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  • 特開-ゴム組成物及びタイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149371
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20241010BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20241010BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20241010BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20241010BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20241010BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20241010BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20241010BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/04
C08L93/04
C08L7/00
C08L9/06
C08L9/00
B60C1/00 A
B60C11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221492
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2023062013
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】姜 嵐
(72)【発明者】
【氏名】富崎 由佳理
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA03
3D131BA05
3D131BA20
3D131BB01
3D131BB03
3D131BC12
3D131BC19
3D131LA28
4J002AC001
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002AF022
4J002DA036
4J002FD016
4J002FD022
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】水により可逆的な物性変化を発揮するゴム組成物及びタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分、充填剤及びロジン化合物を含み、下記式(1)~(2)を満たすゴム組成物に関する。
(1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00
(2)水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00
(式(1)、(2)中、tanδ及びE*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接及び複素弾性率である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分、充填剤及びロジン化合物を含み、下記式(1)~(2)を満たすゴム組成物。
(1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00
(2)水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00
(式(1)、(2)中、tanδ及びE*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接及び複素弾性率である。)
【請求項2】
前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量Fc(質量部)が下記式を満たす請求項1に記載のゴム組成物。
40<Fc<90
【請求項3】
前記ロジン化合物がロジン金属塩を含む請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記ロジン化合物がロジン酸ナトリウム及びロジン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記ゴム成分が天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムの少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量が30~70質量%である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が5~50質量%である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が20~80質量%である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含有量が5~50質量%である請求項5に記載のゴム組成物。
【請求項10】
前記スチレンブタジエンゴムのビニル結合量が10~70質量%である請求項5に記載のゴム組成物。
【請求項11】
前記充填剤がカーボンブラックを含み、カーボンブラックのNSAが50~150m/gである請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項12】
前記ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が1~50質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項13】
前記ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が40~80質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項14】
前記ゴム成分100質量部に対するロジン化合物の含有量が5~50質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項15】
前記水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδを指標1、前記水湿潤時のE*/乾燥時のE*を指標2とする場合、下記式を満たす請求項1又は2に記載のゴム組成物。
指標1/指標2>1.05
【請求項16】
下記式を満たす請求項15に記載のゴム組成物。
指標1/指標2>1.10
【請求項17】
下記式を満たす請求項1又は2に記載のゴム組成物。
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.07
【請求項18】
下記式を満たす請求項1又は2に記載のゴム組成物。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*<0.97
【請求項19】
請求項1又は2に記載のゴム組成物で構成されたキャップトレッドを有するタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤなどの製品は、各種材料を用いることで、種々の性能を付与することが検討され、性能の向上が望まれている。従来から、グリップ性能、耐摩耗性の改善を目的とする技術が求められている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-285524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記課題を解決し、水により可逆的な物性変化を発揮するゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ゴム成分、充填剤及びロジン化合物を含み、下記式(1)~(2)を満たすゴム組成物に関する。
(1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00
(2)水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00
(式(1)、(2)中、tanδ及びE*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接及び複素弾性率である。)
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ゴム成分、充填剤及びロジン化合物を含み、上記式(1)~(2)を満たすゴム組成物であるので、水により可逆的な物性変化を発揮するゴム組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ガムロジン、ガムロジンNa、ガムロジンZnのIRスペクトルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<ゴム組成物>
本発明は、ゴム成分、ロジン化合物及び充填剤を含み、下記式(1)~(2)を満たすゴム組成物である。
(1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00
(2)水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00
(式(1)、(2)中、tanδ及びE*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接及び複素弾性率である。)
【0009】
前記作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のようなメカニズムによるものと推察される。
ゴム組成物にロジン金属塩などのロジン化合物を配合すると、ゴム組成物の乾燥時に強いイオン結合などの結合により凝集し、ガラス転移温度Tgが高くなり、ロジン化合物と混合しているゴムが運動しにくくなると考えられる。
一方、ゴム組成物の水湿潤時は、イオン結合などの結合が乖離し、Tgが低くなり、ロジン化合物と混合しているゴムが運動しやすくなると考えられる。
従って、ロジン金属塩などのロジン化合物を配合することで、上記式(1)、(2)を満たすゴム組成物となり、水により可逆的な物性変化が発揮されると推察される。
【0010】
このように、本発明は、ゴム成分、ロジン化合物及び充填剤を含み、かつ式(1)「水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00」、式(2)「水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00」を満たすゴム組成物の構成にすることにより、水により可逆的な物性変化を発揮するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)~(2)のパラメータは課題(目的)を規定したものではなく、本発明の課題は、水により可逆的な物性変化を発揮することであり、そのための解決手段として前記パラメータを満たすような構成としたものである。
【0011】
なお、本明細書において、ゴム組成物のtanδ、E*は、ゴム組成物が架橋性である場合、架橋後のゴム組成物のtanδ、E*を意味し、例えば、ジエン系ゴム、硫黄等を含む架橋性のゴム組成物の場合、加硫後(架橋後)のゴム組成物のtanδ、E*を意味する。また、tanδ、E*は、ゴム組成物(架橋後のゴム組成物)に対し、粘弾性試験を実施することで得られる値である。
【0012】
上記ゴム組成物は、水により可逆的な物性変化を発揮するもので、例えば、 水によって可逆的に損失正接(tanδ)、複素弾性率(E*)が変化するものである。
ここで、本明細書において、水によって可逆的に損失正接(tanδ)、複素弾性率(E*)が変化するとは、水の存在によって、ゴム組成物(加硫後)のtanδ、E*が可逆的に大きくなったり、小さくなったりすることを意味する。なお、例えば、乾燥時→水湿潤時→乾燥時と変化した場合に、tanδ、E*が可逆的に変化すればよく、先の乾燥時と、後の乾燥時において、同一のtanδ、E*を有さなくてもよいし、先の乾燥時と、後の乾燥時において、同一のtanδ、E*を有していてもよい。
【0013】
本明細書において、乾燥時のtanδ、E*とは、乾燥している状態のゴム組成物のtanδ、E*を意味し、具体的には、実施例に記載の方法により乾燥したゴム組成物のtanδ、E*を意味する。
本明細書において、水湿潤時のtanδ、E*とは、水によって湿潤している状態のゴム組成物のtanδ、E*を意味し、具体的には、実施例に記載の方法により、水によって湿潤したゴム組成物のtanδ、E*を意味する。
【0014】
本明細書において、ゴム組成物のtanδ、E*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定したtanδ、E*である。
【0015】
上記ゴム組成物は、下記式(1)を満たす。
(1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00
(式(1)中、tanδは、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接である。)
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδは、好ましくは1.04以上、好ましくは1.06を超え、より好ましくは1.07以上、更に好ましくは1.07を超え、更により好ましくは1.09以上、殊更に好ましくは1.14を超え、特に好ましくは1.19を超え、特により好ましくは1.20以上である。水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδの上限は特に限定されないが、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.70以下、更に好ましくは1.65以下、特に好ましくは1.60以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
【0016】
上記ゴム組成物は、水湿潤時のtanδが好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.22以上、特に好ましくは0.24以上、特別に好ましくは0.28以上である。水湿潤時のtanδの上限は、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.37以下、更に好ましくは0.31以下、特に好ましくは0.30以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
【0017】
上記ゴム組成物は、下記式(2)を満たす。
(2)水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00
(式(2)中、E*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率である。)
水湿潤時のE*/乾燥時のE*は、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.97以下、更に好ましくは0.97未満、更により好ましくは0.96未満、殊更に好ましくは0.93未満、特に好ましくは0.92以下、特別に好ましくは0.91以下である。水湿潤時のE*/乾燥時のE*の下限は、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.83以上、更に好ましくは0.85以上、特に好ましくは0.87以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
【0018】
前記ゴム組成物は、水湿潤時のE*が好ましくは12.10MPa以下、より好ましくは9.33MPa以下、更に好ましくは8.40MPa以下、更により好ましくは8.20MPa以下、殊更に好ましくは5.00MPa以下、特に好ましくは4.82MPa以下である。水湿潤時のE*の下限は、好ましくは3.00MPa以上、より好ましくは3.50MPa以上、更に好ましくは4.00MPa以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
【0019】
なお、ゴム組成物の上記式(1)、(2)で表される水による可逆的なtanδ変化、E*変化は、例えば、ロジン金属塩などのロジン化合物を配合することにより達成できる。具体的には、例えば、ロジン金属塩などのロジン化合物を配合すると、ゴム組成物の乾燥時に強いイオン結合などにより凝集し、ガラス転移温度Tgが高くなり、ロジン化合物と混合しているゴムが運動しにくくなる一方で、ゴム組成物の水湿潤時は、イオン結合などが乖離し、Tgが低くなり、ロジン化合物と混合しているゴムが運動しやすくなると考えられる。その結果、水湿潤時にはtanδ上昇及びE*低下、乾燥時にはtanδ低下及びE*上昇が起きることにより実現できると考えられる。
【0020】
乾燥時のtanδは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、充填剤、可塑剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、ゴム成分と相溶性の低い可塑剤(各種樹脂など)を使用したり、非変性ポリマーを使用したり、充填剤量を増量したり、可塑剤を増やしたり、硫黄を減らしたり、加硫促進剤を減らしたり、シランカップリング剤を減らしたりすることにより、乾燥時のtanδは大きくなる傾向がある。
【0021】
乾燥時のE*は、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、充填剤、可塑剤)の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、可塑剤の量を減量したり、充填剤の量を増量することにより、乾燥時のE*は大きくなる傾向がある。
【0022】
水湿潤時のtanδ、E*は、例えば、ロジン金属塩などのロジン化合物を配合すると、水湿潤時は、イオン結合などが乖離して、ゴムが運動しやすくなり、その結果、乾燥時に比べて、tanδが上昇したり、E*が低下する傾向がある。
また、水湿潤時のtanδ、E*は、ゴム組成物に配合される薬品の種類や量によって調整することが可能であり、例えば、前述の乾燥時のE*、乾燥時のtanδの調整方法と同様の手法を用いることで、水湿潤時のtanδ、E*においても同様の傾向を得ることができる。
【0023】
上記ゴム組成物は、上記水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ(以下、指標1ともいう)、上記水湿潤時のE*/乾燥時のE*(以下、指標2ともいう)が、下記式を満たすことが望ましい。
指標1/指標2>1.05
指標1/指標2((水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)/(水湿潤時のE*/乾燥時のE*))は、好ましくは1.06以上、より好ましくは1.10を超え、更に好ましくは1.11以上、更により好ましくは1.20以上、殊更に好ましくは1.20を超え、殊更により好ましくは1.22以上、特に好ましくは1.28を超え、特により好ましくは1.30以上である。指標1/指標2の上限は、好ましくは1.50以下、より好ましくは1.40以下、更に好ましくは1.38以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
【0024】
指標1/指標2>1.05に調整することで、より効果が得られる理由は明らかではないが、指標1/指標2が大きい値を示すと、ゴム組成物の乾燥時にゴムが運動しにくく、水湿潤時にゴムが運動しやすくなる傾向が大きくなり、その結果、水により可逆的な物性変化が顕著に発揮されると考えられる。
【0025】
なお、指標1(水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ)、指標2(水湿潤時のE*/乾燥時のE*)は、上述の方法で、乾燥時のtanδ、乾燥時のE*、水湿潤時のtanδ、水湿潤時のE*を調整することにより、適宜調整できる。
【0026】
上記ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ここで、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーで、アセトンにより抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。前記ゴム成分は、常温(25℃)で固体状態である。
【0027】
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上、特に好ましくは27万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0028】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0029】
上記ゴム組成物において使用可能なゴム成分は、非変性ゴムでもよいし、変性ゴムでもよい。
変性ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するゴムなどが挙げられる。例えば、ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ゴム等が挙げられる。
【0030】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0031】
上記ゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムが挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ゴム成分としては、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのゴム成分は変性処理、水素添加処理が行われていても良く、オイル、樹脂、液状ゴム成分などにより伸展された、伸展ゴムを用いても良い。なかでも、NR、BR、SBRの少なくとも1種を含むことが好ましく、NR、BR、SBRの少なくとも2種を含むことがより好ましく、NR、BR及びSBRを含むことが更により好ましい。
しい。
【0032】
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0034】
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0035】
BRのシス量は、BRが1種である場合、当該BRのシス量を意味し、複数種である場合、平均シス量を意味する。
BRの平均シス量は、{Σ(各BRの含有量×各BRのシス量)}/全BRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、シス量:90質量%のBRが20質量%、シス量:40質量%のBRが10質量%である場合、BRの平均シス量は、73.3質量%(=(20×90+10×40)/(20+10))である。
【0036】
また、BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。変性BRとしては、変性ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
【0037】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0038】
上記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0039】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
【0041】
SBRのスチレン量は、SBRが1種である場合、当該SBRのスチレン量を意味し、複数種である場合、平均スチレン量を意味する。
SBRの平均スチレン量は、{Σ(各SBRの含有量×各SBRのスチレン量)}/全SBRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量40質量%のSBRが85質量%、スチレン量25質量%のSBRが5質量%である場合、SBRの平均スチレン量は、39.2質量%(=(85×40+5×25)/(85+5))である。
【0042】
SBRのビニル結合量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、殊更に好ましくは41質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0043】
SBRのビニル量(1,2-結合ブタジエン単位量)はSBR中におけるブタジエン部の総質量を100としたときのビニル結合の割合であり(単位:質量%)、ビニル量[質量%]+シス量[質量%]+トランス量[質量%]=100[質量%]となる。SBRが1種である場合、当該SBRのビニル量を意味し、複数種である場合、平均ビニル量を意味する。
SBRの平均ビニル量は、Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])×各SBRのビニル量[質量%]}/Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])}で算出でき、例えば、ゴム成分100質量部中、スチレン量40質量%、ビニル量30質量%のSBRが75質量部、スチレン量25質量%、ビニル量20質量%のSBRが15質量部、残り10質量部がSBR以外である場合、SBRの平均ビニル量は、28質量%(={75×(100[質量%]-40[質量%])×30[質量%]+15×(100[質量%]-25[質量%])×20[質量%])}/{75×(100[質量%]-40[質量%])+15×(100[質量%]-25[質量%])}である。
【0044】
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれも使用可能である。変性SBRとしては、変性ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
【0045】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。また、公知の方法により合成したものを使用することもできる。
【0046】
上記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0047】
上記ゴム組成物は、充填剤を含む。
上記ゴム組成物は、より効果が得られる観点から、ゴム成分100質量部に対する充填剤の含有量Fc(カーボンブラック、シリカなどの充填剤の総量、質量部)が下記式を満たすことが望ましい。
40<Fc<90
Fcの下限は、好ましくは42質量部を超え、より好ましくは44質量部を超え、更に好ましくは51質量部以上である。Fcの上限は、好ましくは86質量部以下、より好ましくは85質量部未満、更に好ましくは80質量部未満、更により好ましくは75質量部未満である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0048】
40<Fc<90の場合、より効果が得られる理由は明らかではないが、充填剤を適量含むゴム組成物であると、ゴム組成物の乾燥時にゴムが運動しにくく、水湿潤時にゴムが運動しやすくなる効果が顕著に得られ、その結果、水により可逆的な物性変化が顕著に発揮されると考えられる。
【0049】
上記充填剤としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー、バイオ炭(BIO CHAR);難分散性フィラー等が挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、カーボンブラックなどの炭素由来フィラー(炭素含有フィラー)、シリカが好ましい。充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記ゴム組成物において、使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、従来の鉱物油などを原料としたカーボンブラックのほか、リグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。また、タイヤなどのカーボンブラックを含むゴム製品、プラスチック製品などを分解して得られたリサイクルカーボンブラックを適宜、上記カーボンブラックと等量置換して用いても良い。
【0051】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましく、114m/g以上が殊更に好ましい。また、上記NSAは、150m/g以下が好ましく、130m/g以下がより好ましく、120m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
【0052】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは40ml/100g以上、より好ましくは60ml/100g以上、更に好ましくは70ml/100g以上である。また、上記DBPは、好ましくは200ml/100g以下、より好ましくは150ml/100g以下、更に好ましくは100ml/100g以下である上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217-4:2001の測定方法によって求められる。
【0053】
上記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは6質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0054】
上記ゴム組成物において、使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
シリカとして、植物由来シリカも好適に使用できる。
植物由来シリカとしては、シリカ分を含有する植物に由来するシリカなどが挙げられる。シリカ分を含有する植物としては、イネ、トウモロコシ、サトウキビ、トクサ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ハトムギ、キビ、アワ、ヒエ、ススキ、エリアンサスなどが挙げられる。また、前記シリカ分を含有する植物の糖化処理残渣も使用できる。なかでも、シリカ含有量が高いイネのもみ殻や藁などが好ましく、さらにはもみ殻が好ましい。また、シリカ分を含有する植物は、燃焼処理によって灰になったものでも、炭化処理を施されたものでもよい。
【0056】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、殊更に好ましくは175m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
【0057】
上記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、上記植物由来シリカの含有量、上記もみ殻シリカの含有量も同様の範囲が望ましい。
【0058】
難分散性フィラーとしては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等が挙げられる。なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維が好ましい。
【0059】
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
【0061】
上記ゴム組成物が難分散性フィラーを含有する場合、難分散性フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0062】
上記ゴム組成物において、充填剤(100質量%)中のシリカ含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%でもよいが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0063】
上記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
上記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、殊更に好ましくは7質量部以上、特に好ましくは8質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0065】
上記ゴム組成物は、可塑剤として、ロジン化合物を含む。
本明細書において、ロジン化合物とは、ロジン、ロジンから誘導されるロジン誘導体、又はロジン金属塩(ロジン酸金属塩)を意味する。
ロジン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
上記ロジン化合物のガラス転移温度(Tg)は、20℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上が特に好ましい。上限は特に限定されず、例えば、1000℃以下でも、800℃以下でも、700℃以下でもよい。上記範囲内であると、ウェットグリップ性能などのタイヤ性能がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ロジン化合物などの原材料のガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121-1987に従い、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定(DSC)を行って測定できる。
【0067】
上記ゴム組成物において、上記ロジン化合物の含有量(ロジン金属塩、ロジンなどの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。また、上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0068】
上記ロジンは松に含まれる樹脂酸を精製したものであり、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンに分類できる。上記ロジンの主成分は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、ヒドロアビエチン酸、デキストロピマル酸などのロジン酸である。
【0069】
上記ロジン誘導体としては、不均化ロジン、水添ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、ロジンアルコール、ロジンアミン、不飽和酸変性ロジン又これらのロジンエステルなどが挙げられる。
【0070】
上記ロジン化合物のなかでも、効果がより得られる観点から、ロジン金属塩(ロジン酸金属塩)が望ましい。
【0071】
上記ロジン金属塩とは、例えば、ロジン酸と一価、二価、三価または四価の多価金属とで構成される塩などのロジン酸と金属との塩である。具体的には、ロジン(ロジン酸)のNa塩、K塩、Ca塩、Ba塩、Sr塩、Al塩、Zn塩、Cu塩、Mg塩;他の金属化合物とロジンとの反応物などが挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸亜鉛、ロジン酸カリウムが望ましい。
【0072】
ロジン酸ナトリウム、ロジン酸亜鉛、ロジン酸カリウムなどのロジン金属塩の場合、より効果が得られる理由は明らかではないが、ロジン金属塩を用いると、ゴム組成物の乾燥時にゴムが運動しにくく、水湿潤時にゴムが運動しやすくなる傾向が大きくなり、その結果、水により可逆的な物性変化が顕著に発揮されると考えられる。
【0073】
上記ロジン金属塩は、例えば、ロジンと、金属化合物とを公知の方法で反応させることで、合成できる。
【0074】
上記ロジン金属塩のガラス転移温度(Tg)は、20℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上が特に好ましい。上限は特に限定されず、例えば、1000℃以下でも、800℃以下でも、700℃以下でもよい。上記範囲内であると、ウェットグリップ性能などのタイヤ性能がより良好に得られる傾向がある。
【0075】
上記ゴム組成物において、上記ロジン金属塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。また、上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0076】
上記ゴム組成物は、上記ロジン化合物以外の可塑剤を含んでもよい。
本明細書において、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、常温(25℃)において液体であっても、固体であっても良い。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
上記可塑剤としては、オイル、液状ポリマー、樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
上記オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物由来オイル、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ライフサイクルアナリシスの観点から、ゴム混合用ミキサーや自動車エンジンなどで使用されたあとの潤滑油や廃食油などを適宜用いても良い。
【0079】
上記植物由来のオイル(植物油とも称する)としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。
【0080】
上記オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。
【0081】
上記液状ポリマーとしては、例えば、25℃で液状ジエン系ポリマー(液状ゴム)や液状ファルネセン系ポリマーなどが挙げられる。液状ゴムとしては液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
【0082】
上記液状ジエン系ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10~5.0×10であることが好ましく、3.0×10~1.5×10であることがより好ましい。また、該液状ジエン系ポリマーのMwの下限又は上限は、4500、8500でもよい。
なお、本明細書において、液状ジエン系ポリマーのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
【0083】
上記液状ジエン系ポリマーとしては、例えば、サートマー社、(株)クラレ等の製品を使用できる。
【0084】
上記樹脂としては、タイヤ配合物として、通常用いられる樹脂(レジン)を使用でき、常温(25℃)において液体であっても固体であっても良い。例えば芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水素添加された樹脂(水素添加樹脂)でもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、樹脂自体が複数の由来のモノマー成分を共重合したものでもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂、これらの水素添加樹脂が望ましい。
【0085】
上記樹脂の軟化点は、常温において固体である樹脂を用いる場合は50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましく、85℃以上が特に好ましい。また、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましく、100℃以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
樹脂が常温において液体である場合には軟化点は20℃以下が好ましく、10℃以下が好ましく、0℃以下であることが好ましい。
水素添加樹脂の場合も上記と同様の軟化点であることが望ましい。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0086】
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
【0087】
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0088】
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
【0089】
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
【0090】
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
【0091】
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、C9/DCPD樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水素添加DCPD樹脂、C9/DCPD樹脂、C9/水素添加DCPD樹脂が好ましい。
【0092】
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。なかでも、芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
【0093】
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
【0094】
上記樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、エクソンモービル社、KRATON社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0095】
上記可塑剤として、サステナブルの観点からは、上記植物由来のオイル、ファルネセン系ポリマーなどの植物由来の可塑剤を用いることが望ましい。
【0096】
ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在するが、以下の構造を有する(E)-β-ファルネセンが好ましい。
【化1】
【0097】
ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)でもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体が好ましい。
【0098】
ビニルモノマーとしては、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレンなどの芳香族ビニル化合物や、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ブタジエンが好ましい。すなわち、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体としては、ファルネセンとブタジエンとの共重合体(ファルネセン-ブタジエン共重合体)が好ましい。
【0099】
ファルネセン-ビニルモノマー共重合体において、ファルネセンとビニルモノマーとの質量基準の共重合比(ファルネセン/ビニルモノマー)は、40/60~90/10が好ましい。
【0100】
ファルネセン系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が3000以上30万以下のものを好適に使用できる。ファルネセン系ポリマーのMwは、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上であり、また、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0101】
ファルネセン系ポリマーは、常温(25℃)で液体状態のもの、固体状態のもののいずれでもよい。なかでも、常温(25℃)で液体状態の液状ファルネセン系ポリマーが望ましい。
【0102】
上記ゴム組成物において、上記可塑剤の含有量(ロジン化合物及びロジン化合物以外の可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上、更に好ましくは35質量部以上である。また、上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、可塑剤の含有量には、油展ゴム、樹脂伸展ゴムに含まれるオイルや樹脂の量も含まれる。
【0103】
上記ゴム組成物において、常温(25℃)で固体状態の固体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。また、上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、常温(25℃)で固体状態の上記樹脂の含有量も同様の範囲が望ましい。
【0104】
上記ゴム組成物において、常温(25℃)で液体状態の液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、該液体可塑剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイルの量、液体樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムの液体樹脂の量も含まれる。
常温(25℃)で液体状態のオイルの含有量も同様の範囲が望ましい。
【0105】
上記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
【0106】
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
【0107】
上記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、更に好ましくは4.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。
【0108】
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
上記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0109】
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0110】
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。
上記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.7質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下である。
【0111】
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0112】
上記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。
上記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下である。
【0113】
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0114】
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
【0115】
上記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
【0116】
上記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
【0117】
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0118】
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
上記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、更に好ましくは4.4質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは6.0質量部以下である。
【0119】
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のベンゾチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
【0120】
上記ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
【0121】
上記ゴム組成物は、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0122】
混練条件としては、架橋剤(加硫剤)及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、また、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、好ましくは190℃以下、より好ましくは185℃以下である。
【0123】
上記ゴム組成物は、タイヤ、靴底、床材、防振材、免震材、ブチル枠材、ベルト、ホース、パッキン、薬栓、その他のゴム製工業製品等に用いることができる。特に、ウェットグリップ性能などのタイヤ性能に優れることから、タイヤ用ゴム組成物として用いることが好ましい。
【0124】
上記ゴム組成物を適用するタイヤ部材としては特に限定されず、キャップトレッド、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能などに優れることから、キャップトレッドに好適に適用できる。
【0125】
<タイヤ>
上記ゴム組成物は、タイヤに好適に使用できる。タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)、オールシーズンタイヤ、等として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤ、ライトトラック用タイヤに好適に使用できる。
【0126】
上記タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。例えば、各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でキャップトレッドなどのタイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
【実施例0127】
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
【0128】
(変性樹脂A(ロジン酸ナトリウム)の合成)
ガムロジンを10質量%NaOHに加え、90~95℃に3時間攪拌する。次いで、水分を除去し、変性樹脂A(ガムロジンNa)が得られる。
【0129】
(変性樹脂B(ロジン酸ナトリウム)の合成)
重合ロジンを10質量%NaOHに加え、90~95℃に3時間攪拌する。次いで、水分を除去し、変性樹脂B(重合ロジンNa)が得られる。
【0130】
(変性樹脂C(ロジン酸亜鉛)の合成)
変性樹脂Aの合成で作製されるガムロジンNa水溶液に、ZnSO水溶液を入れ、沈殿物を乾燥させることで、変性樹脂C(ガムロジンZn)が得られる。
【0131】
なお、変性樹脂A~Cの合成に用いる材料は、以下のとおりである。ロジン化合物のガラス転移温度(Tg)は以下の方法で測定する。
ガムロジン:富士フイルム和光純薬(株)製(Tg40℃)
重合ロジン:Synthomer社製(Tg90℃)
NaOH:富士フイルム和光純薬(株)製
ZnSO:富士フイルム和光純薬(株)製
【0132】
<ガラス転移温度(Tg)>
ロジン化合物のTgは、JIS K 7121-1987に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することにより、ガラス転移開始温度として求める。
【0133】
図1は、変性樹脂A、Cの合成におけるガムロジン、変性樹脂A(ガムロジンNa)、変性樹脂C(ガムロジンZn)のIRスペクトルである。IRスペクトルから、ガムロジンNa、ガムロジンZnが合成されていることが分かる。
【0134】
以下、タイヤの製造に用いる各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行う。
【0135】
NR:野村貿易(株)のSVR-L
SBR:JSR(株)製のHPR840(変性SBR、スチレン含有量:10質量%、ビニル結合量:41質量%)
BR:JSR(株)製のBR730
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイアブラックI(N220、NSA114m/g)
シリカ:エボニック・デグサ社製のウルトラシルVN3(NSA175m/g)
シランカップリング剤:EVONIK社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S(アロマ系プロセスオイル)
芳香族ビニル重合体:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃)
樹脂:富士フイルム和光純薬(株)製のガムロジン(Tg40℃)
変性樹脂A:上記変性樹脂A(ロジン酸ナトリウム)
変性樹脂B:上記変性樹脂B(ロジン酸ナトリウム)
変性樹脂C:上記変性樹脂C(ロジン酸亜鉛)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0136】
<試験用タイヤの製造>
表1の配合に従い、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練し混練物を得る。
上記混練物に、表1の配合に従い、硫黄及び加硫促進剤を投入して70℃で8分間混練し、未加硫ゴム組成物を得る。
上記未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に押出し成形し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で20分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ195/65R15、仕様:表1)を得る。
【0137】
表1に従って配合、仕様を変化させたゴム組成物により得られる試験用タイヤを想定して、下記評価方法に基づいて算出した結果を表1に示す。
なお、基準比較例は、以下のとおりとする。
基準比較例:比較例1
【0138】
<粘弾性試験>
各試験用タイヤのキャップトレッドのゴム層内部からタイヤ周方向が長辺となるように長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mmの粘弾性測定サンプルを採取し、tanδ及びE*を、TAインスツルメント社製のRSAシリーズを用いて、温度30℃、初期歪10%、動的歪1%、周波数10Hz、伸長モード、測定時間10分の条件下で測定し、測定開始から10分後の測定値を得る。なお、サンプルの厚み方向はタイヤ半径方向とする。
【0139】
<乾燥時のE*及びtanδ>
上記粘弾性測定サンプル(長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mm)を常温、常圧の条件で恒量になるまで乾燥し、乾燥時の加硫ゴム組成物を得る。該乾燥時の加硫ゴム組成物(ゴム片)の複素弾性率E*、損失正接tanδを上記の方法で測定し、乾燥時のE*、tanδとする。
【0140】
<水湿潤時のE*及びtanδ>
上記粘弾性測定サンプル(長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mm)を100mlの水に23℃で2時間浸漬させることにより、水湿潤時の加硫ゴム組成物を得る。該水湿潤時の加硫ゴム組成物(ゴム片)の複素弾性率E*、損失正接tanδを、RSAの浸漬測定治具を用いて、水中にて上記の方法で粘弾性を測定し、水湿潤時のE*、tanδとする。なお、水温は30℃に設定する。
【0141】
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着し、ウェット路面のコースを10周走行させ、その際のウェット路面領域でのブレーキ性能を20人のテストドライバーが1点から5点の5段階で評価する。評点が大きいほど、性能が優れている。20人の評点の合計点を算出し、基準比較例の合計点を100とし、指数化する。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れている。
【0142】
【表1】
【0143】
本発明(1)は、ゴム成分、充填剤及びロジン化合物を含み、下記式(1)~(2)を満たすゴム組成物である。
(1)水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.00
(2)水湿潤時のE*/乾燥時のE*<1.00
(式(1)、(2)中、tanδ及びE*は、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した損失正接及び複素弾性率である。)
【0144】
本発明(2)は、前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量Fc(質量部)が下記式を満たす本発明(1)に記載のゴム組成物である。
40<Fc<90
【0145】
本発明(3)は、前記ロジン化合物がロジン金属塩を含む本発明(1)又は(2)に記載のゴム組成物である。
【0146】
本発明(4)は、前記ロジン化合物がロジン酸ナトリウム及びロジン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である本発明(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0147】
本開示(5)は、前記ゴム成分が天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムの少なくとも1種を含む本発明(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0148】
本開示(6)は、前記ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量が30~70質量%である本発明(1)~(5)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0149】
本開示(7)は、前記ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が5~50質量%である本発明(1)~(6)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0150】
本開示(8)は、前記ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が20~80質量%である本発明(1)~(7)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0151】
本開示(9)は、前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含有量が5~50質量%である本発明(5)~(8)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0152】
本開示(10)は、前記スチレンブタジエンゴムのビニル結合量が10~70質量%である本発明(5)~(9)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0153】
本開示(11)は、前記充填剤がカーボンブラックを含み、カーボンブラックのNSAが50~150m/gである本発明(1)~(10)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0154】
本開示(12)は、前記ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が1~50質量部である本発明(1)~(11)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0155】
本開示(13)は、前記ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が40~80質量部である本発明(1)~(12)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0156】
本開示(14)は、前記ゴム成分100質量部に対するロジン化合物の含有量が5~50質量部である本発明(1)~(13)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
【0157】
本発明(15)は、前記水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδを指標1、前記水湿潤時のE*/乾燥時のE*を指標2とする場合、下記式を満たす本発明(1)~(14)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
指標1/指標2>1.05
【0158】
本発明(16)は、下記式を満たす本発明(15)に記載のゴム組成物である。
指標1/指標2>1.10
【0159】
本発明(17)は、下記式を満たす本発明(1)~(16)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
水湿潤時のtanδ/乾燥時のtanδ>1.07
【0160】
本発明(18)は、下記式を満たす本発明(1)~(17)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
水湿潤時のE*/乾燥時のE*<0.97
【0161】
本発明(19)は、本発明(1)~(18)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物で構成されたキャップトレッドを有するタイヤである。
図1