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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149331
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9728 20170101AFI20241010BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 8/9722 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 8/9711 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 8/9717 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20241010BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/896 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/258 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/03 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/04 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 36/05 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 35/644 20150101ALI20241010BHJP
   A61K 36/062 20060101ALI20241010BHJP
   A23L 31/15 20160101ALI20241010BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20241010BHJP
   A23G 3/36 20060101ALN20241010BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
A61K8/9728
A61K8/9789
A61K8/9722
A61K8/9711
A61K8/9717
A61K8/98
A61Q11/00
A61K36/896
A61K8/9794
A61K36/185
A61K36/28
A61K36/82
A61K36/258
A61K36/03
A61K36/04
A61K36/05
A61P1/02
A61P31/04
A61K35/644
A61K36/062
A23L31/15
A23L33/105
A23G3/36
A23G4/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122020
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2023061341
(32)【優先日】2023-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4C083
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B014GB06
4B014GB13
4B014GG07
4B014GG12
4B014GG18
4B014GK03
4B014GK12
4B014GL10
4B014GP01
4B014GP27
4B018LB01
4B018LB10
4B018LE06
4B018MD48
4B018MD61
4B018MD67
4B018MD77
4B018MD81
4B018ME14
4B018MF01
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4B018MF13
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB292
4C083AB332
4C083AB472
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC622
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD092
4C083AD532
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB55
4C083CC41
4C083DD22
4C083DD23
4C083EE07
4C083EE33
4C083EE34
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB22
4C087BC11
4C087CA06
4C087CA08
4C087MA17
4C087MA27
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4C087NA14
4C087ZA67
4C087ZB35
4C088AA13
4C088AA14
4C088AA15
4C088AB13
4C088AB18
4C088AB26
4C088AB45
4C088AB85
4C088BA08
4C088CA03
4C088CA25
4C088MA17
4C088MA27
4C088MA57
4C088NA14
4C088ZA67
4C088ZB35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天然物由来で、口腔内の殺菌作用、口臭予防作用及び口腔内の保湿作用を有する成分を提供すること。
【解決手段】酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔用組成物の有効成分とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔用組成物。
【請求項2】
酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上と、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物と、クワ属(Morus)に属する植物の抽出物を含む口腔用組成物。
【請求項3】
酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔殺菌用組成物。
【請求項4】
酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口臭予防用組成物。
【請求項5】
酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔保湿用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物、微生物由来又はその他天然物に由来する成分からなり、口腔内の有用菌の増殖を促進する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔内の病原性菌により様々な疾患が引き起こされることが知られており、例えば、疾患の一つである歯周病は、歯周病菌(Porphyromonas gingivalisni)によって引き起こされ、歯茎の出血、歯肉の炎症、口臭等の原因となることが知られている。よって、口腔内の環境を正常に維持するために歯周病菌等の病原性菌の増殖を抑えることが重要であると考えられるが、日々の歯ブラシや口腔用洗浄液による洗浄では、歯周病菌の増殖を十分に抑えることができず、その他の予防法が求められている。
近年、人体に有益な作用をもたらす微生物により、口腔内の病原性菌の増殖をコントロールする研究が進められており、例えば、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス カゼイ(Lacticaseibacillus casei)が歯周病菌(Porphyromonas gingivalis,Porphyromonas intermedia,Porphyromonas nigrescensの増殖を抑えることが知られている(例えば、非特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】平野真澄,岡俊哉,三上正人,今井あかね著、「乳酸菌による歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisに対する殺菌作用について」、日本口腔保健学雑誌 第9巻 第1号:10-17(2019),
【非特許文献2】松岡隆史,中西睦,相場勇志,古賀泰裕著、「Lactobacillus salivarius TI2711によるPorphyromonas gingivalis殺菌の作用機序の解明」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、かかる従来技術に鑑みて、口腔内の病原性菌の増殖を抑制する天然物由来の新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、天然物由来成分である酵母由来成分、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物、シカギク属(Matricaria)に属する植物、ツバキ属(Camellia)に属する植物及びトチバニンジン属(Panax)に属する植物に由来する成分、海藻(緑藻、褐藻及び紅藻のいずれか1以上)に由来する成分並びにローヤルゼリーに由来する成分が口腔内の有用菌である乳酸菌の増殖を促進する効果を有することを新たに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔用組成物である。
また、本発明は、酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上と、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物と、クワ属(Morus)に属する植物又は発酵物を含む口腔用組成物である。
また本発明は、酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔殺菌用組成物である。
また、本発明は、酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口臭予防用組成物である。
また、本発明は、酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物の抽出物又は発酵物、フヨウ属(Hibiscus)に属する植物の抽出物又は発酵物、シカギク属(Matricaria)に属する植物の抽出物又は発酵物、ツバキ属(Camellia)に属する植物の抽出物又は発酵物、トチバニンジン属(Panax)に属する植物の抽出物又は発酵物、緑藻の抽出物又は発酵物、褐藻の抽出物又は発酵物、紅藻の抽出物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又は発酵物のいずれか1以上を含む口腔保湿用組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、口腔内の病原性菌である「Porphyromonas gingivalis」に対する殺菌作用を有する乳酸菌の増殖を促進することから、病原性微生物(歯周病菌等)の抑制効果、口臭予防効果及び口腔内の乾燥を予防する口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、「酵母」としては、例えば、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayon us)等のサッカロミセス属の酵母、トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosaccharomyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母などが挙げられる。また、本発明において使用する酵母は、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、植物の花(バラ、ツバキ、ユリ、サクラ等)由来の酵母、海由来の酵母の何れであっても良い。
【0008】
本発明において、ワスレグサ属(Hemerocallis)に属する植物としては、例えば、ヤブカンゾウ(Hemerocallis fulva var. kwanso)、ホンカンゾウ(Hemerocallis fulva var. fulva)、ハマカンゾウ(Hemerocallis fulva var. littorea)、ノカンゾウ(Hemerocallis fulva var. longituba)、アキノワスレグサ(Hemerocallis fulva var. sempervirens)等のワスレグサ(Hemerocallis fulva)、ウコンカンゾウ(Hemerocallis citrina Baroni)、ヒメカンゾウ(Hemerocallis dumortieri var. dumortieri)、マンシュウキスゲ (Hemerocallis lilioasphodelus L.)、小黄花菜(Hemerocallis mirror)、エゾキスゲ(Hemerocallis lilioasphodelus var. yezoensis)、ニッコウキスゲ(Hemerocallis dumortieri var. esculenta)、ユウスゲ(Hemerocallis citrina var. vespertina)、又は叶萱草(Hemerocallis plicata)等が挙げられる。ワスレグサ属(Hemerocallis)の植物の使用部位には特定に限定はなく、全草、葉、花、蕾、雄しべ、雌しべ、茎、根、種子等、適宜選択した部分を使用することができるが、全草、花又は蕾の使用が好ましい。
【0009】
本発明の成分であるフヨウ属(Hibiscus)に属する植物としては、例えば、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)、ムクゲ(Hibiscus syriacus)、フヨウ(Hibiscus mutabills)、モミジアオイ(Hibiscus coccineus)、オオハマボウ(Hibiscus tiliaceus)、ブッソウゲ (Hibiscus rosa-sinensis)、フウリンブッソウゲ(Hibiscus schizopetalus)が挙げられる。フヨウ属の植物の使用部位には特に限定はなく、全草、葉、花、萼、雄しべ、雌しべ、茎、根、種子等、適宜選択した部分を使用することができるが、全草、花、萼の使用が好ましい。
【0010】
本発明において、シカギク属(Matricaria)に属する植物としては、カミツレ(Matricaria chamomilla)が挙げられる。シカギク属の植物の使用部位には特に限定はなく、全草、葉、花、雄しべ、雌しべ、茎、根、種子等、適宜選択した部分を使用することができるが、全草又は花の使用が好ましい。
【0011】
本発明において、ツバキ属(Camellia)に属する植物としては、例えば、チャノキ(Camellia sinensis)及びツバキCamellia japonica)が挙げられる。また、チャノキとしては、例えば、やぶきた、さみどり、あさひ、ごこう、うじみどり、きょうみどり、うじひかり、さみどり、べにふうき、ダージリン、アッサム、セーロン、アールグレイ、蜜香紅茶が挙げられる。ツバキ属の植物の使用部位には特に限定はなく、全草、葉、花、雄しべ、雌しべ、茎、根、種子等、適宜選択した部分を使用することができるが、ツバキであれば、全草、花又は種子の使用が好ましく、チャノキであれば、全草又は葉の使用が好ましい。
【0012】
本発明において、トチバニンジン属(Panax)に属する植物としては、オタネニンジン(Panax ginseng)、トチバニンジン(Panax japonicus)、アメリカニンジン(Panax quinquefolius)、ベトナムニンジン(Panax vietnamensis)、ホソバチクセツニンジン (Panax wangianus)、ノサンシチニンジン(Panax zingiberensis)が挙げられる。トチバニンジン属の植物の使用部位には特に限定はなく、全草、葉、茎、花、根、種子等、適宜選択した部分を使用することができるが、全草、根又は種子の使用が好ましい。また、本発明においては、トチバニンジン属の植物由来のものとして、人参をその皮を剥がさない状態で蒸気により加熱処理をした後、乾燥して得られる「紅参」、又は皮を剥がした状態で蒸気により加熱処理をした後、乾燥して得られる「白参」を使用することも可能である。
【0013】
本発明において、緑藻としては、アオサ属(Ulva)の海藻(例えば、アナアオサ、ヤブレグサ、ナガアオサ、リボンアオサ、ウスバアオノリ等)が挙げられる。
【0014】
本発明において、褐藻としては、例えば、コンブ属(Laminaria)の海藻(ミツイシコンブ、マコンブ、リシリコンブ、ホソメコンブ等)、ワカメ属(Undaria)の海藻(ワカメ等)、ホンダワラ属(Sargassum)の海藻(ヒジキ等)、モズク属(Nemacystus)の海藻(モズク等)が挙げられる。
【0015】
本発明において、紅藻としては、例えば、フノリ属(Gloiopeltis)の海藻(ハナフノリ、フクロフノリ、マフノリ)、イギス属(Genus Ceramium)の海藻(イギス等)、カタメンキリンサイ属(Betaphycus gelatinum)の海藻、アマノリ属(Neopyropia)の海藻(スビサノリ等)、キリンサイ属(Genus Eucheuma)の海藻が挙げられる。
【0016】
本発明においては、褐藻又は紅藻由来のアルギン酸、フコイダン、カラギーナン又はそれらの成分を多く含む抽出物を使用することでも良い。
【0017】
本発明において、ローヤルゼリーは、生のものであっても、凍結乾燥処理などを行って乾燥品としたものであってもよい。
【0018】
本発明に係る酵母抽出物は、例えば、酵母を培養液で培養する方法、培養した酵母を酸やアルカリで菌体成分を可溶化する加水分解法、酵母菌体内にあるタンパク質分解酵素などを利用する自己消化法、タンパク質分解酵素等の酵素剤を利用する酵素法、これらを組み合わせた方法により得ることができる。
【0019】
酵母を培養する際の炭素源は、特に限定はなく、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、ラフィノース等が挙げられる。また、炭素源に加えて、窒素源を添加することでも良く、例えば、アミノ酸やペプトン等が挙げられる。
【0020】
酵母の培養温度は、25℃~40℃の範囲で、好ましくは28℃~35℃の範囲である。また、pHは、3.0~8.5の範囲で、好ましくは、3.5~7.5の範囲である。
【0021】
酵母抽出物の濃縮物は、酵母の培養液、或いは加水分解方法、酵母の自己消化法又は酵素法にて得られる液を、減圧濃縮器等で濃縮することで得られる。
【0022】
また、酵母抽出物の乾燥物は、酵母の培養液、酵母の加水分解液又はそれらの濃縮液を、真空乾燥法、スプレードライ法などにより乾燥することで得られる。
【0023】
また、酵母抽出物の乾燥物は、化学安定性、低吸湿性を目的として、賦形剤を加えた乾燥物としても良い。賦形剤は、澱粉、ブドウ糖、結晶セルロース、乳糖、デキストリン等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、等の糖アルコールなどを用いることができるが、酵母抽出物と混合して乾燥粉末化できるものであればいずれの物質でもよい。
【0024】
次に、本発明に係る植物由来成分としては、各植物の抽出物又は発酵物が挙げられる。抽出物を調製する際には、まず、抽出部位を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、そのまま又は乾燥した上、必要に応じて細切又は粉砕し、抽出溶媒と接触させて抽出を行う。抽出は、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることで行うことが可能であるが、超臨界抽出法や水蒸気蒸留法を用いることも可能である。
【0025】
抽出物を調製する場合の抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルム等の炭化水素系溶媒等が挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0026】
それら抽出溶媒のうちでも、口腔用組成物に配合する際に幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては水或いは水と低級アルコール類又は水と多価アルコール類との混合溶媒の使用が好ましい。
【0027】
本発明において、植物の抽出物を調製する際は、適宜、アルカリ調整剤又は酸性調整剤を用いてpHを調製することが好ましい。アルカリ調製剤としては、たとえば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩、水酸化カリウム等のカリウム塩等が挙げられる。それらの中でも、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。また、酸性調整剤としては、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸、又は酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸等が挙げられる。
【0028】
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば、水又は多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、グリセリン等)の単独溶媒、或いは水と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、グリセリン等)との混液を溶媒とする場合であれば、抽出温度は好ましくは0℃~90℃の範囲であり、又抽出時間は好ましくは0.5時間~7日間である。
【0029】
本発明において、植物の発酵物の調製は、以下の操作で行うことができる。まず、植物の発酵に用いる微生物としては、例えば、乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌、納豆菌、テンペ菌、酵母等が挙げられ、一般にはそれら各菌種のいずれかから選ばれた1種又は2種以上を用いるが、場合によっては、又相互に発酵の妨げとならない限り、別の菌種に属するもの同士を組み合せて用いるようにしてもよい。
【0030】
例えば、乳酸菌としては、ラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス ブレビス(L. brevis)、ラクトバシルス カゼイ(L. casei)、ラクトバシルス デルブルッキー(L. delbrueckii)等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌;カルノバクテリウム ディバージェンス(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)等のカルノバクテリウム(Carnobacterium)属の乳酸菌;ロイコノストック メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック シトレウム(Leuconostoc citreum)等のロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌; ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)等のストレプトコッカス属の乳酸菌;エンテロコッカス カゼリフラバス(Enterococcus caseliflavus)、エンテロコッカス サルフレウス(Enterococcus sulfreus)等のエンテロコッカス(Enterococcus)属の乳酸菌;ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス ラフィノラクティス(Lactococcus rafinolactis)等のラクトコッカス属の乳酸菌;ヴェイセラ コンフューザ(Weissella confusa)、ヴェイセラ カンドウレリ(Weissella kandleri)等のヴェイセラ属の乳酸菌;アトポビウム ミニュタム(Atopobium minutum)、アトポビウム パービュラス(Atopobiumparvulus)等のアトポビウム(Atopobium)属の乳酸菌;バゴコッカス フルビアリス(Vagococcus fluvialis)、バゴコッカス サーモニナラム(Vagococcus salmoninarum)等のバゴコッカス(Vagococcus)属の乳酸菌;ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス(Pediococcus)属の乳酸菌、マリニラクトバシルス・フィコロトレランス(Marinilactobacillus phychrotolerans)のような海洋起原の乳酸菌等が挙げられる。
【0031】
例えば、ビフィズス菌としては、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)等が挙げられるが、ビフィズス菌に分類されるものであれば、いずれも使用可能である。
【0032】
麹菌としては、例えば、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス ポリオキソジェネス(Aspergillus polyoxogenes)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌、アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス カワウチ(Aspergillus kawauchii)、アスペルギルス ウサミ(Aspergillus usami)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等の黒麹菌、モナスカス アンカ(Monascus anka)、モナスカス ピロサス(Monascus pilosus)等の紅麹菌等が挙げられる。
【0033】
納豆菌としては、例えば、バシルス ナットー(Bacillus natto)、バシルス サブチルス(Bacillus subtilis)、バシルス サーキュランス(Bacillus circulans)等のバシルス属の細菌等が挙げられる。なかでも、食品に広く使用されており、安全性が高い点でバシルス ナットー(Bacillus natto)が最も好ましい。
【0034】
テンペ菌としては、例えば、リゾプス アジゴスポラス(Rhizopus azygosporus)、リゾプス ミクロスポラス チネンシス(Rhizopus microsporus chinensis)、リゾプス ミクロスポラス オリゴスポラス(Rhizopus microsporus oligosporus)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)等のリゾプス属の真菌(カビ)が挙げられる。
【0035】
酵母としては、例えば、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayon us)等のサッカロミセス属の酵母、トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosaccharomyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母等が挙げられる。上述の酵母のうち、安全性及び有効性の観点から、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましいが、サッカロミセス セレビシエとしては、清酒、植物の花(バラ、ツバキ、ユリ、サクラの花等)由来のものや、海洋起源のもの等、いずれの由来のものでも使用することができる。
【0036】
上記微生物を用いて発酵する場合、まず、発酵素材を発酵媒体中に浸漬又は懸濁させて、発酵のための懸濁液を調製する。この場合、植物は生のまま使用しても、予め乾燥若しくは半乾燥した上で使用してもよい。また、形状としては、採取したものをそのまま用いることもできるが、細断又は粉砕して微細化すれば発酵効率を上げることができる。
【0037】
発酵素材を懸濁させるための発酵媒体としては、水の単独溶媒、水と低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)の混合溶媒、又は水と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、グリセリン等)との混液等を使用することができるが、微生物が最もその作用を発揮しやすいことと、発酵素材である植物以外の資化成分が存在することによる発酵副産物の生成を避けるという意味から、水の単独使用が好ましい。
【0038】
発酵素材の懸濁液は、これを発酵処理する前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去する。この場合の殺菌方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄殺菌した上無菌水等の無菌媒体に懸濁する方法や、又は発酵素材を媒体に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌する方法を用いるころができる。加熱殺菌法としては、懸濁液を120~130℃で10~20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、懸濁液を80~90℃に60~120分間保持することを1日1回2~3日間繰り返す間断殺菌法を使用することができる。
【0039】
発酵温度は一般に5~50℃の範囲の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1~10日、好ましくは2~5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
【0040】
以上の発酵処理を行うに当たって、植物の成分が微生物によってより有効に利用されるようにするため、微生物の植菌前若しくは植菌時、又は場合によっては植菌後発酵継続中に、前記の懸濁液に酵素を添加して、発酵素材である植物に酵素による加水分解処理を施してもよい。この場合、酵素としては、蛋白分解酵素、糖質分解酵素、ペクチン質分解酵素及び脂質分解酵素から選ばれた少なくとも1種の酵素を用いることができる。
【0041】
pH、温度、時間等の処理条件としては、酵素処理を発酵の前に行うのであれば、使用する酵素の至適pH及び至適温度付近で1~24時間の処理を行うのがよく、一方発酵と並行して行うのであれば、当該発酵と同条件であって差し支えない。
【0042】
以上の発酵処理の終了後、微生物の殺菌のため、酵素処理を併用した場合であれば酵素の失活も兼ねて、発酵液に80~100℃で10~120分程度の加熱殺菌処理をする。殺菌処理後の発酵液は、これをそのまま使用することができるが、濾過又は遠心分離等の固液分離手段によって液相を分取し、必要ならばpHを調整して使用しても良い。さらに、必要に応じて、発酵液を希釈又は濃縮によって適宜の濃度とした上で口腔用組成物に配合しても良い。また、固液分離後の液相を、スプレードライ法、凍結乾燥法等常法に従って固体化し、さらに必要に応じて粉砕して粉末状にして口腔用組成物に配合することもできる。
【0043】
本発明に係る口腔用組成物の性状としては、液状、固形状、ペースト状、粉末状等のいずれのものでも良く、適宜を最適な性状を選択することができる。
【0044】
口腔用組成物の製剤としては、例えば、液状、固形状、ジェル状、ペースト状、泡状又は粉末状の歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤及び舌清浄剤;うがい用剤;義歯用洗浄剤;トローチ剤:チューインガム;飴状の菓子類などが挙げられるが、本発明は、これに限るものではない。
【0045】
本発明に係る抽出物又は発酵物を口腔用組成物である製剤(歯磨き剤、洗口液等)に配合する場合、歯周炎の予防、歯肉炎の予防、歯石の形成の予防、むし歯の発生又は進行の予防、口臭予防等の効果を有する成分を適宜併用することができる。また、口腔用製剤(歯磨き剤、洗口液等)に一般的に配合される界面活性剤(合成系、天然物系)、乳化剤又は乳化補助剤、研磨剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0046】
歯周炎又は歯肉炎を予防する効果を有する成分としては、例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物、ε-アミノカプロン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントジヒドロキシアルミニウム、アルクロキサ、アルジオキサ、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸二ナカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、セチルピリジニウム塩化物水和物、デカリニウム塩化物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム液、ベンザルコニウム塩化物液、塩化ベンゼトニウム液、ベンゼトニウム塩化物液、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、塩化クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、トリクロサン、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、ピリドキシン塩酸塩、酢酸DL-α-トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、トコフェロールニコチン酸エステル、塩化リゾチーム、リゾチーム塩酸塩、ヒノキチオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(8~10E.O.)が挙げられる。
【0047】
また、むし歯の発生及び進行の予防効果を有する成分としては、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、セチルピリジニウム塩化物水和物、デカリニウム塩化物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム液、ベンザルコニウム塩化物液、塩化ベンゼトニウム液、ベンゼトニウム塩化物液、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、塩化クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、トリクロサン、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムラウロイルサルコシンナトリウムが挙げられる。
【0048】
また、歯石の形成及び沈着を防ぐ効果を有する成分としては、ゼオライト、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム(無水)、ピロリン酸四ナトリウム(結晶)、リン酸一水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸水素二ナトリウム(結晶)、リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム(結晶)、ポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0049】
また、口臭又はその発生を防止する効果を有する成分としては、例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物、ε-アミノカプロン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントジヒドロキシアルミニウム、アルクロキサ、アルジオキサ、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、塩化ナトリウム、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸二ナカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸、トラネキサム酸、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、セチルピリジニウム塩化物水和物、デカリニウム塩化物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム液、ベンザルコニウム塩化物液、塩化ベンゼトニウム液、ベンゼトニウム塩化物液、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、塩化クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、トリクロサン、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、ピリドキシン塩酸塩、酢酸DL-α-トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、トコフェロールニコチン酸エステル、ゼオライト、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム(無水)、ピロリン酸四ナトリウム(結晶)、リン酸一水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸水素二ナトリウム(結晶)、リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム(結晶)、ポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0050】
また、歯がしみるの防ぐ効果を有する成分としては、硝酸カリウム、乳酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0051】
また、タバコのやにを除去する効果を有する成分として、ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、ポビドンなどが挙げられる。
【0052】
また、研磨剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸が挙げられる。
【0053】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0054】
また、乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖とタンパク質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来タンパク質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0055】
また、増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、濃グリセリン、キサンタンガム、タマリンドガム、グァーガム、ソルビットが挙げられる。
【0056】
また、甘味剤としては、砂糖、サッカリン又はその塩、キシリトール、ヘスペリジンなどが挙げられる。
【0057】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、アロエの葉の液汁又はアロエ葉の抽出物、ゴボウ抽出物、クワ属(Morus)植物の葉又は根皮(ソウハクヒ)の抽出物、シャクヤクの根抽出物、当帰抽出物、柿果実抽出物又は柿由来のタンニン等が挙げられる。クワ属の植物としては、マグワ「Morus alba L.(Moraceae)」又はその他同属植物(ヤマグワ、シマグワ)が挙げられる。
【0058】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0059】
製造例1.酵母抽出物の調製(1)
滅菌したGP液体培地2700gに、予め同培地で培養しておいた酵母(Saccharomyces cerevisiae)の前培養液300gを添加し、30℃で通気攪拌しながら20時間培養した。加熱殺菌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整し、3時間、攪拌しながら90℃で加熱処理した。この液をpH調整した後、濾過し1501gの酵母培養液抽出物を得た(固形分濃度1.12%)。
【0060】
製造例2.酵母抽出物の調製(2)
滅菌したGP液体培地2700gに、予め同培地で培養しておいた酵母(Saccharomyces cerevisiae)の前培養液300gを添加し、30℃で通気攪拌しながら20時間培養した。加熱殺菌した後、塩酸水溶液でpH2.5に調整し、3時間、攪拌しながら90℃で加熱処理した。この液をpH調整した後、濾過し1219gの酵母培養液抽出物を得た(固形分濃度1.08%)。
【0061】
製造例3.ワスレグサ属植物の発酵物の調製(1)
ヤブカンゾウの花部(蕾)の細切物150gに精製水1500gを混合し、40℃で3時間抽出を行った後、80℃で1時間加熱し、得られた抽出懸濁液を加熱殺菌した。この抽出懸濁液に酵母(Saccharomyces cerevisiae)を10個/mL接種し、窒素気流下に30℃で3日間静置培養した。培養終了後加熱殺菌し、培養液をろ過して、脱臭、脱色処理を行い、褐色透明の発酵物溶液1160g(固形分濃度3.71%)を得た。
【0062】
製造例4.ワスレグサ属植物の発酵物の調製(2)
製造例3のヤブカンゾウに代えてホンカンゾウを用いる他は製造例3と同様にして、発酵物溶液1158g(固形分濃度3.69%)を得た。
【0063】
製造例5.ワスレグサ属植物の発酵物の調製(4)
製造例3のヤブカンゾウに代えてニッコウキスゲを用いる他は製造例3と同様にして、発酵物溶液1120g(固形分濃度3.74%)を得た。
【0064】
製造例6.ワスレグサ属の植物発酵物の調製(5)
ホンカンゾウの花部(蕾)の細切物150gに精製水1500gを、40℃で3時間抽出処理を行った後、得られた抽出懸濁液を加熱殺菌した。この抽出懸濁液に乳酸菌(ラクトバシルス プランタラム)を10個/mL接種し、窒素気流下に37℃で3日間静置培養した。培養終了後加熱殺菌し、培養液をろ過して、脱臭、脱色処理を行い、褐色透明の発酵物溶液1123g(固形分濃度4.20%)を得た。
【0065】
製造例7.ワスレグサ属植物の抽出物溶液の調製(1)
ヤブカンゾウの花部(蕾)の乾燥細断物50gに精製水500gを混合し、4℃で12時間抽出を行った後ろ過し、褐色透明のヤブカンゾウ抽出物溶液400gを得た(固形分濃度4.90%)。
【0066】
製造例8.ワスレグサ属植物の抽出物溶液の調製(2)
ヤブカンゾウの花部(蕾)の乾燥細断物50gに30%1,3-ブチレングリコール水溶液500gを混合し、4℃で12時間抽出を行った後ろ過し、褐色透明のヤブカンゾウ抽出物溶液380gを得た(固形分濃度4.89%)。
【0067】
製造例9.フヨウ属植物の発酵物の調製(1)
乾燥したフヨウ(ハイビスカス)属の植物(ローゼル)の花、萼50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、アルカリで中和してpH6付近とした後、80~90℃で1時間加温して殺菌を行った。 殺菌した懸濁液に乳酸菌(Lactobacillus plantarum)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養終了後培養液を加熱殺菌した後、ろ過して発酵物溶液738g(固形分濃度3.31%)を得た。
【0068】
製造例10.フヨウ属植物の発酵物の調製(2)
ローゼルに代えてムクゲ(Hibiscus syriacus)の花、萼を用いる他は製造例9と同様にして発酵物溶液650g(固形分濃度2.53%)を得た。
【0069】
製造例11.フヨウ属植物の発酵物の調製(3)
乳酸菌に代えて酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いる他は製造例9と同様にして、発酵物溶液898g(固形分濃度3.20%)を得た。
【0070】
製造例12.カミツレの抽出物の調製
乾燥したカミツレの花100gに30%1,3-ブチレングリコール水溶液1000gを加えて、4℃で48時間抽出し、これを濾過して、褐色透明のカミツレ抽出物溶液863g(固形分濃度1.01%)を得た。
【0071】
製造例13.チャノキ属の植物抽出物の調製
チャノキ属の植物(紅富貴)の乾燥茶葉80gに精製水1200gを加え、50℃で3時間抽出を行った後ろ過し、褐色透明の抽出物溶液1000g(固形分濃度1.62%)を得た。
【0072】
製造例14.オタネニンジ属植物の抽出物の調製(1)
オタネニンジン乾燥物100gに精製水を500gとエタノール500gとを添加し、4℃で12時間浸漬した。これをろ過し、さらに、室温で1週間静置した。静置後の抽出物溶液を濾過して、褐色透明のニンジン抽出物溶液685g(固形分濃度2.80%)を得た。
【0073】
製造例15.オタネニンジ属植物の抽出物の調製(2)
オタネニンジンの根(予め、皮付きの状態で蒸気により加熱処理した後、乾燥したもの)の細切物50gに精製水を800g添加し80℃で2時間抽出を行った後濾過し、淡褐色透明のオタネニンジン根の抽出物500g(固形分濃度2.50%)を得た。
【0074】
製造例16.オタネニンジ属植物の発酵物の調製(1)
オタネニンジンの根の細切物100gに精製水900gを混合し、80℃で2時間抽出を行った後ろ過し、約500gの淡黄色透明の抽出物溶液を得た(固形分濃度3.87%)。ここに得られた抽出物溶液を加熱殺菌した。この抽出物溶液にパパイン0.2g、グルコアミラーゼ0.2g及びペクチナーゼ0.2gを加えた後、乳酸菌(Lactobacillus plantarum)を10個/mL接種し、37℃で18時間静置培養した。培養終了後加熱殺菌し、培養液をろ過して、脱臭、脱色処理を行い、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液310g(固形分濃度3.95%)を得た。
【0075】
製造例17.オタネニンジ属植物の発酵物の調製(2)
発酵に用いる菌として乳酸菌に代えて酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いる他は製造例16と同様(但し、培養温度は30℃)にして、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液370g(固形分濃度3.46%)を得た。
【0076】
製造例18.オタネニンジ属植物の発酵物の調製(3)
発酵に用いる菌として乳酸菌に代えて麹菌(Aspergillus oryzae)を用いる他は製造例16と同様(但し、培養中の窒素通気なし)にして、オタネニンジン根抽出物の発酵物溶液347g(固形分濃度3.43%)を得た。
【0077】
製造例19.緑藻抽出物の調製
緑藻(アナアオサ)を水洗し、十分乾燥後、細切したもの50gに精製水1000gを混合し、20℃で24時間抽出を行った後、得られた抽出液をろ過して、緑褐色透明のアナアオサ抽出物溶液710g(固形分濃度1.60%)を得た。
【0078】
製造例20.褐藻抽出物の調製
褐藻(ミツイシコンブ)を水洗、乾燥後、細切したもの50gに精製水1000gを加え、20℃で24時間抽出を行った後、得られた抽出液をろ過して、淡黄色透明の抽出物溶液87g(固形分濃度:1.52%)を得た。
【0079】
製造例21.紅藻抽出物の調製
紅藻(カタメンキリンサイ)を水洗し、十分乾燥し、乾燥物50gを精製水1000gに浸漬し、20℃で24時間を行った後、得られた抽出液をろ過して、淡黄色透明の抽出物溶液480gを得た(固形分濃度1.51%)。
【0080】
製造例22.ローヤルゼリー抽出物の調製
凍結乾燥ローヤルゼリー60gを粉砕し、精製水940gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。室温まで冷却後この液をろ過して、ローヤルゼリー抽出物溶液711g(固形分濃度2.02%)を得た。
【0081】
製造例23.ローヤルゼリー発酵物の調製(1)
凍結乾燥ローヤルゼリー30gを粉砕し、精製水970gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌した。この懸濁液に乳酸菌(Lactobacillus plantarum)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養終了後培養液を加熱殺菌し、室温まで冷却後ろ過して、ローヤルゼリーの発酵物溶液848g(固形分濃度2.21%)を得た。
【0082】
製造例24.ローヤルゼリー発酵物の調製(2)
乳酸菌に代えて酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いる他は製造例23と同様にして、ローヤルゼリーの発酵物溶液875g(固形分濃度2.26%)を得た。
【0083】
製造例25.ローヤルゼリーの発酵物(3)
乳酸菌に代えて麹菌(Aspergillus oryzae)を用いる他は製造例23と同様にして、ローヤルゼリーの発酵物溶液837g(固形分濃度2.01%)を得た。
【0084】
製造例26.クワ抽出物の調製
乾燥して刻んだマグワの根皮10gに精製水を200g添加し4℃で浸漬した後、1,3-ブチレングリコールを200g添加した。これを4℃で抽出を行った後ろ過し、褐色透明の濾液374gを得た(固形分濃度0.51%)。
【0085】
上記の操作により得られる抽出物又は発酵物を口腔用組成物に配合することができる。なお、抽出物又は発酵物を下記の評価試験に使用する場合、固形分濃度が1%以上のものについては、固形分濃度を1.0%に調整したが、本発明はこれに限るものではなく、適宜固形分濃度を調整して、口腔用組成物に配合することができる。
【0086】
試験例1.乳酸菌の増殖促進効果の評価試験
本評価試験では、歯周病菌である「Porphyromonas gingivalis」に対して殺菌作用を有することが知られている「Lactobacillus salivarius」の増殖を促進する効果を評価した。
まず、MRS培地を用いて乳酸菌(Lactobacillus salivarius)を培養し、これを本評価試験に使用した。次に、製造例1の抽出物、製造例2の抽出物、製造例3の発酵物、製造例9の発酵物、製造例12の抽出物、製造例13の抽出物、製造例14の抽出物、製造例16の発酵物、製造例19の抽出物、製造例20の抽出物、製造例21の抽出物、製造例22の抽出物及び製造例23の発酵物のそれぞれを溶液として最終濃度1.0%になるようにPBS(-)で希釈し、96ウェルマイクロプレートに添加した。そこに上記培養した乳酸菌液を、濁度(630nmにおける吸光度)が約0.01になるように希釈して添加し、初期の濁度を測定した。プレートは37℃で20時間培養し、再び濁度を測定した。各ウェルの培養20時間後の濁度から初期の濁度を差し引くことで乳酸菌の増殖の指標とし、コントロールとしてのPBS(-)添加区の濁度の変化量を100とした相対値を求めた。試料としてMRS培地を添加した区をポジティブコントロール区とした。
【0087】
試験例1の結果を表1に示す。
[表1]
【0088】
表1に示す通り、本発明に係る抽出物又は発酵物は、歯周病菌(Porphyromonas gingivalis)に対して殺菌作用を有する乳酸菌(Lactobacillus salivarius)の増殖を促進することが確認された。また、同じ乳酸菌のLactobacillus属である「Lactobacillus acidophilus」及び「Lacticaseibacillus casei」の増殖効果も期待できる。さらに、これら乳酸菌は、「Porphyromonas gingivalis」だけでなく、同じPorphyromonas属の歯周病菌である「Porphyromonas intermedia」や「Porphyromonas nigrescens」の殺菌作用も期待できる。
【0089】
以上のように、本発明に係る抽出物又は発酵物は、歯周病菌(Porphyromonas gingivalis)に対して殺菌作用を有する乳酸菌の増殖を促進する効果を有することから、口腔用組成物の成分として、歯周病菌の増殖を抑えて、口腔内の環境を整えると共に、口臭を予防及び口腔内の乾燥を予防することが示唆される。
【0090】
試験例2.プロスタグランジンE2(PEG2)合成抑制の評価試験
正常ヒト表皮細胞NHEKを96ウェルプレートに8×103cells/wellとなるように播種し、5%CO2、飽和水蒸気下、37℃で培養した。24時間培養後、試料溶液として製造例12の抽出物を添加し、さらに24時間培養した。また、比較対照として、試料溶液に代えて、同濃度の30%の1,3-ブチレングリコール水溶液(30%BG溶液)のみを含んだ培養液を添加した試験区(コントロール区)を設定した。次に、培養器底面からUV-Bランプ(Philips社製TL20W/12RS)を用いて約50mJ/cm2の紫外線照射を行った。さらに24時間培養後、上清を回収した。回収した上清は Prostaglandin E2 ELISA Kit - Monoclonal (Cayman Chemical Company製)を用いてマニュアルに従って培養上清中のPGE2量を測定した。UV-B照射区のプロスタグランジン測定値を100%として評価試料添加区のプロスタグランジン量の相対値を求めた。また、陽性対照としてグリチルリチン酸ジカリウムも同様の評価試験を実施した。
【0091】
試験例2の結果を表2に示す。
[表2]
【0092】
表2の結果に示す通り、製造例12の抽出物は炎症物質であるPEG2の合成を抑制することが確認された。これにより、製造例12の抽出物を配合した組成物は、歯茎、歯肉等の口腔内の炎症を抑えることができる。
【0093】
試験例3.糖化抑制効果
グルコースを介したBSA(牛血清アルブミン)の蛍光の発生、発色により、AGEの発生抑制効果、すなわち、タンパク質糖化抑制効果を評価した。まず、製造例26の抽出物を試料溶液として使用し、この試料溶液50μLと、40mg/mLのBSA水溶液50μLと、2Mのグルコース水溶液50μLと、PBS(-)溶液50μLを混合、攪拌して試験溶液を調製した。次に、試験溶液を50℃で7日間静置し、7日後、各試験溶液について、蛍光発生(励起:355nm、放射:460nm:蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))および吸光度(波長405nm:マイクロプレートリーダー(Model 680、バイオラッド社製))を測定した。また、試料溶液に代えて50%1,3-ブチレングリコール水溶液(50%BG溶液)を用いた試料無添加(コントロール)の場合について同様の操作を行い、ここで得られた蛍光測定値及び吸光度に対する各試料溶液の蛍光測定値及び吸光度の相対値(%)を求め、タンパク質糖化率(%)とした。
【0094】
試験例3の蛍光強度の測定結果を表3に示し、吸光度の測定結果を表4に示す。
[表3]
【0095】
[表4]
【0096】
表3及び表4に示す通り、製造例26の抽出物は、糖化を抑制することが確認された。歯茎、歯肉等の口腔内の糖化を抑制することができる。
【0097】
以上のように、製造例12の抽出物は、炎症抑制効果を有し、製造例26の抽出物は抗糖化効果を有することから、殺菌作用を有する乳酸菌の増殖を促進する効果を有する上述の抽出物(製造例1の抽出物等)に加えて、製造例12の抽出物及び製造例26の抽出物を併用することで、口腔内の乳酸菌を増やして、歯周病菌等を抑えると共に、歯茎や歯肉等の口腔内の炎症及び糖化を抑制して、口腔内の環境を整えることできる。
【0098】
以下、口腔用組成物の処方例を示すが、本発明はこれに限るものではない。
【0099】
処方例1.歯磨き剤
[成分] 部
リン酸カルシウム二水和物 38.0
グリセリン 20.0
ラウリン酸ナトリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
イソプロピルメチルフェノール 0.1
キシリトール 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリアクリル酸ナトリウム 0.5
製造例1の抽出物 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0100】
処方例2~25.歯磨き剤
処方例1の歯磨き剤において、製造例1の抽出物に代えて、製造例2の抽出物、製造例3~6の発酵物、製造例7~8の抽出物、製造例9~11の発酵物、製造例12~15の抽出物、製造例16~18の発酵物、製造例19~21の抽出物、製造例22の抽出物及び製造例23~25の発酵物のうちのいずれか一の成分(1.0部)を配合する他は、処方例1と同様の組成で処方例2~25の処方例を得た。
【0101】
処方例26.歯磨き剤
[成分] 部
リン酸カルシウム二水和物 38.0
グリセリン 20.0
ラウリン酸ナトリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
イソプロピルメチルフェノール 0.1
キシリトール 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリアクリル酸ナトリウム 0.5
製造例1の抽出物 1.0
製造例12の抽出物 1.0
製造例26の抽出物 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0102】
処方例27.洗口剤
[成分] 部
エタノール 20.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
フッ化ナトリウム 0.1
アスコルビン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
サッカリンナトリウム 0.1
ナイアシンアミド 0.1
酢酸DL-α‐トコフェロール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
製造例1の抽出物 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0103】
処方例28~処方例50.洗口剤
処方例27の洗口剤において、製造例1の抽出物に代えて、製造例2の抽出物、製造例3~6の発酵物、製造例7~8の抽出物、製造例9~11の発酵物、製造例12~15の抽出物、製造例16~18の発酵物、製造例19~21の抽出物、製造例22の抽出物及び製造例23~25の発酵物のうちのいずれか一の成分(1.0部)を配合する他は、処方例27と同様の組成で処方例28~50の処方例を得た。
【0104】
処方例51.洗口剤
[成分] 部
エタノール 20.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
フッ化ナトリウム 0.1
アスコルビン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
サッカリンナトリウム 0.1
ナイアシンアミド 0.1
酢酸DL-α‐トコフェロール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
製造例1の抽出物 1.0
製造例12の抽出物 1.0
製造例26の抽出物 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0105】
処方例52.歯磨き剤
[成分] 部
塩化ナトリウム 5.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
酢酸DL-α‐トコフェロール 0.1
グリセリン 20.0
ラウリン酸ナトリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
トラネキサム酸 0.1
ナイアシンアミド 0.1
キシリトール 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリアクリル酸ナトリウム 0.5
製造例1の抽出物 1.0
製造例3の発酵物 1.0
製造例9の発酵物 1.0
製造例12の抽出物 1.0
製造例13の抽出物 1.0
製造例14の抽出物 1.0
製造例19の抽出物 1.0
製造例20の抽出物 1.0
製造例21の抽出物 1.0
製造例23の発酵物 1.0
製造例26の抽出物 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0106】
処方例53.口腔用清涼剤
[成分] 部
エタノール 20.0
グリセリン 10.0
濃グリセリン 5.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
L-アスコルビン酸グルコシド 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
サッカリンナトリウム 0.1
ナイアシンアミド 0.1
酢酸DL-α‐トコフェロール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
製造例1の抽出物 1.0
製造例3の発酵物 1.0
製造例9の発酵物 1.0
製造例12の抽出物 1.0
製造例13の抽出物 1.0
製造例14の抽出物 1.0
製造例19の抽出物 1.0
製造例20の抽出物 1.0
製造例21の抽出物 1.0
製造例22の抽出物 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0107】
処方例54.チューインガム
ガムベース 20.0
砂糖 50.0
水飴 10.0
キシリトール 1.0
製造例1の抽出物 1.0
製造例3の発酵物 1.0
製造例9の発酵物 1.0
製造例12の抽出物 1.0
製造例13の抽出物 1.0
製造例14の抽出物 1.0
製造例19の抽出物 1.0
製造例20の抽出物 1.0
製造例21の抽出物 1.0
製造例23の発酵物 1.0
製造例26の抽出物 1.0
香料 0.1
精製水 残部
【0108】
処方例55.飴
砂糖 50.0
水飴 30.0
L-アスコルビン酸ナトリウム 0.1
コラーゲン 0.1
製造例12の抽出物 1.0
製造例14の抽出物 1.0
製造例15の抽出物 1.0
製造例16の発酵物 1.0
製造例19の抽出物 1.0
製造例20の抽出物 1.0
製造例21の抽出物 1.0
製造例26の抽出物 1.0
クエン酸 適量
香料 適量
精製水 残部