IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 邱天翼の特許一覧

特開2024-14854フルフローティング高精度カッタホルダ
<>
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図1
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図2
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図3
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図4
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図5
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図6
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図7
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図8
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図9
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図10
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図11
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図12
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図13
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図14
  • 特開-フルフローティング高精度カッタホルダ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014854
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】フルフローティング高精度カッタホルダ
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/08 20060101AFI20240125BHJP
   B23D 75/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B23B31/08 B
B23D75/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119278
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】202210860798.1
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523277909
【氏名又は名称】邱天翼
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】邱天翼
【テーマコード(参考)】
3C032
3C050
【Fターム(参考)】
3C032FF01
3C050DC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】穴拡げ、穴修正用カッタの軸線と、加工される底穴との間の高精度の同心度を得るためのフルフローティング高精度カッタホルダを提供する。
【解決手段】ホルダ体と、カッタ挟持棒とを含み、ホルダ体内には、棒収容チャンバが設けられ、カッタ挟持棒の中段及び後端は、棒収容チャンバ内に設けられ、カッタ挟持棒の前端は、棒収容チャンバからホルダ体の外部に延在し、カッタ挟持棒の前端は、カッタを挟持するものであり、カッタ挟持棒の中段は、前記棒収容チャンバに隙間嵌めされ、カッタ挟持棒と棒収容チャンバとの間には、カッタ挟持棒の中段に対する可撓性支持が実現されるように、可撓性支持体が設けられる。カッタ挟持棒の後端は、前記ホルダ体にフローティング接続され、カッタ挟持棒は、ホルダ体に対してそれ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進可能であり、ホルダ体に対してそれ自体の軸線の周りに直線回転可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ体(1)と、カッタ挟持棒(2)とを含み、前記カッタ挟持棒(2)は、順に接続される前端(203)と、中段(204)と、後端(205)とを含み、前記ホルダ体(1)内には、棒収容チャンバ(101)が設けられ、前記カッタ挟持棒(2)の中段(204)及び後端(205)は、棒収容チャンバ(101)内に設けられ、前記カッタ挟持棒(2)の前端(203)は、前記棒収容チャンバ(101)から前記ホルダ体(1)の外部に延在し、前記カッタ挟持棒(2)の前端(203)は、カッタを挟持するものであり、前記カッタ挟持棒(2)の中段(204)は、前記棒収容チャンバ(101)に隙間嵌めされ、前記カッタ挟持棒(2)と前記棒収容チャンバ(101)との間には、カッタ挟持棒(2)の中段(204)に対する可撓性支持が実現されるように、可撓性支持体が設けられ、前記カッタ挟持棒(2)の後端(205)は、前記ホルダ体(1)にフローティング接続され、前記カッタ挟持棒(2)は、前記ホルダ体(1)に対してそれ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進可能であり、前記カッタ挟持棒(2)は、前記ホルダ体(1)に対してそれ自体の軸線の周りに直線回転可能であることを特徴とする、フルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項2】
前記カッタ挟持棒(2)の軸線をY軸、鉛直方向をZ軸、水平面がY軸に垂直な方向をX軸として定義し、前記カッタ挟持棒(2)は、X軸及びZ軸に沿って並進可能であり、前記カッタ挟持棒(2)は、前記X軸及びZ軸の周りに回転可能であることを特徴とする、請求項1に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項3】
前記可撓性支持は、環状弾性支持体又は圧縮ガスによる支持であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項4】
前記ホルダ体(1)内には、座収容チャンバ(104)が設けられ、前記座収容チャンバ(104)は、前記棒収容チャンバ(101)に連通し、前記座収容チャンバ(104)内には、接続座アセンブリ(3)が設けられ、前記カッタ挟持棒(2)の後端(205)は、前記接続座アセンブリ(3)を介して前記ホルダ体(1)にフローティング接続させ、前記接続座アセンブリ(3)は、後座(302)と、前軸(303)と、後軸(304)とを含み、前記カッタ挟持棒(2)の後端(205)と前記後座(302)とは、前記前軸(303)によりヒンジ接続され、前記カッタ挟持棒(2)は、前記前軸(303)の軸方向に沿って直線摺動可能であり、前記後座(302)と前記ホルダ体(1)とは、前記後軸(304)によりヒンジ接続され、前記後座(302)は、前記後軸(304)の軸方向に沿って直線摺動可能であり、前記前軸(303)と前記後軸(304)とは、角度を付けて配置されることを特徴とする、請求項1に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項5】
前記前軸(303)の軸線は、前記後軸(304)の軸線に垂直であることを特徴とする、請求項4に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項6】
前記接続座アセンブリ(3)は、前座(301)をさらに含み、前記カッタ挟持棒(2)の後端(205)は、前記前座(301)に接続され、前記前座(301)と前記後座(302)とは、前記前軸(303)によりヒンジ接続され、前記前座(301)は、前記前軸(303)の軸方向に沿って直線摺動可能であることを特徴とする、請求項4に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項7】
前記前軸(303)及び前記後軸(304)には、それぞれ前軸スリーブ(305)及び後軸スリーブ(306)が設けられ、前記前軸スリーブ(305)は、前記前軸(303)に外嵌され、前記前座(301)は、前記前軸スリーブ(305)に接続され、前記前軸スリーブ(305)は、前記前軸(303)の軸方向に沿って直線摺動可能であり、前記後軸スリーブ(306)は、前記後軸(304)に外嵌され、前記後座(302)は、前記後軸スリーブ(306)に接続され、前記後軸スリーブ(306)は、前記後軸(304)の軸方向に沿って直線摺動可能であり、これによって、前記前軸(303)と前記前軸スリーブ(305)は、回転-直線摺動相手材を構成し、前記後軸(304)と前記後軸スリーブ(306)は、回転-直線摺動相手材を構成することを特徴とする、請求項6に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項8】
前記接続座アセンブリ(3)は、接続管(307)、調節前座(308)、少なくとも2つの第1固定軸(309)、及び少なくとも2つの第2固定軸(3012)をさらに含み、前記後座(302)の前記カッタ挟持棒(2)から遠い端は、前記接続管(307)内に入り込み、前記後座(302)の前記接続管(307)内に入り込んだ端は、前記接続管(307)に隙間嵌めされ、前記後軸(304)は、前記接続管(307)に回転可能に接続され、前記調節前座(308)は、一部が前記接続管(307)の前記カッタ挟持棒(2)から遠い端に入り込み、各前記第1固定軸(309)は、間隔をおいて前記調節前座(308)に通過し、各前記第2固定軸(3012)は、間隔をおいて前記調節前座(308)を通過し、各前記第1固定軸(309)の軸線は、互いに平行であり、各前記第2固定軸(3012)の軸線は、互いに平行であり、前記第1固定軸(309)の軸線は、前記第2固定軸(3012)の軸線に垂直であり、各前記第1固定軸(309)は、それぞれ前記接続管(307)に接続され、各前記第2固定軸(3012)は、それぞれ前記ホルダ体(1)に接続され、前記第1固定軸(309)は、それ自体の軸方向に沿って前記調節前座(308)に対して直線摺動可能であり、前記調節前座(308)は、前記第2固定軸(3012)の軸方向に沿って直線摺動可能であることを特徴とする、請求項4に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項9】
前記接続管(307)内には、仕切板(3071)が設けられ、前記仕切板(3071)によって、接続管(307)は、第1室(3072)と第2室(3073)に分けられ、前記後座(302)の一端は、前記第1室(3072)内に入り込み、前記調節前座(308)は、一部が前記第2室(3073)内に入り込むことを特徴とする、請求項8に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項10】
前記フルフローティング高精度カッタホルダは、調節後座(3010)をさらに含み、前記調節後座(3010)は、前記ホルダ体(1)に接続され、前記調節後座(3010)の前記調節前座(308)に向かう端には、凹溝(3011)が形成され、前記調節前座(308)の前記接続管(307)に入り込んでいない端は、前記凹溝(3011)内に入り込み、前記調節前座(308)は、前記凹溝(3011)に隙間嵌めされることを特徴とする、請求項8に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項11】
前記棒収容チャンバ(101)には、前記ホルダ体(1)に対して回転可能な偏心スリーブ(4)が取り付けられ、前記カッタ挟持棒(2)の中段(204)は、前記偏心スリーブ(4)の中心孔に隙間嵌めされ、前記偏心スリーブ(4)の中心孔の軸線と、前記偏心スリーブ(4)の軸線とは、異軸で設けられ、前記可撓性支持体は、カッタ挟持棒(2)の中段(204)に対する可撓性支持が実現されるように、前記カッタ挟持棒(2)と前記偏心スリーブ(4)との間に設けられ、前記偏心スリーブ(4)を回転させることにより、前記カッタ挟持棒(2)は、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進することを特徴とする、請求項3に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項12】
前記偏心スリーブ(4)は、ギアスリーブであり、前記偏心スリーブ(4)は、スリーブ部(401)と、スリーブ部(401)の外周に設けられるギア部(402)とを含み、前記フルフローティング高精度カッタホルダは、調節ギア(5)をさらに含み、前記調節ギア(5)は、前記ギア部(402)の外周に噛み合い、前記調節ギア(5)を回転させることにより、前記ギア部(402)と前記スリーブ部(401)は、同期回転可能となり、前記カッタ挟持棒(2)は、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進可能となり、前記調節ギア(5)と前記ギア部(402)の少なくとも1箇所には、調節ギア(5)及び/又は前記ギア部(402)をロックするためのロック構造が設けられることを特徴とする、請求項11に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項13】
前記ホルダ体(1)には、ダイヤルゲージ(6)が取り付けられ、前記ホルダ体(1)の頂端には、棒収容チャンバ(101)に連通する開口(105)が形成され、前記開口(105)は、鉛直方向に沿って延在し、前記偏心スリーブ(4)には、環状ノッチ(405)が設けられ、前記開口(105)は、前記環状ノッチ(405)に位置合わせされ、前記ダイヤルゲージ(6)のニードルは、順に前記開口(105)、前記環状ノッチ(405)を通過して前記カッタ挟持棒(2)の外周壁と接触し、前記ダイヤルゲージ(6)は、前記カッタ挟持棒(2)の鉛直方向における並進距離を測定するものであることを特徴とする、請求項11に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【請求項14】
前記可撓性支持が圧縮ガスによる支持である場合、前記偏心スリーブ(4)の内壁及び外壁には、互いに連通する環状ガス溝(406)が形成され、前記ホルダ体(1)には、互いに連通する吸気口(103)と気道(102)が設けられ、前記吸気口(103)は、外部ガス源に連通し、前記環状ガス溝(406)は、前記気道(102)に連通することを特徴とする、請求項11に記載のフルフローティング高精度カッタホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工及びNC工作機械の技術分野に関し、具体的には、フルフローティング高精度カッタホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械加工ツールシステムでは、切削工具は、シャンクシステムとカッタに分かれている。シャンクシステムは工作機械との接続部分であり、加工時には工作機械の主軸がシャンクシステムを介してカッタを駆動して加工品を加工する。
【0003】
精密な穴拡げ及び穴修正を行う際に、主に、穴拡げカッタ、成形カッタ又はリーマを用いて形成された底穴を加工する。剛性構造のシャンクシステム及びカッタを使用する際に、工作機械それ自体に製造誤差が存在し、即ち、工作機械のX軸(水平)が工作機械の中心線(ゼロ)に戻るときに絶対にゼロに戻すことは不可能であり、誤差があり、また、カッタの取り付けにも誤差が存在し、ワークの挟持に誤差が存在し、取り付けデバッグ用のダイヤルゲージには精度誤差がある。これらは、カッタの軸線と仕上げ加工される底穴の軸線とが同心ではない問題をもたらす。この場合、カッタを用いて強制的に穴を加工すると、カッタの寿命に影響を与えるのみならず、製品の加工精度が悪く、加工された製品が廃棄される場合もある。したがって、底穴とカッタ軸線の高精度の同心度を得ることは、高精度の穴拡げ及び穴修正を達成する前提である。つまり、カッタの中心軸線と、加工される穴の軸線とが完璧に重なり合うことを要求し、径方向の力を受けないことを保証する必要がある。
【0004】
特に、リーマは、主に小径・深穴の仕上げ加工に使用されるため、上記の問題はより顕著になる。そのため、リーマは、フローティングリーマホルダを採用することが多い。しかし、従来のフローティングリーマホルダは、性能が限られるため、カッタ挟持棒はそれ自体の軸線に垂直な直線の周りに回転できるが、1つの方向のみに沿って回転可能であり、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進することができない。そのため、リーマと底穴との間の同心度偏差の問題を徹底的に解決することができない
【発明の概要】
【0005】
穴拡げ、穴修正用カッタの軸線と、加工される底穴との間の高精度の同心度を得るために、本発明によれば、フルフローティング高精度カッタホルダが提供される。
【0006】
本発明の技術的手段は、以下の通りである。
ホルダ体と、カッタ挟持棒とを含み、前記カッタ挟持棒は、順に接続される前端と、中段と、後端とを含み、前記ホルダ体内には、棒収容チャンバが設けられ、前記カッタ挟持棒の中段及び後端は、棒収容チャンバ内に設けられ、前記カッタ挟持棒の前端は、前記棒収容チャンバから前記ホルダ体の外部に延在し、前記カッタ挟持棒の前端は、カッタを挟持するものであり、前記カッタ挟持棒の中段は、前記棒収容チャンバに隙間嵌めされ、前記カッタ挟持棒と前記棒収容チャンバとの間には、カッタ挟持棒の中段に対する可撓性支持が実現されるように、可撓性支持体が設けられ、前記カッタ挟持棒の後端は、前記ホルダ体にフローティング接続され、前記カッタ挟持棒は、前記ホルダ体に対してそれ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進可能であり、前記カッタ挟持棒は、前記ホルダ体に対してそれ自体の軸線の周りに直線回転可能である、フルフローティング高精度カッタホルダ。
【0007】
好ましくは、前記カッタ挟持棒の軸線をY軸、鉛直方向をZ軸、水平面がY軸に垂直な方向をX軸として定義し、前記カッタ挟持棒は、X軸及びZ軸に沿って並進可能であり、前記カッタ挟持棒は、前記X軸及びZ軸の周りに回転可能である。
【0008】
好ましくは、前記可撓性支持は、環状弾性支持体又は圧縮ガスによる支持である。
【0009】
好ましくは、前記ホルダ体内には、座収容チャンバが設けられ、前記座収容チャンバは、前記棒収容チャンバに連通し、前記座収容チャンバ内には、接続座アセンブリが設けられ、前記カッタ挟持棒の後端は、前記接続座アセンブリを介して前記ホルダ体にフローティング接続させ、前記接続座アセンブリは、後座と、前軸と、後軸とを含み、前記カッタ挟持棒の後端と前記後座とは、前記前軸によりヒンジ接続され、前記カッタ挟持棒は、前記前軸の軸方向に沿って直線摺動可能であり、前記後座と前記ホルダ体とは、前記後軸によりヒンジ接続され、前記後座は、前記後軸の軸方向に沿って直線摺動可能であり、前記前軸と前記後軸とは、角度を付けて配置される。
【0010】
好ましくは、前記前軸の軸線は、前記後軸の軸線に垂直である。
【0011】
好ましくは、前記接続座アセンブリは、前座をさらに含み、前記カッタ挟持棒の後端は、前記前座に接続され、前記前座と前記後座とは、前記前軸によりヒンジ接続され、前記前座は、前記前軸の軸方向に沿って直線摺動可能である。
【0012】
好ましくは、前記前軸及び前記後軸には、それぞれ前軸スリーブ及び後軸スリーブが設けられ、前記前軸スリーブは、前記前軸に外嵌され、前記前座は、前記前軸スリーブに接続され、前記前軸スリーブは、前記前軸の軸方向に沿って直線摺動可能であり、前記後軸スリーブは、前記後軸に外嵌され、前記後座は、前記後軸スリーブに接続され、前記後軸スリーブは、前記後軸の軸方向に沿って直線摺動可能であり、これによって、前記前軸と前記前軸スリーブは、回転-直線摺動相手材を構成し、前記後軸と前記後軸スリーブは、回転-直線摺動相手材を構成する。
【0013】
好ましくは、前記接続座アセンブリは、接続管、調節前座、少なくとも2つの第1固定軸、及び少なくとも2つの第2固定軸をさらに含み、前記後座の前記カッタ挟持棒から遠い端は、前記接続管内に入り込み、前記後座の前記接続管内に入り込んだ端は、前記接続管に隙間嵌めされ、前記後軸は、前記接続管に回転可能に接続され、前記調節前座は、一部が前記接続管の前記カッタ挟持棒から遠い端に入り込み、各前記第1固定軸は、間隔をおいて前記調節前座に通過し、各前記第2固定軸は、間隔をおいて前記調節前座を通過し、各前記第1固定軸の軸線は、互いに平行であり、各前記第2固定軸の軸線は、互いに平行であり、前記第1固定軸の軸線は、前記第2固定軸の軸線に垂直であり、各前記第1固定軸は、それぞれ前記接続管に接続され、各前記第2固定軸は、それぞれ前記ホルダ体に接続され、前記第1固定軸は、それ自体の軸方向に沿って前記調節前座に対して直線摺動可能であり、前記調節前座は、前記第2固定軸の軸方向に沿って直線摺動可能である。
【0014】
好ましくは、前記接続管内には、仕切板が設けられ、前記仕切板によって、接続管は、第1室と第2室に分けられ、前記後座の一端は、前記第1室内に入り込み、前記調節前座は、一部が前記第2室内に入り込む。
【0015】
好ましくは、前記フルフローティング高精度カッタホルダは、調節後座をさらに含み、前記調節後座は、前記ホルダ体に接続され、前記調節後座の前記調節前座に向かう端には、凹溝が形成され、前記調節前座の前記接続管に入り込んでいない端は、前記凹溝内に入り込み、前記調節前座は、前記凹溝に隙間嵌めされる。
【0016】
好ましくは、前記棒収容チャンバには、前記ホルダ体に対して回転可能な偏心スリーブが取り付けられ、前記カッタ挟持棒の中段は、前記偏心スリーブの中心孔に隙間嵌めされ、前記偏心スリーブの中心孔の軸線と、前記偏心スリーブの軸線とは、異軸で設けられ、前記可撓性支持体は、カッタ挟持棒の中段に対する可撓性支持が実現されるように、前記カッタ挟持棒と前記偏心スリーブとの間に設けられ、前記偏心スリーブを回転させることにより、前記カッタ挟持棒は、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進する。
【0017】
好ましくは、前記偏心スリーブは、ギアスリーブであり、前記偏心スリーブは、スリーブ部と、スリーブ部の外周に設けられるギア部とを含み、前記フルフローティング高精度カッタホルダは、調節ギアをさらに含み、前記調節ギアは、前記ギア部の外周に噛み合い、前記調節ギアを回転させることにより、前記ギア部と前記スリーブ部は、同期回転可能となり、前記カッタ挟持棒は、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進可能となり、前記調節ギアと前記ギア部の少なくとも1箇所には、調節ギア及び/又は前記ギア部をロックするためのロック構造が設けられる。
【0018】
好ましくは、前記ホルダ体には、ダイヤルゲージが取り付けられ、前記ホルダ体の頂端には、棒収容チャンバに連通する開口が形成され、前記開口は、鉛直方向に沿って延在し、前記偏心スリーブには、環状ノッチが設けられ、前記開口は、前記環状ノッチに位置合わせされ、前記ダイヤルゲージのニードルは、順に前記開口、前記環状ノッチを通過して前記カッタ挟持棒の外周壁と接触し、前記ダイヤルゲージは、前記カッタ挟持棒の鉛直方向における並進距離を測定するものである。
【0019】
好ましくは、前記可撓性支持が圧縮ガスによる支持である場合、前記偏心スリーブの内壁及び外壁には、互いに連通する環状ガス溝が形成され、前記ホルダ体には、互いに連通する吸気口と気道が設けられ、前記吸気口は、外部ガス源に連通し、前記環状ガス溝は、前記気道に連通する。
【0020】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
1.カッタ挟持棒は、ホルダ体内にフルフローティングして取り付けられ、カッタ挟持棒は、それ自体の軸線(互いに垂直な2本の軸線)に垂直な方向において並進可能であり、それ自体の軸線(互いに垂直な2本の軸線)に垂直な直線の周りに回転可能であり、また、口部に弾性リング、エアフローティングを設けることにより中心に予め位置合わせする。そのため、カッタ挟持棒の位置及び角度を調整することができ(多自由度を有する)、これによって、カッタ挟持棒内のカッタは、底穴に自動的に位置合わせすることができ、両者の間に高同心度が保持され、穴拡げ及び穴修正過程において位置合わせが正確で、加工精度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例に係るフルフローティング高精度カッタホルダの断面模式図である。
図2】本発明の実施例に係るフルフローティング高精度カッタホルダの左側面図である。
図3】本発明の実施例のK-K断面模式図である。
図4】本発明の実施例のL-L断面模式図である。
図5】本発明の実施例におけるホルダ体の模式図である。
図6】本発明の実施例におけるカッタ挟持棒の模式図である。
図7】本発明の実施例における接続座アセンブリの模式図である。
図8】本発明の実施例における偏心スリーブの模式図である。
図9】本発明の実施例における偏心スリーブの左側面図である。
図10】本発明の実施例におけるカッタ挟持棒のフローティングの模式図である。
図11】本発明の別の実施例に係るフルフローティング高精度カッタホルダの断面図である。
図12】本発明の実施例における接続管の断面図である。
図13】本発明の実施例における調節前座の正面図である。
図14】本発明の実施例における調節前座の上面図である。
図15】本発明の別の実施例に係るフルフローティング高精度カッタホルダの左側面図である。
【0022】
符号の説明
ホルダ体1、棒収容チャンバ101、気道102、吸気口103、座収容チャンバ104、開口105、ロック溝106;カッタ挟持棒2、環状溝201、Oリング202、前端203、中段204、後端205;接続座アセンブリ3、前座301、後座302、前軸303、後軸304、前軸スリーブ305、後軸スリーブ306、接続管307、3071仕切板、第1室3072、第2室3073、調節前座308、第1固定軸309、調節後座3010、凹溝3011、第2固定軸3012;偏心スリーブ4、スリーブ部401、ギア部402、円弧溝403、第1ロックネジ404、環状ノッチ405、環状ガス溝406;調節ギア5;ダイヤルゲージ6、ロッククリップ601、締め付けネジ602;ロック軸701、ノッチ7011、第2ロックネジ702。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、リーマを用いる穴拡げ及び穴修正を実施例として図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0024】
実施例において、図1及び図10に示すように、フルフローティング高精度カッタホルダは、ホルダ体1と、カッタ挟持棒2とを含む。カッタ挟持棒2は、順に接続される前端203と、中段204と、後端205とを含む。ホルダ体1内には、棒収容チャンバ101が設けられる。カッタ挟持棒2の中段204及び後端205は、棒収容チャンバ101内に設けられ、カッタ挟持棒2の前端203は、棒収容チャンバ101からホルダ体1の外部に延在する。カッタ挟持棒2の前端203は、カッタを挟持するためのものである。カッタ挟持棒2の中段204は、棒収容チャンバ101に隙間嵌めされる。カッタ挟持棒2と棒収容チャンバ101との間には、カッタ挟持棒2の中段204に対する可撓性支持が実現されるように、可撓性支持体が設けられる。カッタ挟持棒2の後端205は、ホルダ体1にフローティング接続される。カッタ挟持棒2は、ホルダ体1に対してそれ自体の軸線に垂直な任意の方向に沿って並進可能であるとともに、ホルダ体1に対してそれ自体の軸線に垂直な任意の直線の周りに回転可能である。
【0025】
製品を加工する際に、カッタをカッタ挟持棒2の前端203に挟持し、フルフローティング高精度カッタホルダ全体の位置を調整して、カッタの軸線を仕上げ加工される底穴の軸線と位置合わせする。カッタの軸線が仕上げ加工される底穴の軸線に対して水平又は鉛直方向において小さくずれた場合、カッタ挟持棒2をホルダ体1に対してカッタ挟持棒2それ自体の軸線に垂直な方向に沿って上下昇降又は左右並進させる。カッタの軸線と、仕上げ加工される底穴の軸線との間に角度ずれが存在する場合、カッタ挟持棒2をホルダ体1に対してカッタ挟持棒2それ自体の軸線に垂直な直線に沿って回転させる。それによって、カッタの軸線と、仕上げ加工される底穴の軸線との確実な位置合わせが保証される。
【0026】
図10に示すように、カッタ挟持棒2の軸線をY軸、鉛直方向をZ軸、水平面がY軸に垂直な方向をX軸とすると、カッタ挟持棒2は、XOZ平面内を任意に並進可能であるとともに、XOZ平面内の任意の直線に沿って回転可能である。カッタ挟持棒2のフローティング方式は、X軸とZ軸の2つの方向に分解することができ、即ち、X軸及びZ軸に沿って並進することができ、X軸及びZ軸の周りに回転することもできる。
【0027】
本実施例における可撓性支持とは、カッタ挟持棒2が浮遊状態にあり、棒収容チャンバ101と剛体接触しないと理解することができる。
【0028】
カッタ挟持棒2の後端205は、ホルダ体1を介して工作機械の主軸にフローティング接続される。
【0029】
実施例において、カッタ挟持棒2のフルフローティング接続を実現するために、図1、5~7に示すように、ホルダ体1内には、座収容チャンバ104が設けられ、座収容チャンバ104は、棒収容チャンバ101に連通し、座収容チャンバ104内には、接続座アセンブリ3が設けられ、カッタ挟持棒2の後端205は、接続座アセンブリ3を介してホルダ体1にフローティング接続される。接続座アセンブリ3は、後座302と、前軸303と、後軸304とを含む。カッタ挟持棒2の後端205と、後座302とは、前軸303を介してヒンジ接続される。カッタ挟持棒2は、前軸303の軸方向によって直線摺動可能である。後座302と、ホルダ体1とは、後軸304を介してヒンジ接続される。後座302は、後軸304の軸方向に沿って直線摺動可能である。前軸303と後軸304とは、角度を付けて配置される。具体的に、後座302が後軸304の軸方向に沿って直線摺動可能であるとともに、前軸303と後軸304とが角度を付けて配置されることにより、カッタ挟持棒2、後座302、前軸303は、全体として後軸304の軸方向に沿って直線摺動可能となる。本実施例において、前軸303の軸線と、後軸304の軸線とは、垂直であり、十字接続を構成する。
【0030】
図1、5~7に示すように、接続座アセンブリ3は、前座301をさらに含む。カッタ挟持棒2の後端205は、前座301に接続される。前座301と後座302とは、前軸303を介してヒンジ接続される。前座301は、前軸303の軸方向に沿って直線摺動可能である。
【0031】
このような構造では、接続座アセンブリ3の設置により、カッタ挟持棒2は、前座301と共に前軸303の軸方向に沿って直線摺動可能であり、カッタ挟持棒2、後座302及び前軸303は、全体として後軸304の軸方向に沿って直線摺動可能であり、カッタ挟持棒2は、前軸303の軸線の周りに回転可能であり、カッタ挟持棒2は、後軸304の軸線の周りに回転可能である。これによって、カッタ挟持棒2は、軸方向に平行な方向にフローティングすることができるとともに、垂直空間内を回転、フローティングすることができる。
【0032】
実施例において、図7に示すように、前軸303及び後軸304には、それぞれ前軸スリーブ305及び後軸スリーブ306が設けられる。前軸スリーブ305は、前軸303に外嵌され、前座301は、前軸スリーブ305に接続され、前軸スリーブ305は、前軸303の軸方向に沿って直線摺動可能である。後軸スリーブ306は、後軸304に外嵌され、後座302は、後軸スリーブ306に接続され、後軸スリーブ306は、後軸304の軸方向に沿って直線摺動可能である。これによって、前軸303と前軸スリーブ305とは、回転-直線摺動相手材を構成し、後軸304と後軸スリーブ306とは、回転-直線摺動相手材を構成する。回転-直線摺動相手材の設置により、カッタ挟持棒2のフローティングの運動精度を保証する。接続座アセンブリ3に前座301が設けられていない実施例において、カッタ挟持棒2は、前軸スリーブ305に直接接続される。
【0033】
実施例において、図1、5、6に示すように、カッタ挟持棒2のフルフローティング接続をもとに、カッタ挟持棒2の中段204は、可撓性支持により浮遊を実現することができる。本実施例の可撓性支持は、2つの方式がある。一つは、カッタ挟持棒2と棒収容チャンバ101との間に設けられる環状弾性支持体である。具体的には、カッタ挟持棒2の中段204の両端には、環状溝201が設けられ、環状溝201内にOリング202が環状弾性支持体として取り付けられる。もう一つは、圧縮ガスによる支持である。具体的には、カッタ挟持棒2と棒収容チャンバ101との間に圧縮ガス(高速気流)を導入することにより実現される。ここで、Oリングは、比較的硬質のワークに適し、圧縮ガスは、軟質又は高精度が要求されるワークに適する。
【0034】
図11及び図13-14に示すように、接続座アセンブリ3は、接続管307、調節前座308、少なくとも2つの第1固定軸309、及び少なくとも2つの第2固定軸3012をさらに含む。後座302のカッタ挟持棒2から遠い端は、接続管307内に入り込む。後座302の接続管307内に入り込んだ端は、接続管307に隙間嵌めされる。後軸304は、接続管307に回転可能に接続される。調節前座308は、一部が接続管307のカッタ挟持棒2から遠い端に入り込む。各第1固定軸309は、間隔をおいて調節前座308を通過し、各第2固定軸3012は、間隔をおいて調節前座308を通過する。各第1固定軸309の軸線は、互いに平行であり、各第2固定軸3012の軸線は、互いに平行である。第1固定軸309の軸線は、第2固定軸3012の軸線に垂直である。各第1固定軸309は、それぞれ接続管307に接続され、各第2固定軸3012は、それぞれホルダ体1に接続される。第1固定軸309は、それ自体の軸方向に沿って調節前座308に対して直線摺動可能である。調節前座308は、第2固定軸3012の軸方向に沿って直線摺動可能である。具体的には、カッタ挟持棒2の中心高さを調整しようとするときに、カッタ挟持棒2、前座301、後座302、前軸303、後軸304、前軸スリーブ305、後軸スリーブ306、接続管307、第1固定軸309及び調節前座308は、一緒に第2固定軸3012の軸方向に沿って上下移動する。本実施例において、カッタ挟持棒2、後座302、前軸303、後軸304、接続管307及び第1固定軸309は、一緒に第1固定軸309の軸方向に沿って並進可能である。
【0035】
図11及び図12に示すように、接続管307内には、仕切板3071が設けられる。仕切板3071によって、接続管307は、第1室3072及び第2室3073に分けられる。後座302の一端は、第1室3072内に入り込み、調節前座308は、一部が第2室3073内に入り込む。本実施例において、調節前座308は、第2室3073に隙間嵌めされる。具体的には、調節前座308と仕切板3071との間に隙間が存在し、調節前座308と接続管307の内壁との間に隙間が存在する。
【0036】
具体的には、各第1固定軸309は、調節前座308の第2室3073内に入り込んだ部分を通過する。各第2固定軸3012は、調節前座308の第2室3073内に入り込んでいない部分を通過する。
【0037】
図11に示すように、フルフローティング高精度カッタホルダは、調節後座3010をさらに含む。調節後座3010は、ホルダ体1に接続され、第2固定軸3012は、調節後座3010に接続されることにより、第2固定軸3012は、調節後座3010を介してホルダ体1に接続される。具体的には、第2固定軸3012がホルダ体1に垂直接続されると、第2固定軸3012及びホルダ体1の加工又は装着が困難である。
【0038】
調節後座3010の調節前座308に向かう端には、凹溝3011が形成される。調節前座308の接続管307に入り込んでいない端は、凹溝3011内に入り込む。調節前座308は、凹溝3011に隙間嵌めされる。
【0039】
接続座アセンブリ3は、2つの実施形態を含む。図1及び図7に示すように、実施形態1において、接続座アセンブリ3は、前座301、後座302、前軸303、後軸304、前軸スリーブ305及び後軸スリーブ306を含む。この場合、後軸304は、ホルダ体1に直接接続される。具体的には、実施形態1において、カッタ挟持棒2と前座301が一緒に前軸303の軸方向に沿って並進した後、カッタ挟持棒2及び前座301の水平軸線は、後座302の水平軸線と同軸ではないことで、ワークを加工する際に、ワークがカッタに反力を付与し、カッタ挟持棒2及び前座301を経て前軸303に作用し、この反力が後座302の水平軸線から外れることから、後座302が後軸304の周りに小角度で回転することで、カッタ挟持棒2と前座301は反対方向に小角度で回転することでカッタは小角度で回転することによって、カッタと加工ワークの同心度は、ある程度低下する。図1、7、11に示すように、実施形態2において、接続座アセンブリ3は、前座301、後座302、前軸303、後軸304、前軸スリーブ305及び後軸スリーブ306に加えて、接続管307、調節前座308、少なくとも2つの第1固定軸309、調節後座3010及び少なくとも2つの第2固定軸3012をさらに含む。具体的には、実施形態2において、挟持棒2の中心高さを大幅に調整しようとするときに、回転調節ギア5を調節して偏心スリーブ4を回転させることによって、カッタ挟持棒2、前座301、後座302、前軸303、後軸304及び接続管307の中心高さを調整して変化させる。前記部位の中心高さが変化した後、接続管307により調節前座308を第1固定軸309又は第2固定軸3012に沿って挟持棒2の中心に対して変位させる。調節前座308の両端にそれぞれ少なくとも2つの第1固定軸309及び少なくとも2つの第2固定軸3012が取り付けられ、かつ第1固定軸309と第2固定軸3012は十字状であるため、調節前座308は、上下移動のみにより対応中心を調整することができる。また、加工ワークから調節前座308が後方向の力を受けた場合、調節前座308は、第1固定軸309又は第2固定軸3012の周りに回転できないため、接続管307、挟持棒2などは、回転できず、カッタと加工ワークとが常に確実な同心度を有することが保証される。
【0040】
実施例において、カッタ挟持棒2の中心高さを調整する問題を解決するために、図1~5、8~9に示すように、棒収容チャンバ101には、ホルダ体1に対して回転可能な偏心スリーブ4が取り付けられる。カッタ挟持棒2の中段204は、偏心スリーブ4の中心孔に隙間嵌めされ、偏心スリーブ4の中心孔の軸線と、偏心スリーブ4の軸線とは、異軸で設けられ、可撓性支持は、カッタ挟持棒2と偏心スリーブ4との間に設けられることにより、カッタ挟持棒2の中段204に対する可撓性支持が実現される。偏心スリーブ4を回転させることにより、カッタ挟持棒2は、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進する。具体的には、偏心スリーブ4中心孔的軸線と、偏心スリーブ4の軸線とは、異軸で設けられる。つまり、偏心スリーブ4の肉厚は、異なる円周位置で異なる。偏心スリーブ4を回転させると、カッタ挟持棒2の底部及び頂部における偏心スリーブ4と接触する位置の肉厚が変化し、これによって、カッタ挟持棒2の鉛直高さは変化する。そのため、回転偏心スリーブ4によれば、カッタ挟持棒2の中心高さを便利に調整することができる。接続座アセンブリ3の実施形態1において、カッタ挟持棒2の中段204は、偏心スリーブ4内に設けられるため、偏心スリーブ4を回転させることでカッタ挟持棒2の鉛直高さを変化させることができる。接続座アセンブリ3の実施形態2において、カッタ挟持棒2の中段204及び後端205、前座301、後座302、前軸303、後軸304、前軸スリーブ305、後軸スリーブ306、接続管307は、いずれも偏心スリーブ4内に設けられることため、偏心スリーブ4を回転させることでカッタ挟持棒2、前座301、後座302、前軸303、後軸304、前軸スリーブ305、後軸スリーブ306、接続管307の鉛直高さを一緒に変化させることができる。
本発明において、NC旋盤を使用する際に、カッタ挟持棒2は、偏心スリーブ4により中心高さの調整を実現し、フルフローティング高精度カッタホルダの製造、取り付けによる誤差を克服する。これによって、フルフローティング高精度カッタホルダの加工精度に対する要求が低くなり、コストが低減される。他の実施例において、フルフローティング高精度カッタホルダの加工及び取り付け精度が比較的高い場合、カッタ挟持棒内のカッタは、ワークと正確に位置合わせすることができるため、カッタ挟持棒2の中心高さを調整する必要がなく、これによって、偏心スリーブ4を設けなくてもよい。
【0041】
偏心スリーブ4は、ネジ接続、ギア伝動などにより回転を実現することができる。本実施例において、ギア伝動を使用する。実施例において、図3~4、8~9に示すように、偏心スリーブ4は、ギアスリーブである。偏心スリーブ4は、スリーブ部401と、スリーブ部401の外周に設けられるギア部402とを含む。フルフローティング高精度カッタホルダは、調節ギア5をさらに含む。調節ギア5は、ギア部402の外周に噛み合う。調節ギア5を回転させることにより、ギア部402とスリーブ部401を同期回転させることができ、これによって、カッタ挟持棒2は、それ自体の軸線に垂直な方向に沿って並進することができる。調節ギア5の端部は、六角穴付きであり、レンチを用いる操作に便利である。また、調節ギア5の直径がギア部402よりも小さいため、微調整に適する。
【0042】
調節ギア5及びギア部402の少なくとも1箇所には、調節ギア5及び/又はギア部402をロックするためのロック構造が設けられる。具体的には、カッタ挟持棒2の位置を調整した後、ロック構造により調節ギア5及び/又はギア部402をロックすることにより、偏心スリーブ4がロックされて回転できなくなる。これによって、偏心スリーブ4が加工ワークの作用又は他の状況により回転することでカッタ挟持棒2の位置が変化して調整した位置から外れることが回避される。
【0043】
実施例において、図2及び図9に示すように、実施形態1の接続座アセンブリ3において、偏心スリーブ4の軸心線に垂直な端面には同心の円弧溝403が設けられるとともに、第1ロックネジ404が付いている。第1ロックネジ404が円弧溝403を通過した後、ホルダ体1上のネジ穴と螺合し、円弧溝403と第1ロックネジ404がロック構造を構成する。カッタ挟持棒2の中心高さが所望の位置に調整された後、第1ロックネジ404により偏心スリーブ4をロックすることにより、偏心スリーブ4の回転によるカッタ挟持棒2の位置の変化が回避される。
【0044】
図15に示すように、実施形態2の接続座アセンブリ3において、ホルダ体1には、ロック溝106が形成される。ロック溝106の軸線は、棒収容チャンバ101の軸線に垂直である。フルフローティング高精度カッタホルダは、ロック軸701をさらに含む。ロック軸701は、ロック溝106内に設けられる。ロック軸701の長さは、ロック溝106の長さよりも小さい。ロック軸701の側壁にノッチ7011があり、ノッチ7011の形状は、棒収容チャンバ101の外周に重なり合うことにより、ロック軸701におけるノッチ7011に対応する領域は、偏心スリーブ4と接触する。フルフローティング高精度カッタホルダは、第2ロックネジ702をさらに含む。第2ロックネジ702は、ホルダ体1を通過してロック軸701に入り込む。第2ロックネジ702はロック軸701に螺合されることにより、第2ロックネジ702を回転させることでロック軸701が第2ロックネジ702の軸線に沿って移動し、ロック軸701のノッチが偏心スリーブ4の外周壁を押し付けて偏心スリーブ4をロックすることができる。ロック軸701と第2ロックネジ702は、ロック構造を構成する。具体的には、ロック溝106の軸線が棒収容チャンバ101の軸線に垂直であるため、ロック軸701の軸線が偏心スリーブ4の軸線に垂直であり、これによって、第2ロックネジ702を回転させる際に、ロック軸701は偏心スリーブ4の妨害により回転できないため、ロック軸701は、第2ロックネジ702の軸線に沿って移動しかできない。
【0045】
実施例において、図1~3及び図5図7に示すように、実施形態1の接続座アセンブリ3において、ホルダ体1には、ダイヤルゲージ6が取り付けられる。ホルダ体1の頂端には、棒収容チャンバ101に連通する開口105が形成される。開口105は、鉛直方向に沿って延在する。偏心スリーブ4には、環状ノッチ405が形成される。開口105は、環状ノッチ405に位置合わせされる。ダイヤルゲージ6のニードルは、順に開口105、環状ノッチ405を通過してカッタ挟持棒2の外周壁と接触する。ダイヤルゲージ6は、カッタ挟持棒2の鉛直方向における並進距離を測定する。ダイヤルゲージ6は、カッタ挟持棒2の中心高さの位置を表示し、作業員の操作に便利である。実施形態2の接続座アセンブリ3において、ダイヤルゲージ6のニードルは、順に開口105、環状ノッチ405を通過して接続管307の外周壁と接触する。ダイヤルゲージ6は、接続管307の鉛直方向における並進距離を測定する。接続管307、棒収容チャンバ101、偏心スリーブ4及びカッタ挟持棒2は、中心軸線が重なり合うことにより、接続管307が鉛直方向において位置合わせされると、カッタ挟持棒2は、ワークに位置合わせされる。
【0046】
ダイヤルゲージ6は、ロッククリップ601及び締め付けネジ602によりホルダ体1に取り付けて固定される。この構造によれば、ダイヤルゲージ6の着脱が便利である。具体的には、ロッククリップ601は、ダイヤルゲージ6に位置し、締め付けネジ602は、順にホルダ体1及びロッククリップ601を通過してホルダ体1に対するダイヤルゲージ6の固定を実現する。
【0047】
実施例において、図1、3、5に示すように、可撓性支持が圧縮ガスによる支持である場合、偏心スリーブ4の内壁と外壁には、互いに連通する環状ガス溝406が設けられる。ホルダ体1には、連通する吸気口103と気道102が形成される。吸気口103は、外部ガス源に連通し、環状ガス溝406は、気道102に連通する。この構造は、具体的なカッタ挟持棒2のエアフローティング方式であり、環状ガス溝406により、カッタ挟持棒2は、周方向の任意位置においても圧縮ガスによる支持を受けることができ、これによって、浮遊が実現される。偏心スリーブ4は、軸方向において少なくとも2箇所に環状ガス溝406が設けられる。これによって、浮遊支持効果がより良好に保証される。
【0048】
本実施例の操作手順は、以下の通りである。
NC旋盤パレットにリーマホルダを取り付けた後、まず、リーマホルダのX軸法平面、Y軸法平面の両方向の平行を補正し、次に、調節ギア5によりカッタ挟持棒2のZ軸方向の位置(中心高さ)を補正し、最後に、NCプログラムによりカッタ挟持棒2のX軸方向の位置を補正することによって、リーマと旋盤主軸のセンタリングが完成する。補正する際に、吸気口103から通過し、カッタ挟持棒2を浮遊状態に保持する。なお、由于ダイヤルゲージ6ニードルの弾力のため、カッタ挟持棒2は、ダイヤルゲージ6のニードルの方向において適切なバックラッシュ補償量を残しておく必要があり、或いは、圧縮空気の気圧を増加させてダイヤルゲージ6のニードルの弾力を克服する必要がある。
【0049】
補正した後、穴拡げ及び穴修正加工を行うことができる。接続座アセンブリ3が実施形態1に対応する場合、ダイヤルゲージ6がカッタ挟持棒2の外周壁と接触するため、加工前に、ダイヤルゲージ6を取り外す必要がある。接続座アセンブリ3が実施形態2に対応する場合、ダイヤルゲージ6が接続管307の外周壁と接触し、ダイヤルゲージ6がカッタ挟持棒2と接触せず、カッタ挟持棒2に影響を与えないため、加工前に、ダイヤルゲージ6を取り外す必要がない。加工する際に、吸気口103を通気状態に保持する。カッタ挟持棒2の中段204が外周壁の気圧の作用を受けることにより、毎回のリーミングにおける最初の正確な位置合わせが保証される。カッタ挟持棒2の後端205は、接続座アセンブリ3に接続されることにより、機械加工に必要な剛性が確保されるとともに、タイムリーな多自由度補正が可能となる。これによって、リーマの軸線と、加工される底穴との間の高精度の同心度が得られる。さらに、リーマ仕上げのサイズは、0.002mmに制御可能である。
【0050】
本実施例は、リーマホルダである。この構造は、類似のカッタ如穴拡げカッタ、ボーリングカッタにも適用することができる。
【0051】
本発明の上記の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。本発明の実質的な思想に基づいて得られた自明な変化又は変更は、依然として本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15