(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149333
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
H01G4/30 512
H01G4/30 201K
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129263
(22)【出願日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045979
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョウン ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヒョン スン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、クワン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、セオク ヒュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE04
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC40
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG28
5E082PP09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高温寿命特性が改善され、X6S温度特性を満たし、常温誘電率に優れた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、複数の誘電体結晶粒を含む誘電体層及び誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、本体上に配置され、内部電極と連結される外部電極と、を含む。複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素(RE)を含み、コア-二重シェル構造を有する。たとえば、コア-二重シェル構造は、コアC、コアの少なくとも一部上に配置される第1シェルSH1及び第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルSH2を含み、第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれS1及びS2とし、第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれR1及びR2とするとき、S1>S2及びR2>R1を満たす。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体結晶粒を含む誘電体層及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素を含み、コア-二重シェル構造を有し、
前記コア-二重シェル構造は、コア、前記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェル、及び前記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルを含み、
前記第1シェル及び前記第2シェルに含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれS1及びS2とし、前記第1シェル及び前記第2シェルに含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれR1及びR2とするとき、
S1>S2及びR2>R1を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記S1及び前記S2は、3<S1/S2≦10を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記R1及び前記R2は、4<R2/R1≦12を満たす、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記R1及び前記R2は、4<R2/R1≦12を満たす、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記S2及び前記R2は、R2>S2を満たす、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1シェルに含まれたTiに対するSnのモル比は、前記第1シェルの内部において、前記コア及び/又は前記第2シェルとの境界に向かって徐々に減少する、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記希土類元素は、Dy、Tb、Y、Gd及びHoのうち一つ以上である、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第2シェルは、Si、Al、Mn、V及びMgのうち一つ以上をさらに含む、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記コア-二重シェル構造の断面において、前記コア-二重シェル構造の中心をα、前記第2シェルの表面のうち前記αから最も離れた地点をβと定義するとき、
前記αと前記βを結ぶ直線のうち、前記コアに該当する長さは70nmから100nmである、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記コア-二重シェル構造の断面において、前記コア-二重シェル構造の中心をα、前記第2シェルの表面のうち前記αから最も離れた地点をβと定義し、
前記αと前記βを結ぶ直線のうち、前記第1シェルに該当する長さをLS1、前記第2シェルに該当する長さをLS2とするとき、
LS2>LS1を満たす、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記LS1は0nmを超え、20nm未満である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記LS2は25nm以上50nm以下である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記コアに含まれたTiに対するSnの平均モル比をSc、前記コアに含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をRcとするとき、
S1>Sc及びR2>Rcを満たす、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記誘電体層のうち少なくとも一つの平均厚さは0.6μmから2.0μmである、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
複数の誘電体結晶粒を含む誘電体層及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素を含み、コア-二重シェル構造を有し、
前記コア-二重シェル構造はコア、前記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェル、及び前記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルを含み、
前記コア、前記第1シェル及び前記第2シェルに含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれSc、S1及びS2とし、前記コア、第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれRc、R1及びR2とするとき、
S1>S2、S1>Sc、R2>S2、R2>Sc、及びR2>Rcを満たす、積層型電子部品。
【請求項16】
前記S1及び前記S2は、3<S1/S2≦10を満たす、請求項15に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記R1及び前記R2は、4<R2/R1≦12を満たす、請求項15又は16に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記R1及び前記R2は、4<R2/R1≦12を満たす、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記第1シェルに含まれたTiに対するSnのモル比は、前記第1シェルの内部において、前記コア及び/又は第2シェルとの境界に向かって徐々に減少する、請求項15又は16に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話等の様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器等、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
一般に、積層セラミックキャパシタの本体には、BaTiO3系を主成分として含む誘電体層と導電性金属を含む内部電極とが交互に積層されている。このような本体は、還元雰囲気で焼成されなければならず、このとき誘電体層を形成する材料は耐還元性を有しなければならない。
【0005】
しかし、酸化物の固有特性により、還元雰囲気での焼成時に酸化物内部の酸素が抜けて酸素空孔(oxygen vacancy)と電子が発生することがあり、上記酸素空孔の移動により積層セラミックキャパシタの絶縁抵抗が劣化するという問題点が発生する可能性がある。
【0006】
このような問題を解決するために、誘電体層に希土類(rare earth)元素を添加して酸素空孔の発生を抑制する方案が考えられる。しかし、最近、高周波数帯域を使用する第5世代移動通信技術(5G、Fifth-generation)が発展するにつれて、優れた高温寿命特性及び温度に応じた容量変化特性(TCC、Temperature coefficient of capacitance)を有する積層セラミックキャパシタに関する研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、高温寿命特性が改善された積層型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、X6S温度特性を満たす積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、常温誘電率に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0010】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、複数の誘電体結晶粒を含む誘電体層及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素を含み、コア-二重シェル構造を有し、上記コア-二重シェル構造はコア、上記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェル、及び上記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルを含み、上記第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれS1及びS2とし、上記第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれR1及びR2とするとき、S1>S2及びR2>R1を満たす積層型電子部品を提供する。
【0012】
本発明の一実施形態は、複数の誘電体結晶粒を含む誘電体層及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素を含み、コア-二重シェル構造を有し、上記コア-二重シェル構造はコア、上記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェル、及び上記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルを含み、上記コア、第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれSc、S1及びS2とし、上記コア、第1シェル及び第2シェルに含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれRc、R1及びR2とするとき、S1>S2、S1>Sc、R2>S2、R2>Sc及びR2>Rcを満たす積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、高温寿命特性が改善された積層型電子部品を提供することができる。
【0014】
本発明の様々な効果の一つとして、X6S温度特性を満たす積層型電子部品を提供することができる。
【0015】
本発明の様々な効果の一つとして、常温誘電率に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示す分解斜視図である。
【
図6】コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒を概略的に示すものである。
【
図7】コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒の領域別Tiに対するSnのモル比及びTiに対する希土類元素のモル比を概略的に示すものである。
【
図8】実験例及び比較例の加速寿命評価(HALT)結果を示すグラフである。
【
図9】実験例及び比較例の加速寿命評価(HALT)結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0018】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0020】
[積層型電子部品]
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図であり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図であり、
図4は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示す分解斜視図であり、
図5は、
図2のK1領域の拡大図であり、
図6は、コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒を概略的に示すものであり、
図7は、コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒の領域別Tiに対するSnのモル比及びTiに対する希土類元素のモル比を概略的に示すものである。
【0021】
以下、
図1~
図7を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の誘電体結晶粒10a、10b、10cを含む誘電体層111及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置され、上記内部電極と連結される外部電極131、132と、を含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素を含み、コア-二重シェル構造を有し、上記コア-二重シェル構造はコアC、上記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェルSH1、及び上記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルSH2を含み、上記第1及び第2シェルSH1、SH2に含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれS1及びS2とし、上記第1及び第2シェルSH1、SH2に含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれR1及びR2とするとき、S1>S2及びR2>R1を満たすことができる。
【0023】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0024】
本体110は、第1方向に対向する第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面3、4、第1面~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていてもよい。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0026】
図5を参照すると、誘電体層111は複数の誘電体結晶粒10a、10b、10cを含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち一つ以上は、Ba、Ti、Sn及び希土類元素を含み、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒10aであることができる。
【0027】
図6を参照すると、上記コア-二重シェル構造はコアC、上記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェルSH1、及び上記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルSH2を含むことができる。
【0028】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタは、焼成時に発生する酸素空孔の移動により絶縁抵抗が劣化するという問題点が発生することがある。このような問題を解決するために、BaTiO3系主成分に希土類元素を添加してコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を含む誘電体層を形成する方法が考えられる。上記希土類元素は、基本的にABO3で表されるペロブスカイト構造のAサイト又はBサイトを置換することによりシェル領域を構成し、このようなシェル領域は酸素空孔の流れを遮断する障壁として作用し、漏れ電流を防止する役割を果たすことができる。
【0029】
しかし、最近、高周波数帯域を使用する第5世代移動通信技術(5G)が発展するにつれて、積層セラミックキャパシタの使用環境がさらに過酷になっている。これにより、単純なコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒だけではX6S規格(-55℃以上105℃以下の温度範囲で静電容量の変化率が±22%以内)を満たす積層セラミックキャパシタを安定的に提供できないという問題点が存在する。
【0030】
一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品100では、誘電体層111がコアC、上記コアの少なくとも一部上に配置される第1シェルSH1、及び上記第1シェルの少なくとも一部上に配置される第2シェルSH2を含むコア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aを含み、第1及び第2シェルSH1、SH2に含まれたTiに対するSnの平均モル比をそれぞれS1及びS2とし、第1及び第2シェルSH1、SH2に含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比をそれぞれR1及びR2とするとき、S1>S2及びR2>R1を満たすことにより、高温寿命特性に優れ、X6S規格を満たす積層型電子部品を提供することができる。
【0031】
コアCは、誘電率を維持して積層型電子部品100の容量を実現する役割を果たすことができる。コアCは、BaTiO3又はBaTiO3にCa、Zr、Snなどが一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)及び(Ba1-x-Cax)(Ti1-ySny)O3(0<x<1、0<y<1)のうち一つ以上を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
第1シェルSH1はSnを含むことができる。SnはBaTiO3のBサイトにドーピングされ、他の希土類元素が誘電体結晶粒の内部に拡散するバンドギャップエネルギー(Band gap energy)を高める効果がある。よって、他の希土類元素が誘電体結晶粒の内部に拡散することを抑制する障壁(barrier)としての役割を果たすことができる。これにより、積層型電子部品100の耐電圧及び高温信頼性特性を改善することができる。
【0033】
第2シェルSH2は希土類元素を含むことができる。ここで、希土類元素は、La、Y、Ac、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうち一つ以上であってもよく、より好ましくはDy、Tb、Y、Gd及びHoのうち一つ以上であってもよい。第2シェルSH2に含まれた希土類元素は、酸素空孔の発生を抑制し、酸素空孔の移動度を下げる役割を果たすことができる。
【0034】
一方、本発明の一実施形態によれば、第1シェルSH1に含まれたTiに対するSnの平均モル比S1は、第2シェルSH2に含まれたTiに対するSnの平均モル比S2より大きく、第2シェルSH2に含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比R2は、第1シェルSH1に含まれたTiに対する希土類元素の平均モル比R1より大きいことができる。ここで、Tiに対する希土類元素のモル比とは、Tiのモル数に対する希土類元素の合計モル数の比率を意味することができ、例えば、モル数を基準にして(Dy+Tb+Y+Gd+Ho/Ti)値を意味することができる。
【0035】
複数の誘電体結晶粒10a、10b、10cのうち一つ以上は、Sn及び希土類元素の濃度が互いに異なる第1シェルSH1及び第2シェルSH2で構成された堅牢な二重シェル構造を有することにより、高温寿命特性及びTCC特性をより向上させることができる。
【0036】
S1及びS2の比率は特に限定する必要はないが、例えば、3<S1/S2≦10を満たすことができる。S1/S2が3以下の場合、高温寿命の改善効果又はTCC特性の改善効果が僅かである可能性がある。また、S1/S2が10を超える場合、常温誘電率が低下するか、又はTCC特性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【0037】
R1及びR2の比率も特に限定する必要はないが、例えば、4<R2/R1≦12を満たすことができる。R2/R1が4以下の場合、高温寿命特性が低下する可能性がある。R2/R1が12を超える場合、TCC特性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【0038】
S1、S2、R1及びR2は、例えば、本体110の第3方向の中央から第1方向及び第2方向に切断した断面において、第1及び第2方向の中央領域に位置する誘電体層111の誘電体結晶粒を透過電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)に設置されたEDS(Energy Disperse X-Ray Spectrometer)を介してライン分析を実施することにより測定することができる。
【0039】
まず、
図7に示すように、コア-二重シェル構造の中心αを通る長軸に沿ってTEM-EDSライン分析を行うことにより、Tiに対するSn及び希土類元素(RE)のモル比をグラフで表すことができる。このとき、第1シェルSH1とコアCとの境界及び第1シェルSH1と第2シェルSH2との間の境界は、Tiに対するSnのモル比が第1シェルSH1に含まれたTiに対するSnのモル比の最大値Smaxの10%である地点と定義することができる。
【0040】
上記境界を基準に、第1シェルSH1に位置する等間隔である複数の地点(P4、P5、P6、…)、例えば、等間隔の3個の地点におけるTiに対するSn及び希土類元素(RE)のモル比を測定した後、それぞれ平均することによりS1及びR1を測定することができる。また、第2シェルSH2に位置する等間隔である複数の地点(P7、P8、P9、…)、例えば、等間隔である3個の地点におけるTiに対するSn及び希土類元素(RE)のモル比を測定した後、それぞれ平均することによりS2及びR2を測定することができる。また、コアCに位置する等間隔である複数の地点(P1、P2、P3、…)、例えば、等間隔である3個の地点におけるTiに対するSn及び希土類元素(RE)のモル比を測定した後、それぞれ平均することにより、コアCに含まれたTiに対するSnの平均モル比(Sc)及びTiに対する希土類元素(RE)の平均モル比(Rc)を測定することができる。また、このような平均値の測定をコア-二重シェル構造を有する10個以上の誘電体結晶粒10aに拡張して平均値を測定すると、さらに一般化された平均モル比を測定することができる。
【0041】
図7を参照すると、第1シェルSH1に含まれたTiに対するSnのモル比は、第1シェルSH1の内部において、コアC及び/又は第2シェルSH2との境界に向かって徐々に減少することができる。すなわち、第1シェルSH1にはSn濃度ピークが存在することができる。Snは、主に第1シェルSH1に固溶されるため、コアC及び第2シェルSH2にはSnがほとんど存在しない可能性があり、S2及びScはそれぞれ0.1×Smax以下であることができる。これにより、上記S1及びScはS1>Scを満たすことができる。また、第2シェルSH2にはSnがほとんど存在しないため、S2及びR2はR2>S2を満たすことができる。同様に、コアCにはSnがほとんど存在しないため、R2>Scを満たすことができる。
【0042】
第1シェルSH1に存在するSn濃度ピークは、希土類元素(RE)が誘電体結晶粒の内部に拡散することを抑制する障壁(barrier)としての役割を果たすことができ、これによって、コアCには希土類元素(RE)が存在しないか、又は微量のみが存在することができる。すなわち、R2>Rcを満たすことができる。
【0043】
コア-二重シェル構造が上述したSn濃度勾配を有することは、後述するように、Snが予めドーピングされたBaTiO3系粉末と希土類元素を含む添加剤等を混合してセラミックスラリーを形成し、上記セラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを製造及び焼成する過程で、Snを含む第1シェルSH1が第2シェルSH2より先に形成されるためである。
【0044】
一方、コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aは、Sn及び希土類元素だけでなく、他の副成分元素をさらに含むことができる。
【0045】
例えば、コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aの第2シェルSH2は、第1元素を含むことができる。上記第1元素は、原子価可変アクセプタ元素及び原子価固定アクセプタ元素のうち一つ以上を含むことができる。ここで、上記原子価可変アクセプタは、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnのうち一つ以上を含み、上記原子価固定アクセプタは、Mg及びZrのうち一つ以上を含むことができる。原子価可変アクセプタ元素及び原子価固定アクセプタ元素は電子濃度を低減する役割を果たすことができ、積層型電子部品の焼成温度の低下及び高温耐電圧特性を向上させる役割を果たすことができる。第2シェルSH2に含まれた第1元素の含量は、第2シェルSH2に含まれたTi100モルに対して0.01モル以上2.0モル以下であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
さらに、コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aの第2シェルSH2は、Si及びAlのうち一つ以上を含む第2元素を含むことができる。上記第2元素は、積層型電子部品の焼成温度の低下及び高温耐電圧特性を向上させる役割を果たすことができる。第2シェルSH2に含まれた第2元素の含量は、第2シェルSH2に含まれたTi100モルに対して0.5モル以上4.0モル以下であってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。一方、第2シェルSH2は、上記第1及び第2元素の中でSi、Al、Mn及びMgのうち一つ以上をさらに含むことが好ましい。
【0047】
図5を参照すると、誘電体層111は、コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10a以外に、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒10bを含むことができる。コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒10bは、コア10b1及び上記コアの少なくとも一部上に配置されるシェル10b2を含むことができる。また、誘電体層111は、別途のシェルを有さない誘電体結晶粒10cを含むこともできる。
【0048】
複数の誘電体結晶粒10a、10b、10cのうち、上記コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aの個数比率は、例えば、50%以上であってもよい。コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aの個数比率は、誘電体層111の断面を透過電子顕微鏡(TEM)でスキャンしたイメージから測定したものであることができる。コア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aの個数比率が50%以上である場合、高温寿命改善及びTCC特性の改善効果がより顕著になり得る。
【0049】
図6を参照すると、第1シェルSH1はコアCの表面を全部覆うように配置され、第2シェルSH2は第1シェルSH1の表面を全部覆うように配置されることができる。但し、第1シェルSH1がコアCの一部の表面を覆わなくてもよく、第2シェルSH2が第1シェルSH1の一部の表面を覆わない形態で存在してもよい。
【0050】
このとき、第1シェルSH1は、コアCの表面の90面積%以上を覆うように配置され、第2シェルSH2は、第1シェルSH1の表面の90面積%以上を覆うように配置されることができる。第1シェルSH1がコア表面の90面積%以上を覆うように配置され、第2シェルSH2が第1シェルSH1表面の90面積%以上を覆うように配置される場合には、本発明による高温寿命の改善効果及びTCC特性の改善効果がより顕著になり得る。
【0051】
コアC、第1シェルSH1及び第2シェルSH2の長さを特に限定する必要はないが、
図6を参照すると、コア-二重シェル構造の断面において、コア-二重シェル構造の中心をα、第2シェルSH2の表面のうち上記αから最も離れた地点をβと定義するとき、上記αとβを結ぶ直線のうち、コアCに該当する長さLCは70nmから100nmであってもよい。上記αとβを結ぶ直線のうち、コアCに該当する長さLCが70nm未満の場合、目標とする誘電特性を実現しにくくなる可能性があり、100nmを超える場合、DC-bias特性や信頼性が低下するおそれがある。
【0052】
また、上記αとβを結ぶ直線のうち、第2シェルSH2に該当する長さLS2は、第1シェルSH1に該当する長さLS1より大きくてもよい。LS2>LS1を満たすとき、コア-二重シェル構造による信頼性向上効果がより顕著になり得る。
【0053】
一実施形態において、上記αとβを結ぶ直線のうち、第1シェルSH1に該当する長さLS1は20nm以下であってもよい。上記LS1が20nmを超える場合、誘電特性が低下するおそれがある。上記LS1の下限は特に限定する必要はなく、0nmを超えてもよい。
【0054】
一実施形態において、上記αとβを結ぶ直線のうち、第2シェルSH2に該当する長さLS2は、25nm以上50nm以下であってもよい。上記LS2が25nm未満の場合、本発明の信頼性向上効果が僅かである可能性がある。また、上記LS2が50nmを超える場合、高温寿命特性が低下したり、TCC特性が低下したりするおそれがある。
【0055】
複数の誘電体結晶粒10a、10b、10cの平均結晶粒サイズ(Grain size)は特に限定する必要はないが、例えば、130nmから300nmであってもよい。上記平均結晶粒サイズが130nm未満の場合、誘電率の低下により容量の実現が難しくなる可能性があり、300nmを超える場合には、誘電体層当たりの誘電体結晶粒数の減少により信頼性が低下するおそれがあり、DC-bias特性が低下するおそれがある。
【0056】
上記平均結晶粒サイズは、例えば、本体110の第3方向の中央で切断した第1及び第2方向の断面において、上記第1及び第2方向の中央領域に配置された誘電体層111を走査電子顕微鏡(SEM)で50,000倍に拡大したイメージを得た後、上記イメージをイメージ分析プログラム、例えば、Zootos社のZootos Programを用いて分析することで得られた誘電体結晶粒サイズの平均値を意味することができる。
【0057】
誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はないが、例えば、10μm以下であってもよく、より好ましくは0.6μmから2.0μmであってもよい。一般に、誘電体層111の厚さが薄くなるほど信頼性が低下し、絶縁抵抗、破壊抵抗などの特性が低下する可能性がある。一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品の場合、上述したコア-二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aを含むことにより、誘電体層111の平均厚さtdが0.6μmから2.0μmの場合にも、積層型電子部品の信頼性を確保することができる。
【0058】
ここで、誘電体層111の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向のサイズを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0059】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122とが誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。すなわち、第1内部電極121及び第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0060】
第1内部電極121は、第4面4と離隔し、第3面3と連結されるように配置されることができる。また、第2内部電極122は、第3面3と離隔し、第4面4と連結されるように配置されることができる。
【0061】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はないが、例えば、3μm以下であってもよい。また、内部電極121、122の平均厚さteは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、高電圧電装用電子部品の場合、内部電極121、122の平均厚さteは1μm未満であってもよく、小型IT用電子部品の場合、小型化及び高容量化を達成するために内部電極121、122の平均厚さteは0.4μm以下であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0063】
内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味する。ここで、内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0064】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に対向する両端面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0065】
カバー部112、113の平均厚さtcは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部112、113の平均厚さtcは、100μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0066】
カバー部112、113の平均厚さtcは、カバー部112、113の第1方向への平均サイズを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面において等間隔である5個の地点で測定した第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0067】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に対向する両端面上にそれぞれ配置される第1マージン部114及び第2マージン部115を含むことができる。マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0068】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0069】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除き、内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することにより形成されたものであってもよい。あるいは、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体の第5面及び第6面5、6と連結されるように切断した後、単一の誘電体層、又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に対向する両端面上に積層することにより、マージン部114、115を形成することもできる。
【0070】
マージン部114、115の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さは、100μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。ここで、マージン部114、115の平均厚さは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0071】
マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができ、本体110の第1方向及び第3方向の断面において等間隔である5個の地点で測定した第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0072】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、第1面、第2面、第5面及び第6面の一部上に延びることができる。また、外部電極131、132は、第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0073】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置され、内部電極121、122と連結される電極層131a、132a及び上記電極層上に配置されるめっき層131b、132bを含むことができる。すなわち、第1外部電極131は、第3面3に配置され、第1内部電極121と連結される第1電極層131a及び上記第1電極層上に配置される第1めっき層131bを含み、第2外部電極132は、第4面4に配置され、第2内部電極122と連結される第2電極層132a及び上記第2電極層上に配置される第2めっき層132bを含むことができる。
【0074】
電極層131a、132aは導電性金属及びガラスを含むことができる。電極層131a、132aに含まれた導電性金属は、内部電極121、122との電気的連結性を確保する役割を果たし、ガラスは本体110との結合力を向上させる役割を果たすことができる。
【0075】
電極層131a、132aに含まれた金属は、伝導性を有する物質であればよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよい。例えば、電極層131a、132aに含まれた導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であってもよく、より好ましくは、銅(Cu)を含むことができる。
【0076】
電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む1層のみで構成されてもよいが、本発明はこれに限定されるものではなく、電極層131a、132aは多層構造を有してもよい。
【0077】
例えば、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極である第1層及び上記第1層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む第2層を含むことができる。導電性金属及び樹脂を含む第2層は、積層型電子部品の曲げ強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0078】
第2層に含まれた金属は特に制限されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0079】
上記第2層に含まれる導電性金属は、球状粉末及びフレーク状粉末のうち1以上を含むことができる。すなわち、上記第2層に含まれる導電性金属は、フレーク状粉末のみからなっていてもよく、球状粉末のみからなっていてもよく、フレーク状粉末と球状粉末とが混合された形態であってもよい。ここで、球状粉末は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粉末とは、平たい且つ細長い形状を有する粉末を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。上記球状粉末及びフレーク状粉末の長軸と短軸の長さは、積層型電子部品100の第3方向の中央部で切断した第1及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0080】
上記第2層に含まれる樹脂は、接合性の確保及び衝撃吸収の役割を果たすことができる。上記樹脂は接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロース(Ethyl Cellulose)等から選択された1種以上を含むことができる。
【0081】
また、上記第2層は、複数の金属粒子、金属間化合物及び樹脂を含むことができる。上記金属間化合物を含むことにより、上記第1層との電気的連結性をより向上させることができる。上記金属間化合物は、複数の金属粒子を連結して電気的連結性を向上させる役割を果たし、複数の金属粒子を囲んで互いに連結する役割を果たすことができる。
【0082】
このとき、上記金属間化合物は、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むことができる。すなわち、上記金属間化合物が樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むため、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属が乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融し、金属粒子の一部と金属間化合物を形成して金属粒子を囲むようになる。このとき、金属間化合物は、好ましくは300℃以下の低融点金属を含むことができる。
【0083】
一実施形態において、上記第2層はSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnがAg、Ni又はCuのような高融点の金属粒子を毛細管現象により湿らせ、Ag、Ni又はCu金属粒子の一部と反応してAg3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Snなどの金属間化合物を形成するようになる。反応に関与しなかったAg、Ni又はCuは金属粒子の形態で残る。
【0084】
したがって、上記複数の金属粒子は、Ag、Ni及びCuのうち一つ以上を含み、上記金属間化合物は、Ag3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Snのうち一つ以上を含むことができる。
【0085】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させることができる。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及び/又はこれを含む合金などを含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。めっき層131b、132bは、例えば、ニッケル(Ni)めっき層又は錫(Sn)めっき層であってもよく、ニッケル(Ni)めっき層及び錫(Sn)めっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のニッケル(Ni)めっき層及び/又は複数の錫(Sn)めっき層を含むこともできる。
【0086】
図面では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0087】
以下、積層型電子部品100の製造方法について説明する。
【0088】
まず、誘電体層111を形成するためのセラミック粉末を準備する。上記セラミック粉末は、例えば、BaTiO3粉末であってもよい。BaTiO3は、一般に、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料とを反応させることにより合成することができる。BaTiO3の合成方法としては、例えば、固相法、ゾル-ゲル法、水熱合成法などがある。
【0089】
次に、合成されたセラミック粉末に優先的にSnO2を添加した後、Snがドーピングされたセラミック粉末と希土類元素を含む添加剤とを混合することができる。上記添加剤としては、La、Y、Ac、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうち一つ以上を含む酸化物、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZn、Mg並びにZrのうち一つ以上を含む酸化物及び/又はAl及びSnのうち一つ以上を含む酸化物を含むことができる。
【0090】
すなわち、BaTiO3にSnが優先的にドーピングされるため、誘電体結晶粒10aの粒成長過程でBaTiO3系主成分を含むコアC上にTiに対するSnのモル比が高い第1シェルSH1が先に形成され、Tiに対する希土類元素のモル比が高い第2シェルSH2がその次に形成されることができる。
【0091】
次に、準備されたセラミック粉末を乾燥及び粉砕した後、エタノール等の有機溶剤及びポリビニルブチラール等のバインダーを混合してセラミックスラリーを製造することができ、上記セラミックスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けることができる。
【0092】
次に、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属、バインダーなどを含む内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法又はグラビア印刷法などで印刷することにより内部電極パターンを形成することができる。
【0093】
その後、内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離してから切断後、チップの第2方向の両端部に内部電極パターンが交互に露出できるように所定の層数だけ内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを積層し、積層されたセラミックグリーンシートを所定のチップサイズを有するように切断する。
【0094】
切断されたチップに含まれたバインダーなどは、好ましくは、脱バインダー工程によって除去されることができる。脱バインダー工程の条件は、使用したバインダーの種類によって異なり得るが、特に限定されない。例えば、脱バインダー工程は、180℃以上450℃以下で0.5時間以上24時間以下の時間の間行われることができる。その後、脱バインダー処理されたチップを1100℃以上1300℃以下の温度で焼成して誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110を形成することができる。
【0095】
次に、内部電極121、122が露出する本体110の第3面及び第4面3、4を、導電性金属及びガラスを含む外部電極用導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成することにより、電極層131a、132aを形成することができる。あるいは、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むシートを転写する方式で形成されてもよい。また、電極層131a、132aが導電性金属及びガラスを含む焼成電極である第1層と、導電性金属及び樹脂を含む第2層とからなる場合、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂組成物を第1層上に塗布及び硬化する工程をさらに含むこともできる。
【0096】
めっき層131b、132bを形成する方法は特に限定する必要はなく、例えば、電解めっき法及び/又は無電解めっき法などを用いてめっき層131b、132bを形成することができる。
【0097】
(実験例)
<サンプルチップのサイズ別の信頼性評価>
図8及び
図9は、実験例及び比較例の加速寿命評価(HALT)結果を示すグラフである。
【0098】
まず、BaTiO3にSnO2を添加した後、Dy、Tb、Y、Gd及びHoを含む酸化物とSi、Al、Mn及びMgを含む酸化物を含む添加剤を混合した。次に、準備されたBaTiO3粉末を乾燥及び粉砕した後、エタノール等の有機溶剤及びポリビニルブチラール等のバインダーを混合してセラミックスラリーを製造した後、上記セラミックスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、セラミックグリーンシートを設けた。
【0099】
次に、セラミックグリーンシート上にNi粉末及びバインダー等を含む内部電極用導電性ペーストを所定の厚さに印刷して内部電極パターンを形成し、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層及び切断した。
【0100】
次に、脱バインダー工程及び焼成工程を行って本体110を形成した後、本体110の第3面及び第4面3、4を導電性金属及びガラスを含む外部電極用導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成することにより電極層131a、132aを形成し、上記電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に積層されためっき層131b、132bを形成し、実験例のサンプルチップを設けた。
【0101】
このとき、比較例のサンプルチップは、BaTiO3にSnを予めドーピングする工程を行わず、それ以外は、実験例のサンプルチップと同様の方法で製造された。
【0102】
図8及び
図9は、実験例及び比較例の加速寿命評価(HALT)結果を示すグラフである。
【0103】
具体的に、
図8の実験例1及び比較例1は、上述の方法でサンプルチップを形成し、且つ焼成後の誘電体層の厚さが0.6から0.9μmとなるようにしており、サンプルチップの第2方向のサイズが約0.6mm、第3方向のサイズが約0.3mmとなるように作製した。
【0104】
図9の実験例2及び比較例2は、上述の方法でサンプルチップを形成し、且つ焼成後の誘電体層の厚さが1.3から2.0μmとなるようにしており、サンプルチップの第2方向のサイズが約1.0mm、第3方向のサイズが約0.5mmとなるように作製した。
【0105】
加速寿命評価は、温度125℃及び2×Vr(定格電圧)の条件で実験例1、比較例1、実験例2及び比較例2のそれぞれ40個のサンプルに対する寿命を測定したものである。
【0106】
図8及び
図9を参照すると、実験例1及び実験例2は、比較例1及び比較例2に比べて信頼性に優れることが確認できる。これは、実験例1及び実験例2の場合、BaTiO
3にSnを予めドーピングすることにより、Sn及び希土類元素の濃度が互いに異なる第1シェルSH1及び第2シェルSH2で構成された堅牢な二重シェル構造を有する誘電体結晶粒10aを含むためである。
【0107】
<S1/S2及びR2/R1による特性評価>
次に、S1/S2及びR2/R1の値によるサンプルチップの特性を評価した。すなわち、上述の方法でサンプルチップを製造し、且つBaTiO3にドーピングされるSnO2及び希土類酸化物の量を調節した。具体的に、下記表1の試料番号ごとに、BaTiO3にドーピングされるSnの量をTi100モルに対して0.8モルから3.0モルの間で変更してS1/S2値を調節し、希土類元素はTi100モルに対して0.8モルから2.0モルの間で変更してR2/R1値を調節した。
【0108】
その後、本体110の第3方向の中央から第1方向及び第2方向に切断した断面において、第1及び第2方向の中央領域に位置する誘電体層111の誘電体結晶粒について、加速電圧を200kV、観察倍率を79000倍、ビーム径1.5nmの条件で透過電子顕微鏡(TEM)により観察した後、透過電子顕微鏡に設置されたEDSを介してライン分析を行った。このとき、第1シェルSH1に位置する等間隔である3個の地点におけるTiに対するSn及び希土類元素(RE)のモル比を測定した後、それぞれ平均することによりS1及びR1を測定し、第2シェルSH2に位置する等間隔である3個の地点におけるTiに対するSn及び希土類元素(RE)のモル比を測定した後、それぞれ平均することによりS2及びR2を測定してS1/S2及びR2/R1の値を求めた。また、上記平均値の測定をコア-二重シェル構造を有する10個の誘電体結晶粒10aに拡張して平均値を測定し、S1/S2及びR2/R1の値をさらに一般化した。
【0109】
下記表1において、S1/S2値が3以下の場合は「-」、3を超え、10以下の場合は「○」、10を超える場合は「+」と表し、R2/R1値が4以下の場合は「-」、4を超え、12以下の場合は「○」、12を超える場合は「+」と表した。
【0110】
常温静電容量(capacitance)及び誘電損失(DF、dissipation factor)は、サンプルチップを150℃で熱処理し、2時間後にLCR meterを用いて1kHz、AC1.14V/μmの条件で測定した。その後、測定された常温静電容量と誘電率の式により常温誘電率を得た後、下記表1に記載した。
【0111】
X6Sの満足の可否は、-55℃でのTCCと125℃でのTCCを測定した後、-55℃及び125℃でのTCCが±22%の範囲内に属する場合「○」、±22%の範囲内に属さない場合「X」と表した。
【0112】
なお、下記表1の平均故障時間(MTTF、mean time to failure)は、各試料番号ごとに400個のサンプルチップに対して温度125℃及び定格電圧の2倍の電圧を印加し、全てのサンプルチップの絶縁抵抗の測定値が1kΩ以下となった時間の平均値を意味する。
【0113】
DC有効容量の満足の可否は、100kHz、0.01V、60秒の維持条件でDC電圧を印加したとき、電圧1Vでの容量値がDC未印加条件での容量の80%以上である場合を「○」、80%未満の場合を「X」と表した。
【0114】
その後、4つの特性条件、1)常温誘電率≧3000、2)X6Sの満足の可否、3)MTTF≧45、4)DC有効容量の満足の可否を全て満たす場合は優秀(○)、2個から3個を満たす場合は普通(△)、1個以下を満たす場合は不良(X)と判定し、下記表1に記載した。
【0115】
【0116】
上記表1の試料番号1-1から1-3を参照すると、S1/S2が3以下の場合、R2/R1値に応じて高温寿命特性(MTTF)が低下するか、又はTCC特性(X6S)が低下することが確認できる。
【0117】
また、試料番号3-1から3-3を参照すると、S1/S2が10を超える場合、常温誘電率及びDC有効容量が低下し、TCC特性が低下することが確認できる。
【0118】
これに対し、試料番号2-1から2-3は、S1/S2が3を超え、10以下を満たすことで、常温誘電率及びDC有効容量が良好であり、高温寿命特性及びTCC特性の両方が改善されることが確認できる。
【0119】
一方、試料番号1-1から1-3及び試料番号3-1から3-3を参照すると、S1/S2値が類似しているとき、R2/R1値が増加するほど高温寿命特性は改善されるものの、TCC特性は低下することが確認できる。
【0120】
但し、試料番号2-2を参照すると、3<S1/S2≦10及び4<R2/R1≦12をいずれも満たす場合、常温誘電率、DC有効容量及びTCC特性を確保しながらも、高温寿命特性が著しく改善されることが確認できる。
【0121】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0122】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記に提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明した事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解されることができる。
【0123】
さらに、「第1、第2」などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区分するために使用されるものであって、当該構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよい。
【符号の説明】
【0124】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
10a、10b、10c:誘電体結晶粒
C:コア
SH1:第1シェル
SH2:第2シェル