(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014884
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】熱収縮性ラベル用溶剤組成物、および熱収縮性ラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/48 20060101AFI20240125BHJP
C09J 123/10 20060101ALI20240125BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20240125BHJP
C09J 157/02 20060101ALI20240125BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B29C65/48
C09J123/10
C09J167/00
C09J157/02
C09J11/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187628
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2022003799の分割
【原出願日】2018-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2017059033
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017067576
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017067577
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017078873
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅文
(72)【発明者】
【氏名】春田 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】奥 尚郎
(57)【要約】
【課題】 フィルムの厚みが薄くても溶剤突き抜けを起さない溶剤接着部を有し、特に高速化したチュービング工程でも、安定的に高い剥離強度が得られる溶剤接着部を有する熱収縮性ラベルおよび包装体を提供すること。
【解決手段】 熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの両端部同士が溶剤組成物で接着されたチューブ状の熱収縮性ラベルロールであって、前記溶剤組成物がテトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、ポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂を含む溶剤組成物であり、接着部における前記溶剤組成物の塗布量が50~550mg/m2で、剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とするチューブ状の熱収縮性ラベルロール。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの両端部同士が溶剤組成物で接着されたチューブ状の熱収縮性ラベルロールであって、前記溶剤組成物がテトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、ポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂を含む溶剤組成物であり、接着部における前記溶剤組成物の塗布量が50~550mg/m2で、剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とするチューブ状の熱収縮性ラベルロール。
【請求項2】
前記溶剤組成物に含まれる樹脂がポリエステルであり、該樹脂の含有量が5重量%以上40重量%以下である請求項1に記載のチューブ状の熱収縮性ラベルロール。
【請求項3】
前記溶剤組成物に含まれる樹脂がポリプロピレン又は水添石油樹脂であり、該樹脂の含有量が5重量%以上40重量%以下である請求項1に記載のチューブ状の熱収縮性ラベルロール。
【請求項4】
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの厚みが5μm以上50μm以下である請求項1~3のいずれかに記載のチューブ状の熱収縮性ラベルロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムをチューブ状に丸めて前記フィルムの両端部同士を溶剤で接着することにより形成された熱収縮性ラベルに関し、さらに詳しくは、ラベルを形成するフィルムの厚みが薄くても、溶剤接着部における溶剤の過度な浸透が起こりにくい熱収縮性ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性フィルムは、収縮性という機能を有するため、接着剤や留め具等の固定手段を用いず、フィルム自体の収縮力と賦形性によって対象物に積層一体化させることができる。従って、積層や被覆による対象物の機械的保護ばかりでなく、結束、封緘などの機能も有する。さらに熱収縮フィルム自体に特殊な機能を有する場合、積層により、対象物に後付にてその特殊機能を付加することができる。この性質は、対象物の保存や流通時における保護と、表示性および意匠性の付与が主目的である包装分野に於いて有効に用いられている。例えば、ガラス製およびプラスチック製のボトルを含む瓶や、缶などの各種容器、及びパイプ、棒、木材、各種棒状体などの長尺物、または枚様体等の、被覆用、結束用、外装用又は封緘用として利用される。具体的には、表示、保護、結束、および機能化による商品価値の向上などを目的として、瓶のキャップ部、肩部、及び胴部の一部又は全体を被覆する用途に用いられる。さらに、箱、瓶、板、棒、ノートなどの被包装物を複数個ずつ集積して包装する用途や、被包装物にフィルムを密着させて該フィルムにより包装する(スキンパッケージ)用途などにも用いられる。このときフィルムにあらかじめ表示、意匠目的の造形が付与されている場合、ラベルという商品となる。
【0003】
熱収縮性フィルムの素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、脂肪族系ポリオレフィン、およびその誘導体、塩酸ゴムなどが用いられている。通常、これらの素材からなるフィルムをチューブ状に成形し、例えば瓶にかぶせたり、パイプなどを集積した後、熱収縮させることにより包装や結束が行なわれる。しかし、従来の熱収縮性フィルムは、いずれも耐熱性が乏しく、高温でのボイル処理やレトルト処理に耐えないため、食品、衛生用品、医薬品用途に適用する場合、高温での殺菌処理ができないという欠点がある。例えばレトルト処理を行うと、従来のフィルムは処理中に破損しやすいという問題点があった。
【0004】
従来の熱収縮性フィルムの場合、ポリエステル系樹脂からなるフィルムは、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性等に優れるが、所望の熱収縮特性、接着性等を達成するためには精密な製造条件の制御技術が必要であり、コスト等の問題があった。
【0005】
また、熱収縮性フィルムの有用性から、従来、熱収縮性フィルムではないフィルム、ラベルが使用されてきた分野にも熱収縮性フィルムが用いられるようになっている。特に飲料容器のラベルは、紙や熱収縮性フィルムではないフィルムからなる貼り付けラベルから熱収縮性ラベルに置き換わってきたものが多い。特に、プラスチックボトル容器のラベル分野ではリサイクルの問題にも関連して熱収縮ラベルの応用が盛んであり、様々な包装意匠の形態、方式が実施されている。熱収縮性フィルムの中でも、熱収縮特性に極めて優れており、自然収縮率が小さいポリ塩化ビニル系収縮フィルムと収縮応力が低く、収縮率が高いポリスチレン系収縮フィルムは
は多く使用されている。
【0006】
しかし、熱収縮性ラベルは使用された後はゴミとなってしまうため、最近は、環境面からゴミ量を削減する必要が生じ、厚みが薄い熱収縮性ラベル(薄肉化した熱収縮性ラベル)が使用されはじめている。
ところで、熱収縮性フィルムからチューブ状ラベルを形成するには、フィルムの幅方向片端部をもう一方の端部に重ねて固定する必要がある。この固定方法としては、従来から、溶剤接着法(特許文献1、2)や接着剤を使用する方法(特許文献3)等が用いられてきた。それらの中でも溶剤接着法は高速でチューブ状ラベルへの加工が可能であり、広く用いられている。
【0007】
この溶剤接着法で熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの面同士をチューブ状ラベルに加工する工程(チュービング工程)では、生産効率を向上させてコストダウンを図るため、高速化が進んでいる。高速のチュービング工程で、高い剥離強度(接着強度)の溶剤接着部を安定的に得るには、接着溶剤として一般的にテトラヒドロフラン(THF)またはメチルエチルケトン(MEK)、または酢酸エチルが用いられている。
しかしTHF、MEK、酢酸エチルでは、厚みが薄く非晶原料が多い熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの場合、塗布面側からフィルム裏面側まで溶剤が浸透してしまい(溶剤突き抜け)、裏面にも溶剤が付着する。その結果、溶剤接着後のチューブ状ラベルをロール状に巻き取る際にはチューブ状ラベルが平らにつぶされるが、溶剤接着部に溶剤突き抜けが起こっている場合、溶剤接着部の裏側と接触したラベルが接着してしまい、チューブとして機能しなくなったり、ブロッキングを起こしてロールの解きほぐしができなくなったりすることがあった。
【0008】
一方、溶剤突き抜けしないようにTHF、MEK、酢酸エチルの塗布量を少なくすると、高速化されたチュービング工程では、溶剤の塗布量がばらつきやすく、塗布量が少なくなってしまった場合は充分な剥離強度が得られなくなる不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3075019号公報
【特許文献2】特許第3452021号公報
【特許文献3】特開2014-43520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、フィルムの厚みが薄くても溶剤突き抜けを起こさない溶剤接着部を有する熱収縮性ラベルおよび包装体の提供を課題とし、特に、高速化したチュービング工程であっても、安定的に高い剥離強度が得られる溶剤接着部を有する熱収縮性ラベルおよび包装体の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、特定の種類の化合物の組み合わせからなる接着溶剤組成物を用いることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の構成をとる。
【0012】
1.熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの両端部同士が溶剤組成物で接着されたチューブ状の熱収縮性ラベルであって、前記溶剤組成物がテトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、ポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂を含む溶剤組成物であり、前記接着部の剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とする熱収縮性ラベル。
2.前記溶剤組成物に含まれる樹脂がポリエステルであり、該樹脂の含有量が5重量%以上40重量%以下である1に記載の熱収縮性ラベル。
3.前記溶剤組成物に含まれる樹脂がポリプロピレン又は水添石油樹脂であり、該樹脂の含有量が5重量%以上40重量%以下である1に記載の熱収縮性ラベル。
4.前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの厚みが5μm以上50μm以下である1~3のいずれかに記載の熱収縮性ポリ塩化ビニル系ラベル。
5.前記1~4のいずれかに記載の熱収縮性ラベルを包装対象物の外周の少なくとも一部に有することを特徴とする包装体。
6.テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、ポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂を含む溶剤組成物によって、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの両端部同士を重ねて接着することを特徴とする熱収縮性ラベルの製造方法。
7.テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、ポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂を少なくとも含む溶剤組成物で、該溶剤組成物によって熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムを接着して熱収縮性ラベルを作成するために用いられることを特徴とする、熱収縮性ラベル用溶剤組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの厚みが薄くても溶剤突き抜けが起こらず、かつ、高速化したチュービング工程でも安定的に高い剥離強度が得られる溶剤接着部を有する熱収縮性ラベルおよび包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の熱収縮性ラベルは、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの両端部同士を重ねて溶剤組成物で接着することにより形成されたチューブ状の熱収縮性ラベルである。ここで、端部とは幅方向(長手方向に沿う方向)の端部を意味し、端部より20mm以内の部分を含む位置のことである。本発明の熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムには、ポリ塩化ビニル1層のみからなるフィルムだけでなく、ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニル以外の樹脂/ポリ塩化ビニルといった積層構成のフィルムで、外側の層が共にポリ塩化ビニル系フィルムとなっている積層フィルムも含まれるものとする。本発明の熱収縮性ポリスチレン系フィルムには、ポリスチレン1層のみからなるフィルムだけでなく、ポリスチレン/ポリスチレン以外の樹脂/ポリスチレンといった積層構成のフィルムで、外側の層が共にポリスチレン系フィルムとなっている積層フィルムも含まれるものとする。
【0015】
本発明において、接着溶剤組成物にTHF、MEK、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、ポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂の両方を含むことで、高速化したチュービング工程でも、溶剤接着部の剥離強度が高く、溶剤突き抜けが良好なラベルを提供できる。
【0016】
THF、MEK、酢酸エチルはいずれもポリ塩化ビニル及びポリスチレンの良溶媒であり、ポリ塩化ビニル系フィルム及びポリスチレン系フィルムを速やかに溶解するので、得られる溶剤接着部は高い剥離強度を有する。しかし溶剤突き抜けが生じやすいので、薄肉フィルムには不適である。また塗布量を少なくすると、高速での溶剤接着では塗布量のバラツキにより剥離強度不足が生じる。
【0017】
一方、ポリエステルは非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分を含有させることにより、有機溶剤や熱で溶けやすくなるため、接着剤として好適に用いることができ、また、ポリプロピレンで低立体規則性の物、又はジシクロペンタジエン/芳香族共重合系の水添石油樹脂も接着剤として好適に用いることができるので、前述したように溶剤の量が少なくても高い剥離強度を得ることができる。
【0018】
しかし、前記ポリエステル、ポリプロピレン又は水添石油樹脂を熱で溶かしてホットメルト接着剤として使用することで、フィルムの接着が可能だが、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムを接着させる場合は、ホットメルト剤の熱によりポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムが収縮してシワが入るために外観不良が発生しやすく、かつ粘度が高いために高速のチュービング工程では、安定的に一定量をポリ塩化ビニル系フィルム又はポリスチレン系フィルムに塗布することは困難である。
即ち、良溶媒であるTHF、MEK、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤と、接着剤として機能するポリエステル、ポリプロピレン及び水添石油樹脂なる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂の両方を溶剤組成物に含むことで、それぞれの上記欠点をカバーし、高速化したチュービング工程でも、安定的に高い剥離強度を発現することが可能になる。また薄肉化した熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムであっても、溶剤突き抜けが生じがたくなる。
【0019】
本発明の溶剤組成物に用いるポリエステルを構成するテレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
溶剤組成物に用いるポリエステルを構成するエチレングリコール以外の他のジオール成分としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
【0020】
本発明の溶剤組成物に用いるポリエステルは、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸やアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや炭素数3個以上を有するジオール(例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を70℃以下としたポリエステルが好ましい。
【0021】
また、溶剤組成物に用いるポリエステルは、全ポリエステル樹脂中における多価カルボン酸成分100モル%中あるいは多価アルコール成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が30モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上である。非晶質成分となり得るモノマー成分の合計が30モル%未満だと、前記の有機溶剤への溶解性が低くなり、接着溶剤として用いることができないためである。
非晶質成分となり得るモノマーとしては、例えば、イソフタル酸、オルトフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。
【0022】
本発明の溶剤組成物に含まれるポリエステル、ポリプロピレン、及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上の樹脂の含有量の上限は40重量%以下、好ましくは37重量%以下、より好ましくは34重量%以下である。溶剤組成物に含まれる前記樹脂の含有量が多いほど溶剤組成物の粘度が高くなり、高速化されたチュービング工程では、安定的に一定量で溶剤組成物をポリ塩化ビニル系フィルムに塗布することが困難になるためである。また、溶剤組成物に含まれる前記樹脂の含有量の下限は5重量%以上、好ましくは8重量%以上である。溶剤組成物に含まれる前記樹脂の含有量が5重量%未満だと、THF等の塗布量が少なくなった際に剥離強度が不足する。
【0023】
本発明の溶剤組成物には、必要に応じて各種の添加剤や減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加しても良い。
また、溶剤組成物の粘度は、下限は特に限定されないが、粘度が高すぎると、高速化されたチュービング工程において安定的に一定量を塗布することが困難になるため、100mPa・s未満が好ましい。溶剤組成物の粘度は、より好ましくは、80mPa・s以下、さらに好ましくは60mPa・s以下、特に好ましくは50mPa・s以下である。
チュービング工程に際しては、溶剤組成物を熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムに対し、50~550mg/m2程度で、公知のセンターシールマシン等を用いて塗布することが好ましい。また、チュービング工程での接着溶剤組成物の塗布幅は、接着部の剥がれを抑制するためにも1mm以上が好ましく、上限は特に限定されないが、使用するラベル面積は小さいほどコストも小さくなるため、10mm以下が好ましい。
【0024】
チュービング工程の速度は特に限定されないが、高速化の点で300~500m/分が好ましい。チュービング工程後のチューブ状ラベルは、通常、平らに畳まれてロール状に巻き取られた後、ラベルを繰り出して所定長さに裁断され、最終製品となるが、チュービング工程後に、ロールに巻き取らずに裁断工程を行ってもよい。
本発明の熱収縮性ラベルは、溶剤接着部の剥離強度が2N/15mm以上、好ましくは3N/15mm以上、より好ましくは4N/15mm以上である。剥離強度が2N/15mm以上あれば、使用中に剥離する等のトラブルを防ぐことができる。また、溶剤接着部の剥離強度の上限は10N/15mm未満である。剥離強度が高いほど好ましいが、本発明では10N/15mm以上の剥離強度を実現できなかったためである。剥離強度の測定方法は、実施例に記載の方法に従う。
【0025】
本発明の熱収縮性ラベルを構成する熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムの厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましい。薄肉化の要請に対応するためにも、より好ましくは30μm以下である。該ラベルには、接着部以外の部分に印刷層が設けられていてもよい。
本発明の熱収縮性ラベルは、90℃の温水中10秒での熱収縮率が主収縮方向で40%以上であることが好ましい。熱収縮率が40%以上あれば、美麗な収縮仕上がり性を得ることができる。40%より小さいと、熱収縮力が不足して、容器等に被覆収縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましくない。主収縮方向に直交する方向においては、90℃の温水中での熱収縮率は15%以下であることが好ましい。15%を超えると、ラベル縦方向が縮んでしまうタテヒケと呼ばれる現象が起こりやすいため好ましくない。なお、主収縮方向の熱収縮率とは、試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、主収縮方向は、正方形の試料の縦方向または横方向の長さで決められる。熱収縮率(%)の測定方法は実施例に記載の方法に従う。
【0026】
本発明の熱収縮性ラベルを構成するポリ塩化ビニル系樹脂の構成は、後述の熱収縮特性を現出可能であれば特に限定されないが、数平均重合度が約800~2500、好ましくは約1000~1800のポリ塩化ビニル、塩化ビニルを主体とする共重合体(例えばエチレン-塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-ハロゲン化オレフィン共重合体など)、あるいはこれらのポリ塩化ビニル又は塩化ビニル共重合体を主体とする他の相溶性樹脂(例えばポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコールなど)とのブレンド物などが挙げられる。これら塩化ビニル樹脂は塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法など常用のいかなる製造法によって得られたものでもよい。これら塩化ビニル樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また従来より、熱収縮性塩化ビニル樹脂フィルムにおいては、通常、フィルムの柔軟性、延伸フィルムの低温収縮性、樹脂の押出加工時の流動性及び延伸加工性を改善するために少量の可塑剤が配合されている。
【0028】
本発明において用いられる可塑剤としては、例えばジ‐n‐オクチルフタレート、ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体、ジオクチルアジペートなどのアジピン酸誘導体、その他リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、エポキシ化大豆油などが挙げられる。
【0029】
上記の可塑剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、熱収縮性塩化ビニル系フィルム中に20重量%以上40重量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは25重量%以上35重量%以下である。
【0030】
本発明においては、本発明の目的がそこなわれない範囲で、所望に応じ各種添加成分、例えば改質剤、熱安定剤、充てん剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、帯電防止剤、着色剤などを配合することができる。
【0031】
ここでの改質剤としては、例えばメチルメタクリレート‐ブタジエン‐スチレン三元共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン三元共重合体(ABS樹脂)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレンなどを挙げることができ、熱安定剤としては、例えば有機スズメルカプチド系、有機スズマレエート系、有機スズカルボキシレート系、金属セッケン系、鉛系、Ba‐Zn系、Ca‐Zn系、Ca‐Zn‐Ba系、Ba‐Mg‐Al系、エポキシ化合物系、有機亜リン酸エステルのようなキレーターなどを挙げることができる。
【0032】
また、充てん剤としては、例えばシリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、マイカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、リン酸リチウムなどが挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系のものなどが挙げられる。
【0033】
本発明の熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム成形用塩化ビニル樹脂組成物は、前記の塩化ビニル樹脂、可塑剤および所望に応じて用いられる各種添加成分を、それぞれ所定の割合で用い、例えばリボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機を用いて均質にブレンドすることにより調製することができる。
【0034】
本発明の熱収縮性ラベルを構成するポリスチレン系樹脂の構成は、後述の熱収縮特性を現出可能であれば特に限定されないが、好ましくは、シンジオタクティック構造を有するポリスチレン系樹脂を含有するポリスチレン系樹脂であるのがよい。さらに好ましくは、ポリスチレン系樹脂として、シンジオタクティック構造を有するポリスチレン系樹脂を用いるのがよい。シンジオタクティック構造を有するポリスチレン系樹脂を用いることにより、機械的強度、耐熱性が向上する。このようなポリスチレン系樹脂を用いることにより、ポリスチレンの密度が低く、リサイクル工程での分離に有利である点に加え、耐熱性、特に加熱保存時などの耐熱性に優れ、フィルム形成後に経時的に収縮することによる印刷ピッチの変化が低減し、ラベルとして高精度の印刷を行うこともできる。更に印刷インクに含まれる溶剤に対する耐久性も向上し、印刷性に優れる。
【0035】
上記シンジオタクティック構造を有するポリスチレン系樹脂は、側鎖であるフェニル基および/または置換フェニル基を核磁気共鳴法により定量するタクテイシテイにおいてダイアッド(構成単位が二個)で好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上であるのがよく、また、ペンタッド(構成単位が5個)で好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上であるのがよい。
【0036】
本発明に使用するポリスチレン系樹脂を構成するポリスチレン成分としては、ポリスチレン、ポリ(p-、m-、またはo-メチルスチレン)、ポリ(2,4-、2,5-、3,4-、または3,5-ジメチルスチレン)、ポリ(p-ターシャリーブチルスチレン)等のポリ(アルキルスチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-クロロスチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-ブロモスチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-フルオロスチレン)、ポリ(o-メチル-p-フルオロスチレン)等のポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-クロロメチルスチレン)等のポリ(ハロゲン化置換アルキルスチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-メトキシスチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-エトキシスチレン)等のポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(p-、m-、またはo-カルボキシメチルスチレン)等のポリ(カルボキシアルキルスチレン)ポリ(p-ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリ(アルキルエーテルスチレン)、ポリ(p-トリメチルシリルスチレン)等のポリ(アルキルシリルスチレン)、さらにはポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)等が挙げられる。
【0037】
本発明においてポリスチレン系樹脂には、熱可塑性樹脂および/またはゴム成分を添加することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アタクチック構造を有するポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン4、ポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
一方、ゴム成分としては、スチレン系化合物をその構成成分として含有するゴム状共重合体が好ましく、スチレンとゴム成分からそれぞれ一種以上を選んで共重合したランダム、ブロックまたはグラフト共重合体を挙げることができる。このようなゴム状共重合体としては、たとえばスチレン-ブタジエン共重合体ゴム、スチレン-イソプレンブロック共重合体、それらのブタジエン部分の一部あるいは全部を水素化したゴム、アクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム、アクリロニトリル-アルキルアクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム、メタクリル酸メチル-アルキルアクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム等を挙げることができる。上記したスチレン系化合物をその構成成分として含有するゴム状共重合体は、スチレン単位を有するため、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂に対する分散性が良好であり、ポリスチレン系樹脂に対する可塑性改良効果が大きい。また、相溶性調整剤としては、上記したスチレン系化合物をその構成成分として含有するゴム状共重合体を好適に用いることができる。
【0038】
一方、前記ゴム成分としては、他に、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ポリエーテル-エステルゴム、ポリエステル-エステルゴム等を用いることができる。
【0039】
また、ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、10,000以上であると好ましく、50,000以上であるとより好ましい。重量平均分子量が10,000未満のものは、フィルムの強伸度特性や耐熱性が低下し易いので好ましくない。重量平均分子量の上限は特に限定されないが、重量平均分子量が1,500,000を上回ると、延伸張力の増大に伴う破断の発生等が生じることがあるため、好ましくない。
ポリスチレン系樹脂は、各種メーカーにより、種々のグレードのものが市販されており、市販のものを使用してもよい。他の層は、1層であっても2層以上でも構わない。
【0040】
本発明の熱収縮性ラベルを構成する熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムは、上記したポリ塩化ビニル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により、横延伸して熱処理することによって得ることができる。積層する場合は、複数の押し出し機やフィードブロック、マルチマニホールドを用いればよい
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリ塩化ビニル原料を押出機を利用して、150~200℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
得られた未延伸フィルムは、必要により80~120℃、好ましくは90~110℃で予熱した後、横方向(押し出し方向に対して直交する方向)にテンター等で3.0倍以上、好ましくは3.5倍以上7倍以下に延伸する。延伸温度は、70℃以上110℃以下、好ましくは80℃以上100℃以下である。
また、横延伸後は、延伸温度より1℃~30℃高い温度で、熱処理することが好ましい。熱処理は、延伸後のフィルムの緊張状態を緩和するために行われ、熱処理時の温度で熱収縮率の調整を行い、また自然収縮率を減少させるのにも効果がある。これにより、本発明の熱収縮性ラベルを構成する熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムが得られる。
【0041】
本発明の熱収縮性ラベルを構成する熱収縮性ポリスチレン系フィルムは、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により、縦延伸、横延伸して熱処理することによって得ることができる。積層する場合は、複数の押し出し機やフィードブロック、マルチマニホールドを用いればよい。なお、通常は、チップ状のポリスチレンを2種以上混合してフィルムの原料として使用する。積層する場合は、複数の押し出し機を用いればよい。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリスチレン原料を押出機を利用して、200~250℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
得られた未延伸フィルムは、必要によりロールで70~100℃、好ましくは80~90℃で加熱された後、1.1~1.8倍にロールの速度差を用いて縦延伸される。得られた縦延伸後のフィルムは、必要により80~120℃、好ましくは90~110℃で予熱した後、横方向(押し出し方向に対して直交する方向)にテンター等で3.0倍以上、好ましくは3.5倍以上7倍以下に延伸する。延伸温度は、70℃以上100℃以下、好ましくは70℃以上95℃以下である。
また、横延伸後は、延伸温度より1℃~30℃高い温度で、熱処理することが好ましい。熱処理は、延伸後のフィルムの緊張状態を緩和するために行われ、熱処理時の温度で熱収縮率の調整を行い、また自然収縮率を減少させるのにも効果がある。これにより、本発明の熱収縮性ラベルを構成する熱収縮性ポリスチレン系フィルムが得られる。
【0042】
本発明の熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムは、従来公知の方法によりラベル化することができる。一例としては、所望幅に裁断した熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムに適当な印刷を施し、前記の溶剤組成物によりフィルムの左右端部(両端部同士)を重ね合わせて接合してチューブフィルムを製造する。このチューブフィルムを適切な長さに裁断し、チューブ状ラベルとする。接着用の有機溶剤としては、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上の有機溶剤を必須成分として、この他、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素やフェノール等のフェノール類あるいはこれらの混合物が使用できる。
上記ラベルに対し公知の方法によりミシン目を形成した後、PETボトルに被せ、当該PETボトルをベルトコンベアー等にのせて、スチームを吹きつけるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)または、熱風を吹きつけるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を通過させる。これらのトンネル通過時にラベルが熱収縮することにより、ラベルがペットボトル等のボトル容器に装着される。
本発明の包装体は、好ましくは本発明の熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムから得られたミシン目またはノッチを有するラベルが、包装対象物の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成されるものである。包装対象物としては、飲料用のPETボトルを始め、各種の瓶、缶、菓子や弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる。なお、通常、それらの包装対象物に、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムから得られるラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該ラベルを約5~70%程度熱収縮させて包装体に密着させる。なお、包装対象物に被覆されるラベルには、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。
【実施例0043】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
[温湯熱収縮率]
フィルムを長手方向およびその直交方向(幅方向)に沿うように10cm×10cmの正方形に裁断し、90℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、水中から引き出して、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。
収縮率={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)
本実施例では、フィルムの最も収縮率の大きい方向(主収縮方向)は幅方向である。
[ガラス転移点(Tg)]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って求めた。未延伸フィルム10mgを、25℃から120℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0044】
[溶剤接着方法]
フィルムを幅380mmに裁断しながら、長手方向の巻長1000mとしてフィルムロールを製造した。そのフィルムロールからフィルムを繰り出して、フィルム幅方向の片端部の内側に接着用溶剤組成物を塗布幅が4±2mmの範囲内となるように長手方向に連続的に塗布し、この溶剤組成物塗布部をフィルムのもう一方の幅方向端部の上に、重なり部がセンターに来るようにフィルムを折り重ねて、溶剤接着した。
剤接着加工速度は400m/分とし、溶剤接着後のフィルムを同速度で紙管に巻き取った。得られたチューブ状ラベルのロールを23℃の雰囲気下で24時間エージングした。
また溶剤の塗布量は任意により調整を行っている。
[接着溶剤組成物の粘度]
株式会社アタゴ製のB型粘度計(型式:BASE L)を用いて、接着溶剤組成物温度23℃、回転数10rpmの条件で測定を行った。
【0045】
[溶剤の突き抜け性評価]
溶剤接着して得られた巻長1000mのチューブ状ラベルを、30℃・湿度80%の環境試験室で336時間(14日間)エージングした。その後ロール表面から500m引き出し、ブロッキング現象があったときは溶剤が突き抜けていると判断し、以下のように評価した。
ブロッキングなし:溶剤の突き抜け性評価 ○(突き抜けなし)
ブロッキングあり:溶剤の突き抜け性評価 ×(突き抜けあり)
【0046】
[溶剤接着部の剥離強度の測定方法]
上記した溶剤突き抜け評価時にロール表層から500m引き出した後の巻長500mのチューブ状ラベルロールの表層部分から、溶剤接着部が中央に来るように幅(長手方向長さに相当)15mmの試料を円周方向に沿って切り出した(長さは100mm程度あればよい)。試料数nは10とした。ボールドウィン社製の万能引張試験機「STM-50」にセットし、引張速度200mm/分の条件で180°ピール試験を行った。10個の試料の平均値を溶剤接着部の剥離強度(N/15mm)とした。
【0047】
<ポリエステルA~Cの合成例>
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃で26.7Paの減圧条件下、重縮合反応を行い、表2に示すポリエステルA、B、Cを得た。
表中、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、AAはアクリル酸、SAはセバシン酸、EGはエチレングリコール、CHDMは1,4-シクロヘキサンジメタノール、NPGはネオペンチルグリコール、BDは1,4-ブタンジオールである。表2のポリエステルの固有粘度は、ポリエステルAが0.53dl/g、ポリエステルBが0.98dl/g、ポリエステルCが0.89dl/gであった。なお、各ポリエステルは適宜チップ状にした。
【0048】
<ポリプロピレンおよび水添石油樹脂>
下記に示すポリプロピレンおよび水添石油樹脂を用いて行った。
ポリプロプレン:出光興産(株)製のエルモーデユ 商品名S-901
水添石油樹脂:出光興産(株)製のアイマーブ 商品名P-140
【0049】
<熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムの製造方法>
塩化ビニル系樹脂(平均重合度1300)を60重量%、フタル酸エステル系可塑剤30重量%、MBS樹脂6重量%、バリウム―亜鉛系複合安定化剤2重量%、ポリメタクリル酸メチル樹脂1重量%、エチレンビスステアリン酸アミド1重量%を混合してフィルム成形用塩化ビニル系樹脂組成物とした。この原料処方を表1に示す。上記塩化ビニル系樹脂組成物を単軸式押出機のTダイから溶融押し出し未延伸フィルムを得た。なお、押出機とTダイの温度は200℃に調整した。また、Tダイからの押出を安定させるために、押出機とTダイとの間にヘリカルタイプかつ並列タイプのギアポンプを改善させた。このとき未延伸フィルムの引き取り速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/minであった。また金属ロールの表面温度は20℃で得られた未延伸フィルムの厚みは約75μmであった。
得られた未延伸フィルムを、予熱ゾーンで100℃に加熱し、80℃の設定温度の延伸ゾーンで幅方向に5倍延伸した。続いて88℃で5秒間熱処理を行って、その後冷却した。両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ15μmの一軸延伸フィルムを1100mに亘って連続的に製造した。得られたフィルムは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表3に示した。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
[実施例1]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、THF/ポリエステルAを90/10(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、300mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例2]
混合した溶剤組成物をMEK/ポリエステルAを90/10(重量比)で混合した以外は、実施例1と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例3]
混合した溶剤組成物を酢酸エチル/ポリエステルAを90/10(重量比)で混合した以外は、実施例1と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例4]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、THF/ポリエステルBを80/20(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、300mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接
着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例5]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、THF/ポリエステルCを95/5(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、300mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例6]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、酢酸エチル/ポリエステルAを60/40(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、100mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例7]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、酢酸エチル/ポリエステルAを80/20(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、500mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0054】
[比較例1]
酢酸エチルのみの接着溶剤を用いた以外は実施例6と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤接着部の剥離強度が低く、ラベルとしては好ましくないものであった。
[比較例2]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、酢酸エチルのみで4mm幅で、600mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤接着部の剥離強度が大きかったが、溶剤の突き抜け(ブロッキング)があり、ラベルとしては好ましくないものであった。
[比較例3]
THF/ポリエステルCを40/60(重量比)で混合した溶剤組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、チューブ状ラベルロールを得ようとした。溶剤接着条件および結果を表4に示した。接着溶剤組成物の粘度が高すぎるため、フィルムに接着溶剤組成物を4mm幅で、1g/m2以下となるように塗布できなかった。
【0055】
【0056】
[実施例8]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、THF/ポリプロピレン(S-901)を90/10(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、300mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表5に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例9]
混合した溶剤組成物をMEK/S-901を90/10(重量比)で混合した以外は、実施例8と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表5に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例10]
混合した溶剤組成物を酢酸エチル/S-901を90/10(重量比)で混合した以外は、実施例8と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表5に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0057】
[実施例11]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、酢酸エチル/水添石油樹脂 (P-140)を95/5(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、300mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表5に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例12]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、酢酸エチル/S-901を70/30(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、300mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表5に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例13]
前記熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルムに、酢酸エチル/S-901を70/30(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、100mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表5に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0058】
[比較例4]
THF/P-140を40/60(重量比)で混合した溶剤組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、チューブ状ラベルロールを得ようとした。溶剤接着条件および結果を表3に示した。接着溶剤組成物の粘度が高すぎるため、フィルムに接着溶剤組成物を4mm幅で、1g/m2以下となるように塗布できなかった。
【0059】
【0060】
<熱収縮性ポリスチレン系フィルムの製造方法>
チップ1,2,3を、それぞれ、ブレンダー装置を用いて予備乾燥した後、それらのチップ1,2,3を、混合ミキサー内へ、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給した。なお、チップ1の供給量を43質量%部とし、チップ2の供給量を43質量%部とし、チップ3の供給量を14質量%部とした。これの原料チップの内容を表1に示す。その後、混合ミキサー内で混合したチップ1,2,3の混合原料を、押出機の直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給した。そして、供給されたチップ1,2,3(混合済みのもの)を、単軸式の押出機のTダイから溶融押出しした。なお、押出機の温度も200℃に調整した。また、Tダイからの押出を安定させるために、押出機とTダイとの間にヘリカルタイプかつ並列タイプのギアポンプを介在させた。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/minであった。また金属ロールの表面温度は20℃で、得られた未延伸フィルムの厚みは150μmであった。
得られた表面温度80℃の金属ロールで加熱後にロールの速度差を用いて長手(縦)方向に1.5倍延伸した。
次に得られた縦方向に一軸延伸したフィルムを、予熱ゾーンで100℃に加熱し、80℃の設定温度の延伸ゾーンで幅方向に5倍延伸した。続いて88℃で5秒間熱処理を行って、その後冷却した。両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ20μmの横一軸延伸フィルムを1100mに亘って連続的に製造した。得られたフィルムは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリスチレン系フィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表6に示した。
【0061】
【0062】
【0063】
[実施例14]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、THF/ポリエステルAを90/10(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、250mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例15]
混合した溶剤組成物をMEK/ポリエステルAを90/10(重量比)で混合した以外は、実施例14と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0064】
[実施例16]
混合した溶剤組成物を酢酸エチル/ポリエステルAを90/10(重量比)で混合した以外は、実施例14と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例17]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、THF/ポリエステルBを80/20(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、250mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0065】
[実施例18]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、THF/ポリエステルCを95/5(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、250mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例19]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、酢酸エチル/ポリエステルAを60/40(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、100mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例20]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、酢酸エチル/ポリエステルAを80/20(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、400mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0066】
[比較例5]
酢酸エチルのみの接着溶剤を用いた以外は実施例19と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤接着部の剥離強度が低く、ラベルとしては好ましくないものであった。
[比較例6]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、酢酸エチルのみで4mm幅で、450mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤接着部の剥離強度が大きかったが、溶剤の突き抜け(ブロッキング)があり、ラベルとしては好ましくないものであった。
[比較例7]
THF/ポリエステルCを40/60(重量比)で混合した溶剤組成物を用いた以外は実施例14と同様にして、チューブ状ラベルロールを得ようとした。溶剤接着条件および結果を表4に示した。溶剤組成物の粘度が高すぎるため、フィルムに溶剤組成物を4mm幅で、1g/m2以下となるように塗布できなかった。
【0067】
【0068】
[実施例21]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、THF/ポリプロピレン(S-901)を90/10(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、250mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表9に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例22]
混合した溶剤組成物をMEK/S-901を90/10(重量比)で混合した以外は、実施例21と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表9に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0069】
[実施例23]
混合した溶剤組成物を酢酸エチル/S-901を90/10(重量比)で混合した以外は、実施例21と同様にして、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件および結果を表9に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例24]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、酢酸エチル/ポリプロピレン(P-140)を95/5(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、250mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表9に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0070】
[実施例25]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、酢酸エチル/S-901を70/30(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、250mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表9に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
[実施例26]
前記熱収縮性ポリスチレン系フィルムに、酢酸エチル/S-901を70/30(重量比)で混合した溶剤組成物を4mm幅で、100mg/m2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度を測定し、溶剤接着条件および結果を表9に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0071】
[比較例8]
THF/P-140を40/60(重量比)で混合した接着溶剤組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、チューブ状ラベルロールを得ようとした。溶剤接着条件および結果を表9に示した。接着溶剤組成物の粘度が高すぎるため、フィルムに接着溶剤組成物を4mm幅で、1g/m2以下となるように塗布できなかった。
【0072】
本発明の熱収縮性ラベルは、熱収縮性ポリ塩化ビニル系フィルム又は熱収縮性ポリスチレン系フィルムを接着して環状にする工程において、溶剤の量が変動しても溶剤接着部の剥離強度が高く、溶剤突き抜け(ブロッキング)がし難く産業上の利用価値の高いものである。