(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014857
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】コンプライアントローラカッタ
(51)【国際特許分類】
B26B 25/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B26B25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119456
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】63/391,234
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595034112
【氏名又は名称】ザ・キュレイターズ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・ミズーリ
【氏名又は名称原語表記】THE CURATORS OF THE UNIVERSITY OF MISSOURI
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アショク、ミダ
(72)【発明者】
【氏名】プラシーク、バジバル、プラサンナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァムシ、ロダガラ
(72)【発明者】
【氏名】サッシュラット ジー.バパット
(72)【発明者】
【氏名】プレム、ミダ
【テーマコード(参考)】
3C061
【Fターム(参考)】
3C061AA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】材料を切断するためのローラカッタが提供される。
【解決手段】材料を切断するためのローラカッタ10は、回転可能なローラ16と、回転可能なブレード18と、回転伝達機構とを含む。ローラは、ローラ係合点で材料と係合するように構成された外側リム26を含む。ブレードは、ブレード係合点で材料を切断するように構成された刃先38を含む。ブレード係合点は、ローラ係合点から離間している。回転伝達機構は、ブレードがローラよりも速く回転するように、ブレードとローラとを駆動的に相互接続するように構成される。ローラカッタは、ブレードが材料に押し込まれ、ブレード及びローラが回転すると、刃先がブレード係合点において材料に圧縮剪断力及び接線剪断力の両方を加えるように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を切断するためのローラカッタであって、
ローラ係合点で前記材料と係合するように構成された外側リムを含む回転可能なローラと、
ブレード係合点であって、前記ブレード係合点が、前記ローラ係合点から離間している、ブレード係合点で前記材料を切断するように構成された刃先を含む回転可能なブレードと、
前記ブレードが前記ローラよりも速く回転するように、前記ブレードと前記ローラとを駆動的に相互接続するように構成された回転伝達機構と、を備え、
前記ローラカッタが、前記ブレードが前記材料に押し込まれ、前記ブレード及び前記ローラが回転するときに、前記刃先が前記ブレード係合点において前記材料に圧縮剪断力及び接線剪断力の両方を付与するように構成される、ローラカッタ。
【請求項2】
前記伝達機構が、ギヤ機構を備える、請求項1に記載のローラカッタ。
【請求項3】
前記ギヤ機構が、前記ローラ及び前記ブレードの一方に対して固定されて前記ローラ及び前記ブレードの一方と共に回転する外側リングギヤと、前記ローラ及び前記ブレードの他方に対して固定されて前記ローラ及び前記ブレードの他方と共に回転する内側ピニオンギヤとを含む、請求項2に記載のローラカッタ。
【請求項4】
前記ローラが、前記リングギヤを一体的に画定し、
前記ピニオンギヤが、前記ブレードから分離し、かつ前記ブレードに固定される、請求項3に記載のローラカッタ。
【請求項5】
前記リングギヤ及び前記ピニオンギヤが、駆動相互係合で選択的に位置付けられる、請求項3に記載のローラカッタ。
【請求項6】
前記ピニオンギヤと前記リングギヤとの選択的係合を容易にする弾性的に変形可能なコンプライアント機構をさらに備える、請求項5に記載のローラカッタ。
【請求項7】
前記コンプライアント機構が、それぞれがその中立構成と偏向構成との間でシフト可能な、円弧状に分布し、円弧状に半径方向に延在する弾性的に偏向可能な複数のスポークを含み、
前記ピニオンギヤ及び前記リングギヤが、前記スポークの各々がその前記中立構成にあるときに互いに係合解除され、
前記スポークのうちの少なくとも1つを、その前記偏向構成のうちの選択された1つにシフトすることにより、前記ピニオンギヤと前記リングギヤとの係合を容易にする、請求項6に記載のローラカッタ。
【請求項8】
前記外側リムが、半径方向外面に存在し、
前記スポークの各々がその前記中立構成にあるとき、前記刃先全体が前記外面全体の半径方向内側に配置される、請求項7に記載のローラカッタ。
【請求項9】
前記コンプライアント機構が、外部ステージと、前記外部ステージの半径方向内側に配置された内部ステージとを含み、
前記内部ステージが前記スポークを含み、
前記外部ステージが、各々がその中立構成と偏向構成との間でシフト可能な、円弧状に分布し、円弧状に半径方向に延在する弾性的に偏向可能な複数のアームを含む、請求項7に記載のローラカッタ。
【請求項10】
前記アームのうちの少なくとも1つを前記偏向された構成のうちの選択された1つにシフトすることにより、前記ローラの前記リムに対する前記ブレードの前記刃先のシフトが可能になり、それにより、前記リム及び前記刃先の両方が、それぞれ前記ローラ係合点及び前記ブレード係合点で前記材料と係合する、請求項9に記載のローラカッタ。
【請求項11】
前記外部ステージが、前記内部ステージよりも高い剛性を有し、それにより、前記内部ステージのスポークの変形が、前記外部ステージのアームの変形の前に生じ、前記材料と接触するように前記刃先をシフトする前に前記ピニオンギヤと前記リングギヤとの係合が容易になる、請求項9に記載のローラカッタ。
【請求項12】
前記コンプライアント機構及び前記リングギヤが、前記ローラに対して固定されており、
前記リングギヤが、前記内部ステージと前記外部ステージとの間に半径方向に配置され、
前記リングギヤが、前記ピニオンギヤとの係合の内外に選択的にシフトする、請求項9に記載のローラカッタ。
【請求項13】
前記リム、前記リングギヤ、及び前記コンプライアント機構が、一体的に形成される、請求項6に記載のローラカッタ。
【請求項14】
一対の円弧状に離間したフランジを含むガイド要素と、
前記外側リムから半径方向内側に離間した内側リムを含む前記ローラと、
前記リングギヤを画定する半径方向内側歯付き面と、前記歯付き面の反対側の半径方向外側ガイド面とを含む前記内側リムと、
前記ピニオンギヤに対する前記内側リムの半径方向のシフトを制限するために、前記ガイド面に並んで軸方向に延在し、前記ガイド面の半径方向外側に延在する前記フランジと、
をさらに備える、請求項5に記載のローラカッタ。
【請求項15】
ハンドルと、
前記ハンドルに回転可能に固定される前記ローラ、前記ピニオンギヤ、及び前記ガイド要素の各々と、
互いに直径方向に対向する前記フランジと、
前記ローラ及び前記ブレードが前記材料と係合すると自己位置合わせするように構成された前記ガイド要素であって、前記ガイド要素が、前記フランジが前記ハンドルに対して少なくとも実質的に垂直に延在するまで回転する、前記ガイド要素と、
をさらに備える、請求項14に記載のローラカッタ。
【請求項16】
前記ブレードの前記刃先が、ブレード中心点の周りに延在し、
前記ブレードが、前記ブレード中心点を通って延在するブレード軸の周りを回転可能であり、
前記ローラの前記外側リムが、前記ブレード中心点及び前記ブレード軸に対してシフト可能なリム中心点の周りに延在し、
前記リム中心点が、前記ブレードが前記ブレード係合点で前記材料と係合し、前記リムが前記ローラ係合点で前記材料と係合するときに前記ブレード中心点からオフセットされる、請求項1に記載のローラカッタ。
【請求項17】
前記ローラカッタが、前記材料の表面にほぼ平行な切断方向に前記材料を横断するように構成され、
前記ローラ係合点が、前記切断方向に前記ブレード係合点の前方に配置されている、請求項1に記載のローラカッタ。
【請求項18】
前記ローラがローラ速度で回転し、
前記ブレードがブレード速度で回転し、
前記ローラ速度が、前記ブレード速度の約70%~約90%である、請求項1に記載のローラカッタ。
【請求項19】
ハブと、
前記ハブに回転可能に固定されている前記ローラ及び前記ピニオンギヤの各々と、
前記ハブと前記ローラとの間に配置され、前記ローラ用の軸受支持を提供するために前記ハブと前記ローラとの間にばね力を伝達する皿ばねと、
をさらに備える、請求項1に記載のローラカッタ。
【請求項20】
前記皿ばねを前記ハブに対して固定するための軸アセンブリと、
軸方向に延びる軸と、前記軸上に配置されたナットとを含む前記軸アセンブリと、
前記皿ばねを通って軸方向に延在する前記軸と、
前記皿ばね上に軸方向の圧縮力を増加又は減少させるように、前記軸に沿って軸方向にシフト可能である前記ナットと、
をさらに備える、請求項19に記載のローラカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
1.優先権出願
【0002】
本出願は、2022年7月21日に出願された米国仮特許出願第63/391,234号の利益及び優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
1.発明の分野
【0004】
本発明は、一般に、材料の1つ又は複数の層を切断するための、ロータリカッタとしても一般に知られているローラカッタに関する。
【0005】
2.先行技術の考察
【0006】
従来のローラカッタは、ブレード軸を中心に回転可能であり、その外縁に円周方向に延在する刃先を有するディスク状ブレードを含む。材料の1つ又は複数の層の切断は、刃先が材料の表面に押し込まれるときに行われる。より具体的には、切断は、切断される材料の表面にブレードによって圧縮力が加えられるときに生じ、結果として生じる垂直剪断力は、材料への刃先の挿入を容易にする。圧縮力が加えられる(及び結果として生じる垂直剪断力が発生する)位置は、ブレードが材料表面に対して前方又は後方に転がると変化する。
【0007】
多くの場合、ユーザは、より効率的な切断を容易にするために、材料に手動で張力を加えるか、そうでなければ材料を保持又は操作することができ、バンチング及び他の形態の材料の崩壊は、適切に対処されない場合には切断の有効性を低下させる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によれば、材料を切断するためのローラカッタが提供される。カッターは、回転可能なローラと、回転可能なブレードと、回転伝達機構とを備える。ローラは、ローラ係合点で材料と係合するように構成された外側リムを含む。ブレードは、ブレード係合点で材料を切断するように構成された刃先を含む。ブレード係合点は、ローラ係合点から離間している。回転伝達機構は、ブレードがローラよりも速く回転するように、ブレードとローラとを駆動的に相互接続するように構成される。ローラカッタは、ブレードが材料に押し込まれ、ブレード及びローラが回転すると、刃先がブレード係合点において材料に圧縮剪断力及び接線剪断力の両方を加えるように構成される。
【0009】
この概要は、概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。これらの概念は、発明を実施するための形態において以下でさらに説明される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0010】
本発明の様々な他の態様及び利点は、発明を実施するための形態及び添付の図面から明らかになるであろう。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるローラカッタの正面斜視図である。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【
図7】
図7は、
図1~
図6のローラカッタの拡大背面斜視図であり、ガイド要素及び皿ばねの機能をよりよく示すために、選択された要素が隠れ線で示されている。
【0019】
【
図8】
図8は、特にピニオンギヤ、リングギヤ、及びコンプライアント機構の配置を示す、
図1~
図7のローラカッタの拡大部分分解正面斜視図である。
【0020】
【
図9】
図9は、ナットがボルト及び皿ばねに対して外側の位置にあり、その結果、わずかに圧縮されただけである、
図1~
図8のローラカッタの拡大断面側面図である。
【0021】
【
図10】
図10は、ナットがボルトに対して内側又は締め付け位置にあり、皿ばねが著しく圧縮され、結果としてローラがハンドルと係合する
図9と同様の断面側面図である。
【0022】
【
図11】
図11は、明確にするために選択された構成要素が隠れ線で示されている、
図1~
図10のローラカッタの一部分の拡大簡略背面図であり、特にローラの外側リムと切断される材料の表面との初期接触及びガイド要素の全体的な向きを示す。
【0023】
【
図12】
図12は、ローラ接触点がブレード接触点の前方に配置され、ガイド要素が案内位置にある状態での、材料表面とのローラとブレードとの両方の接触を特に示す、
図11と同様のローラカッタの一部分の背面図である。
【0024】
【0025】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は、本発明を本明細書に開示及び記載された特定の実施形態に限定するものではない。図面は、図示された構造又は構成要素の正確な寸法又は公差を必ずしも提供するものではなく、図面は、図面に示された構造の構成要素間の関係に対して縮尺通りである。
【0028】
本発明は、多くの異なる形態で具現化できる。図面は、本発明の特定の好ましい実施形態を示し、本明細書は説明するが、そのような開示は単なる例にすぎないことを理解されたい。本発明の原理を実施形態に限定する意図はない。
【0029】
さらに、特定又は明確にされない限り、本発明及び/又は関連する構成要素(例えば、上部、底部、上方、下方、内側、外側など)に関して本明細書で行われる方向についての言及は、単に便宜のために使用され、互いに関してのみ理解されるべきである。例えば、構成要素は、実際には、「上部」及び「底部」と呼ばれる面が、選択された基準フレームに対して横方向、角度付けられた、反転されたなどになるように配向されてもよい。
【0030】
概要
ここで
図1及び
図2を参照すると、ローラカッタ10(代替で、ロータリカッタ又はローラ若しくはロータリトリマと呼ばれてもよい)が示されている。以下で詳細に説明するように、ローラカッタ10は、材料12を切断するように構成される。より具体的には、ローラカッタ10は、表面14の関連部分にほぼ平行な切断方向Dに材料12を横断する際に、材料12の表面14に係合してこれを切断する。切断方向Dについては、以下でより詳細に説明する。
【0031】
広義には、ローラカッタ10は、回転可能なローラ16と、回転可能なブレード18と、回転伝達機構20と、コンプライアント機構22と、ハンドル24とを含む。
【0032】
ローラ16は、ローラ接触点又は係合点EP_R(
図11及び
図12)で材料と係合するように構成された外側リム26を含む。外側リム26は、ローラ16の周囲に延在することが好ましい。さらに、外側リム26は、好ましくは連続的に延在するが、不連続性は本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0033】
リム26は、好ましくは、前面28と、前面28の反対側の背面30とを呈する。
【0034】
リム26は、好ましくは、それらの間に溝36を画定する円弧状に延在する前側及び後側リッジ32及び34を含む。前側リッジ32は、さらに好ましくは、部分的に前面28を画定する。後側リッジ34は、同様に、好ましくは部分的に背面30を画定する。
【0035】
把持要素(図示せず)は、部分的に溝36内に挿入又は形成されてもよく、いくつかの実施形態では、リッジ32及び34の頂部と重なる係合まで延在してもよい。しかしながら、本発明のいくつかの態様によれば、溝は充填されていなくてもよい。
【0036】
把持要素は、含まれる場合、熱可塑性エラストマー(TPE)などの弾性材料の形態であることが好ましいが、他の材料も本発明のいくつかの態様の範囲内にある。把持要素は、好ましくは、リム26から材料12への力の均等な分配を助ける。把持要素はまた、好ましくは、材料12に対するリム26の(転がりとは対照的な)滑りに抵抗する。
【0037】
ローラリム26の二重リッジ設計の結果として、切断される材料12の転がり又は回転に対する抵抗も提供される。より具体的には、リッジ32及び34の頂点によって提供される2つの別個の接触点は、材料12を保持して回転しないようにするために力が伝達される2つの反応点を提供する。したがって、ブレード18のスライス動作は保持される。
【0038】
2つのリッジが好ましいが、本発明のいくつかの態様によれば、追加のリッジを含むか、又はリッジがないリムも許容されることに留意されたい。
【0039】
回転可能なブレード18は、好ましくは、ブレード接触点又は係合点EP_B(
図12)で材料12に係合し切断するように構成された刃先38を含む。刃先38は、好ましくは、ブレード18の周囲に延在する。さらに、刃先38は連続的に延在することが好ましいが、不連続性は本発明のいくつかの態様の範囲内にある。滑らかな伸長(例えば、隆起、リッジ、又は他の凹凸なし)も最も好ましい。
【0040】
ブレード18は、好ましくは、前面40と、前面40の反対側の背面42とを呈する。前面40は、好ましくは、それぞれの主部分40a及び縁部分40bを含む。背面42は、好ましくは、それぞれの主部分42a及び縁部分42bを含む。主部分40a、42aは、少なくとも互いに略平行であることが好ましい。一方、縁部分40b及び42bは、好ましくは互いに向かって傾斜して、刃先38を画定する頂点を有するV字形を形成する。好ましい実施形態では、刃先38は対称なV字形の輪郭を呈するが、いくつかの実施形態では非対称性が許容される。さらに、広義の代替的な縁形成形状も、本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0041】
好ましくは、ローラ16の外側リム26及びブレード18の刃先38の両方は、円周方向に延在するように円形経路に沿って延在する。すなわち、ローラ16及びブレード18は、いずれも円盤状又は円形の形状であることが好ましい。しかしながら、本発明のいくつかの態様によれば、全体的な意味(例えば、全体的に楕円形)であろうと、或いは、リム又は刃先自体に沿って(例えば、鋸歯状、スカラップ状など)いようと、形状の変化も許容される。
【0042】
以下により詳細に説明するように、回転伝達機構20は、ブレード18がローラ16よりも速く回転するように、ブレード18とローラ16とを駆動的に相互接続するように構成される。換言すれば、回転伝達機構20は、ローラ16とブレード18とが同じ期間の間回転する(すなわち、両方が同時に回転する)ように構成されるが、ブレード18がローラ16よりも速く回転するように、ローラ16とブレード18とを相互接続する。
【0043】
材料12に対するローラカッタ10の横方向移動は、好ましくは、それぞれローラ係合点EP_Rとブレード係合点EP_Bとの間の材料の表面14にほぼ平行な切断方向Dであることに留意されたい。さらに、方向Dは、ローラカッタ10が全体としてユーザから押し出されている(すなわち、「前方」に移動する)か、ユーザに向かって引っ張られている(すなわち、「後方」に移動する)かにかかわらず、ローラ係合点EP_Rがブレード係合接触点EP_Bを「先導する」状態で、従来の意味で「前方」又は「後方」のいずれであってもよいことに留意されたい。
【0044】
さらに、切断方向Dは、好ましくは、ブレード18、より具体的にはその刃先38に沿って又は平行に延在する平面内に少なくとも実質的に画定される。すなわち、ブレード18は、好ましくは切断方向に位置合わせされて容易に転動可能であり、ブレード18及び切断方向は同一平面上にある。
【0045】
ブレード18自体は、好ましくは回転対称であるが、本発明のいくつかの態様の範囲内に変形が含まれる。
【0046】
ブレード18は、好ましくは、限定はしないが、特定のセラミックを含む、鋼(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、タングステン鋼など)又は切断に適した別の材料を含む。適切な材料は、あまり困難でない材料(例えば、綿織布の単層)の切断に十分な堅牢性の低いブレード材料、及びより困難な材料(例えば、皮革)の切断に必要な高品質のブレード材料を用いて、意図された切断用途によって変化することに留意されたい。
【0047】
本発明のいくつかの態様によれば、ブレードの一部又は全部のコーティングも許容される。例えば、ブレードの縁部は、困難な材料の切断又はスクライブにおける使用を容易にするために、片面又は両面がダイヤモンドでコーティングされてもよい。
【0048】
ブレード18及びローラ16は、好ましくは、軸アセンブリ44によってハンドル24に回転可能に固定される。軸アセンブリ44は、好ましくは、軸ヘッド46と、軸ヘッド46から軸方向に延在する軸48と、軸48上に配置され、軸ヘッド46から離間したナット50とを含む。軸48は、好ましくは、ブレード18の回転軸を画定し、ブレード18の本体に対して直角に延在する。さらに、ブレード18は、ブレード回転軸上にある中央ブレード中心点CP_Bを画定する。換言すれば、刃先38は、ブレード中心点CP_Bの周りに円弧状に(この場合、円周方向に)延在する。
【0049】
より具体的には、ブレード18は、ブレード中心点CP_Bと一直線になって中央ブレード軸開口部52を画定することが好ましい。ローラ16は、ローラ軸開口部56を画定するローラハブ54を含む。ローラ16及びブレード18は、軸ヘッド46とナット50との間に軸方向に配置され、軸48は、ブレード軸開口部52及びローラ軸開口部56を通って延びる。
【0050】
ローラ16のリム26は、好ましくは、円弧状に、本実施形態では、リム中心点CP_Rの周りに円周方向に延在することに留意されたい。以下でより詳細に説明するように、ローラ16が非変形状態にあるとき、リム中心点CP_R及びブレード中心点CP_Bは、互いに軸方向に一直線になっている。したがって、ローラ16のリム26、ローラ16のハブ64、及びブレード18のエッジ38はすべて、互いに少なくとも実質的に同心であり、ブレード18の回転軸は、ローラ16の回転軸と同一の広がりを有し、ブレード中心点CP_Bとリム中心点CP_Rとは同じ場所にある。
【0051】
ハンドル24は、好ましくは、グリップ部分58と、ガード60と、支持ストラット62と、支持ストラット62上に配置されたハブ64と、ストラット62の端部の外側リップ66とを含む。
【0052】
最も好ましくは、ナット50は、ハンドル24のストラット62によって画定されたナット凹部又はシート68内の軸48(ねじ山は図示せず)に螺合される。シート68は、好ましくは、ハブ64と軸方向に一直線になって画定されるが、オフセット構成は、本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0053】
したがって、当業者には容易に明らかであるように、ハンドル24、ならびにローラ16及びブレード18は、少なくとも部分的に、軸ヘッド46とナット50との間に軸方向に配置される。
【0054】
以下により詳細に説明するように、ナット50は、カッター10の選択された構成要素に対する軸方向圧縮力を増加又は減少させるように、軸48に沿って軸方向に移動可能である。すなわち、軸アセンブリ44は、広義には、ローラカッタ10を「緩める」、「締め付ける」、さらには「ロックする」ように調整され得る。
【0055】
好ましい実施形態では、例えば、軸48に沿ったナット50の運動範囲は、ナット50が軸48に沿って遠位位置にある(すなわち、ヘッド46からより遠くにある)ときにブレード18及びローラ16が実質的に自由に回転することができるようなものである。代替で、ブレード18及びローラ16は、著しい克服力がなければ、ナット50が軸48に沿って近位位置にある(すなわち、ヘッド46により近い)ときに回転が厳しく制限されるか、又は無くなる程度まで、互いに及び/又はハンドル24に対して強制的に圧縮されてもよい。後者の場合、ナット50は、安全装置の一部として機能し、ブレード18を所定の位置に本質的に「ロック」し、人又は材料の不注意な切断の可能性を防止又は少なくとも大幅に低減する。ここでも、この機能については、以下でより詳細に説明する。
【0056】
ブレード及び/又はローラの代替的な取り付け手段は、本発明のいくつかの態様の範囲内にあるが、ブレード及びローラの両方の回転が容易になることが不可欠である。
【0057】
ローラ16は、好ましくは、ブレード18の軸受支持を提供する複数の円弧状に離間した軸受タブ70を含む。しかしながら、そのようなタブは、本発明のいくつかの態様の範囲から逸脱することなく省略することができる。
【0058】
ハンドル24は、好ましくは、ユーザの快適さ及び制御のために人間工学的に設計される。さらに、ハンドル24は、好ましくは、左手又は右手のどちらでも使用するように設計される。しかしながら、本発明のいくつかの態様によれば、ハンドルが特定のユーザ又はユーザの部分集合のためにサイズ設定及び/又は形状設定されることが許容される。例えば、ハンドルは、特定の手の向き又はサイズに合わせて設計されてもよい。ハンドルはまた、機械の一部として使用するために設計されてもよく、完全に排除されてもよく、又は完全に代替の形態で提供されてもよい。例えば、本ハンドル24は、指がハンドルの周りを取り囲むようにユーザの手のひら及び指によって把持されるように設計されているが、ハンドルは代わりに、ユーザの手のひらに収まるように意図された半円形ケーシングの形態であってもよい。(したがって、ユーザの前腕にほぼ平行に延在するのではなく、代替的なハンドルは、手の下に配置され、手で覆われる。)
【0059】
ローラカッタ10は、何らかの方法で電動機構と関連付けられてもよいが、好ましい実施形態では、ブレード18の回転は直接電動化されてないことに留意されたい。すなわち、以下で詳細に説明するように、ブレード18の回転及び関連する接線剪断運動は、最も好ましくは、伝達機構20を介してブレード18に伝達されるローラ16の転動運動によって生成される。これは、例えば、ブレードの回転が、直接的に又は伝動装置を介してのいずれかの動力回転によって駆動され、ローラから切り離されるカッターとは対照的である。
【0060】
さらに、切断方向Dにおけるローラ16の横運動(ローラ16の回転又は転がりに対応する)は手動で駆動されることが好ましいが、本発明のいくつかの態様によれば、そのような運動が機械制御されることが許容される。しかしながら、そのような実施形態では、伝達機構20は、好ましくは、ブレード18自体の回転を駆動するために、本明細書に示され説明されるように依然として動作可能であることに留意されたい。すなわち、ローラの横運動又はローラ自体の回転の機械化は、本質的にローラカッタ10の他の態様の動作に影響を与えない。
【0061】
最後に、本発明の特定の態様は、それにもかかわらず、ブレード自体の回転が、少なくとも部分的に非手動で(例えば、モータを介して)、及び/又はローラ及び伝動装置と関連せずに駆動されるローラカッタに適用可能であり得ることに留意されたい。
【0062】
セーフティーカバー72を設けることもできるが、そのような省略は本発明のいくつかの態様の範囲内にある。図示の実施形態では、セーフティーカバー72(
図13~
図15)は、トロイダル本体74と、本体74からほぼ直交して延在する、円弧状に離間した複数の弾性的に変形可能なラッチ76と、これも本体74からほぼ直交して延在する、直径方向に対向する一対のリップ78とを含む。カバー72が設置されると、本体74は、ブレード18の前面40の一部分と重なり係合して、その刃先38を覆って、軸ヘッド46の周りに延在する。リップ78は、ローラ16のリム26に沿って軸方向及び円弧状に延在し、ラッチ76も同様にリム26に沿って軸方向及び円弧状に延在するが、その背面30にも係合する。したがって、セーフティーカバー72のその後の取り外しを可能にするために、ラッチ76の半径方向外側への偏向が生じなければならない。
伝達機構
【0063】
伝達機構20は、好ましくは、ブレード18とローラ16とを選択的に駆動的に相互接続するギヤ機構80を備える。より具体的には、好ましい実施形態では、ギヤ機構80は、ローラ16に対して固定されてローラと共に回転する外側リングギヤ82と、ブレード18に対して固定されてブレードと共に回転する内側ピニオンギヤ84とを含む。
【0064】
リングギヤ82は、半径方向内側に延在する複数のリングギヤ歯86aを含む内側歯付き領域86を含む。ピニオンギヤ84は、半径方向内側に延在するリングギヤ歯86aの対応するものと噛み合う半径方向外側に延在する複数のピニオンギヤ歯88aを含む外側歯付き領域88を含む。
【0065】
ピニオンギヤ84は、リングギヤ82によって画定される内径よりも小さい外径を呈する。より詳細には、ローラカッタ10の静止状態(例えば、
図8及び
図11を参照)では、歯86a及び88aは互いに係合しない。しかしながら、ギヤ82及び84が駆動的に相互係合すると、以下でより詳細に説明するプロセスでは、歯付き領域86及び88(又は、より具体的には、歯86a及び88aのうちの選択されたもの)が噛み合い(
図12参照)、リングギヤ82及びピニオンギヤ84が回転すると、リングギヤ82とピニオンギヤ84との間に相対回転が生じる。さらに、ピニオンギヤ84は、リングギヤ82よりも高い角速度で回転する。そして、ブレード18は、ローラ16よりも速く回転する。
【0066】
好ましい実施形態では、ローラ16は、ブレードの速度の約50%~約95%のローラの速度で回転する。より好ましくは、ローラの速度は、ブレードの速度の約70%~約90%である。最も好ましくは、ローラの速度はブレードの速度の約80%である。
【0067】
ピニオンギヤ84及びリングギヤ82は、ローラカッタ10の静止状態では好ましくは同軸であるが、軸は、ギヤ82と84との係合中にオフセットされるが平行であることに留意されたい。これについては、以下でより詳細に説明する。換言すれば、ピニオンギヤ84及びリングギヤ82の中心は、ギヤ82と84との係合中にオフセットされる。
【0068】
リングギヤ82がローラ16に対して固定され、ピニオンギヤ84がブレード18に対して固定されることが好ましいが、本発明のいくつかの態様によれば、リングギヤがブレードに対して固定され、ピニオンギヤがローラに対して固定された逆の構成が利用されることが許容される。
【0069】
本発明のいくつかの態様によれば、伝達機構が代替的に構成されることも許容される(例えば、太陽ギヤ及び1つ又は複数の遊星ギヤを含むこと、リングギヤと係合する追加のギヤを含むこと、及び/又は完全に代替的に配置されること)。しかしながら、好ましくは、そのような修正はいずれも、ローラと比較してブレードの好ましいより速い回転速度を依然として維持する。さらに、剛性システムは本発明のいくつかの態様の範囲内にあってよいが、以下でより詳細に説明するように、任意の代替の伝達機構設計がローラ16のコンプライアンスを容易にすることが最も好ましい。
【0070】
ピニオンギヤ84は、ブレード18から分離しているが、直接固定されていることが好ましい。そのような固定は、機械的結合、にかわ又は他の接着剤によって容易にされる化学的結合、機械的及び化学的/接着剤結合の組み合わせなどを含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の様々な手段のいずれかを介してもよい。例えば、ピニオンギヤは、ブレード上にオーバーモールドされて(又は上に成形されて)それらの間に機械的結合を提供してもよく、又はブレードの背面とピニオンギヤの前面との間に接着剤が塗布されて固定を提供してもよい。図示の実施形態に示すように、ピニオンギヤ84は、固定も提供するために、締まり嵌めでブレード軸開口部52を貫通する前方に突出するリップ90を追加的に(又は、ことによると代替的に)含んでもよい。しかしながら、ピニオンギヤの一体形成又は間接的固定は、本発明のいくつかの態様の範囲内にあるが、摩耗したブレードの交換を容易にすることができる構成が場合によっては最も好ましい。
【0071】
対照的に、リングギヤ82は、ローラ16によって一体的に画定されることが最も好ましい。より具体的には、好ましい実施形態では、ローラ16は、前述の外側リム26から半径方向内側に配置された内側リム94を含む。内側リム94は、好ましくは、リングギヤ82をその前側及び内側に画定する。より具体的には、内側リム94は、好ましくは、リングギヤ82を画定する半径方向内側歯付き面86と、歯付き面86の反対側の半径方向外側ガイド面86とを含む。
【0072】
それによって画定されるリングギヤ82に関するものを含む、内側リム94の追加の機能は、以下でより詳細に説明される。
【0073】
したがって、ローラ16は、外側リム26、ローラハブ54、及びそれらの間に配置された内側リム94を含み、内側リム94はリングギヤ82を画定する。外側リム26、内側リム94(及びリングギヤ82)、及びローラハブ54は、好ましくは、コンプライアント機構22によってすべて一体的に形成され、互いに相互接続される。
【0074】
さらにより詳細には、以下でさらに説明するように、コンプライアント機構22は、好ましくは、外側リム26及び内側リム94と一体的に形成され、それらの間に延在し、それらを相互接続する外部ステージ98と、内側リム94及びローラハブ54と一体的に形成され、それらの間に延在し、それらを相互接続する内部ステージ100とを含む。
【0075】
しかしながら、本発明のいくつかの態様によれば、構成要素の一部又は全部が非一体的に形成されることが許容される。例えば、コンプライアント機構の内部ステージは、ローラハブ及び内側リムのいずれか又は両方から分離しているが、にかわ、接着剤、ラッチ、干渉要素などによってそれに固定されていてもよい。同様に、コンプライアント機構の外部ステージは、外側リム及び内側リムのいずれか又は両方から分離しているが、にかわ、接着剤、ラッチ、干渉要素などによってそれに固定されていてもよい。
【0076】
コンプライアント機構
コンプライアント機構22は、ピニオンギヤ84とリングギヤ82との選択的係合を容易にするように広く構成されている。より具体的には、そのような選択的係合は、コンプライアント機構22の弾性的に変形可能な性質によって容易にされる。
【0077】
前述のように、コンプライアント機構22は、好ましくはローラ16と一体的に形成され、リム26は外部ステージ98に外接し、内側リム94(及びリングギヤ82)に外接し、内部ステージ100に外接し、内側ハブ64に外接する。しかしながら、本発明のいくつかの態様によれば、上記の構成要素の1つ又は複数の別個の形成が許容される。
【0078】
さらに、本発明の好ましい実施形態では、コンプライアント機構22及びリングギヤ82は何らかの方法で(一体であるかどうかにかかわらず)ローラ16に固定されているが、本発明のいくつかの態様によれば、コンプライアント機構が代わりにブレードと共に形成されるか、又はブレードに固定される、或いはブレードに部分的に関連付けられ、ローラに部分的に関連付けられることが許容される。
【0079】
コンプライアント機構22の内部ステージ100は、好ましくは、円弧状に分布し、円弧状に半径方向に延在する弾性的に偏向可能な複数のスポーク102を含む。各スポーク102は、その中立構成と偏向構成との間で独立してシフト可能である。
【0080】
図示の実施形態では、3つのスポーク102が設けられているが、本発明のいくつかの態様によれば、代替の数のスポークが許容される。
【0081】
内部スポーク102は、好ましくは略フック形又はJ字形であり、形状の上端部が内側リング又はリム94と係合し、形状の後端部が内側ハブ64と係合する。しかしながら、以下に記載される所望の機能を依然として提供する代替的な形状は、本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0082】
内部スポーク102によって提供される抵抗は、好ましくは、切断プロセスの開始時に内部スポーク102の偏向が容易に生じるように、切断プロセス中にローラ16にユーザが加える(又は機械的に、若しくは他の方法で加えられる)典型的な力と比較して比較的低い。例えば、スポーク102の偏向は、好ましくは、切断プロセスの開始時にユーザがハンドル24によってローラカッタ10を保持しながら、材料表面14の中又は上にローラ16を最初に押圧するときに容易に生じる。しかしながら、様々なレベルの偏向抵抗が本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0083】
スポーク102の中立構成(すなわち、スポーク102の各々がその中立構成にあるとき)では、ピニオンギヤ84とリングギヤ82との係合が解除される(
図8、
図11などを参照)。すなわち、ピニオンギヤ84は、円周方向に延在する係合解除間隙104がその間に存在するように、リングギヤ82から半径方向に離間している。間隔及びその結果としての継続的な係合解除は、1つ又は複数の内部スポーク102の十分に小さい偏向でも持続する。すなわち、内部スポーク102のいくつかの偏向構成は、ピニオンギヤ84とリングギヤ82との間の係合をもたらさない。
【0084】
しかしながら、内部スポーク102のうちの1つ又は複数(又は、より一般的には、コンプライアント機構22の内部ステージ100)が十分に偏向すると、ピニオンギヤ84の外側歯88aの噛み合いサブセット106は、リングギヤ82の内側歯86aの噛み合いサブセット108と噛み合う(
図12参照)。すなわち、スポーク102の少なくとも一方を、その偏向された構成のうちの選択された1つにシフトすることにより、ピニオンギヤ84とリングギヤ82との係合が容易になる。
【0085】
したがって、実際の意味では、材料12の表面14との相互作用から生じるローラ16の回転は、メッシュ状サブセット106及び108の相互作用を介してブレード18に駆動伝達される。
【0086】
また、リングギヤ82に対するピニオンギヤ84のギヤ比の利点により、ブレード18の回転はローラ16の回転よりも速いことにも留意されたい。
【0087】
ローラ16への力の付与が停止されると(例えば、切断プロセスの終わりに)、内部スポーク102は、前述の弾性的に変形可能な性質の利点により、それらの初期の中立的な構成に戻る(又はほぼ戻る)。ある程度の変形保持は許容可能であり、多くの適切な材料に対して予想されるが、そのような保持は、内部スポークの機能を保持するために最も最小限に抑えられることに留意されたい。すなわち、弾性性能が最も最適である。
【0088】
また、内部スポーク102がそれらの中立状態にあるとき(及び、偏向構成のうちの偏向が少ない構成のいくつかにおいて)、刃先38は全体として、リム26の外側マージン26aの半径方向内側に配置されることにも留意されたい。すなわち、刃先38は、リム26によってある程度保護されており、これはまた、内部スポーク102が中立構成にあるときに、ユーザ又は隣接する材料をブレード18から保護するように逆に作用する。
【0089】
内部スポーク102が、係合された構成が最初に存在する程度まで偏向されるとき、ブレード18は、ここではリム26と同軸ではないが、依然として露出していないことが最も好ましい。すなわち、最初にギヤ係合が発生したとき(及びコンプライアント機構22の第2の又は外部ステージ98の変形がまだ発生していないとき)、リム26の半径方向外側マージン26aは、依然として刃先38の全体の半径方向外側に配置されていることが好ましい。本発明のいくつかの態様によれば、(実質的な切断が依然として起こりにくいような)刃先38と等しい位置合わせも許容される。
【0090】
さらに、本発明のいくつかの実施形態では、特にコンプライアント機構の外部ステージが省略されている代替の実施形態では、内部ステージの十分な偏向が、刃先の露出及び切断能力をもたらすことが許容される。
【0091】
コンプライアント機構22の外部ステージ98は、内部ステージ100の半径方向外側に配置される。より具体的には、内部ステージ100が内側リム94と内部ハブ64との間に延在し、それらを相互接続するのに対して、外部ステージ98は内側リム94と外側リム26との間に延在し、それらを相互接続する。
【0092】
さらにより詳細には、外部ステージ98は、各々がその中立構成と偏向構成との間で移動可能な、円弧状に分布し、円弧状に半径方向に延在する弾性的に偏向可能な複数のアーム110を含む。
【0093】
図示の実施形態では、4つのアーム110が設けられているが、本発明のいくつかの態様によれば、代替の数のアームが許容される。
【0094】
アーム110は、一般に、比較的低い曲率の(すなわち、比較的平坦な)アーチの形状であることが好ましく、形状の外側端部がローラ16の外側リム26と係合し、形状の内側端部がローラ16の内側リム94と係合する。しかしながら、以下に記載される所望の機能を依然として提供する代替的な形状は、本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0095】
アーム110の中立構成(すなわち、アーム110の各々がその中立構成にあるとき)では、ピニオンギヤ84及びリングギヤ82は、互いに係合解除又は係合することができる。後者の場合、ローラ16に加えられる力(例えば、ユーザによって、ハンドル24を介して)は、ギヤ82及び84の駆動係合を容易にするためにコンプライアント機構22の内部ステージのスポーク102の十分な偏向を引き起こしたが、コンプライアント機構22の外部ステージ98のアーム110の偏向を引き起こすほどには(まだ)十分大きくなかった。
【0096】
上記から明らかなように、外部ステージ98(又は、より具体的には、アーム110)は、内部ステージ100(スポーク102を含む)よりも高い剛性を呈する。したがって、それらの偏向を引き起こすためにより大きな力が必要とされる。
【0097】
さらに、任意の切削プロセスは、内部ステージ100が偏向してギヤ82と84との係合を容易にする前述の第1のステージ、及び外部ステージ98の偏向が材料12の実際の切断を容易にする以下でより詳細に説明する第2のステージの2つのステージの偏向が生じることを必要とする。
【0098】
より具体的には、
図12に示すように、内部ステージ100の偏向がギヤ82及び84の係合をもたらした後、外部ステージ98の偏向により、内側ハブ64、ブレード18、及びピニオンギヤ84をすべて材料12に向かって、ローラ16の外側リム26に対してシフトし、ブレード18は、好ましくはブレード係合点EP_Bで材料12に接触し、その表面14をスライスする。ローラ16のリム26は、材料12の表面に留まり、ローラ係合点EP_Rで材料に係合する。
【0099】
その後の力の付与の増加により、アーム110がさらに大きく変位すると、ブレード18及び関連する構成要素がさらにシフトし、そのようなシフトは、ブレード18がリム26に対してさらに大きくシフトし、材料表面14をさらに越えて延在するときのより深い切断深さに対応する。
【0100】
ローラ16への力の付与が停止されると(例えば、切断プロセスの終わりに)、内部スポーク102及び外部アーム110は、前述の弾性的に変形可能な性質の利点により、それらの初期の中立的な構成に戻る(又はほぼ戻る)。ある程度の変形保持は許容可能であり、多くの適切な材料に対して予想されるが、そのような保持は、内部スポークの機能を保持するために最も最小限に抑えられることに留意されたい。
【0101】
外部又は第2のステージ98が内部又は第1のステージ100よりも剛性であるため、外部又は第2のステージ98を設けることは、場合によっては、ブレード18を露出させ、その意図された使用のためにツールに係合するのに必要な意図的な動作を効果的にもたらすことは、当業者には容易に明らかであろう。例えば、最初の手動の力の付与が第1又は内部ステージ100を係合させることにのみ十分であったユーザは、付与される力を意図的に増加させて外部又は第2のステージ98を完全に係合させ、切断のためにブレード18を露出させることが必要であろう。
【0102】
再び材料表面14とブレード18の最初の接触に目を向けると、コンプライアント機構22の変形は、ブレード18の下方及びローラ16に対して切断方向Dとは反対方向の両方にシフトする(又はローラ16全体の上方及びブレード18に対して切断方向Dの両方のシフトする)ことを容易にし、切断方向は表面14にほぼ平行であると理解されることに留意されたい。(切断方向Dは、典型的にはユーザから離れる「前方」方向であるが、「後方」方向も許容される)。このシフトにより、ブレード18は、ローラ係合点EP_Rの後方(すなわち、切断方向Dの後方)のブレード係合点EP_Bで材料12と係合する。
【0103】
要約すると、内部ステージ100のスポーク102の少なくとも1つを偏向構成のうちの選択された1つにシフトすることにより、ピニオンギヤ84をリングギヤ82と係合するようにシフトさせることが可能になる。外部ステージ98のアーム110の少なくとも1つを偏向構成のうちの選択された1つにシフトさせることにより、ローラ16のリム26に対するブレード18の刃先38のシフトが可能になり、その結果、リム26及び刃先38の両方が、それぞれローラ係合点EP_R及びブレード係合点EP_Bで材料と係合し、ブレード係合点EP_Bはローラ係合点EP_Rから後方に離間している。外部ステージ98は内部ステージ100よりも高い剛性を有するので、内部ステージのスポーク102の変形は、外部ステージのアーム110の変形の前に生じ、それにより、材料12と接触するように刃先38をシフトする前にピニオンギヤ84とリングギヤ82との係合が容易になる。
【0104】
上述したように、コンプライアント機構22の弾性変形は、弾性的に偏向可能なスポーク102及びアーム110によって提供されることが好ましいが、弾性変形を提供する他の手段は、本発明のいくつかの態様の範囲内にあることに留意されたい。例えば、スポーク及び/又はアームは、ほぼ連続した(すなわち、ほぼ固体又はバルク状の)形態で提供される1つ又は複数の可撓性若しくは弾性的に圧縮可能なフォーム或いは他の材料(例えば、ポリウレタン、エラストマーなど)によって置き換えられるか、又はそれと併せて提供され得る。ばね状のメッシュ又は他の構造を設けることもできる。
【0105】
例えば、第1の剛性又は圧縮に対する耐性を有する弾性的に圧縮可能な材料のリングは、内側スポークのすべてを置き換えることができ、より高い剛性/圧縮に対する耐性を有する異なる弾性的に圧縮可能な材料のリングは、外側アームのすべてを置き換えることができる。代替で、アームのみ又はスポークのみを交換することができ、或いはスポーク及び/又はアームを材料インサートと共に設けることができる。
【0106】
固有の材料組成に関して、及び変化する負荷に応じて、所与の材料インサート内の剛性の変化も考えられる。
【0107】
本発明の好ましい実施形態では、ブレード18の刃先38は、軸48と位置合わせし、ブレード18の回転軸上にあるブレード中心点CP_Bの周りに延在する。ローラ16のリム26も同様に、リム中心点CP_Rの周りに延在する。(リム26は、加えられた力が高いときに切断プロセス中に円形からいくらか変形する可能性があるが、それにもかかわらず、おおよその「中心」を見つけることができる。)コンプライアント機構22の変形の前に、ブレード及びリム中心点CP_B及びCP_Rは、軸48によって画定されるように、ブレード18の回転軸に沿って互いに位置合わせされる。すなわち、刃先38及びリム26は両方とも共有軸を中心とする。しかしながら、コンプライアント機構の利点により、リム中心点CP_Rは、ブレード中心点CP_B及びブレード回転軸に対してシフト可能である。
図12に示すように、例えば、ブレード18がブレード係合点EP_Bで材料12と係合し、リム26がローラ係合点EP_Rで材料12と係合するとき、リム中心点CP_Rはブレード中心点CP_Bの上方及び前方にオフセットされる。換言すれば、ブレード中心点CP_Bは、コンプライアント機構22のステージ98又は100のいずれかが変形すると、リム中心点CP_Rに対して下方及び後方にシフトする。
【0108】
ここでも、コンプライアント機構22によって容易にされるように、切断方向Dにブレード係合点EP_Bの前方のローラ係合点EP_Rの間隔が、それらの間の材料12に張力をかけることに留意されたい。したがって、刃先38は、ブレード係合点EP_Bで圧縮剪断力と接線剪断力の両方を加え、材料12のより効果的な切断をもたらす。
【0109】
この張力がローラカッタ10自体によって一体的に提供されることも特に強調される。対照的に、従来のローラカッタを操作するユーザは、一方の手を使用してローラを操作し、他方の手を使用して切断する材料を張力下で保持する必要があることに気付くかもしれない。このような面倒な支援努力は、本設計によって不要にされる。
【0110】
ガイド要素
本発明の好ましい実施形態では、ガイド要素又は自由度低減器112が提供される。ガイド要素112は、伝達機構20の自由度を減少させるように広く作用する。
【0111】
より具体的には、当業者には容易に明らかになるように、リングギヤ82及びピニオンギヤ84を含むギヤ機構80は、2つの自由度、すなわち歯86a及び88aの相互係合によって駆動されるような正回転に関連する第1の自由度と、リングギヤ82に沿ったピニオンギヤ84の相対移動又は「乗り上げ」に関連する第2の自由度とを有する遊星ギヤ列である(又は、代替的に見ると、ピニオンギヤ84に対してシフトするリングギヤ82)。
【0112】
また、当業者には明らかなように、そのような「乗り上げ」は、許容される場合、ピニオンギヤ84に固定されてそれと共にシフトするブレード18の対応する「乗り上げ」をもたらす。この乗り上げ又は持ち上げは、切断される材料12の表面14から離れるようにブレード18を持ち上げることに対応し、接触の喪失及び関連する切断エラー及び/又は不規則性を潜在的にもたらし、又は完全な断絶が生じない場合には少なくとも切断深さの変化をもたらす。したがって、そのような乗り上げに関連するギヤ機構の自由度を除去又は制限することが望ましい。以下に説明するように、ガイド要素112は、そのような制限の信頼性が高く耐摩耗性の物理的手段を提供する。
【0113】
ガイド要素112は、好ましくは、横材116によって連結された一対の円弧状に離間したフランジ114a及び114bを含み、フランジ114a及び114bならびに横材116は協働してほぼH字形の形態を作成する。より具体的には、フランジ114a及び114bは、好ましくは、互いに直径方向に対向し、互いに平行に延在し、横材116は、フランジ114a及び114bに対してほぼ垂直に延在する。
【0114】
フランジ114a及び114bを連結することに加えて、横材116は、好ましくは、横材を貫通するハブ開口部118を画定する。より具体的には、横材116は、ハブ開口部118を画定する取り付けリング部分120を含む。ローラカッタ10のハンドル24のハブ64は、好ましくは、取り付けリング部分120がハブ64に外接した状態で、ハブ開口部118内に受け入れられる。
【0115】
リング部分120は、以下でより詳細に説明する目的のために、ハブ64の周りのガイド要素112の少なくとも実質的に制限されないか、又は自由な回転を容易にするようにサイズ設定及び形状設定されることが好ましい。
【0116】
好ましくは、ハブ64には、ハブ64に設置されたときにガイド要素112の軸方向前方への移動を制限するリップ122が設けられる。ストラット62は、ガイド要素112の後方に延在し、その軸方向後方へのシフトを制限する。
【0117】
ガイド要素112のフランジ114a及び114bは、横材116から軸方向前方に延在する。フランジ114a及び114bはまた、ローラ16の内側リム94の外側ガイド面96に並んで、部分的に接触して、接線方向に延在する。すなわち、フランジ114a及び114bは、ガイド面96に並んで軸方向に延在し、ガイド面の半径方向外側に延在することが好ましい。したがって、フランジ114a及び114bは、ピニオンギヤ84に対する内側リム94の半径方向のシフトを部分的に制限する障壁として作用する(これは、上記から明らかなように、ガイド要素112と一定の同心性で配置されている)。以下により詳細に説明するように、フランジ114a及び114bは、ガイド要素112がそのガイド位置にあるときに、リングギヤ82に沿ったピニオンギヤ84の相対的な「乗り上げ」を制限するようにさらに作用する。
【0118】
より具体的には、ユーザによって加えられる力は、一般に、力方向Fにハンドル24を介してローラ16及びブレード18に伝達される。図示の実施形態では、ハンドル24の少なくとも実質的に直線的な延伸は、ハンドル24自体も力方向Fに沿って延在するようなものであり、力方向Fもハンドル方向であると理解することができる。しかしながら、本発明のいくつかの態様によれば、力方向と少なくとも部分的に位置合わせしていない代替的なハンドル形状が存在することが許容される。
【0119】
フランジ114a及び114bは、ハンドル24及び力方向Fに対して任意の方法で最初に配向されてもよいが、ロータリカッタ10は、ハンドル24を介してユーザが力を加えると、ガイド要素112が案内位置に自己位置合わせするように設計される。案内位置は、ガイド要素112が、ガイドリム94の外面96の係合によってリングギヤ82に対するピニオンギヤ84の望ましくない動きを機械的に制限するようなものである。ガイド要素112の案内位置及び自己位置合わせプロセスについては、以下でより詳細に説明する。
【0120】
ガイド要素112が案内位置にあるとき、
図12に示すように、フランジ114a及び114bは、力方向Fに対して少なくとも実質的に垂直に延在する(これは、図示の実施形態では、ハンドル24の延長方向でもある)ことに最初に留意されたい。代替的に説明すると、ガイド要素112は、横材116に沿ってフランジ114a及び114bを通って延在する局所ガイド要素軸Gを有すると理解されてもよく、ガイド要素軸Gはフランジ114a及び114bに対して垂直である。ガイド要素112が案内位置にあるとき、ガイド要素軸Gは、力方向Fと平行であるか、又は位置合わせされ、図示の実施形態では、ハンドル24の延伸方向と平行であるか、又は位置合わせされる。
【0121】
対照的に、ガイド要素112が複数の一般的な向き(例えば、
図2、
図5、及び
図11を参照されたい)のいずれかである場合、ガイド要素軸Gは力方向Fから角度的にオフセットされ、フランジ114a及び114bは力方向に対して垂直ではない。
【0122】
図11を参照すると、材料12とのローラ16の最初の接触は、力方向Fに沿った力の伝達に関連付けられることが当業者によって容易に理解されよう。さらに、上述したように、そのような加えられた力の増加は、最終的に、最初にコンプライアント機構22の内部ステージ100の変形及びその結果としてのギヤ82及び84の係合をもたらし、その後、コンプライアント機構の外部ステージ98の変形及び結果としてのブレード18の材料12(
図12を参照されたい)との接触をもたらす。
【0123】
しかしながら、引き続き
図11を参照すると、ガイド要素112に関して、ハンドル24を介したユーザによる力の力方向Fへの伝達は、ローラ16の内側ガイドリム94との接触を介してガイド要素112に回転モーメントを発生させる。すなわち、ガイド要素112に作用する回転モーメントは、フランジ114a及び114bに対する内側リム94からの力に起因して発生する。これらの力は、平衡が達成されるまでガイド要素112の回転をもたらし、フランジ114a及び114bはもはや内側リム94によって「押圧」されない(すなわち、ガイド要素112にモーメントが作用しない)。
図12に示すこの平衡状態は、ガイド要素軸Gが力方向と位置合わせする前述の案内位置におけるガイド要素112の配置に対応する。したがって、ガイド要素112は、平衡に向かって、そしてひいては案内位置に向かって自然にシフトすることによって「自己位置合わせ」する。
【0124】
当然ながら、案内位置は力方向Fに依存するため、ローラカッタ10の再配向及び/又は力方向Fの変化は、ガイド要素112に加えられる新しいモーメントの生成及びそれに対応するガイド要素112の回転をもたらして、新しい力に関連する案内位置にそれ自体を再位置合わせする。
【0125】
ガイド要素112が案内位置にあるとき、
図7及び
図12に示すように、ガイド要素112は、伝達機構20の過剰な自由を除去する。より具体的には、ガイド要素112は、リングギヤ82に対するピニオンギヤ84の「乗り上げ」に関連付けられた伝達機構20の自由度を除去する。すなわち、リム94は、フランジ114aと114bとの間に捕捉され、フランジ114aと114bは、それらの取り付けの利点によってピニオンギヤ84に対して半径方向に固定されて回転軸を共有するため、リム94及びピニオンギヤ84のハンドル軸に沿ったシフト(すなわち、力方向F)は許容されない。したがって、刃先38の「乗り上げ」及び関連するシフト、ならびに表面14からの潜在的な断絶が回避される。良好なブレード接触が維持され、所望のカットにおけるスキップ及び他の欠陥が回避される。
【0126】
剛性ギヤトレイン又は伝達機構を設けることは、ガイド要素の必要性を少なくともある程度排除することができるが、そのようなシステムは、本発明の有利なオフセットブレード及びローラ接触点を提供することができないことに留意されたい。さらに、良好なブレード接触を維持することが困難になる可能性がある。
【0127】
本明細書に記載のガイド要素112は、ある程度のコンプライアンスを有する様々な他の遊星ギヤ列又は他のギヤ列での使用に容易に適合させることができ、効率的、費用効果的、及び信頼性の高い方法でシステムから自由度を取り除くことが望ましいことにも留意されたい。
【0128】
軸受及び調整
前述のように、ローラカッタ10は、ハンドル24のストラット62によって画定されたシート68に受け入れられるナット50を含む。同じく前述したように、ナット50は、カッター10の選択された構成要素に対する軸方向圧縮力を増加又は減少させるように、軸に沿って軸方向にシフト可能である(ただし必ずしもねじ係合を介する必要はないことが好ましい)。そのような構成要素の1つは、皿ばね124である。
【0129】
皿ばね124は、好ましくは、本体126と、本体126に外接するリム128とを含む。本体126は、それを貫通する中央開口部130を画定する。本体126は、リム128から開口部130まで延在する、円弧状に配置された半径方向内側に延在する複数のフィンガ132を含む。代替で、フィンガ132は、本体126に画定された半径方向外側に延在するスリット134によって形成されると理解されてもよい。
【0130】
皿ばね124は、前面136及び背面128を呈する。前面136は好ましくは凹形状であり、一方、背面128はそれに対応して凸状である。しかしながら、反転された向きは、より一般的な意味での代替的なばね設計と同様に、本発明のいくつかの態様の範囲内にある。
【0131】
皿ばね124は、リングギヤ82の軸方向後方及びガイド要素112の前方に配置され、軸48は開口部130を貫通している。より具体的には、皿ばね124は、ローラ16の内側リム94によって画定された皿ばね座又は棚140に着座し、内側リム94の半径方向内面142と円周方向に接触する。
【0132】
図9を参照すると、ナット50が軸48上の軸方向後方位置にあるとき、皿ばね124は少なくとも実質的に圧縮されず、前面136の最大凹部に対応する。皿ばね124のリム128と、シート140及びガイドリム94の内面142の両方との間で接触がなされる。皿ばね124のフィンガ132の内側端部の後部とハブ64の前部との間にも接触がなされるが、そのような接触は比較的低い力である。さらに、ローラ16のリム26とハンドル24のリム当接部146との間には、円周方向に延在する軸方向間隙144が存在する。
【0133】
対照的に、
図10に示すように、ナット50が軸48に沿って軸方向前方位置に締め付けられると、皿ばね124は、少なくとも実質的に圧縮され(すなわち、平坦にされ)、前面136の凹部の減少、及びリム128によって内側リム124の内面142及びシート140にそれぞれ付与される外向き及び前方のばね力の増加に対応する。すなわち、皿ばねリム128とガイドリム94の内面142及びシート140の両方との間、及びフィンガ132の内側端部の背面とハブ64との間に接触が継続されるが、このような接触は、ここでは、ナット50がハブ64及びローラ16を互いに向かって引き込むときのばね124の圧縮による比較的高い力に関連する。
【0134】
この構成では、皿ばね124によってローラ16の内側リム94に形状及び回転安定性ならびに付加の分配が提供される。より具体的には、力は、ハブ64からフィンガ132に、フィンガ132から皿ばねのリム128に、及び皿ばね124のリム128からローラ16の内側リム94に均一に広がる。
【0135】
ローラ16に対するハブ64の相対的なシフトの結果として、ローラ16のリム26とハンドル24のリム当接部146との間の先に画定された円周方向に延在する軸方向間隙144が近づき、ローラ16とハンドル24との間に接触が生じることにも留意されたい。したがって、ローラリム26とハンドル24の当接部146との間に摩擦がもたらされる。この摩擦は、十分に高い場合、ブレード18の望ましくない回転を防止する安全機構として機能するのに十分であり得る。すなわち、ナット50は、使用されていないときにブレード18を「ロック」するように締め付けることができる。
【0136】
ブレードを「ロック」する点にではなく上昇する摩擦は、ハンドル、ひいてはブレード18及びローラ16により大きな力を付与するようにユーザに促す抵抗フィードバックをユーザに提供することによって「より重い」切断プロセスに対しても有益であり得る。すなわち、重い材料又は複数の層を切断する前にナット50を締め付けることにより、ユーザに適切に高い力を加えるように誘導することによって、切断の改善を促進することができる。このような有益なフィードバック摩擦は、少なくとも実質的にフィンガ132とハブ64との相互作用のみから生じ得る。代替で、ナット50がさらに締め付けられている場合、そのようなフィードバック摩擦は、フィンガ132とハブ64との界面、及びリム26とリム当接部146との界面の両方から生じ得る。
【0137】
より締まったナット50及びより圧縮された皿ばね124はまた、ローラカッタ10の平面性及び安定性を助け、様々な構成要素が位置合わせされたままで軸外運動を回避するのを支援する。そのような頑丈さは、すべての状況において有益であるが、堅牢性が低く、より脆弱なシステムの位置ずれをもたらす高い力が存在する重切断状況において特に必要である。
【0138】
低い切断力が加えられる特定の状況では、皿ばね124はそれ自体、伝達機構20の過剰な自由度を制限し、したがってリングギヤ82に対するピニオンギヤ84の乗り上げを防止するか、又は少なくとも実質的に制限するのに十分であり得ることに留意されたい。すなわち、これらの状況ではガイド要素112は必要ではない場合がある。しかしながら、皿ばね124は、摩擦を受け、摩擦を発生し(例えば、フィンガ132とハブ64との間で)、その固有の材料特性に基づいて機能するので、状況によっては、ガイド要素112などの機械的要素ほど信頼性又は一貫性がない。例えば、皿ばね124は、経時的に摩耗し、その復元力/弾性及び/又は摩擦発生能力の一部を失う可能性がある。
【0139】
上記を考慮すると、皿ばね124がローラ16に対して軸受支持を提供し、一般にローラ16及びローラカッタ10の平面性を維持するのを支援し、リングギヤ82がピニオンギヤ84に対して乗り上げるのを制限することによって自由度の制限を助け、場合によっては、ユーザによる適切な力の付与を促す抵抗フィードバックを提供することが当業者には明らかであろう。可撓性フィンガ132がハブ64及び他の構成要素の欠陥に対応するためのコンプライアンスを提供して、皿ばね124が焼付を防止するのにも役立つ。
【0140】
広義のローラカッタ10の設計は、ローラカッタ10の他の構成要素の変更を必ずしも必要とせずにブレード18のサイズを変えることができるようなものである。例えば、ローラ16の外側リム26の外径を越えない刃先38の外径をもたらす刃先38の外径の増加は、本質的にローラカッタ10の既存の構成要素のいずれかの変更を必要としない。
【0141】
同様に、ローラ16の外側リム26のサイズは、必ずしもローラカッタ10に対する他の修正を必要とすることなく、ある程度修正することができる。
【0142】
もちろん、他の既存の構成要素(例えば、外側リム及びブレードサイズの両方に対する変更)の機能性に影響を与えることなくいくつかの組み合わせた修正を行うこともできることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0143】
結論
上述した1つ又は複数の実施形態の特徴は、互いに様々な組み合わせで使用されてもよく、及び/又は互いに独立して使用されてもよい。例えば、単一の開示された実施形態は、特徴の好ましい組み合わせを含むことができるが、本明細書が明示的に述べていない限り、又は当業者によって理解され得るように、本実施形態が開示された特徴の1つのみ又は全部よりも少ないものを含むことは、本発明の特定の態様の範囲内である。したがって、本発明の実施形態は、必ずしも上述の特徴の組み合わせ(複数可)に限定されない。
【0144】
上述の本発明の好ましい形態は、例示としてのみ使用されるべきであり、本発明の範囲を解釈する際に限定的な意味で利用されるべきではない。上述したように、例示的な実施形態に対する明白な変更は、本発明の精神から逸脱することなく、当業者によって容易に行うことができる。
【0145】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態の特徴を提示しているが、本発明の原理を踏まえて他の好ましい実施形態も作成され得る。さらに、前述したように、これらの他の好ましい実施形態は、場合によっては、上記の説明において別個の実施形態の一部として独立して提示されているにもかかわらず、一緒に使用するのに適合する特徴の組み合わせによって実現されてもよい。
【0146】
本発明者らは、以下の特許請求の範囲に記載されている本発明の文字通りの範囲から実質的に逸脱していないが、その範囲外にある任意の装置に関連して、本発明の合理的に公平な範囲を決定し、それにアクセスするために均等論に依拠する意図を、本明細書によって述べる。
【外国語明細書】