(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014936
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エネルギーハーベスティング回路のスタータ回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H02M3/28 B
H02M3/28 H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192783
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2020543194の分割
【原出願日】2019-02-13
(31)【優先権主張番号】202018000753.6
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】515043174
【氏名又は名称】マトリックス インダストリーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディラースベルガー,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】サム,ダグラス ダブリュー.
(57)【要約】
【課題】本開示は、入力電圧の第1及び第2の電位を有するエネルギー源のエネルギーハーベスティング回路、特に熱電発電機のスタータ回路を提供する。
【解決手段】このようなスタータ回路は、第1及び第2の側を有する充電用コンデンサだけでなく、それぞれが巻回始め及び巻回終わりを有する一次巻線及び二次巻線を含む第1及び第2の変圧器も含む。加えて、第1及び第2の始動トランジスタ、第1及び第2のダイオード、並びに第1及び第2の停止トランジスタが設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧の第1及び第2の電位を有するエネルギー源のエネルギーハーベスティング回路、特に熱電発電機のスタータ回路であって、前記スタータ回路は、
第1及び第2の側を有する充電用コンデンサ(207、307、407、507)、
巻回始め及び巻回終わりを有する一次巻線及び二次巻線をそれぞれ含む第1及び第2の変圧器(203、303、403、503、253、353、453、553)、
第1及び第2の始動トランジスタ(204、304、404、504、254、354、454、554)、
第1及び第2のダイオード(206、306、406、506、256、356、456、556)、並びに第1及び第2の停止トランジスタ(222、322、422、522、272、372、472、572)を有し、
前記第1の始動トランジスタ(204、304、404、504)のゲート端子が前記第1の変圧器(203、303、403、503)の前記二次巻線の前記巻回始めと結合されて、前記第1の始動トランジスタのドレイン端子が前記第1の変圧器(203、303、403、503)の前記一次巻線の前記巻回終わりへ接続され、
第1の発振器が少なくとも前記第1の変圧器(203、303、403、503)及び前記第1の始動トランジスタ(204、304、404、504)により形成され、
前記第1のダイオード(206、306、406、506)は、前記第1の変圧器(203、303、403、503)の前記二次巻線の前記巻回始めと前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)との間に設けられ、
前記第1のダイオード(206、306、406、506)のアノードが前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第2の側へ接続され、
前記第1の始動トランジスタ(204、304、404、504)のソース端子が前記入力電圧の前記第2の電位と結合され、
前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第1の側は前記入力電圧の前記第1の電位に在り、
前記第2の始動トランジスタ(254、354、454、554)のゲート端子が前記第2の変圧器(253、353、453、553)の前記二次巻線の前記巻回始めと結合され、前記第2の始動トランジスタのドレイン端子が前記第2の変圧器(253、353、453、553)の前記一次巻線の前記巻回終わりへ接続され、
第2の発振器が少なくとも前記第2の変圧器(253、353、453、553)及び前記第2の始動トランジスタ(254、354、454、554)により形成され、
前記第2のダイオード(256、356、456、556)は前記第2の変圧器(253、353、453、553)の前記二次巻線の前記巻回始めと前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)との間に設けられ、
前記第2のダイオード(256、356、456、556)のアノードが前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第2の側へ接続され、
前記第2の始動トランジスタ(254、354、454、554)のソース端子が前記入力電圧の前記第1の電位と結合され、
前記入力電圧の前記第1の電位及び前記第2の電位未満である電圧であって、前記第1の停止トランジスタ(222、322、422、522)により前記第1の発振器を切断するとともに前記第2の停止トランジスタ(272、372、472、572)により前記第2の発振器を切断するために使用され得る電圧が、前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第2の側で生成される、スタータ回路において、
前記第1又は第2の発振器の発振信号を使用して他の発振器を非活性化する部分的回路が設けられる、ことを特徴とするスタータ回路。
【請求項2】
前記部分的回路は第1及び第2の切断ダイオード(233、283)並びに第1及び第2の切断トランジスタ(234、284)を有することを特徴とする、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項3】
前記第1の切断ダイオード(233)のカソードが前記第2の変圧器(253)の前記二次巻線の前記巻回始めへ接続され、前記第2の切断ダイオード(283)のカソードが前記第1の変圧器(203)の前記二次側の前記巻回始めへ接続されることを特徴とする、請求項2に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項4】
エンハンスメントNMOSFETが切断トランジスタ(234、284)として使用されることと、前記第1の切断トランジスタ(234)のソース端子が前記第1の切断ダイオード(233)のアノードへ接続され、前記第2の切断トランジスタ(284)のソース端子が前記第2の切断ダイオード(283)のアノードへ接続されることとを特徴とする、請求項2又は3に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項5】
前記第1の切断トランジスタ(234)のゲート端子が前記入力電圧の前記第1の電位に在り、
前記第2の切断トランジスタ(284)のゲート端子が前記入力電圧の前記第2の電位に在ることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項6】
前記第1の始動トランジスタ(204)は前記第1の変圧器(203)の前記二次側の前記巻回始めと第1の結合コンデンサ(208)を介し結合され、
前記第2の始動トランジスタ(254)は前記第2の変圧器(253)の前記二次側の前記巻回始めと第2の結合コンデンサ(258)を介し結合されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項7】
前記部分的回路はフリップフロップ(335、385)、特にDフリップフロップにより実装されることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項8】
第1及び第2の半導体スイッチ(420、520、470、570)を有する請求項10~16のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路を特徴とする、デュアルフライバックコンバータ回路であって、
前記第1の半導体スイッチ(420、520)は第1の変圧器(403、503)の一次巻線の巻回終わりと入力電圧の第2の電位との間に設けられ、
前記第2の半導体スイッチ(470、570)は第2の変圧器(453、553)の一次巻線の巻回終わりと前記入力電圧の第1の電位との間に設けられ、
充電用コンデンサ(407、507)によりエネルギーが供給されるコントローラ(416、516)が設けられ、
前記第1の変圧器(403、503)、前記充電用コンデンサ(407、507)、第1のダイオード(406、506)、前記第1の半導体スイッチ及び前記コントローラ(416、516)は第1のフライバックコンバータを形成し、前記第2の変圧器(453、553)、前記充電用コンデンサ(407、507)、第2のダイオード(456、556)、前記第2の半導体スイッチ(470、570)及び前記コントローラ(416、516)は第2のフライバックコンバータを形成し、
前記コントローラ(416、516)は前記フライバックコンバータの始動後に前記第1及び第2の半導体スイッチ(420、520、470、570)を制御するように形成される、デュアルフライバックコンバータ回路。
【請求項9】
第1のドライバ(417、517)及び第2のドライバ(467、567)が設けられ、前記フライバックコンバータだけが比較器(430、530)及び前記第1及び前記第2のドライバ(417、517、467、567)の結果により動作可能であり、前記変圧器(403、503、453、553)の前記一次巻線の巻回始めは前記入力電圧の前記第1及び前記第2の電位のうちのより高い電位へ接続されることを特徴とする、請求項8に記載のデュアルフライバックコンバータ回路。
【請求項10】
前記第1及び前記第2の半導体スイッチ(420、520、470、570)のバルク端子が前記入力電圧の前記第1及び前記第2の電位のうちの低い電位に又は前記充電用コンデンサ(407、507)の第2の側の電位に在ることを特徴とする、請求項8又は9に記載のデュアルフライバックコンバータ回路。
【請求項11】
前記第1及び前記第2の半導体スイッチ(520、570)の前記バルク端子は前記比較器(530)及び2つのPMOSFET(537、538)の結果により前記入力電圧の前記第1及び前記第2の電位のうちの低い電位へ切り替え可能であることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載のデュアルフライバックコンバータ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は参照のためその全体を本明細書に援用する2018年2月14日出願の独国出願第202018000753.6号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] DC/DC変換器は電圧源により生成される電圧を増加し得る。DC/DC変換器の部品が正しく接続され得るようにこの電圧の極性を知ることが望ましいかもしれない。しかし、いくつかの電圧源は、一組の入力条件が満足されると1つの極性を有する電圧を生成し得るが、第2の異なる組の入力条件が満足されると反対極性を有する電圧を生成し得る。例えば、熱電発電機は、熱電発電機が特定温度勾配を観測すると正電圧を生成し得るが、反対の温度勾配を観測すると負電圧を生成し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
[0003] 本発明は入力電圧の第1及び第2の電位を有するエネルギー源のエネルギーハーベスティング回路(energy harvesting circuit)のスタータ回路に関する。特に、熱発電器はエネルギー源として使用され得る。
【0004】
[0004] このようなスタータ回路は、第1及び第2の側を有する充電用コンデンサだけでなく、それぞれが巻回始め及び巻回終わりを有する一次巻線及び二次巻線を含む第1及び第2の変圧器も含む。加えて、第1及び第2の始動トランジスタ、第1及び第2のダイオード、並びに第1及び第2の停止トランジスタが設けられる。
【0005】
[0005] この場合、第1の始動トランジスタのゲート端子は第1の変圧器の二次巻線の巻回始めへ結合され、第1の始動トランジスタのドレイン端子は第1の変圧器の一次巻線の巻回終わりへ接続される。第1の発振器が少なくとも第1の変圧器及び第1の始動トランジスタにより形成される。第1のダイオードは第1の変圧器の二次巻線の巻回始めと充電用コンデンサとの間に設けられ、第1のダイオードのアノードは充電用コンデンサの第2の側へ接続される。第1の始動トランジスタのソース端子は入力電圧の第2の電位と結合され、充電用コンデンサの第1の側は入力電圧の第1の電位に在る。
【0006】
[0006] さらに、第2の始動トランジスタのゲート端子は第2の変圧器の二次巻線の巻回始めと結合され、第2の始動トランジスタのドレイン端子は第2の変圧器の一次巻線の巻回終わりと接続される。また、ここでは、第2の発振器が少なくとも第2の変圧器及び第2の始動トランジスタにより形成される。第2のダイオードは第2の変圧器の二次巻線の巻回始めと充電用コンデンサとの間に設けられ、第2のダイオードのアノードは充電用コンデンサの第2の側と接続される。第2の始動トランジスタのソース端子は入力電圧の第1の電位と結合される。さらに、充電用コンデンサの第2の側では、入力電圧の第1及び第2の電位より低い電圧であって、第1の停止トランジスタにより第1の発振器を切断するためにそして第2の停止トランジスタにより第2の発振器を切断するために使用され得る電圧が生成される。したがって、充電用コンデンサの第2の側は負側とも呼ばれ得、第1の側は正側と呼ばれ得る。
【0007】
[0007] 本発明の文脈では、変圧器の「一次巻線」又は「一次側」は入力電圧が印加される巻線であると理解され得、二次巻線又は二次側は出力電圧が生成される変圧器の巻線であると理解され得る。本発明の文脈では、「結合される」は直接接続又は1つ又は複数の部品を介した接続であると理解され得る。
【0008】
[0008] 入力電圧の第2の電位に対し第1の電位の規定された振る舞いを有するエネルギー源の一般的スタータ回路は例えば独国特許出願公開第112,013,005,027B4号から知られている。換言すれば、入力電圧の極性は知らされなければならない。この場合、スタータ回路はフライバックコンバータを始動させるために使用され、フライバックコンバータの必要部品は兼用である。これもまた本発明におけるケースである。
【0009】
[0009] フライバックコンバータはバックブーストコンバータとも呼ばれる。前記コンバータはDC/DCコンバータの特定形態である。
【0010】
[0010] 次に、フライバックコンバータの単純な基本構造が
図6を参照して説明される。
【0011】
[0011]
図6のフライバックコンバータは電圧源601、変圧器603、ダイオード606、充電用コンデンサ607及びスイッチ620を含む。加えて、コンデンサ602もまた電圧源601と並列に設けられるが、前記コンデンサはフライバックコンバータとしての動作には必要とされない。この場合、変圧器603上の2つの点が巻回方向を指示する。巻回始め及び巻回終わりが本明細書の文脈で参照されれば、これは純粋に理解を助けるためである。原理的に、変圧器のコイルの配線が反対方向又は同じ方向に保持されるということを前提として変圧器の端子同士を交換することも可能である。
【0012】
[0012] フライバックコンバータの基本的動作原理について以下に説明する。原理的に、フライバックコンバータの場合、2つの動作モード(導通位相及び遮断位相)が互いに交互に起こる。スイッチ620はどのタイプの動作が活性であるかを判断する。スイッチ620が閉じられれば、フライバックコンバータは導通位相に在る。スイッチ620が開いていれば、前記コンバータは遮断位相に在る。
【0013】
[0013] 導通位相では、電圧源601は電流が変圧器603の一次巻線を貫流するようにさせる。ダイオード606が変圧器603の二次巻線を通る電流流れを阻止するので、前記二次巻線は無電流である。この結果、起磁力が変圧器603の空隙内で増強する。
【0014】
[0014] 次に、スイッチ620が開かれれば、変圧器603の一次巻線又は一次側を通る電流流れは停止する。変圧器603の一次側を通る電流流れは急速に停止されるので、変圧器603の二次側を通る電流は増加する。この電流はダイオード606を貫流し、この結果、充電用コンデンサ607が充電される。その後、スイッチ620は再び閉じられ、導通位相及び遮断位相からなる新しいサイクルが開始される。
【0015】
[0015] スイッチ620のパルス動作はコンデンサ607を充電する電力を調整することを可能にする。この結果、例えば充電用コンデンサ607へ適用される負荷に規定出力電圧が供給されること、又はエネルギー貯蔵器(特に再充電可能電池)が規定電流で充電されることが可能である。ここで示されたフライバックコンバータの実施形態では、入力と出力は何れの場合も電気化学的に絶縁される。これは有利であるが必須ではなく、対応する追加の配線がまた電気化学的絶縁の無い動作を可能にし得る。ここで示されたフライバックコンバータの場合、入力電圧は出力電圧より大きくてもよいし小さくてもよい。これは、半導体スイッチとして好適に形成されるスイッチ620の制御に主として依存する。バック動作モード又はブースト動作モードについて言及する。
【0016】
[0016] フライバックコンバータは不連続電流モード又は連続電流モードで機能し得る。連続電流モードの場合、半導体スイッチがオンにされるとインダクタンスが実際に電流を運び続ける。ブーストコンバータと対照的に、当該巻線比を有するフライバックコンバータの場合、入力電圧対出力電圧の非常に高い比の場合ですら、連続電流モードにおいて、そして実際に達成され得るデューティサイクルで動作することが可能である。ここで示されたフライバックコンバータを使用することにより、これは、例えば20mVの入力電圧そして75%のデューティサイクルで6Vの出力電圧まで可能である。発生する損失を無視すると、これは次式に従って計算される:
【数1】
ここで、デューティサイクルは次のように定義されるということに注意すべきである:
【数2】
【0017】
[0017] これは、遮断位相対導通位相の比が3:1であるということを意味する。1:100変圧器が使用されるということも想定される。ここで、Nは一次側の1巻線数に対する二次側の巻線数を規定する。
【0018】
[0018] 不連続電流モードは不連続導通モードとも呼ばれ得る。前記モードでは、インダクタンス(すなわち変圧器603の一次巻線)を通る電流流れは0Aで始まる。発生する損失を無視すると、そして一定入力電圧では、前記電流流れは、次の結果となるI
maxの最大電流流れに達する:
【数3】
ここで、V
inは入力電圧を表し、L(prim)は変圧器の一次巻線のインダクタンスを表す。
【0019】
[0019] 次に、入力抵抗はスイッチング周波数fにおいて以下の結果となる:
【数4】
【0020】
[0020] これによると、入力抵抗は電圧源とは無関係である。これは、出力電圧に無関係な一定出力抵抗を有する熱電発電機の場合に非常に単純なインピーダンスマッチングを可能にする。
【0021】
[0021] 上に指摘したように、電圧源601と並列に接続されたコンデンサ602は必須ではない。しかし、コンデンサ602は、電圧源601が零より大きい出力抵抗を有するのでこの場合使用される。この結果、電圧源601の出力抵抗はコンデンサ602と共に低域通過フィルタを形成する。この結果は、入力電圧が導通位相中余りに大きく低下しないということである。
【0022】
[0022]
図6を参照して述べられたフライバックコンバータのバージョンは、スイッチ620が外部コントローラにより制御されるということが仮定される一般的な実施形態である。半導体スイッチ620とコントローラとの両方が設けられる集積化フライバックコンバータ回路もまた、解決策全体をより小さくし且つ費用効率をより高くするので存在する。従来のフライバックコンバータ回路では、前記コントローラのためのさらなるエネルギー供給は必要とされない。
【0023】
[0023] フライバックコンバータの若干修正されたバージョンが
図7に示される。フライバックコンバータのこの実施形態では、追加コンデンサ727と別のダイオード726とが設けられる。フライバックコンバータのこの構造はグライナッヘル(Greinacher)回路による出力電圧の整流を可能にする。
【0024】
[0024] この場合、導通位相中、コンデンサ727はダイオード726を介し二次巻線の誘起電圧マイナスダイオード電圧へ充電される。
図6に示すフライバックコンバータと比較した利点は、この場合、ダイオード706がV
outプラスダイオード電圧に耐えるだけでよいということである。
【0025】
[0025] 遮断位相中、充電用コンデンサ707はダイオード706及びコンデンサ727を介し充電される。この場合、ダイオード726はVoutプラスダイオード電圧に再び晒されるだけである。ダイオード726は例えばショットキーダイオードとして形成され得る。
【0026】
[0026] しかし、既に述べたように独国特許出願公開第112013005027B4号から知られる回路は、この回路を構築する際に入力電圧の2つの入力電位のうちのどちらが高いかが知られている場合だけ使用され得る。これを解決するために、米国特許出願公開第2010/0208498A1号は、例えば小さな正及び負入力電圧のための2つのDC/DC変換器の逆並列接続を提案する。
【0027】
[0027] これもまた独国特許出願公開第112013005027B4号から知られる回路を使用することにより原理的に可能であるが、ただ1つのDC/DC変換器(すなわち1つのブランチ)が何れの場合も使用されるので、これは使用されていないブランチの既存自己導電トランジスタを貫流する電流の問題を生じるだろう。これはコールドスタート電圧を増加し、効率を低減し、回路の入力抵抗を低減する。
【0028】
[0028] 別の問題は、入力電圧が増加すると指数関数的に増加する電流が、存在する寄生バルク/ドレインダイオードを貫流するということである。これもまた効率を低減し、回路の入力抵抗を低減する。
【0029】
[0029] これらの問題のうちのいくつかを解決するために、米国特許出願公開第2010/0195360A1号は2つの自己導電トランジスタ又は半導体スイッチを何れの場合も直列に接続することを提案する。この結果、寄生ダイオードの1つは常に逆方向で作動され、電流は流れない。しかし、これは使用されていない自己導電トランジスタから生じる問題を解決しない。さらに、このタイプの回路は、半導体スイッチのサイズが同じままである一方でオーム損失、入力容量及び必要とされるチップ面積が2倍になるという点で不利である。
【0030】
[0030] したがって、本発明の目的は、高い費用効率で実現され得るとともに低い始動電圧を必要としそしてより小さい正又は負の温度差を有する熱電発電機に使用され得るエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路を規定することである。
【0031】
[0031] この目的は、請求項1に記載の特徴を有するエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路により本発明にしたがって達成される。
【0032】
[0032] 別の好適な実施形態は従属請求項、本明細書、並びに添付図面及びその説明においてに規定される。
【0033】
[0033] 請求項1によると、第1又は第2の発振器の発振信号を使用して他の発振器をそれぞれ非活性化する部分的回路が設けられるエネルギーハーベスティング回路の一般的スタータ回路が開発される。
【0034】
[0034] 非活性発振器を非活性化するために手段がスタータ回路内に設けられるという本発明の基本的アイデアが見られ得る。
【0035】
[0035] エネルギーハーベスティング回路のスタータ回路のこのような構成により、この回路はエネルギー源の入力電圧の第1の電位又は第2の電位がより大きいかに無関係に使用され得る、ということが達成され得る。したがって、換言すれば、エネルギー源の極性は知らされる必要がないだろう。この結果、この回路は、正の温度差と負の温度差との両方と共に使用され得る例えば熱電発電機と共に使用するのに好適である。
【0036】
[0036] 入力電圧の第1の電位が第2の電位より大きければ充電用コンデンサは第1の発振器により充電される。次に、入力電圧の第2の電位が第1の電位より高ければ充電用コンデンサは第2の発振器を介し充電される。
【0037】
[0037] それに応じて暗示したように、正の入力電圧及び負の入力電圧のための2つのブランチを有するスタータ回路が設けられれば、使用されていないブランチにも電圧が供給されて電流が流れるという一般的問題又は必要とされるコールドスタート電圧が増加するという一般的問題がそれぞれ存在する。
【0038】
[0038] 従来構成に従って、入力電圧の2つの電位のどちらがより高いかを識別しそしてしたがって電圧源がどの極性を有するかを識別する比較器が設けられれば、この情報は、例えばスタータ回路の使用されていないブランチ(すなわち「第1」又は「第2」それぞれによりすべて指示される部品を有するブランチ)をそれに応じて切断するために使用され得る。例えば入力電圧の第1の電位が第2の電位より高ければ、第2のブランチは、使用されなく、そしていかなるエネルギーも消費しないように又は他の不利な影響をスタータ回路へ及ぼさないように切断され得る。しかし、比較器のための十分に高い動作電圧が必要とされるだろう。換言すれば、スタータ回路の両方のブランチはこの動作電圧が存在する限り作動されるだろう。
【0039】
[0039] 本発明によると、このような比較器を設ける必要は無いが、むしろ2つのブランチのうちのどちらが機能する発振器を含むかを検出するために十分であるということが分かった。これは、正のフィードバックが機能ブランチ内に存在するからである(すなわち電圧は発振器が発振していれば増加し、一方、負のフィードバックは非活性ブランチ内に存在し、したがって単に電流が流れるが発振器は発振しない)。
【0040】
[0040] 有利には、どちらの発振器が発振しているかに関する識別は例えば部分的回路(第1及び第2の切断トランジスタだけでなく第1及び第2の切断ダイオードも含む)により実施され得る。この場合、第1の切断ダイオードのカソードは第2の変圧器の二次側の巻回始めへ接続され得、第2の切断ダイオードのカソードは第1の変圧器の二次側の巻回始めへ接続され得る。
【0041】
[0041] エンハンスメントNMOSFETが切断トランジスタとして使用され得、第1の切断トランジスタのソース端子が第1の切断ダイオードのアノードへ接続され且つ第2の切断トランジスタのソース端子が第2の切断ダイオードのアノードへ接続されれば有利である。対応実施形態では、第1の切断トランジスタのゲート端子は入力電圧の第1の電位に在り得、第2の切断トランジスタのゲート端子は第2の入力電圧の電位に在り得る。
【0042】
[0042] このような配置は、充電用コンデンサを充電するために使用される対応活性発振器が発振している間、それぞれの他の切断トランジスタのソース端子は接地状態に在り、後者が別の回路系のおかげで対応始動トランジスタを切断する結果となる、ということを達成する。この点に関し、第1の切断ダイオード及び第1の切断トランジスタは第2の発振器により第2のブランチからそれらのエネルギー供給を受けるとともにそれらのトリガ信号を受信し、一方、第2の切断ダイオード及び第2の切断トランジスタは第1の発振器により第1のブランチからそれらの信号を受信するとともにネルギー供給を受けるということを理解すべきである。これにより、充電用コンデンサを充電するために活発に使用されないブランチはそれぞれ他の発振器により切断され得るということが達成される。
【0043】
[0043] さらに、第1の始動トランジスタは第1の結合コンデンサを介し第1の変圧器の二次側の巻回始めへ結合され得、第2の始動トランジスタは第2の結合コンデンサを介し第2の変圧器の二次側の巻回始めへ結合され得る。回路内に設けられる結合コンデンサ及び追加抵抗器を有するこのような構成により、それぞれ活性発振器の比較的速い発振がそれぞれ他のブランチの始動トランジスタを再活性化しないために十分であるような長いRC定数が存在するということが達成される。
【0044】
[0044] 代替実施形態では、発振器を検出するとともに他の発振器の切断信号をトリガする部分的回路はフリップフロップ(特にDフリップフロップ)により実現され得る。この場合、前述の回路と比較した利点は、比較的高い電圧に好適でなければならなくしたがって集積回路ではしばしば外部に構成される必要がある切断ダイオードが省略され得るということである。前述の回路は費用を増加し且つ製造を複雑にする。
【0045】
[0045] 本発明はさらに、エネルギーハーベスティング回路の本発明によるスタータ回路を含むデュアルフライバックコンバータ回路に関する。この場合、フライバックコンバータ回路はエネルギーハーベスティング回路の一例である。加えて、フライバックコンバータ回路を作動させるための第1及び第2の半導体スイッチが設けられ、第1の半導体スイッチは第1の変圧器の一次巻線の巻回終わりと入力電圧の第2の電位との間に設けられる。これと同様に、第2の半導体スイッチは第2の変圧器の一次巻線の巻回終わりと入力電圧の第1の電位との間に設けられる。フライバックコンバータ回路を作動させるために、充電用コンデンサによりエネルギーが供給されるコントローラがさらに設けられる。
【0046】
[0046] 全体として、第1の変圧器、充電用コンデンサ、第1のダイオード、第1の半導体スイッチ及びコントローラは第1のフライバックコンバータを形成し、第2の変圧器、充電用コンデンサ、第2のダイオード、第2の半導体スイッチ及びコントローラは第2のフライバックコンバータを形成する。この場合、コントローラは、フライバックコンバータを始動し作動させるために第1及び第2の半導体スイッチの両方とも制御するように設計される。
【0047】
[0047] フライバックコンバータの基本的動作原理は
図6と
図7を参照して既に詳細に説明された。エネルギーハーベスティング回路の本発明によるスタータ回路を設けることは、対応フライバックコンバータがコントローラにより始動されるためにデュアルフライバックコンバータ回路が始動のための十分なエネルギーを供給されることを可能にする。
【0048】
[0048] これらの実施形態によると、原理的に、2つのフライバックコンバータ回路が設けられ、何れの場合も1つだけが使用される。使用されるフライバックコンバータ回路は入力電圧の第1の電位と第2の電位との関係に依存する。全体として、フライバックコンバータ回路はそれぞれが正電圧を使用して作動されなければならないように構築される。したがって、これを保証するために、前記回路は第1の電位と第2の電位とへ交互に接続される。
【0049】
[0049] 換言すれば、本回路は、正の入力電圧が印加されるフライバックコンバータだけが作動されることを保証する。
【0050】
[0050] 第1及び第2の半導体スイッチのバルク端子は、使用されていないフライバックコンバータの対応半導体スイッチの寄生ダイオードを通る電流を防止するために充電用コンデンサの第2の側の電位へ接続され得る。しかし、ボディ効果が、存在する正のソース/バルク電圧の結果として発生する。この目的のため、例えば充電用コンデンサのソース端子及び第2の側は接地され得る。
【0051】
[0051] しかし、別の実施形態では、第1及び第2の半導体スイッチのバルク端子は、入力電圧の第1及び第2の電位のうちの低い電位へ接続され得る。この配線は使用されていないフライバックコンバータの対応半導体スイッチの寄生ダイオードを電流が貫流するのを防止し、さらに、いかなるボディ効果も発生しなく、2つの半導体スイッチは入力電圧電位間の差の絶対値に対してだけ設計される必要がある。これを検出し実現するために、例えば比較器の結果が使用され得る。回路を対応のやり方で実現するために、第1及び第2の半導体スイッチのバルク端子を何れの場合も入力電圧の第1及び第2の電位のうちの低い電位へ接続し得る2つのPMOSFETがこの目的のために使用され得る。
【0052】
本[0052] 開示の追加の態様及び利点は、本開示の例示的実施形態だけが示され説明される以下の詳細説明から当業者に容易に明らかになるだろう。理解されるように、本開示は他の実施形態及び異なる実施形態に対応することが可能であり、そのいくつかの詳細はすべて本開示から逸脱すること無く様々な明白なやり方で修正可能である。したがって、添付図面と明細書は、本来例示的であり、限定的ではないとみなすべきである。
【0053】
参照による援用
[0053] 本明細書で述べられる全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により援用されるように具体的且つ個々に指示される限りにおいて、参照により本明細書に援用される。参照により援用される刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限りにおいて、本明細書はいかなるこのような矛盾する資料にも取って代わる及び/又は優先する。
【0054】
図面の簡単な説明
[0054] 本発明の新規な特徴は添付の特許請求の範囲において具体的に示される。本発明の特徴及び利点のさらなる理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を示す以下の詳細説明と添付図面(本明細書では「図」及び「図群」)とを参照することにより得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】[0055]エネルギーハーベスティング回路の本発明によるスタータ回路の第1の実施形態を示す。
【
図2】[0056]エネルギーハーベスティング回路の本発明によるスタータ回路の第2の実施形態を示す。
【
図3】[0057]エネルギーハーベスティング回路の本発明によるスタータ回路の第3の実施形態を示す。
【
図4】[0058]本発明によるデュアルフライバックコンバータ回路を示す。
【
図5】[0059]本発明によるデュアルフライバックコンバータ回路を示す。
【
図6】[0060]フライバックコンバータの一例を示す。
【
図7】[0061]フライバックコンバータの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[0062] 添付図面では、同じ又は同様な部品は何れの場合も同じ参照符号により表され、一番目の数字は何れの場合も異なりそして図番号を指示する。この場合、繰り返しを回避するために、同じ機能を有する部品は必ずしも再び論述されない。
【0057】
詳細な説明
[0063] 本明細書では本発明の様々な実施形態が示され説明されるが、このような実施形態が単に一例として提供されることは当業者にとって明白である。本発明から逸脱すること無く非常に多くの変形、変更、及び置換が当業者には思い浮かび得る。本明細書に記載の本発明の実施形態の様々な代替案が採用され得るということを理解すべきである。
【0058】
[0064]
図1は何れの場合も2つのブランチを含むエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路を示す。これは、スタータ回路が機能することと、エネルギー源101の入力電圧の2つの電位の互いの比に関係なく充電用コンデンサ107を充電することとを可能にする。
図1の描画では、DC電圧源101の内部抵抗Riも示される。DC電圧源101は例えば正及び負の温度差と連動して動作し得る熱電発電機であり得る。この結果、
図1に説明されまた示されるように電圧源101の極性が異なり得る。コンデンサ102は電圧源101と並列に設けられる。前記コンデンサの効果は
図6を参照して上に説明したものと同じである。この回路の第1のブランチは、第1の変圧器103、第1の始動トランジスタ104、第1のダイオード106、第1の結合コンデンサ108、第1の抵抗器109及び第1の停止トランジスタ122により形成される。
【0059】
[0065] 第2のブランチは似たやり方で第2の変圧器153、第2の始動トランジスタ154、第2のダイオード156、第2の結合コンデンサ158、第2の抵抗器159、及び第2の停止トランジスタ172により形成される。
【0060】
[0066] 加えて、電圧監視回路111、比較器130、2つのORゲート132、182及びインバータ131が設けられる。
【0061】
[0067] スタータ回路の機能は以下に詳細に説明される。
【0062】
[0068] 2つのブランチの配線の本質的な差は、上側のブランチでは第1の変圧器103の二次巻線の巻回終わりが一次側の巻回始めと同じ電位(具体的にはVin1)に在り、一方、第2の変圧器153の二次巻線の巻回終わりは一次側の巻回始めとは反対電位に在るということである。第1の始動トランジスタ106のソース端子はVin2に在り、一方、第2の始動トランジスタ154のソース端子はVin1に在る。換言すれば、当該変圧器103、153の二次巻線の巻回終わりは何れの場合も始動トランジスタ104、154の対応ソース端子と同じ電位に在る。
【0063】
[0069] 2つの発振器は何れの場合も始動の目的のために2つのブランチ内に形成される。これは、第1の変圧器103及び第1の始動トランジスタ104により第1のブランチ内にそして第2の変圧器153及び第2の始動トランジスタ154により第2のブランチ内に実現される。
【0064】
[0070] 発振器の周波数(f)は次のように判断される:
【数5】
ここで、この場合、Cは当該始動トランジスタ104、154の入力容量と当該変圧器103、153の二次側の容量との合計であり、L(sec)は当該変圧器103、153の二次側のインダクタンスである。
【0065】
[0071] スタータ回路の動作原理が以下に簡潔に論述される。ここでは、正電圧が電圧源101に印加され、そしてそれにしたがってVin1はVin2より大きいということが当初仮定される。
【0066】
[0072] この電圧が電圧源101において増加すると直ちに、第1の変圧器103の一次巻線の電流が増加し、そして同時に、第1の始動トランジスタ104におけるゲート電圧を増加する電圧が第1の変圧器103の二次巻線内に誘起される。この結果、第1の始動トランジスタ104は低抵抗を有し、電流はさらに増加し得る。一次巻線へ印可される電圧はオーム電圧降下のために減少し、その結果、第1の始動トランジスタ104のゲートにおける電圧は減少し、前記始動トランジスタはより高い抵抗になる。これは一次巻線における電圧のさらなる低下を引き起こす。これはその後、その閾値電圧において切断する第1の始動トランジスタ104における負ゲート電圧を生じる。フライバックコンバータに関し既に説明したように、このとき電流は第1の変圧器103の二次側に流れ込み続け得るだけである。結果として、充電用コンデンサ107は低電圧へ充電される。この充電は第1のダイオード106を介し発生し、その結果、コンデンサ107へ充電されたエネルギーはもはや尽きることがない。第1の変圧器103の二次巻線内の電流は今や零まで降下し、第1の始動トランジスタ104におけるゲート電圧も0Vであり、第1の変圧器103の一次巻線の電流は再び増加し始める。周期的電流パルスが充電用コンデンサ107をさらに高い電圧まで充電する。
【0067】
[0073] 要約すると、正の入力電圧を有するブランチは、発振器により正のフィードバックを受け、10mV未満の非常に低い入力電圧においてすら発振し始める。反対側の配線は、負入力電圧が印加される他のブランチ内の負のフィードバックを生じ、この負のフィードバックの結果として変圧器103、153の当該一次巻線を通る定電流が成長する。これは、望ましくなく、そして以下にさらに詳細に述べるように防止される。
【0068】
[0074] 電圧源101の特定極性に依存して、第1のダイオード106又は第2のダイオード156は充電用コンデンサ107上の負電位をVin1未満の電圧まで充電する。回路が始動された後、出力電圧(グラウンドに対するVin1)は量という意味で入力電圧(Vin1マイナスVin2の合計)よりより大きいので、グラウンドは常に、再び当該極性に関係なくVin1未満である。この結果、グラウンドは、それぞれの始動トランジスタ104、154を切断して当該発振器を停止するために使用され得る。
【0069】
[0075] 比較器130は、上述のように負のフィードバックにより動作しそしてその当該変圧器103、153の一次巻線を通る望ましくない定電流を有するブランチを始動トランジスタ104、154を切断することにより精密に非活性化するために設けられる。
【0070】
[0076] 前記比較器はVin1がVin2より大きいかどうかを検出する。そうであれば、前記比較器は信号Vin1_highをVin1へ適用する又はそうでなければグラウンドへ適用する。第1のケースでは、すなわちVin1がVin2より大きい場合、ORゲート182の出力は、論理1であり、Vin1を停止トランジスタ172へ接続する。この結果、前記停止トランジスタは低抵抗になり、したがって第2の始動トランジスタ154のゲートはグラウンド電位へ接続され、この結果、第2の始動トランジスタ154は高抵抗となる。
【0071】
[0077] 逆のケースでは、すなわちVin2がVin1より大きければ、Vin1_highはグラウンドへ接続され、したがって、インバータ131の結果として、ORゲート132の出力は論理1(すなわちVin1)へ接続され、したがって、似たやり方で、第1の始動トランジスタ104は第1の停止トランジスタ122を介し切断される。この機能は、使用されていないブランチの使用されていない変圧器103、153を電流が貫流するのを防止する。
【0072】
[0078] 電圧監視回路111は、所望電圧が充電用コンデンサ107において到達されると使用中のブランチ(すなわち、その中に発振器が存在する)を切断するために設けられる。前記監視回路は例えば基準電圧源、抵抗分割器及び比較器で構成される。しかし、この場合、前記監視回路が
図1による実施形態において充電用コンデンサ107における1.8Vの電圧を識別すべきである、ということが必須である。こ結果、前記監視回路は、当該ブランチの始動トランジスタ104、154も今や切断するために、2つのORゲート132、182により、使用されるブランチの停止トランジスタ122、172をそれにしたがって作動させる。
【0073】
[0079] この実施形態では、始動トランジスタ104、154のバルク端子がグラウンド電位に在るということが必須である。以下に説明されるように、これは、電流が寄生バルク/ドレインダイオードを貫流するのを防止する。上述のように、グラウンドは、動作中Vin1及びVin2未満である。この結果、いかなる電流も2つの始動トランジスタ104、154における2つの上述の寄生バルク/ドレインダイオードを貫流し得ない。これは、さらなる部品の必要性無しに回路の効率を著しく増加する。
【0074】
[0080] しかし、バルク端子をグラウンドへ接続することは、正式に言えばボディ効果が発生するという意味で不利益を生じる。ボディ効果は、正のソース/バルク電圧の場合は閾値電圧の増加である。前記効果の影響はここに存在する小出力電圧の場合は僅かなものに過ぎなく、したがって回路は充電用コンデンサ107を充電するのに適切であり、したがって始動するのに十分なエネルギーを下流のエネルギーハーベスティング回路に供給する。
【0075】
[0081] 次に、
図1の発展形態を示し
図2と
図3を参照して説明する。この場合、始動トランジスタ204、304、254、354のバルク端子は何れの場合もグラウンドに在るが、そしてこれは回路の効率を増加するが、
図1を参照して上に説明したように、これは必須ではないということに注意すべきである。
【0076】
[0082]
図1の比較器130は、そのために使用されるトランジスタの閾値電圧を越えた電圧においてだけ機能する。この結果、例えば1Vの電圧の別の電圧監視回路が原理的に必要となるだろう。この監視回路は、比較器130の出力及びインバータ131の出力が当初グラウンド電位のままである、ということを保証し、さらに閾値電圧(例えば1Vの)に到達されるまで電流が、使用されていない変圧器103、153に流入するので回路全体のコールドスタート電圧を結果として増加させる。
【0077】
[0083] これは
図2と
図3による実施形態において改善される。この場合、両方の状況では、発振又は動作しているブランチの発振信号は動作しないブランチを可能な限り早く非活性化するために使用される。動作中ブランチ(operating branch)と呼ばれるブランチは、発振器が所望通り機能し且つ正のフィードバックが存在するブランチである。
【0078】
[0084]
図2では、切断ダイオード233、283及び切断トランジスタ234、284が比較器130、ORゲート132、182及びインバータ133の代わりにブランチ毎に設けられる。この場合、第1の切断ダイオード233のカソードは第2の変圧器253の二次側の巻回始めへ接続される。第2の切断ダイオード283は似たやり方で第1の変圧器203へ接続される。ショットキーダイオードが好適には切断ダイオード233、283として使用される。
【0079】
[0085]
図2によるそしてまた後の
図3による実施形態はVin2がVin1より大きいという仮定に基づき以下に説明される。これは、スタータ回路の第2のブランチ(同図の下側に示される)が動作中であるということを意味する。この接続では、「動作中」は、第2の変圧器253及び始動トランジスタ254により形成される第2の発振器が発振しているということを意味するものと理解され得る。したがって、充電用コンデンサ207は第2の変圧器253の二次巻線内のエネルギーにより第2のダイオード256を介し充電される。これは常に、第2の変圧器253の二次巻線の巻回始めにおける電圧がグラウンド電位より第2のダイオード256の順方向電圧を越える電圧だけ下回る時点で発生する。
【0080】
[0086] 以下では、ショットキーダイオードとして設計される第2のダイオード256の順方向電圧が300mVであると仮定する。
【0081】
[0087] 第2の発振器が発振している間、第2のダイオード256のカソードがグラウンド電位より300mV低い値である当該再帰位相では、第2の切断ダイオード233のカソードもまた前記電位に在る。この結果、切断ダイオード233及び第2のダイオード256の両端の電圧下降が同じであると仮定すると、切断トランジスタ234のソース端子もまたグラウンドに在る。抵抗器209が高抵抗(例えば≧10MΩの領域)であれば、切断ダイオード233を通る電流は第2のダイオード256を通る電流より小さい。この結果、切断ダイオード233と第2のダイオード256とが設計において同一であるという条件で、切断ダイオード233の両端の電圧降下は第2のダイオード253の両端の電圧降下より小さい。したがって、切断トランジスタ234のソース端子はグラウンド電位未満ですらある。
【0082】
[0088] 切断トランジスタ234のゲート/ソース電圧がその閾値電圧に達すると直ちに、前記切断トランジスタは低抵抗になる。この結果、始動トランジスタ204のゲート電圧はグラウンド電位へ又は厳密な設計によってはグラウンド電位未満へ引っ張られる。その後すぐに、始動トランジスタ204は高抵抗になり、その結果、使用されないブランチの発振器は切断される。
【0083】
[0089] 実際、この効果は、前記トランジスタが抵抗器209だけと比較して低抵抗である必要があるので閾値電圧未満で(すなわち切断トランジスタ243の弱反転において)すら働く。
【0084】
[0090] 第2の変圧器253及び第2の始動トランジスタ254により形成される発振器が発振している間、第1の始動トランジスタ204のゲート電圧は一時的に引き下げられる(すなわち低減される)。しかし、抵抗器209及び結合コンデンサ208により形成されるRC素子の長い時定数は、このゲート電圧は常に、第2のブランチの動作中に第1の始動トランジスタ204が切断されたままであるには十分に低いままである、ということを意味する。RC時定数は通常、発振する発振器の期間より著しく大きい。
【0085】
[0091] Vin1がVin2より大きい場合の前記回路の動作のモードは、似た動作原理であり、第1の変圧器203及び第1の始動トランジスタ204により形成される発振器が第1のブランチにおいて発振し、一方、第2のブランチは切断される。
【0086】
[0092] 上述の回路と比較したこの回路の利点は、使用されないブランチがNMOSFETの閾値電圧よりはるかに低い電圧で既に非活性化され得るということである。したがって20mV未満のコールドスタート電圧を達成することが可能である。
【0087】
[0093]
図3に説明されるスタータ回路の実施形態に対応するやり方では、切断ダイオード333、383は省略され得る。これは、切断ダイオード333、383の寸法が可能な限りの最高電圧用に設計される必要があるので好ましい。さらに、
図2による切断機構は他のブランチが依然として活性である限りにおいてのみ機能する。
【0088】
[0094]
図3によるスタータ回路では、非同期アクティブローリセット入力335、385を有する2つのDフリップフロップ及びインバータ386が
図1の比較器130の代わりに設けられる。前記部品はエッジトリガセット/リセットフリップフロップを形成する。
【0089】
[0095] この場合、第1のフリップフロップ335の出力がそのクロック入力において正のエッジにより論理1へセットされることができることが必須である。これは
図3による実施形態によるVin1に等しい。さらに、前記フリップフロップは再び、第2のDフリップフロップ385のクロック入力において正のエッジによりリセットされ得る(すなわち
図3による実施形態によるとグラウンドである論理0へリセットされ得る)。原理的に、この機能を有する論理ゲートの他の配線構成もまた当然可能である。
【0090】
[0096] Vin2はVin1より大きいということが以下では再び仮定される。ここに示す実施形態では、第2の始動トランジスタ354におけるゲート電圧は振動し、一方、第1の始動トランジスタ304におけるゲート電圧は抵抗器309のおかげでVin1に在る。第2の始動トランジスタ354におけるゲート電圧(この第2のDフリップフロップ385のクロック入力にも印加される)は、前記第2のDフリップフロップ385の電源電圧限度を通常越える振幅を有する。したがって、前記電圧は発振信号を検出するのに好適である。
【0091】
[0097] 前記スタータ回路が始動されると、Dフリップフロップ335、385の未規定状態は、2つの状況が原理的に考慮されるべきであるということを意味する。
【0092】
[0098] スタータ回路が始動した後、Vin1_highは論理1に在る。これは、その中の電圧がVin1であるということを意味する。電源電圧が図示のDフリップフロップ335、385の組み合わせにとって十分になると直ちに、Q出力は第2のDフリップフロップ385のクロック入力において立上りエッジの論理1へ設定される。前記立上りエッジは下側のブランチにおいて発振する第2の発振器により生成される。第2のDフリップフロップ385のQ出力を設定することは、論理0がインバータ386により第1のDフリップフロップ335のRN入力へ適用されることを生じる。したがって、前記第1のフリップフロップ335のQ出力もまた、今やVin1_highに対応する論理0にある。したがって、論理0がまた、第2のDフリップフロップ385のRN入力へ適用され、この結果、前記フリップフロップのQ出力もまた論理0へ接続される。インバータ386のおかげで、論理1は、今や、第1のDフリップフロップ335のD入力及びRN入力へ適用され、この結果、安定状態が達成される。
【0093】
[0099] 第2の代替案は、スタータ回路が始動された後Vin1_highが論理0(グラウンドに対応する)に在ることである。これは既に正しい状態であり、したがって他の何も変わらない。
【0094】
[0100] インバータ331及びORゲート332は今や第1の始動トランジスタ304のゲートを第1の停止トランジスタ322によりグラウンドへ設定し、この結果、第1の発振器は可能な限り早く非活性化され得る。
【0095】
[0101] Vin1がVin2より大きければ、同じ制御システムはスタータ回路の第2のブランチと似たやり方で効力を発揮する。
【0096】
[0102] この実施形態の利点は、フリップフロップが静的負荷へ給電する必要が無く、そしてそれぞれの停止トランジスタ322、372が当該の上流の高抵抗抵抗器309、359を通る非常に小さい電流だけを運ぶので前記回路はひいてはNMOSFETの閾値電圧よりはるかに低い電圧で、使用されていないブランチを非活性化するということである。したがって、20mV未満のコールドスタート電圧を達成することが同様に可能である。
【0097】
[0103] 前記実施形態の別の利点は、使用される信号線が始動トランジスタ304、354のゲートへ接続されしたがってサージ保護が既に設けられているということである。スタータ回路がもはや動作しなく、2つの発振器が切断されると直ちに、Dフリップフロップ355、385の対応入力は、通常動作では2つの停止トランジスタ322、372を介しグラウンドへ接続され、高電圧からも保護される。
【0098】
[0104] ここに示された実施形態の利点及び2つのDフリップフロップ335、385をインバータ386へ接続することの利点はVin1_highの状態が両方のブランチの切断のときでさえ第1のDフリップフロップ335内に記憶されるということである。
【0099】
[0105]
図4は2つのフライバックコンバータ回路と併せた
図1の上述のスタータ回路を示し、それぞれのブランチ内のフライバックコンバータ回路は上述の独国特許出願公開112013005027B4号と同様なやり方で設計される。詳細には、この目的のために、半導体スイッチ420、抵抗器421、ダイオード419及び結合コンデンサ418が第1の上側のブランチのために追加的に設けられる。
【0100】
[0106] 同じ部品(すなわち第2の半導体スイッチ470、第2の抵抗器471、第2のダイオード469及び第2の結合コンデンサ468)がまた第2のブランチ内に設けられる。
【0101】
[0107] フライバックコンバータの基本的動作原理に関しては、
図6と
図7を参照して提供された上記説明を参照されたい。
【0102】
[0108] コントローラ416が、2つのフライバックコンバータを制御するためにこの回路内に追加的に設けられ、以下に説明するように、何れの場合も、1つのフライバックコンバータが活発に作動され、他方は切断されたままである。入力電圧の2つの入力極性のどちらがより高いかを識別するための比較器430は例えば
図1の比較器130であってもよいし
図3に説明したような回路であってもよい。電圧検出器411は、依然として活性状態である始動用発振器を切断するために、そしてまた、十分に高い電圧が存在する場合だけコントローラ416を動作させるために使用される。
【0103】
[0109] 何れの場合も2つの始動用発振器のうちの1つだけを作動し、その後、十分に高い電圧が充電用コンデンサ407に印加された場合に他方を切断することが可能であるやり方は、上に既に説明された。比較器430の信号及び2つのドライバ417、467と併せて、コントローラ416は、何れの場合も、正の入力電圧を使用して作動され得るフライバックコンバータだけを作動する。例えば、Vin1がVin2より大きく、そして第1のドライバ417が活性状態であり、一方、第2のドライバ467は活性状態でなく、したがってコントローラ416の信号が、第2の下側のブランチ内に設けられたフライバックコンバータへ転送されないということを比較器が識別すれば、前記コンバータは作動されない。
【0104】
[0110] 前記回路では、いかなる電流も、そのバルク端子がグラウンドに在るので2つの半導体スイッチ420、470の寄生ダイオードを貫流しない。
【0105】
[0111]
図5による実施形態は
図4の上述のデュアルフライバックコンバータ回路に基づく。
図4では、2つの半導体スイッチ420、470のバルク端子は、使用されていないフライバックコンバータの対応半導体スイッチ420、470の寄生ダイオードを通る電流を防止するためにグラウンドへ接続される。しかし、ボディ効果が、存在する正のソース/バルク電圧の結果として発生する。
【0106】
[0112] 前記回路では、半導体スイッチ520、570のバルク端子は何れの場合も2つの入力電圧電位のうちの低い電位(Vin_minで表される)へ接続される。この目的のため、
図5の回路によると、より高い入力電圧電位が比較器530により検出される。接地電位に在る(すなわち、これが低入力電位であるということを指示す)信号Vin1_high又はVin2_highは、設けられた2つのPMOSFET537、538の1つをそして次にVin_minを低電位へ接続する。
【0107】
[0113] 加えて、論理ゲートにはVin1とグラウンドとにより電力が供給されるのでレベルシフタ536がトランジスタ537のゲート駆動のために必要とされる。レベルシフタ536の目的は、トランジスタ537が切断されると電流が流れることができないということである。回路が約1Vを越えた電圧においてだけ作動され得るということも問題では無い。これは、フライバックコンバータがまたこの点においてだけ活発に制御され始動され得るためである。
【0108】
[0114] この回路の利点は、電流が寄生ダイオードを貫流しないということとさらにボディ効果が発生しないということである。さらに、2つの半導体スイッチ520、570は電圧源501の入力電圧電位間の差の大きさに対してだけ設計されればよい。
【0109】
[0115] 原理的に、この回路はまた、せいぜい1kHzの領域内の低周波数の小さなAC電圧に対し使用され得る。これは、コントローラ516のスイッチング周波数がAC電圧の周波数より著しく高いという条件で可能である。
【0110】
[0116] 本明細書において説明された解決策は、高い費用効率で実現され得、低い始動電圧を必要とし、そして小さな正又は負の温度差を有する熱電発電機に使用され得るエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路を規定することを可能にする。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧の第1及び第2の電位を有するエネルギー源のエネルギーハーベスティング回路、特に熱電発電機のスタータ回路であって、前記スタータ回路は、
第1及び第2の側を有する充電用コンデンサ(207、307、407、507)、
巻回始め及び巻回終わりを有する一次巻線及び二次巻線をそれぞれ含む第1及び第2の変圧器(203、303、403、503、253、353、453、553)、
第1及び第2の始動トランジスタ(204、304、404、504、254、354、454、554)、
第1及び第2のダイオード(206、306、406、506、256、356、456、556)、並びに第1及び第2の停止トランジスタ(222、322、422、522、272、372、472、572)を有し、
前記第1の始動トランジスタ(204、304、404、504)のゲート端子が前記第1の変圧器(203、303、403、503)の前記二次巻線の前記巻回始めと結合されて、前記第1の始動トランジスタのドレイン端子が前記第1の変圧器(203、303、403、503)の前記一次巻線の前記巻回終わりへ接続され、
第1の発振器が少なくとも前記第1の変圧器(203、303、403、503)及び前記第1の始動トランジスタ(204、304、404、504)により形成され、
前記第1のダイオード(206、306、406、506)は、前記第1の変圧器(203、303、403、503)の前記二次巻線の前記巻回始めと前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)との間に設けられ、
前記第1のダイオード(206、306、406、506)のアノードが前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第2の側へ接続され、
前記第1の始動トランジスタ(204、304、404、504)のソース端子が前記入力電圧の前記第2の電位と結合され、
前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第1の側は前記入力電圧の前記第1の電位に在り、
前記第2の始動トランジスタ(254、354、454、554)のゲート端子が前記第2の変圧器(253、353、453、553)の前記二次巻線の前記巻回始めと結合され、前記第2の始動トランジスタのドレイン端子が前記第2の変圧器(253、353、453、553)の前記一次巻線の前記巻回終わりへ接続され、
第2の発振器が少なくとも前記第2の変圧器(253、353、453、553)及び前記第2の始動トランジスタ(254、354、454、554)により形成され、
前記第2のダイオード(256、356、456、556)は前記第2の変圧器(253、353、453、553)の前記二次巻線の前記巻回始めと前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)との間に設けられ、
前記第2のダイオード(256、356、456、556)のアノードが前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第2の側へ接続され、
前記第2の始動トランジスタ(254、354、454、554)のソース端子が前記入力電圧の前記第1の電位と結合され、
前記入力電圧の前記第1の電位及び前記第2の電位未満である電圧であって、前記第1の停止トランジスタ(222、322、422、522)により前記第1の発振器を切断するとともに前記第2の停止トランジスタ(272、372、472、572)により前記第2の発振器を切断するために使用され得る電圧が、前記充電用コンデンサ(207、307、407、507)の前記第2の側で生成される、スタータ回路において、
前記第1又は第2の発振器の発振信号を使用して他の発振器を非活性化する部分的回路が設けられる、ことを特徴とするスタータ回路。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧の第1及び第2の電位を有するエネルギー源のエネルギーハーベスティング回路、特に熱電発電機のスタータ回路であって、前記スタータ回路は、
第1及び第2の側を有する充電用コンデンサ、
巻回始め及び巻回終わりを有する一次巻線及び二次巻線をそれぞれ含む第1及び第2の変圧器、
第1及び第2の始動トランジスタ、
第1及び第2のダイオード、並びに第1及び第2の停止トランジスタを有し、
前記第1の始動トランジスタのゲート端子が前記第1の変圧器の前記二次巻線の前記巻回始めと結合されて、前記第1の始動トランジスタのドレイン端子が前記第1の変圧器の前記一次巻線の前記巻回終わりへ接続され、
第1の発振器が少なくとも前記第1の変圧器と、前記第1の変圧器の前記二次側の前記巻回始めと第1の結合コンデンサを介し結合された前記第1の始動トランジスタとにより形成され、
前記第1のダイオードは、前記第1の変圧器の前記二次巻線の前記巻回始めと前記充電用コンデンサとの間に設けられ、
前記第1のダイオードのアノードが前記充電用コンデンサの前記第2の側へ接続され、
前記第1の始動トランジスタのソース端子が前記入力電圧の前記第2の電位と結合され、
前記充電用コンデンサの前記第1の側は前記入力電圧の前記第1の電位に在り、
前記第2の始動トランジスタのゲート端子が前記第2の変圧器の前記二次巻線の前記巻回始めと結合され、前記第2の始動トランジスタのドレイン端子が前記第2の変圧器の前記一次巻線の前記巻回終わりへ接続され、
第2の発振器が少なくとも前記第2の変圧器と、前記第2の変圧器の前記二次側の前記巻回始めと第2の結合コンデンサを介し結合された前記第2の始動トランジスタとにより形成され、
前記第2のダイオードは前記第2の変圧器の前記二次巻線の前記巻回始めと前記充電用コンデンサとの間に設けられ、
前記第2のダイオードのアノードが前記充電用コンデンサの前記第2の側へ接続され、
前記第2の始動トランジスタのソース端子が前記入力電圧の前記第1の電位と結合され、
前記入力電圧の前記第1の電位及び前記第2の電位未満である電圧であって、前記第1の停止トランジスタにより前記第1の発振器を切断するとともに前記第2の停止トランジスタにより前記第2の発振器を切断するために使用され得る電圧が、前記充電用コンデンサの前記第2の側で生成される、スタータ回路において、
前記第1又は第2の発振器の発振信号を使用して他の発振器を非活性化する部分的回路が設けられる、スタータ回路。
【請求項2】
前記部分的回路は第1及び第2の切断ダイオード並びに第1及び第2の切断トランジスタを有する、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項3】
前記第1の切断ダイオードのカソードが前記第2の変圧器の前記二次巻線の前記巻回始めへ接続され、前記第2の切断ダイオードのカソードが前記第1の変圧器の前記二次側の前記巻回始めへ接続される、請求項2に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項4】
エンハンスメントNMOSFETが前記切断トランジスタとして使用されることと、前記第1の切断トランジスタのソース端子が前記第1の切断ダイオードのアノードへ接続され、前記第2の切断トランジスタのソース端子が前記第2の切断ダイオードのアノードへ接続される、請求項2に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項5】
前記第1の切断トランジスタのゲート端子が前記入力電圧の前記第1の電位に在り、
前記第2の切断トランジスタのゲート端子が前記入力電圧の前記第2の電位に在る、請求項2に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項6】
前記部分的回路はフリップフロップにより実装される、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項7】
第1及び第2の半導体スイッチを有する請求項1に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路であって、
前記第1の半導体スイッチは第1の変圧器の一次巻線の巻回終わりと入力電圧の第2の電位との間に設けられ、
前記第2の半導体スイッチは第2の変圧器の一次巻線の巻回終わりと前記入力電圧の第1の電位との間に設けられ、
充電用コンデンサによりエネルギーが供給されるコントローラが設けられ、
前記第1の変圧器、前記充電用コンデンサ、第1のダイオード、前記第1の半導体スイッチ及び前記コントローラは第1のフライバックコンバータを形成し、前記第2の変圧器、前記充電用コンデンサ、第2のダイオード、前記第2の半導体スイッチ及び前記コントローラは第2のフライバックコンバータを形成し、
前記コントローラは前記第1又は第2のフライバックコンバータの始動後に前記第1及び第2の半導体スイッチを制御するように形成される、スタータ回路。
【請求項8】
第1のドライバ及び第2のドライバが設けられ、前記第1又は第2のフライバックコンバータだけが比較器及び前記第1及び前記第2のドライバの結果により動作可能であり、前記変圧器の前記一次巻線の巻回始めは前記入力電圧の前記第1及び前記第2の電位のうちのより高い電位へ接続される、請求項7に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項9】
前記第1及び前記第2の半導体スイッチのバルク端子が前記入力電圧の前記第1及び前記第2の電位のうちの低い電位に又は前記充電用コンデンサの第2の側の電位に在る、請求項7に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【請求項10】
前記第1及び前記第2の半導体スイッチのバルク端子は比較器及び2つのPMOSFETの結果により前記入力電圧の前記第1及び前記第2の電位のうちの低い電位へ切り替え可能である、請求項7に記載のエネルギーハーベスティング回路のスタータ回路。
【外国語明細書】