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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014890
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】椎間補綴物
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188605
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2020532795の分割
【原出願日】2018-12-11
(31)【優先権主張番号】15/842,663
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】317011964
【氏名又は名称】シンプリファイ メディカル プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アラモン, イブ
(72)【発明者】
【氏名】ホブダ, デイビッド
(57)【要約】
【課題】隣接する脊椎骨間への挿入のための、椎間補綴物を提供する。
【解決手段】隣接する脊椎骨間への挿入のための、椎間補綴物は、上側プレートと、下側プレートと、コアとを含む。コアは、プレート上の中心突出部およびコア内の対応する開口部の形態の保定特徴によって、上側および下側プレートの間に保定される。保定特徴は、プレートが、コアの上側および下側表面にわたって、前/後方向および側方向に摺動することを可能にし、かつプレートが、相互およびコアに対して回転することを可能にするように設計される。保定特徴はまた、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、第1および第2のプレート間の接触を防止するように設計される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する脊椎骨間への挿入のための椎間補綴物であって、前記椎間補綴物は、
第1のプレートであって、前記第1のプレートは、第1の脊椎骨に対して位置特定可能な外側表面と、内側湾曲表面とを有し、第1の中心突出部が、前記内側湾曲表面から延在する、第1のプレートと、
第2のプレートであって、前記第2のプレートは、第2の脊椎骨に対して位置特定可能な外側表面と、内側湾曲表面とを有し、第2の中心突出部が、前記内側湾曲表面から前記第1のプレートに向かって延在する、第2のプレートと、
等脚台形形状を持つ断面を有するリング形状コアであって、前記コアは、前記プレートが前記コアの上側表面および下側表面を摺動することを可能にするように前記第1および前記第2のプレートの前記内側湾曲表面に対して形状が相補的な上側および下側湾曲表面と、前記第1および前記第2の中心突出部を受容するように構成された中心開口部とを有し、等脚台形形状を有する断面を有する、コアと
を有し、
前記第1および前記第2の中心突出部並びに前記中心開口部は、相互に協働して前記プレート間に前記コアを保定し、前記第1の中心突出部および前記第2の中心突出部の各々は、前記中心開口部の最小の直径より小さい直径を有する、椎間補綴物。
【請求項2】
前記第1の中心突出部または前記第2の中心突出部の前記直径は、前記中心開口部の前記最小の直径の40%から60%の間である、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項3】
前記第1の中心突出部または前記第2の中心突出部の前記直径は、最大で前記中心開口部の前記最小の直径の50%である、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項4】
前記第1のプレートの前記内側湾曲表面および前記第2のプレートの前記内側湾曲表面は、前記コアの全体の直径と実質的に等しい直径を定める、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項5】
前記中心開口部の前記最小の直径は、前記コアの最大の直径の少なくとも30%である、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項6】
前記第1のプレートの前記外側表面は、複数の角錐体形の鋸歯状の縁を含み、前記第1のプレートの前記内側湾曲表面は、第1の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁を含む、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項7】
前記外側表面と前記内側湾曲表面との間の前記第1のプレートの一部が、第2の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁を含み、前記第2の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁は、前記第1の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁よりも、前記複数の角錐体形の鋸歯状の縁に対してより低い程度で切頭されている、請求項6に記載の椎間補綴物。
【請求項8】
前記リング形状コアは、平坦な幾何学的形状を有する、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項9】
前記第1のプレートまたは前記第2のプレートは、前記外側表面が前記内側湾曲表面に対して非平行な配向を有するように構成される、請求項1に記載の椎間補綴物。
【請求項10】
隣接する脊椎骨間への挿入のための椎間補綴物であって、前記椎間補綴物は、
第1のプレートであって、前記第1のプレートは、第1の脊椎骨に対して位置特定可能な外側表面と、内側湾曲表面とを有し、第1の中心突出部が、前記内側湾曲表面から延在する、第1のプレートと、
第2のプレートであって、前記第2のプレートは、第2の脊椎骨に対して位置特定可能な外側表面と、内側湾曲表面とを有し、第2の中心突出部が、前記内側湾曲表面から前記第1のプレートに向かって延在する、第2のプレートと、
等脚台形形状を持つ断面を有する平坦なリング形状コアであって、前記コアは、前記プレートが前記コアの上側表面および下側表面を摺動することを可能にするように前記第1および前記第2のプレートの前記内側湾曲表面に対して形状が相補的な上側および下側湾曲表面と、前記第1および前記第2の中心突出部を受容するように構成された中心開口部とを有する、コアと
を有し、
前記第1および前記第2の中心突出部並びに前記中心開口部は、相互に協働して前記プレート間に前記コアを保定し、前記第1のプレートの前記内側湾曲表面および前記第2のプレートの前記内側湾曲表面は、前記コアの全体の直径と実質的に等しい直径を定める、椎間補綴物。
【請求項11】
前記第1の中心突出部および前記第2の中心突出部の各々は、前記中心開口部の最小の直径より小さい直径を有する、請求項10に記載の椎間補綴物。
【請求項12】
前記中心開口部の最小の直径は、前記コアの最大の直径の少なくとも30%である、請求項10に記載の椎間補綴物。
【請求項13】
前記第1のプレートの前記外側表面は、複数の角錐体形の鋸歯状の縁を含み、前記第1のプレートの前記内側湾曲表面は、第1の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁を含む、請求項10に記載の椎間補綴物。
【請求項14】
前記外側表面と前記内側湾曲表面との間の前記第1のプレートの一部が、第2の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁を含み、前記第2の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁は、前記第1の複数の切頭角錐体形の鋸歯状の縁よりも、前記複数の角錐体形の鋸歯状の縁に対してより低い程度で切頭されている、請求項13に記載の椎間補綴物。
【請求項15】
前記第1のプレートは前記第2のプレートと同じである、請求項10に記載の椎間補綴物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2017年12月14日に出願された、米国特許出願第15/842,663号(弁理士整理番号第29850-732.201号)の利益を主張する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、医療用デバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、補綴椎間板の中にコアを保定するための、補綴椎間板および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背部痛は、世界中の人々の健康および生産性に対して甚大な被害を与える。アメリカ整形外科医学会によると、アメリカ人の約80パーセントが、その人生のある時点で背部痛を被るであろう。任意の1日において、アメリカの労働人口の5%が、背部痛によって障害を与えられていることが推定されている。
【0004】
背部痛の一般的な原因は、1つ以上の椎間板の損傷、変形、および/または機能不全である。椎間板は、脊(脊)柱を構成する、33個の椎骨のそれぞれの間に位置する、軟組織構造である。本質的に、椎間板は、脊椎骨が相互に対して移動することを可能にする。脊柱および椎間板は、それらが頭部および胴体を支持し、背中の移動を可能にし、椎間板に近接する脊椎骨を通過する、脊髄を保護する、中心軸を形成する点で、重要な解剖学的構造である。
【0005】
損傷された椎間板が、患者に疼痛および不快感を引き起こすと、外科手術が、多くの場合、要求される。典型的には、椎間板を治療するための外科手技は、椎間板切除(椎間板の部分的または完全な除去)を伴い、多くの場合、椎間板に隣接する上および下椎の椎体間癒合、または補綴椎間板の埋込が後に続く。癒合は、最も一般的には、隣接する脊椎骨をともに癒合するように骨の成長を助長するための骨補填材料とともにケージまたはスペーサを埋め込むことによって達成される。多くの場合、ピン、ロッド、ねじ、ケージ、および/または同等物が、脊椎骨間に設置され、脊椎骨および骨補填材料を定位置に保持するための支持構造として作用する一方、骨は、恒久的にともに癒合する。
【0006】
そのような癒合手技が、多くの患者に関して非常に成功しているが、いくつかの場合では、癒合スペーサまたはケージが、埋め込むために困難であり得、完全な癒合を達成するために必要な骨の再成長が、過度な時間周期を要し得る。加えて、癒合手技は、患者の移動性を限定する。いくつかのタイプの椎間板補綴物が、現在利用可能である。例えば、椎間板補綴物の1つのタイプは、米国内の背部痛患者の一般人口における、椎間板置換使用に関して承認された、最初の椎間板であった、CHARITE(TM)人工椎間板である。本補綴物は、隣接する椎体に対して位置特定し、かつそれらを係合させる、上側および下側補綴プレートまたはシェルと、プレート間の低摩擦コアとを含む。コアは、上側および下側凸状湾曲表面を有し、プレートは、コアの湾曲表面と協働する、対応する凹状湾曲陥凹部を有する。これは、プレートがコアにわたって摺動することを可能にし、要求される脊椎移動が生じることを可能にする。プレート内の湾曲陥凹部は、コアの湾曲表面を囲繞する周辺チャネルを、対抗して上向きおよび下向きに面して、コアにわたってプレートの摺動移動の限界に位置させる、環状の隆起によって囲繞される。
【0007】
本タイプの椎間板構成が、米国特許第5,401,269号に説明される。そのような
構成の欠点は、コアが、事実上、プレート間に「圧着されている」にすぎないため、本構成は、コアの確実な保定を可能にしないことである。1つの代替配列では、コアの湾曲表面は、プレート内の伸長溝の中に位置特定する、対向する伸長楔を担持し、別の代替配列は、プレートは、コアの反対の湾曲表面内の伸長溝の中に位置特定する、対向する伸長楔を有する。これらの楔および溝配列は、プレートが、溝の長さの限界内でコアにわたって一方向にのみ摺動することを可能にする。許容差が、溝の中の楔のある側方の遊びに関して作製されるが、コアにわたってプレートの非常に少ない摺動移動が、直交する垂直平面において生じ得、これは、本設計の深刻な欠点であると見なされている。他の現在利用可能な椎間板補綴物も、類似する、および/または他の欠点を有する。典型的には、欠点は、摩耗および引裂に対する不十分な耐性、制限された範囲の運動、潜在的な摩耗を引き起こす、プレート間の望ましくない接触、患者の解剖学的構造に適切に整合されていない、過度の椎間板高さ、および/または椎骨に付着するための補綴物の不十分な能力を含む。
【0008】
したがって、改良された椎間板補綴物のための必要性が存在する。理想的には、そのような改良された補綴物は、摩耗および引裂に耐え、所望される範囲の運動を提供し、低い高さを提供し、椎骨に良好に付着するであろう。これらの目的の少なくともいくつかは、本発明によって達成されるであろう。これらの目的の少なくともいくつかは、本明細書に下記に説明される発明によって達成されるであろう。
【0009】
(2.背景の説明)
種々の椎間板設計が、米国特許第7,531,001号、第7,442,211号、第7,753,956号、第7,575,599号、第8,764,833号、および第9,011,544号に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,401,269号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の簡単な要約)
本発明は、椎間板置換手技を実施するための、代替の改良された装置および方法を提供する。
【0012】
一実施形態によると、隣接する脊椎骨間への挿入のための、椎間補綴物は、第1のプレートと、第2のプレートと、コアとを含む。第1のプレートは、個別の脊椎骨に対して位置特定可能な、外側表面と、内側湾曲表面と、内側湾曲表面を囲繞する、環状周辺部と、環状周辺部表面と外側表面との間の側方部分とを有する。第1の中心突出部が、第1のプレートの内側湾曲表面から延在する。第2のプレートは、個別の脊椎骨に対して位置特定可能な、外側表面と、内側湾曲表面と、内側湾曲表面を囲繞する、環状周辺部表面と、環状周辺部外側表面との間の側方部分とを有する。第2の中心突出部が、第2のプレートの内側湾曲表面から第1のプレートに向かって延在する。コアは、プレートが、コアの上側および下側表面にわたって摺動することを可能にするように、第1および第2のプレートの内側湾曲表面に対して形状が相補的な、上側および下側湾曲表面と、第1および第2の中心突出部を受容するための、中心開口部とを有する。第1および第2の中心突出部および中心開口部は、相互と協働し、プレート間にコアを保定し、第1および第2のプレートの相互に対する運動を限定し、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、第1および第2のプレートの環状周辺部表面間の接触を防止する。第1および第2の中心突出部はそれぞれ、コア内の中心開口部の直径の約2分の1以下の直径を有する。
【0013】
別の実施形態によると、隣接する脊椎骨間への挿入のための、椎間補綴物は、第1のプレートと、第2のプレートと、コアとを含む。第1のプレートは、外側脊椎接触面と、内側軸受面と、内側軸受面から延在する、中心突出部とを有する。第2のプレートは、外側脊椎接触面と、内側軸受面と、内側軸受面から第1のプレートに向かって延在する、中心突出部とを有する。コアは、プレートが、コアの上側および下側表面にわたって摺動することを可能にするように、第1および第2のプレートの内側軸受面に対して形状が相補的な、上側および下側湾曲表面と、第1および第2のプレートの中心突出部を受容するための、中心開口部とを有する。第1および第2の中心突出部および中心開口部は、相互と協働し、プレート間にコアを保定し、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、第1および第2のプレートの任意の部分間の接触を防止する。第1および第2のプレートは、コアを中心として、中立位置から、前/後および側方向のそれぞれに少なくとも5度かつ8度以下だけ相互に対して関節運動することが可能である。
【0014】
さらなる実施形態によると、補綴椎間板の中にコアを保定する方法は、外側脊椎接触面と、内側軸受面と、内側軸受面から延在する、中心突出部とを有する、第1のプレートを提供するステップと、外側脊椎接触面と、内側軸受面と、内側軸受面から第1のプレートに向かって延在する、中心突出部とを有する、第2のプレートを提供するステップと、第1および第2のプレートの間にコアを提供するステップとを含む。コアは、プレートが、コアの上側および下側表面にわたって摺動することを可能にするように、第1および第2のプレートの内側軸受面に対して形状が相補的な、上側および下側湾曲表面と、第1および第2のプレートの中心突出部を受容するための、中心開口部とを有する。補綴椎間板が、組み立てられた構成にあるとき、コアは、プレート間に保定され、接触が、第1および第2の中心突出部と中心開口部との協働によって、コアにわたるプレートの摺動移動の間に、プレート間で防止される。組み立てられた構成において、第1および第2のプレートは、コアを中心として、中立位置から前/後および側方向のそれぞれに少なくとも5度かつ8度以下だけ関節運動することを可能にされる。
【0015】
別の実施形態によると、補綴椎間板内のプレート間の接触を防止する方法であって、
外側脊椎接触面と、内側軸受面と、内側軸受面から延在する、中心突出部とを有する、第1のプレートを提供するステップと、
外側脊椎接触面と、内側軸受面と、内側軸受面から第1のプレートに向かって延在する、中心突出部とを有する、第2のプレートを提供するステップと、
第1および第2のプレートの間にコアを提供するステップであって、コアは、プレートが、コアの上側および下側表面にわたって摺動することを可能にするように、第1および第2のプレートの内側軸受面に対して形状が相補的な、上側および下側湾曲表面と、第1および第2のプレートの中心突出部を受容するための、中心開口部とを有する、ステップと、
補綴椎間板が組み立てられた構成にあるとき、第1および第2の中心突出部と中心開口部との間の協働によって、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、プレート間の接触を防止するステップと、
組み立てられた構成において、第1および第2のプレートが、コアを中心として、中立位置から前/後および側方向のそれぞれに少なくとも5度だけ関節運動することを可能にするステップであって、第1および第2の中心突出部はそれぞれ、コア内の中心開口部の直径の約2分の1以下の直径を有する、ステップと
を含む、方法。
【0016】
本発明の新規の特徴は、添付される請求項において具体的に記載される。本発明の特徴および利点のより深い理解が、本発明の原理が利用される例証的実施形態を記載する、以下の発明を実施するための形態と、付随の図面とを参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、中立位置にある補綴椎間板の断面図である。
【0018】
図2図2は、最大関節運動位置にある、図1の補綴椎間板の断面図である。
【0019】
図3図3は、図1の補綴椎間板の上面図である。
【0020】
図4図4は、図1の補綴椎間板の上側終板の3つの異なるサイズの側面図である。
【0021】
図5図5は、図1の補綴椎間板の上側終板の3つの異なるサイズの底面図である。
【0022】
図6図6は、図1の補綴椎間板の上側終板の斜視図である。
【0023】
図7図7は、補綴椎間板の上側終板の代替実施形態の上面図である。
【0024】
図8図8は、補綴椎間板の別の代替実施形態の斜視図である。
【0025】
図9図9は、図8の補綴椎間板の前面図である。
【0026】
図10図10は、図8の補綴椎間板の側方図である。
【0027】
図11図11は、図8の補綴椎間板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
図1を参照すると、隣接する脊椎骨間への挿入のための、椎間補綴物10は、上側プレート12と、下側プレート14と、コア16とを含む。コア16は、プレート上の中心突出部およびコア16内の開口部の形態の保定特徴によって、上側および下側プレート12、14の間に保定される。保定特徴は、プレートが、コアの上側および下側表面にわたって、前/後方向および側方向に摺動することを可能にし、かつプレートが、相互およびコアに対して回転することを可能にするように設計される。保定特徴はまた、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、第1および第2のプレート間の接触を防止するように設計される。
【0029】
上側プレート12は、角錐形状を有するプレートの外側部分において鋸歯状の縁と、角錐台形状を有するプレートの内側部分において鋸歯状の縁とを伴う複数の鋸歯状の縁20を有する、外側表面18を含む。プレートの外側部分と内側部分との間の鋸歯状の縁は、内側の鋸歯状の縁より少ない程度に切り取られている。切取の本変形例は、鋸歯状の縁のそれぞれの上部が図1において線Xによって図示される、単一平面内に置かれることを可能にする。上側プレート12は、(図5に示される)直径Dbを伴う凹状の球形と、円形の周辺部とを伴う、内側軸受面22を有する。中心突出部24は、内側軸受面20の中心から下側プレート14に向かって延在する。中心突出部24は、その高さの実質的に中間点において測定された、直径Dpを有する、略円筒形のペグの形態である。本明細書に使用されるような用語「略円筒形」は、高さまたは長さの少なくとも50パーセントに沿って、直径において10パーセント未満だけ変動することを意味する。上側プレート12は、プレートの底部側上で内側湾曲軸受面22を囲繞する、環状周辺部表面26を含む。側面壁部分27が、環状周辺部表面26と外側椎体接触面18との間のプレート12の周囲
に延在する。
【0030】
下側プレート14は、複数の鋸歯状の縁30を伴う、外側表面28と、内側軸受面から上向きに延在する突出部34を伴う、内側軸受面32とを有する。図1の実施形態では、下側プレート14は、上側プレート12と同じであるが、しかしながら、他の実施形態では、上側および下側プレートは、患者の解剖学的構造により近似的に整合するように、異なる構成を有し得る。例えば、上側または上位プレートは、幾分ドーム状に成形された外側表面を有し、脊椎骨の下側表面内の解剖学的凹面に適応し得る。加えて、上側および下側プレートの一方または両方は、非平行な上側および下側表面を具備し、脊柱側弯症に適応することができる。同じ上側および下側プレートの利点は、配向を確認する必要性を伴わない、製造、組立、および挿入のし易さを含む。
【0031】
コア16は、3つの直交する寸法のそれぞれにおける正中線に対して対称的である。コア16の中心開口部36は、突出部24、34の直径Dpより大きい、最小直径Doを有する。突出部の直径Dpは、突出部の上部と底部との間の約半分の突出部のほぼ中間において測定される。中心突出部24、34はそれぞれ、直径Doの約60%~30%、直径Doの約65%~40%、好ましくは、コア16内の中心開口部の最小直径Doの約半分以下の直径Dpを有する。コアは、上側および下側プレートの凹面形軸受面の直径Dbに実質的に等しい、全直径Dcを有する。一実施形態では、コアの直径Dcは、軸受面の直径Dbの約95%~約105%である。コア16は、コアの高さを通して延在する、中心開口部36を伴って図示されるが、中心開口部はまた、コアを通して完全に延在しない、部分的な開口部であり得る。コア16の中心開口部36の直径Doは、コアの最大径Dcの少なくとも30%、または好ましくは、その少なくとも3分の1である。
【0032】
コア16は、丸みを帯びた角を伴う略等脚台形を有する、リングの壁を通る断面を伴う、環状の平坦なリングの形状を有する。コア横断は、中心開口部36の縁において、長い基部側と、コアの外部円筒形壁において、短い基部側とを有する。コアの上側および下側表面は、台形断面の角度付けられた側面を形成し、好ましくは、同じである。コアの形状はまた、平坦なドーナツ状形状として説明され得る。コアの内側および外側壁は、略円筒形であり、コアの上側および下側壁は、球の一部である。代替として、コア16は、穿孔レンズとして説明され得る。上部および底部表面は、球状半径が合同の終板凹面22、32のものと整合する、球状である。
【0033】
コアは、軸方向の最大高さHcと、半径方向の最大径Dcとを有する。一実施形態では、最大径Dcは、最大高さHcの少なくとも2倍である。
【0034】
図2は、関節運動の最大角における、補綴椎間板を示す。最大関節運動において、突出部24、34は、コア内の開口部36の側壁に当接し、さらなる関節運動を防止する。説明および示されるような、コア構成は、上側および下側プレートが、コアを中心として、図1に示される中立位置から前/後および側方向のそれぞれに、少なくとも5度、好ましくは約6度だけ、関節運動することを可能にする。プレート12、14間の最大関節運動角は、図2に示されるように、角度Aである。5度および6度の関節運動角Aは、終板12、14間の約10~12度の総前方/後方関節運動または総側方関節運動に対応する。好ましくは、プレート12、14間の最大関節運動角Aは、16度以下の総関節運動に対応する、任意の方向への8度未満である。
【0035】
中心突出部24、26および中心開口部36は、相互と協働し、プレート間にコアを保定し、第1および第2のプレートの相互に対する運動を限定し、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、プレートの環状周辺部表面26間の接触を防止する。図2に示されるように、最大の関節運動における環状周辺部表面26間の間隙Bは、好ましくは、少なくと
も0.5mmである。プレート12、14間の接触の防止は、金属プレート間の摩擦接触によって引き起こされ得る、摩耗試験および生体内における金属摩耗微粒子の生成を有意に低減させる。好ましくは、中心突出部24、34および中心開口部36は、プレート間にコアを保定するための、保定特徴と、コアにわたるプレートの摺動移動の間の、環状周辺部表面26間、およびプレート12、14の任意の他の部分間の接触を防止するための、運動限定特徴との両方を作成する。
【0036】
プレートが平行の配向にあり、コアが中心に位置付けられた状態における、図1に示される中立構成にある、組み立てられた椎間板は、頸椎椎間板に関して3.5mm~8mm、腰椎椎間板に関して8~15mmで変動し得る、高さHdを有する。頸椎椎間板の好ましい実施形態では、椎間板は、3.5~6mmの少なくとも3つの異なる高さを含む、高さの範囲内で提供される。例えば、高さ4、5、および6mmが、異なる患者の解剖学的構造に適応するように提供され得る。異なる高さの椎間板はそれぞれ、同一のコアサイズと、異なるプレート高さとを含んでもよい。代替として、同一のプレート高さが、異なるコア高さを伴うあらゆるサイズのために使用され得る、またはコアおよびプレートの高さが両方とも、サイズ間で変動し得る。椎間板の好ましいセットでは、少なくとも1つの椎間板サイズが、解剖学的高さに正確に整合するために、5mm以下の2つのプレートの外側表面間の最大高さを有する。
【0037】
好ましい実施形態では、総最大椎間板高さHdは、コアの高さHcの2倍を下回り、より好ましくは、コアの最大高さHcは、総椎間板高さHdの55%以上である。
【0038】
外科医に、特定の患者に関して所望される運動に応じてより多いまたはより少ない運動を提供するためのオプションを提供する、置換可能なコアもまた、提供され得る。一実施例では、中心突出部24の直径の約2倍のコア16の直径Doを有する中心開口部36を有する、第1のコアは、標準的な10~18度の運動を提供する一方、中心突出部24の直径の約1.5~1.8倍の直径Doを有する中心開口部36を有する、第2のコアは、5~12度の限定された運動を提供する。コアは、埋込に先立って置換可能であってもよい。代替として、コアは、最初の外科手術後に、置換され、上側および下側プレートを除去せずに運動を増加または減少させるための、後続の外科手術を伴ってもよい。一実施形態では、部品のセットが、患者の中への埋込のための椎間板を組み立てるための外科手術用セットとして提供され、部品のセットは、同じまたは異なる上側および下側終板と、上側および下側コア軸受面の同一の球状曲率と、異なる中心開口部直径Doとを有する、複数のコアとを含むことができる。
【0039】
一実施形態では、上側および下側プレートは、限定ではないが、コバルトクロムモリブデン、チタン、および金属とセラミックとの複合物、および/または同等物等の金属材料から形成される。上側および下側プレートの骨接触面は、酸化アルミニウムブラスティング等によって粗面化または処理される、または純チタン、HA(ハイドロキシルアパタイト)コーティング、マイクロHAコーティング、および/または骨統合助長コーティング等でコーティングされることができる。任意の他の好適な金属または金属の組み合わせ、およびセラミックまたはポリマー材料、およびそれらの組み合わせが、使用されてもよい。軸受面は、コーティングされない、または窒化チタンでコーティングされる等、処理またはコーティングされることができる。いくつかの実施形態では、2つの材料をともに結合させ、プレートの内側表面および外側表面を形成することが、有用であり得る。材料とコーティングとの任意の他の好適な組み合わせが、本発明の種々の実施形態において採用され得る。
【0040】
コアは、ポリエチレン、PEEK、UHMWPE、ビタミンE安定化UHMWPE、PLA、繊維強化ポリマー、セラミック、金属、複合物、または同等物を含む生体適合性ポ
リマー等の、低摩擦材料から形成されることができる。一実施例では、コアは、ニート(未充填)PEEK、Invibio, Inc.製PEEK-OPTIMA、Invibio, Inc.製PEEK-CFR(炭素繊維強化)、ガラス繊維強化PEEK、セラミック充填PEEK、テフロン(登録商標)充填PEEK、硫酸バリウム充填PEEK、または他の補強または充填PAEK材料等の繊維強化PEEKを含む、PAEK材料から形成されることができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、上側および下側プレートは、チタンから形成され、コアは、ポリエチレンから形成され、金属接触面上に金属を伴わない、ポリ軸受上に低摩耗金属を提供する。
【0042】
図3-6は、単一の上側または下側プレート、または異なるサイズの一連のプレートを示す。図3の上面図および図5の底面図により明確に見られるように、プレートはそれぞれ、挿入器具を用いてプレートを握持するために構成される、一対の側面切欠100を有する。図3-6に示されるように、側面切欠100は、椎間板の前側でプレートを握持し、脊柱の前側からの挿入のために、プレートの前側に向かって位置する。挿入器具(図示せず)は、2つの側面切欠100に嵌入する、対向する顎を含む。好ましい実施形態では、単一の対の対向顎は、上側および下側プレートを両方とも、同一の対向する右および左の顎と係合させることによって、上側および下側プレートの両方を握持することが可能である。いったん上側および下側プレートが、コアがそれらの間にあり、挿入器具によって握持される状態で組み立てられると、上側および下側プレートおよびコアは、固定された構成内に保持され、挿入器具の顎から解放されるまで、関節運動することは不可能である。拘束された挿入構成では、上側および下側プレートは、平行である、またはプレートの後縁が相互により近接した状態で、わずかに角度付けられることができる。
【0043】
図4および5に示されるように、椎間板は、異なる患者に適合するために異なる幅と、奥行寸法とを有する、大きい占有面積サイズ12a、中間占有面積サイズ12b、および小さい占有面積サイズ12c等の異なるサイズで提供されてもよい。同一の器具を使用し、異なるサイズの全てを挿入する目的のために、椎間板および切欠100のそれぞれの前側の形状およびサイズは、同じである、または少なくとも同一の切欠を有する。
【0044】
鋸歯状の縁20は、角錐形状を有する。図3の上面図に示されるように、角錐形状の鋸歯状の縁は、側方向に伸長され、前後方向に改良されたプレート固着を提供することができる。前/後方向は、プレートの移動を有する可能性が最も高い方向である。一実施例では、鋸歯状の縁の前/後寸法対側方寸法の比は、約2:3~約3:4である。
【0045】
示される実施形態では、角錐形状の鋸歯状の縁は、固定を改良するために含まれている。しかしながら、鋸歯状の縁に加えて、またはその代わりに、歯またはフィン等の他のタイプの固定もまた、含まれ得る。例えば、単一の中心フィンが、挿入を促進するための角度付けられた後縁を伴う、前後方向に延在する、プレートのそれぞれの上に提供されることができる。代替として、2つ以上のフィンもまた、各プレート上に提供されることができる。フィンは、椎体内のスロットの中に設置される、またはスロットを切断することなく、設置されるように構成されることができる。一実施例では、単一のフィンが、1つのプレート上に提供され得る一方、二重のフィンが、他のプレート上に対称的に配列され、特に、マルチレベル椎間板埋込手技のために有用である、千鳥配列を達成し得る。複数の小さいフィンもまた、直列配向で提供されることができる。代替実施形態では、フィンは、関連付けられる方向における埋込のために、側方-側方配向、後外側-前外側配向、または同等物等、前後軸から離れるように回転されてもよい。
【0046】
図7は、骨接触上側表面118上に突出部の異なる構成を有する、上側終板112の代
替実施形態を示す。椎間板の周辺のまわりの対称的な鋸歯状の縁120、中心ドーム124上の側方に伸長された鋸歯状の縁122、中心ドームの周辺の周りの非対称的な鋸歯状の縁126、および垂直または近垂直の前表面を伴う、鋸歯状の縁(または歯)128を含む、複数の異なる成形された鋸歯状の縁が、プレートの前側における付加的固定のために提供される。終板112はまた、挿入器具を用いてプレートを握持するために構成される、側面切欠100の前対を有する。これらの鋸歯状の縁タイプのうちの任意の1つ以上のものは、図1-6の実施形態の伸長された角錐形状の鋸歯状の縁20と組み合わせられることができる。
【0047】
図8-11は、コア216を中心として位置付けられる、一対の整合する上側および下側プレート212、214のさらなる代替実施形態を示す。本実施形態では、挿入器具を用いてプレートを握持するために構成される、一対の側面切欠200が、終板の前縁と後縁との間の中心場所に位置付けられる。中心に位置する切欠200を伴う本実施形態では、異なるサイズの椎間板が、異なる挿入器具を用いて挿入される、または挿入器具は、異なるプレートサイズに適応するように調節可能である。本実施形態は、同じかつ対称的であり、したがって、上部/底部または前/後配向を顧慮せずに組み立てられ得る、上側および下側プレート212、214を有する。
【0048】
本発明を実行するための上記に説明されるアセンブリおよび方法の修正、実用的である限りの変形例間の組み合わせ、および当業者に明白である本発明の側面の変形例は、本発明の開示の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】