(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149362
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】上部カバー、それを含む電池、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/567 20210101AFI20241010BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20241010BHJP
【FI】
H01M50/567
H01M50/566
H01M50/562
H01M50/557
H01M50/55 101
H01M50/15
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/176
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208436
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】202320771834.7
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】車 佩佩
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB04
5H011BB05
5H043AA11
5H043AA12
5H043AA13
5H043AA19
5H043CA04
5H043DA01
5H043DA08
5H043DA13
5H043DA16
5H043GA23
5H043GA26
5H043HA09D
5H043HA13D
5H043JA01D
5H043JA02D
5H043JA09D
5H043JA12D
5H043JA21D
5H043KA08D
5H043KA09D
5H043LA02D
5H043LA03D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加工の難易度、原材料のコスト、加工コストを効果的に削減した外部導電部材を含む、電池の上部カバーを提供する。
【解決手段】上部カバー、それを含む電池及び電子機器が提供される。上部カバー1は、上部カバー板と、電極引出部材2と、外部導電部材3と、を含む。電極引出部材と外部導電部材とは電気的に接続され、外部導電部材は、上部カバー板の電極アセンブリから離れた一側に設置される。外部導電部材は、第1の金属層31と第2の金属層32とを含む。第1の金属層上には、第2の金属層に向けて突出する挿入部311が設置される。第2の金属層上には、挿入部と係合する係合部321が設置される。第1の金属層と第2の金属層は、挿入部及び係合部を介して係合接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部カバー板と、電極引出部材と、外部導電部材と、を含み、
前記電極引出部材は、前記外部導電部材と電気的に接続され、前記外部導電部材は、前記上部カバー板の電極アセンブリから離れた一側に設置され、前記外部導電部材は、第1の金属層と第2の金属層とを含み、前記第1の金属層上には前記第2の金属層に向けて突出する挿入部が設置され、前記第2の金属層上には、前記挿入部と係合する係合部が設置され、前記第1の金属層と前記第2の金属層とは、前記挿入部及び前記係合部を介して係合接続される、上部カバー。
【請求項2】
前記挿入部は、前記第1の金属層から突出する突起であり、前記係合部は、前記第2の金属層を貫通する貫通孔である、請求項1に記載の上部カバー。
【請求項3】
前記係合部は、第1の貫通孔と第2の貫通孔とを含む段付の貫通孔であり、
前記挿入部の挿入方向に沿って、前記第1の貫通孔の投影は、前記第2の貫通孔の投影領域内に位置し、前記係合部に収容される前記挿入部の周面は、前記係合部の孔壁の形状と係合する、請求項2に記載の上部カバー。
【請求項4】
前記挿入部の挿入方向に沿って、前記第2の貫通孔の断面の寸法は、小から大へと徐々に変化する、又は、
前記第2の貫通孔は、断面の寸法が変化しない貫通孔である、請求項3に記載の上部カバー。
【請求項5】
前記挿入部の挿入方向に沿って、前記挿入部の末端は、前記第2の金属層上の前記係合部の貫通位置と位置合わせされるか、前記第2の金属層の前記貫通孔内に完全に収容されるか、又は、前記第2の金属層の前記貫通孔から突出し、前記末端の少なくとも一部の寸法は、前記貫通孔の直径よりも大きい、請求項2に記載の上部カバー。
【請求項6】
前記上部カバーは、絶縁支持部をさらに含み、前記絶縁支持部は、収容キャビティを有し、前記第2の金属層は、前記収容キャビティ内に少なくとも部分的に収容され、
前記絶縁支持部の前記第2の金属層に面する一側には、回り止め部が設置され、
前記回り止め部は、前記第2の金属層の前記貫通孔内に延在して、又は、前記第2の金属層の前記貫通孔から延出する前記挿入部の前記末端が前記回り止め部内に延在して、前記絶縁支持部に対する前記外部導電部材の回転を防止する、請求項5に記載の上部カバー。
【請求項7】
前記第1の金属層と前記挿入部とは、一体的に形成される、請求項1乃至6のいずれかに記載の上部カバー。
【請求項8】
前記第1の金属層上には取付部が設置され、前記取付部は、第3の貫通孔と第4の貫通孔とを含む段付の貫通孔を含み、前記第4の貫通孔は、前記係合部に連通し、前記挿入部の挿入方向に沿って、前記第4の貫通孔の投影は、前記第3の貫通孔の投影領域内に位置し、前記取付部に収容される前記挿入部の前記周面は、前記取付部の孔壁の形状と係合する、請求項2乃至6のいずれかに記載の上部カバー。
【請求項9】
前記第1の金属層の厚さは、前記第2の金属層の厚さよりも大きい、請求項1に記載の上部カバー。
【請求項10】
前記挿入部の挿入方向に沿って、前記第2の金属層の投影は、前記第1の金属層の投影領域内に位置する、請求項1に記載の上部カバー。
【請求項11】
前記上部カバー板上の前記挿入部の投影形状の少なくとも一部は、円形、正方形、長方形、ひし形、台形のいずれかである、請求項1に記載の上部カバー。
【請求項12】
前記挿入部の縁には、丸みを帯びた角が設置される、請求項9に記載の上部カバー。
【請求項13】
前記上部カバーは、前記第2の金属層と前記上部カバー板との間に設置された絶縁支持部をさらに含み、前記第2の金属層は、前記絶縁支持部と前記第1の金属層との間に設置され、
前記第2の金属層上には引出孔が設置され、前記電極引出部材の端部は、前記引出孔と係合する引出部を有し、前記第2の金属層と前記電極引出部材は、前記引出孔及び前記引出部を介して係合接続される、請求項1に記載の上部カバー。
【請求項14】
前記第1の金属層における前記第2の金属層の前記引出孔に対応する位置に中空部が設置され、前記中空部の寸法は、前記引出孔の直径よりも大きい、請求項13に記載の上部カバー。
【請求項15】
前記上部カバー板上の前記挿入部の投影の直径又は辺長さは、0.5mm~6mmであり、前記第1の金属層の表面上の前記挿入部の突出高さは、0.2mm~4mmである、請求項1乃至6及び9乃至14のいずれかに記載の上部カバー。
【請求項16】
前記第1の金属層と前記第2の金属層とは、異なる材質からなり、前記第2の金属層と前記電極引出部材は、同一の材質からなる、請求項1乃至6及び9乃至14のいずれかに記載の上部カバー。
【請求項17】
前記第1の金属層の前記材質はアルミニウムであり、前記第2の金属層の前記材質は銅である、請求項16に記載の上部カバー。
【請求項18】
挿入部の数は複数であり、複数の前記挿入部は、前記第1の金属層の表面上に均一に分布する、請求項1乃至6及び9乃至14のいずれかに記載の上部カバー。
【請求項19】
前記第1の金属層と前記第2の金属層とは、溶接によって接続される、
請求項1乃至6及び9乃至14のいずれかに記載の上部カバー。
【請求項20】
前記第1の金属層と前記第2の金属層とは、ろう付け工程で溶接接続される、請求項19に記載の上部カバー。
【請求項21】
筐体と、
請求項1乃至6及び9乃至14のいずれかに記載の上部カバーであって、前記筐体上に設置され、前記筐体とともに収容キャビティを画定する、前記上部カバーと、
前記収容キャビティ内に収容され、電極アセンブリが接続されるバッテリーコアと、
を備える電池。
【請求項22】
請求項21に記載の電池を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の分野に関し、特に、上部カバー、それを含む電池、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、角型電池の上部カバーは、バタフライ溶接組立構造(butterfly welding assembly structure)が一般的である。上部カバー板の上面には外部導通端子が、下面には電極柱(電極引出部材)が設置される。電極柱は、上部カバー板の表面に開口する貫通孔から延出し、外部導電部材に溶接される。現在、上部カバー板に設置された外部導電部材がアルミニウム電極柱に溶接されると同時に、外部銅線にも溶接されることを保証するために、外部導通端子は通常、銅-アルミニウム複合板を採用したり、銅板とアルミニウム板を摩擦溶接したりして作製される。
【0003】
銅-アルミニウム複合板を使用して外部導電部材を作製する解決策は、原材料の面でコストがかかるが、工程が複雑で、作製時の材質使用率が低く、銅板の使用率も同様に低い。銅板とアルミニウム板を摩擦溶接して外部導電部材を作製するという解決策も、複雑な溶接工程を必要とし、多くの機械加工を必要とするため、材質使用率が低く、コストが非常に高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、外部導電部材の作製には、多くの加工上の困難があり、加工コストが高いという従来技術の欠点を克服することであり、その技術的解決策は、上部カバー、それを含む電池、及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術的解決策によって上記の技術的課題を解決する。
【0006】
上部カバーは、上部カバー板と、電極引出部材と、外部導電部材と、を含む。電極引出部材は、外部導電部材と電気的に接続される。外部導電性部材は、上部カバー板の電極アセンブリから離れた一側に設置される。外部導電部材は、第1の金属層と第2の金属層とを含み、第1の金属層上には第2の金属層に向けて突出する挿入部が設置される。第2の金属層上には、挿入部と係合する係合部が設置される。第1の金属層と第2の金属層は、挿入部及び係合部を介して係合接続される。第1の金属層上に凸部を設置し、第2の金属層に凸部と係合する凹部を設置することにより、外部導電部材の第1の金属層と第2の金属層との接続は、互いに一致し接続される凸部と凹部を使用することにより達成される。従来技術と比較して、本発明は、加工の難易度、原材料のコスト、加工コストを効果的に削減しながら、2つの金属の接続効果を実現することを可能にする。同時に、この解決策は、加工の難易度、原材料のコスト、加工コストを削減しながら、同一の金属を使用して、第1の金属層と第2の金属層の接続効果を実現することも可能にする。
【0007】
好ましくは、挿入部は、第1の金属層から突出する突起であり、係合部は、第2の金属層を貫通する貫通孔である。
【0008】
このような構造配置により、挿入部と係合部との係合の困難さを軽減することができる。同時に、係合部を貫通孔とすることにより、形成される係合構造の信頼性がより高くなる。
【0009】
好ましくは、係合部は、第1の貫通孔と第2の貫通孔とを含む段付き貫通孔である。挿入部の挿入方向に沿って、第1の貫通孔の投影は、第2の貫通孔の投影領域内に位置する。係合部に収容される挿入部の周面は、係合部の孔壁の形状と一致する。
【0010】
係合部の段付の貫通孔の断面形状を挿入部の挿入方向に沿って小から大まで変化させることにより、挿入部との嵌合時の接続強度を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、挿入部の挿入方向に沿って、第2の貫通孔の断面の寸法は、小から大へと徐々に変化する。又は、第2の貫通孔は、断面寸法が変化しない貫通孔である。
【0012】
第2の貫通孔の断面の寸法を小から大へと段階的に変化させることにより、リベット留めやスタンピングなどの材質変形工程を通じて凸部と凹部を一致させて接続するときに、凸部の端の材質を凹部によりよく充填するのに都合が良く、それにより、第1の金属層と第2の金属層との間の接続効果が向上する。
【0013】
第2の貫通孔を断面寸法が変化しない貫通孔として設計することで、他の凹型プラットフォームの形状と比べて、凸部に接続して一致させたときにより高い引張強度が達成され、接続効果がより良好になる。
【0014】
好ましくは、挿入部の挿入方向に沿って、挿入部の末端は、第2の金属層上の係合部の貫通位置に位置合わせされる。又は、挿入部の挿入方向に沿って、挿入部の末端は、第2の金属層の貫通孔内に完全に収容される。又は、挿入部の挿入方向に沿って、挿入部の末端は、第2の金属層の貫通孔から突出し、末端の少なくとも一部の寸法は、貫通孔の直径よりも大きい。
【0015】
挿入部の端末端を係合部の貫通位置に合わせすることで、第1の金属層と第2の金属層との係合及び接続を容易にすることができ、接続工程がより簡素化される。
【0016】
挿入部の末端が第2の金属層の貫通孔内に完全に収容されるようにすることで、係合部に対する挿入部の接続強度が向上する。
【0017】
挿入部の末端を第2の金属層の貫通孔から突出させ、末端の少なくとも一部の寸法を貫通孔の直径よりも大きくすることで、第1の金属層と第2の金属層との接続効果が向上する。同時に、挿入部を延在させることにより、第2の金属層の表面に凹凸構造を存在させることができる。後で外部導電部材を射出成形法により巻き付けて固定する際に、第2の金属層の表面に存在する凹凸構造を使用して射出成形された絶縁部と係合させ、これにより、より確実な接続を実現するとともに、射出成形された絶縁部に対する外部導電部材の回転を防止することができる。
【0018】
好ましくは、上部カバーは、絶縁支持部をさらに含み、絶縁支持部は、収容キャビティを有し、第2の金属層は、収容キャビティ内に少なくとも部分的に収容される。絶縁支持部の第2の金属層に面する一側には、回り止め部が設置される。回り止め部は、第2の金属層の貫通孔内に延在して、絶縁支持部に対する外部導電部材の回転を防止する。又は、第2の金属層の貫通孔から延出する挿入部の末端が回り止め部内に延在して、絶縁支持部に対する外部導電部材の回転を防止する。
【0019】
絶縁支持部の回り止め部を第2の金属層の貫通孔内に延在させることにより、又は、挿入部の末端を第2の金属層の貫通孔を通って絶縁支持部の回り止め部内に延在させることにより、絶縁支持部に対する外部導電部材の係合接続を実現することができ、絶縁支持部に対する外部導電部材の回転を防止することができる。
【0020】
好ましくは、第1の金属層と挿入部とは、一体的に形成される。
【0021】
第1の金属層と挿入部とを一体的に形成することにより、加工や成形を容易にすることができ、これにより、係合部に対する挿入部の接続強度を向上させることができる。
【0022】
好ましくは、取付部は、第1の金属層上に設置され、取付部は、第3の貫通孔及び第4の貫通孔を含む段付きの貫通孔を含む。第4の貫通孔は、係合部に連通する。挿入部の挿入方向に沿って、第4の貫通孔の投影は、第3の貫通孔の投影領域内に位置し、取付部内に収容される挿入部の周面は、取付部の孔壁の形状と係合する。
【0023】
第1の金属層上に取付部を配置することによって、挿入部は、段付き貫通孔を通って収容及び制限され、それにより、より好ましい構造配置解決策が提供される。第1の金属層上の取付部に対する挿入部の組み立て及び構成を使用することにより、第1の金属部と第2の金属部との係合接続がさらに達成される。この構造配置はまた、第1の金属部に対する挿入部の交換を容易にする。
【0024】
好ましくは、第1の金属層の厚さは第2の金属層の厚さよりも大きい。及び/又は、挿入部の挿入方向に沿って、第2の金属層の投影は、第1の金属層の投影領域内に位置する。
【0025】
銅は、アルミニウムに比べて材質密度が高く、コストが高いため、アルミニウムからなる第1の金属層の厚さを、銅からなる第2の金属層の厚さよりも厚くすることにより、外部導電性部材の材質コスト及び重量をさらに低減することができる。
【0026】
同時に、アルミニウムからなる第1の金属層の外形寸法を、銅からなる第2の金属層の外形寸法よりも大きくすることにより、外部導電性部材の材質コスト及び重量をさらに低減することができる。
【0027】
好ましくは、上部カバー板上の挿入部の投影形状の少なくとも一部は、円形、正方形、長方形、ひし形、台形のいずれかである。
【0028】
挿入部を円形にすることで、加工及び成形が容易になり、挿入部を正方形、長方形、ひし形、台形のいずれかにすることにより、挿入部と係合部との係合接続強度が向上する。
【0029】
好ましくは、挿入部の端には丸みを帯びた角が設置される。
【0030】
このようにして、加工が便利であり、係合接続時の局所的な応力を回避し、係合部との係合接続時に挿入部の縁が他の部品の表面を傷つけるのを防ぐことができる。
【0031】
好ましくは、上部カバーは、第2の金属層と上部カバー板との間に設置された絶縁支持部分を含み、第2の金属層は、絶縁支持部と第1の金属層との間に設置される。第2の金属層には引出孔が設置され、電極引出部材の端部は、引出孔と係合する引出部を有し、第2の金属層と電極引出部材は、引出孔及び引出部を介して係合接続される。
【0032】
引出孔と引出部を係合接続することで、電極引出部材に対する外部導電部材の第2の金属層の接続信頼性が向上する。
【0033】
好ましくは、第1の金属層における第2の金属層の引出孔に対応する位置に中空部が設置され、中空部の寸法は引出孔の直径よりも大きい。
【0034】
第1の金属層には、第2の金属層と電極引出部材との接続を避けるための中空部が設置され、係合接続、その後の溶接工程が容易になる。同時に、第1の金属層上に中空部を設置することにより、重量をさらに低減することができる。
【0035】
好ましくは、上部カバー板における挿入部の投影の直径又は辺長さは、0.5mm~6mmである。第1の金属層の表面における挿入部の突出高さは、0.2mm~4mmである。
【0036】
好ましくは、第1の金属層と第2の金属層は、異なる材質からなり、第2の金属層と電極引出部材は、同一の金属材質からなる。
【0037】
好ましくは、第1の金属層の材質はアルミニウムであり、第2の金属層の材質は銅である。
【0038】
挿入部が設置された第1の金属層をアルミニウムで作製し、係合部が設置された第2の金属層を銅で作製し、アルミニウム挿入部を銅の係合部内に延在させて係合接続することにより、第1の金属層及び第2の金属層の厚さが変わらない場合、外部導電部材の全体の重量が軽減され、これにより重量が軽減され、電池のエネルギー密度が向上する。
【0039】
好ましくは、挿入部の数は複数であり、複数の挿入部は、第1の金属層の表面上に均一に分布する。
【0040】
複数の挿入部を設置することにより、第1の金属層と第2の金属層との接続効果が向上する。さらに、複数の挿入部を第1の金属層の表面上に均一に分布させることにより、第1の金属層と第2の金属層との間の接続の均一性が確保され、局所的な力による損傷が回避される。
【0041】
好ましくは、第1の金属層と第2の金属層とは、溶接によって接続される。
【0042】
外部導電部材の第1の金属層と第2の金属層は、挿入部と係合部との係合接続に基づいて溶接工程を介してさらに接続され、これにより、第1の金属層と第2の金属層の接触面積がさらに増加し、通電能力が向上する。同時に、第1の金属層と第2の金属層との接続信頼性が確保される。
【0043】
好ましくは、第1の金属層と第2の金属層は、ろう付け工程で溶接接続される。
【0044】
ろう付け工程は、他の溶接工程よりも安価である。同時に、第1の金属層と第2の金属は、挿入部及び係合部を介して係合接続され、溶接前に第1の金属層と第2の金属層の事前位置決めを実現する。また、その後のろう付け工程の実施が容易になり、ろう付けの困難さが軽減される。
【0045】
電池は、筐体と、上述した上部カバーと、を含む。上部カバーは、筐体上に設置され、筐体とともに収容キャビティを画定する。バッテリーコアは、収容キャビティ内に収容され、電極アセンブリは、バッテリーコアに接続される。
【0046】
電子機器は、上述した電池を含む。
【0047】
本発明の有利な効果は次の通りである。本発明は、上部カバー、それを含む電池、及び電子機器を提供する。上部カバーの第1の金属層上に挿入部を配置し、第2の金属層上に挿入部と係合する係合部を配置することによって、外部導電部材の第1の金属層と第2の金属層との接続は、挿入部と係合部との係合接続により実現される。従来技術と比較して、加工の難易度、原材料のコスト、及び加工コストを効果的に削減しながら、2つの金属間の接続効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の実施形態1に係る上部カバーの概略構成図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る外部導電部材の分解構造を示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る第2の金属層の概略構成図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る外部導電部材の内部構造を示す概略図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る外部導電部材の分解構造を示す概略図である。
【
図8】本発明の実施形態3に係る外部導電部材の内部構造を示す概略図である。
【
図9】本発明の実施形態3に係る外部導電部材の分解構造を示す概略図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る第2の金属層の概略構成図である。
【
図11】本発明の実施形態4に係る外部導電部材及び上部射出成形部材の概略構成図である。
【
図12】本発明の実施形態5に係る外部導電部材の内部構造を示す概略図である。
【
図13】本発明の実施の形態5に係る外部導電部材の分解構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照しながらより明確かつ完全な説明を以下に提供する。
【0050】
実施形態1
【0051】
本実施形態は、電子機器を提供する。電子機器は、電池を含む。電池は、筐体と、上部カバー100と、バッテリーコアと、を含む。上部カバー100は、筐体の上部を覆い、筐体とともに収容キャビティを画定する。バッテリーコアは、収容キャビティ内に収容され、バッテリーコアは、電極アセンブリと接続され、上部カバー100内の電極引出部材2と電気的に接続される。
【0052】
電子機器は、ノートブックコンピュータ、ペンコンピュータ、モバイルコンピュータ、電子書籍プレーヤー、携帯電話、ポータブルファックス、ポータブルコピー機、ポータブルプリンタ、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダ、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、ポータブルCDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子メモ帳、電卓、メモリーカード、ポータブルレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、電動アシスト自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機、時計、電動工具、懐中電灯、カメラ、家庭用大型電池、エネルギー貯蔵又はナトリウムイオンキャパシタなどを含むが、これらに限定されない。
【0053】
図1、
図2、及び
図3は、本発明の上部カバー100を示す。上部カバー100は、具体的には、上部カバー板1と、電極引出部材2と、外部導電部材3と、を含む。
図2及び
図3に示すように、電極引出部材2と外部導電部材3は、各上部カバー板1上に2組設置され、それぞれ上部カバー100の正極と負極を形成する。
図3に示すように、上部カバー100の負極の位置の例として、電極引出部材2は、上部板を下から上に貫通して外部導電部材3と電気的に接続される。同時に、上部カバー板1の上面には外部導電部材3が設置され、外部導電部材3と上部カバー板1とは、上部射出成形部材4によって分離され、絶縁されている。上部射出成形部材4の上面には、外部導電部材3を部分的に収容する凹状の収容キャビティが設置され、外部導電部材3との接続を確実に行うことができる。電極引出部材2と上部カバー板1は、下部射出成形部材5によって分離され、絶縁されている。本実施形態において、外部導電部材3を上部カバー板1から絶縁するための上側射出成形体4と、電極引出部材2を上部カバー板1から絶縁するための下部射出成形部材5は、どちらも射出成形法により形成される。もちろん、他の実施形態においては、前処理やモールド成形などの他の工程を採用して、外部導電部材3を上部カバー板1から分離し、電極引出部材2を上部カバー板1から分離する絶縁支持構造を形成し、サポート接続と絶縁の目的を達成しても良い。
【0054】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、本実施形態における外部導電部材3は、積層された第1の金属層31と第2の金属層32とを含む。第1の金属層31はアルミニウムからなり、第2の金属層32は銅からなり、同じく銅からなる電極引出部材2と溶接するために設置される。第1の金属層31の表面には、第2の金属層32に向けて突出する挿入部311が設置され、第2の金属層32の表面には、挿入部311と係合する係合部321が設置される。第1の金属層31と第2の金属層32とは、挿入部311及び係合部321を介して係合接続され、2つの金属材質間の接続及び接触を実現する。
【0055】
本解決策では、第1の金属層31上に挿入部311を配置し、第2の金属層32上に挿入部311と係合する係合部321を配置することにより、挿入部311と係合部321とが係合接続され、外部導電部材3の第1の金属層31と第2の金属層32との接続が実現される。従来技術と比較して、加工の難易度、原材料のコスト、加工のコストを効果的に削減しながら、2つの金属間の接続効果を実現することができる。
【0056】
本実施形態における第1の金属層31の材質はアルミニウムであり、第2の金属層32の材質は銅であるが、これは本発明によって保護される特定の実施例にすぎない。他の実施形態において、第1の金属層31と第2の金属層32は、必要に応じて異なる金属を採用するだけで良く、挿入部311と係合部321の係合によって簡易接続の目的を達成しても良い。本実施形態において、アルミニウムからなる第1の金属層31上には挿入部311が設置され、銅からなる第2の金属層32上には係合部321が設置される。アルミニウムの密度が銅の密度よりも低いため、アルミニウムの挿入部311を銅の係合部321に挿入して係合接続することができる。第1の金属層31の厚さと第2の金属層32の厚さが変わらない場合、外部導電部材3の一部を銅からアルミニウムに置き換えることにより、外部導電部材3全体の重量が軽減され、電池の軽量化とエネルギー密度が向上する。
【0057】
さらに、重量とコストを削減する目的で、本実施形態において、アルミニウムからなる第1の金属層31の厚さは、銅からなる第2の金属層32の厚さよりも厚く、第1の金属層31の直径は第2の金属層32の直径よりも大きく、重量とコストを削減する。
【0058】
もちろん、他の実施形態において、挿入部311と係合部321との協働により低コストで確実な接続を実現するという解決策は、同一の材質からなる第1の金属層31と第2の金属層32との接続にも採用される。
【0059】
本実施形態において、第1の金属層31と第2の金属層32は、挿入部311と接続孔とをリベット留めすることにより接続される。リベット工程は、他の係合接続工程に比べて、構造が簡単で加工コストが低いため、外部導電部材3の作製コストをさらに低減することができる。その上で、外部導電部材3の使用時における信頼性を向上させるために、第1の金属層31と第2の金属層32との係合接続に基づいて、第1の金属層31と第2の金属層32とを溶接して、第1の金属層31と第2の金属層32との接触面積をさらに増加させ、通電能力を向上させることができる。同時に、第1の金属層31と第2の金属層32との間の接続信頼性を確保することができる。本実施形態では、第1の金属層31と第2の金属層32とは溶接前に係合接続により接続されるため、溶接工程の主な機能は、2つの金属層間の接続関係を強化し、2つの金属層の接触面積を増やし、通電能力を向上させることである。上記の目的は、比較的低コストのろう付けによって実現できる。具体的には、第1の金属層31と第2の金属層32とを係合接続する前に、第1の金属層31と第2の金属層32の対応する表面にはんだを塗布する。その後、挿入部311及び係合部321を介して第1の金属層31と第2の金属層32とを係合接続し、続いて、第1の金属層31と第2の金属層32との間の接続強度及び接触面積を増加させるためにはんだ付けが行われる。ここで、溶接後の接触面積をさらに増大させるために、挿入部311及び係合部321にはんだを塗布しても良い。
【0060】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、本実施形態において、係合部321は、第2の金属層32を上下に貫通し、具体的には、第2の金属層32の貫通孔を挿入部311の挿入方向Cに沿って貫通する。この構造配置により、形成される係合構造の信頼性を高めることができる。上記に基づいて、
図3から分かるように、係合部321は、挿入部311の挿入方向Cに沿って、断面形状が小から大へと増大する貫通孔であり、挿入部311の周面は、係合部321の孔壁の形状に係合し、挿入部311との係合時の接続強度がさらに向上する。
【0061】
図5に示すように、本実施形態において、係合部321は、挿入部311の挿入方向Cに沿って、第1の貫通孔3211と第2の貫通孔3212とを含む段付の貫通孔である。第1の貫通孔3211と第2の貫通孔3212の直径は異なり、第1の貫通孔3211の投影は、第2の貫通孔3212の投影領域内に位置することにより、段付の貫通孔の孔壁に挿入部311が埋め込まれる間隙を形成し、これにより、挿入部311と係合部321との接続の密着性が向上する。このようにして、第1の金属層31に外力が加わった場合でも、第1の金属層31が第2の金属層32から剥離しにくくなる。具体的には、係合部321の最下端に位置する第2の貫通孔3212は、等断面の凹状のプラットフォームである。このような構造配置により、他の凹状プラットフォームの形状と比較して、挿入部311と係合接続する際に、より強い引張強度を実現することができ、より良好な接続効果を達成することができる。
【0062】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、本実施形態において、挿入部311は、係合部321の貫通孔内に上から下に延在し、挿入部311の下端は、第2の金属層32上の係合部321の貫通位置と位置合わせされる。このような構造配置により、挿入部311と係合部321との係合及び位置決めが容易になり、第1の金属層31と第2の金属層32とを係合接続する際に、接続工程がより簡素化される。
【0063】
図4に示すように、本実施形態において、第1の金属層31上には、4つの挿入部311が設置される。これらの挿入部311は、第1の金属層31の表面に周方向上に均一に分布し、第2の金属層32上には、上記挿入部311を収容するように対応する4つの係合部321が設置される。複数の挿入部311及び係合接続用の係合部321を配置することにより、第1の金属層31と第2の金属層32との接続効果を向上させることができる。さらに、これらの挿入部311を第1の金属層31の表面上に均一に分布させることにより、第1の金属層31と第2の金属層32との間の接続の均一性を確保し、局所的な応力による損傷を回避することができる。もちろん、他の実施形態において、複数の挿入部311と第2の金属層32との間の接続を介して係合及び接続効果を向上させるために、第1の金属層31上に設置される挿入部311の数は異なっていてもよい。
【0064】
さらに、
図4に示すように、上部カバー板1上の挿入部311の投影形状は、加工及び成形を容易にし、係合部321と係合する際の局所的な応力を回避するために円形である。同時に、挿入部311の円弧状の縁は、他の部品の表面に傷が付くのを防止することもできる。
【0065】
上部カバー板1上の挿入部311の投影の直径Rは、0.5mm~6mmであることが好ましい。直径Rの選択範囲は1mm~3mmであることがより好ましい。直径Rが1mm以上であると、接続効果を確保でき、直径Rが3mm以下であると、挿入部311の直径が大きくなりすぎて部材の加工に影響を与えることがない。さらに、第1の金属層31の表面上の挿入部311の突出高さHは、0.2mm~4mmであることが好ましい。突出高さHの選択範囲は、0.5mm~2mmであることがより好ましい。突出高さHを0.5mm以上とすることで接続効果を確保することができ、突出高さHが2mm以下であると、挿入部311が突出しすぎて部材の加工に影響を与えることがない。
【0066】
もちろん、他の実施形態において、上部カバー板1上の挿入部311の投影の形状は、正方形、長方形、ひし形、台形などの多角形のいずれか、又はこれらの多角形の組み合わせである。これに基づいて、他の部材の表面を傷つけることを避けるために、挿入部311の端に角度Rを設定することができる。挿入部311が、正方形、長方形、ひし形、台形などの多角形である場合、挿入部311の一辺の長さの好ましい値は、0.5mm~6mmである。挿入部311の一辺の長さの選択範囲は、1mm~3mmであることがより好ましい。
【0067】
図3に示すように、本実施形態において、第2の金属層32の表面上には、引出孔322が設置され、電極引出部材2の上部は上方に突出し、端部には引出孔322と係合する引出部21が形成されるため、第2の金属層32と電極引出部材2とが引出孔322及び引出部21を介して係合接続される。このような構造配置により、外部導電部材3の第2の金属層32の電極引出部材2に対する接触面積を増大させることができ、溶接接続前の事前位置決めが可能となり、両者の間の接続の信頼性が確保される。さらに、第1の金属層31における第2の金属層32の引出孔322に対応する位置に中空部312が設置される。第2の金属層32及び電極引出部材2との接続を避け、係合及び接続並びにその後の溶接工程の実施を容易にするため、中空部312の寸法は引出孔322の直径よりも大きい。同時に、第1の金属層31に中空部312を設置することにより、重量をさらに低減することができる。本実施形態において、引出孔322は丸孔であるため、中空部312も引出孔322と同軸の円孔として構成される。回避効果を確保するために、中空部312の直径は引出孔322の直径よりも大きい。
【0068】
実施形態2
【0069】
図6及び
図7は、本発明の実施形態2に係る外部導電部材3の概略構成図である。本実施形態における外部導電部材3の構造は実施形態1とほぼ同様であるため、本実施形態では、実施形態1における外部導電部材3との構成の相違点のみを詳細に説明する。
【0070】
具体的には、
図6及び
図7に示すように、本実施形態において、第2の金属層32に設置された係合部321も、本実施形態における貫通孔が、実施形態1の段付の孔ではなくストレート貫通孔である点を除き、上下に貫通する貫通孔である。これに基づき、第1の金属層31上の挿入部311は、対応する係合部321内に延在した後、第2の金属層32上の係合部321の貫通位置からさらに延在するため、挿入部311の末端が第2の金属層32の表面から突出する。このような構造配置により、第1の金属層31と第2の金属層32との接続効果を向上させることができる。同時に、挿入部311を第2の金属層32の表面から延出させることにより、第2の金属層32の表面上に凹凸構造を存在させることができる。射出成形法によりその後外部導電部材3を巻き付けて固定する際に、第2の金属層32の表面上に存在する凹凸構造を使用して射出成形された絶縁部と係合することにより、より確実な接続を実現するとともに、射出成形された絶縁部に対する外部導電部材3の回転を防止することができる。
【0071】
さらに、挿入部311のうち第2の金属層32の表面から突出する部分の直径は、係合部321の貫通孔の直径よりも大きい。このような構成とすることにより、挿入部311と係合部321との位置規制能力が向上する。第2の金属層32から突出する挿入部311の直径を係合部321の貫通孔の直径よりも大きくするために、両者の係合接続工程は、リベット留めやスタンピングなどによって実現することができる。
【0072】
実施形態3
【0073】
図8及び
図9は、本発明の実施形態3に係る外部導電部材3の概略構成図である。本実施形態における外部導電部材3の構造は実施形態1とほぼ同様であるため、本実施形態では、実施形態1における外部導電部材3との構成の相違点のみを詳細に説明する。
【0074】
具体的には、
図8及び
図9に示すように、本実施形態において、第2の金属層32上に設置された係合部321も上下に貫通する貫通孔であり、第1の貫通孔3211と第2の貫通孔3212からなる段付の貫通孔である。本実施形態と実施形態1との違いは、本実施形態では、
図10に示すように、係合部321の最下端に位置する第2の貫通孔3212は、断面が可変の貫通孔であることである。断面が可変の凹状のプラットフォームは、挿入部311の挿入方向Cに沿ってラッパ状の形状を有し、その断面形状は小から大へと徐々に変化する。このような構造配置により、挿入部311と係合部321とがリベット留めやスタンピングなどの材質変形工程を通じて係合接続されるとき、挿入部311の末端の材質をラッパ状の係合部321の末端によりよく充填することができ、これにより第1の金属層31と第2の金属層32との接続効果が向上する。
【0075】
実施形態4
【0076】
図11は、本発明の実施形態4に係る外部導電部材3の概略構成図である。本実施形態における外部導電部材3の構造は実施形態1とほぼ同様であるため、本実施形態では、実施形態1における外部導電部材3との構成の相違点のみを詳細に説明する。
【0077】
具体的には、
図11に示すように、本実施形態において、第2の金属層32上に設置された係合部321も上下に貫通する貫通孔であり、第1の金属層31上の挿入部311は、係合部321から完全には突出していないため、第2の金属層32の下面には凹部が存在する。したがって、上部射出成形部材4の第2の金属層32に面する表面上には、対応する回り止め部41が設置される。回り止め部41を第2の金属層32の係合部321まで延在させることにより、上部射出成形部材4と第2の金属層32との接続及び位置決め効果を向上させ、上部射出成形部材4に対する外部導電部材3の回転をより良好に防止することができる。
【0078】
もちろん、他の実施形態において、上部射出成形部材4に位置する回り止め部41は凹状の凹構造であっても良い。この場合、挿入部311と回り止め部41との係合により、第1の金属層31上の挿入部311が第2の金属層32の表面から突出することができ、これにより、上部射出成形部材4に対する外部導電部材3の回転を防止することができる。
【0079】
実施形態5
【0080】
図12及び
図13は、本発明の実施形態5に係る外部導電部材3の概略構成図である。本実施形態における外部導電部材3の構造は実施形態1とほぼ同様であるため、本実施形態では、実施形態1における外部導電部材3との構成の相違点のみを詳細に説明する。
【0081】
具体的には、
図12及び
図13に示すように、本実施形態において、第1の金属層31と挿入部311とは一体的に形成されないが、比較的結合された接続関係を有する。具体的には、
図12に示すように、第1の金属層31上には、挿入部311を収容するために垂直に貫通した取付部313が設置される。本実施形態において、取付部313は、具体的には、第3の貫通孔3131と第4の貫通孔3132とを含む段付の貫通孔である。第4の貫通孔3132は、第3の貫通孔3131に連通する。挿入部311の挿入方向に沿って、第4の貫通孔3132の投影は、第3の貫通孔3131の投影領域内に位置するため、挿入部311を下方に向けて取付部313まで配置した後、挿入部311の位置を取付部313を介して下方に規制することで、挿入部311が下方に移動し続けるのを阻止することができる。
【0082】
その後、
図13に示すように、第1の金属層31は、下方に向けて第2の金属層32まで設置され、挿入部311を介して第2の金属層32の係合部321にリベット留めされる。これにより、挿入部311と第2の金属層32も係合して接続され、第1の金属層31とは独立した挿入部311を介して第1の金属層31と第2の金属層32との接続を確実に行うことができる。
【0083】
このような構造配置により、挿入部311の分解、組み立て、及び交換が容易になり、挿入部311を交換する際に第1の金属層31を再加工する必要がないため、構造の汎用性やメンテナンス性が向上する。
【0084】
本発明の特定の実施形態を上に説明したが、当業者であれば、これらは単なる例であり、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されることが理解することができる。当業者は、本発明の原理及び本質から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な変更又は修正を加えることができるが、これらの変更及び修正はすべて、本発明の保護範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の上部カバー、電池及び電子機器は、電池の技術分野に応用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1: 上部カバー
2: 電極引出部材
3: 外部導電部材
4: 上部射出成形部材
5: 下部射出成形部材
21: 引出部
31: 第1の金属層
32: 第2の金属層
311: 挿入部
312: 中空部
321: 係合部
322: 引出孔
41: 回り止め部
3131: 第3の貫通孔
3132: 第4の貫通孔
3211: 第1の貫通孔
3212: 第2の貫通孔
【外国語明細書】