(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014862
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】予測された手術部位状態に基づいた手術デバイス設定の調整
(51)【国際特許分類】
A61B 18/04 20060101AFI20240125BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61B18/04
A61B18/20
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120012
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】63/369,098
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】クリステン・アール・トゥータン
【テーマコード(参考)】
4C026
4C160
【Fターム(参考)】
4C026DD02
4C026DD03
4C026DD06
4C026FF17
4C026GG07
4C026HH02
4C026HH07
4C026HH13
4C026HH15
4C026HH24
4C160EE15
4C160JJ17
4C160KK64
(57)【要約】
【課題】予測された手術部位状態に基づいた手術デバイス設定の調整を提供すること。
【解決手段】内視鏡処置中の手術部位温度の自動制御のためのシステムおよび方法が開示される。例示的な内視鏡手術システムは、手術部位における解剖学的標的にエネルギーを送出するために、医療機器に制御可能に連結される内視鏡手術デバイスと、処置中の様々な時間において手術部位における温度を測定するための温度センサと、温度測定値を使用して手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成する制御器回路と、を備える。手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、制御器回路は、処置中に手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整し、またはレーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減し得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡手術システムであって、
処置中に手術部位における解剖学的標的にエネルギーを送出するために、医療機器に制御可能に連結される内視鏡手術デバイスと、
前記処置中の様々な時間において、前記手術部位の近傍の温度を測定するための温度センサと、
制御器回路であって、
前記様々な時間における温度測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成し、
前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、前記処置中に前記手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、前記内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整する、
ように構成される制御器回路と、
を備える、内視鏡手術システム。
【請求項2】
前記医療機器が、前記内視鏡手術システムが前記調整された少なくとも1つの動作パラメータに従って動作するときに前記手術部位における結石標的にレーザエネルギーを送出するための少なくとも1つのレーザシステムを備える、請求項1に記載の内視鏡手術システム。
【請求項3】
前記制御器回路が、
前記生成された温度傾向を使用して、前記手術部位における温度変化速度を決定し、
前記決定された温度変化速度が所定の閾値を超えたことに応答して、前記少なくとも1つの動作パラメータを調整する、
ように更に構成される、請求項1または2に記載の内視鏡手術システム。
【請求項4】
前記制御器回路が、
前記様々な時間における前記温度測定値を使用して、トレーニングされた予測モデルを生成し、
前記トレーニングされた予測モデルを更に使用して、前記手術部位における前記将来の温度の予測を生成し、
温度閾値を超える前記将来の温度の予測に応答して、前記少なくとも1つの動作パラメータを調整する、
ように更に構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡手術システム。
【請求項5】
前記制御器回路が、
前記様々な時間における前記温度測定値を使用して、前記手術部位における安全動作温度限界に達するために要する時間の推定値を表す安全動作時間ウィンドウを推定し、
前記推定された安全動作時間ウィンドウが時間閾値を下回ったことに応答して、前記少なくとも1つの動作パラメータを調整する、
ように更に構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡手術システム。
【請求項6】
調整される前記少なくとも1つの動作パラメータが、前記少なくとも1つのレーザシステムのレーザ出力設定を含み、
前記制御器回路が、前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも第1の所定のパルスプロファイルおよび第2の所定のパルスプロファイル間を切り替えるように更に構成され、前記第2の所定のパルスプロファイルが、前記第1の所定のパルスプロファイルよりも低い平均出力を有する、請求項2に記載の内視鏡手術システム。
【請求項7】
前記レーザ出力設定を調整するために、前記制御器回路が、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す前記生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える前記将来の温度の予測に応答して、前記手術部位に送出されるレーザパルスの平均出力を下げるように更に構成される、請求項6に記載の内視鏡手術システム。
【請求項8】
レーザパルスの前記平均出力を下げることが、
レーザパルスのパルス幅と、
レーザパルスのピーク出力と、
単位時間当たりのレーザパルスの数を表すパルス周波数と、
のうちの少なくとも1つを下げること含む、請求項7に記載の内視鏡手術システム。
【請求項9】
前記内視鏡手術システムが、灌注液を前記手術部位に供給し、前記手術部位から流体を吸引するように構成される灌注および/または吸引システムを備え、
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するために、前記制御器回路が、前記灌注および/または吸引システムを介して、前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、灌注流または吸引流の少なくとも一方を調整するように更に構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の内視鏡手術システム。
【請求項10】
前記制御器回路が、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す前記生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える前記将来の温度の予測に応答して、前記灌注流または前記吸引流の少なくとも一方を増加するように構成される、請求項9に記載の内視鏡手術システム。
【請求項11】
前記内視鏡手術システムが、前記処置中に前記手術部位における圧力を感知するように構成される圧力センサを更に備え、
前記制御器回路が、
前記感知された圧力が上限圧力を超えたときに、前記吸引流を増加するか、または前記灌注流を低減することと、
前記感知された圧力が前記上限圧力および下限圧力によって規定される範囲内にあるときに、前記灌注流または前記吸引流の一方または両方を増加することと、
前記感知された圧力が前記下限圧力を下回ったときに、前記灌注流を増加するか、または前記吸引流を低減することと、
を含んで、前記灌注および/または吸引システムを介して前記灌注流または前記吸引流を選択的に増加するように更に構成される、請求項9に記載の内視鏡手術システム。
【請求項12】
前記内視鏡手術システムが、前記灌注液の温度を変更するように構成される灌注処理ユニットを備え、
前記制御器回路が、前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、前記手術部位に到達する前に前記灌注液の温度を調整するために前記灌注処理ユニットへの制御信号を生成するように更に構成される、請求項9に記載の内視鏡手術システム。
【請求項13】
前記灌注処理ユニットが、前記制御器回路の制御下で、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す前記生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える前記予測された将来の温度に応答して、前記手術部位に到達する前に前記灌注液を冷却するように構成される冷却システムを含む、請求項12に記載の内視鏡手術システム。
【請求項14】
前記灌注処理ユニットが、前記制御器回路の制御下で、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す前記生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える前記予測された将来の温度に応答して、前記手術部位に到達する前に、異なる温度の少なくとも2つの灌注液源を混合するように構成される流体混合器を含む、請求項12に記載の内視鏡手術システム。
【請求項15】
前記内視鏡手術デバイスが、調整可能な遠位部分を有する光路を含み、前記光路が、前記レーザエネルギーを前記解剖学的標的に向けるように構成され、
前記制御器回路が、前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的に対する前記光路の前記遠位部分の位置または方向を調整するために、前記光路に連結されたアクチュエータへの制御信号を生成するように更に構成される、請求項2に記載の内視鏡手術システム。
【請求項16】
前記内視鏡手術システムに関連する前記少なくとも1つの動作パラメータが、
前記手術部位に適用される前の灌注液の温度、
灌注流量、
吸引流量、または
レーザシステムのレーザ出力設定、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の内視鏡手術システム。
【請求項17】
前記制御器回路が、前記手術部位における、前記生成された温度傾向、前記将来の温度の予測、または圧力のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータのうちの1つにバイアスして前記調整を実施するように更に構成される、請求項16に記載の内視鏡手術システム。
【請求項18】
前記制御器回路が、
前記手術部位における前記圧力が最大許容圧力を実質的に下回ったと決定すると、前記レーザ出力設定を調整する前に前記灌注流量または前記吸引流量の少なくとも一方を調整し、
前記手術部位における前記圧力が最大許容圧力に実質的に近いと決定すると、前記灌注流量または前記吸引流量を調整する前に前記レーザ出力設定を調整する、
ように更に構成される、請求項17に記載の内視鏡手術システム。
【請求項19】
内視鏡手術システムを使用して、内視鏡処置中に患者の手術部位の温度を制御するための方法であって、前記方法が、
医療機器によって生成されたエネルギーを前記手術部位における解剖学的標的に向けるステップと、
前記処置中の様々な時間において、前記手術部位の近傍の温度を測定するステップと、
前記様々な時間における温度測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成するステップと、
前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、前記処置中に前記手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、前記内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記方法が、前記生成された温度傾向を使用して前記手術部位における温度変化速度を決定するステップを含み、
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、前記決定された温度変化速度が温度変化速度の所定の閾値を超えたことに応答する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、前記様々な時間における前記温度測定値を使用して、トレーニングされた予測モデルを生成するステップを含み、
前記手術部位における前記将来の温度の予測を生成するステップが、前記トレーニングされた予測モデルを使用することによってなされ、
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、所定の温度閾値を超える前記将来の温度の予測に応答する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記様々な時間における前記温度測定値を使用して、安全動作時間ウィンドウを推定するステップであって、前記安全動作時間ウィンドウが、前記手術部位における安全動作温度限界に達するために要する時間の推定値を表す、ステップを含み、
前記動作パラメータを調整するステップが、前記推定された安全動作時間ウィンドウが時間閾値を下回ったことに応答する、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、少なくとも1つのレーザシステムを介して、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す前記生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える前記将来の温度の予測に応答して、前記手術部位に送出されるレーザパルスの平均出力を下げるステップを含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、灌注および/または吸引システムを介して、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す前記生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える前記将来の温度の予測に応答して、前記手術部位への灌注液の灌注流、または前記手術部位からの流体の吸引流のうちの少なくとも一方を増加するステップを含む、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、圧力センサを使用して前記処置中に前記手術部位における圧力を感知するステップを更に含み、
前記灌注流または前記吸引流の少なくとも一方を調整するステップが、
前記感知された圧力が上限圧力を超えたときに、前記吸引流を増加するか、または前記灌注流を低減するステップと、
前記感知された圧力が前記上限圧力および下限圧力によって規定される範囲内にあるときに、前記灌注流または前記吸引流の一方または両方を増加するステップと、
前記感知された圧力が前記下限圧力を下回ったときに、前記灌注流を増加するか、または前記吸引流を低減するステップと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、灌注および/または吸引システムに連結された灌注処理ユニットを介して、前記手術部位における前記生成された温度傾向または前記将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、前記手術部位に流入する前に灌注液の温度を調整するステップを含む、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、前記手術部位における前記解剖学的標的に対する光路の遠位部分の位置または方向を調整するステップと、前記光路を介して前記解剖学的標的に前記エネルギーを向けるステップと、を含む、請求項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月22日に出願された米国仮特許出願第63/369,098号の優先権の利益を主張し、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、内視鏡手術システムに関し、より具体的には、予測された手術部位状態に基づいて内視鏡手術システムの1つまたは複数の設定を調整するための手法に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡は、医師に視覚的アクセスをもたらすように、患者の内部位置にアクセスするために通常使用される。一部の内視鏡は、患者の身体から望ましくない組織または異物を除去するための低侵襲手術において使用される。例えば、腎鏡は、腎臓系を検査し、直接視覚制御下で様々な処置を実施するために臨床医によって使用される。経皮的腎砕石術(PCNL)処置では、腎鏡が患者の側腹部を通して腎盂内に配置される。例えば、泌尿器系、胆嚢、鼻腔、消化管、胃、または扁桃腺を含む身体の様々な領域からの結石または塊を視覚化および抽出してもよい。
【0004】
レーザまたはプラズマシステムなどの様々な医療機器が、軟組織または硬組織などの様々な標的治療領域に外科用レーザエネルギーを送出するために使用されてきた。レーザ治療の例としては、アブレーション、凝固、気化、断片化などが挙げられる。砕石用途では、レーザを使用して、他の結石形成領域の中でも腎臓、胆嚢、尿管の結石構造を破壊したり、大きい結石を小さい断片にアブレーションしたりしている。結石断片は、内視鏡の作業チャネル(例えば、尿管鏡)を介して除去されてもよく、または処置後に患者によって自然に排出されてもよい。
【0005】
熱の蓄積は、特に、特定のサイズ、形状、硬度、または組成の結石標的をアブレーションまたは断片化するためのレーザ砕石など、比較的高強度のレーザ出力が治療に使用される場合に、解剖学的または砕石標的のレーザ照射の潜在的に危険な影響である。手術部位またはその付近における過度な熱の蓄積は、非標的組織または器官の熱損傷を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
効果的な手術部位の温度制御は、レーザ砕石または超音波砕石処置などの医療処置中の熱の蓄積によって引き起こされる組織の熱損傷を防止するために役立ち得る。従来、温度は、手術部位から感知され、処置中にユーザ(例えば、医師)に表示される。ユーザは、医療機器の設定(例えば、レーザ出力強度)を手動で変更したり、手術部位温度が安全限界以上になった場合に、医療機器を一時的にオフにしたりすることがある。このような手動の温度調整では、手術部位の温度制御を正確に実施できない場合がある。更に、医療機器の設定(例えば、レーザ出力強度)の調整は、手術部位において、適切で迅速な温度軽減を達成しない可能性がある。例えば、場合によっては、レーザ出力強度の低下、またはレーザ出力の遮断は、治療効率を下げる、かつ/または処置時間を長くする場合がある。本明細書における医療機器はレーザシステムを指すが、標的の治療または診断を実施するために内視鏡に連結または実装され得る超音波システムなどの任意の適切な医療器具も、本発明の範囲内であることに留意されたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、手術部位またはその付近における温度傾向または将来の温度の予測など、予測された手術部位状態に基づいて1つまたは複数のデバイス設定を自動的に調整することによって手術部位温度制御を改善するためのシステム、デバイス、および方法を記載する。一実施形態によれば、例示的な内視鏡手術システムは、医療機器(例えば、レーザシステム)に制御可能に連結され、処置中に手術部位の解剖学的標的にエネルギー(例えば、レーザエネルギー)を送出するように構成される内視鏡手術デバイスと、処置中の様々な時間において、手術部位の温度を測定するように構成される温度センサと、様々な時間における温度測定値を使用して、手術部位の近傍の温度傾向または将来の温度の予測を生成するための制御器回路と、を備える。手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、制御器回路は、処置中に手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整し得る。本明細書では、「実質的に」という用語は、±10%、いくつかの実施形態では±5%を意味する。本明細書に記載する手術部位温度制御手法は、有利には、組織部位に送出される過剰なエネルギー(例えば、レーザエネルギー)によって引き起こされる組織の熱損傷を防止するか、またはその重症度を低減し得る。様々な温度制御手段は、手術部位状態に従って手術部位温度の更なる汎用的な制御を可能にする。代替的な温度制御手段(例えば、流体の灌注または吸引、および灌注処理)は、内視鏡処置(例えば、レーザまたは超音波砕石処置)でのエネルギー出力の中断または実質的な低下を回避するために役立ち得る。したがって、正確で迅速な温度制御、ならびにレーザ治療の有効性および組織の安全性の改善が、達成され得る。
【0008】
実施例1は、内視鏡手術システムであって、処置中に手術部位における解剖学的標的にエネルギーを送出するために、医療機器に制御可能に連結される内視鏡手術デバイスと、処置中の様々な時間において、手術部位近傍の温度を測定するための温度センサと、様々な時間における温度測定値に少なくとも部分的に基づいて、手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成し、手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、処置中に手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整するように構成される制御器回路と、を備える、内視鏡手術システムである。
【0009】
実施例2において、実施例1の主題は、医療機器が、内視鏡手術システムが調整された少なくとも1つの動作パラメータに従って動作するときに手術部位における結石標的にレーザエネルギーを送出するための少なくとも1つのレーザシステムを備える、ことを任意選択的に含む。
【0010】
実施例3において、実施例1~2のいずれか1つまたは複数の主題は、制御器回路が、生成された温度傾向を使用して、手術部位における温度変化速度を決定し、決定された温度変化速度が温度変化速度の所定の閾値を超えたことに応答して、少なくとも1つの動作パラメータを調整するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0011】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つまたは複数の主題は、制御器回路が、様々な時間における温度測定値を使用して、トレーニングされた予測モデルを生成し、トレーニングされた予測モデルを更に使用して、手術部位における将来の温度の予測を生成し、温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、少なくとも1つの動作パラメータを調整するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0012】
実施例5において、実施例1~4のいずれか1つまたは複数の主題は、制御器回路が、様々な時間における温度測定値を使用して、手術部位における安全動作温度限界に達するために要する時間の推定値を表す安全動作時間ウィンドウを推定し、推定された安全動作時間ウィンドウが時間閾値を下回ったことに応答して、少なくとも1つの動作パラメータを調整するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0013】
実施例6において、実施例2の主題は、調整される少なくとも1つの動作パラメータが、少なくとも1つのレーザシステムのレーザ出力設定を含む、ことを任意選択的に含む。
【0014】
実施例7において、実施例6の主題は、レーザ出力設定を調整するために、制御器回路が、手術部位において生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも第1の所定のパルスプロファイルおよび第2の所定のパルスプロファイル間を切り替えるように更に構成され、第2の所定のパルスプロファイルが、第1の所定のパルスプロファイルよりも低い平均出力を有する、ことを任意選択的に含む。
【0015】
実施例8において、実施例6~7のいずれか1つまたは複数の主題は、レーザ出力設定を調整するために、制御器回路が、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、手術部位に送出されるレーザパルスの平均出力を下げるように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0016】
実施例9において、実施例8の主題は、レーザパルスの平均出力を下げることが、レーザパルスのパルス幅と、レーザパルスのピーク出力と、単位時間当たりのレーザパルスの数を表すパルス周波数と、のうちの少なくとも1つを下げること含む、ことを任意選択的に含む。
【0017】
実施例10において、実施例1~9のいずれか1つまたは複数の主題は、灌注液を手術部位に供給し、手術部位から流体を吸引するように構成される灌注および/または吸引システムを、任意選択的に含む。
【0018】
実施例11において、実施例10の主題は、少なくとも1つの動作パラメータを調整するために、制御器回路が、灌注および/または吸引システムを介して、手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、灌注流または吸引流の少なくとも一方を調整するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0019】
実施例12において、実施例11の主題は、制御器回路が、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、灌注流または吸引流の少なくとも一方を増加するように構成される、ことを任意選択的に含む。
【0020】
実施例13において、実施例11~12のいずれか1つまたは複数の主題は、処置中に手術部位における圧力を感知するように構成される圧力センサを含み、制御器回路は、感知された圧力が上限圧力を超えたときに、吸引流を増加するか、または灌注流を低減することと、感知された圧力が上限圧力および下限圧力によって規定される範囲内にあるときに、灌注流または吸引流の一方または両方を増加することと、感知された圧力が下限圧力を下回ったときに、灌注流を増加するか、または吸引流を低減することと、を含んで、灌注および/または吸引システムを介して灌注流または吸引流を選択的に増加するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0021】
実施例14において、実施例10~13のいずれか1つまたは複数の主題は、灌注液の温度を変更するように構成される灌注処理ユニットを含み、制御器回路は、手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、手術部位に到達する前に灌注液の温度を調整するために灌注処理ユニットへの制御信号を生成するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0022】
実施例15において、実施例14の主題は、灌注処理ユニットが、制御器回路の制御下で、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える予測された将来の温度に応答して、手術部位に到達する前に灌注液を冷却するように構成される冷却システムを含む、ことを任意選択的に含む。
【0023】
実施例16において、実施例14~15のいずれか1つまたは複数の主題は、灌注処理ユニットが、制御器回路の制御下で、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える予測された将来の温度に応答して、手術部位に到達する前に、異なる温度の少なくとも2つの灌注液源を混合するように構成される流体混合器を含む、ことを任意選択的に含む。
【0024】
実施例17において、実施例2および実施例6~9のいずれか1つまたは複数の主題は、内視鏡手術デバイスが、調整可能な遠位部分を有する光路を含み、光路が、レーザエネルギーを解剖学的標的に向けるように構成され、制御器回路が、手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、解剖学的標的に対する光路の遠位部分の位置または方向を調整するために、光路に連結されたアクチュエータへの制御信号を生成するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0025】
実施例18において、実施例1~17のいずれか1つまたは複数の主題は、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータが、手術部位に適用される前の灌注液の温度、灌注流量、吸引流量、またはレーザシステムのレーザ出力設定のうちの少なくとも1つを含む、ことを任意選択的に含む。
【0026】
実施例19において、実施例18の主題は、制御器回路が、手術部位における、生成された温度傾向、将来の温度の予測、または圧力のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータのうちの1つにバイアスして調整を実施するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0027】
実施例20において、実施例19の主題は、制御器回路が、手術部位における圧力が最大許容圧力を実質的に下回ったと決定すると、レーザ出力設定を調整する前に灌注流量または吸引流量の少なくとも一方を調整するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0028】
実施例21において、実施例19~20のいずれか1つまたは複数の主題は、制御器回路が、手術部位における圧力が最大許容圧力に実質的に近いと決定すると、灌注流量または吸引流量を調整する前にレーザ出力設定を調整するように更に構成される、ことを任意選択的に含む。
【0029】
実施例22において、実施例1~21のいずれか1つまたは複数の主題は、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、手術部位温度上昇の警告を生成するように構成されるユーザインターフェースデバイスを任意選択的に含む。
【0030】
実施例23において、実施例22の主題は、ユーザインターフェースデバイスが、少なくとも1つの動作パラメータの推奨する調整を生成し、推奨する調整を確認、拒否、または修正するためのユーザ入力を受信するように構成される、ことを任意選択的に含む。
【0031】
実施例24は、内視鏡手術システムを使用して、内視鏡処置中に患者の手術部位の温度を制御するための方法であり、本方法は、医療機器によって生成されたエネルギーを手術部位における解剖学的標的に向けるステップと、処置中の様々な時間において、手術部位の近傍の温度を測定するステップと、様々な時間における温度測定値に少なくとも部分的に基づいて、手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成するステップと、手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、処置中に手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップと、を含む。
【0032】
実施例25において、実施例24の主題は、生成された温度傾向を使用して手術部位における温度変化速度を決定するステップを含み、少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップは、決定された温度変化速度が温度変化速度の所定の閾値を超えたことに応答する、ことを任意選択的に含む。
【0033】
実施例26において、実施例24~25のいずれか1つまたは複数の主題は、様々な時間における温度測定値を使用して、トレーニングされた予測モデルを生成するステップを含み、手術部位における将来の温度の予測を生成するステップが、トレーニングされた予測モデルを使用することによってなされ、少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、所定の温度閾値を超える将来の温度の予測に応答する、ことを任意選択的に含む。
【0034】
実施例27において、実施例24~26のいずれか1つまたは複数の主題は、様々な時間における温度測定値を使用して、安全動作時間ウィンドウを推定するステップであって、安全動作時間ウィンドウが、手術部位における安全動作温度限界に達するために要する時間の推定値を表す、ステップを含み、動作パラメータを調整するステップは、推定された安全動作時間ウィンドウが時間閾値を下回ったことに応答する、ことを任意選択的に含む。
【0035】
実施例28において、実施例24~27のいずれか1つまたは複数の主題は、少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、少なくとも1つのレーザシステムを介して、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、手術部位に送出されるレーザパルスの平均出力を下げるステップを含む、ことを任意選択的に含む。
【0036】
実施例29において、実施例24~28のいずれか1つまたは複数の主題は、少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、灌注および/または吸引システムを介して、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、手術部位への灌注液の灌注流、または手術部位からの流体の吸引流のうちの少なくとも一方を増加するステップを含む、ことを任意選択的に含む。
【0037】
実施例30において、実施例29の主題は、圧力センサを使用して処置中に手術部位における圧力を感知するステップを含み、灌注流または吸引流の少なくとも一方を調整するステップは、感知された圧力が上限圧力を超えたときに、吸引流を増加するか、または灌注流を低減するステップと、感知された圧力が上限圧力および下限圧力によって規定される範囲内にあるときに、灌注流または吸引流の一方または両方を増加するステップと、感知された圧力が下限圧力を下回ったときに、灌注流を増加するか、または吸引流を低減するステップと、を任意選択的に含む。
【0038】
実施例31において、実施例24~30のいずれか1つまたは複数の主題は、少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、灌注および/または吸引システムに連結された灌注処理ユニットを介して、手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、手術部位に流入する前に灌注液の温度を調整するステップを含む、ことを任意選択的に含む。
【0039】
実施例32において、実施例24~31のいずれか1つまたは複数の主題は、少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップが、手術部位における解剖学的標的に対する光路の遠位部分の位置または方向を調整するステップと、光路を介して解剖学的標的にエネルギーを向けるステップと、を含む、ことを任意選択的に含む。
【0040】
実施例33において、実施例24~32のいずれか1つまたは複数の主題は、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータが、手術部位に適用される前の灌注液の温度、灌注流量、吸引流量、またはレーザシステムのレーザ出力設定のうちの少なくとも1つを含む、ことを任意選択的に含む。
【0041】
実施例34において、実施例24~33のいずれか1つまたは複数の主題は、ユーザインターフェース上に、(i)速度閾値を超える速度における温度上昇を示す生成された温度傾向、または(ii)温度閾値を超える将来の温度の予測に応答して、手術部位温度上昇の警告を生成するステップと、少なくとも1つの動作パラメータの推奨する調整を生成するステップと、推奨する調整を確認、拒否、または修正するためのユーザ入力を受信するステップと、を任意選択的に含む。
【0042】
本概要は、本出願の教示の一部の概略であり、本主題の排他的または網羅的な処理であることを意図しない。本主題に関する更なる詳細は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲で見出される。本開示の他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を形成する図面を見ると、当業者には明らかであり、その各々は限定的な意味で解釈されるべきではない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって定義される。
【0043】
様々な実施形態が、例として添付の図面の図に示されている。そのような実施形態は例示的であり、本主題の網羅的または排他的な実施形態であることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】手術部位またはその付近の解剖学的標的にレーザ治療を実施するように構成されるレーザエネルギー送出システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】自動手術部位状態制御を伴う内視鏡手術システム、およびそのシステムが動作し得る環境の少なくとも一部を示すブロック図である。
【
図3】自動手術部位状態制御を伴う内視鏡レーザ砕石システムの一例を示す図である。
【
図4】温度傾向およびその傾向を使用した将来の温度の予測の一例を示す図である。
【
図5】解剖学的標的を治療するための内視鏡処置中に手術部位温度を制御する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図6A】手術部位温度、手術部位圧力などの手術部位状態に基づいて温度管理計画を生成する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6B】手術部位温度を制御するための優先手段を有する温度管理計画を生成する例を示すフローチャートである。
【
図7】本明細書に記載する技術(例えば、方法論)のうちのいずれか1つまたは複数が実施され得る例示的な機械を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
内視鏡処置は、特定の診断または治療効果を達成するために、内臓を見て操作し、かつ/または標的身体領域にエネルギー(例えば、レーザエネルギーまたは超音波エネルギー)を送出する医療処置である。例えば、レーザ内視鏡は、軟組織および硬組織の治療(例えば、癌細胞の損傷または破壊)、または砕石用途に使用されてきた。処置中、施術者は、患者の尿管の切開部を通して、患者の腎臓にスコープを挿入し得る。スコープを通して、施術者は、腎臓または上部尿管の特定の結石の位置を特定し、比較的高出力の赤外線レーザビームをスコープを通して結石に照射することによって、結石を小さい断片に破壊し得る。レーザビームは、結石を小さい断片にアブレーションしてもよい。次いで、結石断片を腎臓から取り出し得る。スコープは、内視鏡、腎鏡、および/または膀胱鏡を含み得る。
【0046】
手術部位の環境に送出されるレーザエネルギー、および解剖学的標的のレーザ治療(例えば、結石標的のアブレーションおよび断片化)は、特に、特定のサイズ、硬度、または組成の結石標的をアブレーションまたは断片化するために、比較的高い強度のレーザ出力が使用される場合に、手術部位またはその付近で熱の蓄積を引き起こす可能性がある。組織の熱損傷などの危険な影響を防止するために、体内または手術部位の温度は、処置中に監視され、安全な温度範囲内に確実に維持され得る。従来の手術部位の温度制御は、リアルタイムに温度を監視することを含む。温度読取り値が安全限界(例えば、予め設定された閾値)以上の場合、ユーザ(例えば、医師)は、レーザ出力強度を下げるか、またはレーザ出力を一時的に無効にし得る。このような手動の温度調整にはいくつかの制限がある。第1に、特に、処置中に高レーザ出力が使用されるとき、手術部位温度は急速に上昇する可能性があるため、温度読取り値が安全限界以上のときにレーザ出力を低減または遮断することは、レーザによって誘発される組織の熱損傷を防止するには遅すぎる可能性がある。第2に、アブレーションまたは断片化効率を損なうことなく組織損傷を防止するために、レーザ出力調整のタイミングが重要である。レーザ出力の手動調整は、手術医に負担をかけるだけでなく、特に経験の浅い医師にとって、精度および予測可能性が不足している可能性がある。第3に、レーザ出力を低減または遮断することは、特定の手術部位または組織解剖学において適切で迅速な温度軽減をもたらさない可能性がある。場合によっては、アブレーション効率を損なうことなくレーザ出力を遮断または大幅に低減することは実現不可能である。少なくとも上記の理由から、本発明者らは、レーザ砕石または超音波砕石処置などの処置中に、手術部位における熱の蓄積を防止するために、自動で効果的な温度制御のためのデバイスおよび方法の満たされていない要求を認識した。
【0047】
本明細書は、手術部位またはその付近における将来の温度の予測などの予測された条件に基づいて、手術デバイス設定を自動制御するためのシステム、デバイス、および方法を記載する。一実施形態によれば、例示的な内視鏡手術システムは、医療機器(例えば、レーザシステム)に制御可能に連結され、処置中に手術部位における解剖学的標的にエネルギー(例えば、レーザエネルギー)を送出するように構成される内視鏡手術デバイスと、処置中の様々な時間において、手術部位の近傍の温度を測定する温度センサと、様々な時間における測定された温度を使用して、手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成するための制御器回路と、を備える。手術部位における生成された温度傾向または将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、制御器回路は、処置中に手術部位における所望の温度を実質的に(例えば、±10%、またはいくつかの実施形態では、±5%)達成または維持するために、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整し得る。この手法は、有利には、組織部位に送出される過剰なエネルギー(例えば、レーザエネルギー)によって引き起こされる組織の熱損傷を防止またはその重症度を低減し得る。
【0048】
本明細書に記載する様々な実施形態によるシステム、デバイス、および方法は、レーザ内視鏡処置中のリアルタイム手術部位温度制御を改善する。本明細書に記載の特徴は、内視鏡、レーザ手術、レーザ砕石または超音波砕石、照射パラメータ設定、および/または分光法に関して更に使用され得る。標的および用途の例としては、腎結石のレーザ砕石または超音波砕石、および軟組織のレーザ切開または気化が挙げられ得る。本明細書に記載の特徴を組み込む内視鏡システムの一例では、手術部位温度が監視されて傾向付けられ、その温度傾向に基づいて将来の温度が予測され得る。温度測定値の従来の表示と比較して、将来の温度の予測は、温度が危険なレベルに上昇する前に早期に効果的な予防措置をとることを容易にすることができ、それによって組織の熱損傷を防止し、患者の安全性を改善する。
【0049】
本明細書は、温度を危険なレベル未満または所望の安全範囲内に維持するなど、手術部位温度を調節するための様々な温度制御手段を記載する。一例では、レーザ出力強度または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータ(例えば、出力、持続時間、周波数もしくはパルス形状、露光時間、または照射角度などの1つまたは複数のレーザパルスパラメータ)を調整し得る。追加的または代替的に、手術部位への灌注流入および/または手術部位からの流出(吸引)は、手術部位温度を制御下に置くように調整され得る。いくつかの実施形態では、手術部位の温度を迅速に効果的に下げるために、灌注液を、手術部位に流入する前に処置(例えば、冷却)してもよい。そのような温度制御手段の1つまたは複数は、手術部位状態に基づいて最適化され得る。例えば、手術部位またはその付近における組織圧力に基づいて、灌注または吸引流を調整して、温度制御効果をもたらしながら、手術部位またはその付近における所望の環境圧力を達成または維持してもよい。いくつかの例では、複数の温度制御手段(例えば、レーザ出力または照射パラメータを調整すること、灌注または吸引流を調整すること、または灌注処理を実施すること)を組み合わせおよび/または優先順位付けして、手術部位状態に基づいて段階的な温度制御戦略を確立してもよい。レーザ出力の制御に焦点を合わせた従来の手法と比較して、本明細書に記載するような様々な温度制御手段および段階的な温度制御戦略は、有利には、手術部位状態に従って手術部位温度の汎用的な制御を可能にする。灌注または吸引流などの代替的な温度制御手段および灌注処理を使用することは、レーザ治療の有効性が著しく損なわれないように、レーザ砕石処置中のレーザエネルギー出力の中断または実質的な低下の回避に役立ち得る。その結果、正確で高速な温度制御、ならびに改善されたレーザ治療の有効性および組織の安全性が達成され得る。
【0050】
図1は、解剖学的構造(例えば、軟組織、硬組織、または癌性組織などの異常組織)または結石構造(例えば、腎臓または膵胆管または胆嚢結石)など、対象者の体内の手術部位122またはその付近における解剖学的標的にレーザ治療を実施するように構成されるレーザエネルギー送出システム100の一例を示すブロック図である。いくつかの例では、レーザエネルギー送出システム100は、組織または他の解剖学的構造の正確に制御された治療的処置(例えば、組織アブレーション、凝固、気化など)、または非解剖学的構造の処置(例えば、結石構造のアブレーションまたは細分化)を実施してもよい。
【0051】
レーザエネルギー送出システム100は、フィードバック制御システム101と、フィードバック制御システム101と動作可能に通信する少なくとも1つのレーザシステム102と、を含み得る。限定ではなく例として、
図1は、第1のレーザシステム102に接続され、任意選択的に(点線で示す)第2のレーザシステム104に接続されるレーザフィードバックシステムを示している。更なるレーザシステムが、本開示の範囲内で考えられる。第1のレーザシステム102は、第1のレーザ源106と、電源、ディスプレイ、冷却システムなどの関連構成要素と、を含み得る。第1のレーザシステム102はまた、第1のレーザ源106と動作可能に連結される第1の光路108を含み得る。一例では、第1の光路108は光ファイバを含む。第1の光路108は、第1のレーザ源106からのレーザビームを手術部位122またはその付近における標的構造に伝送するように構成され得る。
【0052】
フィードバック制御システム101は、標的からフィードバック信号130を受信し得る。治療効果を改善するために、かつ手術部位またはその付近における所望の温度などの所望の状態を達成または維持して、レーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減するために、様々なフィードバック信号を使用して、レーザ送出、レーザエネルギー出力、および/または他のシステムパラメータを制御し得る。一例では、フィードバック信号130は、処置中の手術部位またはその付近における温度または圧力など、手術部位状態を示す信号を含んでもよい。一例では、フィードバック信号130は、媒体(例えば、液体および蒸気)を通して伝搬し、標的に照射し、標的を振動させるレーザパルスによって生成された音響信号を含んでもよい。別の例では、フィードバック信号130は、反射電磁信号(例えば、光源から放射された反射照明光)を含んでもよい。更に別の例では、フィードバック信号130は反射レーザ信号を含んでもよい。フィードバック制御システム101は、フィードバック信号130を分析し、フィードバック信号130から信号特性を生成し、信号特性に従って、レーザ出力(例えば、エネルギー強度、あるいは出力、持続時間、周波数もしくはパルス形状、露光時間、または照射角度などの他のレーザ照射パラメータ)または他のシステムパラメータを制御し得る。フィードバック信号130が処置中の温度など手術部位状態を示す例では、フィードバック制御システム101は、フィードバック信号130を使用して、手術部位における温度傾向または将来の温度の予測を生成してもよい。温度傾向または将来の温度の予測に基づいて、フィードバック制御システム101は、処置中の所望の手術部位温度など所望の手術部位状態を達成または維持し、レーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減するために、レーザ出力もしくはレーザ送出、および/または他のシステムパラメータを調整し得る。
【0053】
図1に示すように、フィードバック信号130の分析に基づいて、フィードバック制御システム101は、所望の治療効果を達成し、手術部位またはその付近における所望の温度など所望の状態を達成または維持して、レーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減するために、第1のレーザシステム102および/または第2のレーザシステム104を制御して、適切なレーザ出力を生成し得る。例えば、フィードバック制御システム101は、治療処置(例えば、腎臓結石などの結石を小さい断片にアブレーションすること)中に標的構造の特性を監視して、組織が別の治療処置(例えば、血管の凝固)の前に適切にアブレーションされたか否かを決定してもよい。
【0054】
一例では、第1のレーザ源106は、第1の出力110を提供するように構成されてもよい。第1の出力110は、手術部位122における標的構造の吸収スペクトルの一部に対応するものなど第1の波長範囲にわたって広がり得る。第1の出力110が、組織の吸収スペクトルに対応する波長範囲にわたるので、第1の出力110は、標的構造の効果的なアブレーションおよび/または炭酸化をもたらし得る。
【0055】
一例では、第1の波長範囲で放射される第1の出力110が、組織による入射する第1の出力110の高吸収(例えば、約250cm-1を超える)に対応するように、第1のレーザ源106は構成されてもよい。例示的な態様では、第1のレーザ源106は、約1900ナノメートル(nm)~約3000nm(例えば、水による高い吸収に相当する)の間、および/または約400nm~約520nm(例えば、酸素化ヘモグロビンおよび/または脱酸素化ヘモグロビンによる高い吸収に相当する)の間の第1の出力110を放射してもよい。明らかに、組織との光相互作用には、吸収および散乱という2つの主な機構がある。組織の吸収が高いとき(250cm-1を超える吸収係数)、第1の吸収機構が支配的であり、吸収が低いとき(250cm-1未満の吸収係数)、例えば800nm~1100nmの波長範囲のレーザでは、散乱機構が支配的である。
【0056】
様々な市販の医療用のレーザシステムが、第1のレーザ源106に適している場合がある。例えば、約515nm~約520nmまたは約370nm~約493nmの第1の波長範囲の第1の出力110を提供するInXGa1-XN半導体レーザなどの半導体レーザを使用してもよい。あるいは、以下の表1に要約されるような赤外線(IR)レーザを使用してもよい。
【0057】
【0058】
任意選択の第2のレーザシステム104は、第2の出力120を提供するための第2のレーザ源116と、電源、ディスプレイ、冷却システムなど、関連する構成要素と、を含んでもよい。第2のレーザシステム104は、第1のレーザ源106から動作可能に分離されてもよく、あるいは第1のレーザ源106に動作可能に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のレーザシステム104は、第2の出力120を伝送するために第2のレーザ源116に動作可能に連結される(第1の光路108とは別個の)第2の光路118を含んでもよい。あるいは、第1の光路108は、第1の出力110および第2の出力120の両方を伝送するように構成されてもよい。
【0059】
特定の態様では、第2の出力120は、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲にわたって広がっていてもよい。したがって、第1の波長範囲と第2の波長範囲との間に重複が存在しなくてもよい。あるいは、第1の波長範囲および第2の波長範囲は、互いに少なくとも部分的に重複してもよい。本開示の有利な態様では、第2の波長範囲は、入射する照射が以前にアブレーションまたは炭化されていない組織によって強く吸収される標的構造の吸収スペクトルの部分に対応しない場合がある。いくつかのそのような態様では、第2の出力120は、非炭化組織を有利にアブレーションしなくてもよい。別の実施形態では、第2の出力120は、以前にアブレーションされた炭化組織をアブレーションしてもよい。更なる実施形態では、第2の出力120は、更なる治療効果をもたらし得る。例えば、第2の出力120は、組織または血管の凝固に適し得る。
【0060】
図2は、自動手術部位状態制御を伴う内視鏡手術システム200、およびシステム200が動作し得る環境の少なくとも一部を示すブロック図である。システム200は、レーザエネルギー送出システム100の実施形態であっても、または他の結石構造の中でも腎臓結石、胃石、胆石のような硬化塊を破壊するために使用され得る砕石システムであってもよい。システム200は、レーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減するために、処置中に手術部位温度を実質的に所望のレベルに維持するなどのために、レーザ手術中に手術部位122の状態を監視し、制御し得る。
【0061】
内視鏡手術システム200は、フィードバック制御システム210と、1つまたは複数のセンサ220と、レーザシステム230と、灌注および/または吸引システム240と、ユーザインターフェースデバイス250と、を含み得る。レーザエネルギー送出システム100のフィードバック制御システム101の一実施形態であるフィードバック制御システム210は、フィードバック分析器212と、制御器回路218と、を含み得る。例示的な実施形態によれば、フィードバック制御システム210は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または任意の他の同等の集積もしくは個別論理回路などのプロセッサ、ならびにフィードバック制御システム210に起因する機能のうちの1つまたは複数を実施するためのそのような構成要素の任意の組合せを含んでもよい。フィードバック分析器212は、1つまたは複数のセンサ220に通信可能に連結され、そこからフィードバック信号を受信し、フィードバック信号を分析して、手術部位状態を制御するために使用され得る1つまたは複数の信号特性を生成し得る。
図2に示す例では、1つまたは複数のセンサ220は、レーザ処置中に手術部位の近傍の温度を感知するように構成された温度センサ222を含んでもよい。温度センサ222の例としては、熱電対、サーミスタ、測温抵抗体、または集積回路(IC)に組み込まれた半導体センサを含んでもよい。温度センサ222は、レーザ送出システムの遠位部分(例えば、レーザエネルギーを手術部位に向けるための光路またはレーザファイバの遠位端)、または内視鏡の遠位部分に配置されて、手術部位の環境内で温度センサを露出させ、その中の温度を直接測定し得る。1つまたは複数のセンサ220は、処置中に手術部位圧力を感知するための圧力センサ224を更に含んでもよい。
【0062】
フィードバック分析器212は、温度傾向回路214または温度予測器回路216のうちの1つまたは複数を含んでもよい。温度傾向回路214は、経時的な温度測定値の傾向を生成し得る。温度傾向に基づいて、フィードバック分析器212は、手術部位またはその付近における温度上昇速度のような、単位時間(Δt)に対する温度の変化量(ΔT)を示す温度変化速度(ΔT/Δt)を決定し得る。
【0063】
いくつかの例では、温度センサ222は、灌注および/または吸引システム240の一部など、手術部位から離れた位置に配置されて、手術部位温度と同等ではないが相関する「オフサイト」温度を測定してもよい。フィードバック分析器212は、トレーニングされた推定モデルおよび測定されたオフサイト温度を使用して、手術部位温度を推定し得る。いくつかの例では、手術部位温度の推定は、レーザシステム230のレーザエネルギー出力設定(例えば、出力、パルス幅、パルス周波数)、ならびに灌注および/または吸引システム240の灌注流入および流出設定など、他の条件に更に基づいてもよい。「Automatic Irrigation-Coordinated Lithotripsy」と題する米国特許出願第15/686,465号は、例えば、灌注液の温度、灌注量、および手術場所に印加されるエネルギーを含む様々な要因を使用して手術場所の温度を推定するためのデバイスおよび方法を指す。そのような参考文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
温度予測器回路216は、手術部位に印加されるレーザエネルギー、および放熱機構(例えば、自然、または灌注流もしくは手術部位の温度制御の他の手段などを介して人工的に適用される)が変化しないままであるという仮定の下で、様々な時間に測定された手術部位温度に基づいて、指定された将来の時間において、手術部位における将来の温度の予測を生成し得る。一例では、温度予測器回路216は、複数の温度測定値を使用して予測モデルを生成し、予測モデルを使用して将来の温度の予測を生成してもよい。予測モデルは、曲線あてはめ、および表面あてはめ、時系列回帰、または機械学習(ML)手法などの技術を使用して生成されてもよい。予測モデルは、様々な時間に測定された手術部位温度およびモデルタイプを含むトレーニングデータセットを使用して、モデルトレーニングプロセスによって生成され得る。トレーニングプロセスは、収束基準またはトレーニング停止基準が満たされるまで、モデルパラメータ(例えば、ニューラルネットワークモデルの入力層、出力層または任意の隠れ層のノードに割り当てられた重み)をアルゴリズム的に調整することを含む。予測モデルは、線形モデルまたは非線形モデルを含み、手術部位温度は、時間と線形関係または非線形関係を有するようにモデル化され得る。一例では、
図2に示すように、温度予測器回路216は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向または温度変化速度を使用して、将来の手術部位温度の予測を生成してもよい。
図4は、温度傾向415、その傾向を使用した将来の温度の予測の一例を示している。この例では、温度傾向回路214によって生成されるような温度傾向415は、様々な時間における過去の温度測定値(データ点410によって表される)の回帰分析と、温度センサ222を使用して測定されるような(データ点420によって表される)時間t
0における現在の温度T(t
0)と、を使用して生成される線形傾向である。線形温度傾向415は、線形傾向415の勾配によって表される温度変化速度によって特徴付けられ得る。例えば、温度傾向回路214は、本測定の前に、前の6秒間にわたって3℃増加した温度測定値を分析し、+0.5℃/秒(+0.5℃/秒、「+」は温度上昇を示す)の温度変化速度を決定してもよい。現在の温度T(t
0)(例えば、40℃)および温度上昇速度(例えば、+0.5℃/秒)に基づいて、温度予測器回路216は、将来の時刻t
1(t
1=t
0+Δt)におけるデータ点430によって表される将来の温度
【数1】
を予測し得る。例えば、次の10秒(Δt=10秒)では、予測された手術部位温度
【数2】
は、45℃(40℃+0.5℃/秒*10秒)に達し得ると予測し得る。
【0065】
いくつかの例では、測定された温度値が所定の上限「安全動作」温度限界(最大温度、すなわちT
max)を下回るとき、温度予測器回路216は、温度が「安全動作」温度限界T
max以上になる時間を表す安全動作時間ウィンドウを推定してもよい。
図4に示すように、安全動作時間ウィンドウ
【数3】
は、(データ点420として示される)時間t
1での現在の温度測定値T(t
1)から、(データ点440として示される)推定された時間
【数4】
における「安全動作」温度限界T
maxまでの推定されたタイムラグを表す。
【数5】
は、温度傾向415に基づいて推定され得る。例えば、T
max=60℃の「安全動作」温度限界の場合、温度予測器回路216は、次の
【数6】
で、手術部位温度が40℃の現在のT(t
1)から60℃のT
maxに上昇することを予測し得る。温度傾向415、将来の温度の予測、または安全動作時間ウィンドウ
【数7】
に関する情報は、ユーザインターフェースデバイス250を介してなど、ユーザに提示され得る。ユーザは、手術部位の温度上昇について警告され、温度が「安全動作」温度限界に達する十分前に適切な予防措置(例えば、レーザ出力または他のシステムパラメータを調整すること)をとることを推奨され、それによって処置中の組織の熱損傷を防止し、患者の安全性を改善する。
【0066】
制御器回路218は、有線または無線接続によってフィードバック分析器212に連結され得る。制御器回路218は、監視された手術部位温度を、前述の上限「安全動作」温度限界など特定の温度範囲と比較し得る。測定された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、「安全動作」温度限界未満)にあるとき、制御器回路218は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向(または温度変化速度)、あるいは温度予測器回路216によって生成された将来の温度の予測、または推定された安全動作時間ウィンドウのうちの1つまたは複数に従って、レーザシステム230を介したレーザエネルギー出力、ならびに/あるいは灌注および/または吸引システム240を介した灌注流など、1つまたは複数のシステムパラメータを調整してもよい。例えば、手術部位温度が温度調整を保証する基準を満たす場合(例えば、温度上昇速度(例えば、+0.8℃/秒)が速度閾値(例えば、+0.5℃/秒)を超える場合、または次のX秒(例えば、15秒)における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超える場合、または推定された安全動作時間ウィンドウ(例えば、手術部位温度が「安全動作」温度限界に上昇するまで10秒)が所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い場合)、制御器回路218は、以下で更に説明するように、レーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減するために、1つまたは複数のシステムパラメータを自動的に調整しても、またはユーザが手動で調整するように促してもよい。
【0067】
図1に示すレーザシステム102またはレーザシステム104の一例であるレーザシステム230は、レーザ源(第1のレーザ源106など)と、レーザエネルギーを手術部位に向けるための光路(第1の光路108など)と、を含んでもよい。レーザ源は、レーザ出力強度または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータ(例えば、出力、持続時間、周波数もしくはパルス形状、露光時間、または照射角度など、1つまたは複数のレーザパルスパラメータ)に従ってレーザエネルギーを生成し得る。レーザパラメータの少なくとも一部は、制御器回路218などによって自動的に、またはユーザインターフェースデバイス250を介してユーザによって手動で、プログラム可能または調整可能である。測定された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、「安全動作」温度限界未満)にあるとき、制御器回路218は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向(または温度変化速度)、あるいは温度予測器回路216によって生成された将来の温度の予測または推定された安全動作時間ウィンドウのうちの1つまたは複数に従って、レーザ出力設定を自動的に調整してもよい。例えば、手術部位温度が温度調整基準を満たすとき(温度上昇速度が速度閾値を超える場合、または次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超える場合、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い場合)、制御器回路218は、レーザパルスのパルス幅、レーザパルスのピーク出力、または単位時間当たりのレーザパルスの数を表すパルス周波数のうちの1つまたは複数を下げることなどによって、手術部位に送出されるレーザパルスの平均出力を自動的に下げ得る。レーザパルスの平均出力を下げることにより、手術部位またはその付近においてレーザによって誘発される加熱効果を低減することができ、それによって、処置中の組織の熱損傷を防止し、患者の安全性を改善する。
【0068】
1つまたは複数のレーザ出力パラメータを調整することに加えて、またはその代わりに、制御器回路218は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向(または温度変化速度)、あるいは温度予測器回路216によって生成された将来の温度の予測または推定された安全動作時間ウィンドウのうちの1つまたは複数に基づいて、様々なエネルギー出力レベルを有する複数の所定のレーザ出力設定またはパルスプロファイルのうちの1つを自動的に選択し得る。一例では、制御器回路218は、それぞれの所定のパラメータ値を用いて、少なくとも第1の「高出力」設定と、第2の「低出力」設定と、の間を自動的に切り替えてもよい。「低出力」設定は、「高出力」設定よりも低い平均出力である。手術部位温度が温度調整基準を満たしたとき、レーザ出力設定は、自動的に「低出力」設定に切り替えられてもよい。
【0069】
いくつかの例では、測定された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、「安全動作」温度限界未満)にあるとき、制御器回路218は、手術部位またはその付近における解剖学的標的に対する光路の遠位部分(レーザ照射部分)の位置または方向を調整するために、レーザシステム230の光路(例えば、レーザファイバ)に連結されたアクチュエータへの制御信号を生成してもよい。光路の遠位部分の位置または方向の調整は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向(または温度変化速度)、あるいは温度予測器回路216によって生成された将来の温度の予測または推定された安全動作時間ウィンドウのうちの1つまたは複数に従って、遠位部分と解剖学的標的との間の距離(「ファイバと標的」距離)、または解剖学的標的に対する遠位部分の照準角度を調整することを含み得る。例えば、手術部位温度が温度調整基準を満たすとき(例えば、温度上昇速度が速度閾値を超えるか、次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超えるか、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い)、制御器回路218は自動的に、アクチュエータを介して、光路の遠位部分を手術部位から更に遠くに移動し(すなわち、ファイバと標的距離を増加し)、かつ/または光路の遠位部分を回転して、レーザを手術部位から離れるように向ける(照準角度を増加する)ことができる。ファイバと標的距離を増加する、かつ/または照準角度を増加することによって、手術部位に入射するレーザエネルギーの密度、および手術部位に伝達されるレーザによって誘発される熱が低減され得る。
【0070】
灌注および/または吸引システム240は、処置中に内視鏡に含まれるような少なくとも1つの灌注チャネルを介して、手術部位に灌注流体(灌注液、例えば生理食塩水とも呼ばれる)の流れをもたらし得る1つまたは複数の灌注および/または吸引源を含み得る。灌注流体は、吸引チャネルを介した組織破片、結石断片、および他の望ましくない物質の除去を容易にし得る。灌注流はまた、手術部位またはその付近の組織、および手術器具(例えば、内視鏡組織除去デバイス)に対して冷却効果を有し、結石のアブレーション中に生成された熱の放散を助け得る。灌注および/または吸引システム240の例は、
図3を参照して以下に説明する。
【0071】
測定された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、「安全動作」温度限界未満)にあるとき、制御器回路218は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向(または温度変化速度)、あるいは温度予測器回路216によって生成された将来の温度の予測または推定された安全動作時間ウィンドウのうちの1つまたは複数に従って、灌注流または吸引流などの1つまたは複数の灌注パラメータを自動的に調整してもよい。例えば、手術部位温度が温度調整基準を満たす(例えば、温度上昇速度が速度閾値を超えるか、または次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超えるか、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い)とき、制御器回路218は、対流熱伝達を増加するために灌注源から手術部位への灌注流を自動的に増加し得る。追加的または代替的に、制御器回路218は、放熱を改善し、手術部位温度を下げるために、吸引流(または吸引圧力)を自動的に増加し、手術部位から流体を効果的に引き抜いてもよい。
【0072】
手術部位温度を制御するための灌注または吸引流の適用は、手術部位またはその付近の圧力を変動させる可能性がある。例えば、手術部位への灌注流は、一般に、手術部位圧力を上げ(正の圧力変化)、吸引圧力(すなわち、流出)は、一般に、手術部位圧力を下げる(負の圧力変化)。そのような灌注および/または吸引によって誘発される正の圧力変化または負の圧力変化は、適切に調節されない場合、手術部位またはその付近の組織または器官にとって有害である可能性がある。処置中に解剖学的環境の圧力を制御下に保ち、圧力関連の組織損傷を回避または低減するために、システム200は、処置中に手術部位圧力を感知する圧力センサ224を含み得る。手術部位温度が温度調整基準を満たす(例えば、温度上昇速度が速度閾値を超えるか、次のX秒における予測された将来の温度が「安全動作」温度限界を超えるか、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い)とき、制御器回路218は、測定された手術部位圧力(P)に基づいて、灌注流または吸引流を選択的に作動または調整し得る。例えば、手術部位への灌注流の増加が手術部位またはその付近における正の圧力変化につながり得るので、測定された手術部位圧力Pが所定のまたはユーザ指定の上限圧力Pmax(P>Pmax)を超える場合、制御器回路218は、吸引流を増加して、手術部位温度を下げ、灌注流の増加を回避して、手術部位圧力の更なる増加を防止し得る。例えば、灌注流は、その現在の速度で維持されても、または低下した速度に設定されても、または一時的に停止されてもよい。吸引流の増加はまた、手術部位圧力を、所望の圧力範囲内のレベルまで下げるために役立ち得る。測定された手術部位圧力が上限圧力Pmaxと下限圧力Pminとの間の所望の圧力範囲内にある場合(Pmin<P<Pmax)、制御器回路218は、手術部位温度を下げるために、灌注流および吸引流の一方または両方を増加し得る。吸引流の増加が手術部位またはその付近における負の圧力変化につながり得るので、測定された手術部位圧力が下限圧力Pminを下回った場合(P<Pmin)、制御器回路218は、手術部位への灌注流を増加し、手術部位温度を下げ、吸引流の増加を回避して、手術部位圧力の更なる低下を防止し得る。例えば、吸引流は、その現在の速度に維持されても、または低下した速度に設定されても、または一時的に停止されてもよい。灌注流の増加はまた、手術部位圧力を所望の圧力範囲内のレベルまで増加するために役立ち得る。
【0073】
いくつかの例では、灌注および/または吸引システム240は、手術部位に適用される前に灌注流体(灌注液)の温度を調整し得る灌注処理ユニットを含んでもよい。測定された手術部位温度が特定の温度範囲内にある(例えば、「安全動作」温度限界未満)とき、制御器回路218は、温度傾向回路214によって生成された温度傾向(または温度変化速度)、あるいは温度予測器回路216によって生成された将来の温度の予測または推定された安全動作時間ウィンドウのうちの1つまたは複数に従って、灌注液の温度を変更するために、灌注処理ユニットへの制御信号を生成してもよい。一例では、灌注処理ユニットは、冷却システム(例えば、ラジエータ、またはインラインチラー)を含んでもよい。手術部位温度が温度調整基準を満たす(例えば、温度上昇速度が速度閾値を超えるか、次のX秒における予測された将来の温度が「安全動作」温度限界を超えるか、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い)とき、冷却システムは、制御器回路218の制御下で、手術部位に到達する前に灌注液を冷却し得る。別の例では、灌注処理ユニットは流体混合器を含む。温度上昇速度が速度閾値を超える場合、または次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超える場合、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い場合、流体混合器は、制御器回路218の制御下で、手術部位に到達する前に異なる温度の少なくとも2つの灌注液源を混合し得る。冷却システムを介した冷却灌注液または流体混合器を介した混合灌注液は、手術部位に適用されると、その中の対流熱伝達を改善し、手術部位温度を効果的で効率的に下げ得る。
【0074】
いくつかの例では、制御器回路218は、温度管理計画に従って、手術部位温度を実質的に所望のレベルまたは範囲に維持してもよい。温度管理計画は、例えば、他の手段の中でも、レーザ出力設定または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータを変更すること、光路(例えば、レーザファイバ)の遠位部分の位置または方向を調整すること、手術部位への灌注流および/または手術部位から離れる吸引流を活性化または調整すること、あるいは手術部位に適用される前の灌注液の温度を変更することを含む、上記の2つ以上の温度制御手段の優先順位を含んでもよい。温度管理計画は、ユーザインターフェースデバイス250を介してなど、ユーザによってプログラムまたは変更され得る。温度制御手段の順序は、可用性(例えば、灌注冷却システム)、温度制御の効率、または手術部位に対する潜在的な悪影響に基づいて、決定されてもよい。一例では、温度管理計画は、手術部位温度の管理に適した他のデバイス設定(例えば、光路の遠位部分の位置または方向、灌注および/または吸引流、灌注温度)を調整しつつ、最適なまたはユーザ選択のレーザ出力設定を維持するようにバイアスしてプログラムされてもよい。レーザ出力設定を維持することは、処置時間を短縮し、治療の有効性および効率を確保するために、レーザ砕石処置中に望ましい場合がある。更に、レーザ出力設定(例えば、平均レーザ出力の低下)を調整することは、手術部位温度に対する影響が遅くなり得る。いくつかの例では、レーザ出力設定を調整するときであっても、医師が選択したレーザのピーク出力設定を維持するように砕石システムをバイアスしてもよい。レーザパルスエネルギーは、以下の式(1)に従ってパルス幅およびピーク出力に関連付けられ得る。
パルスエネルギー=パルス幅*ピーク出力 (1)
【0075】
したがって、いくつかの例では、パルスエネルギーは、ピーク出力を下げることなくパルス幅を小さくすることによって下げてもよい。更に、平均レーザ出力は、以下の式(2)に従ってパルスエネルギーおよびパルス周波数(すなわち、1秒当たりのパルス数)に関連付けられ得る。
平均出力=パルスエネルギー*パルス周波数 (2)
【0076】
流体温度が、レーザ平均出力に比例して増加するので、パルスエネルギーを下げ、同じパルス周波数を維持することにより、レーザによって解剖学的部位に送出される平均出力を下げ得る。式(1)と式(2)とを組み合わせると、以下の式(3)が得られる。
平均出力=パルス幅*ピーク出力*パルス周波数 (3)
【0077】
式(3)は、3つのレーザ変数(パルス幅、ピーク出力、パルス周波数)の間の関係を規定する。上記レーザ変数は、解剖学的部位に送出されるレーザ発光の所望の平均出力(加熱能力)を生成するように、個別にまたは集合的に調整されてもよい。例えば、いくつかの例では、パルス周波数を下げ、ピーク出力とパルス幅との両方を一定に保つことによって、平均出力を下げてもよい。
【0078】
いくつかの例では、手術部位またはその付近において灌注および/または吸引によって誘発される圧力変動を防止するために、温度管理計画は、灌注または吸引流を調整しようとする前に灌注液温度制御(例えば、手術部位に適用される前に灌注液を冷却する)を使用し得るようにプログラムされてもよい。例えば、測定された手術部位温度が温度調整基準を満たす(例えば、温度上昇速度が速度閾値を超えるか、次のX秒における予測された将来の温度が「安全動作」温度限界を超えるか、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い)とき、制御器回路218は、手術部位に適用される前に灌注液を冷却するために、灌注および/または吸引システム240の灌注処理ユニットへの制御信号を最初に生成してもよい。次いで、フィードバック制御システム210は、手術部位温度を再評価して、それが依然として温度調整基準を満たすか否かを決定し、満たす場合、制御器回路218は、灌注流および/または吸引流を増加して、手術部位温度を下げるために、灌注および/または吸引システム240への制御信号を生成し得る。灌注流と吸引流との間の選択、またはそれらの適用の順序は、上述したように、手術部位圧力に基づき得る。
例えば、手術部位温度が「安全動作」温度限界Tmax以上にならないようにするために、システムは、現在の手術部位圧力Pを、所定のまたはユーザ指定の上限圧力Pmaxと比較してもよい。現在の手術部位圧力Pが、Pmaxを実質的に下回る(例えば、PとPmaxとの間の差が閾値を超える)場合、灌注流入速度を増加し、灌注を介した対流熱伝達を増加してもよい。追加的または代替的に、吸引流を増加し、手術部位から効率的に熱を奪ってもよい。対照的に、現在の手術部位圧力Pが、Pmaxに実質的に近い(例えば、ユーザ指定または所定のマージン内、例えば+10%)場合、灌注流入速度を上げるのではなく、レーザ出力設定を下げてもよい。吸引流が能動的に制御される実施形態(例えば、ポンプを介して)では、現在の手術部位圧力PがPmaxに実質的に近い場合、レーザ出力設定を下げる代わりに、またはそれに加えて、手術部位圧力を下げるために、吸引流量を増加してもよい。体組織は一般に一部の正の圧力変化を調節し得るが、多くの器官は、負の圧力変化に対して比較的防御性がない。したがって、いくつかの例では、吸引流を活性化または増加する前に、灌注流を増加することを試みてもよい。
【0079】
次いで、フィードバック制御システム210は、手術部位温度を再評価して、それが依然として温度調整基準を満たすか否かを決定し、満たす場合、制御器回路218は、光路の遠位部分の位置または方向を調整するために、あるいはレーザ出力設定、または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータを変更するために、レーザシステム230への制御信号を生成し得る。様々な温度制御手段の階層化された順次の作動または調整は、治療の有効性および効率を含むことなく、あるいは手術部位またはその付近における組織損傷の追加のリスクを課すことなく、処置中に所望の手術部位状態(例えば、温度、圧力)の達成または維持を助け得る。
【0080】
ユーザインターフェースデバイス250は、フィードバック制御システムと動作可能に通信し得る。ユーザインターフェースデバイス250は、例えば、センサ220によって感知された、温度、圧力、もしくは他の情報などの手術部位状態、温度傾向、将来の温度の予測、もしくは安全動作時間ウィンドウ(温度が「安全動作」温度限界以上になるためにかかる時間)を含むフィードバック分析器212によって生成されたフィードバック信号、あるいはレーザ出力設定または灌注もしくは吸引流量などの現在のデバイス設定、を含む情報を表示するための出力/表示ユニット252を含み得る。出力/表示ユニット252は、視覚要素、警告、触覚フィードバック、またはそれらの任意の組合せを含むUI要素を表示し得る。出力/表示ユニット252は、予防的温度調整を保証する温度調整基準を満たす温度の上昇、または手術部位圧力の上昇など、手術部位またはその付近において、潜在的に危険な状態に関する警告を生成し得る。警告は、可聴、可視、触覚、または人間が知覚可能な形式で提示され得る。一例では、出力/表示ユニット252は、カウントダウンタイマー、進捗バー、または他のUI要素を表示して、安全動作時間ウィンドウをグラフィカルおよび/またはテキストで表し、「安全動作」温度限界Tmaxに達する前の時間を延長するように、1つまたは複数のシステムパラメータを調整する(例えば、レーザ出力を下げるか、灌注および/または吸引を増加する)ようにユーザに推奨してもよい。例えば、手術部位温度が30秒で「安全動作」温度限界Tmaxに達すると温度予測器回路216が予測した場合、出力/表示ユニット252は、カウントダウンタイマーを表示しても、かつ/またはレーザ設定を下げるように、もしくはTmaxに達するまでの時間を延長するために上述したような他の温度制御手段をとるように推奨することを、ユーザに表示してもよい。
【0081】
ユーザインターフェースデバイス250は、温度調整基準(温度上昇速度閾値、「安全動作」温度限界、または安全動作時間ウィンドウの閾値ウィンドウ長さ)を定義するパラメータ値など、デバイスのユーザプログラミングを、および手術部位温度を制御するための他のデバイスパラメータの中でもレーザ出力設定、灌注または吸引流パラメータを調整するためのユーザ入力を、受信するための1つまたは複数の入力ユニット254を含み得る。いくつかの例では、ユーザは、1つまたは複数の入力ユニット254を介して、上記の2つ以上の温度制御手段の優先順位を規定する温度管理計画を提供してもよい。例えば、ユーザは、灌注流量のレーザ出力を調整することなく、(利用可能な場合)灌注液温度を最初に下げるように制御器回路218を導いてもよい。次に、温度が、次の(Δt)内に閾値温度(T
th)を達成すると予測される場合、灌注流量および/または吸引流量を増加し、かつ/あるいはレーザ出力を下げてもよい。T
thとΔtとの両方は、1つまたは複数の入力ユニット254を介してユーザによって定義され得る。一例では、
図4に示すように、T
thは、T
maxとして選択され、Δtは、安全動作時間ウィンドウ
【数8】
に対応してもよく、手術部位温度を制御するための優先手段の例は、
図6A~
図6Bを参照して以下に説明する。
【0082】
いくつかの例では、出力/表示ユニット252は、レーザ出力または他のシステムパラメータの推奨する調整など、組織損傷を防止するための予防措置を講じる推奨事項を生成してもよい。ユーザは、推奨する調整を確認、拒否、または修正するために、1つまたは複数の入力ユニット254を介して入力を実施し得る。
【0083】
図3は、内視鏡手術システム200の一例であり得る、自動手術部位状態制御を伴う内視鏡レーザ砕石システム300の一例を示している。内視鏡レーザ砕石システム300は、内視鏡301、フィードバック制御システム310、アクチュエータ338、灌注および/または吸引システム340、灌注処理ユニット342を含み得る。内視鏡301は、近位部分と、内視鏡レーザ砕石処置中に患者の手術部位に挿入されるように構成された細長い遠位部分と、を有する。内視鏡301は、軟質(例えば、石灰化していない)または硬質(例えば、石灰化)組織の目視検査または処置を、ならびに腎臓結石または他の結石または他の標的の可視化または破壊またはその他の処置を、提供し得る。
図3に示すように、内視鏡301は、可視化光路360および照明光路350などの可視化および照明光学系を含むかまたは提供することができ、それらのそれぞれが内視鏡301の細長い本体に沿って長手方向に延在し得る。内視鏡301の遠位端またはその付近における標的領域のユーザまたは機械の可視化を可能にするために、接眼レンズまたはカメラまたは撮像ディスプレイが、可視化光路360に設けられてもよく、またはそれに連結されてもよい。標的領域は、照明光路350の近位端で照明光源324によって提供され、照明光路350の遠位端から放射されるような、光370によって照明されてもよい。光源324は、例えば、キセノンランプ、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。一例では、光源324は、照明モードと呼ばれる様々な照明特性を有する光を放射する2つ以上の光源を含んでもよい。一例では、照明モードは、白色光照明モード、または狭帯域撮像モード、自動蛍光撮像モード、もしくは赤外線撮像モードなどの特殊光照明モードを含んでもよい。特殊光照明は、例えば、特定の波長の光を集中させて強め、手術部位の組織または他の構造の良好な視覚化をもたらし得る。
【0084】
砕石システム300は、少なくとも1つのレーザ源332を含むか、またはそれに連結されてもよく、これは、レーザシステム230に含まれる第1のレーザ源106、第2のレーザ源116、またはレーザ源の一例であってもよい。レーザ源332は、単一の光ファイバまたは光ファイバの束を含み得る光路334に機械的および光学的に接続され得る。第1の光路108もしくは第2の光路118の一実施形態である光路334、またはレーザシステム230に含まれる光路は、内視鏡301または同様の器具の作業チャネルまたは他の長手方向通路または管腔内に延在するように近位アクセスポートを介して導入され得る。
【0085】
砕石システム300は、温度センサ222および圧力センサ224など、解剖学的標的または手術部位からの情報を感知するための1つまたは複数のセンサを含み得る。
図2を参照して上述したように、温度センサ222は、処置中に、手術部位温度を感知し、圧力センサ224は、手術部位圧力を感知し得る。温度センサ222および圧力センサ224は、光路334の遠位端336に配置され得る。あるいは、温度センサ222および圧力センサ224は、灌注および/または吸引チャネル344の遠位端346など、他の場所に配置されてもよい。いくつかの例では、温度センサ222および圧力センサ224は、様々なデバイス構成要素に関連付けられてもよい。例えば、温度センサ222は、光路334の遠位端336に配置されてもよく、圧力センサ224は、灌注および/または吸引チャネル344の遠位端に配置されてもよく、あるいはその逆も可能である。
【0086】
灌注および/または吸引システム340(灌注および/または吸引システム240の一実施形態)は、灌注源および吸引源を含むことができ、その各々が灌注および/または吸引チャネル344など、内視鏡301の作業チャネルに流体連結される。灌注および/または吸引チャネル344は、様々な時間に灌注流入および吸引流出を行うための共通の統一されたチャネルであってもよい。あるいは、いくつかの例では、灌注および/または吸引チャネル344は、灌注チャネルおよび吸引チャネルなどの2つの別個のチャネルを備えてもよい。別個の灌注チャネルおよび吸引チャネルは、互いに平行であってもよく、または入れ子構成などで共通の軸と同軸に配置されてもよい。灌注源は、灌注流体(灌注液)を灌注および/または吸引チャネル344に供給するように機能し得る。灌注流体は、重力供給または加圧されてもよい。一例では、ポンプが、灌注および/または吸引チャネル344を通って手術部位への加圧された灌注流を生成してもよい。吸引源は、流体および望ましくない物質を手術部位からレセプタクルに引き込む、吸引する、引く、吸う、または他の方法で移動または除去するように機能し得る。吸引源は、灌注および/または吸引チャネル344に真空、吸引、または負の圧力を生成し、印加することによって上述の機能を実施し得る。
【0087】
フィードバック制御システム310は、例えば、温度センサ222によって生成された手術部位温度測定値、および圧力センサ224によって生成された手術部位圧力測定値を含む、1つまたは複数のセンサによって生成されたフィードバック情報を受信してもよい。フィードバック制御システムは、フィードバック分析器312と、制御器回路318と、を含み得る。フィードバック分析器312(フィードバック分析器212の一実施形態)は、温度センサ222によって生成された温度測定値を分析し、温度上昇速度、次のX秒における将来の温度の予測、または推定された安全動作時間ウィンドウなどのうちの1つまたは複数の温度メトリックを生成し得る。制御器回路318(制御器回路218の一実施形態)は、監視された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、上限「安全動作」温度限界未満)にあるか否か、
図2を参照して上述したように、組織の熱損傷を防止するために、手術部位またはその付近における温度上昇が温度調整を保証することを示す温度調整基準を満たす(例えば、温度上昇速度が速度閾値を超える、または次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超える場合、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長さよりも短い場合)か否かを決定し得る。温度調整基準が満たされた場合、制御器回路318は、レーザによって誘発される組織の熱損傷の重症度を防止または低減するように手術部位温度を調整するために、1つまたは複数のシステムパラメータを自動的に調整しても、あるいはユーザが手動で調整するように促してもよい。
【0088】
様々な温度制御手段が、処置中に手術部位温度を調節するために使用され得る。一例では、制御器回路318は、レーザパルスのパルス幅、レーザパルスのピーク出力、または単位時間当たりのレーザパルスの数を表すパルス周波数のうちの1つまたは複数を下げることなどによって、手術部位に送出されるレーザパルスの平均出力などレーザ出力設定を自動的に調整するためにレーザ源332への制御信号を生成してもよい。別の例では、制御器回路318は、手術部位の標的に対するレーザ放射端部の位置を調整するためにアクチュエータ338への制御信号を生成してもよい。アクチュエータ338は、光路334の一部に連結し、制御器回路318と電気的に通信し得る。一例では、アクチュエータ338は、内視鏡301の遠位端またはその付近に配置されてもよい。アクチュエータ338は、電磁要素、静電要素、圧電要素、あるいは内視鏡301の作業チャネルもしくは他の長手方向通路に対して、または内視鏡301が基準フレームとして機能し得る別の基準位置に対して、光路334の遠位端336の長手方向もしくは回転方向の位置決めを作動させるかまたは可能にするような他の作動要素のうちの1つまたは複数を含み得る。制御器回路318からの制御信号に応答して、アクチュエータ338は、(ファイバと標的距離を増加させるため)遠位端336を手術部位から遠くに移動させることによって長手方向位置を調整すること、および/または(照準角度を増加させるため)遠位端336を手術部位から離れるように操縦することによって回転位置を調整することなど、光路334の遠位端336の位置または方向を調整し得る。
【0089】
更に別の例では、制御器回路318は、灌注流または吸引流などの1つまたは複数の灌注パラメータを自動的に調整するために、灌注および/または吸引システム340への制御信号を生成してもよい。灌注流または吸引流は、処置(例えば、組織または結石の断片化のレーザ処置)中に生成された熱の放散を助け得る。灌注流または吸引流はまた、流体および望ましくない物質(例えば、組織破片または結石断片)の除去を助け、圧力を実質的にユーザ指定の圧力レベル(例えば、±5%~10%などの許容差を有するユーザ指定の圧力)に維持するなど、手術部位の圧力を制御下に維持し得る。監視された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、上限「安全動作」温度限界未満)にあり、温度調整基準を満たすとき、制御器回路318は、灌注および/または吸引システム340を制御して、対流熱伝達を増加させるために手術部位への灌注流を自動的に増加し、かつ/または放熱を改善し、手術部位温度を下げるために、吸引流(または吸引圧力)を増加して、手術部位から流体を引き出し得る。いくつかの例では、灌注流または吸引流は、
図2を参照して上述したように、圧力センサ224を介して監視された手術部位圧力に基づいて、選択的に作動または調整されてもよい。
【0090】
別の例では、制御器回路318は、手術部位に適用される前に灌注液の温度を自動的に調整するために、灌注処理ユニット342への制御信号を生成してもよい。灌注処理ユニット342は、灌注液を冷却するための冷却システム(例えば、ラジエータ、またはインラインチラー)、または異なる温度の少なくとも2つの灌注液を混合するための流体混合器を含み得る。監視された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、上限「安全動作」温度限界未満)にあり、温度調整基準を満たすとき、制御器回路318は、灌注および/または吸引システム340を制御して、冷却システムまたは流体混合器を介して灌注液を自動的に冷却し得る。次いで、灌注/吸引システム340は、冷却された灌注液を灌注および/または吸引チャネル344を介して手術部位に適用して、その中の対流熱伝達を改善し、手術部位の温度を効果的で効率的に下げ得る。
【0091】
制御器回路318は、例えば、他の手段の中でも、レーザ出力設定または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータを変更すること、光路(例えば、レーザファイバ)の遠位部分の位置または方向を調整すること、手術部位への灌注流および/または手術部位から離れる吸引流を活性化または調整すること、あるいは手術部位に適用される前の灌注液の温度を変更することを含む、上記の2つ以上の温度制御手段の優先順位を規定する温度管理計画を生成しても、またはユーザから受信してもよい。
【0092】
いくつかの例では、砕石システム300は、手術部位またはその付近における標的の電磁放射線(例えば、照明光370)に応答して標的から反射された撮像信号を収集するためのカメラまたは撮像デバイス325を含んでもよい。撮像信号は、光路360を介してフィードバック分析器312に送信され得る。あるいは、標的または手術部位から反射した撮像信号は、光路334を通って送信されてもよい。光学スプリッタは、反射した撮像信号をフィードバック分析器312に導き得る。フィードバック分析器312は、撮像データから1つまたは複数の分光特性を生成し得る分光器を含み得る。フィードバック分析器312は、標的を、手術部位またはその付近における結石標的または解剖学的標的として認識してもよく、あるいは標的を、1つまたは複数の分光特性を使用して一種類の組織または一種類の異なる組成の結石として、分類してもよい。いくつかの例では、フィードバック分析器312は、分光特性を使用してファイバと標的距離を計算または推定してもよい。制御器回路318は、標的の構造、組成、または種類に基づいて、レーザ出力設定を調整するためのレーザ源332への制御信号、灌注および/または吸引チャネル344の遠位端346の位置または方向(例えば、繊維組織間距離、または照準角)を調整するためのアクチュエータ338への制御信号、ならびに/あるいは灌注流または吸引流を調整するための灌注および/または吸引システム340への制御信号を生成してもよい。
【0093】
図5は、解剖学的標的(例えば、軟組織、硬組織、がん性組織、または腎臓もしくは膵胆管もしくは胆嚢結石などの結石構造)を治療するための内視鏡処置中に手術部位状態(手術部位温度など)を制御するための方法500を示すフローチャートである。方法500は、内視鏡手術システム200、または内視鏡レーザ砕石システム300において実施され、それらによって実行され得る。方法500のプロセスが、1つのフローチャートに描かれているが、それらは特定の順序で実施される必要はない。様々な例において、プロセスのいくつかは、本明細書に示す順序とは異なる順序で実施されてもよい。
【0094】
510において、レーザエネルギー(例えば、レーザビーム、または一連のレーザパルス)が解剖学的標的に送出される。レーザエネルギーは、レーザ源(第1のレーザ源106、第2のレーザ源116、またはレーザ源332など)によって生成され、光路(第1の光路108、第2の光路118、または光路334など)を通って伝えられ得る。520において、手術部位における温度は、温度センサ222を使用するなど、処置中の様々な時間に感知され得る。530において、温度傾向回路214を使用するなど、手術部位温度測定値を経時的に傾向付けて、温度傾向を生成し得る。追加的または代替的に、温度変化速度は、手術部位温度測定値を使用して決定され得る。温度変化速度(ΔT/Δt)は、例えば、手術部位またはその付近における温度上昇速度など、単位時間(Δt)における温度の変化量(ΔT)を示す。いくつかの例では、指定された将来の時間(例えば、現在の温度測定から5秒で)における将来の手術部位温度の予測は、温度予測器回路216を使用するなど、現在の測定の前の過去の様々な時間における手術部位温度測定値に基づいて生成されてもよい。予測は、手術部位に印加されるレーザエネルギー、および放熱機構(例えば、自然、または灌注流もしくは手術部位の温度制御の他の手段などを介して人工的に適用される)が変化しないままであるという仮定の下で行われ得る。いくつかの例では、予測モデルは、様々な時間における過去の温度測定値に基づいて生成されてもよい。例えば、曲線あてはめ、および表面あてはめ、時系列回帰、または機械学習(ML)手法を含む様々なモデルを使用してもよい。予測モデルは、様々な時間に測定された手術部位温度、およびモデルタイプを含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされ得る。トレーニングプロセスは、収束基準またはトレーニング停止基準が満たされるまで、モデルパラメータ(例えば、ニューラルネットワークモデルの入力層、出力層または任意の隠れ層のノードに割り当てられた重み)をアルゴリズム的に調整することを含む。トレーニングされた予測モデルは、指定された将来の時間における将来の手術部位温度の予測を生成するために使用され得る。いくつかの例では、測定された温度が所定の上限「安全動作」温度限界(最高温度)を下回ったとき、安全動作時間ウィンドウは、530において推定されてもよい。安全動作時間ウィンドウは、温度が「安全動作」温度限界以上になるためにかかる時間を表す。
【0095】
540において、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータは、制御器回路218または制御器回路318を使用するなどして、生成された温度傾向または手術部位における将来の温度の予測に少なくとも部分的に基づいて調整され得る。少なくとも1つの動作パラメータを調整することによって、手術部位における所望の温度が、処置中に到達または維持され、手術部位においてレーザによって誘発された過剰な熱による潜在的な組織の熱損傷が、回避され得る。少なくとも1つの動作パラメータの調整は、例えば、内視鏡手術システムの様々なデバイスに電気的に連結される制御器回路218または制御器回路318によって自動的に実行され得る。あるいは、温度傾向、将来の温度の予測、または安全動作時間ウィンドウに関する情報は、ユーザインターフェースデバイス250を介してなど、ユーザに提示されてもよい。ユーザは、手術部位における温度上昇について警告され、温度が「安全動作」温度限界に達するかなり前にレーザ出力または他のシステムパラメータを調整するなどの適切な予防措置をとることを推奨され得る。
【0096】
例えば、
図2および
図3を参照して上述したように、他の手段の中でも、レーザ出力設定または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータを変更すること、光路(例えば、レーザファイバ)の遠位部分の位置または方向を調整すること、手術部位への灌注流および/または手術部位から離れる吸引流を活性化または調整すること、あるいは手術部位に適用される前の灌注液の温度を変更すること、を含む様々な温度制御手段を、試みてもよい。いくつかの例では、手術部位温度は、温度管理計画に従って制御されてもよい。
図6Aは、このような温度管理計画を、例えば、手術部位温度および手術部位圧力を含む手術部位状態に基づいて生成する方法の一例を示すフローチャートである。温度管理計画は、上述したように、2以上の温度制御手段の優先順位を含み得る。601において、方法500のステップ530から得られるような、温度傾向、または将来の手術部位温度の予測は、温度調整基準と比較され得る。温度調整基準は、例えば、(i)測定された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、「安全動作」温度限界未満)であることと、(ii)温度上昇速度が速度閾値を超えること、次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超えること、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長より短いことのうちの少なくとも1つと、を含み得る。602において、圧力センサ224を使用するなどして、手術部位で圧力を感知し得る。603において、感知された手術部位圧力Pは、最大許容圧力とも呼ばれる所定のまたはユーザ指定の上限圧力P
maxと比較され得る。604において、601における温度チェックおよび603における圧力チェックに基づいて、温度管理計画が決定され得る。温度制御手段の可用性(例えば、灌注冷却システム)および効率、または手術部位への潜在的な悪影響もまた、患者の個別の温度管理計画を決定するために考慮され得る。温度管理計画は、例えば、他の手段の中でも、レーザ出力設定または1つもしくは複数のレーザ照射パラメータを変更すること、光路(例えば、レーザファイバ)の遠位部分の位置または方向を調整すること、手術部位への灌注流および/または手術部位から離れる吸引流を活性化または調整すること、あるいは手術部位に適用される前の灌注液の温度を変更することを含む、上記の2つ以上の温度制御手段の優先順位を含み得る。
図6Aに示す例では、温度傾向または将来の手術部位温度の予測が、601における温度調整基準を満たすとき、レーザ出力設定を調整することと、灌注または吸引流を調整することと、の間の優先順位は、605において、手術部位圧力Pが上限圧力P
maxに実質的に近いレベルに達するか否かに少なくとも部分的に基づき得る。手術部位圧力Pが、P
maxを実質的に下回った(例えば、PとP
maxとの間の差が閾値を超える)場合、灌注流量は、606において増加され得る。手術部位圧力Pが、P
maxに実質的に近い場合(例えば、ユーザ指定またはP
maxの所定のマージン内、例えば+10%)、温度制御手段の優先度は、607において、吸引流を増加させる選択肢が利用可能であるか否かに基づいて決定され得る。吸引流が利用できないか、またはユーザによって作動されない場合、608において、レーザ出力を下げることなどによって、レーザ出力設定は、調整され得る。しかしながら、607において、吸引流が利用可能であり、ユーザによって作動される場合、609において、吸引流量は、増加され得る。ステップ606、608および609のいずれかにおける温度制御動作に続いて、他の温度制御手段が、オンデマンドモード(例えば、ユーザによって起動される)で試みられてもよい。手術部位温度の監視は、520で継続され得る。
【0097】
図6Bは、手術部位温度を制御するための優先手段を有する温度管理計画の一例を示すフローチャートであり、これは、手術部位における実質的に所望の温度を達成または維持するために、内視鏡手術システムに関連する少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップ540の一実施形態であり得る。530で生成された、温度傾向、将来の手術部位温度の予測、または推定された安全動作時間ウィンドウは、610において、温度調整基準が満たされているか否かを決定するために使用され得る。そのような温度調整基準は、例えば、(i)測定された手術部位温度が特定の温度範囲内(例えば、「安全動作」温度限界未満)であることと、(ii)温度上昇速度が速度閾値を超えること、次のX秒における将来の温度の予測が「安全動作」温度限界を超えること、または推定された安全動作時間ウィンドウが所定の閾値ウィンドウ長より短いことのうちの少なくとも1つと、を含み得る。610において、基準が満たされない場合、手術部位温度は正常と見なされ、パラメータは調整されず、手術部位温度の監視は、620で継続され得る。基準が610において満たされた場合、手術部位に流入する前の灌注液を冷却するための選択肢が、620において提供される。灌注液の冷却選択肢が利用可能であり、(例えば、ユーザによって)選択されている場合、622において、冷却システム(例えば、灌注処理ユニット342に含まれるラジエータまたはインラインチラー)を使用するなどして、または異なる温度の少なくとも2つの灌注液源を混合することによって、手術部位に到達する前に灌注液を冷却し得る。冷却された灌注液は、手術部位に適用して、その中の対流熱伝達を改善し得る。手術部位温度の監視は、520で継続され得る。
【0098】
620において、灌注液冷却選択肢が利用できないか、または選択されない場合、630において、灌注および/または吸引システム(灌注および/または吸引システム240、あるいは灌注および/または吸引システム340など)を使用する選択肢が、提供される。
図2および
図3を参照して上述したように、灌注および/または吸引システムは、手術部位への灌注流入、および/または手術部位からの流体の吸引流(流出)を実施し得る。処置中の組織破片、結石断片、および他の望ましくない物質の除去を助けることに加えて、灌注流および吸引流はまた、手術部位またはその付近における組織に対する冷却効果がある。630において、灌注および/または吸引選択肢が利用できないか、または(例えば、ユーザによって)選択されていない場合、632において、レーザ出力設定は、調整され得る。例えば、レーザパルスの平均出力は、レーザパルスのパルス幅、レーザパルスのピーク出力、または単位時間当たりのレーザパルスの数を表すパルス周波数のうちの1つまたは複数を下げることなどによって、下げてもよい。レーザパルスの平均出力を下げることにより、手術部位またはその付近においてレーザによって誘発される加熱効果を低減することができ、それによって、処置中の組織の熱損傷を防止し、患者の安全性を改善する。いくつかの例では、光路334の遠位端336の位置または方向を調整するためにアクチュエータ338を介するなど、手術部位における解剖学的標的に対する光路の遠位部分の位置または方向が、調整されてもよい。位置または方向は、ファイバと標的距離を増加させるように、かつ/または照準角度を増加させるように調整され、それによって、手術部位に入射するレーザエネルギーの密度、および手術部位に伝達されるレーザによって誘発される熱を低減し得る。手術部位温度の監視は、520で継続され得る。
【0099】
630において、灌注および/または吸引選択肢が利用可能であり、選択された場合、640において、圧力センサ224を使用するなどして、手術部位における圧力を感知し得る。手術部位における感知された圧力(P)に応じて、灌注流または吸引流の一方または両方は、手術部位温度における温度制御を達成するために、選択的に作動または調整され得る。650において、測定された手術部位圧力は、所定のまたはユーザ指定の上限圧力Pmaxと比較される。測定された手術部位圧力Pが、Pmaxを超える場合(P>Pmax)、652において、手術部位温度を下げるために、吸引流量のみ(灌注流量ではなく)を増加する。追加的または代替的に、手術部位における圧力を下げるために、灌注流量を低減してもよい。手術部位への灌注流の増加は、手術部位またはその付近における正の圧力変化につながる可能性があるので、手術部位圧力の更なる増加を防止するために、灌注流の更なる増加は回避されるべきである。測定された手術部位圧力が、Pmaxよりも低い場合、660において、測定された手術部位圧力は、所定のまたはユーザ指定の下限圧力Pminと更に比較され得る。測定された手術部位圧力が、PminおよびPmaxによって定義される範囲内にある場合(Pmin<P<Pmax)、670において、灌注流量または吸引流量の一方または両方は、手術部位温度を下げるために、増加され得る。しかしながら、660において、測定された手術部位圧力が、下限圧力Pminを下回る場合(P<Pmin)、662において、手術部位温度を下げるために、(吸引流ではなく)手術部位内への灌注流量のみが増加されるが、吸引流量の増加は回避され、手術部位圧力の更なる低下を防止する。追加的または代替的に、手術部位の圧力を増やすために、吸引流を低減してもよい。吸引流の増加は、手術部位またはその付近における負の圧力変化につながる可能性があるため、吸引流の更なる増加は、手術部位圧力の更なる低下を防止するために、回避されるべきである。652、662または670において、灌注または吸引流を調整した後、手術部位温度の監視は、620で継続され得る。
【0100】
図7は、本明細書に記載する技術(例えば、方法論)のいずれか1つまたは複数が実施され得る例示的な機械700のブロック図を全体的に示している。この説明の一部は、内視鏡手術システム200または内視鏡手術システム300の様々な部分のコンピューティングフレームワークに適用し得る。
【0101】
代替的な実施形態では、機械700は、スタンドアロンデバイスとして動作してもよく、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク配置では、機械700は、サーバ・クライアントネットワーク環境におけるサーバマシン、クライアントマシン、またはその両方の能力で動作し得る。一例では、機械700は、ピアツーピア(P2P)(またはその他の分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してもよい。機械700は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはその機械によって行われるべき動作を指定する命令(順次またはその他)を実行し得る任意の機械であり得る。更に、単一の機械のみを示しているが、「機械」という用語はまた、クラウドコンピューティング、サービス型ソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書に記載する方法のうちの任意の1つまたは複数を実施するために、命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行する機械の任意の集合を含むと解釈されるべきである。
【0102】
例は、本明細書に記載するように、論理もしくはいくつかの構成要素、または機構を含んでもよく、またはそれらによって動作してもよい。回路セットは、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、論理など)を含む有形のエンティティに実装された回路の集合である。回路セットメンバシップは、経時的に柔軟であり、基礎となるハードウェアのばらつきがあり得る。回路セットは、単独で、または組み合わせて、動作時に指定された動作を実施し得るメンバを含む。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作(例えば、配線)を実行するように不変に設計されてもよい。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するように物理的に修正されたコンピュータ可読媒体(例えば、不変質量粒子の磁気的、電気的、移動可能な配置など)を含む、可変に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含んでもよい。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的特性は、例えば絶縁体から導体へ、またはその逆に変更される。命令は、埋め込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはロード機構)が、動作中に特定の動作の一部を実行するために可変接続を介してハードウェアに回路セットのメンバを作成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているときに回路セットメンバの他の構成要素に通信可能に連結される。一例では、物理構成要素のいずれかは、2つ以上の回路セットの2つ以上のメンバで使用されてもよい。例えば、動作中、実行ユニットは、任意の時点における第1の回路セットの第1の回路で使用され、第1の回路セット内の第2の回路によって、または様々な時間における第2の回路セット内の第3の回路によって再使用され得る。
【0103】
機械(例えば、コンピュータシステム)700は、ハードウェアプロセッサ702(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組合せ)と、メインメモリ704と、スタティックメモリ706と、を含むことができ、それらの一部または全部は、インターリンク(例えば、バス)708を介して互いに通信し得る。機械700は、表示ユニット710(例えば、ラスタディスプレイ、ベクトルディスプレイ、ホログラフィックディスプレイなど)と、英数字入力デバイス712(例えば、キーボード)と、ユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス714(例えば、マウス)と、を更に含んでもよい。一例では、表示ユニット710、入力デバイス712、およびUIナビゲーションデバイス714は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械700は、記憶デバイス(例えば、ドライブユニット)716と、信号生成デバイス718(例えば、スピーカ)と、ネットワークインターフェースデバイス720と、全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなどの1つまたは複数のセンサ721と、を更に含んでもよい。機械700は、1つまたは複数の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信するまたはそれを制御するために、シリアル接続など(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、パラレル、または他の有線もしくは無線(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)など)の出力制御器728を含んでもよい。
【0104】
記憶デバイス716は、本明細書に記載の技法または機能のいずれか1つまたは複数によって具現化または利用されるデータ構造または命令724(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットを記憶する機械可読媒体722を含んでもよい。命令724はまた、機械700によるその実行中に、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ704内、スタティックメモリ706内、またはハードウェアプロセッサ702内に存在してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ702、メインメモリ704、スタティックメモリ706、または記憶デバイス716のうちの1つまたは任意の組合せが、機械可読媒体を構成してもよい。
【0105】
機械可読媒体722は、単一の媒体として示しているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令724を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含んでもよい。
【0106】
「機械可読媒体」という用語は、機械700による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することができ、機械700に、本開示の技術のいずれか1つまたは複数を実行させ、あるいはそのような命令によって使用されるか、またはそのような命令に関連するデータ構造を、記憶、符号化、または搬送することができる、任意の媒体を含んでもよい。非限定的な機械可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、ならびに光学および磁気媒体を含んでもよい。一例では、大規模機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を含む。したがって、大規模機械可読媒体は一時的な伝播信号ではない。大規模機械可読媒体の具体例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPSOM))、およびフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリと、内蔵ハードディスク、リムーバブルディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクと、を含んでもよい。
【0107】
命令724は更に、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のいずれかを利用するネットワークインターフェースデバイス720を介して伝送媒体を使用して通信ネットワーク726を介して送信または受信され得る。例示的な通信ネットワークは、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、従来型電話(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(例えば、WiFi(登録商標)として知られている米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格ファミリー、WiMax(登録商標)として知られているIEEE 802.16規格ファミリーなど)、IEEE 802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含んでもよい。一例では、ネットワークインターフェースデバイス720は、通信ネットワーク726に接続するための1つまたは複数の物理ジャック(例えば、イーサネット、同軸、または電話ジャック)、あるいは1つまたは複数のアンテナを含んでもよい。一例では、ネットワークインターフェースデバイス720は、単入力多出力(SIMO)、多入力多出力(MIMO)、または多入力単出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用して無線通信するための複数のアンテナを含んでもよい。「伝送媒体」という用語は、機械700による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することができ、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルもしくはアナログ通信信号または他の無形媒体を含む、任意の無形媒体を含むと解釈されるべきである。
【0108】
付記
上記の発明を実施するための形態は、発明を実施するための形態の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施し得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ぶ。そのような例は、図示または記載したものに加えて、要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示または記載した要素のみが提供される例も企図する。更に、本発明者らはまた、特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、あるいは本明細書に示したもしくは記載した他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、示したもしくは記載した要素(またはその1つもしくは複数の態様)の任意の組合せ、または並べ替えを使用する例を企図する。
【0109】
本文書では、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、特許文献で一般的であるように、「少なくとも1つの(at least one)」または「1つまたは複数の(one or more)」の任意の他の事例または使用とは無関係に、1つまたは複数を含むように使用される。本文書では、「または」という用語は、非排他的であることを指すように、あるいは、特に明記しない限り、「AまたはB」が、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むように、使用される。本文書では、「含む(including)」および「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「そこにおいて(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、特許請求の範囲でそのような用語の後に列挙された要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、またはプロセスは、依然としてその特許請求の範囲内にあると見なされる。更に、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図しない。
【0110】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上述の例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討すると、当業者などによって、他の実施形態は、使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために、37 C.F.R.§1.72(b)に準拠するように提供される。それは、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために様々な機能を共にグループ化し得る。これは、特許請求されていない開示された機能が任意の請求項に必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての機能よりも少ない機能にあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、例または実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立しており、そのような実施形態は、様々な組合せ、または並べ替えで互いに組み合わせられ得ると考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に決定されるべきである。
【符号の説明】
【0111】
100 レーザエネルギー送出システム
101 フィードバック制御システム
102 第1のレーザシステム
104 第2のレーザシステム
106 第1のレーザ源
108 第1の光路
110 第1の出力
116 第2のレーザ源
118 第2の光路
120 第2の出力
122 手術部位
130 フィードバック信号
200 内視鏡手術システム
210 フィードバック制御システム
212 フィードバック分析器
214 温度傾向回路
216 温度予測器回路
218 制御器回路
220 センサ
222 温度センサ
224 圧力センサ
230 レーザシステム
240 灌注および/または吸引システム
250 ユーザインターフェースデバイス
252 出力/表示ユニット
254 入力ユニット
300 内視鏡レーザ砕石システム
301 内視鏡
310 フィードバック制御システム
312 フィードバック分析器
318 制御器回路
324 照明光源
325 カメラまたは撮像デバイス
332 レーザ源
334 光路
336 遠位端
338 アクチュエータ
340 灌注および/または吸引システム
342 灌注処理ユニット
344 灌注および/または吸引チャネル
346 遠位端
350 照明光路
360 可視化光路
370 光
410 データ点
415 温度傾向
420 データ点
430 データ点
700 機械
702 ハードウェアプロセッサ
704 メインメモリ
706 スタティックメモリ
708 インターリンク
710 ディスプレイユニット
712 英数字入力デバイス
714 ユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス
716 記憶デバイス
718 信号生成デバイス
720 ネットワークインターフェースデバイス
721 センサ
722 機械可読媒体
724 データ構造または命令
726 通信ネットワーク
728 出力制御器
【外国語明細書】