に基板16の縁部を載せて、支持することができる。
【0023】
図3Bは、キャリア10の上に置かれた4つの基板を示し、各基板はそれぞれのポケット12内で段差14によって支持されている。
図3Cでは、複数の半導体ダイ18が基板16の上に置かれている。この図では、各基板16は4つの半導体ダイ18を保持するように構成されている。各半導体ダイ18は、焼結プロセスに続く準備で、焼結ペースト24の層の上に置かれるべきである。
【0024】
図3Dは、半導体ダイ18の上に置かれた複数の金属シート20を示し、各半導体ダイ18は1つの金属シート20を保持するように構成されている。各金属シート20は、焼結プロセスの準備で、半導体ダイ18の上に置かれる場合に、その表面上に焼結ペースト24の層を有してもよい。最後に、
図3Eは基板16の上に置かれた4片の圧縮性フィルム22を示し、これら複数片の圧縮性フィルム22は、焼結プロセスを行う前に、金属シート20および半導体ダイ18を覆うためにキャリア10によって割り当てられた空間にフィットする。
【0025】
非圧縮性フィルム108と異なり、圧縮性フィルム22の体積は、変形力がその圧縮性材料の上に加えられた場合に変化するように特に構成されている。これら4片の圧縮性フィルム22は、ピックアンドプレース動作を使用して、圧縮性フィルム投入ステーションで基板16の上に配置されてもよく、焼結力が焼結プロセス中に上に加えられる場合に、金属シート20および半導体ダイ18の上に圧縮力を伝達するように働く。
【0026】
図4Aは、本発明の好ましい実施形態による、圧縮性フィルム22を含む焼結装置の側面図である。この側面図では、1対の半導体ダイ18および金属シート20を見ることができる。基板16はキャリア10のポケット12内に置かれており、ポケット12の貫通孔に挿入可能であって貫通孔を通って突出する底部焼結ツール32は、ポケット12内で段差14から離れるように基板16を持ち上げる。底部焼結ツール32は、焼結中に基板16用のしっかりした支持を提供する。
【0027】
半導体ダイ18は、それぞれ基板16上の焼結ペースト24の層の上に置かれ、金属シート20はその後、それぞれ半導体ダイ18上の焼結ペーストの層の上に置かれる。圧縮性フィルム22は、キャリア10のポケット12内に収まり、金属シート20の上表面を覆う。上部焼結ツール30は、半導体ダイ18および金属シート20の位置に対応する垂直位置で、圧縮性フィルム22の上で待機位置に置かれる。
【0028】
図4Bは、圧縮性フィルム22に接触する上部焼結ツール30を示すが、圧縮性フィルム22はまだ圧縮されていない。
図4Cは、基板16に向けて圧縮されるときに、適合表面領域を形成し始めている押し下げられた圧縮性フィルム34を作り出すために、上部焼結ツール30によって圧縮されている圧縮性フィルム22を示している。圧縮性フィルム22が、(金属シートが上にのっている焼結ペースト24の層を含む)金属シート20の厚さよりも厚くなるように、圧縮性フィルム22の厚さが金属シート20の高さより大きいことにより、圧縮性フィルム22は、金属シート20および半導体ダイ18の形状に適合するようになっているので、金属シート20の露出された領域全体と半導体ダイ18の一部を覆うことが可能である。可能であれば、圧縮性フィルム22はまた、半導体ダイ18の露出された領域全体と、金属シート20を覆うような厚さで選択されてもよい。
【0029】
図4Dは、圧縮性フィルム22が金属シート20および半導体ダイ18の形状と実質的に適合する焼結位置での焼結装置を示している。焼結中に金属シート20および半導体ダイ18を覆う、この適合する圧縮性フィルム36は、その基部で、金属シート20の表面、金属シート20と半導体ダイ18の間の焼結ペースト24、および半導体ダイ18の上および側表面のいくつかに適合する。したがって、適合する圧縮性フィルム36は、上部焼結ツール30が焼結プロセス中に圧縮性フィルム22の上に焼結力を加える場合に、金属シート20および半導体ダイ18の少なくとも一部を同時に覆うことが可能である。
【0030】
その上部で、適合する圧縮性フィルム36は、上部焼結ツール30が適合する圧縮性フィルム36の上に焼結力を加えている場合に、上部焼結ツール30の底部表面および側壁の一部に適合して覆う。この時点で、1ステッププロセスで、半導体ダイ18を基板16に、金属シート20を半導体ダイ18に結合するために焼結が行われてもよい。
【0031】
図5は、本発明の好ましい実施形態による、焼結プロセスを行うための焼結機械40内に含まれてもよいモジュールの略図である。焼結機械は、基板16、半導体ダイ18および金属シートを載置するキャリア10が焼結機械40内に導入および供給される製品投入保管所42を有する。投入視覚システム44は、欠陥がないことを保証するために、キャリア10およびその内容物を検査する。
【0032】
その後、キャリア10は投入トラック46の使用を介して予熱ステーション48に供給される。この時点で、圧縮性フィルム投入ステーション52は、特定の所定サイズの圧縮性フィルム22の供給を受け、その後、基板16および基板16に結合されるデバイスを覆うためにこれらを持ち上げて、キャリア10の上に置く。オンローダ50はその後、上記
図4Aから
図4Dを参照して詳細に記載するように、焼結プロセスを行うために複数の焼結プレス54の1つ内にキャリア10を供給する。
【0033】
半導体ダイ18および金属シート20の形のデバイスが焼結により基板16に結合された後に、キャリア10は冷却および硬化のために焼結プレス54から冷却ステーション56に移動され、キャリア10はその後、オフローダ58によって降ろされる。冷却ステーション56で生産面での障壁に直面した場合のために、スループットを改善するために展開される2つ以上の冷却ステーション56があってもよい。冷却後、キャリア10は取出トラック60を介して製品取出保管ステーション62に移動され、ここで焼結された製品をその後回収し、圧縮性フィルム22を廃棄することができる。
【0034】
圧縮性フィルム22は、PTFEを拡張するために高い伸張比であるべきである所定の伸張比で拡張された高繊維状構造膜を形成するように、(熱・酸処理を施した)拡張PTFEまたは拡張グラファイトで作られていることが好ましい。拡張PTFE膜は、同様の非拡張PTFE構造よりかなり低い密度を備えた多孔質構造として記載することができる。拡張PTFE膜は、0.1g/cm3~1.9g/cm3の比重、25%~96%の間隙率を有してもよい。1ミクロン未満の小さな細孔径は、最大90%の間隙率につながり、1ミクロン~6ミクロンの大きなサイズの細孔は、少なくとも95%に間隙率を促進することに貢献することができる。1つの好ましい拡張PTFEフィルムは、0.5g/cm3~0.9g/cm3の密度、および50%~90%の圧縮率を有する。拡張PTFEフィルムは、任意選択では1つまたは複数の剛性PTFE層が間に挟まれた、複数の別個の適合した拡張PTFE層を備えていてもよい。本発明の好ましい実施形態で使用されるような圧縮性フィルム22の厚さは、0.1mm~3.0mmの領域内であってもよい。拡張グラファイトフィルムは、0.5g/cm3~1.5g/cm3の密度、および15%~70%の圧縮率を有してもよい。
【0035】
圧縮性フィルム22は
図3Eに示すように別個の材料片として導入されてもよいが、廃材処理が単純化されるように、連続フィルムとして導入することもできる。圧縮性フィルム22はまた、単一の圧縮性層、複数の層を備えてもよく、または、金属シート20および半導体ダイ18を覆うようになっている圧縮性材料を含む複合材料から作ることもできる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態に記載されるような圧縮性フィルム22の使用は、半導体ダイ18および金属シート20の焼結を1ステッププロセスで成功裏に完了させることを可能にすることを理解されたい。これは、費用を節約し、組立プロセスを単純化し、歩留まりを増加させるのを助ける。さらに、焼結品質を向上させるために、半導体ダイ18および金属シート20の高さのはるかに多くの変化を補償することができる。
【0037】
ユーザは、従来技術では可能ではない、焼結圧力を選択的に加えるための特定の領域を割り当てることが可能である。圧縮性フィルム22は、製品が圧力焼結用の焼結プレス内に装填される前に、自動化プロセスで製品の上に装填することができる消耗品である。上記の方法を使用して製造されるエレクトロニクスデバイスは、デバイスの焼結インターフェースでの層間剥離を示さず、行ったダイ剪断強度試験では結合強度が高いことを示している。
【0038】
本明細書に記載した発明は、特に記載したもの以外の変更、変形および/または追加を許すことができ、本発明は上記記載の精神および範囲内にあるこのような変更、変形および/または追加の全てを含むことを理解されたい。
【符号の説明】
【0039】
10 キャリア
12 ポケット
14 段差
16 基板
18 半導体ダイ
20 金属シート
22 圧縮性フィルム
24 焼結ペースト
30 上部焼結ツール
32 底部焼結ツール
34 圧縮性フィルム
36 圧縮性フィルム
40 焼結機械
42 製品投入保管所
44 投入視覚システム
46 投入トラック
48 予熱ステーション
50 オンローダ
52 圧縮性フィルム投入ステーション
54 焼結プレス
56 冷却ステーション
58 オフローダ
60 取出トラック
62 製品取出保管ステーション
100 基板
102 半導体チップまたはダイ
104 金属シート
106 焼結ペースト
108 非圧縮性フィルム
110 焼結ツール
112 焼結力
【外国語明細書】