(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149326
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241010BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20241010BHJP
H10K 50/80 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/82 20230101ALI20241010BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/19 20230101ALI20241010BHJP
【FI】
G09F9/30 348Z
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H10K59/35
H10K59/122
H10K50/80
H10K59/131
H10K59/80
H10K59/82
H10K50/844
H10K59/121
H10K59/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112912
(22)【出願日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2023062837
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英幸
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲生
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC33
3K107DD39
3K107DD89
3K107EE07
3K107EE08
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF15
3K107HH05
5C094AA60
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA13
5C094DB01
5C094EA04
5C094EA07
5C094FA01
5C094JA01
(57)【要約】
【課題】 改善された配線構造を有する表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、複数の副画素をそれぞれ含み第1方向に並ぶ第1乃至第3画素と、導電性の下部および下部の側面から突出する上部を含み、第1乃至第3画素をそれぞれ囲う隔壁とを備える。複数の副画素の各々は、下電極と、下電極を覆う有機層と、下部に接触し有機層を覆う上電極とを含む。隔壁は、第1画素と第2画素の間に位置し第1画素に沿って第2方向に延びる第1隔壁と、第1画素と第2画素の間に位置し第2画素に沿って第2方向に延びる第2隔壁と、第2画素と第3画素の間に位置し第2方向に延びる第3隔壁と含む。第1隔壁および第2隔壁は、第2方向に延びるスリットを介して第1方向に離間し、第3隔壁は、第2画素と第3画素の間にわたり連続的に形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色の複数の副画素をそれぞれ含み、第1方向に並ぶ第1画素、第2画素および第3画素と、
導電性の下部および前記下部の側面から突出する上部を含み、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素をそれぞれ囲う隔壁と、
を備え、
前記複数の副画素の各々は、
下電極と、
前記下電極を覆い、電圧の印加に応じて発光する有機層と、
前記下部に接触し、前記有機層を覆う上電極と、
を含み、
前記隔壁は、
前記第1画素と前記第2画素の間に位置し、前記第1画素に沿って前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1隔壁と、
前記第1画素と前記第2画素の間に位置し、前記第2画素に沿って前記第2方向に延びる第2隔壁と、
前記第2画素と前記第3画素の間に位置し、前記第2方向に延びる第3隔壁と、
を含み、
前記第1隔壁および前記第2隔壁は、前記第2方向に延びるスリットを介して前記第1方向に離間し、
前記第3隔壁は、前記第2画素と前記第3画素の間にわたり連続的に形成されている、
表示装置。
【請求項2】
前記第1方向における前記第3隔壁の幅は、前記第1方向における前記第1隔壁および前記第2隔壁の各々の幅よりも大きい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1方向における前記第3隔壁の幅は、前記第1方向における前記第1隔壁、前記第2隔壁および前記スリットの合計幅と同じである、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1方向における前記第1隔壁、前記第2隔壁および前記第3隔壁の各々の幅が同じである、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1方向における前記スリットの幅は、前記第1方向における前記第1隔壁および前記第2隔壁の各々の幅よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素の各々は、前記第1方向に並ぶ第1副画素および第2副画素を含み、
前記隔壁は、前記第1副画素と前記第2副画素の間に位置し前記第2方向に延びる第4隔壁をさらに含み、
前記第1方向における前記第4隔壁の幅は、前記第1方向における前記第3隔壁の幅以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1方向における前記第1隔壁、前記第2隔壁および前記第4隔壁の各々の幅が同じである、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記下電極に接続された画素回路と、
前記画素回路に走査信号を供給する走査線と、
前記画素回路に映像信号を供給する信号線と、
をさらに備え、
前記スリットは、前記信号線と平行に延びている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記下電極に接続された画素回路と、
前記画素回路に走査信号を供給する走査線と、
前記画素回路に映像信号を供給する信号線と、
をさらに備え、
前記スリットは、前記走査線と平行に延びている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記スリットには、前記有機層および前記上電極が配置されていない、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の副画素の各々は、無機絶縁材料で形成された封止層をさらに備え、
前記封止層は、前記有機層および前記上電極を含む積層体と、前記隔壁とを連続的に覆い、
前記スリットには、前記封止層が配置されていない、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記封止層を覆う樹脂層をさらに備え、
前記樹脂層は、前記スリットを満たしている、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記下電極および前記隔壁により、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素を含む複数の画素が配列された表示領域と重なる共通電極が構成され、
前記スリットの少なくとも一端が前記共通電極の外縁に達している、
請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記共通電極は、前記スリットにより分断された複数のセグメントを有し、
前記複数のセグメントは、電気的に接続されている、
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記複数のセグメントは、前記スリットの延出方向と交差する配列方向に並び、
前記複数のセグメントのうちの少なくとも2つは、前記配列方向において互いに異なる幅を有している、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示領域および前記共通電極の各々は、前記配列方向における中心から離れるにつれて前記延出方向における幅が減少する平面形状を有し、
前記複数のセグメントは、第1セグメントと、前記第1セグメントよりも前記中心に近い第2セグメントと、を含み、
前記第1セグメントの前記配列方向における幅は、前記第2セグメントの前記配列方向における幅よりも大きい、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示領域および前記共通電極の平面形状は、円形である、
請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示領域の周囲の周辺領域に配置され、前記複数のセグメントの各々に接続された給電線と、
共通電圧を供給するための端子を含む端子部と、
前記端子部と前記給電線を接続する接続部と、
をさらに備え、
前記複数のセグメントは、第1セグメントと、前記給電線に沿う前記接続部からの距離が前記第1セグメントよりも短い第2セグメントと、を含み、
前記第1セグメントの前記配列方向における幅は、前記第2セグメントの前記配列方向における幅よりも小さい、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項19】
前記複数のセグメントのうち隣り合う2つのセグメントの一方と重なる画素の数と、他方と重なる画素の数との差が10%以内である、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項20】
前記複数のセグメントのうち、最も面積が大きいセグメントと重なる画素の数と、最も面積が小さいセグメントと重なる画素の数との差が30%以内である、
請求項15に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。各表示素子の上電極には、表示領域に配置された配線を通じて共通電圧が印加される。これら上電極および配線は、表示領域と全体的に重なる共通電極を構成する。
【0003】
表示装置を備える電子機器に対し、近距離無線通信(NFC)のための電波を送受信するアンテナが表示装置に重ねた状態で組み込まれることがある。この場合においては、アンテナが発する磁界に起因した渦電流が共通電極に発生し得る。共通電極が低抵抗であると、渦電流により生じる磁界が強まり、アンテナによる通信を阻害する一因となる。
【0004】
また、表示装置に透光性が求められることがある。しかしながら、上記配線が金属などの遮光性を有する材料で形成されていると、表示装置の透光性が大幅に低下し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改善された配線構造を有する表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、異なる色の複数の副画素をそれぞれ含み第1方向に並ぶ第1画素、第2画素および第3画素と、導電性の下部および前記下部の側面から突出する上部を含み、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素をそれぞれ囲う隔壁と、を備えている。前記複数の副画素の各々は、下電極と、前記下電極を覆い、電圧の印加に応じて発光する有機層と、前記下部に接触し、前記有機層を覆う上電極と、を含む。前記隔壁は、前記第1画素と前記第2画素の間に位置し、前記第1画素に沿って前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1隔壁と、前記第1画素と前記第2画素の間に位置し、前記第2画素に沿って前記第2方向に延びる第2隔壁と、前記第2画素と前記第3画素の間に位置し、前記第2方向に延びる第3隔壁と、含む。前記第1隔壁および前記第2隔壁は、前記第2方向に延びるスリットを介して前記第1方向に離間し、前記第3隔壁は、前記第2画素と前記第3画素の間にわたり連続的に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、表示装置の一部の要素を示す概略的な平面図である。
【
図5】
図5は、スリットを介して隣り合う2つのセグメントを拡大して示す概略的な平面図である。
【
図6】
図6は、
図5におけるVI-VI線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る表示装置の効果を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る表示装置の効果を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る表示装置においてスリットを介して隣り合う2つのセグメントを拡大して示す概略的な平面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る表示装置の一部の要素を示す概略的な平面図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る表示装置の一部の要素を示す概略的な平面図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態においてスリットを介して隣り合う2つのセグメントを拡大して示す概略的な平面図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る表示装置に適用し得る他の例を示す概略的な平面図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態に係る表示装置の一部の要素を示す概略的な平面図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係る表示装置に適用し得る他の例を示す概略的な平面図である。
【
図17】
図17は、第6実施形態に係る表示装置の一部の要素を示す概略的な平面図である。
【
図18】
図18は、第6実施形態に係る表示装置の他の例を示す概略的な平面図である。
【
図19】
図19は、第6実施形態に係る表示装置のさらに他の例を示す概略的な平面図である。
【
図20】
図20は、第6実施形態に係る表示装置のさらに他の例を示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向と称する。Z方向は、X方向XとY方向を含む平面に対して法線方向である。また、Z方向と平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
各実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末、ウェアラブル端末等の各種の電子機器に搭載され得る。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10を備えている。基板10は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限られず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0014】
表示領域DAは、X方向およびY方向にマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、青色の副画素SP1、緑色の副画素SP2および赤色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0015】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0016】
表示領域DAには、各副画素SPの画素回路1に走査信号を供給する複数の走査線Gと、各副画素SPの画素回路1に映像信号を供給する複数の信号線Sと、複数の電源線PLとが配置されている。
図1の例においては、走査線Gおよび電源線PLがX方向に延び、信号線SがY方向に延びている。
【0017】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線Gに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線Sに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。
【0018】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限られない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0019】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す概略的な平面図である。
図2の例においては、副画素SP2,SP3がそれぞれ副画素SP1とX方向に並んでいる。さらに、副画素SP2と副画素SP3がY方向に並んでいる。
【0020】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2,SP3がY方向に交互に配置された列と、複数の副画素SP1がY方向に繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、X方向に交互に並ぶ。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。
【0021】
表示領域DAには、リブ5が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
図2の例においては、画素開口AP1が画素開口AP2よりも大きく、画素開口AP2が画素開口AP3よりも大きい。
【0022】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3を備えている。
【0023】
下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1のうち画素開口AP1と重なる部分は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2のうち画素開口AP2と重なる部分は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3のうち画素開口AP3と重なる部分は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。リブ5は、これら表示素子DE1,DE2,DE3の各々を囲っている。
【0024】
リブ5の上には、導電性の隔壁6が配置されている。隔壁6は、全体的にリブ5と重なっており、リブ5と同様の平面形状を有している。すなわち、隔壁6は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口を有している。他の観点からいうと、リブ5および隔壁6は、平面視において格子状であり、副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれを囲っている。
【0025】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線G、信号線Sおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
【0026】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
図3の断面には表れていないが、下電極LE1,LE2,LE3は、それぞれ有機絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて回路層11の画素回路1に接続されている。
【0027】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0028】
図3の例において、下部61は、リブ5の上に配置されたボトム部63と、ボトム部63の上に配置された軸部64とを有している。ボトム部63は、軸部64よりも薄く形成されている。
図3の例においてはボトム部63と軸部64の側面が揃っているが、ボトム部63の両端部が軸部64の側面から突出してもよい。
【0029】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と対向している。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と対向している。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と対向している。上電極UE1,UE2,UE3は、隔壁6の下部61の側面に接触している。
【0030】
表示素子DE1は、上電極UE1の上に配置されたキャップ層CP1を含む。表示素子DE2は、上電極UE2の上に配置されたキャップ層CP2を含む。表示素子DE3は、上電極UE3の上に配置されたキャップ層CP3を含む。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0031】
以下の説明においては、有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む多層体を積層膜FL1と呼び、有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む多層体を積層膜FL2と呼び、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む多層体を積層膜FL3と呼ぶ。
【0032】
積層膜FL1の一部は、上部62の上に位置している。当該一部は、積層膜FL1のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE1を構成する部分)と離間している。同様に、積層膜FL2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は積層膜FL2のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE2を構成する部分)と離間している。さらに、積層膜FL3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は積層膜FL3のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE3を構成する部分)と離間している。
【0033】
副画素SP1,SP2,SP3には、それぞれ封止層SE1,SE2,SE3が配置されている。封止層SE1は、積層膜FL1や副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE2は、積層膜FL2や副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE3は、積層膜FL3や副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0034】
図3の例においては、副画素SP1,SP2の間の隔壁6上の積層膜FL1および封止層SE1が、当該隔壁6上の積層膜FL2および封止層SE2と離間している。また、副画素SP1,SP3の間の隔壁6上の積層膜FL1および封止層SE1が、当該隔壁6上の積層膜FL3および封止層SE3と離間している。
【0035】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13により覆われている。樹脂層13は、封止層14により覆われている。封止層14は、樹脂層15により覆われている。樹脂層13,15および封止層14は、少なくとも表示領域DAの全体に連続的に設けられ、その一部が周辺領域SAにも及んでいる。
【0036】
偏光板、タッチパネル、保護フィルムまたはカバーガラスなどのカバー部材が樹脂層15の上方にさらに配置されてもよい。このようなカバー部材は、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)などの接着層を介して樹脂層15に接着されてもよい。
【0037】
有機絶縁層12は、ポリイミドなどの有機絶縁材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al2O3)などの無機絶縁材料で形成されている。一例では、リブ5がシリコン酸窒化物で形成され、封止層14,SE1,SE2,SE3がシリコン窒化物で形成されている。樹脂層13,15は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料(有機絶縁材料)で形成されている。
【0038】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された反射層と、この反射層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0039】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0040】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、複数の発光層を含むいわゆるタンデム構造を有してもよい。
【0041】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば透明な複数の薄膜が重ねられた積層構造を有している。当該複数の薄膜は、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、当該複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。例えば、これら薄膜の屈折率は、上電極UE1,UE2,UE3の屈折率および封止層SE1,SE2,SE3の屈折率と異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0042】
隔壁6のボトム部63および軸部64は、金属材料によって形成されている。ボトム部63の金属材料としては、例えばモリブデン(Mo)、窒化チタン(TiN)、モリブデン-タングステン合金(MoW)またはモリブデン-ニオブ合金(MoNb)を用いることができる。軸部64の金属材料としては、例えばアルミニウム、アルミニウム-ネオジム合金(AlNd)、アルミニウム-イットリウム合金(AlY)またはアルミニウム-シリコン合金(AlSi)を用いることができる。なお、軸部64が絶縁性の材料で形成されてもよい。
【0043】
例えば、隔壁6の上部62は、金属材料で形成された下層と、導電性酸化物で形成された上層との積層構造を有している。下層を形成する金属材料としては、例えばチタン、窒化チタン、モリブデン、タングステン、モリブデン-タングステン合金またはモリブデン-ニオブ合金を用いることができる。上層を形成する導電性酸化物としては、例えばITOまたはIZOを用いることができる。なお、上部62は、金属材料の単層構造を有してもよい。さらに、上部62は、絶縁材料で形成された層を含んでもよい。
【0044】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、それぞれ副画素SP1,SP2,SP3の画素回路1を通じて信号線Sの映像信号に応じた画素電圧が供給される。
【0045】
有機層OR1,OR2,OR3は、電圧の印加に応じて発光する。具体的には、下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0046】
他の例として、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が同一色(例えば白色)の光を放ってもよい。この場合において、表示装置DSPは、発光層が放つ光を副画素SP1,SP2,SP3に対応する色の光に変換するカラーフィルタを備えてもよい。また、表示装置DSPは、発光層が放つ光により励起して副画素SP1,SP2,SP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層を備えてもよい。
【0047】
図4は、表示装置DSPの一部の要素を示す概略的な平面図である。隔壁6および上電極UE1,UE2,UE3は、表示素子DE1,DE2,DE3に共通電圧を印加する共通電極CEを構成する。
図4中に拡大して示すように、表示領域DAに含まれる副画素SP1,SP2,SP3には上電極UE1,UE2,UE3が配置され、さらに上電極UE1,UE2,UE3の隙間には隔壁6が配置されている。したがって、共通電極CEは、表示領域DAと全体的に重なっている。
【0048】
周辺領域SAには、複数のパッドを含む端子部Tが配置されている。端子部Tには、例えば導電性の接着材によってフレキシブル回路基板(FPC)が接続される。これらフレキシブル回路基板および端子部Tを通じて画像表示に必要な電圧や信号が供給される。
【0049】
さらに、周辺領域SAには、給電線PWが配置されている。給電線PWには、端子部Tから共通電圧が印加されている。
図4の例において、給電線PWは、端子部Tと表示領域DAの間でX方向に延びている。
【0050】
共通電極CEは、少なくとも一端が共通電極CEの外縁(平面視における輪郭)に達したスリットSLを有している。
図4の例においては、共通電極CEが5本のスリットSLを有しているが、スリットSLの数はこの例に限られない。
【0051】
図4の例においては、各スリットSLの両端が共通電極CEの外縁に達している。これにより、共通電極CEは、各スリットSLを介して離間した6つのセグメントSGに分割されている。
【0052】
各スリットSLは、Y方向に延びている。他の観点からいうと、各スリットSLは、
図1に示した信号線Sと平行に延びている。X方向におけるスリットSLの間隔は、例えば一定である。この場合においては、各セグメントSGのX方向における幅が同等である。
【0053】
各セグメントSGは、Y方向(スリットSLの延出方向)における第1端部E1および第2端部E2を有している。各セグメントSGの第1端部E1は、給電線PWに接続されている。すなわち、各セグメントSGは、給電線PWを介して電気的に接続されている。各セグメントSGの第2端部E2は、スリットSLを介して離間しており、給電線PWのような導電性の部材によって接続されていない。
【0054】
図5は、スリットSLを介して隣り合う2つのセグメントSGを拡大して示す概略的な平面図である。以下の説明においては、
図5中のスリットSLの左方に位置するセグメントSGを第1セグメントSG1と呼び、右方に位置するセグメントSGを第2セグメントSG2と呼ぶ。
【0055】
また、スリットSLに隣接する第1セグメントSG1の画素PXを第1画素PX1と呼び、画素PX1とX方向に並ぶ第2セグメントSG2の2つの画素PXをそれぞれ第2画素PX2および第3画素PX3と呼ぶ。画素PX1,PX2,PX3は、いずれも副画素SP1,SP2,SP3を含み、隔壁6によって囲われている。
【0056】
スリットSLは、第1セグメントSG1の副画素SP1と、第2セグメントSG2の副画素SP2,SP3との間に位置している。スリットSLに隣接するこれら副画素SP1,SP2,SP3は、スリットSLに隣接しない他の副画素SP1,SP2,SP3と同じく隔壁6によって囲われている。
【0057】
隔壁6は、第1画素PX1と第2画素PX2の間に位置する第1隔壁6y1および第2隔壁6y2と、第2画素PX2と第3画素PX3の間に位置する第3隔壁6y3とを含む。第1隔壁6y1は、第1画素PX1に沿ってY方向に延びている。第2隔壁6y2は、第2画素PX2に沿ってY方向に延びている。第1隔壁6y1および第2隔壁6y2は、スリットSLを介してX方向に離間している。第3隔壁6y3は、第2画素PX2と第3画素PX3の間でY方向に延びている。また、第3隔壁6y3は、スリットで分断されることなく、第2画素PX2と第3画素PX3の間にわたりX方向に連続的に形成されている。
【0058】
隔壁6は、Y方向に延びる複数の第4隔壁6y4をさらに含む。第4隔壁6y4は、画素PX1,PX2,PX3において副画素SP1と副画素SP2,SP3との間に位置している。第4隔壁6y4は、第3隔壁6y3と同じくスリットで分断されていない。
【0059】
X方向において、第1隔壁6y1は幅Wy1を有し、第2隔壁6y2は幅Wy2を有し、第3隔壁6y3は幅Wy3を有し、第4隔壁6y4は幅Wy4を有し、スリットSLは幅Wsを有している。ここで、幅Wy1,Wy2,Wy3,Wy4は、それぞれ隔壁6y1,6y2,6y3,6y4の上部62のX方向における幅である。また、幅Wsは、隔壁6y1,6y2の上部62の端部間のX方向における距離である。本実施形態においては、幅Wy3が幅Wy1,Wy2,Wy4の各々よりも大きい(Wy1,Wy2,Wy4<Wy3)。幅Wy1,Wy2,Wy4は、例えば同じである。
【0060】
さらに、本実施形態においては、幅Wy3が第1隔壁6y1、第2隔壁6y2およびスリットSLの合計幅と同じである(Wy1+Wy2+Ws=Wy3)。これにより、画素PX1,PX2のX方向における間隔と、画素PX2,PX3のX方向における間隔とが一致する。
【0061】
また、
図5の例においては、幅Wsが幅Wy1,Wy2,Wy3,Wy4の各々よりも小さい(Ws<Wy1,Wy2,Wy3,Wy4)。ただし、幅Wsは、幅Wy1,Wy2,Wy4の少なくとも1つと同じであってもよいし、幅Wy1,Wy2,Wy4の少なくとも1つより大きくてもよい。
【0062】
図6は、
図5におけるVI-VI線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。この図においては、基板10、回路層11、封止層14および樹脂層15の図示を省略している。
【0063】
隔壁6y1,6y2、6y3、6y4は、いずれも上述の下部61(ボトム部63および軸部64)と、下部61の側面から突出する上部62とを有している。スリットSLにおいては、下部61および上部62がいずれも配置されていない。すなわち、スリットSLにおいては、リブ5の上面が隔壁6から露出している。
【0064】
また、スリットSLには、積層膜FL1,FL2,FL3および封止層SE1,SE2,SE3がいずれも配置されていない。
図6の例においては、スリットSLが樹脂層13によって満たされている。
【0065】
ここで、本実施形態が奏する効果の一例について説明する。
図7および
図8は、本実施形態に係る表示装置DSPの効果を説明するための図である。表示装置DSPが搭載される電子機器は、近距離無線通信(NFC)のためのアンテナAT1を備えることがある。アンテナAT1は、例えば表示装置DSPの裏面(
図3に示す基板10の下面)に対向するように配置され、表示装置DSPを通じて他の電子機器のアンテナAT2と無線通信する。
【0066】
アンテナAT1,AT2間の無線通信時には、アンテナAT1が形成する磁界M1により共通電極CEに渦電流Iが発生する。渦電流Iにより、磁界M1を打ち消す磁界M2が形成され、信号強度が減衰する。そのため、表示装置DSPを介して無線通信を行う場合には、通信感度が低下し得る。特に、主に金属材料で形成された格子状の隔壁6が表示領域DAの全体に形成されている場合には、共通電極CEが低抵抗となる。これにより、大きい渦電流Iとそれに伴う強い磁界M2が生じ、通信感度が低下しやすい。
【0067】
これに対し、本実施形態においては、共通電極CEがスリットSLによって複数のセグメントSGに分割されている。この場合には、共通電極CEに大きい渦電流が生じにくくなるので、通信感度の低下を抑制することができる。なお、各セグメントSGには渦電流が生じ得るが、これら渦電流による通信感度への影響は、分割されていない共通電極CEの全体に生じる渦電流Iに比べれば軽微である。
【0068】
また、表示装置DSPが搭載される電子機器は、外光を検知する照度センサなどの光学センサを備えることがある。このような光学センサが表示装置DSPの裏面側に配置される場合には、表示装置DSPに透光性が必要となる。
【0069】
しかしながら、下電極LE1,LE2,LE3は、いずれも上述の反射層を含む。また、少なくとも一部が金属材料で形成された隔壁6は、遮光性を有している。そのため、
図6に示す外光L1のように、表示装置DSPの表示面に入射する殆どの光が、裏面側に透過することなく反射または遮光され得る。
【0070】
これに対し、本実施形態のように隔壁6にスリットSLが設けられている場合、
図6に示す外光L2のように、表示面に入射する光の一部がスリットSLを通じて表示装置DSPの裏面側に透過する。これにより、表示装置DSPの透光性を高めることができる。
【0071】
また、本実施形態においては、スリットSLを介さずに隣り合う画素PX2,PX3の間に配置される隔壁6y3の幅Wy3が、スリットSLを介して隣り合う画素PX1,PX2の間に配置される隔壁6y1,6y2の幅Wy1,Wy2よりも大きい。これにより、スリットSL付近の領域と、スリットSLから離れた領域とで画素PXのX方向におけるピッチの変動を抑制し、表示品位を高めることができる。
図5に示したように、幅Wy3が第1隔壁6y1、第2隔壁6y2およびスリットSLの合計幅(Wy1+Wy2+Ws)と同じであれば、画素PXのY方向におけるピッチが表示領域DAの全体において一定となるため一層好適である。
【0072】
なお、隔壁6は、上電極UE1,UE2,UE3に給電するための配線としての役割を有するとともに、表示装置DSPの製造時に蒸着で形成される積層膜FL1,FL2,FL3を分断する役割も有している。このように積層膜FL1,FL2,FL3を分断することで、封止層SE1,SE2,SE3により個別に封止された表示素子DE1,DE2,DE3を得ることができる。
【0073】
仮に、スリットSLを設けたことにより隔壁6で囲われていない副画素が生じた場合、その副画素の積層膜を隔壁6によって完全には分断できなくなる。この場合には、当該副画素SPにおいて表示素子の封止不良が生じ得る。
【0074】
これに対し、本実施形態においては、スリットSLに隣接する副画素SP1,SP2,SP3がいずれも隔壁6によって囲われている。これにより、スリットSLに隣接する副画素SP1,SP2,SP3においても表示素子DE1,DE2,DE3を個別に封止することが可能となる。
【0075】
本実施形態にて開示した構成は、種々の態様に変形し得る。以下の第2乃至第6実施形態においては、隔壁6および共通電極CEに適用し得る構成の他の例を開示する。これらの実施形態において、特に言及しない構成および効果は第1実施形態と同様である。
【0076】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る表示装置DSPにおいてスリットSLを介して隣り合う2つのセグメントSGを拡大して示す概略的な平面図である。
図10は、
図9におけるX-X線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【0077】
隔壁6は、第1実施形態と同じく、第1隔壁6y1、第2隔壁6y2、第3隔壁6y3および第4隔壁6y4を含む。ただし、本実施形態においては、第3隔壁6y3の幅Wy3が、第1隔壁6y1、第2隔壁6y2およびスリットSLの合計幅よりも小さい(Wy1+Wy2+Ws>Wy3)。一例では、幅Wy1,Wy2,Wy3,Wy4が同じである。幅Wy3は、例えば幅Wsよりも大きいが、この例に限られない。
【0078】
本実施形態の構成においては、画素PX1,PX2のX方向における間隔が、画素PX2,PX3のX方向における間隔よりも大きくなる。そのため、画像を表示する際にスリットSLに沿う筋むらが視認される可能性がある。そこで、スリットSLに隣接する画素PXの輝度を調整することにより、当該筋むらの発生を抑制することが好ましい。一例では、スリットSLに隣接する画素PX(画素PX1,PX2等)に含まれる副画素SP1,SP2,SP3の輝度を、スリットと隣接しない画素PX(第3画素PX3等)に含まれる副画素SP1,SP2,SP3の輝度よりも高めてもよい。
【0079】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る表示装置DSPの一部の要素を示す概略的な平面図である。この図の例においては、第1実施形態と同じくY方向に延びる複数のスリットSLが共通電極CEに設けられ、これにより共通電極CEがX方向に並ぶ複数のセグメントSGに分割されている。
【0080】
ただし、
図11の例においては、各スリットSLの給電線PW側の端部Esが共通電極CEの外縁に達していない。これにより、各セグメントSGと給電線PWの間に、各セグメントSGよりもX方向における幅が大きいセグメントSG0が形成されている。
【0081】
セグメントSG0のY方向における一端は、各セグメントSGの第1端部E1に接続されている。セグメントSG0のY方向における他端は、給電線PWに接続されている。
【0082】
図11の例においては、各スリットSLの端部EsのY方向における位置が揃っている。さらに、これら端部Esは、共通電極CEのY方向における中心CLyよりも給電線PW側に位置している。この例に限られず、各端部EsのY方向における位置がずれていてもよい。また、端部Esは、中心CLyよりも第2端部E2側に位置してもよい。
【0083】
本実施形態のように、スリットSLが共通電極CEを完全には分断しない場合であっても、上述した渦電流を抑制する効果や、表示装置DSPの透過率を高める効果が得られる。
【0084】
[第4実施形態]
上述の各実施形態においては、スリットSLがY方向に延びる構成を開示した。本実施形態においては、スリットSLがX方向に延びる構成を開示する。
【0085】
図12は、第4実施形態に係る表示装置DSPの一部の要素を示す概略的な平面図である。この図の例においては、X方向に延びる複数のスリットSLが共通電極CEに設けられ、これにより共通電極CEがY方向に並ぶ複数のセグメントSGに分割されている。他の観点からいうと、本実施形態におけるスリットSLは、
図1に示した走査線Gと平行に延びている。
【0086】
図12の例においては、各スリットSLのX方向における両端がいずれも共通電極CEの外縁に達している。他の例として、第3実施形態と同じく、各スリットSLのX方向における一端が共通電極CEの外縁に達していなくてもよい。
【0087】
各セグメントSGは、X方向に長尺な形状を有し、Y方向に並んでいる。
図12においては、各セグメントSGのY方向における幅(各スリットSLの間隔)が同じであるが、この例に限られない。
【0088】
給電線PWは、X方向に延びる第1部分P1と、Y方向に延びる第2部分P2とを有している。第1部分P1は、表示領域DAと端子部Tの間に位置している。第2部分P2は、表示領域DAの図中左辺に沿って配置され、第1部分P1に接続されている。
【0089】
各セグメントSGは、X方向(スリットSLの延出方向)における第1端部E1および第2端部E2を有している。各セグメントSGの第1端部E1は、第2部分P2に接続されている。
【0090】
図13は、本実施形態におけるスリットSLを介して隣り合う2つのセグメントSGを拡大して示す概略的な平面図である。本実施形態においては、
図13中のスリットSLの上方に位置するセグメントSGを第1セグメントSG1と呼び、下方に位置するセグメントSGを第2セグメントSG2と呼ぶ。
【0091】
また、スリットSLに隣接する第1セグメントSG1の画素PXを第1画素PX1と呼び、画素PX1とY方向に並ぶ第2セグメントSG2の2つの画素PXをそれぞれ第2画素PX2および第3画素PX3と呼ぶ。
【0092】
スリットSLは、第1セグメントSG1の副画素SP1,SP2と、第2セグメントSG2の副画素SP1,SP3との間に位置している。スリットSLに隣接するこれら副画素SP1,SP2,SP3は、スリットSLに隣接しない他の副画素SP1,SP2,SP3と同じく隔壁6によって囲われている。
【0093】
隔壁6は、第1画素PX1と第2画素PX2の間に位置する第1隔壁6x1および第2隔壁6x2と、第2画素PX2と第3画素PX3の間に位置する第3隔壁6x3とを含む。第1隔壁6x1は、第1画素PX1に沿ってX方向に延びている。第2隔壁6x2は、第2画素PX2に沿ってX方向に延びている。第1隔壁6x1および第2隔壁6x2は、スリットSLを介して離間している。第3隔壁6x3は、第2画素PX2と第3画素PX3の間でX方向に延びている。また、第3隔壁6x3は、スリットで分断されることなく、第2画素PX2と第3画素PX3の間にわたりY方向に連続的に形成されている。
【0094】
隔壁6は、X方向に延びる複数の第4隔壁6x4をさらに含む。第4隔壁6x4は、画素PX1,PX2,PX3において副画素SP2と副画素SP3の間に位置している。第4隔壁6x4は、第3隔壁6x3と同じくスリットで分断されていない。
【0095】
Y方向において、第1隔壁6x1は幅Wx1を有し、第2隔壁6x2は幅Wx2を有し、第3隔壁6x3は幅Wx3を有し、第4隔壁6x4は幅Wx4を有し、スリットSLは幅Wsを有している。ここで、幅Wx1,Wx2,Wx3,Wx4は、それぞれ隔壁6x1,6x2,6x3,6x4の上部62のY方向における幅である。また、幅Wsは、隔壁6x1,6x2の上部62の端部間のY方向における距離である。
図13の例においては、幅Wx3が幅Wx1,Wx2,Wx4の各々よりも大きい(Wx1,Wx2,Wx4<Wx3)。幅Wx1,Wx2,Wx4は、例えば同じである。
【0096】
さらに、
図13の例においては、幅Wx3が第1隔壁6x1、第2隔壁6x2およびスリットSLの合計幅と同じである(Wx1+Wx2+Ws=Wx3)。これにより、画素PX1,PX2のY方向における間隔と、画素PX2,PX3のY方向における間隔とが一致する。
【0097】
例えば、幅Wsは、幅Wx1,Wx2,Wx3,Wx4の各々よりも小さい(Ws<Wx1,Wx2,Wx3,Wx4)。ただし、幅Wsは、幅Wx1,Wx2,Wx4の少なくとも1つと同じであってもよいし、幅Wx1,Wx2,Wx4の少なくとも1つより大きくてもよい。
【0098】
図14は、本実施形態に係る表示装置DSPに適用し得る他の例を示す概略的な平面図であり、
図13と同じくスリットSLを介して隣り合う2つのセグメントSGを拡大して示している。この図の例においては、第3隔壁6x3の幅Wx3が、第1隔壁6x1、第2隔壁6x2およびスリットSLの合計幅よりも小さい(Wx1+Wx2+Ws>Wx3)。一例では、幅Wx1,Wx2,Wx3,Wx4が同じである。幅Wx3は、例えば幅Wsよりも大きいが、この例に限られない。
【0099】
図14の構成においては、画素PX1,PX2のY方向における間隔が、画素PX2,PX3のY方向における間隔よりも大きくなる。そのため、画像を表示する際にスリットSLに沿う筋が視認される可能性がある。そこで、第2実施形態と同じく、スリットSLに隣接する画素PXの輝度を調整することにより、当該筋の発生を抑制することが好ましい。
【0100】
本実施形態のように、スリットSLがX方向(走査線Gの延出方向)と平行に延びる場合であっても、上述した渦電流を抑制する効果や、表示装置DSPの透過率を高める効果が得られる。
【0101】
[第5実施形態]
図15は、第5実施形態に係る表示装置DSPの一部の要素を示す概略的な平面図である。本実施形態においては、表示領域DAおよび共通電極CEが円形である。
【0102】
図15の例において、共通電極CEは、複数のスリットSLによって複数のセグメントSGに分割されている。各スリットSLは、Y方向と平行に延びている。各スリットSLのY方向における両端は、いずれも共通電極CEの外縁に達している。各セグメントSGは、Y方向に長尺な形状を有し、X方向に並んでいる。
図15においては各セグメントSGのX方向における幅(各スリットSLの間隔)が同じであるが、この例に限られない。
【0103】
図16は、本実施形態に係る表示装置DSPに適用し得る構成の他の例を示す概略的な平面図である。この図の例においては、各スリットSLがX方向と平行に延びている。各スリットSLのX方向における両端は、いずれも共通電極CEの外縁に達している。各セグメントSGは、X方向に長尺な形状を有し、Y方向に並んでいる。
図16においては各セグメントSGのY方向における幅(各スリットSLの間隔)が同じであるが、この例に限られない。
【0104】
図15および
図16のいずれの例においても、給電線PWは、表示領域DAに沿う円弧状の平面形状を有している。各セグメントSGの第1端部E1は、給電線PWに接続されている。
【0105】
図15の例において、スリットSLの近傍には
図5または
図9と同様の構成を適用し得る。また、
図16の例において、スリットSLの近傍には
図13または
図14と同様の構成を適用し得る。第3実施形態と同じく各スリットSLの給電線PW側の端部が共通電極CEの外縁に達していなくてもよい。
【0106】
[第6実施形態]
図4、
図11、
図12、
図15および
図16においては、共通電極CEのセグメントが、これらセグメントの配列方向(スリットの延出方向と直交する方向)において同等の幅を有する例を示した。本実施形態においては、これらセグメントの幅を異ならせた構成を例示する。上述の各実施形態にて開示した構成は、適宜に本実施形態にも適用可能である。
【0107】
図17は、第6実施形態に係る表示装置DSPの一部の要素を示す概略的な平面図である。この図の例において、共通電極CEは、Y方向と平行に延びる7本のスリットSL(スリットSL1~SL7)によって、X方向に並ぶ8つのセグメントSG(セグメントSG1~SG8)に分割されている。この場合、Y方向がスリットSL1~SL7の延出方向に相当し、X方向がセグメントSG1~SG8の配列方向に相当する。
【0108】
図17の例においては、第5実施形態と同じく表示領域DAおよび共通電極CEが円形である。すなわち、共通電極CEは、セグメントSG1~SG8の配列方向における中心CLから離れるに連れてスリットSL1~SL7の延出方向における幅が減少する平面形状を有している。表示領域DAの平面形状についても同様のことが言える。なお、このような表示領域DAおよび共通電極CEの構成は、例えば楕円形などの他の平面形状であっても実現され得る。
【0109】
図17の例においては、セグメントSG1,SG8が中心CLから最も離れており、セグメントSG4,SG5が中心CLに最も近い。中心CLは、例えばセグメントSG4,SG5の間に位置し、スリットSL4と重なっている。
【0110】
セグメントSG1~SG8は、それぞれX方向において幅W1~W8を有している。これら幅W1~W8は、例えばセグメントSG1~SG8のX方向における最大幅に相当する。
【0111】
ここで、セグメントSG1~SG8と重なる画素PXの数をそれぞれ重畳画素数Pn1~Pn8と定義する。仮に、表示領域DAおよび共通電極CEが
図17に示す平面形状を有し、かつ幅W1~W8が同等である場合、重畳画素数Pn1~Pn8が不均一となる。より具体的には、重畳画素数Pn4,Pn5が最も多く、重畳画素数Pn3,Pn6が2番目に多く、重畳画素数Pn2,Pn7が3番目に多く、重畳画素数Pn1,Pn8が最も少なくなる。
【0112】
セグメントSG1~SG8の共通電圧は、重畳画素数が多いほど低下する傾向にある。共通電圧が低下すると、副画素SP1,SP2,SP3の輝度が低下する。そのため、重畳画素数に応じた不所望な輝度傾斜が表示領域DAに生じ得る。
【0113】
このような輝度傾斜は、重畳画素数Pn1~Pn8の差が低減されるように幅W1~W8の少なくとも一部を異ならせることで抑制することが可能である。具体的には、中心CLから離れた第1セグメント(セグメントSG1~SG8のいずれか)と、第1セグメントよりも中心CLに近い第2セグメント(セグメントSG1~SG8の他のいずれか)とを比較した場合に、第1セグメントの幅が第2セグメントの幅よりも大きいことが好ましい。これにより、第1セグメントと第2セグメントの重畳画素数の差が低減され、結果としてこれらセグメントに対応する領域の輝度差も低減される。
【0114】
図17の例においては、幅W1,W8が最も大きく、幅W2,W7が2番目に大きく、幅W3,W6が3番目に大きく、幅W4,W5が最も小さい。これにより、重畳画素数Pn1~Pn8の差が全体的に低減される。
【0115】
幅W1~W8は、セグメントSG1~SG8のうち隣り合う2つのセグメントの重畳画素数の差が10%以内となるように定めることが好ましい。また、幅W1~W8は、セグメントSG1~SG8のうち最も面積が大きいセグメントの重畳画素数と、最も面積が小さいセグメントの重畳画素数との差が30%以内となるように定めることが好ましい。ここで、「重畳画素数の差がXX%以内」とは、これら重畳画素数のうち小さい方の-XX%~+XX%の範囲にこれら重畳画素数の差が収まることを意味する。
【0116】
セグメントSG1~SG8の抵抗は、セグメントSG1~SG8の形状や給電線PWとの接続態様などに応じて変動する。このような抵抗によっても、セグメントSG1~SG8における共通電圧が異なり得る。そこで、重畳画素数に加え、セグメントSG1~SG8の抵抗をさらに考慮して幅W1~W8を定めてもよい。
【0117】
具体的には、セグメントにおける共通電圧の低下幅ΔVは、当該セグメントの重畳画素数Pnと抵抗Rの積(Pn×R)に比例する。そこで、セグメントSG1~SG8のそれぞれについての積(Pn×R)が実質的に同等とみなせるように幅W1~W8を定め得る。なお、「実質的に同等」とは、比較対象の複数の数値が互いに一致する場合だけでなく、これらの数値に例えば数%のばらつきがある場合も含む。
【0118】
図18は、本実施形態に係る表示装置DSPの他の例を示す概略的な平面図である。この図においても、
図17と同じく表示領域DAおよび共通電極CEが円形である。ただし、共通電極CEは、X方向と平行に延びるスリットSL1~SL7によって、Y方向に並ぶセグメントSG1~SG8に分割されている。この場合、X方向がスリットSL1~SL7の延出方向に相当し、Y方向がセグメントSG1~SG8の配列方向に相当する。このような構成においても、
図17の例と同様にセグメントSG1~SG8の幅W1~W8を調整することで、表示領域DAの輝度差を均一化することが可能である。
【0119】
図19は、本実施形態に係る表示装置DSPのさらに他の例を示す概略的な平面図である。この図においては、第1実施形態(
図4)と同じく、表示領域DAおよび共通電極CEの平面形状が長方形である。さらに、共通電極CEは、Y方向と平行に延びるスリットSL1~SL5によって、X方向に並ぶセグメントSG1~SG6に分割されている。
【0120】
周辺領域SAに配置された端子部Tは、表示装置DSPに共通電圧を供給するための端子を含む。給電線PWは、このような端子を含む端子部Tに対し、接続部CNを介して接続されている。
図19の例においては、2つの接続部CNがセグメントSG2,SG5の近傍にそれぞれ設けられている。
【0121】
セグメントSG1~SG6の共通電圧は、接続部CNとの位置関係によって変動する。すなわち、接続部CNから離れたセグメントの共通電圧は、接続部CNに近いセグメントの共通電圧よりも低下し得る。
【0122】
このような共通電圧の低下によって生じる輝度傾斜は、セグメントSG1~SG6の幅W1~W6の少なくとも一部を異ならせることで抑制することが可能である。具体的には、給電線PWに沿う接続部CNからの距離が長い第1セグメントと、給電線PWに沿う接続部CNからの距離が第1セグメントよりも短い第2セグメントとを比較した場合に、第1セグメントの幅が第2セグメントの幅よりも小さいことが好ましい。他の観点からいうと、第1セグメントの重畳画素数が第2セグメントの重畳画素数よりも少ないことが好ましい。これにより、第1セグメントの電圧低下が抑制され、第1セグメントおよび第2セグメントのそれぞれに対応する領域の輝度差も低減される。
【0123】
図19の例においては、接続部CNに近いセグメントSG2,SG5の幅W1,W5が最も大きく、表示領域DAの両端に位置するセグメントSG1,SG6の幅W1,W6が最も小さい。X方向において2つの接続部CNの間に位置するセグメントSG3,SG4の幅W3,W4は、幅W1,W6よりも大きく、幅W2,W5よりも小さい。
【0124】
図20は、本実施形態に係る表示装置DSPのさらに他の例を示す概略的な平面図である。この図においても、
図19と同じく表示領域DAおよび共通電極CEが長方形である。ただし、共通電極CEは、X方向と平行に延びるスリットSL1~SL7によって、Y方向に並ぶセグメントSG1~SG8に分割されている。この場合、X方向がスリットSL1~SL7の延出方向に相当し、Y方向がセグメントSG1~SG8の配列方向に相当する。
【0125】
第4実施形態(
図12)と同じく、給電線PWは、X方向に延びる第1部分P1と、Y方向に延びる第2部分P2とを有している。第1部分P1は、接続部CNに接続されている。第2部分P2は、セグメントSG1~SG8の第1端部E1に接続されている。
【0126】
このような構成においては、給電線PWに沿う接続部CNからの距離は、セグメントSG1が最も遠く、セグメントSG8が最も近くなる。そこで、
図20の例においては、セグメントSG1~SG8の幅W1~W8が順に大きくなるようにスリットSL1~SL7が設けられている。
【0127】
図19および
図20を用いて説明したように接続部CNからの距離に応じてセグメントの幅を異ならせる構成は、
図17および
図18の例にも適用できる。
本実施形態において例示した
図17乃至
図20の構成以外にも、共通電極CEのセグメントの幅は種々の態様に異ならせ得る。共通電極CEが備える複数のセグメントは、必ずしも全てが隣接するセグメントと異なる幅を有する必要はない。すなわち、複数のセグメントのうちの少なくとも2つが異なる幅を有することで、上述の輝度傾斜を抑制する効果を得ることができる。
【0128】
なお、
図4、
図11および
図19においては共通電極CEに5本のスリットSLが設けられる例を示し、
図12、
図15乃至
図18および
図20においては共通電極CEに7本のスリットSLが設けられる例を示した。共通電極CEに設けられるスリットSLの数はこれらの例に限られず、2~4本、6本あるいは8本以上であってもよい。また、スリットおよびセグメントの形状も種々の態様に変形し得る。
【0129】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0130】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0131】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0132】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、LE1,LE2,LE3…下電極、OR1,OR2,OR3…有機層、UE1,UE2,UE3…上電極、SE1,SE2,SE3…封止層、CE…共通電極、SL…スリット、SG…セグメント、PW…給電線、T…端子部、1…画素回路、5…リブ、6…隔壁、61…下部、62…上部。