(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149354
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】発光素子、表示装置、および発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/26 20100101AFI20241010BHJP
H01L 33/02 20100101ALI20241010BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20241010BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241010BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20241010BHJP
H01L 33/20 20100101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L33/26
H01L33/02
G09F9/33
G09F9/00 338
H01L33/32
H01L33/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200949
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0046138
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,デヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク,サンホ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,チュルジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンホン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,サンホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソンホン
【テーマコード(参考)】
5C094
5F241
5G435
【Fターム(参考)】
5C094BA25
5C094DA15
5C094EA04
5C094EA07
5C094FB02
5C094GB10
5C094JA08
5C094JA20
5F241AA03
5F241AA43
5F241CA40
5F241CA57
5F241CA58
5F241CA71
5F241FF06
5G435BB04
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】発光素子の構造的欠陥を減少させ、発光素子の発光効率および信頼性を改善させることができる発光素子、発光素子の製造方法、および表示装置を提供する。
【解決手段】本開示の実施例による発光素子は、N型半導体層、P型半導体層、および前記N型半導体層と前記P型半導体層との間の活性層を含む半導体積層構造と、前記半導体積層構造の側部上に配置される絶縁層と、を含む。前記半導体積層構造は、前記絶縁層と隣接する領域に形成されるフルオリン領域を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N型半導体層、P型半導体層、および前記N型半導体層と前記P型半導体層との間の活性層を含む半導体積層構造と、
前記半導体積層構造の側部上に配置される絶縁層と、を含み、
前記半導体積層構造は、前記絶縁層と隣接する領域に形成されるフルオリン領域を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記半導体積層構造は、前記フルオリン領域内に形成されるGaFxN(1-x)を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記フルオリン領域内において、F(Fluorine)は、前記半導体積層構造の外側面から深さに応じて均一でない濃度勾配を有することを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記Fは、前記半導体積層構造の前記外側面から0.001μm以上0.01μm以下の深さにピーク濃度を有することを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記ピーク濃度は、1.2×1018~1.6×1018[個/cm3]に含まれることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記フルオリン領域は、前記半導体積層構造の側部を全体的にカバーすることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記フルオリン領域は、前記P型半導体層および前記活性層の側部をカバーし、前記N型半導体層の側部をカバーしないことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記絶縁層は、金属酸化物を含み、
前記フルオリン領域は、前記絶縁層と直接隣接することを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項9】
前記絶縁層は、タンタル(Ta)、ハフニウム(HF)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、シリコン(Si)、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の群のうちから選択される1つ以上の金属を含む金属酸化物を含むことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記FとGaとの間の結合エネルギーは、前記金属酸化物の結合エネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記半導体積層構造の側部上に配置される第1絶縁層および前記第1絶縁層上に配置される第2絶縁層を含み、
前記第1絶縁層は、前記フルオリン領域と前記第2絶縁層との間に配置され、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、それぞれ金属酸化物を含み、
前記第1絶縁層は、前記Fをさらに含み、
前記第2絶縁層は、前記Fを含まないことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項12】
ベース層と、
前記ベース層上の発光素子と、を含み、
前記発光素子は、N型半導体層、P型半導体層、および前記N型半導体層と前記P型半導体層との間の活性層を含む半導体積層構造と、前記半導体積層構造の側面上に配置される絶縁層と、を含み、
前記半導体積層構造は、前記絶縁層と隣接する領域に形成されるフルオリン領域を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
前記ベース層上の第1電極および第2電極をさらに含み、
前記発光素子は、第1端部および第2端部を含み、
前記発光素子は、前記第1端部で前記第1電極と電気的に連結され、前記第2端部で前記第2電極と電気的に連結されることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記ベース層上の第1整列電極および第2整列電極をさらに含み、
前記発光素子は、前記第1整列電極と前記第2整列電極との間に整列されることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
前記半導体積層構造は、前記フルオリン領域内に形成されるGaFxN(1-x)を含むことを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項16】
前記フルオリン領域内において、F(Fluorine)は、前記半導体積層構造の外側面から深さに応じて均一でない濃度勾配を有し、
前記Fは、前記半導体積層構造の前記外側面から0.001μm以上0.01μm以下の深さにピーク濃度を有し、
前記ピーク濃度は、1.2×1018~1.6×1018[個/cm3]に含まれることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
成長基板上に半導体積層構造をパターニングすることと、
前記半導体積層構造の側面にフルオリン領域を形成することと、
前記半導体積層構造の側面上に絶縁層を形成することと、を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記フルオリン領域を形成することは、イオン注入法あるいは表面処理工程を利用してFを前記半導体積層構造に提供することを含むことを特徴とする請求項17に記載の発光素子の製造方法。
【請求項19】
前記絶縁層を形成することは、前記フルオリン領域を形成した後、2つ以上の絶縁層が交互に形成されることを含むことを特徴とする請求項17に記載の発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記絶縁層を形成することは、前記半導体積層構造の側部上に第1絶縁層を形成することおよび前記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成することを含み、
前記第1絶縁層を形成することは、前記フルオリン領域を形成することの前に行われ、
前記第2絶縁層を形成することは、前記フルオリン領域を形成することの後に行われることを特徴とする請求項17に記載の発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子、表示装置、および発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報ディスプレイに対する関心が高まっているため、表示装置に関する研究開発が継続的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国出願公開特許第2012-0070809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一課題は、発光素子の構造的欠陥を減少させることができる発光素子、発光素子の製造方法、および表示装置を提供することである。
【0005】
本開示の一課題は、発光素子の発光効率および信頼性を改善させることができる発光素子、発光素子の製造方法、および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例による発光素子は、N型半導体層、P型半導体層、および前記N型半導体層と前記P型半導体層との間の活性層を含む半導体積層構造と、前記半導体積層構造の側部上に配置される絶縁層と、を含み、前記半導体積層構造は、前記絶縁層と隣接する領域に形成されるフルオリン領域を含む。
【0007】
本開示の一実施例によって、前記半導体積層構造は、前記フルオリン領域内に形成されるGaFxN(1-x)を含んでよい。
【0008】
本開示の一実施例によって、前記フルオリン領域内においてF(Fluorine)は、前記半導体積層構造の外側面から深さに応じて均一でない濃度勾配を有してよい。
【0009】
本開示の一実施例によって、前記Fは、前記半導体積層構造の前記外側面から0.001μm以上0.01μm以下の深さにピーク濃度を有してよい。
【0010】
本開示の一実施例によって、前記ピーク濃度は、1.2×1018~1.6×1018[個/cm3]に含まれてよい。
【0011】
本開示の一実施例によって、前記フルオリン領域は、前記半導体積層構造の側部を全体的にカバーしてよい。
【0012】
本開示の一実施例によって、前記フルオリン領域は、前記P型半導体層および前記活性層の側部をカバーし、前記N型半導体層の側部をカバーしなくてよい。
【0013】
本開示の一実施例によって、前記絶縁層は、金属酸化物を含み、前記フルオリン領域は、前記絶縁層と直接隣接してよい。
【0014】
本開示の一実施例によって、前記絶縁層は、タンタル(Ta)、ハフニウム(HF)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、シリコン(Si)、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の群のうちから選択される1つ以上の金属を含む金属酸化物を含んでよい。
【0015】
本開示の一実施例によって、前記FとGaとの間の結合エネルギーは、前記金属酸化物の結合エネルギーよりも大きくてよい。
【0016】
本開示の一実施例によって、前記絶縁層は、前記半導体積層構造の側部上に配置される第1絶縁層および前記第1絶縁層上に配置される第2絶縁層を含み、前記第1絶縁層は、前記フルオリン領域と前記第2絶縁層との間に配置され、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、それぞれ金属酸化物を含むことができる。前記第1絶縁層は、前記Fをさらに含み、前記第2絶縁層は、前記Fを含まなくてもよい。
【0017】
本開示の一実施例による表示装置は、ベース層と、前記ベース層上の発光素子と、を含み、前記発光素子は、N型半導体層、P型半導体層、および前記N型半導体層と前記P型半導体層との間の活性層を含む半導体積層構造と、前記半導体積層構造の側面上に配置される絶縁層と、を含み、前記半導体積層構造は、前記絶縁層と隣接する領域に形成されるフルオリン領域を含む。
【0018】
本開示の一実施例によって、前記表示装置は、前記ベース層上の第1電極および第2電極をさらに含み、前記発光素子は、第1端部および第2端部を含み、前記発光素子は、前記第1端部で前記第1電極と電気的に連結され、前記第2端部で前記第2電極と電気的に連結されてよい。
【0019】
本開示の一実施例によって、前記表示装置は、前記ベース層上の第1整列電極および第2整列電極をさらに含み、前記発光素子は、前記第1整列電極と前記第2整列電極との間に整列されてよい。
【0020】
本開示の一実施例によって、前記半導体積層構造は、前記フルオリン領域内に形成されるGaFxN(1-x)を含んでよい。
【0021】
本開示の一実施例によって、前記フルオリン領域内においてF(Fluorine)は、前記半導体積層構造の外側面から深さに応じて均一でない濃度勾配を有し、前記Fは、前記半導体積層構造の前記外側面から0.001μm以上0.01μm以下の深さにピーク濃度を有し、前記ピーク濃度は、1.2×1018~1.6×1018[個/cm3]に含まれてよい。
【0022】
本開示の一本開示の実施例による発光素子の製造方法は、成長基板上に半導体積層構造をパターニングすることと、前記半導体積層構造の側面にフルオリン領域を形成することと、前記半導体積層構造の側面上に絶縁層を形成することと、を含む。
【0023】
本開示の一実施例によって、前記フルオリン領域を形成することは、イオン注入法あるいは表面処理工程を利用してFを前記半導体積層構造に提供することを含んでよい。
【0024】
本開示の一実施例によって、前記絶縁層を形成することは、前記フルオリン領域を形成した後、2つ以上の絶縁層が交互に形成されることを含んでよい。
【0025】
本開示の一実施例によって、前記絶縁層を形成することは、前記半導体積層構造の側部上に第1絶縁層を形成することおよび前記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成することを含み、前記第1絶縁層を形成することは、前記フルオリン領域を形成することの前に行い、前記第2絶縁層を形成することは、前記フルオリン領域を形成することの後に行ってよい。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一実施例によれば、発光素子の構造的欠陥を減少させることができる発光素子、発光素子の製造方法、および表示装置を提供することができる。
【0027】
本開示の一実施例によれば、発光素子の発光効率および信頼性を改善することができる発光素子、発光素子の製造方法、および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の一実施例による発光素子を示す概略断面図である。
【
図2】本開示の一実施例による発光素子を示す概略断面図である。
【
図3】本開示の一実施例による発光素子を示す概略斜視図である。
【
図4】本開示の一実施例による発光素子を示す概略断面図である。
【
図5】本開示の一実施例による発光素子の一部を示す概略拡大断面図である。
【
図6】本開示の一実施例による発光素子の一部を示す概略拡大断面図である。
【
図7】半導体積層構造の位置ごとのフルオリンの濃度プロファイルを示すグラフである。
【
図8】本開示の一実施例による発光素子を製造する方法を示す概略フローチャートである。
【
図9】本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図10】本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図11】本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図12】本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図13】本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図14】本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図15】一部変形された本開示の一実施例による発光素子を製造する方法を示す概略フローチャートである。
【
図16】一部変形された実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図17】一部変形された本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
【
図18】本開示の一実施例による発光素子を含む表示装置を示す概略平面図である。
【
図19】本開示の一実施例による表示装置を示す概略断面図である。
【
図20】本開示の一実施例による表示装置を示す概略断面図である。
【
図21】本開示の一実施例による表示装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、様々な変更が可能であり、様々な形態として実施することができるが、特定の実施例だけを図面に例示しこれに基づいて本開示を説明する。しかし、本開示はこのような特定の開示に限定されるものではなく、本開示の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物は本開示に含まれるものと理解される。
【0030】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素の説明に用いられるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記の用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で用いられる。例えば、本開示の範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と呼ばれることがある。同様に第2構成要素も第1構成要素と呼ばれることがある。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【0031】
本開示で「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものを示し、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたもの又はこれらに付加されるものの可能性を予め排除するものではない。また、層、膜、領域、板等の部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、それらの間にさらに他の部分が位置する場合も含む。また、本明細書において、ある層、膜、領域、板などの部分が他の部分の上(on)に形成されたとする場合、形成された方向は上部方向のみに限定されず、側面や下部方向に形成されたものを含む。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、これは他の部分の「真下に」ある場合だけでなく、それらの間にさらに他の部分が位置する場合も含む。
【0032】
本開示は、発光素子、表示装置、および発光素子の製造方法に関する。以下では、添付の図面を参照して、本開示の一実施例による発光素子、表示装置、および発光素子の製造方法について説明する。
【0033】
図1~
図7を参照して、本開示の一実施例による発光素子LDについて説明する。
【0034】
図1、
図2、および
図4は、本開示の一実施例による発光素子を示す概略断面図である。
図3は、本開示の一実施例による発光素子を示す概略斜視図である。
図5及び
図6は、本開示の一実施例による発光素子の一部を示す概略拡大断面図である。
図7は、半導体積層構造の位置ごとのフルオリンの濃度を示すグラフである。
【0035】
発光素子LDは、光を発散するように構成される。例えば、発光素子LDは、赤色光、緑色光、および青色光のうちいずれか1つを発散することができる。赤色光は、約600nm~750nmの波長帯域のうちの一部波長帯域を含む光であり得る。緑色光は、約480nm~560nmの波長帯域のうちの一部波長帯域を含む光であり得る。青色光は、約370nm~460nmの波長帯域のうちの一部波長帯域を含む光であり得る。
【0036】
発光素子LDは、フルオリン領域FAを含む半導体積層構造1および絶縁層INFを含むことができる。半導体積層構造1は、N型半導体層SCL1、P型半導体層SCL2、およびN型半導体層SCL1とP型半導体層SCL2との間に配置される活性層ALを含む。
【0037】
発光素子LDは、様々な大きさを有することができる。本開示の一実施例によって、発光素子LDは、マイクロスケール乃至ナノスケールの大きさを有することができる。例えば、発光素子LDの直径は100μm以下であってもよい。或いは、実施例によって、発光素子LDの直径は1μm以下であってもよい。ここで、発光素子LDの直径は、発光素子LD(例えば、活性層AL)の断面形状に応じてその基準が決定されることができる。例えば、発光素子LDの断面が円形状である場合、直径は円の直径であり得る。発光素子LDの断面が楕円形状である場合、直径は楕円の長辺の長さであり得る。発光素子LDの断面が多角形形状である場合、直径は多角形の最も長い対角線の長さであり得る。
【0038】
発光素子LDは、第1端部EP1と第2端部EP2とを有することができる。本開示の一実施例によって、発光素子LDの第1端部EP1には、N型半導体層SCL1が隣接し、発光素子LDの第2端部EP2には、P型半導体層SCL2が隣接することができる。第1端部EP1と第2端部EP2は、発光素子LD内に形成される電気的経路方向を基準として定義されることができる。
【0039】
発光素子LDは、様々な形状を有することができる。例えば、発光素子LDは、一方向に延びるバー形状を有することができる(
図1~
図3)。この場合、発光素子LDは、第1端部EP1から第2端部EP2に向かう方向に延びる形状を有することができる。
【0040】
または、本開示の一実施例によって、発光素子LDは、フリップ-チップタイプを有するように製造された発光ダイオードであることもできる(
図4)。この場合、第1端部EP1においてP型半導体層SCL2と第2端部EP2においてN型半導体層SCL1は、同じ方向に向かうことができる。
【0041】
N型半導体層SCL1は、活性層AL上に配置され、P型半導体層SCL2と異なるタイプの半導体層を含むことができる。例えば、N型半導体層SCL1は、N型半導体を含むことができる。N型半導体層SCL1は、GaN系材料を含むことができる。例えば、N型半導体層SCL1は、InAlGaN、GaN、AlGaN、およびInGaNの群のうちから選択される1つ以上を含むことができ、Si、Ge、およびSnなどのような第1導電型ドーパントのドープされたN型半導体層を含むことができる。実施例によって、N型半導体層SCL1は、フルオリン領域FAにおいてFを含んだGaN系材料を含むことができる。
【0042】
活性層ALは、N型半導体層SCL1とP型半導体層SCL2との間に配置されることができる。活性層ALは、単一量子井戸(single-quantum well)または多重量子井戸(multi-quantum well)構造を含むことができる。活性層ALの位置は、特定の例に限定されるものではなく、発光素子LDの種類によって様々に変更することができる。
【0043】
活性層ALは、量子井戸構造を形成するための井戸層および障壁層を含むことができる。例えば、活性層ALは井戸層としてInGaNを含むことができ、活性層ALは、障壁層としてGaNを含むことができる。実施例によって、活性層ALは、フルオリン領域FAにおいて、Fを含んだGaN系材料を含むことができる。
【0044】
P型半導体層SCL2は、活性層AL上に配置され、N型半導体層SCL1と異なるタイプの半導体層を含むことができる。例えば、P型半導体層SCL2は、P型半導体を含むことができる。P型半導体層SCL2は、GaN系材料を含むことができる。例えば、P型半導体層SCL2は、InAlGaN、GaN、AlGaN、およびInGaNの群のうちから選択される1つ以上を含むことができ、Ga、B、およびMgなどのような第2導電型ドーパントのドープされたP型半導体層を含むことができる。本開示の一実施例によって、P型半導体層SCL2は、フルオリン領域FAにおいて、Fを含んだGaN系材料を含むことができる。
【0045】
発光素子LDの第1端部EP1と第2端部EP2にスレッショルド電圧以上の電圧が印加される場合、活性層ALにおいて電子-正孔対は互いに再結合してエキシトンを形成することができ、発光素子LDは光を発散することができる。このような原理を利用して発光素子LDの発光を制御することによって、発光素子LDは様々な装置で光源として利用されることができる。
【0046】
実験的に、発光素子LDを製造するためのエッチング(例えば、ドライエッチング)工程は、発光素子LDの発光効率などに影響を及ぼす可能性がある。例えば、発光素子LDの側部が破損されて、活性層ALが損傷するリスクが存在し、この場合、発光素子LDの発光効率が阻害(例えば、非発光再結合(non-radiative recombination)の増加による発光効率の減少など)されることがある。
【0047】
本明細書において、「側部」は、対象(object)(例えば、半導体積層構造1、活性層AL、N型半導体層SCL1、またはP型半導体層SCL2など)の上面および下面以外の残りの領域の一部を含む領域を意味することができる。ここで、対象の上面と下面は、発光素子LD(または、半導体積層構造1)の第1端部EP1または第2端部EP2に対応する面を意味することができる。実施例によって、側部は、発光素子LD(あるいは半導体積層構造1)の第1端部EP1と第2端部EP2との間の領域で定義される対象の外面の一部を意味することができる。
【0048】
本開示の一実施例によって、発光素子LDは、半導体積層構造1の側部にフルオリン領域FAが形成されることを特徴とする。フルオリン領域FAは、F(Fluorine)を含んだ結晶構造を含む領域であり得る。
【0049】
フルオリン領域FAは、絶縁層INFと隣接する半導体積層構造1の側部に形成されることができる。フルオリン領域FAは、絶縁層INFと直接隣接する半導体積層構造1の側部に隣接するように形成されることができる。フルオリン領域FAは、半導体積層構造1の内部の少なくとも一部と絶縁層INFとの間に配置されることができる。例えば、フルオリン領域FAは、絶縁層INFを形成する金属酸化物と直接隣接することができる。
【0050】
フルオリン領域FAは、半導体積層構造1のパターニングの際に行われたエッチング工程が行われたエッチング表面に隣接することができる。例えば、N型半導体層SCL1、活性層AL、およびP型半導体層SCL2が一括にエッチングされる場合、半導体積層構造1の側部にエッチング面が定義されることができ、フルオリン領域FAは、定義されたエッチング面の少なくとも一部に隣接することができる。
【0051】
フルオリン領域FAは、半導体積層構造1の側部にFがドープされて形成される領域であり得る。フルオリン領域FAを形成するために供給されるFは、半導体積層構造1の側部で結晶構造の少なくとも一部を形成することができる。
【0052】
例えば、フルオリン領域FAは、半導体積層構造1の側部に全体的に配置されることができる(
図1、
図3など)。これにより、フルオリン領域FAは、N型半導体層SCL1の側部に形成されることができ、活性層ALの側部に形成されることができ、P型半導体層SCL2の側部に形成されることもできる。
【0053】
他の実施例では、フルオリン領域FAは、N型半導体層SCL1の側部に形成されることなく、活性層ALの側部に形成されることができ、P型半導体層SCL2の側部に形成されることもできる(
図2)。この場合、N型半導体層SCL1の側部には、Fを含まないフルオリン-フリー領域(FFA)が形成されることができる。
【0054】
フルオリン領域FA内においてFは、半導体積層構造1の外側面を基準に深さに応じて一濃度プロファイルで分布することができる。これについて、
図7を参照して述べる。ここで、半導体積層構造1の外側面は、半導体積層構造1の側部であって、絶縁層INFと直接隣接する外郭面を意味することができる。以下に述べる深さは、対象位置と半導体積層構造1の外側面との間の離隔距離を意味することができる。
【0055】
Fの濃度は、半導体積層構造1の外側面から深さに応じて増加するが、ピーク濃度を基点に減少するプロファイルを有することができる。例えば、Fの濃度は、0.001μm以上0.01μm以下の数値範囲に含まれるピーク位置xにピーク濃度yを有することができる。本開示の一実施例によって、ピーク濃度yは、1.2×1018~1.6×1018[個/cm3]に含まれることができる。すなわち、フルオリン領域FA内においてFは、均一でない濃度勾配で分布することができ、少なくとも一部の位置でピーク濃度を有するように提供されることができる。このようなFの濃度勾配が提供されて、フルオリン領域FAは、外部の影響に対する半導体積層構造1のバリア層として機能することができる。
【0056】
フルオリン領域FAには、GaFN系物質が含まれることができる。例えば、フルオリン領域FAには、GaFxN(1-x)が含まれることができる。ただし、本開示は必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、GaFN系物質は、1つ以上の元素をさらに含んでもよい。実施例によって、GaFN系物質は、InxAlyGa(1-x-y)FmNnを含むことができる。
【0057】
本開示の一実施例によって、半導体積層構造1を形成するGaN結晶構造において、Fは、Nが配置されていない空孔(vacancy)に配置されることができ、Gaと結合構造を形成することができる。Fは、比較的高い電気陰性度を有し、Gaと高い結合エネルギーを有する結合構造を形成することができる。これにより、GaFNは、高い安定性を有する結晶構造を形成することができる。
【0058】
この場合、フルオリン領域FAにおいて、F以外の他の元素がGaN結晶構造(例えば、ウルツ鉱(wurtzite)結晶構造)に浸透するリスクを減少させることができる。例えば、実験的に、H(hydrogen)およびO(oxygen)がGaN結晶構造内に提供される場合にドナー元素(donor element)として機能して、GaN結晶構造の構造的安定性が損なわれる恐れがある。特に、絶縁層INFは、金属酸化物を含むことができるから、金属酸化物を形成するOのうちの一部がGaN結晶構造内に提供される恐れがあり、OがGaN結晶構造に提供される場合、GaONおよびGa2O3などの結晶構造が形成されてGaNの結晶構造の安定性が低下する可能性もある。
【0059】
しかしながら、Gaと結合エネルギーを有する結合構造を形成可能なFがGaN結晶構造に提供されることにより、半導体積層構造1の側部(例えば、エッチング界面)でGaN結晶構造が変形するリスクを減少させることができる。例えば、Ga-F結合は、Ga-O結合に比べて高い結合エネルギーを有することができる。H-F結合は、H-O結合に比べて高い結合エネルギーを有することができる。Ga-F結合は、約6.0eVの結合エネルギーを有することができる。Ga-O結合は、約3.9eVの結合エネルギーを有することができる。H-F結合は、約5.9eVの結合エネルギーを有することができる。H-O結合は、約4.8eVの結合エネルギーを有することができる。これにより、Ga-F結合および/またはF-O結合が強固に形成されて、あるいはHまたはOがGaN結晶構造に浸透するリスクを減少させることができる。
【0060】
結局、フルオリン領域FAは、半導体積層構造1の側部で発生し得る欠陥を減少させることができ、外部の影響による構造的変異(例えば、エキシトンが自己束縛されて(self-trapped)、結晶構造の格子内の格子振動を引き起こす現象など)が発生するリスクを減少させることができ、GaNの材料的特性が変化するリスクを減少させることができる。これにより、発光素子LDの発光効率が向上でき、発光素子LDに対する発光信頼度の再考が可能である。例えば、GaN結晶構造の構造的安定性が損なわれる場合、GaN結晶構造内のストレインが発生することによって、発光素子LDが意図した輝度に光を発散することが困難であり得るが、フルオリン領域FAはこのようなリスクを減少させることができる。
【0061】
絶縁層INFは、半導体積層構造1の側部を囲むことができる。絶縁層INFは、N型半導体層SCL1、活性層AL、およびP型半導体層SCL2を含む半導体積層構造1上に配置されることができる。
【0062】
絶縁層INFは、フルオリン領域FA上に配置されることができる。絶縁層INFは、外部の影響から半導体積層構造1を保護することができ、N型半導体層SCL1、活性層AL、およびP型半導体層SCL2を外部と絶縁させることができる。
【0063】
絶縁層INFは、金属酸化物を含む絶縁材料を含むことができる。例えば、絶縁層INFは、タンタル(Ta)、ハフニウム(HF)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、シリコン(Si)、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の群のうちから選択される1つ以上の金属を含む金属酸化物を含むことができる。ただし、本開示の一実施例は特定の例に限定されるわけではない。
【0064】
絶縁層INFは、それぞれ金属酸化物を含む2つ以上の絶縁層を含むことができる(
図5参照)。例えば、絶縁層INFは、互いに異なる材料を含む2つ以上の金属酸化物絶縁層が順次積層された構造を有することができる。例えば、絶縁層INFは、M1
XO
Yを含む第1絶縁層およびM2
UO
Zを含む第2絶縁層を含むことができる(M1およびM2は金属)。絶縁層INFを形成するための2つ以上の絶縁層の数は特に限定されない。
【0065】
本開示の一実施例によって、絶縁層INFは、第1絶縁層INF1および第2絶縁層INF2を含むこともできる(
図6)。ここで、第2絶縁層INF2は、前述のように、それぞれ金属酸化物を含む2つ以上の絶縁層を含む絶縁構造であり得る。第1絶縁層INF1は、第2絶縁層INF2とは別に形成される層であってもよい。
【0066】
本開示の一実施例によって、第1絶縁層INF1は、予備絶縁層と呼ぶことができる。
【0067】
例えば、第1絶縁層INF1は、半導体積層構造1のフルオリン領域FAと第2絶縁層INF2との間に配置されることができる。第1絶縁層INF1の一面は、半導体積層構造1の側部と接触することができ、第1絶縁層INF1の他面は、第2絶縁層INF2と接触することができる。実施例によって、第1絶縁層INF1は、N型半導体層SCL1、活性層AL、およびP型半導体層SCL2のそれぞれの側部をカバーすることができる。ただし、本開示は必ずしもこれに限定されるわけではない。実施例によって、第1絶縁層INF1は、活性層ALおよびP型半導体層SCL2上に配置されることなく、N型半導体層SCL1上に配置されることもできる。
【0068】
第1絶縁層INF1は、前述の金属酸化物のうちの1つ以上を含むが、Fをさらに含んでもよい。例えば、第1絶縁層INF1は、非晶質構造を有するように製造された金属酸化物を含むが、金属酸化物が形成した構造中の少なくとも一部にはFが含まれることができる。実施例によって、第2絶縁層INFは、前述の金属酸化物のうちの1つ以上を含むが、Fを含まなくてもよい。
【0069】
第1絶縁層INF1は、フルオリン領域FAを形成するための工程の進行の際に、半導体積層構造1の少なくとも一部をキャッピング(capping)することができる。例えば、第1絶縁層INF1は、フルオリン領域FAを形成するための工程の影響から半導体積層構造1を保護することができる。
【0070】
例えば、フルオリン領域FAを形成するために、半導体積層構造1にドープされるFは、一運動エネルギーを有することができる。例えば、プラズマなどを利用してFが半導体積層構造1に浸透する場合、Fの有する運動エネルギーによって、半導体積層構造1内にストレインが発生する恐れがある。しかしながら、実施例によって、フルオリン領域FAを形成する前に第1絶縁層INF1を予備的に形成することで、第1絶縁層INF1は、Fの有する運動エネルギーを減少させることができ、前述のリスクを減少させることができる。
【0071】
本開示の一実施例によって、発光素子LDの構造は前述の例に限定されず、追加の層をさらに含んでもよい。例えば、発光素子LDは、電子のオーバーフローを防止するための電子ブロック層をさらに含んでもよく、発光素子LDは、発光素子LD内の応力を緩和するための超格子(superlattice)層をさらに含んでもよい。また、発光素子LDは、P型半導体層SCL2上に配置され、P型半導体層SCL2と電気的に連結された電極層をさらに含んでもよい。
【0072】
また、実施例によって、発光素子LDがフリップ-チップタイプの発光ダイオードである場合、発光素子LDは、N型半導体層SCL1と電気的に連結された第1連結電極CNE1、P型半導体層SCL2と電気的に連結された第2連結電極CNE2、N型半導体層SCL1の基底を形成する成長基板GS、成長基板GSとN型半導体層SCL1との間に配置されるバッファ層BF、および非ドープ半導体層USCLを含んでもよい。成長基板GS、バッファ層BF、および非ドープ半導体層USCLに関する詳細な説明は、
図12~
図14を参照して後述する。
【0073】
以下では、
図8~
図17を参照して、本開示の一実施例による発光素子LDの製造方法について説明する。前述の内容と重複する可能性のある内容の説明は、簡略化されること、または、省略されることがある。
【0074】
まず、
図8~
図14を参照して、フルオリン領域FAを形成する前に絶縁層INFを形成しない場合の本開示の一実施例について説明する。
【0075】
図8は、本開示の一実施例による発光素子を製造する方法を示す概略フローチャートである。
図9~
図14は、本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップごとの概略断面図である。
図9~
図11は、一方向に延びる形状を有する発光素子LD(例えば、
図1~
図3)の製造方法を示す図である。
図12~
図14は、フリップ-チップタイプの発光素子LD(例えば、
図4)の製造方法を示す図である。
【0076】
図8を参照すると、本開示の一実施例による発光素子LDの製造方法は、半導体積層構造をパターニングするステップS120、フルオリン領域を形成するステップS140、および絶縁層を形成するステップS160を含むことができる。
【0077】
図8、
図9および
図12を参照すると、半導体積層構造をパターニングするステップS120において、成長基板GS上にバッファ層BF、非ドープ半導体層USCL、N型ベース半導体層、ベース活性層およびP型ベース半導体層を成長させ、N型ベース半導体層、ベース活性層およびP型ベース半導体層のそれぞれの少なくとも一部をエッチングして半導体積層構造1をパターニングすることができる。実施例によって、半導体積層構造1の側部が露出されるように、エッチング工程が行われることができる。実施例によって、フリップ-チップタイプの発光素子LDを製造するために、N型半導体層SCL1の一面が露出(
図12参照)されるようにエッチング工程が行われてもよい。
【0078】
成長基板GSは、対象物質を成長させるためのベース板であることができる。例えば、成長基板GSは、一物質に対するエピタキシャル成長(epitaxial growth)のためのウェハ(wafer)であることができる。成長基板GSは、Si、GaAsなどを含んだ基板であり得るが、成長基板GSを形成するための物質は特定の例に限定されない。
【0079】
バッファ層BFは、成長基板GS上に形成される半導体層の結晶性を向上させることができる。実施例によって、バッファ層BFは、InAlGaN、GaN、AlGaN、InGaN、AIN、およびInNの群のうちの1つ以上を含むことができる。ただし、本開示は必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0080】
非ドープ半導体層USCLは、成長基板GS上に形成される半導体層の欠陥を減少させることができる。実施例によって、非ドープ半導体層USCLは、別途のドーパントを含まない半導体材料として、半導体積層構造1を形成するための半導体材料と同じ物質を含むことができるが、非ドープ半導体層USCLを形成するための物質は特定の例に限定されない。
【0081】
N型ベース半導体層、ベース活性層、およびP型ベース半導体層は、順次エピタキシャル成長されることができる。N型ベース半導体層は、N型半導体層SCL1を形成するための材料を含むことができる。ベース活性層は、活性層ALを形成するための材料を含むことができる。P型ベース半導体層は、P型半導体層SCL2を形成するための材料を含むことができる。
【0082】
図8、
図10および
図13を参照すると、フルオリン領域を形成するステップS140において、フルオリン領域FAが形成されることができる。
【0083】
本ステップにおいて、半導体積層構造1の側部にFがドープされることができ、実施例によって、半導体積層構造1の側部にはGaFNを含んだ結晶構造が形成されることができる。
【0084】
例えば、フルオリン領域FAは、イオン注入法(ion implantation)によってFイオンが注入されて製造される領域であり得る。イオン注入法を利用する場合、ドープしようとするイオンに印加されるエネルギーが調節されて、イオンが半導体積層構造1の外面を通過して進入する深さを制御することができる。本開示の一実施例によれば、約5keVのエネルギーがイオンに供給されることができる。この場合、フルオリン領域FA内においてFのピーク濃度は、1.0×1015[個/cm3]以上に提供されることができる。実施例によって、Fのピーク濃度は、1.2×1018[個/cm3]以上に提供されることができ、実施例によって、Fのピーク濃度は、1.2×1018~1.6×1018[個/cm3]に含まれることができる。ただし、本開示は必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0085】
他の実施例では、フルオリン領域FAは、表面処理(treatment)工程によってFが供給されて製造される領域であり得る。表面処理工程は、アニール工程あるいはプラズマを利用する表面処理工程であり得る。ただし、本開示の一実施例はこれに限定されるわけではない。
【0086】
本開示の一実施例によって、フルオリン領域FAが形成される領域は、半導体積層構造1の側部のうちの一部領域に選択的に定義されることもできる。例えば、フルオリン領域FAは、半導体積層構造1の側部に全体的に形成されることもでき、実施例によって、活性層ALおよびP型半導体層SCL2の側部に選択的に形成されることもできる。
【0087】
図8、
図11、および
図14を参照すると、絶縁層を形成するステップS160において、絶縁層INFがパターニングされて、絶縁層INFが半導体積層構造1をカバーすることができる。
【0088】
例えば、絶縁層INFは、様々な方法によって形成(または蒸着)されることができる。例えば、ALD(atomic layer deposition)工程あるいはCVD(chemical vapor deposition)工程などを利用することができる。ただし、本開示の一実施例は必ずしもこれに限定されるわけではない。形成された絶縁層INFはエッチングされて、半導体積層構造1が電気的に露出されることができる。
【0089】
本開示の一実施例によって、絶縁層INFは、2つ以上の絶縁層を含むように、互いに異なる材料が交互に形成されることもできる。前述したように、絶縁層INFは、金属酸化物を含むことができる。
【0090】
本開示の一実施例によって、図示はしないが、半導体積層構造1の少なくとも一部と電気的に連結された電極層をパターニングするステップをさらに行ってもよい。
【0091】
本開示の一実施例(例えば、
図9~
図11)によって、半導体積層構造1および絶縁層INFを含んだ構造を分離して、個別発光素子LDを提供するステップがさらに行われてもよい。例えば、N型半導体層SCL1の一部をカッティングしてもよい。実施例によって、N型半導体層SCL1の一部をカッティングするために、レーザーリフトオフ(LLO:Laser Lift Off)工程を行ってもよい。ただし、本開示の一実施例は必ずしもこれに限定されるわけではない。実施例によって、半導体積層構造1および絶縁層INFを含んだ構造を分離するステップを行うことなく、半導体積層構造1を含んだ構造をバックプレーン層(例えば、画素回路を含む画素回路層PCL(
図19参照))に転写した後、成長基板GSなどを除去して発光素子LDを製造することも可能である。
【0092】
一方、本開示の一実施例(例えば、
図12~
図14)によって、連結電極CNEを形成するステップをさらに行ってもよい。連結電極CNEは、絶縁層INFを形成する前にパターニングされることができ、絶縁層INFを形成した後にパターニングされることもできる。連結電極CNEは、第1連結電極CNE1および第2連結電極CNE2を含むことができる。第1連結電極CNE1は、N型半導体層SCL1と電気的に連結されることができ、発光素子LDに対するカソード電極と半導体積層構造1とを電気的に連結するように構成されることができる。第2連結電極CNE2は、P型半導体層SCL2と電気的に連結されることができ、発光素子LDに対するアノード電極と半導体積層構造1とを電気的に連結するように構成されることができる。本開示の一実施例によって、発光素子LDは、フリップ-チップタイプに製造されるために、半導体積層構造1の基底を形成する層を別途除去することなく、発光素子LDの一構造を形成することもできる。
【0093】
次に、
図15~
図17を参照して、フルオリン領域FAを形成する前に絶縁層INFの一部を形成する本開示の一実施例について説明する。先に
図8~
図14を参照して述べた内容と比較する際には、相違点を中心に、発光素子LDの製造方法について説明する。
【0094】
図15は、一部変形された本開示の一実施例による発光素子を製造する方法を示す概略フローチャートである。
図16及び
図17は、一部変形された本開示の一実施例による発光素子の製造方法を示す工程ステップ毎の概略断面図である。
【0095】
本製造方法は、上述した製造方法と比較すると、フルオリン領域FAを形成する前に、第1絶縁層INF1を形成するステップを行うという点で異なる。
【0096】
例えば、本開示の一実施例による発光素子LDの製造方法は、半導体積層構造をパターニングするステップS120、第1絶縁層を形成するステップS240、フルオリン領域を形成するステップS260、および第2絶縁層を形成するステップS280を含むことができる。
【0097】
本開示の一実施例によれば、フルオリン領域FAを形成する前に、第1絶縁層を形成するステップS240を行うことができる。
【0098】
例えば、
図16を参照すると、半導体積層構造1をパターニングした後、半導体積層構造1の側部上には第1絶縁層INF1がパターニングされることができる。実施例によって、第1絶縁層INF1は、半導体積層構造1の側部を全体的にパターニングすることができ、実施例によって半導体積層構造1の側部の一部を選択的にパターニングすることもできる。例えば、第1絶縁層INF1は、活性層ALおよびP型半導体層SCL2上にパターニングされることなく、N型半導体層SCL1上にパターニングされることができる。これにより、フルオリン領域FA内においてFが、比較的高濃度であることが必要な活性層ALおよびP型半導体層SCL2に第1絶縁層INF1が配置されないことができ、相対的に高濃度であることが必要ないN型半導体層SCL1に第1絶縁層INF1が選択的に配置されることができる。
【0099】
本開示の一実施例によって、第1絶縁層INF1は、絶縁層INFに関して前述した金属酸化物のうちの1つ以上を含むことができる。
【0100】
図17を参照すると、第1絶縁層INF1を形成した後、フルオリン領域を形成するステップS260を行うことができる。
【0101】
本ステップにおいて、第1絶縁層INF1は、フルオリン領域FAを形成するための工程中に発生する可能性がある半導体積層構造1に対する物理的影響を減少させることができる。例えば、前述したように、フルオリン領域FAを形成するための工程環境1000は、半導体積層構造1の結合構造に影響を及ぼす可能性があり、これにより半導体積層構造1の発光信頼度を低下させる恐れがある。しかしながら、本実施例によれば、フルオリン領域FAを形成する前に、半導体積層構造1の側部をパッシベートできる第1絶縁層INF1を予め設けることにより、半導体積層構造1は、フルオリン領域FAを形成するための工程環境1000から保護されることができる。また、高い運動エネルギーを有するFイオンが、第1絶縁層INF1を通過して、減少した運動エネルギーを有するようになった後、初めて半導体積層構造1内にドープできることから、工程過程中に発生したエネルギーが半導体積層構造1の構造を破損するリスクを減少させることができる。
【0102】
その後、第2絶縁層を形成するステップS280が行われて、第1絶縁層INF1上に第2絶縁層INF2がパターニングされることができる。
【0103】
次に、
図18~
図21を参照して、本開示の一実施例による発光素子LDを含む表示装置DDについて説明する。前述した内容と重複する可能性のある内容の説明は、簡略化されること、または、省略されることがある。
【0104】
図18は、本開示の一実施例による発光素子を含む表示装置を示す概略平面図である。
図19~
図21は、実施例による表示装置を示す概略断面図である。
【0105】
図18~
図21を参照すると、本開示の一実施例による表示装置DDは、ベース層BSLおよびベース層BSL上に形成される画素PXLを含むことができる。
【0106】
本開示の一実施例によれば、ベース層BSLは、画素PXLが配置される基底面を形成する部材であって、基板またはフィルムであり得る。実施例によって、ベース層BSLは、ガラス材質のリジッド(rigid)基板であり得る。または、ベース層BSLは、ベンディング(Bending)、フォールディング(Folding)、ローリング(Rolling)などが可能なフレキシブル(Flexible)基板であり得る。この場合、基板は、ポリイミド(polyimide)のような高分子樹脂などの絶縁物質を含むことができる。
【0107】
本開示の一実施例によれば、画素PXLは、前述の発光素子LDを含むことができる。
【0108】
本開示の一実施例によれば、表示装置DDは、ベース層BSLおよびベース層BSL上の駆動回路を含む画素回路層PCLを含むことができる。また、表示装置DDは、画素回路層PCL上に配置され、発光素子LDが配置される発光素子層EMLを含むことができる。
【0109】
本開示の一実施例によって、発光素子LDは、画素回路層PCL上に転写され、第1電極EL1および第2電極EL2から提供された電気的信号に基づいて光を発散することができる。
【0110】
例えば、本開示の一実施例(
図19)によって、発光素子LDは、個別に分離されて第1電極EL1上に転写されることができる。あるいは、実施例(
図20)によって、発光素子LDがフリップ-チップタイプの発光ダイオードに製造される場合、発光素子LDは、第1連結電極CNE1が第1電極EL1と電気的に連結され、第2連結電極CNE2が第2電極EL2と電気的に連結されるように転写されることができる。
【0111】
本開示の一実施例によって、発光素子層EMLは、発光素子LDの一端部と電気的に連結された第1電極EL1および発光素子LDの他端部と電気的に連結された第2電極EL2を含むことができる。
【0112】
発光素子LDは、駆動回路の駆動トランジスタが供給した電気的信号(例えば、第1電極EL1および第2電極EL2から提供された電気的信号)に基づいた光を提供することができる。実施例によって、発光素子LDは、様々な色の光をそれぞれ発散でき、互いに同じ色の光を発散する発光素子LDは、それぞれサブ画素を形成することができ、形成されたサブ画素は、1つ以上の画素PXL(あるいは画素ユニット)を形成することができる。
【0113】
一方、本開示の一実施例(
図21)によって、発光素子LDは、画素回路層PCL上の第1整列電極ALE1および第2整列電極ALE2の間に整列(あるいは配置)されることもできる。例えば、発光素子LDを画素回路層PCL上に配置するために、第1整列電極ALE1に第1整列信号(例えば交流信号)が供給され、第2整列電極ALE2に第2整列信号(例えば接地信号)が供給されることができる。この場合、第1整列電極ALE1と第2整列電極ALE2との間に電界が形成されることができ、発光素子LDは、形成された電界に基づいて整列されることができる。本開示の一実施例によって、第1整列電極ALE1と第2整列電極ALE2との間に整列された発光素子LDの第1端部EP1は、アノード電極(図示せず)と電気的に連結され、発光素子LDの第2端部EP2は、カソード電極(図示せず)と電気的に連結されて、光を発散するように構成されることができる。
【0114】
前述したように、発光素子LDは、工程上のリスクが低減され、高い発光効率を有するように製造されることから、本開示の一実施例による発光素子LDを含む表示装置DDは、高品質の製品に製造されることができる。
【0115】
以上述べたように、本開示の各実施例を、図面を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者又は当該技術分野における通常の知識を持つ者であれば、後述する特許請求の範囲に記載される本開示の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本開示を様々に修正及び変更可能である。
【0116】
したがって、本開示の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載されている内容に限定されず、特許請求の範囲によって定まるべきである。
【符号の説明】
【0117】
LD 発光素子
1 半導体積層構造
SCL1、SCL2 N型半導体層、P型半導体層
AL 活性層
FL フルオリン領域
INF 絶縁層
DD 表示装置
EL1、EL2 第1電極、第2電極
ALE1、ALE2 第1整列電極、第2整列電極