(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014896
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】触媒反応の方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/20 20060101AFI20240125BHJP
C07C 39/16 20060101ALI20240125BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
C07C37/20
C07C39/16
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189203
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2020524575の分割
【原出願日】2018-10-24
(31)【優先権主張番号】62/584,218
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】520082968
【氏名又は名称】ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス エイト,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】サヴォ、アンドリュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】バンダーザール、マーク
(72)【発明者】
【氏名】トップ,クラウス-ディータ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、リウ
(57)【要約】
【課題】触媒反応の方法を提供すること。
【解決手段】酸触媒の存在下でフェノールをアセトンと縮合させる工程を含む、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンの製造方法であって;
酸触媒が、スルホン化ポリマービーズの集合体を含み、スルホン化ポリマービーズが、
(i)ビーズの重量を基準として、75~99重量%の一官能性ビニルモノマーの重合単位と、
(ii)ビーズの重量を基準として、1~25重量%の多官能性ビニルモノマーの重合単位とを含み;
体積でビーズの90%以上が一様なビーズである、方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸触媒の存在下でフェノールをアセトンと縮合させて二価フェノール2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを生成する工程を含む、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンの製造方法であって;
前記酸触媒が、スルホン化ポリマービーズの集合体を含み、前記スルホン化ポリマービーズが、
(i)前記ビーズの重量を基準として、75~99重量%の一官能性ビニルモノマーの重合単位と、
(ii)前記ビーズの重量を基準として、1~25重量%の多官能性ビニルモノマーの重合単位と
を含み;
各ビーズ内で、1立方マイクロメートル当たりの多官能性ビニルモノマーの重合単位のモルの平均濃度が、MVAVであり;及び
各ビーズ内で、T1000が、1,000の独特の連結重合モノマー単位のシーケンスであり;
各T1000内で、MVSEQが、T1000の重量を基準とする、多官能性ビニルモノマーの重量パーセント重合単位であり;
MVRATIO=MVSEQ/MVAVであり;
並びに
体積で前記ビーズの90%以上が一様なビーズであり、ここで、一様なビーズは、全T1000シーケンスの90%以上が1.5以下のMVRATIOを有するビーズである
方法。
【請求項2】
前記酸触媒がチオール化合物を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記縮合が55℃以上で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
T1000シーケンスの35%以下が、0.5以下のMVRATIOを有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリマービーズの有用な製造方法は、モノマー液滴が水性媒体中に懸濁させられ、次に液滴中のモノマーがポリマービーズを形成するために重合させられるプロセスである、懸濁重合である。モノマーの混合物がモノマー油滴中に存在する場合、モノマーは、通常異なる速度で反応し、こうして不均一なポリマービーズを形成することが知られている。例えば、油滴内の1つ以上の領域は、全体油滴中のモノマーの混合物中に存在するより反応性の高いモノマーの平均割合よりも高い、より反応性の高いモノマーの重合単位の割合を有するコポリマーを形成し得ると考えられる。より反応性の高いモノマーの重合単位に富むそのような領域は、とりわけ、重合プロセスにおける早期に形成する可能性が高いと考えられる。重合プロセスにおける後期に、より反応性の高いモノマーの重合単位に比較的乏しい領域が生成するであろうと更に考えられる。したがって、結果として生じるポリマービーズは、ビーズ内のいくつかのポリマーセグメントが他のポリマーセグメントとは異なるより反応性の高いモノマーの重合単位の濃度を有する状態で、不均一であろうと考えられる。この不均一性は、ポリマービーズの性能特性のいくつかにとって有害であろうと予測される。
【0002】
各モノマーの重合単位の分布が比較的一様であるポリマービーズをもたらすモノマーの混合物の重合を含むポリマービーズの製造方法を提供することが望ましい。より一般的に、モノマーの相対的な反応性にのみ依存して制御されない不均一性を生み出すよりもむしろ、不均一性の程度及び性質を制御することができるプロセスを提供することが更に望ましい。重合が起こりつつある、モノマー油滴中へ重合中に供給されつつあるモノマーの物質移動が、効率的に若しくは一貫して又は両方で進行するプロセスを提供することがまた望ましく、ここで、「一貫して」は、1つのバッチから1つのバッチ(すなわち、1つの重合プロセス)から別のバッチまで異常にもほぼ等しく進行することを意味する。
【0003】
多くの場合に、重合が完了した後に、ポリマービーズは官能化される。すなわち、ポリマービーズは、アニオン性基又は陽イオン性基であり得る、イオン性官能基をポリマービーズに結合させるために1つ以上の化学反応にかけられる。
【0004】
ポリマービーズの重要な特性は、機械的強度である。機械的強度は、重合直後のポリマービーズに関して評価されてもよいし、又は官能化ビーズに関して評価されてもよい。ビーズの機械的強度は、例えば、ビーズを破砕するために必要な力を測定することによって、直接測定され得る。とりわけ官能化ビーズについて、より高い破砕強度が望ましい。また、機械的強度は、異なるタイプのイオンを含有する交互溶液にビーズを暴露することによって、アニオン性基かカチオン性基かのどちらかで官能化されたポリマービーズに関して測定され得る。これらの交互溶液への暴露は、いくつかのポリマービーズを壊れさせる浸透圧ストレスを引き起こす。できるだけ少ない官能化ビーズが浸透圧ストレスで壊れることが望ましい。
【0005】
米国特許第3,792,029号明細書は、モノマー混合物の懸濁重合中に、重合が起こっている間により反応性の高いモノマーを含有するエマルジョンが懸濁液に添加される懸濁重合プロセスを記載している。ニートモノマーが懸濁重合プロセスに添加されるプロセスを提供することが望ましい。以下の便益の1つ以上を有するポリマービーズを提供することがまた望ましい:各モノマーの重合単位の比較的均一な分布、高い破砕強度、モノマー油滴への供給モノマーの一貫した及び/若しくは効率的な物質移動、並びに/又は浸透圧ストレスへの高い耐性。
【0006】
更に、米国特許第3,792,029号明細書によって記載されているプロセスにおいて、重合中に懸濁液に添加されるエマルジョンは、より反応性の高いモノマーとより反応性が低いモノマーとの混合物を含有する。米国特許第3,792,029号明細書によって記載されている懸濁液に添加される混合物中には、より反応性の高いモノマーよりもかなり(重量で)多いより反応性の低いモノマーが存在する。米国特許第3,792,029号明細書によって記載されているプロセスは、以下の望ましくない影響の1つ以上をもたらすことができると考えられる:このプロセスは、ポリマー網状構造に望ましくないストレスを及ぼす、ビーズサイズの増加を引き起こし得る;及び/又はこのプロセスは、例えば相互侵入ポリマー網状構造を形成することによって、ビーズの構造に不均一性の形成をもたらし得る。重合中に懸濁液に添加されるモノマーが、50重量%以上のより反応性の高いモノマーであるプロセスを提供することが望ましい。米国特許第3,792,029号明細書のプロセスの望ましくない影響を回避するプロセスを提供することがまた望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下は、本発明のステートメントである。
【0008】
本発明の第1態様は、ポリマービーズの集合体の製造方法であって、本ビーズが、
(i)ビーズの重量を基準として、75~99重量%の一官能性ビニルモノマーの重合単位と、
(ii)ビーズの重量を基準として、1~25重量%の多官能性ビニルモノマーの重合単位と
を含み、
本方法が、
(a)開始剤と、一官能性ビニルモノマーと、多官能性ビニルモノマーとを含むモノマー油滴の水性懸濁液を提供する工程;
(b)モノマー油滴中のモノマーの重合を開始させる工程;
(c)モノマー油滴中のモノマーの重合が起こっている間に、モノマー供給溶液を懸濁液に添加する工程であって、
この添加が、モノマー油滴中のモノマーの重合度(EXTSTART)が0%~50%である時点で始まり、
この添加が、EXTSTART後のモノマー油滴中のモノマーの重合度(EXTSTOP)が5%~100%である時点で終わり;
この供給溶液が、供給溶液の重量を基準として重量で、90%~100%の量でモノマーを含み;
この供給溶液が、供給溶液の重量を基準として重量で、50%~100%の量で多官能性ビニルモノマーを含む工程
を含む方法である。
【0009】
本発明の第2態様は、ポリマービーズの集合体であって、本ビーズが、
(i)ビーズの重量を基準として、75~99重量%の一官能性ビニルモノマーの重合単位と、
(ii)ビーズの重量を基準として、1~25重量%の多官能性ビニルモノマーの重合単位と
を含み、
各ビーズ内で、1立方マイクロメートル当たりの多官能性ビニルモノマーの重合単位のモルの平均濃度が、MVAVであり;
各ビーズ内で、T1000が、1,000の独特の連結重合モノマー単位のシーケンスであり;
各T1000内で、MVSEQが、T1000の重量を基準とする、多官能性ビニルモノマーの重量パーセント重合単位であり;
MVRATIO=MVSEQ/MVAVであり;
並びに
体積でビーズの90%以上が一様なビーズ(ここで、一様なビーズは、全T1000シーケンスの90%以上が1.5以下のMVRATIOを有するビーズである)である
ビーズの集合体である。
【0010】
本発明の第3態様は、水の処理方法であって、水が、望ましくないカチオンを含む溶解イオンを含み、本方法が、
(a)
(i)ビーズの重量を基準として、75~99重量%の一官能性ビニルモノマーの重合単位と、
(ii)ビーズの重量を基準として、1~25重量%の多官能性ビニルモノマーの重合単位と;
(iii)ポリマービーズに結合している、及び望ましくないイオンの電荷と反対の電荷を有する官能基と、
(iv)ポリマービーズに結合していない、及び望ましくないイオンの電荷と同じ電荷を有するイオンと
を含む官能化ポリマービーズの集合体を提供する工程であって;
各ビーズ内で、1立方マイクロメートル当たりの多官能性ビニルモノマーの重合単位のモルの平均濃度が、MVAVであり;
各ビーズ内で、T1000が、1,000の独特の連結重合モノマー単位のシーケンスであり;
各T1000内で、MVSEQが、T1000の重量を基準とする、多官能性ビニルモノマーの重量パーセント重合単位であり;
MVRATIO=MVSEQ/MVAVであり;
並びに
体積でビーズの90%以上が一様なビーズ(ここで、一様なビーズは、全T1000シーケンスの90%以上が1.5以下のMVRATIOを有するビーズである)である
工程と;
(b)次に、ポリマービーズの集合体のベッドに水を通して望ましくないイオンをイオン(IV)と交換する工程と、
(c)次に、イオン(IV)と同じ化学種の溶解イオン(V)を含む再生溶液を、ポリマービーズの集合体のベッドに通してイオン(V)を望ましくないイオンと交換する工程と
を含む方法である。
【0011】
本発明の第4態様は、酸触媒の存在下でフェノールをアセトンと縮合させて二価フェノール2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを生成する工程を含む、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンの製造方法であって;
酸触媒がスルホン化ポリマービーズの集合体を含み、スルホン化ポリマービーズが、
(i)ビーズの重量を基準として、75~99重量%の一官能性ビニルモノマーの重合単位と、
(ii)ビーズの重量を基準として、1~25重量%の多官能性ビニルモノマーの重合単位と
を含み、
各ビーズ内で、1立方マイクロメートル当たりの多官能性ビニルモノマーの重合単位のモルの平均濃度が、MVAVであり;
各ビーズ内で、T1000が、1,000の独特の連結重合モノマー単位のシーケンスであり;
各T1000内で、MVSEQが、T1000の重量を基準とする、多官能性ビニルモノマーの重量パーセント重合単位であり;
MVRATIO=MVSEQ/MVAVであり;
並びに
体積でビーズの90%以上が一様なビーズ(ここで、一様なビーズは、全T1000シーケンスの90%以上が1.5以下のMVRATIOを有するビーズである)である
方法である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0013】
本明細書で用いるところでは、以下の用語は、文脈がそうではないと明らかに示していない限り、指定された定義を有する。
【0014】
「ポリマー」は、本明細書で用いるところでは、より小さい化学繰り返し単位の反応生成物から構成される比較的大きい分子である。ポリマーは、線状、分岐状、星形、ループ状、超分岐状、架橋、又はそれらの組み合わせである構造を有し得るし;ポリマーは、単一タイプの繰り返し単位を有し得る(「ホモポリマー」)、又はそれらは、2つ以上のタイプの繰り返し単位を有し得る(「コポリマー」)。コポリマーは、ランダムに、順序正しく、ブロックで、他の配列で、又はそれらの任意の混合若しくは組み合わせで配列された、様々なタイプの繰り返し単位を有し得る。
【0015】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、「モノマー」として本明細書では知られている。そのようにして形成された繰り返し単位は、モノマーの「重合単位」として本明細書では知られている。
【0016】
ビニルモノマーは、構造:
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基などの)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換若しくは非置換有機基、又はそれらの任意の組み合わせである)
を有する。ビニルモノマーは、フリーラジカル重合してポリマーを形成することができる。いくつかのビニルモノマーは、R
1、R
2、R
3、及びR
4の1つ以上に組み込まれた1つ以上の重合性炭素-炭素二重結合を有し;そのようなビニルモノマーは、多官能性ビニルモノマーとして本明細書では知られている。厳密に1つの重合性炭素-炭素二重結合を持ったビニルモノマーは、一官能性ビニルモノマーとして本明細書では知られている。
【0017】
スチレン系モノマーは、R
1及びR
2のそれぞれが水素であり、R
3が水素又はアルキルであり、-R
4が、構造
【化2】
(式中、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基又はビニル基などの)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換若しくは非置換有機基、又はそれらの任意の組み合わせである)
を有するビニルモノマーである。
【0018】
1種以上のポリマーを形成するためのモノマー間の反応は、重合プロセスと本明細書では言われる。
【0019】
本明細書で用いるところでは、開始剤は、周囲条件で安定であるが、フリーラジカルを有する1つ以上のフラグメントを特定の条件下で生成することができる分子であり、そのフラグメントは、モノマーと相互作用してフリーラジカル重合プロセスを開始することができる。フリーラジカルを有するフラグメントを生成させる条件としては、例えば、高温、酸化還元反応への関与、紫外線及び/若しくは電離放射線への暴露、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
本明細書で用いるところでは、語句「全モノマー」は、重合の開始が始まるときに存在するモノマー及び重合プロセス中に添加され得るものの全てを含めて、ポリマーを製造するのに使用されるモノマーの全てを言う。
【0021】
ポリマーは、ポリマーを製造するのに使用されたモノマーの重合単位を、たとえ、それらの重合単位のいくらか又は全てが、重合後に、1種以上の官能基の追加によって変えられていても、含有すると本明細書では言われる。例えば、90:10のスチレン:DVBの重量比でのスチレンとDVBとから製造されるコポリマーは、スチレンの90重量%の重合単位を有すると言われる。そのコポリマーが、芳香環上の水素原子のいくつかをスルホン酸基で置き換えるために硫酸との反応によって変えられている場合に、結果として生じた官能化ポリマーは、スチレンの90重量%の重合単位を有すると依然として言われるであろう。
【0022】
本明細書で用いるところでは、防止剤は、ビニルモノマーラジカルと又は成長中のビニルポリマー鎖上のラジカルと反応して、ビニル重合に関与しない新しいラジカルを形成する分子である。
【0023】
マクロ多孔性ポリマービーズは、20nm以上の平均細孔径を持った多孔性構造を有する。細孔径は、窒素ガスを使用するブルナウアー-エメット-テラー(Brunauer-Emmett-Teller)(BET)法を用いて測定される。マクロ多孔性ポリマービーズは、通常、ポロゲンをモノマー油滴中へ組み込むことによって製造される。ポロゲンはモノマーに可溶であるが、ポリマーはポロゲンに溶けず、その結果、ポリマーが生成するにつれて、ポロゲンの相分離ドメインが残る。重合後に、ポロゲンは、蒸発によって又は溶剤での洗浄によって除去される。ポリマービーズの多孔性構造は、ポロゲンがその相分離ドメインから除去されるときに残る空の空間である。
【0024】
ゲル型ポリマービーズは、ポロゲンの使用なしに製造される。ゲル型ポリマービーズ中の細孔は、ポリマービーズの絡まった、たぶん架橋したポリマー鎖中の原子間の自由体積である。ゲル型ポリマービーズ中の細孔は、20nmよりも小さい。いくつかの場合には、ゲル型樹脂中の細孔は、小さすぎてBET法を用いて検出できない。
【0025】
2つのイオン又はイオン基は、電荷の大きさにかかわらず、両方がアニオン性である場合又は両方がカチオン性である場合、「同じ」電荷を有すると本明細書では言われる。例えば、スルホネート基(すなわち、-SO3
-)は、カーボネートイオン(すなわち、CO3
2-)と同じ電荷を有すると言われる。同様に、2つのイオン又はイオン基は、電荷の大きさにかかわらず、1つがアニオン性であり、他がカチオン性である場合、「反対」電荷を有すると本明細書では言われる。カルボン酸基は、カルボキシレートアニオンと水素カチオンとを含むと考えられる、スルホン酸基は、スルホネートアニオンと水素カチオンとを含むと考えられる。
【0026】
本明細書で用いるところでは、イオン交換は、溶液がイオン交換樹脂と接触するプロセスである。溶液との接触の前に、イオン交換樹脂は、ある種の電荷の官能基を有し、その官能基と関係した反対電荷のイオンを有する。溶液がイオン交換樹脂と接触する場合、溶液中のいくつかのイオンは、イオン交換樹脂上の官能基と関係していた同じ電荷のイオンと場所交換することによってイオン交換樹脂に結合する。
【0027】
5グラム以上の化合物が25℃で100mlの水中で安定した溶液を形成する場合、化合物は水溶性であると本明細書では言われる。いくつかの水溶性ポリマーの場合には、水は、ポリマーを溶解させるために25℃よりも上に加熱される必要があり得るが、25℃に冷却した後に、その溶液は25℃で保持される場合に安定である。
【0028】
懸濁液は、液体媒体の至る所に分布した1つの物質の粒子を有する組成物である。分布粒子は、液体であっても固体であってもよく;分布液体粒子は、油滴と呼ばれる。媒体の重量を基準として、重量で90%以上の水を媒体が含有する場合、媒体は「水性」である。懸濁液は、安定であるかも安定でないかもしれない。すなわち、分布粒子は、容器の底部に沈降する又は容器の最上部に浮遊する傾向を有するかも有さないかもしれず、粒子を媒体中に分布した状態に保つために機械的かき混ぜが必要であるかも必要でないかもしれない。
【0029】
ポリマービーズは、粒子の重量を基準として、90重量%以上の有機ポリマーを含有する粒子である。ポリマービーズは、球形又はほぼ球形である。ポリマービーズは、その半径で特徴付けられる。ビーズが球形でない場合、ビーズの半径は、ビーズと同じ体積を有する想像上の球形である、「参照球」の半径であると本明細書では解釈される。粒子が球形であるかどうかは、ギリシャ文字Ψで表される、「球形度」によって評価される。体積VP、並びに長さa(長い)、b(中間の)及びc(短い)の主軸を有する粒子について、球形度は、
【数1】
である。
【0030】
体積の単位「立方マイクロメートル」(μm3と略記される)は、本明細書で用いるところでは、1マイクロメートルのエッジ長さを有する立方体の体積を言う。
【0031】
本明細書で用いるところでは、「周囲温度」は、「室温」と同じ意味であり、およそ23℃である。
【0032】
粒子の集合体は、以下の通り定義される調和平均径(HMD):
【数2】
(ここで、Nは、粒子の数であり、DIは、i
番目の粒子の直径である)
を有する。
【0033】
比は、本明細書では以下の通り特徴付けられる。例えば、比が5:1以上であると言われる場合、その比は、5:1又は6:1又は100:1であり得るが、4:1であり得ないことを意味する。一般的にこの特徴付けを述べると、比がX:1以上であると言われる場合、その比はY:1(ここで、YはX以上である)である。同様に、例えば、比が2:1以下であると言われる場合、その比は、2:1又は1:1又は0.001:1であり得るが、3:1であり得ないことを意味する。一般的にこの特徴付けを述べると、比がZ:1以下であると言われる場合、その比はW:1(ここで、WはZ以下である)である。
【0034】
本発明の方法は、ビニルモノマー及び開始剤を含有するモノマー油滴を含む。以下は、重合の開始前にそれらが存在するようなモノマー油滴の説明である。
【0035】
好ましくは、モノマー油滴中のモノマーの量は、油滴の重量を基準として重量で、80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
【0036】
好ましいビニルモノマーは、スチレン系モノマー、アクリルモノマー、及びそれらの混合物である。好ましくは、使用されるモノマーは、全て、スチレン系モノマー、アクリルモノマー、及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、使用されるモノマーは、全て、スチレン系モノマーから選択される。ビニルモノマーは、1種以上の一官能性ビニルモノマーを含む。好ましい一官能性ビニルモノマーは、アクリル及びスチレン系一官能性モノマーであり;一官能性スチレン系モノマーがより好ましく;スチレンがより好ましい。ビニルモノマーは、また、1種以上の多官能性ビニルモノマーを含む。好ましい多官能性ビニルモノマーは、多官能性スチレン系モノマーであり;ジビニルベンゼンがより好ましい。好ましくは、塩化ビニルの量は、全モノマーの総重量を基準として重量で、0~0.1%、より好ましくは0~0.01%;より好ましくは0%である。
【0037】
好ましくは、重合の開始前の油滴中のスチレン系モノマーの量は、油滴中の全モノマーの重量を基準として重量で、50%以上;より好ましくは75%以上;より好ましくは88%以上;より好ましくは94%以上;より好ましくは97%以上;より好ましくは100%である。
【0038】
好ましくは、重合の開始前の油滴中の一官能性ビニルモノマーの量は、油滴中の全モノマーの重量を基準として重量で、75%以上;より好ましくは80%以上;より好ましくは85%以上:より好ましくは90%以上;より好ましくは94%以上である。好ましくは、油滴中の一官能性ビニルモノマーの量は、油滴中の全モノマーの重量を基準として重量で、99.9%以下;より好ましくは99%以下;より好ましくは98.5%以下である。
【0039】
好ましくは、重合の開始前の油滴中の多官能性ビニルモノマーの量は、油滴中の全モノマーの重量を基準として重量で、0.1%以上;より好ましくは1%以上;より好ましくは1.5%以上である。好ましくは、油滴中の多官能性ビニルモノマーの量は、油滴中の全モノマーの重量を基準として重量で、25%未満;より好ましくは20%以下;より好ましくは15%以下;より好ましくは10%以下;より好ましくは6%以下である。
【0040】
重合の開始前の油滴中の多官能性ビニルモノマーの量(「MFMPRIOR」)を全モノマーの重量百分率として特徴付けることは有用である。好ましくは、MFMPRIORは、0.1%以上;より好ましくは0.5%以上;より好ましくは1%以上;より好ましくは1.5%以上;より好ましくは2%以上である。好ましくは、MFMPRIORは、10%以下;より好ましくは8%以下;より好ましくは6%以下である。
【0041】
比
MFMRATIO=100*MFMPRIOR/MFMTOTAL
(式中、MFMTOTALは、開始前に存在する多官能性モノマー及び開始後に添加される多官能性モノマーを含めて、全体重合プロセスに使用される多官能性モノマーの全重量百分率である)
を特徴付けることもまた有用である。好ましくは、MFMRATIOは、10%以上;より好ましくは20%以上;より好ましくは30%以上である。好ましくは、MFMRATIOは、80%以下;より好ましくは70%以下;より好ましくは60%以下である。
【0042】
本発明の方法は、水性媒体中のモノマー油滴の懸濁液を含む。好ましくは、モノマーの総量は、懸濁液の総重量を基準として重量で、5%以上;より好ましくは10%以上;より好ましくは15%以上である。好ましくは、モノマーの総量は、懸濁液の総重量を基準として重量で、55%以下;より好ましくは35%以下;より好ましくは30%以下である。
【0043】
モノマー油滴は、1種以上の開始剤を含有する。好ましい開始剤は、25℃での100mlの水への1グラム以下;より好ましくは0.5グラム以下;より好ましくは0.2グラム以下;より好ましくは0.1グラム以下の溶解度を有する。有機過酸化物及びヒドロペルオキシド開始剤が好ましく;過酸化物開始剤がより好ましく;ベンゾイルペルオキシド及びそれの誘導体がより好ましく;ベンゾイルペルオキシドがより好ましい。好ましくは、開始剤対全モノマーの重量比は、0.0002:1以上;より好ましくは0.0005:1以上;より好ましくは0.001:1以上;より好ましくは0.002:1以上である。好ましくは、開始剤対全モノマーの重量比は、0.02:1以下;より好ましくは0.01:1以下;より好ましくは0.007:1以下である。
【0044】
モノマー油滴は、任意選択的に、1種以上のポロゲンを含有する。好ましくは、ほとんど又は全くポロゲンは存在しない。すなわち、好ましくは、ポロゲンは不在であるか或いは、存在する場合、ポロゲンの量は、モノマー油滴の重量を基準として重量で、1%以下;より好ましくは0.1%以下である。より好ましくは、ポロゲンは、モノマー油滴中に全く存在しない。
【0045】
製造業者によって通常供給されるような、モノマーは、貯蔵中に予想外の重合を防ぐために、比較的少量の防止剤を含有する。一般的な防止剤は、キノン(例えば、1,4-ベンゾキノン)及びヒンダードフェノール(例えば、4-T-ブチルカテコールとも呼ばれる、TERT-ブチルピロカテコール)である。
【0046】
好ましくは、重合の開始前に、モノマー油滴は、いかなる種類のポリマーも全く含有しないか或いは任意の種類の少量のポリマーを含有するかのどちらかである。すなわち、任意のポリマーがモノマー油滴中に存在する場合、ポリマーの総量は、好ましくは、モノマー油滴の重量を基準として重量で、0.1%以下である。
【0047】
水性媒体は、好ましくは、1種以上の水溶性ポリマーを含有する。水溶性ポリマーは、合体に対してモノマー油滴を安定化させると考えられる。好適な水溶性ポリマーは、多種多様のポリマータイプのいずれかであり得る。好ましい水溶性ポリマーは、水溶性ポリビニルアルコールポリマー、セルロースの水溶性誘導体、第四級アンモニウムポリマー、ゼラチン、及びそれらの混合物である。より好ましい水溶性ポリマーは、水溶性ポリビニルアルコールポリマー、セルロースの水溶性誘導体、及びそれらの混合物である。第四級アンモニウムポリマーの中で、ジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)のポリマーが好ましい。セルロースの水溶性誘導体の中で、カルボキシメチルメチルセルロースが好ましい。ポリビニルアルコールポリマーの中で、80%~90%の加水分解度のものが好ましい。好ましくは、水性媒体は、1種以上の水溶性ポリビニルアルコールポリマーと1種以上のセルロースの水溶性誘導体とを含有する。
【0048】
1種以上の水溶性ポリマーが使用される場合、好ましくは、水溶性ポリマーの総量は、水性媒体の重量を基準として重量で、0.02%以上;より好ましくは0.05%以上;より好ましくは0.1%以上である。1種以上の水溶性ポリマーが使用される場合、好ましくは、水溶性ポリマーの総量は、水の重量を基準として重量で、2%以下;より好ましくは1%以下;より好ましくは0.5%以下である。
【0049】
1種以上の水溶性ポリマーの代わりに又は1種以上の水溶性ポリマーに加えて使用され得る、モノマー油滴を安定化させる他の方法もまた好適である。例えば、モノマー油滴よりも小さい固体粒子は、油滴の表面に存在し、油滴を安定化させ得る。そのような固体粒子の一例は、コロイド状シリカ粒子である。
【0050】
モノマー油滴の水性懸濁液は、任意選択的に、1種以上の懸濁助剤を含有する。懸濁助剤は、モノマー油滴を安定化させると考えられる。懸濁助剤は、それらを水相に添加することによって、若しくはそれらをモノマー油滴に添加することによって、又はそれらの組み合わせによって導入され得る。懸濁助剤が導入される方法にかかわらず、懸濁助剤の好ましい量は、モノマー油滴の重量を基準として重量で、0.001%~0.1%である。好ましい懸濁助剤は、4-ビニルフェニルボロン酸である。
【0051】
重合を開始させる工程の性質は、使用される開始剤の性質にある程度依存する。例えば、熱開始剤が使用される場合、開始条件は、開始剤分子のかなりの部分が分解してフリーラジカルを形成するために十分に高い25℃よりも上の温度を確立することを含む。もう一つの例を挙げると、光開始剤が使用される場合、開始条件は、開始剤分子のかなりの部分が分解してフリーラジカルを形成するために十分に低い波長の及び十分に高い強度の放射線に開始剤を暴露することを含む。もう一つの例を挙げると、開始剤がレドックス開始剤である場合、開始条件は、かなりの数のフリーラジカルが生成するように十分に高い濃度の酸化剤及び還元剤の両方の存在を含む。好ましくは、熱開始剤が使用される。好ましくは、開始条件は、55℃以上、より好ましくは70℃以上の温度を含む。すなわち、好ましくは、懸濁液は、40℃よりも下の温度で提供され、存在する開始剤は、その温度で有意な数のフリーラジカルを生成しない。次に、好ましくは、工程(b)は、開始条件へ温度を上げることを含む。
【0052】
工程(b)後で、重合が起こっている間に、いかなる瞬間にも、懸濁液を含有する容器中のフリーラジカル重合度は、以下の通り特徴付けられ得る。
重合度=100*PM/TM
式中、PMは、フリーラジカル重合プロセスによって形成されたポリマーの質量であり、TMは、(初期のモノマー油滴及び重合の経過中に添加されたモノマーを含めて)その瞬間までに容器に添加されたモノマーの全質量である。
【0053】
重合プロセスの開始前に、油滴は、懸濁液中に存在し、油滴は、ビニルモノマー及び開始剤を含有する。好ましくは、油滴は、水性媒体の全体にわたって分布している。好ましくは、水性媒体の組成物は、水性媒体の重量を基準として重量で、90%以上;より好ましくは95%以上;より好ましくは97%以上の量で水を含有する。水に溶解した化合物は、連続液体媒体の一部であると考えられる。好ましくは、油滴の体積平均粒径は、50μm~1,500μmである。
【0054】
本発明の方法において、モノマー油滴における重合が始まってしまうとすぐに、供給溶液が懸濁液に添加される。重合が始まった後にモノマーを懸濁液に添加する行動は、「漸次添加」、又はGAとして本明細書では知られている。供給溶液は、任意の速度で添加され得る。供給溶液の添加速度は、一定であってもよいし、又はあるときには他のときよりも速くてもよい。供給溶液の添加は、(迅速に又はゆっくりと行われ得る)単一連続添加で成し遂げられてもよいし、又は供給溶液の添加は、1回以上中断されてもよい。
【0055】
供給溶液の添加は、反応進行度が、「EXTSTART」と本明細書では表示される時点にあるときに始められる。EXTSTARTは、両端を含めて、0%~50%である。好ましくは、EXTSTARTは、40%以下;より好ましくは30%以下;より好ましくは20%以下;より好ましくは10%以下である。
【0056】
反応進行度「EXTSTOP」は、供給溶液の最後が懸濁液に添加される反応進行度である。供給溶液は、EXTSTOP後には懸濁液に全く添加されない。EXTSTOPは5%~100%である。好ましくは、EXTSTOPは85%以下である。好ましくは、量
EXTDIFF=EXTSTOP-EXTSTART
は、5%以上;より好ましくは20%以上;より好ましくは50%以上;より好ましくは60%以上である。
【0057】
好ましくは、供給溶液は、供給溶液の重量を基準として重量で、75%以上;より好ましくは85%以上;より好ましくは95%以上;より好ましくは99%以上の量で全てのタイプの全ビニルモノマーを含有する。
【0058】
供給溶液中の多官能性モノマーの量は、好ましくは、供給溶液の重量を基準として重量で、30%;好ましくは40%以上;より好ましくは45%以上;より好ましくは50%以上;より好ましくは55%以上;より好ましくは60%以上である。多官能性モノマーがジビニルベンゼン(DVB)である場合、工業用グレードのDVBを使用することが好適であり、それは、他の不純物が合計で1重量%未満になる状態で、およそ63重量%の化学的に純粋なDVBとおよそ37重量%のエチルビニルベンゼン(EVB)とを含有する混合物である。組成物が一定量のDVBを含有するとここで述べられる場合、組成物は、その述べられた量のDVBに加えて、およそ37:63のEVB:DVBの重量比でEVBを含有すると想定される。そのような工業用グレードのDVBが使用される場合、好ましくは、供給溶液中の工業用グレードのDVBの量は、供給溶液の重量を基準として重量で、50%以上;より好ましくは60%以上;より好ましくは70%以上;より好ましくは80%以上;より好ましくは90%以上;より好ましくは95%以上である。
【0059】
好ましくは、供給溶液は、開始剤を全く含有しないか或いは、重量で百万当たりの部単位で、100ppm以下;より好ましくは10ppm以下;より好ましくは1ppm以下の量で開始剤を含有するかのどちらかである。
【0060】
好ましくは、供給溶液は、水を全く含有しないか、供給溶液の重量を基準として重量で、20%以下;より好ましくは10%以下;より好ましくは3%以下;より好ましくは1%以下;より好ましくは0.3%以下;より好ましくは0.1%以下の量で水を含有するかのどちらかである。
【0061】
水性媒体中のモノマー油滴の分散系である供給組成物で供給溶液が置き換えられる実施形態(「分散系供給」実施形態)もまた想像される。そのような分散系は、例えば、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、又はナノエマルジョンなどの、任意のタイプの分散系であり得る。そのような分散系は、任意選択的に、上に記載されたような1種以上の水溶性ポリマー、1種以上の界面活性剤、1種以上の分散剤、又はそれらの混合物を含有する。分散系供給実施形態の中で、エマルジョンが好ましい。エマルジョンの中で、1種以上のアニオン界面活性剤を含有するものが好ましい。
【0062】
分散系供給実施形態において、供給組成物中のモノマーの総量は、供給組成物の重量を基準として重量で、5%以上;より好ましくは10%以上;より好ましくは20%以上;より好ましくは40%以上である。分散系供給実施形態において、供給組成物中のモノマーの総量は、供給組成物の重量を基準として重量で、60%以下;より好ましくは55%以下である。
【0063】
分散系供給実施形態において、多官能性ビニルモノマーの量を、供給組成物のモノマー含有量の重量百分率として特徴付けることが有用である。分散系実施形態において、好ましくは、多官能性ビニルモノマーの量は、供給組成物中のモノマーの総重量を基準として重量で、50%~100%;より好ましくは75%~100%;より好ましくは90%~100%;より好ましくは95%~100%である。
【0064】
分散系供給実施形態において、重合中の供給のための好適な及び好ましい条件(反応進行度等)は、上に記載されたものと同じものである。
【0065】
本発明はまた、ポリマービーズの集合体を含む。ポリマービーズの集合体は、好ましくは、本発明の方法によって製造される。ポリマービーズは、ポリマーを含有する。ポリマービーズは、25℃で固体である、且つ、ポリマー粒子の重量を基準として重量で、90%以上;より好ましくは95%以上の量でポリマーを含有する粒子である。
【0066】
ポリマービーズは、マクロ多孔性ビーズ又はゲルビーズであり得る。ゲルビーズが好ましい。
【0067】
好ましくは、ポリマービーズは、50μm以上;より好ましくは100μm以上;より好ましくは200μm以上;より好ましくは400μm以上の体積平均粒径を有する。好ましくは、ポリマービーズは、1,500μm以下;より好ましくは1,000μm以下の体積平均粒径を有する。
【0068】
ポリマー粒子中の好ましいポリマーは、上に記載された好ましいビニルモノマーのフリーラジカル重合によって形成されたポリマーである。好ましくは、ポリマーは、ポリマーの重量を基準として重量で、5%以上;より好ましくは25%以上;より好ましくは50%以上;より好ましくは75%以上;より好ましくは95%以上の量でスチレン系モノマーの重合単位を含有する。ポリマーの重合単位として好ましいモノマーのタイプは、重合プロセスでの使用に好ましいとして上に記載されたものと同じものである。
【0069】
好ましいポリマーは、ポリマーの重量を基準として重量で、1%以上;より好ましくは1.5%以上;より好ましくは2%以上の量で多官能性ビニルモノマーの重合単位を有する。好ましいポリマーは、ポリマーの重量を基準として重量で、25%以下;より好ましくは20%以下;より好ましくは15%以下;より好ましくは11%以下;より好ましくは6%以下の量で多官能性ビニルモノマーの重合単位を有する。
【0070】
好ましいポリマーは、ポリマーの重量を基準として重量で、99.7重量%以下;より好ましくは99.5重量%以下;より好ましくは99重量%以下;より好ましくは98.5重量%以下の量で一官能性ビニルモノマーの重合単位を有する。好ましいポリマーは、ポリマーの重量を基準として重量で、75%以上;より好ましくは80%以上;より好ましくは85%以上;より好ましくは90%以上;より好ましくは94%以上の量で一官能性ビニルモノマーの重合単位を有する。
【0071】
ポリマービーズ中のポリマーは、多官能性ビニルモノマーの重合単位の比較的均等な分布を有する。多官能性ビニルモノマーの重合単位の分布の一様性は、以下の通り特徴付けられ得る。
MVAV=単一ビーズ内の多官能性ビニルモノマーの重合単位の平均濃度(1立方マイクロメートル当たりのモルの単位での)
T1000=1,000の連結重合モノマー単位のシーケンス
MVSEQ=特有のT1000について、T1000の重量を基準として、多官能性ビニルモノマーの重合単位の重量パーセント
MVRATIO=MVSEQ/MVAV
【0072】
T1000を選択する際に、任意の重合単位がシーケンスの第1単位として選択され得る。次に、第1重合単位に共有結合している任意の重合単位が、シーケンス中の第2単位として選択され得る。同様に、選択される各単位は、シーケンス中の前の単位に共有結合している。どの重合単位もT1000シーケンス中に2回現れない。1000の重合単位が選択されてしまったときに、T1000シーケンスは完成である。T1000を選択するプロセスを説明する別の方法は、第1重合単位が入念に選ばれ、次に、パスが1000単位長さになるまで共有結合した重合単位に沿ってパスがトレースされると述べることである。パスは、それがそれ自体を横切らないように選択される。各ビーズは、多くのT1000シーケンスを含有する。T1000シーケンスは、物理的に変更されないし、又はビーズから除去されない。T1000シーケンスは、ポリマービーズの均等度を特徴付けるためのツールである。
【0073】
ビーズは、それが多官能性ビニルモノマーの重合単位の比較的均等な分布を有する場合に、「一様で」あると考えられる。すなわち、シーケンスの数で、ビーズ中の全T1000シーケンスの90%以上が1.5以下のMVRATIOを有する場合に、ビーズは一様である。好ましいビーズは、シーケンスの数で、ビーズ中の全T1000シーケンスの90%以上が1.25以下のMVRATIOを有するような、より高い均等度を有する。
【0074】
本発明のビーズの集合体において、ビーズのほとんどは一様である。すなわち、体積で、一様であるビーズの量は、90%以上;より好ましくは95%%以上;より好ましくは99%以上である。より好ましくは、シーケンスの数で、全T1000シーケンスの90%以上が1.25以下のMVRATIOを有するビーズの量は、体積で、90%以上;より好ましくは95%以上;より好ましくは99%以上である。
【0075】
シーケンスの数で、0.5以下のMVRATIOを有する、T1000シーケンスの百分率を考えることが有用である。好ましくは、シーケンスの数で、T1000シーケンスの35%以下が、0.5以下のMVRATIOを有するであろう。より好ましくは、シーケンスの数で、T1000シーケンスの25%以下が、0.5以下のMVRATIOを有するであろう。
【0076】
ポリマービーズは、好ましくは、0.8以上;より好ましくは0.85以上;より好ましくは0.9以上;より好ましくは0.95以上の平均球形度を有する。
【0077】
本発明のフリーラジカル重合プロセスで製造されたポリマーの好ましい使用は、イオン交換樹脂を製造するための変換プロセスに使用されることである。イオン交換樹脂は、以下のカテゴリーに入る。弱塩基性アニオン交換樹脂は、第一級、第二級、又は第三級であるペンダントアミノ基を有する。強塩基性アニオン交換樹脂は、ペンダント第四級アミノ基を有する。弱酸性カチオン交換樹脂は、ペンダントカルボン酸基を有する。強酸性カチオン交換樹脂は、ペンダントスルホン酸基を有する。これらのペンダント官能基のいずれかがポリマービーズに結合させられた場合に、ビーズは、「官能化樹脂」と言われる。
【0078】
典型的には、架橋ポリスチレンビーズなどのポリマービーズからの弱塩基性アニオン交換樹脂の調製において、ビーズは、有利には、ハロアルキル化され、好ましくはハロメチル化され、最も好ましくはクロロメチル化され、イオン活性交換基がその後ハロアルキル化コポリマーに結合させられる。典型的には、ハロアルキル化反応は、架橋付加コポリマーをハロアルキル化剤、好ましくはブロモメチルメチルエーテル、クロロメチルメチルエーテル、又はホルムアルデヒドと塩酸との混合物、最も好ましくはクロロメチルメチルエーテルで膨潤させる工程と、次に、塩化亜鉛、塩化鉄、又は塩化アルミニウムなどのフリーデル-クラフツ(Friedel-Crafts)触媒の存在下でコポリマーとハロアルキル化剤とを反応させる工程とからなる。典型的には、弱塩基性アニオン交換樹脂は、ハロアルキル化コポリマーをアンモニア、第一級アミン、又は第二級アミンと反応させることによって調製される。典型的には、強塩基性アニオン交換樹脂は、ハロアルキル化コポリマーを第三級アミンと反応させることによって調製される。
【0079】
典型的には、架橋ポリスチレンビーズなどのポリマービーズからの強酸性カチオン交換樹脂の調製において、ビーズは有利にはスルホン化される。一般に、ビーズは、好適な膨潤剤を使用して膨潤させられ、膨潤したビーズは、硫酸若しくはクロロスルホン酸若しくは三酸化硫黄又はそれらの混合物などのスルホン化剤と反応させられる。
【0080】
官能化ポリマービーズの集合体は、通常、ポリマービーズそれら自体に加えて水を含有する。通常、官能化ポリマービーズを製造するために用いられるプロセスは、官能化ポリマービーズと水との間の接触を含み、過剰の液体水は除去されるが、かなりの量の水が、官能化ポリマービーズの集合体の一部として残る。水は官能化ポリマービーズ中へ吸着されていると考えられる。水の量は、典型的には、官能化ポリマービーズの集合体の重量を基準として30重量%~90重量%である。
【0081】
本発明のポリマービーズは、様々な目的のために有用であろうと考えられる。官能化ポリマービーズは、イオン交換樹脂が有用である多くの目的のために有用であろう。例えば、本発明の官能化ポリマービーズの増加した破砕強度及び浸透圧安定性は、水精製樹脂としての又は触媒としての好ましい使用においてこれらのビーズを有用にするであろうと予期される。本発明の官能化ポリマービーズが触媒として使用される場合、本発明の官能化ポリマービーズは、触媒されつつある反応の反応速度を向上させるであろうと予期される。本発明の官能化ポリマービーズ中の多官能性ビニルモノマーの重合単位の空間分布の一様性は、触媒作用のためにアクセスできるビーズ上の部位のより多くのものが、以前に公知のビーズと比べて、最適反応速度のための多官能性モノマーの重合単位の最適濃度をまた有するであろうという効果を有すると予期される。
【0082】
本発明のポリマービーズを使用する好ましい方法は、ポリマービーズのベッドに液体を通すことを含む。すなわち、ポリマービーズの集合体は、ポリマービーズを所定の位置に捕捉する、液体が容器に入るための入口を有する、ポリマービーズと密接接触させながら容器を通って液体を流れさせる、及び液体が容器を出るための出口を有する容器に入れられる。
【0083】
意図される使用が水精製である場合、官能化樹脂は、望ましくないイオンを水から除去するために用いられる。樹脂は、官能基(本明細書では「官能基(iii)」)を有する。樹脂は、官能基(iii)が望ましくないイオン上の電荷と反対の電荷を有するように選択される。精製の前に、官能基(iii)は、樹脂に結合していない対イオン(本明細書では「イオン(iv)と呼ばれる」)と関係している。イオン(iv)は、望ましくないイオンと同じ電荷を有する。好ましくは、イオン(iv)と関係している、官能基(iii)の割合は、モル基準で、50%以上;より好ましくは75%以上;より好ましくは92%以上である。
【0084】
「ローディング」工程において、精製されるべき水が樹脂のベッドを通され、水中の望ましくないイオンは、イオン(iv)と交換して、官能基(iii)と関係することによって官能化ポリマービーズ上へロードされる。最終的に、樹脂は、望ましくないイオンを保持するためのその容量で又はその容量近くでロードされることになる。次に、望ましくない樹脂を取り除くために、官能化ポリマービーズは、再生溶液が樹脂のベッドを通過する「再生」工程を受ける。再生溶液は、イオン(iv)と同じ化学種であるイオン(v)などの溶解イオンを含有する。イオン(v)は、樹脂上の望ましくないイオンと置き換わり、望ましくないイオンは、再生溶液と一緒に除去される。
【0085】
好ましくは、ローディング及び再生のサイクルが繰り返される。すなわち、同じ望ましくないイオンを含有する新しいバッチが、望ましくないイオンで樹脂をロードするために樹脂のベッドに通され、次に、樹脂は、上に記載されたように再生される。好ましくは、ローディング及び再生のプロセスは、10回以上;より好ましくは20回以上繰り返される。
【0086】
ローディング及び再生の繰り返しサイクルは、平衡含水量(及びそれ故ビーズサイズ)が特有の対イオンの関数であるので、官能化ポリマービーズへの浸透圧衝撃を引き起こす。繰り返しサイクルは、ポリマービーズのいくらか又は全てを壊れさせることができる。好ましくは、本発明のポリマービーズは、そのような破壊を最小限にする。
【0087】
上の考察は、一定電荷の単一の望ましくないイオンを想像している。水が、第1の望ましくないイオンと反対の電荷の第2の望ましくないイオンを更に含有する場合、水は、第1樹脂上の官能基上の電荷と反対の電荷の官能基を有する第2樹脂と接触することができるだろうと想像される。2つの樹脂は、順次使用されても、一緒に混合されてもよい。
【0088】
例えば、スルホン酸基で官能化されているポリマービーズは、強酸性カチオン交換樹脂(「SAC」)である。SACは、望まれていないナトリウムイオンを水から除去するために使用することができよう。最初に、SACは、水素形態にあることができよう。すなわち、(モル基準で)スルホネート基の半分超は、対イオンH+を有する。次に、樹脂の「ローディング」と呼ばれるプロセスにおいて、水素イオンをナトリウムイオンと交換するために、NaClの水溶液がSACのベッドに通すことができようし、その結果ナトリウムイオンはSAC上に保持され、樹脂をナトリウム形態にする。最終的に、SACは、ナトリウムイオンを保持するその能力の限界に達するか又は限界に近づく。次に、SACは、例えばSACのベッドにH2SO4の水溶液を通すことによって、再生して、樹脂を水素形態へ戻すことができる。ローディング、引き続く再生のそのようなサイクルは、ナトリウム形態及び水素形態が異なる平衡含水量を有するので、樹脂ビーズを浸透圧下に置き、繰り返しサイクルの浸透圧衝撃は、ビーズのいくらかを壊す傾向がある。
【0089】
もう一つの例を挙げると、第四級アンモニウム基で官能化されているポリマービーズは、強塩基性アニオン交換樹脂(「SBA」)である。SBAは、望まれていない塩化物イオンを水から除去するために使用することができよう。最初に、SBAは、水酸化物形態にあることができよう。すなわち、(モル基準で)第四級アンモニウム基の半分超は、対イオンOH-を有する。次に、樹脂の「ローディング」と呼ばれるプロセスにおいて、水酸化物イオンを塩化物イオンと交換するために、NaClの水溶液がSBAのベッドに通すことができようし、その結果塩化物イオンはSBA上に保持される。最終的に、SBAは、塩化物イオンを保持するその能力の限界に達するか又は限界に近づく。次に、SBAは、例えばSBAのベッドにNaOHの水溶液を通すことによって、再生して、樹脂を水酸化物形態へ戻すことができる。ローディング、引き続く再生のそのようなサイクルは、塩化物形態及び水酸化物形態が異なる平衡含水量を有するので、樹脂ビーズを浸透圧下に置き、繰り返しサイクルの浸透圧衝撃は、ビーズのいくらかを壊す傾向がある。
【0090】
ローディング及び再生の類似のプロセスは、これらのイオン又は他のイオンを除去するためにこれらの樹脂又は他の樹脂によって行われ得る。弱酸性カチオン交換樹脂又は強酸性カチオン交換樹脂が、一価カチオンか多価カチオンかのどちらかを除去するために使用され得る。弱塩基性アニオン交換樹脂又は強塩基性カチオン交換樹脂が、望まれていない一価アニオン及び/又は多価アニオンを除去するために使用され得る。ローディング及び再生サイクルを含むこれらのプロセスのいずれも、樹脂ビーズへの浸透圧ストレスを生み出す。
【0091】
意図される使用が水精製である場合、破砕への耐性及び浸透圧衝撃への耐性は、本発明の樹脂を有利にする。ビーズは壊れる傾向が少ないので、ビーズの所与の集合体は、ビーズが取り替えられる必要がある前に使用のより長い寿命を有するであろう。また、ビーズが壊れる場合、断片は、ビーズ間の割れ目空間を満たし、それは、ビーズのベッドを通っての水の流れを妨げ、それは、ベッドの入口から出口までの水の圧力降下の増加を引き起こす。また、壊れたビーズはまたチャネリングを引き起こすことができ、それは、ビーズのベッドが処理できる水の量を減らし、こうしてビーズをより頻繁に再生することを必要とし、それは、順繰りに、化学費用を増加させ、且つ、ビーズへの浸透圧ストレスを増加させる。
【0092】
樹脂の意図される使用が触媒としてである場合、本明細書では「樹脂」と言われる、ポリマービーズの官能化集合体は、1種以上の生成物を生成するために、樹脂を1種以上の反応剤と接触させ、及び1種以上の反応剤を含む化学反応を起こらせることによって用いられる。好ましい触媒実施形態において、ポリマービーズの集合体は、SACを生成するためにスルホン酸基で官能化される。触媒として使用される場合、SACは、「酸触媒」と言われる。
【0093】
触媒としての使用を意図される樹脂は、それらの保水容量(MHC)で特徴付けられ得る。MHCは、バルク液体水がビーズから分離され、及びビーズが100%相対湿度を有する空気と平衡に達したときにポリマービーズの集合体中に存在する水の量である。好ましくは、触媒としての使用を意図される樹脂のMHCは、ビーズ及び水を含む、樹脂ビーズの集合体の総重量を基準として重量で、90%以下;より好ましくは80%以下である。好ましくは、アセトン及びフェノールとの接触の前に、樹脂中に存在する水の量は、樹脂の重量を基準として重量で、50%以上;より好ましくは60%以上である。
【0094】
好ましい反応剤は、アセトン及びフェノールであり、反応して2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAとも呼ばれる)を作る。2モルのフェノールが1モルのアセトンと反応して1モルのビスフェノールAと1モルの水とを作ると考えられる。ビスフェノールA形成において、好ましい樹脂触媒は、SAC樹脂である。アセトン及びフェノールとの接触の前に、樹脂は、促進剤と反応させられても反応させられなくてもよい。好ましい実施形態において、アセトン及びフェノールとの接触の前に、樹脂は、促進剤と反応させられる。好ましい促進剤は、アミン基及びチオール基を両方とも有する。好ましくは、促進剤上のアミン基は、樹脂上のスルホン酸基に結合する。好ましくは、促進剤のアミン基に結合したスルホン酸基のモルパーセントは、5%~50%である。好ましくは、アセトン及びフェノールとの接触の前に、水は、例えばフェノールでリンスすることによって、樹脂ビーズの集合体から除去される。好ましくは、アセトン及びフェノールとの接触の直前に、ポリマービーズの集合体中の含水量は、ポリマービーズの集合体を基準として重量で、2%以下;より好ましくは1%以下である。
【0095】
好ましくは、樹脂がフェノール及びアセトンと接触している間ずっと、樹脂は、55℃以上;より好ましくは60℃以上の温度にある。
【0096】
意図される使用が触媒作用である場合、破砕への耐性もまた有利である。本発明の樹脂の寿命はより高いであろうし、微細粒子の低下したレベルは、より低い圧力降下で反応剤が樹脂のベッドを通過することを可能にするであろう。
【実施例0097】
以下は、本発明の実施例である。
【0098】
以下の用語、省略形、及び原材料を使用した:
ジェットされた=モノマー油滴を、米国特許第4,444,960号明細書及び米国特許第4,623,706号明細書に記載されているジェッティング手順を用いて水性媒体中へ導入した
TBC=4-T-ブチルカテコール;いくらかのTBCが、使用されたグレードのDVB中に存在する。
DVB=Dow Chemical Companyによって製造され、供給される、ジビニルベンゼン。使用されたグレードのDVBは、重量で63%の純ジビニルベンゼンとおよそ37%のエチルビニルベンゼンとを含有する混合物であった。下にリストアップされるDVBの百分率は、純DVBの量に言及する。DVBが存在する場合、EVBもまたおよそ37:63のEVB:DVBの重量比で存在すると想定される。DVBは、およそ1000重量ppmのTBCを含有する。
TBCを含まないDVB=TBCを全く含有しないDVB。TBCを含まないDVBを製造するために、一連の4%NaOHバッチ洗浄によって示される部分のDVBからTBCを取り除いた。
CMMC=The Dow Chemical Co.によって製造され、供給される、カルボキシメチルメチルセルロース
PVOH=Sekisui Specialty Chemicals製の、SELVOLTM523ポリビニルアルコール
HEMC=Dow Chemical Company製の、WALOCELTMMKX 15000 PF 01ヒドロキシエチルセルロース
SBA=強塩基性アニオン交換樹脂;第四級アンモニウム基で官能化されたスチレン/DVBのコポリマー
SAC=強酸性カチオン交換樹脂;スルホン酸基で官能化された、スチレン/DVBのコポリマー
TRIS(トリス)=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、水中の20重量%溶液として使用される、Fisher Scientificによって供給される100%固体
PADMAC=ポリ(DADMAC)とも呼ばれる、20重量%ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)の水中の溶液。
ゼラチン=動物性ゼラチン、等電点 およそ8.5
VPBA=4-ビニルフェニルボロン酸
BPO=ベンゾイルペルオキシド、重量で純度75%
DI水=脱イオン水
重クロム酸塩:=重クロム酸ナトリウム二水和物溶液、濃度=水中の70重量%二水和物
GA=漸次添加
周囲温度=およそ23℃
【0099】
A、B、D、E、F、G、及びHと表示される、懸濁重合のための8つのプロトコルを用いた。これらのプロトコルは、以下の通りパラメータによって区別される。コポリマービーズが形成された後、それらを、最終列にリストアップされる方法を用いて官能化した。官能化方法の詳細は、表の下に示される。
【0100】
【0101】
下に記載される油滴混合物又は水性媒体の調製において、いくつかの部分混合物は、時には25℃よりも上に加熱して良好な混合を達成した。しかしながら、油滴が水性媒体中で形成され、懸濁される時に、成分は全て周囲温度にあった。
【0102】
コポリマーがSAC樹脂に変換される場合、硫酸を使用する、標準スルホン化プロセスによってコポリマー含有ポリマービーズをスルホン化して、一官能性ビニルモノマーの全重合単位を基準として、少なくとも95モル%の一官能性ビニルモノマーの重合単位上の芳香環がスルホネート基を有するような置換度を達成した。
【0103】
破砕強度は、以下の通り測定した。官能化ポリマービーズを、4日間50℃で100%湿度の空気と接触させた。次に、ビーズを脱イオン水で覆い、室温(およそ23℃)で1時間以上貯蔵した。単一ビーズを室温での圧縮試験器の1プレート上に置き、ビーズを1滴の水で覆った。粒子が砕けるまでプレートを6.0MM/分でくっつけ、ピーク力を書き留める。この手順を少なくとも30のビーズについて繰り返し、平均ピーク力を「破砕強度」として報告する。試験装置は、中位遅いモーター(2.5~63.5MM/分)付きの、CHATILLONTM力試験器モデルTCD 200であった。力ゲージは、モデルDFGS10であった。破砕強度は、1ビーズ当たりの力のグラム単位(G/BD)で報告する。
【0104】
浸透圧安定性(OS)は、以下の通り測定した。官能化ポリマービーズを、周囲温度(およそ23℃)で水中のNaClの溶液との接触によって順化させた。NaCl溶液をデカンテーションし、湿った樹脂を網目スクリーンに通して500μm~710μmの直径を有する樹脂の試料を生成した。次に、樹脂を垂直直線壁のガラスカラムに入れた。単一サイクルは、以下の通りであった:流体が重力によってカラムから流れ出た;カラム中の樹脂を溶液#1と接触させた;カラムを水で逆浄した;流体が重力によってカラムから流れ出た;カラム中の樹脂を溶液#2と接触させた;流体を重力によってカラムから流し出し、カラムを水で逆洗した。試験を50サイクル繰り返した。溶液#1は、水中のH2SO4であった。溶液#2は、水中のNaOHであった。異なる溶液への暴露のサイクルは、いくつかの粒子を壊れさせた。暴露のサイクルの後に、500μm未満の直径の物体を通すスクリーン上にビーズを置いた。スクリーン上に保持された材料は、無傷ビーズであると考えられ、スクリーンを通過した材料は、壊れたビーズの断片であると考えられる。浸透圧安定性は、
OS(%)=100×W断片/(W無傷+W断片)
であり、
ここで、W断片=断片の重量であり、W無傷=無償ビーズの重量である。より低いOS値がより望ましい。
【0105】
官能化樹脂試料を、以下の通り貯蔵安定性について試験した。樹脂を、バルク水から分離し、周囲温度及び100%相対湿度の空気と平衡させた。樹脂を次に密閉バイアル中に入れ、周囲温度で30日間貯蔵した。次に、3部の水対1部の樹脂の重量比で、樹脂をDI水と十分に混合した。水を濾過によって除去し、標準機器を用いて、その水を導電率について及び350nmの波長での吸光度について試験した。
【0106】
Gを除いて全てのプロトコルにおいて、油滴成分対水相成分の重量比は、0.61:1であった。プロトコルGにおいては、油滴成分対水相成分の重量比は、1:1であった。DVBが重合中に漸次添加される場合、この添加は、下の実施例R1における表に示される程度範囲にわたって連続的であった。DVB添加は、連続的であったが、添加の経過中に速度が変わった。
【0107】
以下の実施例における(重合の開始直前の)出発油滴の組成は、以下の通りであった。量は、モノマー油滴の重量を基準とする重量%である。(同じ接頭辞の全ての試料は、同じ組成の水性媒体を使用した。例えば、実施例A--2A(1)、A-2A(2)、及びA-2Bの全てが、「A-2」と表示される、同じ水性媒体組成物を使用した)。各モノマー油滴組成物の総重量は100%であった。接尾辞「Comp」付きの試料は、比較方法において使用される。開始剤としてのBPOが、全ての出発油滴中に存在した。
【0108】
【0109】
【0110】
以下の実施例における水性媒体の組成は、以下の通りであった。量は、水性媒体の重量を基準とする重量%である。全ての場合に、安定剤の水相濃度は、0.8以上の球形度を有するビーズの数百分率が、ビーズの総数を基準として、少なくとも99%であるようなものであった。全ての場合に、安定剤の水相又はモノマー相濃度は、0.8以上の球形度を有するものの数百分率が、ビーズの総数を基準として、少なくとも99%であるようなものであった。全ての場合に、ラテックスインヒビターの水相濃度は、反応の終わりでのエマルジョンポリマーの重量百分率が、ポリマービーズの総重量を基準として、0.5%未満であるようなものであった。
【0111】
ジェッティングによって形成された最終ポリマービーズの調和平均径は、430~470マイクロメートルであった。かき混ぜによって形成された油滴について、最終ポリマービーズの調和平均径は、490~650マイクロメートルであった。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
プロトコルAを用いる、比較例A1-Comp(重合の開始後のモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、330~390分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。ポリマーへの転化率が80~85%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように反応器へのTRIS添加によってPHを調整した。反応系を97℃に加熱した。97℃で1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。2つの同一の重合を行った。
【0116】
同様にプロトコルAを用いる、実施例A-2A及びA-2B。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、390~550分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。A-2A(1)及びA-2A(2)と表示される、A-2Aの2つの二重反復重合を行った。
【0117】
ポリマーへの転化率が60~75%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、TRISを反応器に添加した。TRIS添加の60分内に、反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0118】
同様にプロトコルAを用いる、実施例A-2C。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、390~550分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。
【0119】
ポリマーへの転化率が60~75%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、TRISを反応器に添加した。TRIS添加の60分内に、反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0120】
プロトコルBを用いる、比較例B1-Comp(重合の開始後のモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、480~560分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度ですぐに、反応器への水中の0.1%のTBCの供給を開始した。DVB供給に通常伴って起こるであろうTBC供給をシミュレートするために、TBC供給速度を時間とともに変えた。
【0121】
TBCを程度0%から57%まで漸次添加した。重合の開始前に、モノマー油滴中のTBC濃度は0.0055重量%であった。TBC供給の終わりに、(部分的に又は完全にポリマーに転化した)モノマー油滴中のTBC濃度は0.0101重量%であった。
【0122】
ポリマーへの転化率が80~85%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、反応器へのTRIS添加によってPHを調整した。反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0123】
同様にプロトコルBを用いる、実施例B-2A、B-2B、B-2C、B-2D、B-2E、及びB-2F。
B-2B(1)及びB-2B(2)と表示される、B-2Bの二重反復試料を製造した。
【0124】
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、420~600分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。
【0125】
ポリマーへの転化率が60~85%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、TRISを反応器に添加した。TRIS添加の60分内に、反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0126】
プロトコルCを用いる、比較例C1-Comp(重合の開始後にモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、330~390分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、最終水性PHが8~9範囲にあるように、TRISを反応器に添加した。転化率が80~85%範囲になるとすぐに、系を97Cに加熱した。97℃で1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0127】
プロトコルCを用いる、実施例C-2。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、420~600分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。
【0128】
転化率が60~85%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、TRISを反応器に添加した。TRIS添加の60分内に、反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0129】
プロトコルDを用いる、比較例D1-Comp(重合の開始後にモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、420~600分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。ポリマーへの転化率が80~85%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように反応器へのTRIS添加によってPHを調整した。反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。2つの同一の重合を行った。
【0130】
プロトコルDを用いる、実施例D-2A。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、390~550分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。D-2A(1)及びD-2A(2)と表示される、2つの二重反復重合を行った。
【0131】
ポリマーへの転化率が20~30%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、TRIS緩衝剤を反応器に添加した。転化率が80~85%に達した時に、最終PHが8~9の範囲にあるように、追加のTRIS緩衝剤を添加した。TRIS添加の60分内に、反応系を次に97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0132】
プロトコルDを用いる、実施例D-2B。下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを漸次添加したことを除いて、D-2Aにおけるのと同じプロトコルを用いた。D-2B(1)及びD-2B(2)と表示される、2つの二重反復重合を行った。
【0133】
プロトコルEを用いる、比較例E1-Comp(重合の開始後のモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、210~270分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。ポリマーへの転化率が80~85%範囲になったらすぐに、反応系を92℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0134】
プロトコルEを用いる、実施例E-2。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、300~360分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。
【0135】
ポリマーへの転化率が80~85%範囲になったらすぐに、反応系を92℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0136】
プロトコルFを用いる、比較例F1-Comp(重合の開始後にモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、300~360分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。ポリマーへの転化率が80~85%範囲になったらすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、反応器へのTRIS添加によってPHを調整した。反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0137】
プロトコルFを用いる、実施例F-2。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、330~390分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、TBCを含まないDVBを反応器に供給した。
【0138】
ポリマーへの転化率が80~85%範囲になるとすぐに、最終PHが8~9範囲にあるように、TRISを反応器に添加した。TRIS添加の60分内に、反応系を97℃に加熱した。1時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0139】
プロトコルGを用いる、比較例G1-Comp(重合の開始後のモノマーの添加なし)。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、300~360分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。ポリマーへの転化率が80~85%範囲になったらすぐに、反応系を90Cに加熱した。3時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0140】
プロトコルGを用いる、実施例G-2。
水性懸濁重合を、以下の通り反応混合物に関して行った。反応温度とBPO濃度との組み合わせを、420~600分内に80~85%の転化度をもたらすように選択した。反応温度に達したらすぐに、DVB供給速度が時間とともに変わる状態で、下の実施例R1において表に示される程度範囲にわたって、DVBを反応器に供給した。
【0141】
ポリマーへの転化率が80~85%範囲になったらすぐに、反応系を90Cに加熱した。3時間後に、系を周囲温度に冷却し、ビーズを脱水し、水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0142】
実施例R1:SAC樹脂の物理的安定性試験の結果
上のプロトコルで製造されたコポリマーをSAC樹脂に変換し、上に記載されたように試験した。結果は、以下の通りであった:二重反復試料を試験した場合、平均結果を示す。
方法=重合方法が本発明の漸次添加(GA)工程を有したか否かを言う。
初期DVB=重合の開始前のモノマー油滴中のDVBの量、(モノマー油滴の重量を基準として重量で)
最終DVB=完成ポリマー中のDVBの重合単位の量、初期油滴及び重合中に供給されたDVBを含めて、全体プロセスに使用された全モノマーの総重量を基準として重量で
EXTSTART=DVB供給が始まった時点での反応進行度
EXTSTOP=DVB供給が終了した時点での反応進行度
DIAM=ポリマービーズの調和平均径
【0143】
【0144】
【0145】
実施例R2:プロトコルEの試料の試験の結果
プロトコルEのコポリマーから、一官能性ビニルモノマーの全重合単位を基準として、少なくとも95モル%の一官能性ビニルモノマーの重合単位上の芳香環が結合したアミン含有基を有するように、クロロメチルエーテルを使用するクロロメチル化、引き続くトリメチルアミンを使用するアミノ化の標準方法によって強塩基性アニオン(SBA)交換樹脂を製造した。
【0146】
SBA樹脂を、実施例A~Rにおけるように試験した。結果は、以下の通りであった。
【0147】
【0148】
実施例R3:触媒反応の結果
フェノールとアセトンとの間の反応を触媒してビスフェノール-A(BPA)を製造する活性について様々な官能化樹脂試料を試験した。触媒活性は、60%転化率までの時間(「T60%」)によって特性評価する。より短い時間は、触媒活性のより高いレベルを反映している。
【0149】
触媒作用反応は、以下の通り実施した:樹脂をフェノールでリンスしてビーズから水分を除去した。フェノールをガラス反応器に添加し、50℃で加熱してフェノールを溶融させた。促進剤をロードされた、乾燥樹脂を反応器に添加し、フェノール中で膨潤させた。反応器温度を、45℃~80℃の温度に調節した。アセトンを反応器に添加した。時間間隔で、反応器中の液体の小試料をピペットで取り出し、バイアルに入れ、過剰のN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドと混合した。バイアルを60℃で30分間貯蔵し、次に周囲温度に冷却し、次にBPA含有量についてガスクロマトグラフィーによって試験した。
【0150】
触媒反応結果は、以下の通りであった。示される試料の全ては、4.65%のDVBの重合単位の総量を有した。
【0151】
【0152】
本発明による漸次添加を用いて製造された、試料A-2A、A-2B、及びA-2Cは、比較試料よりも、60%転化率までのはるかに短い時間を有した。
【0153】
実施例R4:周囲温度で30日間の貯蔵の結果
貯蔵結果は、以下の通りであった。
【0154】
【0155】
各実施例樹脂は、その対応する比較例よりも低い導電率及び吸光度を示した。すなわち、試料A-2A及びA-2Bは、比較A-1Compよりも低い導電率及び吸光度を示した。同様に、試料C-2は、比較C-1Compよりも低い導電率及び吸光度を示した。この結果は、本実施例樹脂が貯蔵中により大きい安定性を有することを示す。