(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149355
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】構造基材、構造部材及び構造物
(51)【国際特許分類】
E04C 3/16 20060101AFI20241010BHJP
E04C 3/292 20060101ALI20241010BHJP
E04B 1/10 20060101ALI20241010BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
E04C3/16
E04C3/292
E04B1/10 Z
E04B1/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202327
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2023062507の分割
【原出願日】2023-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】523130914
【氏名又は名称】株式会社I-deate&eng.
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 順平
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FC31
2E163FF02
(57)【要約】
【課題】圧縮剛性を向上させつつ、外力によって生じるひび割れを抑制し、外力によるエネルギーを吸収することが可能な構造基材、構造部材及び構造物を提供すること。
【解決手段】構造基材1は、一方向に沿って長い長尺状であり、外部からの力が伝達されて引張力を負担可能な引張材2と、引張材2の一方向に沿って配置され、分離されて互いに対向している複数のブロック材5を有し、圧縮力を負担可能な圧縮部3と、引張材2に生じる応力を圧縮部3に伝達するように、引張材2と圧縮部3とを互いに固定する固定部4とを備え、引張材2は、複数のブロック材5同士が連結されるように、固定部4によってブロック材5に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って長い長尺状であり、外部からの力が伝達されて引張力を負担可能な引張材と、
前記引張材の前記一方向に沿って配置され、分離されて互いに対向している複数のブロック材を有し、圧縮力を負担可能な圧縮部と、
前記引張材に生じる応力を前記圧縮部に伝達するように、前記引張材と前記圧縮部とを互いに固定する固定部と、
を備え、
前記引張材は、前記複数のブロック材同士が連結されるように、前記固定部によって前記ブロック材に固定されている構造基材。
【請求項2】
請求項1に記載の構造基材を備える構造部材。
【請求項3】
請求項1に記載の構造基材を備える構造物。
【請求項4】
請求項2に記載の構造部材を備える構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造基材、構造部材及び構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物や土木構造物などの構造物において、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などが知られている。木造は、軽量で、施工性に優れるが、木質材同士の連結部分において地震時や強風時の水平抵抗力が弱く、構造合板や筋交いなどで架構を強化する必要がある。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、耐震性、耐火性、耐久性に優れるが、構造物全体の重量が大きく、地震時の水平力が大きくなるため、その水平力に耐えられるように大量の鉄筋を用いて構造物を強化している。
【0003】
木造に使用される木質材については、カーボンニュートラルの実現、国産材の活用、林業復興等の観点から、国産材を用いたCLT(Cross Laminated Timber)の普及への取り組みが行われている。しかし、国産材は、海外からの外材に比べて水分が多く、強度が不足するため、国産CLTは、無垢の木材や外材CLTより製造コストが高く、歩留まりが低い。
【0004】
なお、下記の特許文献1には、軸組構法の木造建造物において、鉄骨材と木質材とを複合した複合梁材を用いる技術が開示されており、複合梁材によって、構造の強度、安定性、耐久性及び施工性を確保することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、コンクリートの製造を含む建設時の二酸化炭素排出量が多いため、カーボンニュートラル実現に向けた技術革新が求められている。
【0007】
また、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、コンクリートが鉄筋や鉄骨などの鋼材を内包する構造部材からなるが、コンクリートの弾性域は、極めて小さい。そのため、コンクリートにひび割れが生じなければ、構造部材が変形できず、内部の鋼材に応力を生じさせることもできない。実際、構造計算の前提では、コンクリートのひび割れを想定し、許容している。耐震設計に関する現行基準における二次設計は、大地震時に変形によって地震エネルギーを吸収し建築物が倒壊しないように設計するものであり、ある程度の損傷を許容している。そのため、計算上、一定以上の地震を経験した建築物は、躯体の補修が必要になる。
【0008】
さらに、地震後において躯体に顕著な損傷がない場合であっても、地震の結果、非構造壁の損傷が生じる場合がある。そこで、非構造壁の損傷を防ぐため、躯体と非構造壁の間に構造スリット(耐震スリット)が設けられている。しかし、構造スリットを設ける場合、型枠内にスリット材を設置する必要があるため、コンクリート打設時の圧力によって、スリット材にずれや歪みが生じて、適切な構造スリットが形成されないという施工不良が報告されている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮剛性を向上させつつ、外力によって生じるひび割れを抑制し、外力によるエネルギーを吸収することが可能な構造基材、構造部材及び構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の構造基材、構造部材及び構造物は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る構造基材は、一方向に沿って長い長尺状であり、外部からの力が伝達されて引張力を負担可能な引張材と、前記引張材の前記一方向に沿って配置され、分離されて互いに対向している複数のブロック材を有し、圧縮力を負担可能な圧縮部と、前記引張材に生じる応力を前記圧縮部に伝達するように、前記引張材と前記圧縮部とを互いに固定する固定部とを備え、前記引張材は、前記複数のブロック材同士が連結されるように、前記固定部によって前記ブロック材に固定されている。
【0011】
この構成によれば、構造基材は、引張材と、圧縮部と、固定部を備え、引張材は、外部からの力が伝達されて引張力を負担可能であり、圧縮部は、圧縮力を負担可能である。引張材は、一方向に沿って長い長尺状である。圧縮部は、複数のブロック材を有しており、複数のブロック材は、引張材の長さ方向(一方向)に沿って配置される。複数のブロック材は、それぞれ分離しており、互いに対向している。固定部は、引張材と圧縮部とを互いに固定し、引張材に生じる応力が圧縮部に伝達される。そして、固定部によって引張材がブロック材に固定されて、複数のブロック材同士が連結される。
【0012】
これにより、相対的に、ブロック材の部分が剛、隣り合うブロック材間の隙間が剛でない構造となる。複数のブロック材がそれぞれ分離していることから、従来の鉄筋コンクリート造などと異なり、ひび割れという不可逆的な部材の破壊を前提とせず、外部からの力がかかったとき、ブロック材間に隙間が生じることで、引張材に引張応力を発生させることができる。このとき、ブロック材間の隙間の位置にある引張材にひずみが集中する。また、引張材は、ブロック材間の隙間の両側の位置で固定され定着されたままである。よって、ひずみにより生じる引張応力は、周辺の引張材全体で負担(分散)され、分散された応力が固定部を介して圧縮部に伝達される。これにより、圧縮部に生じる曲げ応力やせん断応力が低減し、圧縮剛性が向上する。
【0013】
引張材にひずみが生じたとき、引張材が引張力を発揮する。これにより、引張材がブロック材間の隙間の距離の拡大を防止したり、隙間の拡大を遅延させることができる。また、圧縮部に過大な引張力が作用する前に、ブロック材間の隙間の位置にある引張材で引張力を負担するため、ブロック材におけるひび割れを防止できる。したがって、一定以上の地震力が作用した場合でも、ひび割れの修復が不要となり、構造基材が適用された構造物を継続使用することができる。
【0014】
複数のブロック材は、それぞれ分離しており、互いに対向していることから、外力が入力されたとき、圧縮部が一つの部材で構成されている場合と異なり、各ブロック材は自在に動くことができ、外力によるエネルギーが吸収される。
【0015】
引張材によって発揮される引張剛性は、鉄筋によって発揮される引張剛性に相当する。したがって、圧縮部がコンクリートである場合、コンクリートが負担できない引張力不足分を引張材が補い、引張材が負担できない圧縮力不足分を圧縮部のコンクリートが補うことができる。これにより、構造基材は、弾性及び剛性を兼ね備えた部材となる。
【0016】
上記発明において、前記引張材は、繊維方向が前記一方向に平行な木質材を有し、前記複数のブロック材は、前記木質材の一面において前記一方向に沿って配置されてもよい。
【0017】
この構成によれば、引張材は、一方向に沿って長い長尺状である木質材を有し、木質材の繊維方向は、木質材の長さ方向(一方向)に平行である。木質材の繊維は、木質材の長さ方向に沿って長く、引張材の一端から他端にわたって配置される。圧縮部は、複数のブロック材を有しており、複数のブロック材は、木質材の一面において木質材の長さ方向(一方向)に沿って配置される。したがって、引張材が圧縮部に固定された状態で、引張材の木質材の繊維方向は、複数のブロック材の配置方向に平行である。そして、複数のブロック材を有する圧縮部が、木質材を有する引張材と一体化され、相対的に、ブロック材の部分が剛、隣り合うブロック材の間が剛でない構造となる。これにより、外部からの力がかかったとき、ブロック材間の隙間の位置にある木質材の繊維にひずみが集中する。また、木質材の繊維は、ブロック材間の隙間の両側の位置で固定され定着されたままである。よって、ひずみにより生じる引張応力は、周辺の引張材全体で負担(分散)され、固定部を介して圧縮部に伝達される。
【0018】
上記発明において、前記引張材は、鋼材よりも弾性域でのひずみが大きい材料、又は、鋼材でもよい。
【0019】
上記発明において、前記引張材は、板面が前記ブロック材の外側の面に沿って配置される板状部材でもよい。
【0020】
上記発明において、前記ブロック材は、直方体形状又は立方体形状の中空構造であり、前記直方体形状又は前記立方体形状の各辺に相当する位置に設けられた複数の棒状の第1部材を有し、前記第1部材は端部において互いに剛接合されてもよい。
【0021】
上記発明において、前記第1部材の内部に鉄筋が配置されてもよい。
【0022】
上記発明において、前記引張材は、格子状部材であり、前記格子状部材を構成する複数の棒状の第2部材が、前記ブロック材の前記第1部材に沿って配置されてもよい。
【0023】
上記発明において、前記引張材は、前記ブロック材の前記中空構造の内部に位置する内側の面に沿って配置される柱状部材でもよい。
【0024】
上記発明において、前記固定部は、前記引張材の一面において前記一方向に沿って配置されるロッド状の固着部材であり、前記固着部材は、一端が前記圧縮部の前記ブロック材に固定され、他端が前記引張材に固定されてもよい。
【0025】
上記発明において、前記固定部は、前記引張材と前記圧縮部の間に設けられる接着剤でもよい。
【0026】
本発明に係る構造部材は、上述した構造基材を備え、隣り合う二つの前記ブロック材の間において、厚さが前記ブロック材の長さよりも短い板状部材が設置されてもよい。
【0027】
本発明に係る構造部材は、上述した構造基材を備え、前記複数のブロック材の内部に充填され、圧縮力を負担する圧縮材を更に備えてもよい。
【0028】
上記発明において、前記圧縮材の内部に、軸方向に沿って配置された鉄筋を更に備えてもよい。
【0029】
本発明に係る構造物は、上述した構造基材を備える。
【0030】
本発明に係る構造物は、上述した構造部材を備える。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、圧縮剛性を向上させつつ、外力によって生じるひび割れを抑制し、外力によるエネルギーを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る構造基材を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る構造基材を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る構造基材を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る構造基材を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す横断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る構造基材の固定部を示す分解側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る構造基材の固定部を示す縦断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す分解斜視図であり、各ユニットを組み立てる前の状態を示している。
【
図10】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す分解斜視図であり、各ユニットを組み立てた後の状態を示している。
【
図11】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す斜視図であり、各ユニットを組み立てた後、ブロック材内に鉄筋を配置した状態を示している。
【
図12】本発明の一実施形態に係る構造部材におけるブロック材を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る構造基材の変形例を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る構造基材を示す斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す模式図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る構造部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一実施形態に係る構造部材10は、例えば、建築物や土木構造物、電柱などの構造物に適用される。構造部材10は、例えば、建築物を構成する梁、柱、壁、床、基礎、杭などである。
図11や
図12では、構造部材10が梁及び柱からなる場合について図示しており、以下では構造部材10が梁又は柱である場合について説明する。
【0034】
構造部材10は、以下で説明するとおり、構造基材1を備える。構造基材1は、例えば
図1から
図4に示すように、引張材2と、複数のブロック材5を有する圧縮部3と、固定部4を備える。
【0035】
互いに分離した複数のブロック材5を並べて、引張材2によって複数のブロック材5を一体化することで、相対的に、ブロック材5の部分は剛であり、隣り合うブロック材5間の隙間は、剛ではない構造となる。複数のブロック材5がそれぞれ分離していることから、従来の鉄筋コンクリート造などと異なり、ひび割れという不可逆的な部材の破壊を前提とせず、外部からの力がかかったとき、ブロック材5間に隙間が生じることで、引張材2に引張応力を発生させることができる。その結果、
図5に示すように、外部からの力がかかったとき、ブロック材5間の隙間の位置にある引張材2にひずみが集中する。これにより、圧縮部全体が一体化されている従来の鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨コンクリート(SC)造などの構造部材と比べて、引張材2が早期に強度を発現し、鉄筋に匹敵する引張剛性を発揮する。
【0036】
構造基材1は、構造物、例えば、建築物を構成する梁、柱、壁、床、屋根などの構造部材そのものとして適用可能である。
【0037】
また、構造基材1は、構造部材10そのもの、又は、構造部材10の一部として設置される。例えば、
図6に示す構造部材10のように、ブロック材5の内部空間に圧縮材11を充填させたり、圧縮材11だけでなく鉄筋12を配置させたりしてもよい。さらに、鉄筋コンクリート造のように圧縮材11で構造基材1を一体化させて、構造基材1が構造物の一部として設置されることも可能である。これにより、構造物に一体性が付与されて、構造物がモノコック構造を有し、強靭な構造体となる。圧縮材11は、構造部材10に作用する圧縮力を負担する構造材であり、例えば、コンクリート、セメント、グラウトなどである。圧縮材11は、引張剛性が構造設計において無視できるほど小さい。また、鉄筋12は、構造部材10に作用する引張力を負担する構造材である。
【0038】
引張材2は、一方向に沿って長い長尺状である。引張材2は、外部からの力が伝達されて引張力を負担可能である。引張材2は、例えば、鋼材よりも弾性域でのひずみが大きい材料である木質材、合成樹脂材、繊維補強コンクリート若しくは鋼材以外の金属材、又は、鋼材などである。引張材2が木質材である場合、密実な1種類の木質材から構成されるものでもよいし、合板、集成材、CLT(Cross Laminated Timber)など複数の木質材から構成されるものでもよい。
【0039】
圧縮部3は、圧縮力を負担可能である。圧縮部3は、複数のブロック材5を有している。すなわち、構造基材1において圧縮力を負担する圧縮部3が、複数のブロック材5によって構成される。複数のブロック材5は、引張材2の少なくとも一面において引張材2の長さ方向(一方向)に沿って配置される。複数のブロック材5は、それぞれ分離しており、互いに対向している。圧縮部3は、例えば、コンクリート、セメントなど、引張剛性が構造設計において無視できるほど小さい材料でもよいし、繊維補強コンクリートや、内部に鉄筋が配置されたコンクリートなど、引張剛性を有するものでもよい。
【0040】
固定部4は、引張材2と圧縮部3とを互いに固定し、引張材2に生じる応力を圧縮部3に伝達する。固定部4によって、複数のブロック材5同士が一体化される。固定部4は、釘やボルトのような固着部材8(
図7及び
図8参照)でもよいし、接着剤でもよい。また、固定部4は、固着部材8や接着剤などではなく、引張材2と圧縮部3の間で摩擦力が作用する引張材2の表面部分と圧縮部3の表面部分でもよい(後述する実施例4参照)。
【0041】
外部からの力がかかったとき、引張材2は、ブロック材5間の隙間の両側の位置で固定され定着されたままである。したがって、ひずみにより生じる引張応力が、周辺の引張材2全体で負担(分散)され、分散された応力が固定部4を介して圧縮部3に伝達される。これにより、圧縮部3に生じる曲げ応力やせん断応力が低減し、圧縮剛性が向上する。
【0042】
引張材2にひずみが生じたとき、引張材2が引張力を発揮する。引張材2の引張力は、隙間の拡大に対する抵抗力として発揮される。これにより、引張材2がブロック材5間の隙間の距離の拡大を防止したり、隙間の拡大を遅延させることができる。また、圧縮部3に過大な引張力が作用する前に、ブロック材5間の隙間の位置にある引張材2で引張力を負担するため、ブロック材5のひび割れを防止できる。地震後は、隣り合うブロック材5間の間隙がなくなり、隣り合うブロック材5が互いに接する元の状態に復帰する。したがって、一定以上の地震力が作用した場合でも、ひび割れの修復が不要となり、構造部材10が適用された構造物を継続使用することができる。
【0043】
複数のブロック材5は、それぞれ分離しており、互いに対向していることから、外力が入力されたとき、圧縮部が一つの部材で構成されている場合と異なり、各ブロック材5は自在に動くことができ、外力によるエネルギーが吸収される。
【0044】
構造部材10の計算方法については、構造部材10の引張側の引張材2において、例えば、1%のひずみが生じた状態で発揮し得る引張応力を、従来の鉄筋コンクリート造の鉄筋の降伏強度とみなして、従来の方法に準じて計算できる。
【0045】
以下、引張材2が発揮する強度の一例を示す。引張材2には木材を用いる。木材のヤング率は、7,000~12,000N/mm2である。引張材2が発揮する強度を、木材に1%のひずみが生じた状態で発揮する引張応力で考える。
【0046】
ヤング率にひずみ1%を乗じると、引張応力は70~120N/mm2である。この引張応力を、従来の鉄筋コンクリート造の鉄筋の降伏強度とみなす。これに対し、鉄筋の降伏強度は200~400N/mm2が一般的である。すなわち、引張材2として用いる木材の断面積は、鉄筋の断面積の約3倍として、このときの引張応力を担保できるように引張材2をブロック材5に確実に固定することで、鉄筋同等の強度及び剛性を発揮する引張材2となる。例えば厚さ7mm×幅40mmの断面積280mm2の木材であれば、鉄筋D10×3本に相当する。
【0047】
なお、木材の引張応力を担保するための引張材2とブロック材5の付着力について、固定部4として接着剤を用いる場合を検討する。接着強度が2N/mm2の接着剤を使用する場合、引張材2として厚さ7mm×幅40mmの断面積280mm2の木材で、鉄筋D10×3本相当の引張応力を担保するために必要な接着面積は、以下のとおりである。
接着面積=降伏強度×木材断面積÷接着強度=360N/mm2×280mm2÷2N/mm2=50,400mm2
この接着面積を引張材2の木材の幅(40mm)で割って必要定着長さを計算すると、必要定着長さは56,000/40=1260mmとなる。
【0048】
上記のとおり、引張材2によって発揮される引張剛性は、鉄筋によって発揮される引張剛性に相当するように設定できる。したがって、圧縮部3がコンクリートである場合、コンクリートが負担できない引張力不足分を引張材2が補い、引張材2が負担できない圧縮力不足分を圧縮部3のコンクリートが補うことができる。これにより、構造部材10は、弾性及び剛性を兼ね備えた部材となる。
【0049】
圧縮部3のブロック材5の棒状部材6のうち、構造部材10の軸方向に対して垂直方向の棒状部材6の内部には、ブロック材5の製作時に鉄筋が内蔵されるように配されてもよい。また、ブロック材5は、鉄筋に代替する引張強度を有する繊維補強コンクリートで製作されてもよい。これにより、圧縮部3は、従来の鉄筋コンクリート系構造物におけるせん断補強筋が負担する力に相当するせん断力を負担できる。よって、構造部材10は、せん断補強筋(フープ筋、あばら筋)を別途設置することなく、要求されるせん断強度を備えることが可能である。この場合、ブロック材5は、構造部材10の軸方向に対して平行方向の長さが、従来の鉄筋コンクリート系構造物におけるせん断補強筋の間隔と等しい。
【0050】
以下、本実施形態の構造基材1及び構造部材10に係る実施例を説明する。
<実施例1>
図1及び
図2に示すように、引張材2は、例えば、一方向に長い長尺状の板状部材である。引張材2は、構造基材1において引張力を負担できるように、圧縮部3の表面に設置される。引張材2の材質は、木質材、合成樹脂材、繊維強化複合材、又は、金属材などである。引張材2の長手方向に沿って、複数のブロック材5が配置される。引張材2が木質材である場合、木質材の繊維方向が引張材2の長手方向に平行であることが望ましい。なお、CLTや合板のように、木材の繊維方向を直交させながら積層された材料を引張材2として用いてもよい。
【0051】
引張材2は、構造部材10が柱である場合、断面が四角形である圧縮部3の4面に設置される。引張材2は、構造部材10が梁である場合、底面のみ又は側面のみに設置されてもよいし、底面及び側面の両方に設置されてもよい。
【0052】
圧縮部3は、引張材2の少なくとも一面において、複数のブロック材5が引張材2の長手方向に沿って配置されて構成される。引張材2の板面は、ブロック材5の外側の面部分に沿って配置される。ブロック材5同士が接する部分は、引張力が作用したときに隙間が生じればよく、接着剤等によって接続されてもよいし、接着剤等によって接続されなくてもよい。
【0053】
ブロック材5は、直方体形状又は立方体形状の中空構造である。この場合、ブロック材5は、直方体形状又は立方体形状の各辺に相当する位置に設けられた複数の棒状部材6を有し、棒状部材6は端部において互いに剛接合されている。棒状部材6は、本発明に係る第1部材の一例である。ブロック材5の内部が中空であることで、構造基材1全体の重量を軽減化でき、地震力を低減できる。
【0054】
なお、ブロック材5は、上述した形状に限定されない。すなわち、構造部材10がアーチ状などの曲面を有する場合にも本発明を適用できる。その場合、ブロック材5は、曲線状の棒状部材を備えた立体的な扇形状などでもよい。また、
図1及び
図2において、ブロック材5は、1列に配置される場合について図示したが、構造基材1において、複数列のブロック材5が並列して配置されてもよいし、その場合、各列のブロック材5の間に引張材2が配置されてもよい。
【0055】
接着剤である固定部4によって、引張材2とブロック材5が接着される場合、引張材2の板面に合わせて、ブロック材5の表面も平滑であることが望ましい。ブロック材5は、例えば、工場で製作されるプレキャストコンクリート材である。ブロック材5を製作する際、鋼製型枠などを使用することによって、容易に平滑性を担保でき、寸法安定性が極めて高く、品質管理も容易である。
【0056】
ブロック材5は、例えば、コンクリート、セメントなど、引張剛性が構造設計において無視できるほど小さい材料(無筋)でもよいし、繊維補強コンクリートや、内部に鉄筋が配置されたコンクリート(有筋)など、引張剛性を有するものでもよい。ブロック材5が無筋であっても、引張材2と接続されていることから、構造基材1において引張材2が引張力を負担できる。
【0057】
図7及び
図8に示すように、固定部4は、例えば、ロッド状の固着部材8を複数本備える。固着部材8は、例えば、一方向に細長い金属製部材(金物)である。固着部材8は、一端が圧縮部3のブロック材5に埋設されて固定され、他端が引張材2に固定される。ブロック材5に埋設される一端側では、固着部材8は、フック状であることが好ましい。また、引張材2に固定される他端側では、固着部材8は、釣り針状に返しのある形状や、棒状部分の表面に凹凸が形成された形状であることが好ましい。これらの形状により、固着部材8がブロック材5及び引張材2から引き抜かれることを防止できる。固定部4として複数の固着部材8を適用する場合、力の伝達が容易かつ確実であることから、引張材2は、多少の反りがあってもよい。
【0058】
なお、固着部材8は、上記の例に限定されず、引張材2の外側に貫通釘又はボルトの頭が位置するように、引張材2の外側から圧縮部3に向けて、貫通釘又はボルトが引張材2と圧縮部3に挿入されてもよいし、この貫通釘又はボルトと上記の固着部材8が組み合わされてもよい。また、固定部4において、固着部材8と接着剤が併用されてもよい。
【0059】
実施例1では、平板状の引張材2によってブロック材5の開口部分が閉鎖される。この平板状の引張材2は、
図6に示すように、ブロック材5の内部に圧縮材11を充填させる場合、型枠としての機能を果たす。圧縮材11としてのコンクリートを引張材2の内部に打設する場合、固定部4に作用するコンクリートの圧力は分散された力であることから、型枠支保工が不要になる。
【0060】
また、引張材2は、最外面に、壁紙やタイルなどの仕上げ材が予め設置されたものでもよく、型枠兼仕上げ板とすることもできる。この場合、引張材2の設置によって仕上げも完了するため、仕上げ工程が不要になる。
【0061】
<実施例2>
図3及び
図4に示すように、引張材2は、例えば、一方向に長い長尺状の格子状部材である。引張材2の材質は、木質材、合成樹脂材、繊維強化複合材、又は、金属などである。圧縮部3及び固定部4については、実施例1と同様のものを適用できる。
【0062】
ブロック材5は、実施例1と同様に、直方体形状又は立方体形状の中空構造である。引張材2は、複数の棒状部材7によって構成される。棒状部材7は、本発明に係る第2部材の一例である。棒状部材7は、ブロック材5の棒状部材6に沿って配置される。引張材2の棒状部材7は、固定部4によってブロック材5の棒状部材6に固定される。引張材2の棒状部材7が木質材である場合、木質材の繊維方向が棒状部材7の長手方向に対して平行であることが望ましい。
【0063】
実施例2では、引張材2の外側に平板状部材を更に設けて、格子状部材である引張材2の開口部分を閉鎖してもよい。この平板状部材は、
図6に示すように、ブロック材5の内部に圧縮材11を充填させる場合、型枠としての機能を果たす。圧縮材11としてのコンクリートを平板状部材の内部に打設する場合、固定部4に作用するコンクリートの圧力は分散された力であることから、型枠支保工が不要になる。
【0064】
また、平板状部材は、最外面に、壁紙やタイルなどの仕上げ材が予め設置されたものでもよく、型枠兼仕上げ板とすることもできる。この場合、平板状部材の設置によって仕上げも完了するため、仕上げ工程が不要になる。
【0065】
<実施例3>
図9から
図11に示すように、構造基材1は、複数のブロック材5を有する圧縮部3と、ブロック材5に設置される引張材2が予め一体化された一つのユニットとされる。そして、複数の構造基材1を連結して立体的に連続させることで、任意の形状の構造部材10が構築される。
【0066】
コンクリート等のブロック材5の棒状部材6の内部において、構造部材10の軸方向に対して垂直方向に鉄筋(図示せず。)が配される場合、構造基材1において、ブロック材5の棒状部材6が従来の鉄筋コンクリート造の帯筋又はあばら筋に相当する。この場合、現場ではブロック材5の中空部分に別途帯筋又はあばら筋を配置する必要がない。
【0067】
ブロック材5の中空部分には、鉄筋コンクリート造の主筋に相当する鉄筋12が別途配置され、
図5に示すように、更に圧縮材11としてのコンクリートが充填されてもよい。引張材2が引張力を負担し、圧縮部3が圧縮力を負担することから、従来の鉄筋コンクリート造よりも耐力を向上させることができる。
【0068】
ブロック材5の中空部分に鉄筋12を配置する場合、
図9から
図11に示すように、引張材2を格子状とした構造基材1とすることで、現場で組み立てた主筋の検査、かぶり厚の検査が容易になる。
【0069】
ブロック材5は、例えば、工場で製作されるプレキャストコンクリート材である。ブロック材5の表面には引張材2が設置されて構造基材1が製作される。構造基材1は、工場で柱状、梁状、又は、壁状などの形状に製作された後、現場に搬入される。
【0070】
現場では、構造基材1同士が互いに接合される。例えば、
図12に示すように、柱及び梁の連結部分では、柱の端部に位置する構造基材1A、梁の端部に位置する構造基材1B、及び、梁及び梁が交差する部分における構造基材1Cが接合されて一体化される。構造基材1同士を一体化するための接合方法は、接着剤による接着、ベルト状の高強度繊維の巻き付け、板状の鋼材の巻き付けなどである。これにより、連結部が従来の木造構造物よりも強固になり、耐震性が向上する。
【0071】
搬入時において、構造基材1には、予めブロック材5や引張材2の開口部を塞ぐように板状部材が予め設置されてもよい。予め板状部材を設置できない場合は、現場において、構造基材1同士が接合された後に、ブロック材5や引張材2の開口部を塞ぐように板状部材が設置される。
【0072】
構造基材1同士の接合部において、構造基材1の引張材2同士が接する部分は、ほぞ、接着剤、金物等で更に一体化されてもよい。これにより、接合部が更に強化される。構造基材1同士を木造建築物の工法のように組み合わせられる場合、構造物の築造は、木造建築物のように短工期で完了させることができる。
【0073】
図13に示すように、梁及び梁が交差する部分における構造基材1Cにおいて、他の柱の端部に位置する構造基材1A、又は、梁の端部に位置する構造基材1Bとの接合は、木材枠9を介して構造基材1同士が接合されてもよい。これにより、木材枠9が連結部分に柔軟性を与えることができ、構造部材10の変形を円滑にし、連結部に入力されるエネルギーを吸収できる。
【0074】
そして、構造基材1が鉄筋コンクリートと組み合わせられる場合、ブロック材5の内部に鉄筋が配筋され、その後、コンクリートが打設される。これにより、構造部材10は、従来の鉄筋コンクリート造のように一体的で強固となる。なお、隣接するブロック材5間の隙間には、コンクリートが入り込まないように留意する必要がある。また、鉄筋が構造部材10全体に配置されることで、引張強度が向上する。さらに、鉄筋コンクリート造に比べて、鉄筋が負担する強度が低減し、構造物の寿命を長期化させることもできる。
【0075】
構造物全体の重量が鉄筋コンクリート造に比べて軽量化することから、地震時に耐えるための水平耐力も低減でき、工事費削減、環境負荷低減を図ることも可能である。
【0076】
<実施例4>
図14~
図16に示すように、引張材2は、例えば、一方向に長い長尺状で、断面が四角形である柱状部材である。引張材2は、構造基材1において引張力を負担できるように、圧縮部3を構成するブロック材5の内部に設置される。
【0077】
引張材2の材質は、木質材、合成樹脂材、繊維強化複合材、又は、金属材などである。引張材2の長手方向に沿って、複数のブロック材5が配置される。引張材2が木質材である場合、木質材の繊維方向が引張材2の長手方向に平行であることが望ましい。なお、CLTや合板のように、木材の繊維方向を直交させながら積層された材料を引張材2として用いてもよい。
【0078】
圧縮部3は、引張材2の外周において、複数のブロック材5が引張材2の長手方向に沿って配置されて構成される。引張材2の外周面は、ブロック材5の内面に接して配置される。ブロック材5は、実施例1と同様に、直方体形状又は立方体形状の中空構造である。
【0079】
固定部4は、引張材2の外周面と圧縮部3のブロック材5の内周面が接することから、引張材2と圧縮部3の間で摩擦力が作用する引張材2の表面部分と圧縮部3の表面部分である。なお、固定部4として、接着剤が併用されてもよい。
【0080】
引張材2とブロック材5が密着するように、引張材2の外周面は、ブロック材5の内面に合わせた寸法を有することが望ましい。
【0081】
互いに分離した複数のブロック材5を並べて、引張材2によって複数のブロック材5を一体化することで、相対的に、ブロック材5の部分は剛であり、隣り合うブロック材5間の隙間は、剛ではない構造となる。その結果、
図15に示すように、外部からの力がかかったとき、ブロック材5間の隙間の位置にある引張材2にひずみが集中する。これにより、圧縮部全体が一体化されている従来の鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨コンクリート(SC)造などの構造部材と比べて、引張材2が早期に強度を発現し、鉄筋に匹敵する引張剛性を発揮する。
【0082】
従来、木材のみで梁又は柱を構成する木造構造では、木材の弾性域が大きく、たわみを制御するために梁断面又は柱断面を大きくする必要があった。この実施例では、複数のブロック材5が引張材2としての木材と一体化されることから、梁又は柱の圧縮力が強化される。したがって、梁断面又は柱断面を大きくすることなく、たわみを低減できる。
【0083】
図16に示すように、柱及び梁の連結部分では、ブロック材5が3次元的に一体に構成されてもよい。連結部分では、各ブロック材5が柱方向及び梁方向に突出し、柱方向及び梁方向に開口するように連結される。連結部分のブロック材5には、梁に位置する引張材2が挿入され、柱に位置する引張材2が挿入される。また、梁及び柱の引張材2の外周には複数のブロック材5が順に嵌められて、軸方向に沿って配置される。
【0084】
構造部材10に外力が作用すると、梁と柱の連結部分において、梁及び柱の引き抜けや変形による力が作用する。連結部分に用いられるブロック材5が3次元的に一体化されることにより、梁及び柱の引き抜けや変形による力がブロック材5、固定部4、引張材2と全体に伝達される。従来の木造構造の連結部分における金物やほぞは、柱と梁を1面又は2面で抵抗して接合されていた。これに対して、3次元的に一体化されたブロック材5では、梁方向又は柱方向に突出したブロック材5がそれぞれ4面ずつ梁又は柱の引張材2に抵抗して梁と柱が接合される。これにより、従来の木造構造に比べて、梁と柱の連結部分における剛性が強化され、かつ、連結部分の局所破壊を防止できる。
【0085】
以上、本実施形態によれば、引張材2と圧縮部3が一体化することによって、木材等の引張材2が発揮する弾性力や引張力が、コンクリート等の圧縮部3に伝達され、全体として、コンクリート等のように強固で、かつ、木材等のように弾性的な構造材となる。
【0086】
本実施形態では、ブロック材5同士が分割されて互いに対向していることから、コンクリートのひび割れを前提としなくて済むため、構造部材は弾性体となり、地震後の使用継続性が高い。
【0087】
圧縮部3のブロック材5は中空構造であり、ブロック材5として、軽量の繊維補強コンクリートや軽量の無収縮モルタル等を使用することで、コンクリート部分の比重を0.3~1.5程度にすることができ、従来の集成材やCLTほどの重量とすることも可能である。
【0088】
引張材2として木材を使用する場合、従来の木造構造と異なり、引張材2を圧縮部3と一体化することで、木材の断面積を抑えることができる。引張材2としての木材を製材する際、従来の集成材やCLTでは、接着面の平滑性が品質と直接的に関係するが、本実施形態では、集成材やCLTと異なり、引張材2と圧縮部3とが互いに接する面についてのみに木材の平滑性を留意すればよい。したがって、活用できる木材部分を増やすことができ、原木の歩留まりを向上させることができる。
【0089】
固定部4として接着剤を用いる場合、ブロック材5は、開口部を有しており、棒状部分のみに接着剤を塗布すればよいため、接着面積を大幅に低減できる。
【0090】
また、本実施形態によれば、従来の集成材やCLTと異なり、各木材を接着剤で貼り合わせるための積層工程や加圧工程が不要であり、製造が簡易である。引張材2の製造工程では、従来の集成材やCLTの製造ノウハウや製造設備を活用することもでき、新たな設備投資が不要である。
【符号の説明】
【0091】
1 :構造基材
2 :引張材
3 :圧縮部
4 :固定部
5 :ブロック材
6 :棒状部材
7 :棒状部材
8 :固着部材
9 :木材枠
10 :構造部材
11 :圧縮材
12 :鉄筋